Home/ 加納 有輝彦 加納 有輝彦 執筆者:加納 有輝彦 岐阜県本部政調会長 租税法律主義を逸脱した消費税法――責任逃れの「転嫁カルテル容認」 2013.02.26 消費増税で「転嫁カルテル」を容認? 消費税の増税は、中小企業に大きなダメージをもたらします。なぜなら、中小企業は増税分を商品価格に転嫁(上乗せ)できないことが多いからです。 こうした批判を受け、自民党は22日、来年4月からの消費税率の引き上げを前に、大企業の下請けの中小企業が、増税分を適切に価格転嫁できるようにする特別措置法案の素案をまとめました。(2/22 産經「転嫁カルテルを条件付き容認 消費税増税時」) 大企業の「下請けいじめ」を防ぐ狙いで、複数の企業(3分の2以上が中小企業であること)で増税分の製品価格への上乗せを取り決める「転嫁カルテル(協定)」を条件付きで容認するとしています。(29年3月末までの時限立法として今国会に提出する予定) 法案では大企業が中小企業との取引の際に転嫁を拒否することや、他の取引で値引きを迫ったりするなどの行為も禁じます。 悪質な違反があった場合には公取委や所管する官庁が大企業に立ち入り検査を行い、勧告や社名の公表。虚偽報告などがあった場合には、50万円以下の罰金を科すとしています。 「転嫁カルテル容認」は責任逃れに過ぎない しかし、この特別措置はまさに泥縄であり、将来起こるであろう消費増税による大倒産時代到来時の政府の「言い訳」作りにしか過ぎません。 「転嫁カルテル」の容認は、あたかも中小企業救済のように見えますが、消費税施行後20年以上、この転嫁問題を放置し続けた政府が、今更よくも言えたものだとあきれるばかりです。 「消費税の転嫁」問題は、消費税導入直後より訴訟提訴が相次いだ問題です。 そもそも転嫁については、消費税法上、法規定が一切ないのです。消費税法本法の中に転嫁という言葉の意義・規定等の記載が全くありません。 唯一、転嫁について規定されている税制改革法において「消費税を円滑かつ適正に転嫁するものとする」(11条1項)と規定されていますが、適正な施策は何ら講じられてきませんでした。 消費税というものは、事業者が原価に消費税を転嫁し、消費者から消費税を預かり、事業者が納税するものと一般的には理解されています。 一つの例をあげますと、あるビジネスホテルの経営者が、ホテル開業以来、消費税を転嫁せず、徴収していないのであるから、本税を課税されるのは承服できないと主張した裁判(H12鳥取地裁破棄確定)を検証しますと、消費税法は事業者に消費者への消費税の転嫁を義務付けてはいないとの判断でした。 消費税を転嫁してもいいし、しなくてもいい。しかし事業者の納税義務は免除されないということです。 その結果、事業者は自腹を切って負担することになります。(多くの場合、転嫁できるか、できないかは関係者の力関係で決まります) 消費税転嫁問題は、官僚の不作為が原因 このように消費税が転嫁を予定している税でありながら、消費税を転嫁できなかった場合の納税義務規定に関し、法解釈が困難な部分がある原因について、以下のような真実をついた指摘がなされています。(上記裁判原告) 「消費税法の法文作成は、国税庁の職員ではなく、大蔵省(当時)の担当者が行ったものであるが、国税庁は、長年、税務通達による課税、徴収を各税務署長に行わせてきたのであり、この習慣のために、消費税法の適用、課税を容易に考えて、租税法律主義を逸脱した法文作成に至ったものと思料され、このような大蔵省及び国税庁担当者の通達に依存した容易な考え方が、玉虫色の解釈が可能な消費税法の作成を招来したものであって、納税者である原告としては納得できない。」 このように長年にわたって消費税法の不備が指摘されてきたにも関らず、放置し、多くの中小企業者を苦しめ、消費税倒産を招来、自殺者も増やしました。 転嫁問題の解決は、消費税増税ストップしかない 来年からの消費税増税に際して、付け焼刃的に時限立法で「適正に転嫁できる」環境を整えるといって、過去の不作為の罪が許されるものではありません。 知り合いのスーパー社長は「小売業界では安売り競争が熾烈で、消費税を上乗せした所から潰れていく。絶対に増税分を値上げできない。スーパーか、卸か、生産元か、どこかが増税分をかぶらないといけない」と、消費税増税反対を訴えておられました。 中小企業群が転嫁カルテルを組んだとしても、どこかの店が消費税を上乗せしなければ、その店だけが大繁盛し、他の店は閉店するか、消費税転嫁を諦めて安売り競争に参入するかの二者択一を迫られます。 現状では、「転嫁カルテル」はすぐに崩壊してしまうことは明らかです。 消費税の欠陥はカルテルなどで補えるものではなく、増税を即刻ストップすべきです。 小売業界のリーダーである鈴木敏文・セブン&アイ・ホールディングス会長も「(消費税増税の)導入時期を先延ばしすることも選択肢に入れるべきでしょう」と訴えています。(2/26 日経ビジネス「『消費増税は先延ばしにせよ』鈴木敏文・セブン&アイ・ホールディングス会長に聞く」) 今夏の参院選挙は消費税増税中止のラストチャンスです。幸福実現党は、中小企業を守るために消費税増税中止を訴え戦います。(文責・加納有輝彦) 「アベノミクスに足りないもの」――新たな地平を開く未来ビジョン 2013.02.19 18日、平成24年度補正予算案の本格審議が参院予算委員会で始まりました。参院で最大勢力を誇る民主党は、安倍晋三首相との論戦に臨みました。 民主党のトップバッターとして質問に立ったのは小川敏夫元法相でした。 小川議員は安倍首相が2%の物価安定目標(インフレ目標)などを「これまでとは次元が違う新しい金融政策」と強調していることに対し、民主党政権下でも政府との協議により日銀が「2%以下のプラスの領域、当面は1%」とする物価安定の「目途」を定めていたことを指摘し、「民主党が掲げていた政策と変わらない」と述べました。 物価安定目標を当面1%とするか2%とするかの違いだけであって、民主党政権下の経済政策とアベノミクスは何ら変わらないという論理です。 これに対し、安倍首相は、日銀に対して目標を決めて2%の数値目標を示し、日銀の責任でやってくださいという点は明らかに違うと答弁しました。更に民主党政権の物価安定目標1%目途では、全く市場が反応しなかったと切り返しました。 すると小川議員は、民主党と自民党の違いは、アピール力の違いであり、民主党はアピールが弱かった。首相は言葉で期待を持たせるだけの「アベのマジック」だと皮肉るのが精一杯でした。 また小川議員は、物価上昇はすぐには止まらず、慣性の法則でどんどん上がる可能性がある。よって2%の物価上昇が得られたら、安倍首相の金融政策はすぐに止めるのですねと確認した。 安倍首相は。「目標以上の物価上昇にならないために歯止めとして2%の目標がある。第一次安倍政権においても、麻生政権においても、少しでもインフレ期待が高まり、景気が回復しそうになると金融を引き締め、景気回復の芽を摘んでしまった。 その反省に立ち、物価安定目標を持った。今回、目標があるから日銀が簡単に引き締めに転じない。同時に2%以上の物価上昇にもならないように調整できる。」と答弁しました。 「財政再建をどうやってやるのか」という質問には、安倍首相は、「財政再建の為には税収を増やさなければならない。まず来年から予定している消費税増税により税収を増やす。経済成長(アベノミクス)により税収を増やす。そして歳出削減により財政を健全化する」と答弁しました。 質疑の後半「首相の発信力はなかなかだ。それに反応して円安になり、株価が上がったのは事実だから正しく評価しよう」という発言まで小川議員から飛び出し、かつての「抵抗野党」の面影はありませんでした。 空しさを覚える発展性のない質疑ではありましたが、自民党、民主党二大政党の本質があぶりだされました。 民主党は、物価安定目標が2%を超えたら、ただちに金融緩和政策をやめるべきと考える、未だ財務省と一体となった財政再建至上主義の政党である、経済成長に向けた未来ビジョンが全く語られないことが分かりました。 一方、自民党は、消費税増税で税収が増えるという財務省のプロパガンダを素直に信じています。 一方で増税をしながら、一方でアベノミクスによる景気回復を図る。同じ首相の下でブレーキとアクセルを同時に踏み込もうとしています。 両党とも、経済成長の本質が分かっていません。幸福実現党は、アベノミクスの金融政策には同意しますが、金融政策と全く同時に、減税(増税中止)、財政政策、未来産業の創出を行わなければ、金融政策の効果は出て来ないと考えます。 むしろ、消費税増税は、明らかなデフレ政策であり、アベノミクスに逆行します。 日銀がどれだけマネタリーベース(日銀が民間金融機関に供給する貨幣量)を増やしても、民間の消費と投資が活発化し、資金需要が旺盛にならなければ、マネーストック(世の中に出回っているお金の総量)が一向に増えず、景気は良くなりません。 その意味で、アベノミクスによる景気回復への期待感、実績は「消費税増税」で全て吹っ飛び、再び長期低迷を招くことになります。 自民党も、民主党も共に「増税政党」であることは変わりません。今、必要なのは「消費税増税」ではなく、「消費税増税中止」であり、「増税のための似非経済成長」ではなく、「未来ビジョンに基づく経済成長戦略」です。 また、アベノミクスは「三本目の矢」である「成長戦略」が曖昧であることが指摘されています。 それは、「未来ビジョン」に欠けているからです。「未来ビジョン」なきところ「真の経済成長戦略」はありません。 1980年代、アメリカは日本や西ドイツ等の経済成長によって、自動車や製造業が衰退し、「アメリカの没落」と言われました。 それは、中国や韓国、台湾などの製造業に押されて、電機産業などの製造業が衰退しかけている今の日本の姿にそっくりです。 アメリカが復活したのは「新産業の創出」によってです。アメリカは、自動車産業等の第二次産業中心の産業構造から離脱し、IT産業、金融産業、第三次産業等を「新しい基幹産業」に育て、世界に進出し、「アメリカの没落からの復活」を遂げました。 日本も今、未来産業を創出し、新しい地平を開かなければいけません。 高度経済成長を支えて来た旧来の産業を維持するだけでは、アジア勢の安い労働力に支えられた価格攻勢に敗北し、「日本の没落」は避けられません。 日本も産業構造をイノベーションし、リニア、航空産業、宇宙産業、防衛産業、ロボット産業等、無限の可能性を持った未来産業型に移行すべきです。 幸福実現党は、パラダイム転換を図り、新たな未来産業を創出してまいります。(文責・加納有輝彦) 中小企業を苦しめる消費増税――参院選は「消費増税中止」を問うファイナル・ジャッジメント! 2013.02.17 今回は「消費税」という税制そのものに潜む「構造的欠陥」について考察してみたいと思います。 消費税の問題点として、主に以下の3点、(1)逆進性、(2)益税、(3)消費不況を論じたいと思います。 (1)消費税の「逆進性」問題 「逆進性」とは、所得の低い人ほど消費税の負担が大きいことをいいます。 「逆進性」については、食品など特定の品目について税率を下げる軽減税率や、所得の低い人に多くの現金を給付する給付付税額控除等の対策が議論されています。 自民党と公明党は1月23日に与党税制協議会を開き、軽減税率は「消費税率10%への引き上げ時に導入を目指す」ことで合意しました。 しかし、軽減税率は適用の範囲の選定が難しく、食料品と言っても「キャビアやフォアグラまで軽減税率を適用するのか」「パンには軽減税率を適用して、嗜好品である菓子パンには適用すべきではない」と言った「線引き論争」が起こっています。 これに対して、読売新聞は1月19日の社説「軽減税率『消費税8%』で導入すべきだ」で、「(軽減税率の)適用対象の線引きが難しいとの慎重論もあるが、コメ、みそ、しょうゆ、新聞など、対象品目を絞り込めばよい」と主張しています。 なぜ、軽減税率が「コメ、みそ、しょうゆ、新聞」だけなのか?なぜ、食品に加え、新聞に軽減税率を適用すべきなのか?新聞業界の自分勝手な論理だと言わざるを得ません。 たとえ、いかなる線引きをしようとも、軽減税率の対象選定には恣意性が入るため、日本経済に大きな歪みをもたらします(特定の生産者にだけ補助金を与えるのに等しいため)。 したがって、「逆進性」問題の解決のためには、軽減税率ではなく、消費税増税そのものを中止することが最善策なのです。 (2)消費税の「益税」問題 「益税」とは、消費者が払った消費税が、納税されないで販売事業者の懐に入ることを言います。 その理由は、年間の売上が1000万円以下だと消費税を納めなくても良いためです。 「益税」については、2004年度から消費税が免税される「免税点売上高」が3000万円から1000万円と引き下げられました。免税点売上高が3000万円の時代は、消費者が支払った消費税(益税)で懐を肥やす悪質業者云々と盛んに喧伝されました。 消費者が納めた消費税を免税事業者がピンハネしている。これが「益税」問題ですが、恣意的な徴税を禁じた憲法84条等に違反すると20人の市民が訴えを起こしたことがありました。 「消費税は憲法違反である」と訴えた、この国家損害賠償請求事件について、判決が出ています。(1990.3.26東京地裁民事第十五部判決) 裁判長はこの訴えを破棄し、消費税は憲法に違反していないとの合憲判断でした。この判決内容が、驚くべき内容です。 「消費税法は、事業者に徴収義務を、消費者に納税義務を課したものとはいえない。」――つまり、消費税は誰が負担すべきなのか、特定できないということです。 日本は特殊な分野を除いて公定価格はありません。あるのは「物価」であります。その「物価」に消費税を転嫁できるかどうかは卸業者との、また消費者との力関係で決まります。 弱い事業者は、消費税を物価に転嫁できません。強い事業者は転嫁できます。これは、消費税の担税者(税を負担する者)は、時に消費者であり、時に事業者自身ということになります。 消費税とは、ある時は間接税となり、ある時は直接税というわけです。ほとんどの書物には消費税は間接税であると書かれていますが、課税の制度設計が現実には実現していないという重大な欠陥が露呈しています。 ※「間接税」とは、担税者と納税者が別。「直接」税とは、担税者と納税者が同じ。 もう一つ、消費税で特筆すべきは、その滞納額が著しく多いということです。 平成23年度の新規発生の国税滞納額は、全体で6,073億円です。この内、消費税が3,220億円となっています。実に50%を超えています。 これは一番大きい滞納額となっています。消費税を納める事ができない事業者が非常に多いのです。 デフレ経済の中で、立場の弱い中小企業は、消費税を物価に転嫁することができず、そのほとんど、あるいは一部を自腹をきって負担しています。 すなわち、消費税は事実上、直接税たる「中小企業税」だと言えます。 日本の75%の事業者が、赤字経営です。赤字企業にも容赦なく課税されるのが消費税です。借金経営の事業者が消費税を自ら負担しているのです。これが10%に増税されたら、一体いかなる事態となるのでしょうか。 赤字経営の中小零細事業者に対してその担税能力の差を顧みることなく、一律に課税される消費税は、もはや原始租税形態の一つ、人頭税と同じ残酷税といっても過言ではありません。 (3)「消費不況」の問題 政府の試算では、消費税率10%で、年収500万円の4人家族の場合、消費税分で年11万5千円、社会保険料などを含めて、年間33万8千円の負担増になるとされています。およそ年間で1カ月分の収入が減る計算です。⇒【幸福実現News第42号】http://www.hr-party.jp/new/2013/34538.html 消費増税で、年間で1ヶ月分も使えるお金が減れば、消費者は消費を減らすため、大きな消費不況が起こり、倒産や失業者が激増し、その結果、自殺者も急増する危険性があります。 参議院選挙の争点は「消費税増税」です。7月の参院選は、消費税増税を止めることができる最後の国政選挙です。 幸福実現党は、中小企業、そしてそこで働かれている方々を守るために、断固、自公民の野合による横暴な消費税増税を中止して参ります。(文責・幸福実現党 岐阜県参議院選挙区代表 加納有輝彦) 銀行は原点に帰り、資金供給の使命を果たし世界恐慌を防げ! 2013.02.05 野田元首相が解散宣言をした昨年11月14日から、日経平均株価は年末まで20%、一月末までで約30%上昇しています。 円は80円台に乗り年末には86円台、そして一月末には92円台まで下落(円安)しています。 いわゆる「アベノミクス」による株高、円安トレンドにより、ムード的には景気回復への期待が高まっています。 「アベノミクス」では、大胆な金融緩和、財政政策、成長戦略、この三つを同時に行わなくてはならないとしています。 ※幸福実現党の経済政策と「アベノミクス」の最大の間違いは、幸福実現党は金融緩和、財政政策、成長戦略に加え、減税政策を加えています。「レーガノミクス」も減税政策を中軸としていました。「増税政策」を主軸とする「アベノミクス」では失速は避けられません。 「金融緩和」「財政政策」「成長戦略」三つを同時にと強調しているのは、「金融緩和政策により日銀がいくら資金を銀行に供給しても、その先の民間の資金需要がないから効果はない」という批判に対抗するものです。 この「民間の資金需要がないので、これ以上の金融緩和は効果がない」という意見は、日銀白川総裁もしばしば主張していました。(2012/5/24 産経「金融政策も限界か、資金需要高まらず『のれんに腕押し』白川総裁も嘆く」) 「民間の資金需要がない」という言葉は、経済学者、評論家、政治家の口からもしばしば聞かれます。 先週のNHKTV日曜討論会でも民主党桜井政調会長が、「民間の資金需要がないから金融緩和は効果ない」と発言していました。 しかし、この発言には非常に違和感を覚えます。赤字法人率が75%の日本です。私の知っている多くの中小企業も資金繰りに苦しんでいます。 長引く不況の中で、多くの中小企業の資金繰りが厳しい状況にあり、倒産に至るケースも少なくありません。 「お金を借りたくても、銀行は貸してくれない」という中小企業経営者の言葉は聞くものの、「資金は必要ありません」などという言葉を聞いたことはありません。 このように、中小企業は、「借りたい」という活発な資金需要があるにもかかわらず、なぜ、銀行側は「資金需要がない」などという、お門違いの発言をするのでしょうか? これは「資金需要」というものの両者の捉え方、考え方が、異なっているからに他なりません。 銀行が言うところの「資金需要」とは、「設備投資等を主とした、経営を拡大・発展させるための資金」であり、中小企業が言う「資金需要」とは、主として「運転資金」であり、時としてそれは、「赤字補填資金」でありましょう。 政治家は、現場の実体を知らなければなりません。政治家の口から「民間の資金需要はない」という言葉が出ること自体、恥ずべきことです。 また、日本の銀行は極度にリスクを嫌い、ベンチャー企業に対する投資を避ける傾向が強いため、事業立ち上げ段階で資金の目処が立たずに断念する起業家も少なくありません。 市場に資金を流通させる責任者である銀行が、リスクフリーで必ず儲かる国債を買うばかりで、市場に資金を供給しないならば、いくら金融緩和しても、銀行を儲けさすのみで景気は一向に良くなりません。 「バンカー精神」とは、「成長の可能性を秘めた企業に対し、リスクを取って積極的に投資し、社会の発展に貢献する」という高い志です。 幸福実現党大川隆法総裁は、このような「バンカー精神」を失った銀行に対して以下のメッセージを投げかけています。(ザ・リバティー2012.12月号「銀行を過度に守る金融政策の間違い」) ・銀行は考え方を変えるべき。自分達のことだけ考えてはならない。つまり、不良債権問題を処理して、IMFのような官僚組織や他行、政府に対してバランスシートをきれいに見せることだけを考えてはならない。 ・銀行は企業を救うため、特にこの3~4年は、多額の資金を供給し続けなければならない。もし企業に対する締め付けが厳しくなれば、1929年のような世界恐慌が起きてしまう。大恐慌の足音が聞こえる。 ・銀行制度は、世の中の企業を助け、経済活動を促進するためにこそ存在している。銀行はその原点に帰るべき。 ・日本は今、新たな経済政策をスタートさせるべき。資金の供給を止めず、弱い企業が再び立ち上がって事業を再開するのを支援すべき。 ・日本と世界についての未来ビジョンが必要。これが不可欠。銀行は往々にして「未来ビジョン」を欠いていることが多い。 ・融資を減らす政策は良くない。それをやれば10年、20年以上にわたり不況が続く。 銀行は、バンカー(投資銀行家)としての原点に帰り、未来を構想し、資金供給の使命を果たし、世界恐慌を防いで頂きたいと願うものであります。(文責・岐阜県参議院選挙区代表 加納有輝彦) 再び原発ゼロの恐れ――「左翼・反原発派の巣窟」原子力規制委員会が日本を滅ぼす 2013.01.29 原子力規制委員会(以下、規制委)は22日、活断層の上に原発の重要施設を設置してはならないことなどを明文化した新安全基準の骨子素案を公表しました。(1/23 産經「原発重要施設『活断層上は設置禁止』規制委が新安全基準骨子素案」) 今月末までに原発の設計基準や過酷事故対策の基準と合わせて骨子案をまとめ、今年7月に施行する新安全基準に盛り込む予定です。 骨子素案では、活断層の定義も変更され、従来の「12~13万年前以降」に活動した断層を活断層とする定義から、「40万年前以降までさかのぼり評価すること」と定義が拡大されました。(同上) 7月に決定される新基準を基に、電力会社が補強工事を計画し、その後に規制委が計画を審査、それから工事に着手というステップを踏むため、再稼働は当面許されないことになります。 「電力会社から申請があっても、3~4日でOKとはいかない。一基の審査に半年、一年はかかる」と規制委の田中俊一委員長は、年初(9日)の記者会見で語っています。着工は早くても来年以降となるということです。 一部の項目は完了するまでの猶予期間が設けられる見込みですが、再稼働のためには新基準の全てを満たすことが必須となります。 唯一稼働中の関西電力の大飯原発3、4号機も今年9月には定期検査に入り、再び原発ゼロの状態になる可能性が濃厚です。(1/15 中日) 規制委の田中委員長は23日の定例会見で、大飯原発3、4号機について「例外扱いできない。自動的に9月まで(運転を認める)というのはありえない」と明言しました。 これについて、関電の八木誠社長は25日、規制委が骨子案を示した原発の新安全基準について、「ただちに必要なものと、長期的に安全向上に必要なものの区分けを明確にしてほしい」と要望。 新安全基準が施行される7月以前に、緊急性を要する基本対策をクリアし、稼働中の大飯原発3、4号機の継続運転と高浜原発3、4号機の再稼働で夏の電力不足を乗り切りたい考えを示しました。 八木社長は「大飯3、4号機が稼働できないと、夏の電力需給は厳しい状況になる。」として、規制委に理解を求めていく考えを示しました。(1/25 産經) 関西電力は原発11基が全て停止した場合、電気料金の値上げ幅が今回申請の約2倍の30%超になると試算しています。 値上げ幅は従来、7月に大飯原発3、4号機に加え高浜原発2基の再稼働を前提とし、家庭向けで平均11.9%、企業向けで同19.2%で、家庭、企業向けを合わせた全体の値上げ幅は15.7%としてきました。 大飯、高浜、原発全停止で値上げ幅は倍増し、30.3%までになると見込まれています。(201212/12 産經) 経産省が開催した、関西電力の電気料金値上げに関する公聴会では、一般公募の参加者から値上げに反対する声が相次ぎました。 織物会社経営者の男性は「中小企業は(電気料金値上げ分を)価格転嫁できない。廃業する企業が続出するのではないか」と述べ、関電の経費削減の徹底とともに、政府に中小企業の救済策を求めました。(1/28 毎日) 原発停止で値上げ幅が30%超えたら、関西電力管内の中小企業にとっては大打撃となります。 来年4月からは消費税増税が追い打ちをかけます。電気料金の値上げと、消費税増税と、共に価格転嫁できないとなれば、中小企業の廃業、倒産が続出するのではないかと非常に心配されます。 再稼働のためには例外を認めず、新基準の全てを満たすことが必須となれば、9月には我が国は再び原発ゼロの状態に戻ります。 マスコミは「活断層なら廃炉にせよ」という論調を煽り、原発ゼロを推し進め、多くの原発を廃炉に追い込もうとしているかのようです。 景気回復を最優先すると繰り返し明言している安倍政権ですが、アベノミクスによる明るい兆しも、原発ゼロによる電気料金の大幅な値上げと、消費税増税により、暗礁に乗り上げる可能性大であります。 幸福実現党は、参議院選挙勝利を果たし、規制委の「廃炉ありき」のような硬直した非科学的姿勢を断罪し、原発再稼働を行い、これ以上の電気料金の値上げを阻止して参ります。 そして「左翼・反原発派」の巣窟となっている原子力規制委員会の暴走から日本を守り抜いて参ります。(文責・加納有輝彦) 大阪市立桜宮高校体罰事件:橋下劇場にみる「連帯責任」が個人責任を隠蔽し、無責任体制を助長する 2013.01.22 昨年12月23日、大阪市立桜宮高バスケットボール部主将の男子生徒(17)が自宅で自殺し、その原因がバスケット部顧問の体罰であったことが、年が明けた本月8日になり市教委の記者会見で明らかになりました。 昨年クリスマスイブに執り行われた通夜式で、「顔を見てやってください」と母親に促され、顧問が近づくと、口のはれた生徒の物言わぬ姿があり、「これは指導ですか、体罰ですか」と泣きはらした母親から問いかけられ、顧問は「体罰です」と力なく頭を下げたという。(1/14産經) 体罰に関しては、学校が見逃し続けた経緯が明らかになっています。 2011年9月には、大阪市の公益通報制度の窓口に電話で、バスケット部で体罰があるとの通報が入ったにも関わらず、前校長は顧問だけに事情を聴き「体罰はなかった」と結論づけました。 また同2011年に体罰で懲戒処分を受けたバレー部の男性顧問が昨年11月、部員の男子生徒に体罰を再発させていたことを知りながら校長は市教委に報告せず、隠蔽していました。 校長は体罰を隠したことについて10日の記者会見で、「2回目は厳しい処分になると思い、顧問の将来を心配した」と釈明しました。(1/11 産經) これら一連の不祥事を受け橋下大阪市長は、今月12日、遺族と面会、謝罪しました。 橋下氏はもともと、府知事時代には「教育とは2万%、強制」と断言。「口で言ってきかないなら手を出さなきゃしょうがない」などと述べ、体罰容認の風潮をあおってきたという見方もあります。(1/21 赤旗) しかし、橋下氏は元巨人軍投手の桑田真澄氏が、今回の事件を受けて自らも体罰を経験したことを明らかにし、「殴られて愛情を感じた事は一度もない」「スポーツで最も恥ずべきひきょうな行為です」と、体罰を否定したインタビュー記事を見て認識を大転換したといいます。 その後、橋下氏は「大阪の恥ですよ!」と体育科とスポーツ健康科学科について入試を中止し、普通科に振り替えるように市教委に求めました。 もし、入試を実施することになったら市長権限で予算を執行させない、凍結するとまで宣言しました。(1/17会見) 市教委は21日、橋下氏の要請を受け入れる形で、同校体育系2科の募集中止、普通科への振り替え入試を決定しました。 しかし、体育系2科と普通科では入試科目や配点が異なり、編入もスムーズにいくか分からず、受験生だけでなく、在校生への影響も大きく、橋下氏への批判が殺到しました。 橋下氏は「世間の『入試を継続しろ』という風に流されず、教育的な観点から判断を」と市教委に対して最後まで強硬姿勢を示したました。 気に入らなければ今度の選挙で自分を落とせばいいといつもの啖呵を切りました。 入試中止の決定に関しては「本当に残念。言葉が出ない」「納得できない」と同校の運動部を引退した元主将ら3年生の生徒8人が、21日夜、市役所で記者会見して涙声で「入試の実施」を訴えました。(1/21産經) 橋下氏の学校、市教委への不信感は充分理解できるとはいえ、いつものマスコミを拡声器とした劇場型の強引な手法に一抹の不安を感じます。 橋下氏は桜宮高のすべての教師の配置転換も指示しており、さらには、橋下氏は「廃校もあり得る」とも口にしています。 今回の一連の措置は、全教員、受験生、在校生、保護者すべての人に連帯責任を負わせているといってもいいでしょう。 直接関係していない教師、受験生、在校生、保護者も連帯して責任を問われるべきでしょうか。 今、最も重要なのは、長年にわたって桜宮高校で体罰が行われてきた実態を解明し、責任の所在を明確にすることです。 そして、顧問、そして直属の上司、校長、そして市教委の責任者が、第一義的に責任を問われるべきであり、「自己責任の原則」を適用すべきです。 顧問、校長、教育委員長等が責任を取り辞任し、新しい管理者(聖職者)で学校を立て直し、入試を実施すべきであると考えます。 連帯責任を取らせることが、かえって責任の所在を曖昧にし、見て見ぬふりをするような日和見主義、隠蔽、無責任を蔓延させると考えます。(文責・加納有輝彦) 【財務省の乱】消費税増税による日本崩壊を止めよ!――幸福実現党、参院選に候補者を擁立! 2013.01.15 政府と日銀は21、22両日に開く金融政策決定会合で、デフレ脱却に向けて物価上昇率2%の政策目標を新たに掲げることを柱とする合意文書を結ぶ方針で、昨年12月の会合から2回連続となる追加金融緩和を検討する見通しです。(1/15 産經) 日銀は、安倍政権の金融政策の方針を受け入れているようです。 一方、財務省も戦時標語「欲しがりません勝つまでは(増税するまでは)」よろしく、本年秋の景気判断において消費税増税を何が何でも実施できるよう安倍政権の景気対策に協力することは間違いありません。 財務省が緊縮財政から一転、安倍政権に協力し積極財政に舵を切るのも、景気回復が目的でなく「悲願の増税」を実現することにあるとすれば、「アベノミクス」も空しく見えてまいります。 財務官僚が安倍首相を誑かし、2008年に「3年後に消費税増税」をぶち上げた消費税増税推進派の麻生太郎氏を財務大臣に据えさせたことからも、財務省の消費税増税に対する不退転の気持ちが伝わって来ます。 昨年の自公民三党合意による消費税増税の決定がいかに「国民不在の暴挙」であったかを今更ながら認識する次第です。 今回の増税がいかに用意周到に財務省により計画誘導されたものであったかを、経済評論家植草一秀氏の近著『消費税増税「乱」は終わらない』に見ることが出来ます。 氏は2008年当時、2009年の衆院選挙、2010年の参院選挙、解散がなければ2013年の衆参の国政選挙までの、この空白の3年間に、必ず財務省は増税決定を目論むと読みました。 実際、その布石を財務省は着々と打ち続けていたといいます。自民党麻生政権時代に行った所得税法の改正(附則104条、消費税増税の必要性を盛り込んだ規定)もその一つです。 特に菅・野田総理は財務省のシナリオ通りに増税路線をひた走りました。2009年末ギリシャに端を発した欧州の債務危機は、財務省にとっては願ってもない増税キャンペーンのチャンスでした。 日本も財政赤字を放置しておくとギリシャの二の舞になると国民を脅したのです。マスコミも一斉にギリシャを例にとり、財政再建のための増税の必要性を報道しました。 さらに財務省にとっては、「増税反対派」の経済学者等を籠絡させるのはいとも簡単だったと言います。増税反対の急先鋒の学者に対しては、「毒まんじゅう作戦」が展開されます。 財務省が政府税調や審議会の委員として対象の学者を招聘し取り込みます。財務省には強大な予算配分権があり、財務省をバックにつけた学者(教授)は、大学内で出世する、副学長や学長になれると言われています。 このような「毒まんじゅう作戦」により、財務省の言いなりに増税を主張する、魂を売り渡した経済学者が次々と誕生しました。 例えば、慶大のある教授はNHKの経済解説サイトで「消費税を上げるとそのぶん物価が上がり、これでデフレが緩和される」とデタラメを解説していたといいます。 また、東大の教授は「消費税を8%から10%と段階的に引き上げていけば、その都度、駆け込み需要が期待でき、最高の景気対策となる」と発言していたといいます。 このような発言が、一流の権威から飛び出す事に驚きを禁じ得ません。「学者としての良心」を財務省に売り払ったと言わざるを得ません。 マスコミ、学者が一斉に財務省の権力の軍門に下り、財務省は、事実2009~2012年の間に自民党、民主党両政権を通して「消費税増税法」を結実させました。 しかし、財務省にとって唯一の想定外が、幸福実現党の立党と、大川隆法党総裁による徹底した言論戦でした。 消費税増税の間違いもこの3年以上、徹底的に訴え、幸福実現党のみが、超然として利害の外に立ち、「何が正しいか」のみを焦点とし、政府、財務省、日銀等の政策の間違いを徹底的に糾弾して参りました。 財務省はついに、幸福実現党だけは籠絡することは出来なかったのです。 幸福実現党は7月の参院選に向け、自公政権による日本経済を壊滅させる消費税増税を断固阻止し、消費税増税法廃止すると共に、公約と異なり、国防政策を後退させている安倍首相に代わって、国防強化、自主防衛確立を訴えて参ります! 昨日1月15日、幸福実現党は以下の21名を次期参議院議員選挙の公認候補者(第一次)として擁立することを発表致しました。 ⇒http://www.hr-party.jp/new/2013/33157.html また、幸福実現党は、4月28日投開票の参議院山口選挙区補欠選挙に、河井 美和子(かわいみわこ)を公認候補者として擁立することを発表致しました。 ⇒http://www.hr-party.jp/new/2013/33154.html 超然として利害の外に立ち、日本を守るべく、正義を追求する幸福実現党の使命は決して終わりません!(文責・加納有輝彦) 『無宗教国家日本』の敗北から『宗教立国』による繁栄へ 2013.01.08 今を遡ること17年前、1995年12月に発刊された「信仰告白の時代」で著者大川隆法現幸福実現党総裁は「まえがき」にこう記されています。 「戦後50年、日本の教育は間違ってきた。宗教から遠ざかりさえすれば、第二次世界大戦のような惨禍は避けられるものと、ひたすら無宗教化をすすめてきた。その結果得られた、世界からの評価は、色・金・欲にまみれた経済奴隷としての日本人の姿に象徴される。 理想も、理念も、正義も、気概も、なにもかも、打ち捨ててしまった『町人国家日本』は、国家からは背骨とでもいうべき『宗教』を抜き去ったら、ただただクラゲのように漂うしかないということを証明した、悲劇の文明実験国でもあった。 本書は、『無宗教国家日本の敗北』を、思想の次元で論証する一書でもある。全国民が半世紀にわたる過ちを反省し、再び『無宗教』を国是とすることによって、来世紀の子孫を苦しめることのないように、切に願った警告の書でもある。」 17年前の言葉であります。あれから17年、なおも日本は漂流し、残念ながら停滞から脱することは出来ませんでした。 「失われた20年」と言われる所以です。この20年を「無宗教国家の敗北」という観点から見たとき、はっきりと見えてくるものがあるのではないでしょうか。 特にこの3年3か月、国家の敗北を決定づけた民主党政権を支えた思想とはどのようなものだったのでしょうか。 「ミスター円」と言われた榊原英資氏も民主党を支持しました。氏は「坂の上の雲はなくなって、今日より良い明日はない。成長経済から成熟経済に移った。これからはヨーロッパ型福祉社会を目指す大きな方向転換をしなければならない。民主党は、子供手当、農家の個別補償、高校授業料無料化とか、ヨーロッパ型社会を目指しており、政策の方向は間違っていない」と支持しました。 また、東大を首席で卒業した経済学者小幡績氏も、著書『下り坂社会を生きる』では、「国民はもう成長なんかとっくに終わったと気づいている。若者は一番気づいていて、給料なんか一生あがらないに決まっていると思っている。もう成長は終わったんだから、今の資源を大切に使って、これからの余命を平均的に豊かに過ごそうよ」と考えた方がいいと民主党の政策を支持していました。 現在、頻繁にTVに出ておられる浜矩子同志社大学大学院教授は、安倍政権を徹底的に批判しています。 昨年の総選挙直後のNHK日曜討論(12/23)では「この選挙の結果として『浦島太郎政権』が誕生してしまったのではないかと思います。成長を目指して大胆な規制緩和というような文言の中にも、浦島太郎度が表れています。成長しなくとも経済がうまく回るのはどういう姿かという事を考えるべきところなのに、ピントが全く外れている訳です。」と成長を否定し、成熟を目指すべきであると述べています。 民主党を支持した識者、マスコミに共通する思想は「成長の否定」です。 彼らは、一人一人が小さな神となり、「もはや成長はない」とご宣託をしているのです。 しかし、本来、政(まつりごと)を預かる為政者は、心を空しくして国民の繁栄を神仏に祈るのではないでしょうか。 神仏の心は「繁栄」と「調和」にあることは古来、日本人は知っていました。信仰を失くした時、繁栄と調和も失うのです。 なぜ、20年も日本が漂流したのでしょうか? 大いなる神仏の心を忘れ去り、マスコミが、知識人が小さな神となり「坂の上の雲はない」とご宣託をし、政局を支配したからではないでしょうか。 再び「無宗教」を国是とすることによって、未来の子孫を苦しめることのないように幸福実現党は、宗教政党としての使命を果たしてまいります。 この国の繁栄と調和のために。この国の未来を開くために。(文責・加納有輝彦) 未来の扉を開け!――「マスコミ」専制権力を乗り越えて 2013.01.01 素晴らしい新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。昨年は多くの皆様より、ひとかたならぬご指導を賜りしたことを深く感謝申し上げます。本年もご指導ご支援の程、何卒、よろしくお願い申し上げます。 本年初のニュースファイルでは、マスコミの報道姿勢について指摘させて頂きたいと思います。 米国では報道機関や野党は、政権交代後100日間は新政権に対する批判や性急な評価を避ける紳士協定があり、「ハネムーン期間」とも呼ばれています。 日本においては2009年の「政権交代選挙」・鳩山政権誕生前後には、まさしく「ハネムーン期間」と呼ばれるにふさわしい民主党とマスコミの蜜月期間がありました。 概ね民主党政権の3年3か月は、国益を毀損した数々の失政にも関らずマスコミは温かく民主党政権を見守ったと言えるでしょう。 一方、第二次安倍内閣発足直後から、一部マスコミは早々とネガティブ・キャンペーンを開始しました。 特に、中部地方で270万部の発行部数を誇る中日新聞は、昨年12月27日付朝刊に掲載した安倍内閣に関する特集記事で、まるで低俗な週刊誌のような悪意に満ちた記事を掲載しました。 大学教授などに安倍内閣のネーミングを問い、「戦争ごっこで遊びたい『ネトウヨ内閣』」「国防軍オタク内閣」「福島圧殺内閣」等と共に、見出しにも黒い太字で「ネトウヨ」「改憲」「学力低下」などのネガティブな表現を並べました。 とても大新聞の朝刊の特集とは思えない代物に、多くの抗議電話が寄せられたと報じられています。(12/28 J-CASTニュース「『ネトウヨ内閣』『国防軍オタク内閣』……東京・中日新聞新内閣記事に苦情電話が殺到」⇒http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121228-00000007-jct-soci&p=1) これらのネガティブ・キャンペーンは、新聞にとどまらず、テレビ報道でも見られます。 安倍政権発足当日の昨年12月26日放送のNHKニュースウォッチ9においては、「船頭多くして船山に登りそうな内閣」とアナウンサーと解説委員がコメントしています。 これは「氷山の一角」と言ってもいいでしょう。第二次安倍政権には、一日のハネムーン期間もなかったといえましょう。 報道機関も一企業であり、社会的責任を担っています。 企業の社会的責任(corporate social responsibility、略称:CSR)とは、企業が利益を追求するだけでなく、組織活動が社会へ与える影響に責任をもち、あらゆる利害関係者(消費者、投資家等、及び社会全体)からの要求に対して適切な意思決定をすることを指します。 国際標準化機構(ISO)では、対象が企業(corporate)に限らないという見地から、社会的責任(social responsibility、略称:SR)の呼称で国際規格ISO26000を策定しています。(2010年11月発行)。 ISO26000は日本語に翻訳され、JISZ26000「社会的責任に関する手引」として2012年3月日本国内でも制定されました。 企業の社会的責任の中核を成すものの一つに「法令順守」があります。JIS Z 26000においては、「法の支配の尊重」として組織は、法の支配を尊重することが義務であると認めるべきである、と謳われています。 法の支配とは、法の優位、特に、いかなる個人も組織も法を超越することはなく、政府も法に従わなければならないという考え方を指します。 法の支配は、専制的な権力の行使の対極にあると高邁な精神が謳われています。 日本の放送事業者が従うべき法とは、「放送法」であります。放送法の第4条2項に、国内放送事業者は「政治的に公平であること」とありますが、これらの条文には罰則規定がないことから有名無実と化しています。 JIS Z 26000が規定するところの普遍的国際標準である「法の支配」をマスコミが蹂躙していることは、専制的な権力を行使しているということに他なりません。 マスコミ権力の専制下で、安倍政権が委縮し、幸福実現党も主張していた正しい政策を行う事が出来ない可能性があります。 これに対し、幸福実現党・大川隆法総裁は、近著において「安倍総理よ、強くあれ。論敵との戦いの一部は引き受けるから、未来への扉を開いて欲しい。」とエールを送っています。(『安倍新総理スピリチュアル・インタビュー』大川隆法著、幸福実現党発刊) 幸福実現党は、矢内筆勝 新党首の下、今夏参院選で勝利し政権の一角を担い、「自幸」連立内閣を樹立することが我が国の最大幸福と確信し、戦い続けていくことを宣言いたします。(文責:加納有輝彦) 既成政党有利(新規政党差別)の公職選挙法は憲法違反である 2012.12.25 公職選挙法はその立法目的を「選挙制度を政策本位、政党本位のものとする」としています。 「政党本位」とは、事実上、政党を優遇するという形になっています。 新聞社によっては、報道の自由と共に、公職選挙法の政党優遇精神を、政治団体の報道を公平にしない事の判断根拠としています。 優遇されるべき政党(候補者届出政党)の定義を、公職選挙法86条1項1号、2号に、国会議員を5人以上有するもの又は近い国政選挙(衆院総選挙・参院通常選挙いずれか)で、全国を通して2%以上の得票(選挙区・比例代表区いずれか)を得たものを候補者届出政党と定めています。 公職選挙法は既成政党に有利にできており、新しい政治団体(非政党)は以下の点で差別的不利益を被っています。 ・衆院総選挙及び衆院・参院議員補欠選挙では選挙区で「政見放送」に出演できない。 ・総選挙で比例区の重複立候補が認められていない。 ・政党は比例区に1人からでも候補を立てられるが、政治団体は衆院では定数の10分の2以上、参院では10人以上(選挙区と含めて)候補を立てなければならない。 ・企業(法人)からの政治献金を受け取ることができない(政党以外の政治団体は、個人献金のみ受け取れる)。 また、既成政党は、比例代表選挙のために認められた選挙運動を、小選挙区選挙の個々の候補者の選挙運動のために利用することが可能(同法178条の3)。 これにより、ハガキやビラ、ポスター等の条件に著しい差が生じ、その差は単なる量的差に留まらず、質的な差にもなっています。 2005年の第44回総選挙後、選挙無効の訴訟が起こされました。この訴訟で原告は、一票の格差と共に、公職選挙法における政党候補と非政党候補の格差は憲法14条1項の「法の下の平等」に反し違憲であると主張しました。 しかし、東京高裁で原告は全面敗訴。2007年、最高裁判所大法廷は12対3で原告の上告を棄却し、高裁判決が確定しました(2005年衆院選合憲判決)。 判決では「政党は、議会制民主主義を支える不可欠の要素であって、国民の政治意思を形成する最も有力な媒体である」から、非政党候補との格差は「合理的理由に基づくと認められる差異」の範囲内であるとしました。 また、衆議院小選挙区における政見放送の非政党候補の締め出しについては、「選挙制度を政策本位、政党本位のものとするという合理性を有する立法目的によるもの」と判断し、「是」としました。 幸福実現党はまさしく、非政党として3年以上にわたり政治活動、選挙活動を行っておりますが、公職選挙法の「非政党への冷遇精神」の洗礼を受けています。 ゆえに、2005年衆院選合憲判決の最高裁大法廷の3人の反対意見(違憲判断)の中の「真実」を今一度、世に出さなければならないと思います。 現行の公職選挙法における政党候補と非政党候補の格差は「違憲」であると判断した反対意見の一部を要約・抜粋し、本来の選挙のあり方を考える材料として頂ければ幸いです。 公職選挙法は「選挙制度を政策本位、政党本位のものとする」との立法目的を掲げながら、実際に作られたのは「既成政党の政策本位、既成政党本位の選挙制度」であり、新しい政党に対する参入障壁であります。 公職選挙法は、選挙のスタートラインから既成政党を優位に立たせ、非政党候補者を極めて不利な条件の下で競争させるものであり、議会制民主主義の原理に反し、国民の知る権利と選挙権の適切な行使を妨げるものとして、憲法に違反すると言わざるを得ません。 各候補者が行い得る選挙運動の手段・方法は「人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない」(憲法44条ただし書)ことはもちろんのこと、原則として平等でなければなりません。 現在の選挙制度は、候補者の被選挙権の平等を害するものであって、憲法14条1項、44条ただし書きに違反し、無効といわざるを得ません。(文責・加納有輝彦) すべてを表示する « Previous 1 … 5 6 7 8 9 … 12 Next »