Home/ 新着一覧 新着一覧 再エネ推進はもう限界なのに・・・国民に負担ばかりのFIT制度が止められない仕組みとは? 2024.03.06 https://youtu.be/YSEmBglPaM4 HS政経塾 第12期生 坂本和佳 ◆再エネ事業者に対する交付金の一時停止が可能に 現在、太陽光発電の増加に伴い、山間部で相次ぐ住民とのトラブルが無視できない状況になっています。 こうした状況を受け、経済産業省は再エネ事業者と住民とのトラブルを回避するために、FIT制度の規定を変更する改正再エネ特措法を4月1日に施行する予定です。 FIT制度とは、再エネ政策の根底を支える制度で、再エネ事業者が発電した電気を高値で買い取ることを電力会社に義務付けるものです。 今回の改正では、法令違反をした場合に、FIT制度等の交付金を一時停止できるようになります。 再エネ事業者にとってFIT制度は、操業資金の供給源にして命綱であり、この交付金が無ければ事業継続が危うくなります。 このFIT認定の一時停止の権限を持つことによって、悪質な業者への抑止力とし、解決を図ろうとしています。これは事業者の違反行為の解消につながる面はありつつも、トラブルへの根本的な解決にはなりません。 なぜなら、既に日本の再エネ政策は限界まできており、そうした中で政府が無理やり導入を進めれば、更なる負担やトラブルを引き起こしかねないからです。そうした点を詳しく見ていきます。 ◆そもそも太陽光パネル設置の適地が少ない日本 まず、太陽光発電は莫大な土地が必要になるという点が上げられます。エネルギー密度が低いため、発電効率が悪く、広大な土地を必要とします。 原子力発電所1基分の発電量を賄うためには、太陽光パネルを山手線の内側の約2倍の面積に敷き詰めなくてはならないほどです。 しかし日本は平地面積が限られている上に、すでに平地部分には人口が密集しています。そのため、大量に再エネ電源を導入することは実質不可能です。 それにもかかわらず、日本の再エネ導入量はすでに世界第6位、太陽光発電の導入量であれば世界第3位、国土面積当たりの太陽光発電の導入量は世界1位となっています。 国土面積当たりの平地面積で見れば、再エネ電源の導入が進んでいると言われるドイツの約2倍です。日本の再エネの導入量はもうすでに限界に達していると言えます。 ◆設置工事費の増加でコストは高止まり こうした状況の下で、無理に再エネを増やそうとすれば、コストは高止まりしてしまいます。 平地面積が限られた中で、大規模な太陽光パネルを設置するには、山肌を削って設置するしか方法がありません。そのため、設置の造形コストが余分にかかってしまいます。 太陽光パネルの費用は年々減少傾向にあると言われていますが、日本では、こうした背景もあり、建設費用が他国に比べて高止まりしているのが現状です。 日本で再エネ建設が高くつく理由は他にもあります。それは自然災害です。日本は自然災害が多いため、耐風や耐雪などの基準を満たそうとすると、工事費はさらに高くなるのです。 そして再エネコストの増加は、電気代の上昇に直結します。高コストの再エネを維持するには、FIT制度による買取費用も高くならざるを得ません。 そうなれば、私たちの電気代に転嫁されている再エネ賦課金の金額は高止まりしてしまい、電気代が益々上がることになるのです。 ◆屋根上設置の推進で国民負担はさらに重く このようにFIT制度による再エネの推進が、電気代の上昇につながっていますが、政府の政策は国民負担をさらに強める方向に進んでいます。 それが、太陽光パネルの屋根上設置です。平地の適地が少ないということで、次に屋根の上に目を付けたのです。 政府は、本年2024年からFIT制度に新たな区分を設け、太陽光パネルを屋根上設置にすると平地よりも2~3割ほど高く買い取るようにしました。 これは発電する側からはうれしい話ですが、この高い電気代を負担するのは私たち国民であることを忘れてはいけません。 さらに東京都では、2025年4月から脱炭素政策のため、大手住宅メーカーに対し、太陽光パネルの設置を義務付ける制度が創設されることになりました。 この義務化とセットにして太陽光パネル搭載の住宅商品の開発へ助成金を交付し、都民を誘導しようとしています。 東京都は住宅購入者への義務ではないことを強調していますが、購入する住宅が太陽光パネル設置済みのものしか選べなくなれば、事実上、購入者への義務化になります。 また、その負担は購入者ないし、助成金の財源を負担する納税者が負うことになります。 通常であれば、誰もこのような義務化を望みません。しかし、誰も批判できない錦の御旗になっているのが「脱炭素」という名目です。 脱炭素のため、地球温暖化を防止するためという大義名分を掲げて推進することで、誰もそれを否定出来ない風潮が作り上げられています。 その裏では、義務化と補助金の範囲が拡大することによって政府の権限、強制力は格段に強まり、「大きな政府」にも拍車がかかっています。そして、それは、国民生活を圧迫するものに必ずなるのです。 ◆国民への負担にしかならないFIT制度の撤廃が必要 再エネの導入拡大は、百害あって一利なしの状態です。悪徳業者も増え、トラブルが多発し、今や弊害の方が大きくなりつつあります。 政府はやっと、こうした事業者への対応を始めましたが、根本的にこの負の流れを止めるためにはFIT制度の撤廃を進めるべきです。 FITなどの国民の負担や補助が無ければ維持できないのが再エネ電源ですが、そもそも再エネは不安定で高コストな電源なので、国民が余分な負担をしてまで維持すべきものではありません。 むしろこの制度自体が、環境や地域住民に配慮することなく、再エネを推進するような悪徳業者が生まれる温床になっており、政府が価格統制をすることによる歪みも大きいため、制度そのものを廃止すべきです。 本来投資すべきは、エネルギー自給率を高め、安定した電力を供給できる原発であると考えます。 このように、現在は再エネ事業に対しての過剰な保護が生み出した弊害が大きく尾を引いているため、早急にこのFIT制度の撤廃が必要なのです。 『金利ある世界』に向けて必要な『覚悟』とは 2024.02.28 https://www.youtube.com/watch?v=qIofw00WPrc 幸福実現党 西邑拓真 ◆「金利ある世界」に向けて、今、議論が進められている 日経平均株価がバブル経済期の史上最高値を塗り替え、活況にわく株式市場ですが、株式市場や為替相場に大きく影響を与えるのが「金融政策」です。一見難しいと言われる「金融政策」について、今回は難解な理論は省き、なるべくわかりやすくお伝えいたします。 金融政策とは、日本の中央銀行である、日本銀行が行っているものであり、金利を上げたり下げたりしたり、世の中に流れるお金の量をコントロールすることで、景気の変動を調整、物価の安定を実現しようとするものです。 日銀の黒田東彦前総裁は「異次元の金融緩和」、いわゆる「黒田バズーカ」というものを行い、日銀が10年ものの長期の国債を金融機関から大量に買うことによってその金利を0%に抑えること、また、金融機関が日銀に預けているお金の一部に手数料をつける、いわゆる「マイナス金利」政策を行ってきました。 黒田前総裁は昨年4月、10年の任期を終えて退任し、黒田氏の後任として、日銀総裁に植田和男氏が就任しました。植田総裁の下、今、日銀は「異次元緩和」を見直し、「金利ある世界」に戻ることを模索していると言われています。 ◆「異次元緩和」の代償 では、そもそも、黒田前総裁による黒田バズーカは、正しかったと言えるのでしょうか。そして、「金利ある世界」に向けては何が必要となるのでしょうか。こうしたことについて、今回は以下の3点から考えて参ります。 (1)成長路線に戻ることに失敗 一つは、黒田総裁は景気回復のために、金融緩和に奮闘したものの、金融緩和一辺倒だけでは、日本経済が成長路線に戻らなかったということです。 金利が低ければ、お金が借りやすくなりますので、個人が新築の家を建てたり、企業が設備投資を行うという動きが活発になり、景気は回復に向かうはずです。しかし、黒田前総裁の任期中、消費税が8%、10%と二度上がったことが災いし、異次元緩和も虚しく、経済はほとんどゼロ成長となりました。 異次元緩和で、日銀は金融機関が持っている国債を買い続けた結果、日銀の国債保有比率は、黒田総裁就任前の2012年には10%程度だったのが、2023年9月末時点で53.86%となり、国債発行額1066兆円のうち、実に日銀保有分は574兆円となりました。その分、金融機関などにこうした多額のお金が入っていくわけです。しかし、アベノミクスの下で2度の消費増税が行われて実体経済が傷つけられたことで、お金が世の中に回っていかない、という状況となったのです。これを人間の体で例えると、血液が大量に注入されているけれども、それがまさに循環しない状況と言えるでしょう。日本経済は、消費税という血栓ができて、心筋梗塞や脳梗塞が起きる寸前だと言えるかもしれません。 (2)資本主義の精神を傷つけている 二つ目は、「資本主義の精神を傷つけている」という点です。 経済学の父、アダム・スミスは、生前、「各人が節制、勤勉に励めば、国家全体としても自ずから豊かになる」と述べています。つまり、人が勤勉に働き、節制して富を蓄積し、その富を自分自身が事業を行うか、あるいは企業家にお金を貸して、工場を建てたり、人を雇ったりして、何かを付加価値のあるものを生産する。そして、得られた富で、さらに付加価値あるものを作っていくという好循環ができるわけです。これはまさに、「資本主義の精神が国家を繁栄させる」ということです。 かつては、銀行に定期預金を預けておけば、6%程度の利子がつき、貯金をある程度蓄えておけば、年金がないとしても利子収入だけで老後は安泰と言われてきました。 ゼロ金利の時代の今、お金を貯めても利子がほとんどつかず、資本主義の精神が働きにくくなっていると言えるでしょう。 特に、「マイナス金利」というのは、資本主義に逆行するものであり、もってのほかです。現在、日本以外でマイナス金利を採用している国は見当たりません。マイナス金利政策については早急に解除すべきです。 一般的に、金融政策は短期的には経済を刺激して効果があると言われていますが、長期に見ると、疑わしい面があります。 経済学者の小林慶一郎教授は、「ゼロ金利環境では低収益の事業でも採算性があると見なされるので、現状維持の消極的な経営が蔓延」することから、イノベーションが停滞し、日本経済が今停滞しているとの可能性に言及しています(*1)。ある意味で、経済を成長させようとしているゼロ金利が、かえってゼロ成長を生んでいるとも言えるでしょう。 また、「政府がいくらバラマキを続けて国債を発行したとしても、日銀が買ってくれるから安心だ」という構造、日銀の姿勢が、政府のばら撒き体質を支えてきたと言えます。ただ、この膨らんだ財政赤字が国民の将来不安の要素となって、これも、低成長を呼び寄せていると言えます(*2)。 こうしたことを踏まえ、長期にわたって異次元の金融緩和を続ける日本は今、抜本的な見直しが必要になってきているのではないでしょうか。 (3)日銀が「あの世行き」になる可能性 3つ目は、まさかの日銀倒産リスクです。 日銀がまさか倒産するなんてあり得ないと思う方もおられるかもしれませんが、もし、政府の財政が今後も悪化し続け、日本の国債は危ないと、人々が思うようになれば、皆、国債を手放すようになり、国債は大暴落して、紙切れになるかもしれません。そうなると、どうなるでしょうか。 幸福実現党の大川隆法党総裁は『秘密の法』の中で、次のように述べています。 「借金が一千百兆円も一千二百兆円もある国が出している国債を、日銀が直接買っているということですから、もしこの国債が“紙切れ”になるものだったなら、日銀まで一緒に“あの世行き”ということになります。その可能性も、今、近づいてはいるのです。」 日銀が買ってきた国債は、日銀のバランスシートから見たら「資産」となります。国債が紙切れになったら、資産は大きく目減りし、債務超過に陥り、場合によっては、「破綻する」危険性も否定できない、ということです。 ◆「金利ある世界」に向けて必要な「覚悟」とは 大規模緩和にはさまざまな副作用があり、日銀は今、いよいよ方針転換に迫られているわけですが、植田総裁の下で「金利ある世界」を実現するためには、何が必要となるでしょうか。 政府の財政状況を見ると、歳出額114兆円(*3)のうち、およそ25兆円が、過去の借金の返済と利息分による「国債費」となっています。 現在、政府は国債を含め、約1200兆円の債務を抱えていると言われています。細かな計算は省き、単純計算をするとすれば、今、0%の国債金利が1%になると利子支払いだけで毎年12兆円、2%だと毎年24兆円に向かうことになります。つまり、2%になるだけで、今の国債費分の利払費が発生することになり、元本を返すのが難しい状況となってしまいます。 今後も、政府がバラマキを続け、借金を増やし続ければ、国債を返す費用は増加の一途を辿ることになるのです。 金利が上がることは、日銀自体の経営にも影響を及ぼします。植田総裁は2月22日、衆院予算委員会で「金利全般が1%上昇したという場合に、保有国債の評価損は約40兆円程度発生する」としています。国債が「紙切れ」にならずとも、「金利ある世界」になれば、その反面で、国債の価格が下がるということにつながるわけで、日銀にとっても極めて苦しい経営状態となるのです。 従って、「金利ある世界」に戻るために必要なのは、政府の「バラマキ体質」から脱却することに他なりません。今、異次元緩和からの「出口戦略」の議論だけが先行しており、ある意味でその前提条件とも言える政府の健全財政については、議論が十分に進んでいないように思われます。 金利ある世界、資本主義の精神のもとで確かな経済成長を果たしていくために、政府は、財政の「体質改善」をするという覚悟を持っていただきたいと思います。 (*1)小林慶一郎『日本の経済政策』(2024年)より (*2)HRPニュースファイル「バラマキのオンパレードで到来するマズイ未来とは?」(2024年2月20日)参照 < http://hrp-newsfile.jp/2024/4475/ (*3) 2023年度予算。財務省HP (https://www.mof.go.jp/zaisei/financial-structure/index.html)参照 バラマキのオンパレードで到来するマズイ未来とは? 2024.02.20 https://youtu.be/Hs7wA_DRHa0 幸福実現党政調会・西邑拓真 ◆日本政府の財政は加速度的に悪化している 今月9日、財務省は、国債などの政府の借金が2023年末時点で、1286兆4520億円になったと発表しました。 現在、2024年度予算案の国会審議が行われていますが、昨年末に閣議決定された当初予算案では、2年連続で110兆円超えとなる112兆717億円となっています。 歳出と税収の時系列の動きを表したものを「ワニの口」と表現されますが、歳出は上がり続ける一方、ゼロ成長が続いたことで、税収はほとんど増えなかったことから。ワニの口が開き続けています。 歳出を税収で賄えない部分は国債で穴埋めされますが、財政健全化の見通しがつかない中で、政府の借金は構造的に膨らむ一方となっています。 岸田文雄首相は昨年、「次元の異なる少子化対策」として、児童手当の拡充など、今後3年間で子ども・子育て関連予算を年3兆5000億円積み増し、将来的には倍増することを掲げました。 その財源として、現在、医療保険の枠組みを使い、社会保険料を増加することで賄う方向となっていますが、当初は財源を明確にしないまま、お金を使うことだけを先に決めてしまいました(※1)。 安倍晋三政権をはじめとする歴代政権が、一時的な歳出は行うにしても、恒久的な歳出の拡大は行ってこなかったのとは対照的に、岸田政権では財源の見通しを立てないままに恒久的な歳出の拡大を決定した点で、政府の財政のスタンスが「変質」したとする向きもあります(※2)。 つまり、日本政府の財政は、現政権下で不健全化が加速している状況です。 岸田政権ではこれまで、少子化対策や原油高対策の補助金策などを行ってきましたが、では、こうしたバラマキはどのような帰結を招くのでしょうか。今回は以下の3点に焦点を当てて、議論を進めてまいります。 ◆バラマキがもたらすもの(1)大増税 一つは、言わずもがな「増税」であり、もう少し正確に言えば、「国民負担率」が増加するということです。 政府の歳出が拡大し続ければ、増税圧力が必然的に増すことになりますが、増税という形でなくても、岸田政権における少子化対策の財源のように、社会保険料が高くなるという場合もあります。 いずれにせよ、国民負担率は上昇し、国民に負担が重くのしかかることになります。 現在、おおむね50%の国民負担率も、現在の財政スタンスが維持されれば、将来的な国民負担率は60%、70%へと増大することは避けられないでしょう(※3)。 ◆バラマキがもたらすもの(2)世代間格差の拡大 バラマキがもたらす弊害として、二つ目に挙げられるのが、世代間格差の拡大です。 政府がこのままバラマキを続け、その原資を増税や社会保険料負担ではなく、国債発行に頼るとすれば、どうなるでしょうか。 この時、国債を60年かけて返済するといういわゆる国債の「60年償還ルール」の下で、政府によりこしらえられた借金のツケは、若者や将来世代に回されることになります。 高齢者に手厚い今の社会保障制度の下で、負担の将来への先送りを続ければ、高齢者と若者、あるいは現在世代と将来世代との間における世代間格差が拡大することになります。 島澤諭氏の推計によれば、今の社会保障制度を維持するという前提で考えた時、生涯にわたる社会保障給付やその他の歳出により生じる負担から受益分を差し引いた「生涯純負担額」について、0歳児は一人当たり3,737万円の純負担となり、負担よりも受益の方が大きい90歳に比べて、およそ9,000万円の格差が生じるとしています(※4)。 生まれた途端におよそ4000万円の負担を背負うと同時に、こうした世代間格差に直面することになるわけですから、これはまさに「財政的幼児虐待(※5)」と言えるでしょう。 バラマキで借金を積み増せば、これから人生を歩む世代の負担は、さらに高まっていくことになります。 経済学の格言で「フリーランチはない」というものがありますが、これは、すなわち、「何も失わずに何かを得ることはない」ということを表しています。 これは政府によるバラマキも同じです。例えば、一人当たり10,000円の現金給付を行う場合、国民からお金を徴収し、それを配るというコストを考えれば、10,000円以上のお金が必要となりますが、こうしたお金は、増税、社会保険料で現在の世代か、あるいは国債発行で将来の世代かが、必ずツケを払わなければならないのです。 ◆バラマキがもたらすもの(3)インフレ 3つ目は、物価高騰、すなわちインフレです。 13日、米国の1月の消費者物価指数の上昇率が、前年同月比で3.1%になったことが発表されました。米国の物価はやや落ち着きを見せてはいるものの、まだ高インフレから脱却したとは言えない状況が続いています。米FRBは早期の利下げには慎重な姿勢を見せており、円安・ドル高の基調はしばらく続く可能性が高いと言えます。 さて、これまで、日本や米国をはじめとする先進各国が高インフレに苛まれたのは、コロナ禍による供給網の遮断や石油価格の高水準が続いたことなど供給側の要因だけではなく、コロナ禍における財政出動が過大だったという、需要側のいわば「財政インフレ」の面もあるのは確かです。 このことは、コロナ対策としての財政出動が限定的だった新興国は、資源高が収まると、先進国よりも早くインフレが低下する方向に向かっていったことからも言えるでしょう。 河野龍太郎氏は、1980年代の米国における高インフレを抑えたのは、「小さな政府」路線を掲げ、社会保障など歳出を抑制したレーガン大統領の財政スタンスにあったと指摘しています(※6)。 日本はもとより、先進各国が「しつこく高いインフレ」から抜けるには、今こそ「小さな政府」路線へと舵を切り、歳出のあり方を見直す必要があるのではないでしょうか。 ◆必要なのは「返済計画」と、財政を健全にするという政府のコミットメント 財政出動は一般的に、景気を刺激するとされていますが、歳出が拡大し、債務が積み上がると、人々は増税や財政破綻への不安を覚えるようになり、政府の意図とは裏腹に、家計や企業は消費や設備投資を控えるようになってしまいます。結局のところ、バラマキで経済がよくなることはないのです。 腰の入った景気回復に向けて、今、日本政府が行うべきは、国民の「将来不安」を払拭することにほかなりません。将来不安の一要因となっているのがまさに、日本の財政です。 大川隆法党総裁は、『減量の経済学』の中で、今必要なのは、「政府の借金を返す計画である」とする旨を言及しています。 やはり、こうした返済計画を立てると同時に、その計画を政府が着実に履行するというコミットメントを与えることが必要です。政府はバラマキはやめ、抜本的な歳出削減を実践することも行っていくべきです。 (※1)今月16日、少子化対策の財源として、医療保険料とあわせて徴収する「子ども・子育て支援金」を活用することなどを盛り込んだ、少子化対策関連法案が閣議決定されている。 (※2)河野龍太郎『グローバルインフレーションの深層』(2023年, 慶應義塾大学出版会)より (※3)将来的な国民負担率の増大に影響を及ぼす最大の要因は社会保障費と考えるが、紙幅の関係により、今回は議論を割愛した。 (※4) 島澤諭『教養としての財政問題』(2023年, ウェッジ)より (※5)「財政的幼児虐待」という用語は、米国の経済学者ローレンス・コトリコフ教授が唱えたもの。 (※6)河野龍太郎『グローバルインフレーションの深層』(2023年, 慶應義塾大学出版会)より 【COP28】「脱炭素」は姿を変えた共産主義 2024.01.13 https://youtu.be/2pgch65UnaI 幸福実現党党首 釈量子 ◆中東の産油国で開催されたCOP28 2023年11月30日から12月12日にかけて、UAE=アラブ首長国連邦のドバイ、エキスポシティで、気候変動対策を話し合うCOP28が開催されました。 しかし、10月7日のハマス攻撃、2022年からのウクライナ戦争と、世界中が温暖化防止よりエネルギー安全保障や経済を優先せざるを得なくなり、温暖化防止への熱意は失速してきています。 昨年ウクライナ戦争で石油価格が高騰したので、バイデン大統領はOPECに石油の増産を求めました。 ところが普段は「温暖化防止だ、石油を使うな」と言っておきながら、増産を頼み込むバイデン大統領への反発は大きく、ほとんど増産に応じませんでした。 逆に中国の仲介で、昨年3月にサウジとイランが外交を正常化するなど、存在感を見せてきました。 ◆「CO2温暖化説」はfake science 今回のCOP28の議長は、UAEスルタン・アル・ジャベル産業先端技術大臣ですが、11月21日のオンラインイベントで化石燃料の段階的廃止の必要性を問われ、「科学的根拠はない」などと発言をし、批判の声が上がりました。 「人為的CO2温暖化説」は「fake scienceだ」とする科学者は世界中いて、アメリカ人の過半数の人は、脱炭素などまったくの無駄だと考えています。 ◆グローバルストックテイク 今回の合意内容をみると、「パリ協定」の枠組みの下、「グローバルストックテイク」について初めての決定が採択され、特徴は二つあります。簡単に言うと、「トップダウン」と「ボトムアップ」です。 (1)トップダウン型 トップダウン型の「世界共通目標」として、「産業革命以降の気温上昇を2度以内に抑え、できれば1.5度努力する」などの枠組みを決めました。 (2)ボトムアップ型 その共通目標のもと、各国が、国情に合わせて「自主目標」を設定します。 日本は「2030年までに、13年度比45%削減、さらに長期的には2050年にカーボンニュートラルを達成する」という目標を立てています。 この「自主目標」を実効あらしめるため、進捗を定期的に評価する仕組みを「グローバル・ストックテイク」です。「ストックテイク」とは「棚卸」の意味です。 ただ、自主目標なので、各国の目標を積み上げると2030年には2010年比で14%増えてしまいます。 さらにCOP26のグラスゴーで「1.5度目標、2050年カーボンニュートラル」を強調したために、2030年までに2010年比で45%の削減、すごい勢いで減らさなくてはなりません。 コロナで経済活動が停滞した2020年で、わずか5.8%減なので、中国のように2030年をピークに、その後から減らします。またインドのように2030年以降も排出を増やす国もあるので、形骸化は確実です。 ◆合意内容 ではCOP28の合意内容を見てみます。 ・およそ10年間で化石燃料からの移行を加速 ・2030年までに世界の再エネ設備容量を3倍に ・途上国を支援する基金への先進国の一層の貢献を呼びかけ(ロス&ダメージ基金) 最大の争点は「化石燃料」の扱いです。これまで言及されてこなかった石炭や石油、ガスなどすべての「化石燃料からの脱却」を、産油国開催のCOPで打ち出せるかが焦点になっていました。 ところがやはり、各国の合意を取り付けることができませんでした。 当初は「化石燃料を削減する」という言葉でしたが、化石燃料の消費と生産の両方を削減する。最終的には、化石燃料からの移行を進め、この重要な10年間の行動を加速するという文言になりました。 また、「排出削減対策を講じない石炭火力」についても、当初案では、「段階的廃止(フェーズアウト)」という主張があったのですが、サウジアラビアや、ロシア、中国などの反対で「段階的削減に向けた取り組みを加速」という表現に「後退」しました。 「加速」について定義があるわけではないので「抜け道だらけ」と言えばその通りです。 ◆「化石燃料の脱却」は極めて非現実的 では、化石燃料から「脱却する」ことはできるのかというと、無理です。 現状、世界の一次エネルギー(加工されていないエネルギー)のうち、8割は化石燃料に依存しています。 温室効果ガス・世界最大の排出国である中国を筆頭に、多くの国がエネルギーの8割以上を化石燃料に依存しています。現代文明に必要な鉄鋼やプラスチック、農業で必要な肥料もCO2排出が前提です。 アメリカも「化石燃料を削減すべき」としていた欧州に同調していますが、「削減する」どころか、今、欧州向けの石油を増加させています。 米国エネルギー情報局(EIA)によると、ウクライナ紛争でロシア制裁の一環でロシア産石炭を輸入禁止措置が取られるようになってから、2022年8月~23年7月までの一年間、アメリカ産石炭の欧州への輸出が前年比22%増の3310万トンに拡大しています。 また、米国を含めた北米(米国、メキシコ、カナダ)で、LNG(液化天然ガス)の輸出基地建設が急拡大しています。2027年までにLNGの輸出能力は現状からほぼ倍増の見込みです。 二枚舌のアメリカのリーダーの姿を見れば、他国が真面目に取り組むわけもありません。 ◆中国を利するだけの再エネ目標 COP28の合意内容の2点目」は、「世界全体で再エネ設備容量を2030年までに3倍」という目標が掲げられました。 再エネの太陽光や風力発電の設備には、重要鉱物が必要ですが、これは、世界のシェアを占める中国への依存を強めることになります。 参考;山本隆三「COPで表明、再エネ3倍増 阻む重要鉱物の中国依存」 https://wedge.ismedia.jp/articles/-/32285 ◆途上国支援で環境マネーは国際規模に 3点目に、「ロス&ダメージに対応するための基金」を含む、途上国支援のための先進国の支援の大枠が決まったことです。 ロス(損失)というのは、気候関連災害で失われたもの、ダメージを受けた被害を指します。 基金は世界銀行のもとに設置し、立ち上げ経費は先進国が出すことなどが決まり、日本を含む各国から「いくら出します」という誓約(プレッジ)が行われました。 岸田文雄首相も、立ち上げ経費として1000万ドル(約15億円)の拠出を表明しています。これまでのところ、世界で合わせて7億9200万ドルが拠出されています。 「支援を受けるのは気候変動の影響が大きい脆弱な途上国」に絞り、「先進国を中心に、義務でなく、自主的な資金拠出を求める」などで合意しましたが、ウクライナ戦争でも「支援疲れ」が起き、自国の防衛に回す必要も高まっています。 となると、途上国は「支援がなくなれば削減しません」ということになるのは必定だと思います。 化石燃料を使って豊かになった先進国が、途上国の経済発展に必要な化石燃料の利用に反対して太陽と風力だけというのは、価値観の押し付けだ、エコ植民地主義だという反発も当然でしょう。 本質的には、先進国からお金を吸い上げようとする「共産主義」の発想で、今回支援のための金額は過去最大に増加しました。 しかし、これらの資金公約は、計画を実施し、途上国を支援するためにははるかに及びません。途上国を交えてこの目標を達成するには、金額ベースで、年間1000億ドルという資金が必要で、現実的ではありません。 ◆「脱・脱炭素」が必要 今回のCOP28で掲げられた目標は、実現すれば西側先進国の没落の引き金ともなるものばかりです。 岸田首相は「すでにおよそ20%を削減し、着実に進んでいる」と世界にアピールしましたが、その陰で、莫大な負担に苦しむ国民がいます。 民主党政権時代から始まった「再エネ全量買い取り制度」で太陽光発電を大量導入した結果、再エネ賦課金として、いま国民は毎年2.7兆円を電気料金に上乗せされています。 また日本政府は「グリーン・トランスフォーメーション(GX)」と称して、官民合わせて今後10年間で150兆円を超える脱炭素投資を行うとしています。そのうち、20兆円規模は政府がGX移行債を発行して調達します。 その償還には「カーボン・プライシング」、つまり企業などの排出するCO2に価格をつけ、それによって排出者の行動を変化させるために導入する政策手法を導入すると見られます。 日本は大きな目標を掲げ、国際舞台で資金を拠出しているうちに、国内は倒産、失業の山になるでしぃう。 日本の全産業を停止させて化石燃料を全く使わなかったとしても、世界の排出量の5%しか現象せず、それで下がる気温は0.00002~0.00004度と言われます。 来年のアメリカ大統領選でトランプ大統領が復活すれば、「パリ協定」どころか「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)」からの脱退の可能性もあると言われています。 日本も世界統一政府のような全体主義的な動きから距離を置き、無駄な脱炭素方針を根本的に見直しすべきです。 最適なエネルギー政策が必要ですし、また、それを支えるため、いまは無き「長銀」のような、強靭な金融を復活させなければなりません。 ◆原子力の設備容量を2050年までに3倍に 一つだけ良かったのは、COP28の合意文章で初めて、原子力への言及があったことです。 「世界全体で原子力の設備容量を2050年までに3倍にする」という宣言には、アメリカや日本をはじめ22か国が署名しました。 脱炭素に向けた電源の大量確保という文脈で出てきた文面とは言え、日本にとっても国益に適うものです。 経済同友会が、「縮・原発」から「活・原子力」に転換するという提言を出しましたが、政治の責任として、再稼働・新増設に向けて迅速に舵を切るべきです。 世界の海運・石油大手も紅海ルートを避け、喜望峰を迂回する航路へ切り替えています。石油の95%を中東に依存する日本は安穏としていられません。 最後に、幸福実現党の大川隆法総裁は、2009年の立党時に、次のように述べておられました。 「CO2の増加によって、地球が温暖化し、破滅的な最後になる」という考え方は、一種の終末論」と喝破され「そうなることはありえません。必ず地球の自動調整装置が働きます。CO2の増加と温暖化とは特別な因果関係はないのです。(『幸福維新』/第一部 夢のある国へ2009年7月3日「ミラクルの起こし方」) そして、「姿を変えたマルキシズムに気をつけなければいけない」と警鐘を鳴らされました。 いま、私たちの住む地球のシステム自体が人間の想像を超え、はるかに安定的であることも分かってきていますが、人間の浅知恵では計り知れない地球を創造された神の叡智に、思いを馳せる必要もあると思います。 アメリカに違法な中国バイオラボ。感染媒介にマウス使用?エイズ、エボラ…バイオセキュリティに深刻リスク 2023.12.01 https://youtu.be/_bkoIQormuI 幸福実現党党首 釈量子 ◆アメリカで発見された中国「違法バイオラボ」 11月15日、アメリカ下院の「中国共産党に関する特別委員会」が、「リードリー・バイオラボへの調査について」というレポートを発表し、アメリカを中心に大きな話題になっています。 リードリーというのはアメリカ・カリフォルニア州フレズノ郡にあり、2万6000人が住む、農業が盛んな田舎の町です 今回、そんな田舎町にあった「空の倉庫」だと思われていた建物が、実は中国共産党とつながりがある、危険な「バイオラボ」で、ここから多数の病原体が発見されました。 これは米国のバイオセキュリティにおける深刻なリスクであり、下院議会の注目に値する案件であると報告されたのです。 ◆中国「違法バイオラボ」の実態 中国のバイオラボのすぐ近くには、住宅地や高校、鉄道路線や市役所などがあります。 「違法バイオラボ」の発見は、2022年12月、フレズノ郡の公衆衛生局職員ジェサリン・ハーパー(Jesalyn Harper)氏が、その建物の壁に「ドリルで開けた穴」から「ガーデン用のホース」が伸びているのを見つけたことがきっかけでした。 それは明らかに地元の建築基準法に違反しており、ハーパー氏はその建物の立ち入り調査を行いました。 中は実験器具や装置がひしめき、白衣を着用し、マスク、ラテックス手袋を着用した中国人がおり、悪臭を放つケージのなかには、1000匹の実験用マウスがいたというわけです。 今年2023年3月以降、地元当局と連邦政府などが立ち入り調査をした結果、そこから大変な実態が明らかになり、下院議会で報告がなされたのです。 違法なラボからは、たくさんのアンプルが見つかり、エイズHIV、マラリア、結核、Covidコロナウイルスなど、判明したものだけで、少なくとも20種類の感染源となる病原体が発見されました。 中には、驚くべきことに「エボラ」とラベルの貼られた冷凍庫もありました。 エボラ・ウイルスに感染することで引き起こされる「エボラ出血熱」は、致死率25~90%にものぼります。 ヒトからヒトへの感染があり、かつ治療法が確立されていないため、エボラ・ウイルスは、細菌やウイルスなどを扱う実験施設の分類である「バイオセイフティレベル4(BSL-4)」に分類されています。 このリードリーのラボはもちろんレベル4でないどころか、実験施設としてのライセンスもありません。 この違法ラボで発見された1000匹の実験用マウスは、ヒトの免疫システムを模倣するように遺伝子操作された「トランスジェニック・マウス」でした。 ラボで働いていた中国人の研究員が語ったことによると、このマウスは「新型コロナウイルスに感染させ、媒介するように設計」されていたことがわかりました。 ということは、ネズミを使ったバイオテロが可能だということでしょうか?大変なことです。 ◆ラボ運営者と中国共産党とのつながり 調査により、この違法ラボは祝加貝(Zhu Jia Bei)という中国人によって運営されていたことが明らかになりました。 祝加貝氏は、アメリカの知的財産を盗んだとして、3億3000万カナダドル(約360億円)の罰金判決を受け、カナダ当局から指名手配を受けていました。 さらに祝加貝氏は、河南省新郷県のバイオ技術関連企業(Pioneer Aide China)など、中国国営企業の幹部で、「軍民融合」の企業とつながりがあったことが判明しています。 軍民融合とは、人民解放軍のもと、民間技術をいつでも軍事転用できるようにしている企業のことです。 そして、中国の銀行から数年の間に、少なく見積もって百数十万ドル、億単位の、説明のつかない支払いを受けていました。 中国共産党と密接な関係のある人物が、アメリカの片田舎にあるバイオラボで秘密の実験をしていたわけです。 ◆アメリカで「コロナ武漢流出説」の声 ここで誰もが念頭に浮かぶのは、中国の武漢にあるウイルス研究所です。 2019年12月に武漢で原因不明の感染症が拡大する中、その震源地となったのではないかと指摘され続けてきましたが、中国は隠蔽を続けてきました。 ウイルスは自然発生ではなく、人為的な改変の痕跡があることは多数の専門家が指摘しているところです。 今年2月には、アメリカのエネルギー省も「武漢流出の可能性が高い」というレポートをまとめています。 また同月、アメリカ連邦捜査局FBIのクリストファー・レイ長官も「武漢ウイルス研究所の事故である可能性が最も高い」と発言したりしています。 3月には、アメリカ下院の「コロナウイルスのパンデミックに関する特別小委員会」が開かれ、「武漢流出説」とともに、生物兵器としての利用につながらないような監視体制の必要性が話し合われています。 残念ながら、日本では政治もメディアも「中国の責任追及」には完全に及び腰です。 ◆パンデミック条約 いま、いわゆる「パンデミック条約」と呼ばれる、国際的にパンデミックの予防と備えをしていこうという趣旨の、WHOの新たな法的文書の作成が進んでいます。 これについて「各国の主権を侵害する」「ワクチンが強制になる」などという説も飛び交っているのですが、現時点の草案には、加盟国の主権を奪うような記述はなく、ワクチンや治療薬、検査薬などを途上国にも供給することが主目的とされてはいます。 「国際機関で定められた規制」という「大義名分」を掲げれば、より「感染症対策」が強化される懸念は確かにあります。 その意味で、一定の問題を含んだ内容ではありますが、国際機関が各国にルールを強制したり制裁を加えたりすることはできません。 憲法は条約に優先するので、結局は「日本は国としてはどうするのか」という主権の問題です。 日本では「感染症対策」の名目で、マスクやワクチン接種が事実上の強制となり、メディアも国民も空気に支配されました。 政治が、自由を侵害する「全体主義」に向かうなら、「緊急事態条項」規定などの動きには、警鐘を鳴らしていくべきであると考えます。 そして、決しては忘れてはならないのは、コロナ問題を引き起こした中国の責任追及です。 バイデン政権はじめ、中国との癒着が問題視されている政治家や政党、メディアによって、中国の責任追及をうやむやにしようとする圧力は常にあり「ごまかし」「すりかえ」が見られます。 中国がウイルスの起源はアメリカに焦点を当てるべきであると主張してきたことも忘れてはなりません。 幸福実現党の大川隆法総裁は、次のように指摘しています。 『宥和政策の一つで、「自然に発生したかもしれないし」というようなことで見逃していたら、次のものを使ってくることもありえるということは知っておいたほうがいいのではないかと思います。』(『メシアの法』) 全世界7億人が感染し、700万人が亡くなっているのです。このような巨悪を二度と起こさせないためにも、決して、ごまかしたりウヤムヤにしたり、論点をすり替えたりすることなく、中国の責任追及をやっていかなくてはなりません。 日本のニュースが報じないハマス・イスラエル戦争。終わらない宗教戦争3000年の歴史をひもとく。 2023.11.04 https://youtu.be/tA7HHy6G9HM 幸福実現党党首 釈量子 世界40億人を巻き込む宗教文明の衝突へ ◆ハマスとイスラエルの激しい戦闘 10月7日、パレスチナ暫定自治区のガザ地区を実効支配・統治するイスラム組織ハマスが、イスラエルに大規模な奇襲攻撃を行いました。 市民を虐殺し、拉致して人間の盾にするハマスに対してネタニヤフ首相は8日、宣戦布告を行い、激しい戦闘が続いています。 双方ともに死者が増え、悲惨極まりない状況は耐え難いものがあります。(※11月3日現在、ガザ、イスラエルの死者は計1万人超に) 巻き添えになった子供もたくさんおり、亡くなられたすべての方の冥福と、一日も早い平和の回復を毎日、強く祈っております。 ◆三千年に及ぶ宗教対立 すでに世界各地でイスラム系(親イラン勢力)とユダヤ系の衝突も起き、各国の情報機関はこうした衝突やテロの勃発を警告しています。 また欧米の報道でも「ハルマゲドン」という言葉も出始めました。 この戦争がもし核戦争にでも繋がっていけば、旧約聖書に予言されている、あるいは新約聖書「ヨハネ黙示録」にある世界最終戦争「メギドの丘」を意味するところで、「ハルマゲドン」になりかねなという危惧も起きています。 日本では遠いイスラエル・パレスチナの対立を「領土問題」とした報道も多いのですが、問題の中核にあるのは、三千年に及ぶ宗教対立です。 象徴的なのは、ハマスの軍事部門ムハンマド・デイフ司令官が、今回の作戦を「アル・アクサの大洪水」と名付けています。 今回のハマス攻撃の前、2021年5月にイスラエルはエルサレムに建つイスラム礼拝所のアル・アクサ・モスクを襲撃し、参拝者をモスクから引きずり出すなど暴行しました。 この襲撃がハマスとの戦闘に発展し、ガザで248人、イスラエル13人の死亡者を出しています。今回ハマスが「アル・アクサの大洪水」と称したのには、報復の意が込められています。 このモスクがある丘はイスラエル側にとっても聖なる場所で、ユダヤ教徒の神殿を建てる話も出ていました。これを阻止する意思表示もこの作戦名には込められているということです。 ともに神殿を冒涜され、あるいは信仰の中心がけがされる心の傷は、親の仇どころの話ではありません。 軍事的に見れば、イスラエル軍の正規軍は16万人、予備兵併せて36万人。対するハマスは、その10分の1、あるいは2万人ともいわれています。「天井のない監獄」と言われるガザで、ハマスが勝つ見込みはありません。 しかし、これが核戦争の方向に拡大していくようなことになれば、特にイスラム教徒16億人、ユダヤ教750万人とキリスト教22億人、世界人口40億人を巻き込む「文明の衝突」に発展することであり、抜き差しならない段階に入ってしまいます。 ◆パレスチナの地が重要な理由 「なぜこの地域だけ平和が訪れないのか」という根本的な疑問ですが、ユダヤ教にとってパレスチナの地が「重要」とされる理由は、「神」の約束に基づくからです。 『旧約聖書』に書かれた「創世記」の「ノアの洪水」後、重要人物アブラハムは、最初に神に選ばれた信仰が篤い預言者です。このアブラハムの孫ヤコブを始祖とする部族がイスラエルです。 遊牧民のイスラエル人は飢饉が起こり、エジプトに移住して豊かに暮らしていたのですが、エジプトのファラオに妬まれ、奴隷として使役されるようになります。 そこで「モーセ」が奴隷状態にあったイスラエルの人々を率いて「出エジプト」を果たします。紅海を割り、神から「十戒」を授かったシーンは映画でも知られています。 モーセは神から、「約束の地として、乳と蜜の流れるカナンの地があるから、そこへ行け」と言われます。今のガザ地区付近のことです。 しかし、神がくださると約束された地には、先住民が住んでいたのです。 人が住んでいる所を、「あげる」と神が約束したものだから、戦争になりました。なぜ神がそんな約束をしたのか。これは重要なポイントです。 モーセの死後、二代目のヨシュアに率いられたイスラエル人が、カナンを制圧したのは、前11世紀ごろのことです。 建国されたイスラエルの王国は、ダビデ王やその息子のソロモン王の頃は隆盛を極めたのですが、ソロモン王の死後、王国は南北に分裂しました。 やがて北部はアッシリアに滅ぼされ、南部の人々はバビロニアの捕虜になります(バビロン捕囚)。 バビロニアの滅亡のあと、彼らはイスラエルに戻ってきました。 ◆イエスの時代 そして、『新約聖書』の時代に入ります。 イスラエルのナザレにイエス・キリストが生まれ、約3年間、愛の教えを説きました。しかし、伝統的なユダヤの教えに反していると、イエスは罪人としてゴルゴダの丘で処刑されました。 その後、イエスは復活し、世界中に信仰が広がっていきました。 一方、ユダヤ人は、イエス処刑から40年後、国が滅び、「イエスを十字架にかけた」などの理由で迫害され、各地に散り散りとなり、国がない状態が1900年も続きました。 その中、7世紀には、サウジアラビアのあたりでムハンマドがイスラム教をおこし、パレスチナを含むアラビア半島に教えが広がっていました。 ◆ホロコーストによる建国、そしてパレスチナの衝突 第2次大戦時、ナチスドイツによる迫害で、ユダヤ人が大量虐殺(ホロコースト)され、600万人とも言われる人々が亡くなりました。 その同情もあって、米英仏などの後押しで、1948年に、現在のイスラエルが建国されました。 しかし、さっそく翌年から、戦争がはじまります。追い出されたパレスチナのイスラム教徒が反発し、中東戦争がはじまります。 領土問題もさることながら、目的のためなら手段を問わない武力革命や、貧しさの平等を肯定する思想も影響し、ユダヤ・キリスト教圏への攻撃を繰り返してきました。 国際的には、1967年の国連決議で、全パレスチナ地域の78%はイスラエル、残り22%がパレスチナの土地と決まりました。しかし、それを破ってイスラエルは入植を進めています。 東エルサレムを首都とする「パレスチナ国家」の樹立を受け入れたら和平合意するという宣言もなされているのですが自分の国を守れなくなるということで、イスラエルは同意しておりません。 欧米の支援もあって、「中東戦争」は第一次から第四次まで、すべてイスラエルが勝利しています。イスラエルは世界第四位の軍事大国であり、核保有国にもなっています。 パレスチナやアラブ側の本音としては「入植まではいいとしても、国があってもいいが、核までもっていることは、どういうことだ」というアンフェアさがぬぐえません。 このままでは、どちらかが潰れるまで争いが続きかねず、今回ハマスを支持しているイランとアメリカ・欧州が直接戦火を交えることになれば、まさに「最終戦争」が危惧されるわけです。 ◆ハマス・イスラエル戦争を解決するための鍵 では、この戦いを乗り越えるにはどうしたらいいのでしょうか。日本のマスコミは取り上げない本質的な問題です。 重要な点は、ユダヤ、キリスト教、イスラム教の「神」とは誰かということです。 『旧約聖書』をつぶさに見ていくと、「ヤハウェ」と呼ばれる神と、「エローヒム」(エル)と呼ばれる神が出てきます。 「ヤハウェ」は「我は妬みの神」として、えこひいきをする民族神です。一方、「エローヒム」は、ヤハウェ出現よりも前から、中東全域を覆う普遍の神です。 つまり、「ヤハウェ」と「エローヒム」は、別人格の神なのです。 例えば『旧約聖書』の記述にあるヤハウェの「主の御名を呪う者は死刑に処せられる。石で打ち殺す。(レビ記24─16)」「あなたの神、主が命じられたように必ず滅ぼし尽くさねばならない。(申命記1─2)」といった言葉があります。 また「詩篇」には、そうした祟り神を信じる人々の“呪いの言葉”がたくさんあります。「神よ どうか悪者を殺してください」「子孫は断ち切られ 次の世代には彼らの名が消し去られますように」など、敵を滅ぼす面があったことがわかります。 一方、「愛の神」であるエルの神の言葉は真逆で、「復讐してはならない。民の人々に恨みを抱いてはならない。自分自身を愛するように隣人を愛しなさい。」(レビ記19─18)とあります。 これは、『新約聖書』にあるイエス・キリストの教えにも繋がっていきます。「愛や許しの教え」を説き、「あなたの右の頬を打つ者には左の頬も向けなさい」「自分を迫害する者のために祈りなさい」と言っています。 また、先住民を追い出してでも、なぜカナンの地を与えたのかという論点がありますが、まさにこの定住地を持たない遊牧民の神、そうした民族神だったからというところに答えがあるわけです。 最新の聖書研究でも、このヤハウェという「民族神」と、エローヒム系の「普遍の神」との違いが指摘されています。 この神の違いを知り、普遍的な愛の神、エローヒムの教えを選び取ることが、中東地域に平和が訪れる道になるはずです。 ◆最終的な平和は、救世主の登場を待つしかない また、イスラム教徒の方によると、エローヒムに祈ることもあるといいます。アラーとは「神」の意味ですが、中東では、エルも「神」という意味です。 大川隆法総裁の霊的探究でも、慈悲あまねくエローヒムと同一であることを指摘されています。 ムハンマドの妻にはキリスト教徒もいました。その後の人間の認識の低さが、宗教の狭さにつながってきたところもあるわけです。 駐日パレスチナ大使のワリード・アリ・シアム氏は、かつて次のように話しています。 「モーセやイエス、ムハンマドなどの預言者を地上に送った創造主が、お互いに殺し合えと命じたはずがないではないか。」 また、元駐日イスラエル大使のエリ・エリヤフ・コーヘン氏も、次のように語っています。 「最終的な平和は、救世主の登場を待つしかないと考えています。ただ、必要なのは、人々がお互いに尊重し合い、平和を築く努力をすることです。そのとき、救世主を迎える用意ができたと言えるのではないでしょうか。」 非常に難しい道ではありますが、大川隆法党総裁は、『人間学の根本問題』という書籍において、次のように説かれています。 「最終的にはこのパレスチナの問題も“オリジナル・ワン”のエルの神の名の下にやはり和解し、調和し、共に暮らしていけるような話し合いをして平和を築くべき」と。 ◆地球が一つになるための普遍の原則とは またもう一つ、それぞれの国の国民が幸福となり、幸福であり続けるための必須のチェックポイントであり、地球が一つになるための普遍の原則が「自由・民主・信仰」です。 ハマス側が勝利し、信仰のもとパレスチナ国家が誕生したとしても、国民が幸福になるかどうかはわかりません。 イスラム教国家は武力弾圧に肯定的で、全体主義的な傾向が強く、人権を軽視している側面は否めません。自由・民主を、信仰とともに希求する方向で国を開いていけば、より豊かになる可能性も見えてまいります。 一方、現在のイスラエルも信仰はありますが、自由・民主という観点ではどうかというと、例えばイスラエル国防相がハマスに対して「動物のような人間(human animals)」「野獣(beasts)」と言い放っています。 ネタニヤフ政権は2018年に「ユダヤ人国家法」を可決させて「ユダヤ人のみに民族自決権がある」と定め、アラビア語を公用語から外したのも、「人種差別的」と非難されています。 また2023年、議会が最高裁判所の判断を覆すことなどを可能にする「司法制度改革」も、多くの市民から「民主主義を脅かす」という声が上がりました。民族主義、選民主義的な非寛容さがあり、民族や人種の違いを超えられていません。 ◆日本の取るべき道 停戦の見通しがつかない中、ユダヤ・キリスト教文明でもなければイスラム文明にも属さない日本は、本当は「仲裁の役割」を果たしうる国のはずです。 岸田文雄首相は、エジプトのシシ大統領などと電話会談を行い、邦人退避を依頼したことなどが報道されています。 また当初は、イスラエルのネタニヤフ首相、パレスチナ自治政府のアッバス議長に電話で停戦を呼びかける「調整をしている」とも報じられていました。 選挙対策ではなく、ほんとうに停戦を求めるなら、日本の政治家には宗教に対する深い理解と、敬意が必要ではないでしょうか。 選挙対策で宗教を弾圧するような傾向、命より大切な信仰を軽く見るようでは、日本も尊敬されることは無いのではないかと思います。 ともあれ、ウクライナ戦争に加え、イスラエルでの戦争が始まり、日本はサバイバルの時代です。 アメリカが中東に空母2隻を派遣し、ウクライナとの二正面が強いられる中、手薄になったアジアで北朝鮮や中国の動きが懸念されます。 私たち日本は、ウクライナ戦争を一日も早く終わらせ、中国からロシアを引き離し、そしてエネルギー、食糧、そして自分の国を自分で守る体制作りを、本気で取り組むことが必要です。 北朝鮮「核戦力の高度化」バイデン従属外交は亡国への道。日本は核保有の議論を。 2023.10.10 https://youtu.be/vHAw-srds0g 幸福実現党党首 釈量子 ◆金正恩氏「日米韓の軍事協力が最大の脅威」 北朝鮮は9月26日から27日、最高人民会議を開き、「核戦力を高度化する」という内容を含む憲法改正を行いました。 「責任ある核保有国として、戦争を抑止して地域と世界の平和と安定を守るため、核戦力を高度化する」ことで、核保有国としての地位を強化する狙いがあるわけです。 会議では、金正恩総書記が演説し、日米韓の軍事協力を「アジア版NATO」として非難し、これが「実質的な最大の脅威」と指摘しました。 今回の憲法改正は、ますますアメリカ・バイデン政権を中心とする西側への対抗を旗幟鮮明にしており、韓国ソウルの北朝鮮研究大学のヤン・ムジン教授は、次のような危機感を述べています。 もはや「交渉の余地なく、恒久的な核戦力を保有する」という北朝鮮の意思表明であり、「北東アジア地域における新たな冷戦と朝鮮半島における軍事的緊張は激化するだろう。」 ◆バイデン従属外交は亡国への道 トランプ政権時代は一時、北朝鮮がミサイルを全く飛ばさなかったこともあったぐらいで、非核化に向けて進んでいるかに見えました。 ところが2021年以降、バイデン氏が「民主主義」対「専制主義」を掲げ、北朝鮮との対立構図を鮮明にしはじめました。 今回の憲法改正に関する金正恩氏の演説でも「米国と西側の覇権戦略に反旗を翻した国々との連帯を一層強化する」と西側への対抗意識が強まっています。 さらに北朝鮮はロシアとの関係を強化しており、日本にとってアメリカに追随する外交は、みすみす対立の危機を招きかねません。 幸福実現党は、ロシアを敵視する外交は、中露北の結束、ひいては反米国家の結束を招くことを、かねてから訴えてきました。 逆に、日本がロシアと繋がることができれば、北朝鮮をコントロールし、中北を分断できるかもしれないという可能性を訴えてきました。 ◆自立した外交のうえで、日米韓の連携強化を 8月18日、日米韓3カ国の首脳は「キャンプデービッド」で会談を行い、協力して北朝鮮の核などの脅威に対し対抗していくことを表明しました。 しかし、現実を直視すると、北朝鮮はアメリカ全土を射程に収めた核ミサイルを使えるような段階に入り、報復を承知の上で、バイデン政権が日本を守ってくれる保証はありません。 それは、ウクライナに武器と資金だけ供給しているやり方をみれば、十分にありえることです。ですから、独立自尊の姿勢を持ったうえで、日米韓の協力を進めるということが原則です。 ◆韓国が10年ぶりの大規模軍事パレード 岸田首相は9月19日、国連で演説し、「核兵器のない世界」への取り組み強化を表明し、海外の研究機関・シンクタンクなどに30億円を拠出すると述べました。 「核兵器のない世界」とは、本来は隣の中国や北朝鮮に言うべきことです。 日本と同じ脅威を共有している韓国の尹錫悦大統領は、10年ぶりの大規模な軍事パレードを実施し、「もし北朝鮮が核を使ったら、韓米の圧倒的な対応によって、北朝鮮の体制は崩壊するだろう」と演説しました。 また、韓国の統一省傘下の統一研究院が、6月5日に韓国の世論調査を公表しています。 「北朝鮮が核を放棄しないなら、韓国も核兵器を保有すべきだ」との主張に、60.2%が賛成。2021年の調査では、71.3%で、減少していますが、それでも高い数字です。 一方、北朝鮮の脅威に対応するため、日本と軍事同盟を結ぶことに対しては、52.4%が賛成と回答し、反対の47.7%を上回る結果になりました。 ◆日本は核保有の議論を 原爆が落とされた記憶を持っているのは、日本だけですが、新たな国による原水爆投下がありえる時代に入りました。 北朝鮮や中国のような無神論の全体主義国家では、人を人とも思わない粛清や虐殺が日常的に行われています。 こうした国が放置されながら、「日本のみが何も戦力を持たないことが、世界の平和につながる」のでしょうか。 大川隆法総裁は、『正義と繁栄』の中で、次のように述べられています。 「核兵器を廃絶すべきなのは、今それを持っているところなのです。今、一つの国を滅ぼすことができる力を持っている国に対して、『核兵器廃絶』を言うのは結構です。ただ、核兵器廃絶ができないならば、いちおう、それに対抗できる手段を考えないと、『国民の安全』は護れません。」 『正義と繁栄』著: 大川隆法/幸福の科学出版 https://booklive.jp/product/index/title_id/380775/vol_no/001 日本が核で恫喝されたら、死滅するか、奴隷になるかどちらかしかありません。日本も核装備について、議論を始めることが大事だと考えます。 国民を守るために、事実を知り、現状を認識することから始めるべきではないでしょうか。 【国連総会】NATO諸国欠席でゼレンスキー大統領が悲壮な演説。 2023.10.04 https://youtu.be/mYUGtSMKeA8 幸福実現党党首 釈量子 ◆国連総会 9月19日(日本時間20日の午前3時)、ニューヨークで開催された国連総会に、ゼレンスキー大統領がウクライナ戦争後、初めて国連総会で演説しました。 カーキ色のシャツで登場したゼレンスキー氏は、悲壮な表情で「ロシアは世界を破滅に追い込んでいる。食料やエネルギーの兵器化を止めなければならない。全世界が団結しなければならない」と支援を呼びかけました。 これに対して、アメリカ・バイデン大統領は、ウクライナ戦争をロシアの「違法侵略戦争」だとして、次のように呼びかけています。 「この戦争に対する責任はロシアだけにある。平和を阻むのはロシアだけだ。」「我々は露骨な侵略に対抗し、さらなる未来の侵略者を抑止しなければいけない。」 今回の国連総会に、安保理常任理事国の首脳で出席したのはアメリカのバイデン大統領だけでした。 中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領も、イギリスのスナク首相、フランスのマクロン仏大統領も欠席したのです。 ◆激変する国際情勢 今年7月に北朝鮮が発射した火星18型は、アメリカ全土を射程に収めました。 北朝鮮が保有していないとされるものは「大気圏に再突入する技術」、そして、迎撃が難しい「多弾頭型」のミサイルの技術。さらには2度失敗した「偵察衛星」の技術です。 露朝会談で、ロシアはこうした北の欲しい技術をすべて提供できる可能性もあり、今後、北朝鮮がアジアで攻撃性を増してくるのは確実です。 そういう中、10月にプーチン大統領は、北京を訪問し習近平氏と会うわけです。 ◆日本の「ロシア憎し」の空気 いま日本は、ロシア憎し、ゼレンスキー氏が英雄かのような報道が大勢を占めていますが、まず、これは見直すべきです。 バイデン大統領からすれば「ロシアがウクライナを侵攻し、クリミアを奪い、他国の主権を侵害した」ということで、岸田首相や保守勢力も同じ見方をしています。 しかし、ロシアの歴史的経緯を理解する必要があります。 それは、「クリミアやドンバスは、キエフがロシア系住民を圧迫し、内戦状態であったので、住民投票によってロシアに帰属することを決めた」というロシアの言い分です。 実際、ウクライナ戦争の前、ゼレンスキー大統領は国内のロシア系住民のいた地域をドローン攻撃し、悲惨な状況が生じていたことは国連の調査団も認めています。 いま、ウクライナ戦争によって、「ロシア、北朝鮮、中国」さらにパキスタンやイラン、シリアなどアメリカ嫌いの国々の連結を招いています。 そして、バイデン大統領の「民主主義」対「専制主義」の考えが、世界大戦への構図をつくっています。 ウクライナが中立を保っていれば、またアメリカがウクライナを煽らなければ、起きなかったことです。 ◆グローバルサウス諸国の台頭 これまでアメリカ、日本を含むG7が世界を主導していた時代が続きました。 ところが9月9、10日にインドで開かれたG20サミットでもはっきりしましたが、西欧から「グローバルサウス」(インドや南アフリカなど、南半球に多い新興国・途上国の総称)のほうに人口や経済力などの力が移ってきています。 アフリカ連合(55ヵ国14億人)など、奴隷にされた歴史もあり、アメリカには懲り懲りだと思っている国は多く、グローバルサウス諸国は、国連で、ロシア糾弾決議をしても、実際にロシア制裁に参加した国はありません。 そして、「核保有」についてですが、日本にとっては、中国、ロシア、北朝鮮の3か国の持っている核兵器の数はアメリカを上回ります。 アメリカが本当に日本のために戦ってくれるかは保障の限りではありません。 アメリカでも8月、CNNの調査によると、国民の55%が、「連邦議会はこれ以上、(ウクライナに)さらなる資金援助を提供すべきではない」と回答しています。 今こそ、停戦のチャンスでもあります。今、日本が行うべきは、戦争をやめるよう働きかけることです。 ウクライナに多少の軍事支援をしても戦争を長引かせるだけで、悲劇は終わりません。それどころか、日本のためにもなりません。 ◆岸田首相「人間の尊厳」 日本の岸田首相も国連演説に立ちました。 演説で岸田首相は「人間の尊厳」という言葉を繰り返し述べ、「人間の命、尊厳が最も重要であるという原則に立ち返るべき」という言い方をされています。 これはいわゆる「日本教」で、政治家も国民もマスコミも「人の命は地球より重い」という言葉に象徴されるように、「人間の尊厳」というのは、「人間のこの世の命の安全」という意味と思われます。 「憲法改正に反対です」「戦場で死ぬのは困る」ということで、「一国平和主義」を貫いてきたのはこの「空気」に拘束され続けてきたからです。 さらには「商売優先」の日本の経済界からは、チベットやウイグルで行われている人権蹂躙に反対する声は上がってきませんでした。 また、自分の国を自分で守ることもできず、もし中国や北朝鮮に核で脅されたら奴隷になっても仕方がない、というなら日本は存続できません。 ◆真の「人間の尊厳」とは 大川隆法総裁は、「人間の尊厳とは何であるか。それが尊いのは、神から分かれてきた光であるからなのです。それが人間の尊厳の出発点であるのです。この出発点を否定して、人間の尊厳などない」と断言しています。 機械の寿命、自動車の寿命と同じではないし、アメーバから進化して、死んだら終わりなら尊さなどありません。 しかし、神の子、仏の子としての尊厳のために戦うという気概を、政治家が持った時に、人類は分断を超えて一つになれることを示しています。 ◆「人間の尊厳」を語る大統領 リンカン大統領の「ゲティスバーグ演説」(1863年)での「人民の人民による人民のための政治」は有名ですが、実際には次のような「人間の尊厳」を語っています。 「神のもとで、この国に自由の新たな誕生をもたらそう――そして、人民の人民による人民のための政治は、地上から決して滅びない。」 また、トランプ元大統領は2017年の演説で、次にように語っています。 「私たちは皆、創造主を信じる信仰において一つに結ばれており、主の前に平等だという堅固な思いで結ばれています。私たちは魂を持つ人間であって、単なる血肉ではありません。」 「自由は政府による贈り物ではなく、神の贈り物であるという基盤の上に、この国は形成された。」 プーチン大統領も、2013年9月12日にNYタイムスに寄稿した「A Plea for Caution From Russia(ロシアより警告の申し立て)」で次のように述べています。 「大きな国も小さな国も、豊かな国も貧しい国も、長い民主主義の伝統を持つ国もあれば、今も民主主義への道を模索している国もあります。彼らの政策も異なります。私たちは皆異なりますが、主の祝福を求めるとき、神が私たちを平等に創造されたことを忘れてはなりません。」 現在の日本では、「自由」「民主」を名乗る政党や、「自由・民主・人権」あるいは、「自由・民主・法の支配」という言い方もします。 しかし、神につながる「信仰」がなければ、決して「尊厳」という尊さは生まれません。幸福実現党がかねてより訴えてきた「自由、民主」に加えて「信仰」において団結すべき、ということです。 「信仰」により、世界の脅威である、唯物論独裁専制主義を包囲することができます。 世界大戦の構図を崩壊させ、地球平和を実現するためにも、日本人はこれまでの「空気の支配」から自由になる時ではないでしょうか。 【露朝首脳会談】軍事協力の本格化で北朝鮮の脅威が現実化する。 2023.09.28 https://youtu.be/ZlRfh864RTk 幸福実現党党首 釈量子 ◆国連には従わないという両国の意思表示か 会談内でプーチン大統領と金正恩総書記が握手をする1時間前、北朝鮮から2発の弾道ミサイルが発射され、日本の排他的経済水域の外に落下しました。 弾道ミサイルの発射は、国連安保理決議で禁止されていますが、国連安保理の常任理事国として当事者のプーチン大統領は、「お会いできてうれしいです」と金氏に話しかけています。 プーチン大統領が弾道ミサイル発射を事前に知らされていなかったとは考えにくく、会談直前という発射のタイミングも計画的なものであると考えざるをえません。 さらに言えば、国連の決定には従わないという両国の意思表示とも取れます。 ◆露朝の軍事協力の本格化 首脳会談での具体的な合意内容は明らかになっていませんが、人工衛星や潜水艦など、ロシアから北朝鮮に対する技術協力について話し合われた可能性があります。 プーチン大統領は、「北朝鮮の人工衛星開発を支援するか」という記者からの質問に、「そのためにわれわれはここにいる。(金正恩氏は)ロケット技術に大きな関心を示しており、宇宙開発も進めようとしている」と答えています。 7月にも、ショイグ露国防相が北朝鮮を訪問しており、両国の防衛協力を強化する考えを表明しています。 カービー米戦略広報調整官は今月13日、「もし、なんらかの武器の取引が行われれば、北朝鮮はアメリカや国際社会からしっぺ返しを受けることになる」と警告を発しており、一連の露朝接近に対してこれまで以上に警戒を強めなければなりません。 ◆三正面作戦を回避し、外交方針を転換せよ 北朝鮮は昨年9月「核武力政策法」を制定して核兵器の使用条件等を整え、今年の3月には戦術核弾頭を初公開して「戦術核攻撃潜水艦」の進水式も行うなど、北朝鮮の核の脅威は、ますます現実性を帯びています。 そんな北朝鮮と同じく、核を保有するロシアと中国に囲まれた日本は、この三国を一気に敵に回す、いわゆる「三正面作戦」となっている状況をいち早く回避しなければなりません。 ロシア・ウクライナ戦争を停戦に持ち込み、第三次世界大戦の勃発を喰い止めるためにも、ロシアを完全に敵にはしないという判断が重要です。 国際社会においても、露朝会談前にインドで開かれたG20では、共同声明にウクライナ戦争についてのロシアを非難する文言を入れようとして、半数の国が反対するなど、ロシアを悪とする西欧の姿勢には、一定の見直しがかかっています。 一方でプーチン大統領は、西欧諸国に対する対立路線を強めるかのように、金正恩氏からの北朝鮮訪問要請を快諾し、ロシアと北朝鮮は、「欧米の優越思考を打ち砕く」という点で共通しています。 しかし、神仏を否定した共産主義を展開する唯物論国家の中国とそれに追随する北朝鮮の両国と、2020年の憲法改正にて「神への信仰」という文言を加えたロシアとは、本質的に相容れない国だと考えます。 ロシアの隣国である日本は、ロシアに対しての対話の道を閉ざしてはなりません。 ロシアのラブロフ外相は、9月1日の国内での大学で次のように語っており、未だ日本との対話の余地を残しています。 「日本は米国の政策を疑わず愚かに従うことを決めた。悲しいことだ。日本は依然として隣国だ。外交関係を維持しており、これにはわれわれも賛成している。対話にもオープンだ。」 こうしたシグナルを逃さずに活路を見出し、ロシアに対する外交方針を転換するべきだと考えます。 中国が発表した最新地図にアジア諸国が一斉に反発――中国の赤い舌がアジアを飲み込む 2023.09.23 https://youtu.be/4UZwqK0qIKY 幸福実現党党首 釈量子 ◆中国が公表した「2023年版 標準地図」 8月28日、中国が「2023年版標準地図」を公表しました。 これに対して、国境を接するアジア諸国が一斉に非難の声を上げました。領有権を争っている海域や領土を、勝手に中国が自国の権益が及ぶところだという主張しているためです。 【参考】 中国発表の最新「標準地図」南シナ海ほぼ全域の管轄権など主張 2023年9月5日 NHK https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230905/k10014184581000.html ◆十段線とは? この新地図で注目されているのが、10本の線「十段線」です。 日本のニュースでは、「2023年版標準地図」から「九段線」に10本目の点線が台湾を中国が囲うように東側に追加されたという報道もあります。 しかし、すでに中国は2014年6月発行の認可した 「公式地図」から、台湾東岸に破線が1本加わっており10本になっています。 私が実際に2013年に中国に行った時に購入した地図で、「2014年6月河北第五次印刷」とあります。 中国は、これまで「自国の主権が及ぶ」と主張する範囲を、南シナ海に赤い線で描き、これまで「九段線」と呼んできました。 形が牛の舌に似ていることから、「(中国の)赤い舌」とも呼ばれます。南シナ海全域を舐めるような形になっているからです。 ◆国境とは違う「辺疆(へんきょう)」の概念 何故このような勝手なことができるのかというと、中国は「国境」という線を引いて守るというような概念ではなく、「辺疆」といって、国力が強くなれば風船のように周辺の国を飲み込み拡大することを国家戦略して考えているからです。 例えばウイグル人の住む東トルキスタンを「新疆ウイグル自治区」としています。 戦後、海洋調査が盛んになって海底資源が次々に発見されるようになると、中国は南シナ海が自分の国の領海だと主張し、浅瀬を埋め立てて「人工島」を造り、軍事基地に変えてしまいました。 これに対して、フィリピンは「国連海洋法条約」に基づいて2016年オランダ・ハーグにある「常設仲裁裁判所」に申し立てを行いました。 裁判所も「中国の一方的な領海の設定は国際法上において根拠がない」と裁定したのですが、中国は無視を決め込んできました。 ◆アジア諸国が一斉に反発 今回の中国の新地図に対してもフィリピンをはじめ、多くのアジア諸国が反発しています。 【フィリピン】フィリピン外務省は、「地図を拒否する」として、2016年の仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)の裁定の順守を求めました。 【ベトナム】ベトナム外務省は「我が国の領有権を侵害し、国連海洋法条約に違反するもので無効だ」と中国に対する反発は強まっています。 【マレーシア】ボルネオ島(カリマンタン島)沖の自国の排他的経済水域(EEZ)と重なる水域が、中国領にされ、マレーシア外務省は、「中国の一方的な主張で、南シナ海における中国の主張を認めない」と反発。 アンワル首相は、「対話と協議を通じた平和的かつ合理的方法で管理されなければならない」と述べています。 【台湾】台湾外交部報道官の劉永健氏は、次のように反発しています。 「(台湾は)絶対に中華人民共和国の一部ではない。」「中国政府がいかに台湾の主権をめぐる立場を捻じ曲げようと、我々の国が存在するという客観的事実を変えることはできない。」 さらに、「台湾、中華民国は主権を有する独立国家であり、中華人民共和国に従属していない。」 「中華人民共和国が台湾を支配したことはない。これは一般的に認知されている事実であり、国際社会における現状である。」 【インド】内陸のヒマラヤ山脈にあるインド北東部のアルナチャルプラデシュ州も今回の新地図で中国領として記載されました。 ダライ・ラマ14世がチベットから亡命した際、辿り着いた街もありますが、中国はここを「南チベット」として領有権を主張しています。 インド外務省報道官のアリンダム・バグチ(Arindam Bagchi)氏は、「こうした主張には根拠がないため拒否する。中国側のこうした行為は、国境問題の解決を複雑にするだけだ」と強く抗議しています。 【日本】尖閣諸島の表記 松野官房長官は、尖閣諸島が「中国側の独自の主張に基づく表記がされている」として中国に抗議し、即時撤回を求めたことを明らかにしました。 しかし、中国は話し合って分かるような国ではないことは明白です。それなら日本は尖閣諸島の実効支配を強化すべきでしょう。 ◆2027台湾危機? いま、目と鼻の先まで迫って来ているのが「台湾」の危機です。 台湾の国防部は8月31日、2023年版の年次報告書で「習近平主席の三期目の任期中に、台湾問題を解決する過程を進める可能性がある」としました。 2022年10月22日に異例の3期目突入しましたが、5年の任期を終えるのが2027年です。 今年3月の全人代で「祖国統一のプロセスを揺るぎなく推進する」と発言して、改めて台湾統一に強い意欲を示しています。 アメリカのシンクタンクCSIS戦略国際問題研究所が、中国が台湾に侵攻した時、詳細なシミュレーションを行い160ページものレポートを発表しました。 その結果、「日本が米軍に協力しなければ中国が勝利する」と発表しています。 台湾が中国に飲み込まれるようなことになれば当然、同じ海域にある沖縄はもちろんのこと海上交通路を絶たれた日本は間違いなく独立を保つことができません。 さらに、イスラム諸国が中国側に回れば中国の全体主義的な価値観が世界を支配してしまうことになるでしょう。 今後、アメリカ、日本、イギリスなどの自由・民主、そして信仰心を持っている国と、中国の全体主義的な価値観との大きなせめぎ合いが、これから来ると考えております。 独裁者となった習近平主席も、ゼロコロナ政策の失敗や、党内の権力闘争が激化や経済の低迷で、国内でも激しい反発が広がっています。 私たち幸福実現党は、必ずこの中国的な価値観はひっくり返るものだと確信しながら、中国に対して自由・民主・信仰という価値観を打ち込んでいこうと考えております。 大川隆法総裁は、今年1月8日の『地獄の法(※)』講義において、次のように述べています。 「自由・民主・信仰の価値観」が、中国のほうでも奔流のように出てきて、なかが割れてくると思います。南部と北部、それからウイグル自治区、チベット自治区、内モンゴル自治区等に割れてくると思います。しばらく混沌が来るかもしれません。国自体は滅びませんけれども、今の一枚岩みたいな感じの国ではなくなるのが、これから来るものだと考えています。」 『史記』に、中国を統一した始皇帝が各地を巡遊中、洞庭湖の付近で揚子江を渡ろうとした時、洞庭湖の女神が吹かせる大風にあって、渡河できなかったことが記されています。 始皇帝、毛沢東、習近平の中国の専制主義、粛清、洗脳、そして人間を奴隷化するような苛烈な政治を行う為政者の船は、必ずひっくり返されるものだと信じます。 これからも中国に対して、幸福実現党は、「自由・民主・信仰」の風を吹かせていきたいと考えております。 (※)地獄の法 あなたの死後を決める「心の善悪」大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=2888 すべてを表示する « Previous 1 2 3 4 5 6 … 253 Next »