Home/ 新着一覧 新着一覧 中国外交部の「尖閣諸島購入非難声明」の嘘と野心 2012.09.13 今月11日、野田首相が表明した「尖閣国有化宣言」に対して、中国外交部が非難声明を発表しました。(9/11 人民網日本語版) 強い語調で日本の非をまくし立てておりますが、その主張には明らかに「嘘」と「野心」が隠れています。 「尖閣防衛」の気概を新たにするためにも、今一度中国政府の「嘘」を見抜き、その「野心」を挫いて参りたいと思います。 中国の「嘘」:「尖閣諸島は台湾の一部」 中国外交部の声明は、尖閣諸島に関して「早くも明朝の時代には釣魚島等の島嶼は中国の海防管轄範囲に組み込まれ、中国の台湾の付属島嶼であった」と主張しています。 しかし、我が国が沖縄県を通じて尖閣諸島を領土に編入した1895年、魚釣島をはじめとした尖閣諸島に中国の足跡はなく、国際法上明らかな「無主地」であり、当時交戦中だった清国も我が国の「領土編入」の打診に何ら異議を申立てませんでした。 「尖閣諸島は無主地として、南西諸島の一部として国土に編入された」ことは歴史的な事実です。 それでも「尖閣は台湾の一部」と中国が主張するのはなぜでしょうか? それは、台湾が日清戦争の終結とともに「下関条約」によって日本に割譲され、第二次世界大戦終結とともに、「ポツダム宣言」及び「カイロ宣言」によって中国へ返還することが義務付けられた土地であるからにほかなりません。 尖閣諸島が「下関条約」により清国から割譲を受けた「台湾及び澎湖諸島」に含まれないことは明らかです。 中国政府の強硬姿勢に騙されず、客観的な歴史的文証によって、しっかりと事実を抑えたいと思います。(参考:外務省「尖閣諸島についての基本見解」⇒http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/senkaku/index.html) さらに指摘しておかなければならないことは、尖閣諸島の地下に油田が発見されるまでは、「尖閣は南西諸島の一部で日本領」というのは中国も認めていた、という事実です。 1953年1月8日付の中国共産党機関紙「人民日報」で、「琉球群島は、わが国台湾の東北および日本九州島の西南の間の海上に散在し、尖閣諸島、先島諸島、沖縄諸島、など7つの島嶼からなっている」として紹介し、南西諸島の一部であることを認めているのです。 そもそも中国側は尖閣諸島に対して、1895年の日本領編入から、ECAFE(国連アジア極東経済委員会)の調査によって油田が発見される1970年までの75年間、一切関心を寄せておりません。 「史実と国際法理を深刻に踏みにじ」り、身勝手な主張をしているのは中国政府の方です。 中国の不法な領有権の主張を毅然とはねつけ、実効支配・領域警備強化を行っていくべきです。 中国の「野心」:日本への「分断工作」と中華帝国への「野心」 さらに中国側は、日本の尖閣国有化は「世界反ファシズム戦争の勝利の成果に対する公然たる否定であり、戦後の国際秩序に対する重大な挑戦」と非難する一方、「中国政府は一貫して中日関係の発展を重視している。中日両国及び両国民は友好的に付き合うほかなく、敵対するわけにはいかない」と「日中友好」への呼びかけを続けます。 これこそ、「中国の意に沿わない日本政府」と「中国に友好的な日本人民」の分断を図る、中国の典型的な「分断工作」です。 そして外交部声明は次のように本音を漏らしています。 「中華民族が他国の思うがままに侮られた時代はすでに過ぎ去り、再び戻ることはない。中国政府が領土主権の侵害を座視することはあり得ない。」 この言葉は、かつて毛沢東が語った壮大な「野心」にピタリと重なります。 「われわれの国防は強化され、いかなる帝国主義者にたいしてもわれわれの国土を二度と侵略することを許さない…内外の反動派をわれわれの前でふるえあがらせようではないか…中国人民は不撓不屈の努力によって、かならずや着実に自己の目的をとげるにちがいない」(毛沢東選集第五巻「中国人民は立ち上がった」北京外文出版社) 「失地回復」から「大中華帝国」の再興を目指す中国政府の野心は、建国直後の毛沢東体制の時代から何も変わっておりません。 中国政府の「嘘」と「野心」をしっかりと見抜き、国防強化の教訓として参りましょう。(文責・彦川太志) 日本農業再生への道 2012.09.12 前回に引き続き、日本の農業問題について論じます。 日本は農業大国 先週は、カロリーベースでみた食料自給率のからくりを紹介し、米などの高関税や減反などによる生産調整により、割高な農産物が消費者の犠牲のもとに成り立っている点を指摘しました。 この食料自給率は、日本だけが国策で採用している指標であり、世界では全く相手にされていません。生産額でみれば60%を超えています。⇒TPPと農業問題 例えば、2007年のデータでは生産額ベースの自給率は66%。この数字は、米国、フランスに次いで世界3位です。さらに、農業生産額に占める国内販売シェアは1位となっています。 換言すれば、日本は欧米とは違って食料の輸入依存度が低く、国産比率が高いことを意味しています。 1位と2位の米国とフランスは生産額に占める輸出比率が高く、外需依存型の構造(それぞれ約40%、60%)であるのに対して、日本は国内市場志向が強いために高い自給率となっているのです。(浅川芳裕著『日本は世界5位の農業大国』の議論を参照)。 これまでの議論をまとめれば、日本は生産額では世界5位、生産額ベースの食料自給率では3位の農業大国だということです。 日本農業のアドバンテージ 日本の国土は南北に長く、気候も温暖で適度な湿度もあるために、農産物が栽培しやすい環境にあります。この点を強く主張しているのが、『それでも食料自給率100パーセントは可能だ』の著者である永田照喜治氏です。 同氏は、「永田農法」と呼ばれている独自の農業技術を持っており、アイデア一つで農業は再生することができることを指摘しています。 本書を読めば、永田氏の頭の中には農協や政府からの支援は微塵も感じられません。まさに、今後の理想的な農家を体現する一人であると言えましょう。 高齢化と後継者不足をどう乗り切るか ただし、現在の農業人口は減り続けており、農業従事者の高齢化と後継者問題も表面化しています。これは不可避な構造問題ですが、次のように考えることができます。 まず、農業人口減少=農業の衰退ではないこと。 現在の農業人口は約300万人。総人口の5.7%ですが、今後も減少することが予想されます。農業を維持していくためには、人口の減少を補う移民と若者や法人の農業参加が議論されていますが、移民は日本人に抵抗感が強く、現時点では選択肢にはなりそうもありません。 若者や法人の農業参加は、ようやく動き始めたばかりであり、まだまだ軌道に乗るには時間がかかりそうです(参入を促す農地法は09年に改正されたばかり)。 そこで現在ではGPS応用農業ロボットの開発が行われています。ロボットが実用化されれば、必要な作業を24時間ロボットが代替します。 天候に左右されやすい農業が、GPSの機能を応用すれば人間が働かなくとも作業ができるばかりでなく、農作物の情報を収集することもできます。実用化され、コスト面がクリアできれば、大規模化も可能となるでしょう。 しかしながら、ロボットがいつ実用化されるかは不明です。そこで大事になってくるのが、やはり人材の教育です。前述の浅川氏は、質的生産性を上昇させるために必要なことは、まず大規模化ではなく専門家(化)であると指摘します。 作物の知識、土壌の知識に通じる人材が増えれば増えるほど、生産性が上がるシステムが作れるというわけです(浅川芳裕 飯田泰之著『農業で稼ぐ!経済学』参照)。 さらに、現在の農業はものづくりのレベルで終わりません。生産の段階での研究や専門化に加え、販売や市場開拓をする必要があります。最近は交通網の発達とインターネットの普及によって北海道の農産物も容易に購入できるようになりました。 合わせて経理や財務を担当する人を雇って任せ、自分は生産と販売に特化することも可能となります。このように、現在の農業(第一次産業)はモノづくり(第二次産業)に加えてサービス業(第三次産業)の要素があるため、「第六次産業」だと言う人もいるほどです。 最後にTPPによる国際貿易の効果です。 TPP参加によって関税が下がり、海外からも安い農産品が入ってきます。当然、輸入品と競争する農家は苦しむでしょう。ただ、逆に言えば輸入農産物と競争することで、国内の農産物が勝ち残ることもあります。 私たちが「おいしくない」と感じた海外の農産物は、次第に淘汰されます。本当に生き残ることができるか否かは、最後は消費者が決めるので、貿易によって日本の農産物全てが駆逐されるわけではありません。 一方、国内では減反廃止や生産性追求を通じた規模の拡大により輸出産業へと進化し、黒字体質の強い農家が誕生する可能性もあります。要するに、TPPはデメリットばかりではなく、日本農業を活性化させる側面があるのです。 私の知人の農家は、政府の戸別所得補償に頼りません。あるいは、農協に依存することもありません。一方、最近は、「永田農法」のような新しい技術が開発されるなど、農業界にイノベーションが起きつつあるのは朗報です。 要するに、世界から賞賛される技術と品質、味覚を兼ね備えた日本農業の再生とは、農水省や農協による計画経済からの脱却であり、自由競争を通じた農業の飛躍的発展です。これが、幸福実現党が目指す農業政策の要諦です。(文責:中野雄太) 第一権力・マスコミの権力の濫用は許すべからず 2012.09.11 10日午後、松下忠洋金融・郵政民営化担当相(73)=衆院鹿児島3区、国民新党が都内の自宅マンション内で首をつった状態で見つかり、病院に運ばれましたが、死亡が確認されました。 室内から遺書が見つかり、警視庁は事件性はなく、自殺を図ったとみて調べています。 現職国務大臣の自殺は、安倍内閣時の松岡利勝農水相に続く、日本国憲法下の日本で二人目の事件です。 民主・自民党の総裁選に向けて立候補者が名乗りを上げつつある政局の中で、政界に衝撃が走りました。 松下大臣の自殺の理由の可能性について、9月12日発売の週刊新潮(9/20号)に大臣が約20年交際していたとされる女性のスキャンダル記事が掲載されますが、それとの関係が取り沙汰されています。 記事は「『野田内閣』一同が羨望のまなざし?70歳愛人を怒らせた情交21年の後始末73歳『松下忠洋』金融担当大臣痴情果てなき電話と閨房」とトップ扱いです。 就任三か月足らずでの自殺、その原因の真相は現段階では不明ですが、週刊『新潮』発刊の直前の事件だけに、関係が取り沙汰されることは当然と思われます。 もはや週刊新潮は「人の命」さえ自由に弄ぶ力を手にした「悪魔的存在」であると断言しても過言ではありません。 奇しくも、5年前の2007年9月12日は、松岡農水相の自殺を契機とし、一気に野党の倒閣運動の盛り上がりで内閣支持率を下げた安倍晋三総理が、退陣の表明記者会見をした日であります。 当時、安倍内閣は、一年間で6名もの閣僚が不祥事で交代しました。 安倍政権下で行われ自民党が大敗した参議院選挙直後に行われた世論調査(朝日新聞)でも、大敗の原因として大臣の不祥事をあげた人は38%で、年金問題の44%と合わせると82%となり、実に年金と大臣の不祥事だけで、敗因の82%を占めていました。 「戦後レジームからの脱却」を掲げ、教育基本法改正、憲法改正の為の国民投票法、公務員制度改革関連法案、防衛省昇格、等々次々と実績をあげた安倍内閣は、既得権益層にとっては脅威であり、彼らからのリークを元手にマスコミの総攻撃に晒されました。 この間の事情について、『約束の日 安倍晋三試論』(小森榮太郎著)に驚くべき事実が明かされています。 件の大臣の不祥事に関しては、政治と金の問題は安倍内閣以前までは、基本的には収賄に限定されていました。 松岡農水相が問われた税務署に届けられ違法を指摘されていなかった事務所経費は、それまで疑惑の対象とされていませんでした。明らかに意図的に画策された報道攻勢がありました。 特に朝日新聞は激しい憎悪と共に安倍政権を攻撃しました。同著によれば、朝日は、安倍内閣の松岡利勝農水相の政治資金問題の関連記事は125件も掲載した半面、民主党の小沢一郎代表の政治資金問題は14件のみ。 安倍首相が推進した教育基本法改正に関して反対運動の記事70件を掲載したが、賛成派の動きは3件だけだといいます。(9/9 産経「書評『約束の日 安倍晋三試論』小川榮太郎著」⇒http://sankei.jp.msn.com/life/news/120909/bks12090907550009-n2.htm) そして何より驚くべきは、当時の朝日新聞の論説主幹の若宮啓文氏の言葉です。 「安倍の葬式はうちで出す」「安倍首相を評価するような記事は、一切書かない」と言い放ったと同著で明かされています。 政治評論家の三宅久之は著者に、朝日の若宮啓文論説主幹(現主筆)とのこんなやりとりを明かしたという。 三宅「朝日は安倍というといたずらに叩くけど、いいところはきちんと認めるような報道はできないものなのか」 若宮「できません」 三宅「何故だ」 若宮「社是だからです」 自称「日本最高のクオリティ・ペーパー」である朝日新聞の悪魔的本質が露呈しています。 このように、マスコミは報道の公平性、中立性を表向き謳っていますが、実際は、恣意的に記事を創作し政治家生命を抹殺することなどいとも簡単です。 たとえ週刊誌といえども、事実を捻じ曲げてまでスキャンダル記事を販売することは許されません。 幸福の科学グループ創始者兼総裁、幸福実現党名誉総裁大川隆法氏は、『「週刊新潮」に巣食う悪魔の研究週刊誌に正義はあるのか』、『「文春」に未来はあるのか創業者・菊池寛の霊言』等の著書により、週刊誌ジャーナリズムの「悪魔的実態」を明らかにし、彼らに本来の使命に対する覚醒を促しています。 現在、日本を動かしているのは、事実上の第一権力マスコミです。彼らは憲法上の規定も何もありません。野放しでやりたい放題の感があります。 そのような存在が意のままに日本を操っている状態を看過することはできません。 幸福実現党は次期衆議院選で必ず政権を獲得しますが、幸福実現党は日本国憲法に代わる『新・日本国憲法試案』第十二条に「マスコミはその権力を濫用(らんよう)してはならず、常に良心と国民に対して、責任を負う。」というマスコミ規制を掲げています。 今こそ、私たち良識ある日本国民は度を過ぎたマスコミの偏向報道を糾し、マスコミの操作による「衆愚的民主主義」ではなく、正しい言論を土台とした「真なる民主主義」を実現すべき時が迫っているのです。(文責・加納有輝彦) 水産業発展の鍵―「水産業復興特区」の可能性 2012.09.10 宮城県の村井嘉浩知事は9月3日、東日本大震災による津波で壊滅状態になった同石巻市・牡鹿半島の桃浦(もものうら)港で、漁業への民間参集を促す「水産業復興特区」導入の考えを正式に明らかにしました。 この「水産業復興特区」とは、昨年の震災復興のために国が定めた特区制度を水産業について適用するもので、具体的には、漁業法が定める漁業権の優先順位をなくし、「地元漁業者7人以上が社員」などの条件を満たした企業も、現在、漁業権を握っている県漁業協同組合(県漁協)等と同等に漁業権が得られて自由に漁ができるようにする仕組みです。 例えば、宮城県では石巻や南三陸、松島などの地域では、牡蠣の養殖が盛んですが、それを行う漁業生産者には誰でもなれるわけではなく、原則、漁業権を付与された人だけが行うことができます。 そして、例えば、新たに若い人が漁業を行いたいと志した場合、すぐには漁業を行うことはできず、様々なステップを経る必要があります。 また現在、漁業権を持っている場合は、それを自由に売買したり、譲渡することはできません。 これは丁度、農地法によってその土地の取得や利用・転用が縛られている現在の農業に似ています。 今回、特区認定を目指している桃浦港の地域は、約60戸あった民家が津波でほぼ全滅。平均年齢60代と高齢化していた養殖業者らにとっては、漁業という地場産業の再開が、高齢化・過疎化が進む集落の存続そのものと直結しています。 そして、今回の特区認定を目指して、浜の漁業者を社員とした合同会社を設立、資金を出し合って漁具などを購入し、養殖を再開しています。 もし特区認定となれば、今後は会社に対して漁業権が与えられることになり、社員になれば漁業ができることとなるため、漁業を志す若者に道を与えることになります。 また、高齢者不足の解決にもなりますし、既存の漁業者個人にとっても、それまで不安定な個人事業主だった状態から、収入的に安定的な立場へと変わる可能性も高くなります。 こうした特区制度ですが、これまで独占的に漁業権を管理していた漁協からは、導入に対して昨年から激しい反対が続いていました。 その理由は「浜の秩序が乱れる」という根拠の薄い理屈に留まっており、漁業者個人個人は企業の参入に賛成意見も多いのに対し、執拗に反対する構図は、農業において、農協が農家個人の意見の代弁者とは必ずしもなっておらず、顧客である農家や消費者へのサービス向上の企業努力を怠っていることと酷似しています。 こうして実質的に漁業権を握る漁協が管理してしてきた日本の水産業は、現在ピーク時の半分以下まで落ち込んでおり、さらに60歳以上が約半数で先行きの見通しが立っておらず、国内の漁業者は普段でも年間一万人のペースで減り続けています。 日本の水産業も、農業と同様に未来へ向けては大きな曲がり角にきており、今回の震災復興のための「水産業復興特区」は、こうした日本全体の水産業再生のきっかけにもなるかもしれません。 民間企業が漁業にも参入しやすくなるよう政治として規制緩和を行い、企業努力、技術開発、イノベーションを促し、自助努力の再生や発展を行える環境整備を行うことこそ、東北復興のためにも、日本産業全体の発展のためにも必要ではないでしょうか。 TPPについても、水産物は現在でも輸入関税はわずか9%程度であり、内外の価格差はほとんどない状態です。日本水産業の発展のためにもTPPに参加し、国際競争力を上げていくべきです。 復興においても、単に現状復旧を目指したり、ばら撒きや補助金付けにするのではなく、「自助努力」「自由と自己責任」に基づく復興、そして日本全体の経済復活に繋がる復興を幸福実現党として考えて参ります。(文責・宮城県本部第4区支部長 村上よしあき) 日本は早急に中国の実効支配を阻止するため「領海警備法」を制定せよ! 2012.09.09 石原知事が進めようとしていた東京都の尖閣購入は国内でも話題となり、購入資金14億円が集まるほどの国民の支持を得る一方で中国側は石原知事を「日本の右翼分子の挑発」(環球時報)と報道してきました。 本来であれば、中国の尖閣諸島の実効支配を防ぐためには、東京都ではなく日本国政府が国有化し、建造物などを建て、その管理のために常時常駐している状況をつくることが先決です。 しかし、政府は地権者から尖閣諸島を購入しても「東京都などが求めていた船だまりや灯台などの構造物は作らず、基本的に島を現状のままで維持し、島の国有化を通じて、日本の実効支配を強め、尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持管理につなげるため国有化後は海上保安庁が島を所管する方向」としています。(9/5読売「尖閣売買、地権者が国と合意…都を通さず購入へ」) 建造物も立てず、日本国民の上陸も許可しないことは「実効支配を強める」ことには一切なりません。 日中関係筋は、中国側が尖閣諸島について(1)上陸しない、(2)調査しない、(3)開発をしないことを日本側が受け入れれば、国有化を黙認する交渉があったことを指摘しています。(9/1 東京「中国、尖閣問題で要求『上陸・調査・開発しない』」) まるで中国から「東京都が建造物を立てる前に日本政府が購入し、右翼分子石原都知事を黙らせろ!そうすれば尖閣諸島については棚上げにしてやるから我々も黙っていてやる!」と恫喝を受けているようなものです。 「尖閣領海棚上げ論」というものがあります。 これはかつて鄧小平が1978年、日中平和友好条約の批准書交換のため訪日した際、「尖閣諸島の領有問題については中日間双方に食い違いがあるため、領海の問題は一時棚上げし、次の世代に解決方法を委ねよう」と提案したことが始まりです。 尖閣諸島は日本固有の領土であるのに、なぜ日本が棚上げする必要があるのか、全く許容できませんが、尖閣よりも日中友好を重んじる自民党政権、民主党政権は代々、「棚上げ論」路線を取って来ました。 しかし、その後、中国はガス田の開発や、尖閣諸島近海に漁船や監視船を派遣し、日本の領海を侵食してきました。 中国の「棚上げして結論を先送りし、その間に徐々に実効支配を強める戦略」を日本は十分に理解しておかなくてはなりません。 つまり、政府が尖閣を購入しても、野田首相が意図する「平穏かつ安定的な維持管理」が出来るかといえばそうではありません。 中国は日中の国力や軍事力の分析をした上で「日本が突進してきても何も恐れることはない。中国が適切に対応しさえすれば、いずれ釣魚島が中国の支配下に戻ることは間違いない」と主張し虎視眈々と尖閣諸島の実効支配を狙っているのです。(8/23中国網日本語版「中国が適切に対応すれば、釣魚島を取り戻す日は遠くない」) 中国の尖閣上陸は秒読み段階に入っています。 これまでの中国の行動パターンを分析すると、先般の中国漁船衝突事件でもそうであったように首相の外国訪問中や、民主党の代表選の政治空白の最中に中国の監視船や漁船が尖閣諸島に近づくことが多く、実際に香港の保釣活動家も9月、10月に尖閣再上陸を表明しています。 一方、今国会で、海上保安庁法と外国船舶法の改正が成立し、海上保安官に陸上警備権を与え被疑者を直接逮捕できるようになり、(これまでは警察官が逮捕していた)、また保釣活動家の船舶が領海内で停泊、徘徊している場合、立ち入り検査することなく、退去勧告できるようになります。 状況は領海警備の法的な整備が半歩前進したとはいえ、1999年の北朝鮮工作船の領海侵犯事件後、検討された「領海警備法」の制定や、領海侵犯法の制定を行い、自衛隊に領海警備の任務を与え、日本の聖域を侵す者には断固とした処置を施すべく、早急に「法的結界」を築くべきです。(文責・佐々木勝浩) 尖閣国有化の卑劣な裏密約~無責任な空手形を連発する野田政権は即時下野せよ!~ 2012.09.08 民主党代表選では、野田首相の有力な対立候補と目されていた細野豪志環境相に続いて馬淵氏も不出馬となり、野田首相の民主党代表再選は確実になりました。(9/8 時事「野田首相の再選確実=馬淵氏も不出馬」) 野田首相は9月7日、今国会を締め括る記者会見において「私には、こうした国政の重要な諸課題を中途半端な形で放置することはできません。この未完の一体改革や道半ばの震災復興をはじめ、日本が抱えている残された課題とこれからも格闘し、克服していく」と述べ、政権続投の意志を強調しました。(9/7 官邸記者会見) しかし、今国会の実態を見れば、政府提出法案の成立率は57.5%。過去20年で最低だった2010年の54.5%に次ぐ低レベルです。 結局、今国会で決まったのは、国民を苦しめ、不況を深刻化する「消費税増税」のみであり、いかに野田首相が無能かは明らかです。 国民生活に直結する赤字国債発行法案は廃案となり、予算の財源確保はメドが立たない状況です。 また、領土問題解決のための領海警察法や、違憲状態を解消するための選挙制度改革法などの重要法案を中途半端に放置して来たのは、他ならぬ野田内閣であったはずです。震災復興も遅々として進んでいません。 さらに、「税と社会保障の一体改革」も名ばかりで、社会保障に関する内容は無く、消費増税が決定しただけで、すでに、さらなる消費増税が必要であることが検討されています。 自らを「ドジョウ」と自称して、泥臭く、市民に寄り添う誠実な政治姿勢を演じていますが、そもそも消費増税をしないことをマニフェストに掲げて政権を得ておきながら、平然と国民との約束を破り、信も問うことなく、このまま続けようと言うこと自体、不誠実そのもの、厚顔無恥も甚だしい。 誠実さを装いながら、傲岸不遜に詭弁を繰り返す、野田首相をこれ以上、看過することは出来ません。 このような国民への背信行為の中でも、特に重大な問題となるのが、9月5日、国が尖閣諸島を購入することが報じられた「尖閣諸島の国有化」に関してです。(9/5 朝日「尖閣、国が購入で合意20.5億円都知事にも伝達」⇒http://www.asahi.com/politics/update/0905/TKY201209040777.html) 野田首相は8月24日の記者会見で「国家が果たすべき最大の責任、それは平和を守り、国民の安全を保障することです」と述べており、今回の「尖閣国有化」を国防のための英断かと思われましたが、真実は正反対であることが明らかです。 実は、尖閣諸島の国有化は「東京都が実効支配をしない」ために、中国に配慮して、国が購入を取り付けたという、驚くべき事実が報道されています。(9/5 夕刊フジ「政府“尖閣購入”は売国行為!中国に屈して実効支配強めず」⇒http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20120905/plt1209051811008-n1.htm) 国際政治学者の藤井厳喜氏は「国民の税金を使って、最悪の決断をした。野田首相は自分が何をしているのか分かっているのか。これでは、『売国宰相』と呼ばれても仕方ない」と述べています。(同上) 評論家の青山繁晴氏も、対中弱腰の外務省や岡田副総理による圧力で、野田首相が「国有化はするが、尖閣諸島に施設は作らない」という決定に至ったことを明かしています。(youtube⇒http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=U9NjcOWFYBc&gl=JP) 実際、日中関係筋は、中国側が尖閣諸島について(1)上陸しない、(2)調査しない、(3)開発をしないことを日本側が受け入れれば、国有化を黙認する交渉があったことを指摘しています。(9/1 東京「中国、尖閣問題で要求『上陸・調査・開発しない』」) 自国の領土を「上陸・調査・開発しない」と約束するのは、主権放棄、実効支配の放棄そのものです。 野田首相は「尖閣国有化」で保守層の支持を集めたい考えですが、卑劣な国民への背信行為を断じて許すことは出来ません。 このような政治の不作為の隙を突いて「日本に新政権が誕生する前に、つまり年内に中国が何かを仕掛けてくる恐れがある」ことを情報当局者が指摘しており、まさに、領土問題・国防問題は、待った無しの切迫した状態にあります。 このような状況であるにも拘わらず、野田首相は8日の記者会見で、尖閣諸島の施設整備について、「尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持管理をするという観点が第一」と応答する危機感の無さで、実効支配を強める姿勢は皆無です。 「尖閣諸島の国有化」以外にも、「原発ゼロ」、「公務員への協約締結権付与」、「人権委員会の設置」など、国益を大きく損ねる法案を審議し、押し進めようとしています。 本当にこのような状況を許していて良いのでしょうか。無責任な空手形を連発して、選挙対策を弄する野田政権は即時下野すべきです。(文責・小川俊介) 終わらないシリアの悲劇~日本はどのように向き合うべきか~ 2012.09.07 「シリアの悲劇」がまだ終わりを見せません。 在英の反体制派組織「シリア人権観測所」は2日、内戦状態に陥ったシリアの8月の死者数が5440人に上ったと発表しました。 昨年3月に民主化デモが本格化して以来、1カ月間の死者数としては過去最悪の数字で、これまでの死者数は一般市民約1万8500人を含む約2万6000人に達しています。(9/3 毎日「シリア:8月死者5440人 昨春以来最悪」) なぜ、シリア情勢はこのように混迷を深めているのでしょうか? 最大の理由は、シリアの国力低下に伴う、中東全体のパワーバランスの崩壊です。 シリアの国力低下に伴い、シリアと友好的でなかった国々は、シリアをコントロールできる絶好の機会と考え、逆にシリアと友好的な国々はシリアの現政権の崩壊が自国の生存を脅かすことに繋がると考えるようになりました。 その結果、周辺国が各々の思惑に基づき、政権側・反政府側双方に対して支援が行われ、シリアの内戦がエスカレーションの一途を辿って来たのです。 それぞれの国が死活的な国益をかけて政権側・反政府側を支援しており、この構造を変えることは容易ではないため、内戦は今後とも続くものと考えられます。 では、シリアの問題を解決するためにどのような策を取ればよいのでしょうか? 国際連合などの国際組織は実質上、役に立たないことがこれまでの経過で明確です。 国連では、国連安保理の分裂や先日イランのテヘランで行われた非同盟諸国会議の非難合戦の様相からも分かる通り、各国はすでに共同歩調を取れなくなっています。(9/5 日経「非同盟会議に透けた米国・イランのせめぎ合い」) 国際連合などの国際組織が役に立たなくなっている今、アメリカによる武力介入が各所から求められていますが、アメリカとしては軍事介入を行いづらい状況にあります。 そもそも、オバマ米政権は国連を中心にした「対話による停戦」という青写真を描いて来ましたが、その枠組みは事実上崩壊しました。 オバマ政権は機能不全に陥った国連の枠組みに最後までこだわり、シリア問題と距離を置く姿勢を鮮明にしています。(8/18 日経) 米国が軍事介入を避けている理由としては、アメリカが武力介入した場合、イランの先鋭化を招き、ペルシャ湾情勢の悪化を引き起こす危険への配慮と共に、現在、大統領選挙の最中であること、アメリカの財政事情が厳しいこと等の米国の内政事情も挙げられます。 このことについて、幸福実現党の大川隆法名誉総裁は9月2日、福岡市で「国を守る宗教の力」と題する講演を行い、次のように述べています。 「今、シリアでは政府軍が民衆を殺していますが、オバマ大統領は金が惜しくてあまり介入したくない。しかし、死者数からみて、これで介入しなかったらアメリカとしての使命を放棄しています。 それだけ国力が弱っているのであれば、日本と中国、北朝鮮、あるいは韓国との間で国際紛争が起きたときにも、アメリカは同じような態度を取る可能性が高いと考えなければいけません。」 これまでの米国であれば、「世界の警察官」として、確実にシリアに軍事介入している場面ですが、シリアと距離を置く米国の姿勢を見れば、日本は日米同盟を基軸としつつも、「自分の国は自分で守る」という自主防衛を強化していくことが急務だと言えます。 では、今後、日本としてはシリア問題の解決に向け、どのような支援を行うべきでしょうか。 日本としては、現在、進行している内戦そのものに介入するよりも、内戦後の支援を行なうべきであり、その内容はシリアの経済基盤を回復させ、シリアが経済的に発展できるきっかけとなるような支援が望ましいと考えます。 アラブ諸国の革命の真の原因は経済政策の失敗によるものだからです。 また、内戦が反政府側の勝利に終わったとしても、シリアの政治的安定を図ることは、アラブ諸国の革命のその後を見ると非常に難しいと言わざるを得ません。 日本としての支援は長期化を見越して戦略的に行うべきです。日本がこれまで行って来た支援のように、安易に金銭だけを渡したりすることは反政府勢力の分裂による第二の内戦を助長する恐れがあります。 また、南スーダンで行っているように、自衛隊をインフラ整備に派遣することはシリア人の仕事を奪う結果となります。日本としてはシリア自身の「自助努力」を促す方向で、現在から支援計画を練り込むべきです。(文責・黒川白雲) 都市の未来と「垂直都市ビル」構想 2012.09.06 東京スカイツリーの「高さ」が人々の人気となってますが、関西の新名所「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区、地下5階地上60階)が2014年春の開業を目指して建設が進められています。⇒http://www.abenoharukas-300.com/ 「あべのハルカス」は今年8月30日に最終的な高度となる300mに到達し、横浜ランドマークタワー(横浜市西区、296m)を抜いて、ビルとして日本一の高さになりました。 ハルカスには複合商業ビルとして、近畿百貨店本店や大阪マリオット都ホテルの他、多機能オフィス、美術館などが入ります。 さらには、大阪市立病院など医療機関を集めた「メディカルフロア」や、複数大学のサテライトキャンパスなどを設置した「キャンパスフロア」もできる予定です。 このような「複合型ビル」は、「職」「住」「遊」「学」などといった都市としての機能を備え、小さな町や村と同等の能力を持っているという意味で「垂直都市ビル」と言って良いでしょう。 日本のように国土が狭く、さらに数少ない平野部に人口が集中している国(国土の約25%に人口の9割が住んでいる)にとって、「垂直都市ビル」というのは非常に合理的な施設です。 事実、多くの人々が集まる施設である「六本木ヒルズ」「東京ミッドタウン」や、今年オープンした「渋谷ヒカリエ」、また現在建設中の「環状2号プロジェクト(地下5階・地上53階建)」などは、様々な都市機能を備えた複合型ビルです。 高層の複合型ビルを建てていくという昨今の傾向が、なぜ理に適った戦略と言えるかについて、東京をはじめとする大都市が抱える課題を踏まえ、3つの切り口から解説させて頂きます。 (1)少子高齢化 日本は近代化を図る過程で、都市機能を分化し、用途を純化していきました。まず、都市がスプロール化(無秩序に拡大していく現象)し、その結果ドーナツ化現象が起きた結果、首都圏では毎日、「民族大移動」が繰り返されています。 この移動にかかる時間は、平均2時間を超え、生涯計算をすると、合計4年間以上、通勤・通学に費やすことになります。サラリーマンは、友人、知人、家族とゆっくり過ごす時間や、自己啓発の時間を奪われているのです。 その弊害や歪みが色々なところで出ており、その一つが、「少子化」であり、かつ、現在、進行している「高齢化」に対応できていない都市構造なのです。 このように「水平拡張」していった都市構造を見直す必要があります。そのカギとなるのが「垂直都市ビル」です。 この様々な機能を持ったビルは、「住み、かつ働く街」であり、ライフ&ワークスタイルも全く違ったものになり、女性や高齢者の社会参加も容易になり、子育てもしやすい環境が実現されます。 「垂直都市ビル」を建設してくことは「職住分離型→職住接近型」へと都市構造を変えていくことになります。 (2)インフラの更新 日本のインフラなどの公共施設の多くが、高度成長期、特に東京五輪前後の時期に建設が進められました。その多くが、これから耐用年数と言われる50年を超え、建て替えの時期を迎えようとしています。 老朽化により通行禁止となった15m以上の橋は今年4月で217と統計のある08年の8割増で、通行規制されている橋も1162と08年より7割も増えました。 この他にも下水道の老朽化による道路の陥没が頻発しているなど、状況はかなり切迫しています。公共施設を更新するのに必要な費用は、今後50年で400兆円にのぼると試算されています。(8/27 日経「老いる公共施設」) 日本の都市は、今までの延長線上のその場しのぎの工事ではなく、将来を見据えて投資していかねばなりません。 都市の機能を縦に揃えた垂直都市ビルにインフラを集約し管理・運営する方が高効率になり、メンテナンスや更新も非常にし易くなります。 (3)防災対策 垂直都市ビルは災害時にも非常に強いのです。例えば、六本木ヒルズでは、震度7の大規模地震に耐えられるよう設計されているうえ、地震でライフラインがストップしても、仕事や生活を継続できる設備や物資を備えています。 森タワーの地下には巨大な発電所があり、ヒルズ内の施設の電気や冷暖房を賄っています。東京全体が停電になっても、六本木ヒルズだけは電気を通常通り提供されているのです。 また、10万人分の備蓄倉庫や非常用井戸なども備え、周辺からの避難民や帰宅難民を受け入れることが出来ます。 現在、日本にはたくさんの木造住宅密集地域(木密地域)があります。東京においても、山手線の外周部を中心に広範に分布しています。 この木密地域は道路や公園等の都市基盤が不十分なことに加え、老朽化した木造建築物が多いことから、「首都直下地震による東京の被害想定」(2006年東京都防災会議)においても、倒壊・火災など大きな被害が想定されています。 これらの地域の建物を鉄筋コンクリート仕様などに建て替え、不燃化に膨大な予算を費やすよりも、効率的でかつ防災性も高い街づくり(=垂直都市ビル)を考えるべきです。 近年になって、前出のような高層の複合型ビルが建てられてきていますが、依然として日本の都市は空中を活用できていません。 具体例を挙げるならば、東京都区内の建物の平均階数が2.5階に比べて、ニューヨークでは平均15階、パリでは6階建てです(『超高層ビルの秘密』尾島俊雄著)。 東京は「平面的過密・立体過疎」の都市だと言えます。日本の中心である東京でもこのような状況ですから、他の都市はさらにこの傾向が顕著です。 高層ビルを建てれば良い、というわけではありません。しかし、今はせっかくの土地を無秩序に利用し、閉塞感が漂っています。 「垂直都市ビル」は現代における最先端技術の結晶であり、適切に建てることによって、新しい概念や文化が生まれてきます。 うつむきがちの日本が、再び空を見上げられるために、この「垂直都市ビル構想」を提案したいと思います。 TPPと農業問題 2012.09.05 消費税増税法案以外ははっきりと結論を下せない野田首相。 今週末ロシアのウラジオストクで開催されるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議でTPP(環太平洋経済連携協定)参加表明を見送ることが決まったのが8月29日。表向きは参加に対して詳細が煮詰まっていないとされていますが、党内を中心とした反対勢力を融和するのが狙いだと考えられます。 TPPは農業問題だけではなく、国際貿易と法律論、環境問題、労働問題など幅広い論点が網羅されています。ただ、一言で言えば、TPPを通じてアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)と呼ばれる広域の自由貿易圏を創設することが最大の狙いです。2010年横浜APECでは、FTAAP実現に向けた方向性が改めて確認されました。 さて、HRPニュースファイルではTPP問題に関して、「デフレとの関連」「ISD条項」「医療制度」「知的財産権」問題を扱ってきましたが、今回は農業問題を取り上げます。 TPPに参加すると農業が壊滅するという意見があります。 農林水産省の試算では、関税や輸入課徴金の撤廃により農業生産額8.5兆円のうち4.1兆円(そのうち米は2兆円)減少するとされます。また、食料自給率は40%から14%に低下するため、食糧安全保障上問題があるとします(2011年度は39%)。あくまでも政府が対策を施さない場合の試算であるため鵜呑みはできませんが、国民に与える印象は強いものがあります。 食料自給率はカロリーベースで表示されており、1960年頃には約80%あったものが、50年後には半分にまで低下しました。 『TPP興国論』の著者である松田学氏によれば、日本人の食生活が洋風化したことを指摘しています。米や野菜中心の食生活から肉食に変わることで家畜のエサとなる穀物の輸入が増えます。この値はカロリー自給率から差し引かれます。既に、飼料用の穀物の輸入関税は低くなっているため、自給率を下げる要因になっているわけです(104p)。 実は、カロリーベースの食料自給率は日本の農水省が編み出した統計であり、他国では採用していません。本来ならば生産額の自給率を使用するのが筋ですが、対応する日本の値は66%になります!→農水省のHP参照 韓国でもカロリーベースとしての自給率は使用していますが、日本のように「食糧安全保障」という国策としては使用していません。 この点を鋭く指摘しているのが月刊雑誌「農業経営者」副編集長の浅川芳裕氏です。同氏は、カロリーベースの自給率の計算根拠を農水省に問いただしたところ、「食糧安全保障上の機密上」出せないと返答されたようです。 その裏には、農水省が日本の農業が弱いという印象を植え付け、保護を正当化している意図を感じざるを得ません。→http://bit.ly/OabdLI そして、日本の農業問題を議論するには米の減反政策に触れざるを得ません。 1970年以降から継続している減反政策により、減反面積は水田全体の約4割強にあたる100万ヘクタールにも達しました。加えて、供給を制限したことで米価は高くなっています。 『農業ビックバンの経済学』の著書である山下一仁氏によれば、減反対策で年間約2千億円、累計約7兆円の補助金が拠出されている点を指摘しています(120p参照)。 減反をやめて増産すれば、それだけで米価は下がります。加えて、余剰米は輸出にまわすこともできます。さすれば、食糧自給率向上にも有利になると思われるのですが、減反政策を撤回する方針は今のところ出ていません。 一方、世界的にも悪名高い米の関税率は778%。その代償として、日本政府は国内消費量8%にあたる77万トンの米を輸入する「ミニマムアクセス」が課されています。主な使用目的は海外への食糧援助。1万トン当たりの保管料は約1億円ですので77億円の税金が使われている計算です。過去の在庫量を入れた累計額は500億円以上にのぼります。 要するに、国民は高い米の価格だけではなく、米の保管料にも税負担を強いられているわけです。 こうした愚かな政策をするくらいなら、減反の廃止とTPP参加による関税撤廃に向けた交渉をしていく方がよほど健全です。 日本の世界5位の農業大国です。 神戸牛や松坂牛のように、海外でも売れる商品もあります。日本の農産物の品質は高く評価されており、今後も数多くの農産品を輸出商品へと変えることは夢物語ではありません。 巷間では、耕作放棄地や農業従事者の高齢化と跡継ぎ問題などがクローズアップされており、衰退産業の代名詞のように扱われていますが、議論のほとんどは農業の保護です。 むしろ今必要なのは、浅川氏が別の論文で述べているように、農業の経営黒字化のインセンティブを働かせることにあります。そのためには、競争原理を導入して補助金漬けの体質を改善する必要がありますが、TPPがその端緒となります。→http://bit.ly/PZY4mV TPPには、全参加国の同意と約10年間の協議期間が許されているのですから、過度に恐れる必要はありません。 幸福実現党としても、「日本の農業は弱い」という農業版自虐史観を脱却し、減反などの社会主義的な政府介入を撤廃していくことが不可欠だと考えます。そして、「強い農業」を実現するためにも、TPPを通じて市場競争を強めていく中に、日本農業の再生への道があると考える次第です。(文責:中野雄太) 情報問屋・大マスコミの堕落~8/10以前と8/10以降~ 2012.09.04 8月10日、消費税増税を柱とする社会保障・税一体改革関連法が、民主、自民、公明3党などの賛成多数で可決、成立しましたが、その前後で消費税に関する報道内容が明らかに変化しました。 もとより増税の必要性の理由に関しても、当初は「日本の財政赤字を放置しておくと、ギリシャのように破綻する」という報道がもっぱらなされていました。 特に、日銀筋からは「消費税増税を行うことは、日本は財政赤字を放置しないという国際社会に対する国民の意志表示であり、これにより通貨の信認、ひいては日本国債の信認を得られる」とあたかも消費税増税による財政再建が国民の意志であるかの如きメッセージが発信され、報道機関はこれらを無批判に垂れ流しました。 また、日本の財政を家計に例え、「一人当たり750万円の借金を抱えている。孫子の代にツケを残すな」という論点で主要マスコミは一斉に報道し「財政再建まったなし」という認識を定着させました。(2/10 日経「国の借金 過去大958兆円 1人当たり750万円」) しかし、幸福実現党を含め、少なからぬ政治家、学者、評論家等より、「日本とギリシャは状況が全く違う」「日本はギリシャのように破綻しない」という議論が活発になされると、今度は、消費税増税の目的を「社会保障のために充てる」と論点をすり替えました。 さらに消費税そのものが景気に与える問題点に関する報道も変化しました。 8月10日以前は、消費税の逆進性(低所得者ほど税の負担割合が増える)の問題に関しては、「給付付税額控除(消費税負担分を低所得者に還付する制度)で対応できる」とさかんに報道されました。 この報道は「消費税が増税されても低所得者層の方々はご安心ください」というメッセージであり、事実上、消費税増税を推進するという「提灯報道」でした。 この他、8月10日以前に比較的多く報道されたものに、「現行の日本の消費税率5%は、諸外国と比べて低い」という論があります。 このことについても、単に課税率を比較するだけで、諸外国の消費税(付加価値税)の軽減税率や課税免除について触れていない不公正・不正確な報道が見られました。 このように8月10日以前の報道は、総じて消費税増税の必要性を訴える内容のものが大半でした。 HRPニュースファイルでは、「消費税増税が消費不況をもたらし、税収が増えるどころか減る可能性が高い。そして、不況をもたらし、失業者を増やし、その結果自殺者も増える可能性がある」と訴えて来ました。 個別には、「中小零細企業は消費税増税分を販売価格に転嫁できない。多くの中小零細企業の倒産・廃業を招く」と警告を発し続けて参りました。 しかし、8月10日以前は、こうした現実の切実な問題は、大マスコミと政治家、官僚の増税翼賛体制の下、無視されてきました。 しかし、8月10日以降は、驚くべきことに、大マスコミは、消費税増税が惹起する大不況の可能性、中小企業において価格転嫁が困難な問題等について、一斉に報道を始めました。 これは、増税翼賛体制の一翼を担って、増税を推進してきた大マスコミの「アリバイ工作」の一環であることは明らかです。 「アリバイ工作」とは、消費税増税が引き起こす問題点の指摘もちゃんと報道しましたよということです。 しかし、消費税増税法案の成立に邪魔にならないように8月10日以降というカッコ付の報道です。 この日本の大マスコミの堕落の本質は何か。8月31日発刊『松下幸之助の未来経済リーディング』(大川隆法著、幸福の科学出版刊)に、ズバリその本質が説かれています。 現在のマスコミの機能について「政府に媚を売って情報を取り、それを卸し、国民に売っているだけの商売人。それだけの機能。こういう情報問屋は、現代のインターネット社会では、もうすぐ潰される時代に入る」と喝破しています。 本来、自由な情報の流通を、阻害しているのが「情報問屋」たる政商・大マスコミです。今後、「政商」と化したマスコミは、インターネットの浸透により淘汰されていくことは間違いありません。 幸福実現党は、国民生活の繁栄のために、堂々と正論を展開して参ります。(文責・加納有輝彦) すべてを表示する « Previous 1 … 213 214 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