Home/ 遠藤 明成 遠藤 明成 執筆者:遠藤 明成 HS政経塾 日本に、迫りくる南シナ海危機への対策はあるのか 2016.10.27 HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆ドゥテルテ氏の反米外交で、領土喪失の歴史が繰り返される? 先般、訪日したフィリピンのドゥテルテ大統領は、東京都内の講演で、「2年以内に、私の国から外国の軍部隊がいなくなってほしい」「行政協定の見直しや破棄が必要ならば、そうするつもりだ」と述べました(ドゥテルテ比大統領、米軍は「2年以内に撤退を」AFP通信、2016/10/26)。 そして、ドゥテルテ大統領に同行したヤサイ外相も記者会見でアメリカとフィリピン両軍の定期合同軍事演習が「中国側の疑念を高めることにつながりかねない」と述べ、現政権による中止の可能性をほのめかしています。 フィリピンの新政権は、南シナ海進出を目指す中国の野心を止めるために米国や近隣諸国と連携するのではなく、この問題を中比間の「話し合い」で解決しようとしています。ヤサイ外相は、米比軍事演習がその妨げになると見ているわけです。 ドゥテルテ大統領もヤサイ外相もアメリカとの同盟(米比相互防衛条約)を維持すると述べましたが、南沙諸島の問題は米比同盟の対象外としました。もし、今後、フィリピンが「米軍」を国外に追い出したら、90年代前半の米軍撤退後にミスチーフ礁を中国軍に奪われた時と同じ事態が繰り返されかねません。 米軍を抜きにしたフィリピン軍は旧式の駆逐艦や旧世代の戦闘機が主力なので、中国海軍の近代化された護衛艦や潜水艦、戦闘機等には、とうてい、対抗できないからです。 ◆「人権問題」でそりが合わないドゥテルテ政権とオバマ政権 フィリピンではドゥテルテ氏が大統領に就任してから2カ月余りで1000人以上もの麻薬取引の容疑者が警察官に殺されたとも言われています。これを問題視したオバマ米大統領に対して、ドゥテルテ比大統領は「我々に敬意を持たなければならない」と憤り、フィリピン国内記者会でオバマ大統領を罵倒しました。 ドゥテルテ氏は、植民地の統治者のように上から目線で説教をしてくる米大統領が我慢ならないのですが、9月5日にラオスを訪問したオバマ氏は、その暴言を聞き、翌日に予定した米比首脳会談を取りやめました。 そして、米比関係が冷え切るなかで、ドゥテルテ氏は10月に訪中します。そして、南シナ海を巡る中国の領有権主張を違法と断じた国際仲裁裁判の判決を棚上げまでして、ドゥテルテ氏は中国のインフラ投資を国内に呼び込もうとしたのです。 親中外交はインフラ投資を呼び込むためのポーズなのかもしれませんが、結局、米比関係は修復が難しくなったので、日比首脳会談では、同盟国の日本を通してフィリピンを日米側に取り込むための布石が打たれました。 現状では、フィリピンが日米寄りに一歩近づきましたが、11月以降、人権問題を重視するヒラリー・クリントン氏が大統領となれば、「暴言大統領」が政治を司るフィリピンとアメリカとの関係は、うまくいかなくなりそうです。 ◆高まりつつある南シナ海での地域紛争勃発の危険性 26日の日比首脳会談後の共同声明では「両国の種々の友好関係および同盟関係のネットワークが、地域の平和と安定、海洋安全保障を促進する」とうたわれました。基本的に、今の日本は「外交」で紛争を抑止することを目指しています。 しかし、フィリピンの新政権は「頼みの綱」である米軍追い出しに肯定的ですし、米大統領選でヒラリー氏が当選した場合は、人権問題を巡って米比関係が険悪になる可能性が極めて高いのです。 アメリカとフィリピンとの同盟関係にひびが入れば、中国にとってまたとないチャンスなので、今後、南シナ海では地域紛争が起きる危険性が高まっていくでしょう。 ◆日本に、南沙諸島をめぐる地域紛争への対策はあるのか しかし、今の日本では、その有事に対応する準備はできていません。 南沙諸島近辺を通る海上交通路(シーレーン)は、日本とアジアの米軍にとって重要な物資の運搬経路ですが、この防衛のために日本がどこまで動けるのかは、いまだにはっきりしません。 集団的自衛権の行使の要件の中には、「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」と記されていますが、果たして、南シナ海のシーレーンの防衛というのは、前掲の「明白な危険」の中に含まれているのでしょうか。 フィリピンという国は、「わが国と密接な関係にある他国」の中に含まれているのでしょうか。 今の日本では次の選挙のための国内政策の議論が盛んですが、南シナ海の情勢が変わりつつある今こそ、有事に適切な判断を下すための準備を進めなければなりません。 そのため、集団的自衛権や防衛法制に関する議論を国防強化に結びつけるべく、幸福実現党は今後も力を尽くしてまいります。 12月にプーチン訪日?――ロシアを「中国包囲網」に取り込むために 2016.09.01 HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆本年12月で日ソ共同宣言発効60周年 昨今の報道では、プーチン大統領が「日ソ共同宣言」発効60周年を刻む12月に訪日すると言われています。 プーチン訪日の場所は安倍首相の地元・山口県で、詳細な日程は9月2日にウラジオストクで開催される日露首脳会談で決まると見られています。 ◆過去の日露の領土交渉の経緯 9月と12月の会談では、北方領土返還も含めて日露平和条約締結に関する議論が交わされるはずです。 ソ連は北海道の東北にある四島(歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島)を占領し、戦後も実効支配を続けましたが、この返還交渉は「日ソ共同宣言」でソ連が提示した歯舞、色丹の二島返還論と日本の四島返還論がぶつかり合い、その後もうまくいっていません。 しかし、ソ連崩壊後には、93年の「東京宣言」で四島に関して「歴史的・法的事実に立脚し、両国の間で合意の上作成された諸文書及び法と正義の原則を基礎として解決する」とされました。 その後、2001年のイルクーツク声明では「東京宣言に基づき、択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島の帰属に関する問題を解決することにより、平和条約を締結」することを明記したのです。 プーチン大統領と森首相の間で出されたイルクーツク声明は日露の双方が重視しています。 ただ、この声明が出ても、何をもって四島の帰属問題が「解決」したとするのかは解釈次第なので、ロシアは「これで四島返還に合意したわけではない」というスタンスです。 そのため、交渉が進むかどうかは今後の日露関係の展開次第だと言えるでしょう。 ◆「ロシアに騙されるな」という意見について、どう考えるべきか プーチンは2012年3月、大統領復帰前の記者会見の席で、日露間の領土問題について「引き分け」で解決しようと発言し、その後も対日関係改善の意欲を示していますが、日本には「これはポーズだ。騙されるな」という声も根強くあります。 例えば、北海道大学の木村汎名誉教授は、駐日ロシア大使館で5年ほど勤めた知日派のアントン・ワイノ氏が新大統領府長官に就任したことに関して、「これは対日接近を企てるメッセージに他ならない」という「希望的観測を抱くことは禁物だろう」と述べています(産経正論2016/8/31)。 確かに、オホーツク海から北方領土近海までの領域はロシアが原子力潜水艦を展開するための要所ですし、同国は領土問題を抱える近隣諸国を刺激したくないので、やすやすと返還に応じられない事情を抱えています。 しかし、欧米からの制裁や原油価格の低下等によりロシアの名目GDPは2.23兆ドル(2013年)から1.32兆ドル(2015年)にまで激減し、来年もマイナス成長となることが予測されています。ロシアとしては日本や中国を含め、アジアにも活路を拓きたいところでしょう。 また、ロシアには人口がまばらな極東地域への中国人進出や中国の核戦力の強化への危惧も根強いので、日露関係の強化には、まだ交渉の余地があるのではないでしょうか。 ◆ロシアを「中国包囲網」に取り込むために 日本から見れば、ロシアと中国が組むような未来図は避けたいものです。 そして、ロシアは、近年、中国との間で「核戦力の差が縮小する」ことを「最大の懸念」としているという見方もあります(『東アジア戦略概観』2014年版)。 中露間の交流は盛んですが、ロシアは歴史認識を巡る中国の対日批判に完全に賛同せず、中国はロシアが08年(ジョージア)と14年(ウクライナ)に行った隣国の分離活動支援を支持しないなど、お互いの立場には違いがあるのです(同2016年版)。 また、ロシアがインドやベトナムにも兵器売却を行い、関係を深めていることにも、中国への警戒心が伺えます。 こうした情勢を踏まえるならば、日本は首脳会談で北方領土問題の解決を目指すと同時に、中露接近を止め、逆に中国包囲網の形成につながるように、日露関係の強化を進めなければなりません。 ※幸福実現党「日本を変える123の政策」より https://www.hr-party.jp/policy/ ロシアとの関係を強化します。平和条約の締結を目指すとともに、ロシア極東地域への投資を活発化させ、北方領土の返還を実現します。ウクライナ問題を契機とするロシアの孤立化が中ロ接近を招かないよう、日本としてロシアと米欧との橋渡しを行う外交を展開します。連携する未来のために、一手を打たなければなりません。 台湾新総統就任――今こそ日米の支援が必要だ! 2016.05.19 文/HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆注目される台湾新総統の外交政策 5月20日に予定されている、台湾新総統の就任演説で蔡英文氏がどのような外交政策を打ち出すのかが注目されています。 その中でも、中国側が受入れを強く要求する「九二コンセンサス」の扱いが、大きな課題となっています。 「九二コンセンサス」とは、「一つの中国」という原則を立て、「中国」という言葉が何を意味するかを、中華人民共和国と中華民国がそれぞれに解釈することです。 馬総統は、この「合意」が92年にあったとして中台交流を進めましたが、蔡氏が率いる民進党は、そうした「合意」はないという立場です。 後者の立場を先鋭化した場合は、「二つの中国」の存在を主張したり、「中国と台湾は国対国の関係だ」等と主張したりする外交路線になりますが、蔡氏は昨年以来、慎重に「現状維持」路線を掲げてきました。 ◆なぜ、アメリカは台湾独立を支持しないのか なぜかと言えば、米国が中台関係の緊張と紛争勃発を恐れて、後者の台湾独立路線を支持していないからです。 5月16日の米中外相会談でも、ケリー国務長官は、「一つの中国」の厳守を求めた王毅外相に、台湾を巡る米国の立場に変わりはなく、台湾独立は支持しないと述べました。 米国は、米中国交正常化において、台湾との外交関係を「非公式」なものとしたため、その後、中国寄りの外交路線を取り続けています。 米国は、ニクソン訪中時の共同声明で、台湾と中国の双方が「中国は一つ」と主張していることを認識し、この立場に異論を唱えないと表明しました。国交正常化の際には中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認しています。 中国と国交を結んだ米国としては、台湾側に中国を刺激する行動をしてほしくないわけです。 ◆冷戦終了後に、大きく変化した東アジアのパワーバランス 当時、米国は、ソ連の脅威に備えるために、ソ連と対立した中国との関係を強化しました。そして、「台湾関係法」に基づく援助を行い、中国の台湾侵攻を抑止しようとしたのです。 中国軍事研究家の平松茂雄氏は、米中国交正常化の頃、米国は三つの理由で、中国は台湾への軍事侵攻を図る余力はないと判断したと述べています(『台湾問題』P119 勁草書房)。 ★1:中国軍には海峡を渡って台湾を軍事攻撃する能力はないが、台湾は中国の侵攻を阻止できる軍事力を持っている ★2:中国はソ連の脅威に対して日米安保を抑止力として利用している。ソ連と対立するかぎり、中国は「北の脅威」に備えねばならず、台湾を攻撃する余裕はない ★3:中国の近代化のためには、日米などの資本主義国との経済関係の発展が不可欠。台湾への武力行使はこれらの関係を悪化させ、近代化計画を挫折させる 当時の米国は、中国は台湾に武力行使できないと見たのですが、その後、ソ連が崩壊してからは、東アジアのパワーバランスが大きく変わります。 冷戦後に中露の国境問題は解決し、中国が世界第二位の経済大国となりました。軍事力でも台湾との大きな差が開いていったのです。 例えば、「近代的戦闘機」(※)の数で見ると、中国は731機、台湾は329機にしかすぎません。 (※日本にあるF15やF2と同世代の第四世代戦闘機のこと。機数は『防衛白書 平成27年度』の数字) 三つの条件のうち二つが消滅し、三番目の経済上の利害関係だけが残っているというのが現状なのです。 中国は沿岸部から1200発以上の短距離弾道ミサイルで台湾を攻撃できるので、日米が強く支援しなければ、近未来に台湾の運命は風前の灯となりかねません。 ◆台湾の未来を守るために、日米からの強い支援が必要 ケリーの発言は、状況が変わっても、外交政策を変えられない米国の現状を示しています。 オバマ政権でも台湾への小規模の兵器売却は行われましたが、最新型のF16戦闘攻撃機などの主要兵器の売却には尻込みしています。 そのため、日本としては、アジアのシーレーンを守る要所に位置する「台湾の地政学的な重要性」を米国に訴えかける必要があります。 そして、台湾を守る具体策の一つとして、台湾のTPP参加を支援すべきでしょう。トランプとヒラリーの双方がTPPに否定的なので、オバマ大統領時代の間に、これを早期発効すべく強く働きかけるべきなのです。 台湾が他の自由主義国との経済関係を強め、中国との貿易依存度を下げなければ、経済面から中国に脅かされます。台湾のTPP参加には、安全保障上の意義があるのです。 日米台が経済と安全保障の両面で連携する未来のために、一手を打たなければなりません。 増税延期は、自公「延命」のためか。それとも日本経済「再生」のためか。 2016.03.31 文/HS政経塾スタッフ遠藤明成 ◆自公政権の延命のために、同じ増税延期論を繰り返す? 安倍首相は、3月27日に10%への消費税増税を延期する方針を固めたことが分かりました。 「5月18日に発表予定の28年1~3月期のGDP速報値を見極め、伊勢志摩サミットの前後に正式発表する」と見られます。(3/28産経) 今のままだと、有権者は、次の選挙で「景気が低迷したから消費税増税を延期する」という理屈を聞かされることになりそうです。 しかし、元をたどれば、景気低迷の原因は8%への消費税増税でした。 14年の増税後、年率計算で見た時に4-6月期に約7%(前期比)ものGDPが減り、今でも景気は低迷しているわけですから、因果関係は明らかです。 この二の舞を避けたければ、増税延期法案を国会で可決すればよいだけなので、必ずしも選挙は要りません。 ただ、その場合は「17年4月に増税する」とした見込みの甘さが露見し、政策判断の責任が問われかねないので、安倍政権は「民意」を問い、そこから逃げようとしています。 増税延期を「大義」として、もう一度、延命を図ろうとしているわけです。 ◆「増税凍結」や「減税」を望む声は強まっている そもそも、不景気の時でも増税できる消費税の仕組みには問題があります。 3月7日のロイター記事では、本田悦朗内閣官房参与による消費税7%への減税提言が報じられていましたが、これは「不景気の時に必要なのは減税だ」という当たり前の主張です。 幸福実現党は、こうした経済の常識を踏まえ、立党以来、消費税の増税に反対し、14年の衆院選では消費税5%への減税を訴えました。 その後、8%への増税が不景気をもたらしたことが世に知られ、最近の週刊誌(『週刊ポスト4月8日号』)では5%減税論が出てきています。 同誌では、以下の識者が増税に警鐘を鳴らしていました。 ・8%への増税で20兆円のGDPが消失した(高橋洋一・嘉悦大学教授) ・軽減税率を織り込んでも10%への増税で家計の負担が一世帯あたり年間46000円増える(永濱利廣・第一生命経済研究所主席エコノミスト) ・「本田参与は財務省に遠慮して税率7%と言っているが、政策失敗は明白なのだから増税前の税率5%まで戻すのが筋」(長谷川幸洋・東京新聞論説副主幹) 安倍首相は「この道しかない」といって、14年の衆院選に突入しましたが、本当は「消費税5%への減税」という「別の道」があるのです。 (※当時も、早稲田大の若田部昌澄教授やプリンストン大のクルーグマン教授などが5%への減税を薦めたのに、減税論は顧みられませんでした) ◆日本経済「再生」のための選挙を 今、必要なのは、増税凍結で景気腰折れの不安をなくし、減税で消費を活性化させることです。 増税延期が決まってから8か月間の日経平均株価(終値)を見ると、17099円(14年12月15日)から20808円(15年8月10日)にまで伸びています。 これは選挙前の追加緩和の効果も入っていますが、消費税を巡る政策判断が市場に与える効果は大きいのです。 次回の選挙を単なる自公政権の延命選挙にすべきではありません。 増税延期ではなく、消費税5%への減税を実現し、日本経済を再生させるための選挙とすべきです。 幸福実現党が訴える「5%への減税」こそが、日本経済を救います。 進撃の「狂人?」の核開発への対策――消去法で見た「残りの選択肢」とは 2016.02.11 文/HS政経塾スタッフ遠藤明成 ◆北朝鮮の“進撃”が止まらない? 北朝鮮は1月6日に核実験、2月7日にミサイル発射実験を行いましたが、核ミサイル開発は、それだけで止まっていません。 産経ニュース(2016.2.10)では、クラッパー米国家情報長官が2月9日に上院軍事委員会に提出した報告書の内容が取りあげられています。 ・北朝鮮は、寧辺の実験用黒鉛減速炉(原子炉)を再稼働させ、使用済み核燃料を用いて数週間から数カ月内にプルトニウム抽出を始めることができる。 ・寧辺でウラン濃縮施設が拡大。プルトニウムと高濃縮ウランを用いて核兵器の追加生産が可能になる危険性がある。 ここでいう、「黒鉛減速炉」は通常の原子炉とは違い、核兵器をつくるための原子炉です。 要するに、飢えた国民を見殺しにして軍拡を目指す、「人を食った」独裁者は、ウランを濃縮し、軍用原子炉を動かして、核開発に向けて「進撃」する構えを見せているわけです。 ◆核ミサイル開発を止められない「具体策」の一覧 北朝鮮に対しては、90年代から様々な「対策」が講じられましたが、過去の経緯を見れば、実際に核開発を止める効果は乏しいことがわかります。 1:95年~00年までに累計108万トンのコメ援助と引き換えに開発停止を要求 →98年にテポドンミサイル発射実験 2:2003年から08年に行われた六か国協議(日、米、韓、中、露、北) →09年に核実験と長距離ミサイル発射実験、12年に長距離ミサイル実験。 3:「対話」路線(14年に日本は制裁緩和) →15年に無回答。16年に核実験とミサイル実験で「返答」 4:経済制裁 06年以降、日本は北朝鮮籍者の入国禁止、北朝鮮籍船の入港禁止、北朝鮮に送る貨物の輸出禁止、北朝鮮からの貨物の輸入禁止などを講じてきたが、今日まで北朝鮮の核ミサイル開発が続く。 制裁強化は必要ですが、過去の経緯を見る限り、これだけで北朝鮮の核開発が止まるとは考えにくいのが現実です。 ◆本当に有効な「対策」として残るのは何? 実際は、日本が外交で北朝鮮に行使できる影響力は限られています。 しかし、抜本的な防衛力の強化を図ると「軍国主義者だ」「東アジアの緊張を高めている」等とマスコミから批判されるので、支持率低下を恐れた過去の政治家たちは、前掲の対策を講じて、国民に「努力している」姿を見せようと試みてきました。 ただ、この繰り返しだけでは、もはや、どうにもなりません。 なぜかと言えば、北朝鮮は1月のブースト型原爆実験で核の「小型化」技術を高め、2月の実験では長距離ミサイルの技術水準を高めていることが明らかになったからです。 北朝鮮が弾道ミサイルに核弾頭を搭載するには、小型化技術を向上させ、大気圏外に出たミサイルがもう一度大気圏内に入るための「再突入技術」を確保すればよい、という状況になりました。 ミサイル防衛システムもありますが、百発以上の弾道ミサイルが日本に迫った時、これですべてを落とすことはできません。 そのため、北朝鮮の核開発に対抗するには、核兵器を持った米軍の部隊を日本に展開させるか、日本が北朝鮮からの攻撃を踏みとどまらせるための「抑止力」を持つしかないのです。 ◆もしも米軍の核部隊が日本に展開したら? この場合、1)非核三原則の「持ち込ませず」をなくす、2)NATОと同じように米軍の核を日米で共同運用する、という二通りのパターンが考えられます。 後者は「核シェアリング」と言われますが、この仕組みには、主導権が米軍にあることと、NPT違反にはならない、という二つの特徴があります。 ただ、沖縄返還を契機に核部隊を日本領土から引き揚げた米軍(非公式には、その後も核持ち込みはありましたが)に、このプランを要求することには、高いハードルが待っているでしょう。 ◆自国の抑止力を強化するためには そのため、実現可能性が高い策として、アメリカからの「巡航ミサイル」の導入を提言する人もいます。 米シンクタンクで海軍アドバイザー等を務める北村淳氏は、自衛隊艦艇には1000発程度のトマホークミサイルを搭載可能であり、そのための予算は1200億円程度だとも指摘しています。 これは抑止力強化の一例ですが、他の領域も含めて、日本が広く抑止力を強化するには、防衛予算のGNP1%枠の打破が必要になります。 防衛関係費の多くは人件費や維持費等に費やされるので、平成27年度予算で見ると、主要装備品等の契約に使える金額は、約5兆円の中の1兆円ほどです。抑止力を根本から強化するためには総額を増やさざるを得ないでしょう。 フランスやイギリス、インド、トルコ、シンガポール、韓国などは、2014年に、GNP比で2%以上の軍事予算を使っています(世界銀行HP)。 中国やロシアなどの核保有国に包囲された日本が、GDP比で見て、これらの国々と同じ比率の防衛予算を使ってはいけない合理的な理由は見当たりません。 本年は選挙があるため、自公政権は「外交的な努力」でお茶を濁し、本来、必要な防衛政策の実現には踏みこまない可能性が高いのですが、こうした時だからこそ、幸福実現党が訴える抜本的な防衛強化の具体策が必要だと言えます。 ※政策の例(「幸福実現党政務調査会政策提言集2015」より) ・防衛費倍増による抑止力強化 ・近隣国の核ミサイルに対処するため、巡航ミサイルなどの敵基地攻撃能力を保有 ・非核三原則の撤廃、日米核シェアリングの実施についても検討 2016年に衆参同時選はあるのか? 2015.12.17 文/HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆なぜ1月4日に国会召集? 年の暮れとなり、来年の計画を考えている方もいるかもしれません。 企業や組織で責任ある立場につかれている方は、「来年の選挙が自社の商売に、どんな影響を与えるのか」と考えることもあるのではないでしょうか。 このたび、安倍政権が1月4日に通常国会を召集する方針を固めたのは、来年の選挙を視野に入れた意志決定だと言われています。 過去の国会召集の日を見ると、2015年は1月26日、14年は24日、13年は28日、12年は24日、11年は24日です。 1月4日は1992年以降で最も早い日時だとも言われています。 国会の当初予定は150日なので、4日に召集すれば、参院選の投票日として6/26、7/3、7/10、7/17、7/24の五通りの日時を選べます。 しかし、1月5日以降に召集すると、参院選の投票日が一つの選択肢に確定されてしまうのです。(1月5日召集の場合は6月26日) ◆選挙日程のからくりを利用して、首相は政治の主導権を握る? 「えっ。どうして」と思われた方もいるかもしれませんが、そのからくりが、『エコノミスト(2015/12/15)』(P90-91)に書かれていました。 執筆者の与良正男氏(毎日新聞専門編集委員)は、公選法が定める参院選の二つの規定に注目しています。 (1)任期満了日の前、30日以内に選挙を行う、 (2)国会閉会日から23日間が「任期満了前30日以内」にかかる場合は、国会閉会日から「24日~30日」の間に選挙を行う 「参院議員の任期満了は来年7月25日で、『30日前』は6月25日となる。1月4日に召集した場合、150日間の会期を延長しなければ閉会日は6月1日」 「このため、(2)の『23日間』規定はぎりぎり適用されず、投票日は6月26日、7月3日、10日、17日、24日の5日曜日を候補にできる」 「1月5日以降に召集した場合は閉会日は6月2日以降。『23日間』規定が適用されて、例えば1月5日召集なら投票日は自動的に6月26日に確定する」 ※24日~30日後の範囲は6月26日(日)~7月2日(土)。選挙は普通、日曜日に行われるので、この場合は26日で確定。 そして、憲法では「衆院解散後、40日以内に衆院選を行うと定めている」ので、7月10日に衆参同日選をやれば、選挙活動の日数から見ても、ほどよい長さになります。 かくして、首相は選挙日程の選択肢を持ち、政治の主導権を握るというわけです。 ◆与党は、軽減税率という「羊頭」を掲げ、増税という「狗肉」を売ろうとしている 首相が来年に衆院を解散する可能性があるのは、17年4月に消費税を10%に増税した後では、選挙がやりにくいからです。 前掲の与良氏も「可能性は低い」としながらも、「17年4月の消費再増税延期もあり得るのでは」と真顔で述べる国会議員も少なくないと述べていました。 この場合、ちゃぶ台返しのように「そもそも」の前提が変わるため、軽減税率を巡る自公の合意も議論のし直しになるでしょう。 裏を返せば、公明党は「軽減税率」を固めることで、増税延期のための「衆参同日選」を阻止し、増税への道を舗装しているとも言えます。 この議論の本質は「軽減税率があれば、増税してもよいではないか」という論理だからです。 14年4月の消費税増税が景気後退を招いたことを正直に認めれば、5%に減税すべきなのは明らかなのに、与党の政治家やマスコミは、企業に複雑な事務を強いる軽減税率を持ち出しています。 本来あるべき5%への減税を無視して、今の与党は「軽減税率」という「羊頭」を掲げて、「増税」という「狗肉」を売ろうとしているのです。 ◆消費税5%、大幅な法人税減税が本道 来年の選挙の行方を考える上で、12月時点で安倍政権と自民党が支持率を取り戻していることは見逃せません。 産経・FNN合同調査では、安倍晋三内閣の支持率は47.8%(+3.6)、不支持は41.2%(+2)でした。自民の支持率は37.9%(+4)、民主党の支持率は9.4%です(産経ニュース2015.12.14)。 同じような傾向がTV朝日の世論調査(12/5-6)でも出てきています。 (http://www.tv-asahi.co.jp/hst/poll/201512/index.html) 【安倍内閣への支持・不支持】 支持する47.3%(+5.1) 支持しない33.3%(-7.7) わからない、答えない19.4%(+2.6) 政党支持率でも自民党(47.3%〔+3.1〕)と民主党(11.5%〔-4.2〕)の明暗が分かれていました。 支持率の行方次第では衆参同日選になる可能性もありますが、争点となる経済政策を、軽減税率や増税延期などの「その場しのぎ」でよしとすべきではありません。 本来、あるべき消費税5%への減税を訴える政党が必要なのです。 自公政権は18年度に法人税を29%(※まだ実質3割)に減税する方針ですが、これは細切れの減税でしかありません。法人税に関しても、企業の国際競争力の強化のために、幸福実現党が訴える2割台への大幅減税(長期的には1割台を目指す)こそが必要なのです。 沖縄独立と台湾独立、正当性があるのはどちら? 2015.11.05 文/HS政経塾スタッフ 遠藤 明成 ◆今後の安保政策の争点――普天間基地移設問題 米軍普天間飛行場の移設に関して、翁長雄志・沖縄県知事は10月13日に辺野古沿岸への埋め立て承認を取り消しました。 政府は、以下の二つの措置で対抗しています。 (1) 取消処分の効力停止 翁長知事の承認取り消しに対して、移設を担う防衛省が県知事の取消処分の効力停止を国土交通相に申し立てました。 この主張が認められ、防衛省は作業を再開しています。 (2) 代執行 また、政府は、国交相に知事の代わりに事務手続きを行わせようとしています。 これは知事に代わって取消処分を撤回する手続きです。 (大臣の是正勧告に知事が従わない場合、高等裁判所で訴訟をし、これに国が勝てば代執行となる) 防衛省の作業再開と「代執行」が同時に進められる背景には、移設に際して、裁判所のお墨付きを得たいという意図があります。 これに対して、沖縄県は取消処分の効力停止を不服とし、第三者機関の「国地方係争処理委員会」に審査を申し出ています。 ここで否認された場合は、沖縄県は訴訟に持ち込むことでしょう。 ◆「沖縄の自己決定権」? この「辺野古の闘争」に際しては、「沖縄の自己決定権」という標語が用いられています。 例えば、連載記事をまとめて『沖縄の自己決定権』と題した書籍を刊行した琉球新報社は、「日本政府は、主体的生き方を法律でつぶそうとする。その象徴が辺野古の闘いだ」(大城立裕氏・作家)という発言を紹介し、この書籍をPRしています(※1)。 しかし、そもそも、「自己決定権」とは何なのでしょうか。 これは、「自分自身に関する重要な事柄を自分自身で決める権利」(※2)のことです。 「個人の人格的実存にかかわる重要な私的事項を公権力の介入・干渉なしに各自が自律的に決定できる自由」(※3)とも言われます。 治療拒否や尊厳死、出産や堕胎、学生の髪型や服装の自由などの問題で、この権利が争われることがあります。 しかし、基地の移設は日本の外交・安保政策や国全体の安全保障に直結するので、個人的な事柄とは到底言えません(※4)。 そのため、「沖縄の自己決定権」を掲げて基地反対闘争を正当化するのは、論理的には無理があると言えます。 ◆沖縄と台湾の政治運動を比較する 「沖縄の自己決定権」だけでなく、もう一つ、注意すべきなのは「沖縄独立論」です。 これは、翁長知事が県議会での答弁で、沖縄独立論について「そういう方は多くない」と答えているほど、少数派の主張だと言えます(※5)。 12年1月1日の意識調査で沖縄の取るべき立場を問うたところ、結果は「現行通り日本の一地域(県)」が61.8%、「特別区(自治州など)」が15.3%、「独立」が4.7%でした(※6)。 しかし、「台湾の独立」という政治課題を比較してみると、15年の世論調査で台湾が最終的に独立することに賛成した人は51.3%、反対した人は32.7%です(※7)。 中国は「沖縄独立」を持ちあげ、「台湾独立」を封じ込めようとしていますが、この二つの「独立」の内情は、これほどまでに違うのです。 地域の分離独立は、主権者は誰で、領土はどこかを決める議論を伴いますが、沖縄独立論には、そこに至るまでの民意の支持がありません。 ◆台湾が民進党政権になった時、日本からの支援が必要になる 一方、16年1月16日の台湾総統選では、民進党の蔡英文氏の勝利が予測されています。 以前の民進党政権は、「台湾の未来は、台湾2300万国民のみが決定する権利を有する。これは台湾の国家主権地位の最も固い基礎である」(08年)と声明を出したこともあります(※8)。 中国の影響力も拡大しているので、民進党が以前ほど強い姿勢を取れるかどうかは未知数ですが、日本は、台湾が自由民主主義の側に立ち続けられるように、支援を続けなければなりません。 「東アジアで自由の領域が拡大するか縮小するかの問題は、最終的に日本の未来に対しても大きな影響を及ぼす可能性があるから」(※4)です。 ★このたび、HS政経塾より『宗教こそが民主主義を発展させる』(立木秀学編著、幸福の科学出版 発売)が発行されました。以下のURLからアクセスできますので、興味を持たれた方に、ご覧いただければ幸いに存じます。 『宗教こそが民主主義を発展させる』 立木秀学編著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1561 (注) ※1:『沖縄の自己決定権』琉球併合の不正から道標探る 琉球新報(15/6/21付) ※2:岡田信弘著『事例から学ぶ日本国憲法』 ※3:芦部信喜著『憲法 第六版』 ※4:立木秀学編著『宗教こそが民主主義を発展させる』 ※5:翁長知事、沖縄独立論に否定的「そういう方は多くない」沖縄タイムス15/10/4付 ※6:「方言話せる」5割切る 琉球新報 県民意識調査(12/1/1付) ※7:TISR台灣指標民調「2015年2月上期、台灣民心動態調、與本期議題調結果摘要」 ※8:陳水扁総統が「台湾主権地位」に関する4点の呼びかけを発表(台湾総統府08/4/17付) 韓国の反日歴史闘争 慰安婦の次は「強制動員記録」 2015.09.17 文/HS政経塾スタッフ 遠藤 明成 ◆戦前の「強制動員記録」の記憶遺産登録を目指す韓国 韓国紙の聯合ニュース(日本語ネット版)では、13日付と15日付の記事で、「日本植民地時代の朝鮮人強制動員被害記録」を国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界記憶遺産に申請しようとする動きを取り上げています。 13日付の記事では、「文化財庁の『2016年世界記憶遺産の登録申請対象記録物公募』に応募があった登録申請候補12件のうち、強制動員の被害記録物に関する資料は33万6797件に達する」と述べています。(「日本による強制動員被害」世界記憶遺産目指す=韓国) そして、15日付では、記憶遺産推進を目指す運動本部が、「日本はアジア太平洋侵略戦争を反省するどころか、端島(軍艦島、長崎市)を世界遺産に登録するなど、歴史を歪曲している」と主張したと報じました。(朝鮮人強制動員記録の世界遺産登録 推進本部が発足=韓国) 記憶遺産の認定は2年ごとなので、この申請がユネスコに来年3月までに提出された場合、17年の6月から7月頃にその可否が決まります。 ◆政治闘争の場となりつつあるユネスコ これは、産業革命遺産の登録を巡って、日本が韓国に妥協したことに付け込んだ政治闘争ですが、 現在、ユネスコが歴史認識を巡る政治闘争の場になりつつあります。 これは今に始まったことではなく、冷戦時代にも「ユネスコがイデオロギー上の戦場と化した」ことがあったと言われています。(「ロシアNOW」2015年9月10日付) 「ソ連はこの機関が西寄りであると非難し、1954年まで参加しなかった」 「80年代には、ユネスコが西側諸国に批判的であるとして米国がユネスコから脱退した」 などと言われているのです。 本来は文化振興のためにあるはずの国際機関が政治闘争の場になってしまっているわけです。 ◆訪日した朝鮮人労働者の大部分は「出稼ぎ」だった 韓国側は、戦時下に公権力によって朝鮮人労働者が日本に強制連行されたと主張しますが、歴史の実態はどうなのでしょうか。 これに関して、近現代史の研究家である西岡力氏は、日本に来た渡航者の8割は自発的に日本に来た出稼ぎ労働者であり、戦時動員が日本本土と朝鮮半島で行われただけだと指摘されています。(『日韓「歴史問題」の真実』第二章/西岡力(著) ) 日本は朝鮮を差別しておらず、日本で国民徴用令(1939)にて労働者が集められていた頃、朝鮮では募集制で労働者が集められていました。 徴用が朝鮮半島で開始されたのは1944年からなので、むしろ、日本列島より遅かったわけです。 西岡氏は、前掲書にて、当時の朝鮮人労働者の統計では、1939年から42年までの4年間で約2万人が不正渡航者として朝鮮に送還されたと指摘しています。 日本列島から労働者を朝鮮半島に強制送還しながら、朝鮮半島で労働者を強制連行しているというのは、おかしな話です。 書類不備の朝鮮人労働者も多く、33年から37年の5年間では108万人が日本への渡航出願をし、そのうち65万人が不許可とされていました。 わざわざ不許可を出していたのが実態なのに、強制連行を大体的に行う必要があったとは考えにくいのです。 ◆韓国に迎合せず、日本は歴史の真実を訴えるべき 朝鮮人労働者の多くは出稼ぎ労働者であり、朝鮮半島での戦時徴用は日本列島よりも遅れて実施されました。当時の朝鮮人は日本国民として本土の人々と同じように戦時労働に参加しただけなのです。 これは、当時、世界各国で普通に行われていた営みでしかありません。韓国の反日歴史闘争に対して、日本は歴史の真相を訴えて反論しなければなりません。 10月10日、北朝鮮が長距離弾道ミサイル発射実験? 2015.07.30 文/HS政経塾スタッフ 遠藤 明成 日本の各紙では安保法案の衆院採決に伴う安倍政権の支持率低下を報道しています。 しかし、日本が「平和安全法制」を撤回したとしても、中国や北朝鮮が軍拡を止めるわけではありません。 ◆10月10日に北朝鮮が長距離弾道弾の発射実験を行う? 例えば、共同通信は5月に北朝鮮が10月10日(朝鮮労働党創建70周年)にミサイル発射実験を行う可能性を示唆しましたが(「北『衛星』10月打ち上げ指示」5/19、47news)、最近はその準備の進展ぶりが各紙で報道されているのです。 ★7月22日:聯合ニュース日本語版「北朝鮮北西部の基地長距離ミサイル発射台完成か」 増築された発射台から、2012年の「2倍の大きさの長距離ロケットを発射できる」という軍と情報当局の分析を紹介。 ★7月25日:読売新聞電子版「北朝鮮、ミサイル開発強行…エンジン燃焼実験」 北朝鮮の東倉里(トンチャンリ)基地で射程1万キロ以上の弾道ミサイルのエンジン燃焼実験が7月半ばに行われたとの韓国政府関係者の見解を紹介。 7月28日に、北朝鮮の国連大使はニューヨークの記者会見で、このミサイル発射実験について「いかなる可能性も排除しない」と述べました。 10月10日に北朝鮮が大陸間弾道弾の発射実験を行う可能性はかなり濃厚になってきています。 ◆1年経っても出てこない拉致問題の再調査報告 また、北朝鮮は昨年7月に日本人拉致被害者と特定失踪者の安否に関して再調査開始を約束しましたが、本年7月3日には調査報告の延期を日本政府に伝えています。 これに抗議し、拉致被害者家族と「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」は、7月22日に「全拉致被害者を取り戻す緊急国民集会」を東京で開催しました。 そこでは全被害者の一括帰国や帰国できない場合の制裁極大化などを求めることが決議され、同日には次世代の党の平沼赳夫党首を会長とする「拉致救出議員連盟」も制裁強化の要望書を政府に提出しました。 ◆北朝鮮への制裁の現状 06年、09年、13年の核実験を行った北朝鮮に、日本は以下の経済制裁を課してきました。(以下、安全保障貿易情報センター「北朝鮮に対する経済制裁措置」を参照) 1北朝鮮籍者の原則入国禁止 2全北朝鮮籍船の入港禁止 3北朝鮮を仕向地とする全貨物の輸出禁止 4北朝鮮を原産地または船積地域とする全貨物の輸入禁止 5北朝鮮と第三国間との移動を伴う貨物売買、貸借、贈与に関する取引(仲介貿易取引)禁止 6輸入承認を受けていない、原産地または船積地域が北朝鮮である貨物の輸入代金支払の禁止 このうち、昨年7月以降、北朝鮮との人的往来の制限や北朝鮮籍船への入港禁止などが緩和されました。 「人道物資」の輸送などを北朝鮮籍船が行うことが容認され、北朝鮮に住所や事務所等を持つ個人・法人は同国で3000万円以下の支払いを行った場合に日本政府への報告義務を課されなくなったのです。(それ以前は300万円を超える支払いに報告義務があった) ◆誠意ある報告がなければ、北朝鮮への強硬策を打ち出すべき 再調査開始の見返りに制裁が一部解除されましたが、北朝鮮からの調査報告はないままに、本年も威嚇的な短距離ミサイルの発射などが行われました。 北朝鮮は短距離ミサイルを2月8日には5発、3月2日に2発、4月3日には4発発射。 150mの模擬弾ではありますが、5月9日には「潜水艦発射型弾道ミサイル」の発射実験を行っています。 この状況に対して、日本側は「遺憾だ」と言うだけではなく、政府として「被害者救出や拉致事件の真相究明に資する報告を出さない限り、制裁を再強化する」と明確に意思表示すべきです。 本年4月には、北朝鮮の人権侵害に対して、米政府当局者が「日本側から制裁の要請や(拉致の責任者、実行犯らに関する)情報提供があれば制裁対象として検討し得る」と語ったことも明らかになっています。(共同通信2015.4.19、47news) 引き伸ばし策を許さないために「8月末」等と期限を示し、報告の内容が杜撰であれば、全拉致被害者の帰国を要求すべきです。 その時には、制裁を再強化し、米国とも連携しながら包囲網を広げる強硬策への政策転換が必要だと言えます。 日韓の歴史観、どこが対立点?あと10日で日韓基本条約50周年 2015.06.11 文/HS政経塾スタッフ遠藤明成 ◆6月22日で日韓基本条約署名からちょうど50年 6月11日の午前中に、日本と韓国の外務省局長会議が都内で開催され、いわゆる従軍慰安婦を巡る歴史認識や韓国外相の来日などを巡って協議が行われました。 「日韓両政府は国交正常化50年の記念式典に、両首脳が相互に出席する検討に入っている」(日経電子版2015/6/11)とも報じられていますが、日韓基本条約が署名された6月22日を見込んで、日韓関係の緊張緩和が模索されているのです。 ◆日韓の歴史認識の主な対立点とは 今後の日韓協議でも、歴史認識を巡る韓国側の強硬路線が障害となりそうですが、日本は安易に妥協すべきではありません。 歴史認識を巡るいわれなき批判に対しては、正確な史実をもって反論すべきでしょう。 慰安婦に関しては、今までのHRPニュースで盛んに取り上げられてきたので、本日は、日韓の歴史観が対立する他の代表的な論点を三つほど取り上げてみます。 【1:日韓併合】 韓国の主流の歴史観では、日本の強制に基づく第二次日韓協約(1905)や日韓併合条約(1910)は国際法的に無効だと主張します。 しかし、ロシアが日露戦争の講和で日本の韓国統治を認めたように、第二次日韓協約は諸外国に承認されています。そして、伊藤博文暗殺などを経て韓国は併合(1910)されることになったのです。 これらの条約は当時の基準では何ら不法性を問われるものではなく、韓国の学者が01年の国際会議で「強制ゆえに無効」と主張した際にも、英国の国際法学者に否定されました(産経01.11.27)。 「自分で生きていけない国について周辺の国が国際的秩序の観点からその国を取り込むということは当時よくあったことで、日韓併合条約は国際法上は不法なものではなかった」(J・クロフォード英ケンブリッジ大教授) 【2:伊藤博文暗殺】 そして、韓国側は伊藤博文を暗殺した安重根を英雄として讃えていますが、実際は、韓国併合に反対していた伊藤を暗殺したことで、日韓併合が決定づけられたのです。 (伊藤は保護国化論で、将来的に韓国の自治を促そうとしていた) 【3:日本の朝鮮半島統治】 韓国側は「日帝の略奪」を批判しますが、日本が日露戦争に敗れた場合は、朝鮮半島全土がロシア領となり、ロシア革命後には朝鮮全土が社会主義化したことでしょう。 そして、日本の朝鮮統治が非人道的なものだったというのも事実に反しています。 例えば、評論家の黄文雄氏は「日帝の略奪」論に以下のように反論しています(WiLL2010年10月号)。 ・殖産興業によって生活レベルが上がり、医療衛生が普及した。米の生産高や人口が倍増した。アイルランドがイングランドと合邦後、人口が3分の1になったのとは対照的。 ・朝鮮総督府は初めて半島国土調査と国土開発計画を行い、治山治水、地下資源の開発、インフラへの投資を行なった。 ・日本は42円(市場価格)の朝鮮米を64.5円で買うなど、逆ザヤで朝鮮を資金援助している。 黄文雄氏は「併合以来、年に千数百万円から2000万円の一般経費補助金が、朝鮮総督府会計に補填され続け、財政運営を支えてきた」(『朝鮮半島を救った日韓併合』)とも述べています。当時は大量のお金が日本から韓国へと流れていたのです。 日本は朝鮮人の名前を奪い、差別したと批判されますが、そもそも日本統治以前の李氏朝鮮では下層階級や女性の多くには氏が与えられていませんでした。 明治維新以降、百姓が公式に苗字を名乗ることを認めたように、日本は身分制社会を平等に苗字を持てる社会に変えようとしたわけです。 そして、日本軍には洪思翊(こうしよく/ホンサイク)中将を始めとした多数の朝鮮人の軍高官がいました。欧米軍に比べれば非常に公平だったのです。 ◆怨恨に対して、歴史の真実をもって答えるべき 韓国側の反日史観は怨恨に彩られており、その史観には、日本を敵とすることで自国内の問題から国民の目をそらせようとする政治的意図も伺えます。 日本側としては、怨恨に対して歴史の真実を示し、いわれなき批判から自国の誇りを守ることが大事だと言えるでしょう。 すべてを表示する « Previous 1 … 7 8 9 10 11 Next »