Home/ 新着一覧 新着一覧 今こそ日本は「円国際化」の国家目標を掲げよ! 2014.03.03 文/HS政経塾2期生 川辺賢一 ◆「金融版CIA」米財務省の活躍 3月2日の日経朝刊には、イランで米欧と対話を望むロウハニ大統領を誕生させ、同国を交渉の場に引きずり出した影の立役者として、「金融版CIA」というべき米財務省の活躍に焦点を当てたコラムが載せられています。 当記事の要点としては、(1)05年北朝鮮への金融制裁は予想外の効果を発揮し、イラン制裁の雛形になったこと、(2)基軸通貨ドルによる国際決済網によって米財務省はドル決済に関わる不審な取引を次々と暴くことができること、(3)金融制裁の効力は対象となった国だけでなく、世界中の銀行もドル決済が出来なくなることを恐れるため、波及的に広がることです。 このように基軸通貨ドルによる国際決済網は米国最大の情報源の一つであり、外交評論家の岡崎久彦氏も指摘するように、基軸通貨国による金融制裁は国際政治の中で使える軍事力以外の有効な手段です。 参照:「金融制裁の効果」岡崎久彦氏 http://blog.canpan.info/okazaki-inst/archive/166 ◆矛盾を抱えつつ国際化を目指す中国人民元 さて中国では2011年、中国全土での元建て貿易決済が解禁され、2013年1~6月の人民元建貿易決済額は前年度比で64%も増加しています。さらに先月21日、上海自由貿易試験区が始動し、試験区内での資本取引の自由化が解禁されました。 このように中国は人民元の取引規制を段階的に緩和し、ドルやユーロ、円、ポンドに並ぶ人民元の国際化を推し進めていく戦略です。 一方で中国は急速な資金流入による元高を恐れ、先月26日には大幅な元売りドル買介入に乗り出しました。中国は試験区内で外国から資金を受け入れつつ、別のところで資金を吐き出す、矛盾した政策をとっていると言えるでしょう。 つまり上海自由貿易試験区での資本取引解禁といえども、人民元の為替レートを政府が人為的にコントロールできる範囲の自由化であり、人民元の本格的な国際化にはさらなる中国経済の成熟が不可欠であるということです。 しかし中国は矛盾を経済成長で解消してしまおうという戦略です。私たちは中国の人民元国際化戦略を軽視すべきではありません。 もしもアジアが人民元の海になってしまえば、アジアの国々は貿易決済をするにも元が必要になり、文字どおり中国に生殺与奪の権を握られてしまいます。さらに米国の金融制裁にも抜け穴ができてしまいます。 ◆元襲来を打破し、日本は「円国際化」の国家目標を掲げよ! さて米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は先月11日の議会証言で米国内景気の後退のみが金融政策の方向性を左右すると述べ、新興国の通貨不安やインフレについて配慮する姿勢を示しませんでした。 現在アジア地域の貿易や投資においてはドル建ての取引が圧倒的なウェイトを占めており、何らかのショックや米国の政策転換によって世界でドルへの需要が高まると、アジア新興国では輸入代金支払いや借入金返済のためのドル資金がひっ迫し、危機へとつながります。 今回の量的緩和縮小が示すように「過度なドル依存」はアジア新興国経済に危機を呼び込みます。アジア地域と緊密な関係にある日本経済にとっても、アジア新興国の「過度なドル依存」問題は他人事ではありません。 アジア新興国経済の安定化のためにも、日銀は米連銀に代わって追加金融緩和を打ち出し、日本政府はアジア地域での円建ての国際決済を増やしていくべく「円国際化」の国家目標を掲げるべきです。 既述の通り、中国は矛盾を抱えながらも着々と人民元の国際化に向けた取り組みを進めております。 今こそ日本政府は元襲来の危機に備え、円でアジア太平洋地域を一つにしていく、21世紀の対外経済戦略を構築していくべきです。 マスコミが伝えるべき北朝鮮「人権蹂躙」の真実 2014.03.02 h4 class=”padding-top-xlarge”>文/政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆映画「北朝鮮強制収容所に生まれて」が公開中! 3月1日より東京都内で映画「北朝鮮強制収容所に生まれて」が公開されています。 この映画はタイトル通り、生涯出ることができないと言われる北朝鮮の「完全統制区域」で、収容者同士による結婚によって生まれた申東赫(シン・ドンヒョク)さんの壮絶な生涯を描いたドキュメンタリー映画です。 この中でシンさんは、生まれながらの「政治犯」として扱われます。最初の記憶は、公開処刑の銃声の音で、食事はわずかなトウモロコシと白菜汁。空腹に苦しみながら6歳で炭鉱での重労働に繰り出されます。 最も悲劇的なシーンは、家族同士の監視を義務付けられ、シンさんは14歳の時に母親と兄を「脱走を企てている」と密告し、その結果、目の前で母は絞首刑に、兄は銃殺刑に処される部分です。 映画「北朝鮮強制収容所に生まれて」公式webサイト http://www.u-picc.com/umarete/ ◆釈党首とシンさんが対談 いわば隣国ともいえる北朝鮮の実態について描かれているリアルな映像に、愕然とされると思いますが、映画公開に合わせ来日した機会に、幸福実現党の釈量子党首が、シンさんと対談を行いました。 「ザ・リバティweb“釈量子の獅子奮迅特別版”」では、その対談の様子を読むことができます。 「北朝鮮強制収容所に生まれて」に出演の脱北者 申東赫氏スペシャル対談 – 釈量子の志士奮迅 http://the-liberty.com/article.php?item_id=7405 釈党首は、6年前にこの原作を発刊直後に読んでおり、今回の対談をすることに不思議な縁を感じていたそうです。 この中で、奇跡的な脱出をしたシンさんが、今何を感じているのか、これから何を行いたいのかがよくわかります。 そして、今、日本が当たり前のように享受している「自由」という価値観が、飛行機で日帰りできるほど近くに存在する国家であるにもかかわらず、まったく通用していないという事実を改めて痛感することができます。 ◆「自由」のない北朝鮮で起きる悲劇の数々 この映画ではマスコミで報じられていない北朝鮮の実態が明らかになっています。そして、今この時にも、シンさんが体験した人権蹂躙が国民に対して起き続けているのです。それは、金正恩氏以外のすべての北朝鮮国民に当てはまります。 昨年末、北朝鮮のナンバー2と言われた張成沢(チャン・ソンテク)氏が突如逮捕、公開処刑されたショッキングなニュースがありました。 現在、この張氏の後にナンバー2となったのが、崔竜海(チェ・リョンヘ)氏といわれているのですが、3月1日付「朝鮮日報」web版によると、なんと崔氏がすでに監禁されているらしい、というのです。 この他に、国防の観点からも見逃せないニュースとして、2月27日、北朝鮮が短距離ミサイル4発を日本海に向けて発射した事もあげられます。 この国には、私たちが当たり前のように思っている近代的な法治主義という考えがなく、いわゆる「人治主義」が堂々とまかり通っていることがわかります。 こうした実態については、残念ながら日本のマスコミはあまり報じることがなく、わずかに拉致被害者や、そのご家族の動向だけが明らかになるだけです。 ◆国益に基づいた報道が始まったNHK――籾井会長に支援の声を! 残念ながら、戦後一貫して日本のマスコミは、国益を目指す報道が少なかったといえます。特に「公共放送」と称して国益から外れた放送を行っても何ら反省の色を見せることがなかったNHKには、勇気を持った報道姿勢を示していただきたいのです。 そうした意味で、はっきりと国益を念頭においた経営判断を行う籾井新会長には、大きな期待を寄せるものです。 残念ながら、マスコミや国会では、現時点でも籾井会長に対しての批判は続いています。私は、マスコミとして問われるべきは、その放送の中身であるべきであると思います。そしてその内容がマスコミの使命に基づき、国益に則ったものであれば、逆に賞賛すべきではないでしょうか。 例えば、最近の事例を言うと、2月28日の朝のNHKニュースで、日本統治下の台湾で甲子園に出場し、準優勝した「嘉義農林」のことを伝えた親日的な映画(「KANO」)が上映されると報道していました。 これは、当時の日本の台湾統治の中で、台湾の人たちに対しても尊重する気持ちがあった事実を伝えるもので、国益にかなった報道です。こうした傾向が出てきたことは、籾井会長の影響であると思われ、賞賛すべきことではないでしょうか。 もし、皆さんがご覧になって国益の立場からよい報道、番組があれば、遠慮なくNHKに激励の電話を入れていただきたい。これが籾井会長のマスコミ改革を押し進めることにもなるのです。 ◆すべては一人ひとりの幸福のために 私たち幸福実現党は宗教政党として、今後も広く北朝鮮の実態を国民に伝え、また、人権蹂躙がまかりとおっている現状をそのままにしてはいけないと考えています。 それは、一人ひとりが仏の子として大切な存在である、と考えているからです。 日本国民の生命や財産を守る立場から、また、北朝鮮の国民も同じ人間であるという宗教的人道的な視点から、弊党としても北朝鮮の悲劇の実態を全世界に広め、あるべき民主的な体制移行を求めていく活動を展開してまいります! いわゆる「従軍慰安婦」を検証し、今こそ日本は世界に発信せよ!(2) 2014.03.01 文/幸福実現党政務調査会 佐々木勝浩 ◆河野談話――政府検証チームを設置へ 28日、菅官房長官は衆院予算委員会で、慰安婦募集の強制性を認めた平成5年の「河野談話」をめぐり、作成段階で韓国側とすり合わせを行った経緯を調査する「検証チーム」を政府内に設置することを明言しました。 ※2/28産経「政府検証チームを設置 官房長官が明言本人聴取も排除せず」 http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140228/plc14022821370024-n1.htm 菅官房長官は、記者会見で、検証内容は「国会から要請があれば提出する」とし、検証過程で河野氏への聴取も排除しない考えも示しています。これはこれまでの政府の立場からすれば大きな前進と言えます。 ちなみに、弊党が取り組んでいる「『河野談話』の白紙撤回を求める署名」運動は、3月1日現在、党本部に到着している数は、約2万9000筆です。現在も全国で活動中ですが、皆様の精力的な活動にこの場をお借りし心より感謝申し上げます。 この活動は4月5日まで取り組み、内閣府を通して安倍首相宛に提出致します。 「『河野談話』の白紙撤回を求める署名」ご協力のお願い http://info.hr-party.jp/2013/2524/ 韓国は、いわゆる「従軍慰安婦」の嘘を世界に吹聴し日本包囲網を形成しようとしていますが、今回は、「従軍慰安婦」を広めたのは、実は日本人だった!――ということを明らかにします。 ◆「従軍慰安婦」――吉田清治著「私の戦争犯罪-朝鮮人連行」の捏造 「従軍慰安婦問題」がクローズアップされるきっかけとなったのは、1983年に発刊された吉田清治著『私の戦争犯罪-朝鮮人連行』(三一書房)です。 この中で吉田氏は「日本の軍人が韓国の済州島で、赤ん坊を抱いたお母さんや若い未婚の女性を狩り立て、あたりかまわずトラックで連行した」と「日本軍による慰安婦の強制連行」を記述し、日韓に衝撃を与えました。 ところが、これに疑問に思った1989年8月14日、韓国済州島の地元紙『済州新聞』が地元で取材した結果、「『私の戦争犯罪』は捏造」(強制連行の事実は無かった)と報じました。 更に1992年3月、現代史家の秦郁彦氏が、吉田氏の「慰安婦狩りを行った」という証言について済州島で現地調査を行いましたが、まったく裏付けは取れませんでした。 当時を知る島民は「この島(済州島)で人間狩りが起こったら大騒ぎになって誰でも知っているはずだが、そんな話は聞いたことすらない」との証言をした。 (文藝春秋『昭和史の謎を追う』1993年3月号)。 追い詰められた吉田氏は「本に真実を書いても何の利益もない」「人間狩りを行なった場所がどこであるかについては創作を交えた」と捏造を認めました。(『週刊新潮』1996年5月29日号)。 吉田氏の証言は、つじつまが合わなくなり、場所はわからないと誤魔化しましたが、その後どこの場所だったかの訂正もしていません。 ◆当時「慰安婦」はいたが、「従軍慰安婦」はいなかった 吉田氏が悪質な点は、事実を捏造したばかりではなく、いかにも軍が慰安所を経営していたように見せるため「従軍慰安婦」という言葉をつくり上げた点です。 当時「従軍記者」はいましたが、その「従軍」と「慰安婦」(民間業者が運営)を結び合わせて、あたかも日本軍が韓国人女性を慰安婦として強制連行し連れまわしていた印象を抱かせるイメージをつくり上げたのです。 もちろん、当時「慰安婦」はいましたが、当時「従軍慰安婦」という言葉はなく、戦後になって日本人が意図的につくり上げた言葉だったのです。 このように自国を貶める行為を日本人自身がやったというこの事実を見逃してはなりません。 次回は、「日本軍は、韓国人女性をセックス・スレイブ(性奴隷)にした」という認識について、実は「セックス・スレイブ(性奴隷)」という言葉をつくったのも、広めたのも、韓国人ではなく日本人だったという事実を明らかにします。 「海洋大国・日本」―新たな国家ビジョンと安全保障【連載第10回】(最終回) 2014.02.28 文/幸福実現党総務会長兼出版局長 矢内筆勝 《日本よ、誇りを取り戻し、新文明創造の気概を持て!》 ◆日本の国防 今回の論考では、日本がいかに膨大なエネルギーと鉱物、食料資源に恵まれた夢のような国家であるのかを紹介しました。 そして、その「宝の山」を、隣国中国が凄まじい勢いで軍事力を増強させ、奪取せんとしている事実を明らかにし、如何にすれば、その国家的な危機から、日本が国家と、国民の生命、財産、安全を守れるのかを述べてきました。 結論として述べておきたいのは、21世紀のアジアと世界の平和と安全、自由と民主主義を守るために、日本人は今こそ、本来の自信と誇りを取り戻し、自らの使命と責任を果たさなければならない、ということです。 ◆日本の誇りを取り戻せ! 戦後日本人は、アメリカの占領政策の一環として、日本は戦前アジアを侵略した悪い国家であるという「自虐史観」を植え込まれてきました。 その結果、日本はかつての自信と誇りを失い、安全保障すら他国に委ねて経済的な繁栄のみを追い求めるという、属国的な「商人国家」の道を歩んできたのです。 しかし、そうした「日本悪玉説」は、占領国や日本を憎む一部の周辺諸国のプロパガンダに過ぎません。かつて世界は、16世紀から500年もの長きにわたって、白人列強の人種差別と植民地政策によって蹂躙されていた歴史があります。 白人優位説のもと、有色人種は人間として扱われず、まるで牛馬のように使役され、奴隷にされ、虐殺され、収奪されていました。 そうした暗黒の時代を打ち破るべく、立ち上がった誇り高き国家、国民こそ、日本でした。そのために先の大戦では実に300万人もの国民の尊い命が失われましたが、その結果、東南アジアの植民地は欧米の植民地から独立できたのです。 これを機に世界は人種差別を撤廃へ舵を切り始めました。人間が人種を問わず平等に扱われるという理想が実現したのです。 ◆日本人の使命 この「人類の平等」という日本人の確信は、数千年の歴史の中で培われた仏神への信仰と、人間がその仏神によって創られたという、「仏の子」「神の子」であることへの、確信から生まれたものです。 日本人は、そうした仏神への信仰と、そこから生じる普遍的価値を実現するために、武士道精神を持って、身を挺して戦い、新しい時代を拓いたのが、明治維新以降の日本の真実の歴史です。 そして今、世界の覇権大国であったアメリカが財政・国内問題によって、世界の警察を止め、その影響力を急速に失いつつある今、時代は再び、日本がアジアの自由と繁栄の擁護者、盟主として、新しい使命を果たすことを求めています。 その「使命」が如何に大きなものであり、仏神の意を受けたものであるか--それは、この時期に合わせたように、国連海洋法条約が制定され、日本の排他的経済水域内に、他国から見れば垂涎の的以外の何ものでもない、膨大なエネルギー資源の存在が明らかになってきたのです。 ◆太陽の昇る国、日本 そうした日本の歴史的使命の観点に立って考えれば、眼前に迫る中国の脅威も、日本が独立国家として目覚め、国家としての気概と武士道精神を取り戻すために立ち現れた「砥石」に過ぎません。日本を「本物のリーダー国家」たらしめるために、天が与えた試練であると捉えることができます。 日本はいよいよ、戦後に捏造された自虐的で捻じ曲げられた歴史観を払拭し、真実の国家と民族の誇りと自信を取り戻さねばなりません。 そして一国平和主義ではなく、アジアと世界のために貢献するという本来の使命を自覚して、雄雄しく立ち上がらなければならない秋(とき)を迎えているのです。 「この国に再び日を昇らせて、世界の太陽とせん」(『 天照の御教えを伝える 』 大川隆法著 幸福の科学出版) 日本が再び「太陽の昇る国」として、光輝く時代を創るために、必要なエネルギーや資源も、国際政治の舞台も、そして方法論もすでに与えられています。 あとは、「やるか、やらないか」――私たち日本人一人ひとりの意識と自覚、そして行動にかかっているのです! 「出ずるを制して入るを量る」国家財政の実行を! 2014.02.27 文/HS政経塾1期生 伊藤のぞみ ◆法人税率引き下げと税収増を両立した独・英・韓 先週20日、政府の経済財政諮問会議の民間議員は、法人税を減税しながら税収が増えた英国、ドイツ、韓国の事例について報告書を発表しました。 1995年から2012年にかけて実効税率を24.9%下げたドイツは5.6%、9%下げた英国は年平均4.8%、2000年から12年までに6.6%引き下げた韓国では9.4%法人税の税収が増加しています。 税率を下げ税収を増やすことに成功し、モデルとなっているのがアメリカのレーガン政権二期目の法人税改革です。 当時46%だった法人税率を34%まで引き下げながら、重厚長大産業に対する特別措置を廃止することで課税ベースを増やし、法人税収を増やしました。 今回の分析を受けて、報告書では「アベノミクスの成果による税収増の還元などによって、(法人税率をアジア主要国並の)25%の水準に引き下げていくべきだ」と提言をまとめています。 ◆減税による税収増のポイントはデフレ脱却と景気回復 ただし、単純に法人税率を下げれば税収が増えるわけではありません。減税による税収増を実現するためには、景気回復とデフレ脱却が必須です。 日本においては、1999年と2004年の2回にわたり、法人税の実効税率を49.98%から39.54%に10.4%減税しましたが、残念ながらデフレによる景気悪化の影響で、法人税収は1.7%減少しています。 昨年から続く金融緩和でデフレ脱却の期待がありますが、4月からの消費税増税で、景気回復、デフレ脱却ともに難しくなります。 消費税の増税が景気を悪化させるのは、説明するまでもありませんが、補足すると、2013年10月から12月期の経済成長率の速報値は年率換算で1.0%と前期から落ち込んでいます。 甘利経済産業大臣は「民間需要を中心に景気が着実に上向いている」(2月17日)と発言していますが、消費税増税前の駆け込み需要であり、増税後の消費の冷え込みを楽観することはできません。 消費税増税は景気を後退させるだけでなく、デフレも悪化させます。デフレは需要の不足、供給の過剰によって発生します。 消費税の増税は企業の投資と個人消費を減らし、経済全体の需要を引き下げるので、デフレは長期化します。法人税減税で税収増を実現したいのであれば、デフレ脱却、景気回復は必須であり、消費税は増税すべきではありません。 ◆減税のために必要な社会保障改革 もうひとつ、減税の議論が出るたびに、問題となるのが増えていく一方の社会保障給付費です。国民医療費(公的保険が適用される医療費の総額)は2011年度で38.5兆円と過去最高を更新し、13年度には40兆円を突破する見込みです。 また、介護保険に関しても、2012年の8兆円から2025年には20兆円に増加すると予測されています。2012年度末、53兆円を超えた年金の給付も、2025年には60兆円を突破し、社会保障給付の総額は149兆円に上ると言われています。(厚生労働省試算) 「増え続ける社会保障費にいかに対応するか」 政府の回答は以下のような形です。 ・年金からの収入が年280万円を超える高齢者と、所得から経費を引いた年収が160万円以上ある自営業の高齢者が介護を受けるさいの負担を1割から2割に ・40歳から64歳が負担する毎月の介護保険料が4972円から5273円に ・国民年金の保険料が7%引き上げ(新規加入者に関して) 「給付をいかに増やさないか」ではなく、「負担を増やす」変更が目白押しです。 こういった「改革」で介護保険給付費を年1430億円抑制できると厚生労働省は試算していますが、8兆円から20兆円に増加する介護保険給付費にとっては焼け石に水です。 経営の基本として、「出ずるを制して入るを量る」ということが言われています。まだ入ってきていない収入を期待して、支出を決めるのではなく、まず出ていくお金を最小限に抑え、収入を増やす工夫をすることです。 国家財政の経営を見ると、全く「出ずるを制して」いません。現在の国家財政にとって必要なことは、この「出ずるを制す」仕組みです。 ◆生涯現役―日本モデルの高齢社会を発信せよ 昨年、65歳以上の就業者数が41万人増加し636万人となり、就業者全体のうちの1割に達したという発表がありました。 ※『高齢者が働く人の1割に』日経新聞電子版 http://www.nikkei.com/article/DGXNZO66980330Y4A210C1MM8000/ そして、増えたうちの6万人が建設業に就職しています。高齢の就業者に似つかわしくないと思える業種ですが、2020年の東京五輪開催に向けて、技術に信頼のおける高齢者を即戦力として積極的に採用したいと考える企業もあるようです。 年齢に関係なく働けることは、健康の維持にもなり、働いている人が多い地域は、一人当たりの医療・介護費が低いともいわれています。 社会保障において「出ずるを制す」もっとも根本的な政策は、年齢に関係なく健康で働くことができる社会をつくっていくことです。そして年金に頼るのではなく、生涯現役で活躍できる日本モデルの老後を世界に発信するべきときです。 参考文献 大川隆法『未来創造のマネジメント』(第二章デフレ時代の経営戦略) いわゆる「従軍慰安婦」を検証し、今こそ日本は世界に発信せよ!(1) 2014.02.26 ◆河野談話――韓国元慰安婦証言の裏付け調査なし 文/幸福実現党政務調査会 佐々木勝浩 慰安婦募集の強制性を認めた平成5年の「河野談話」について、2月20日の衆議院予算委員会で、当時事務方のトップであった石原信雄元官房副長官は、韓国元慰安婦16人の聞き取り調査について、裏付け調査をしなかったことを明らかにしました。(2/21産経) 普通は日本の警察でも、犯罪に対する証言を得れば、裏付け捜査をするものですが、言わば聞き取り証言のみで調査検証することなく日本の非を認め、日本政府は韓国に謝罪してしまったのです。 これは、当時を真面目に生きていた先人に汚名を着せ、また日本の国民の血税から韓国に賠償することでもあり、汗水を流して働いてきた私たち日本国民を本当にバカにしています。2月25日産経新聞の世論調査では、「河野談話を見直しすべきだ」との回答が58%に達しています。 ◆中韓が仕掛ける日本包囲網 また「慰安婦問題」と安倍首相の「靖国参拝」も絡めて中国と韓国は、日本の悪玉史観を世界に吹聴して日本包囲網を形成しようとしています。 2020年には、東京オリンピックもありますが、中韓が世界を巻き込んで東京オリンピックをボイコットという筋書きも否定はできません。 これまで日本は韓国に対しても反論してきませんでしたが、「否定しないことは認めたこと」になる国際社会で、「言挙げしない」ことが美徳とされてきた日本文化が、さらに日本の立場を悪化させています。 いま、日本の汚名を払拭できなければ、東京オリンピックを起点とした2020年以降の「ゴールデン・エイジ(「日本の黄金時代」)の到来にも悪い影響を与えてしまいます。 日本の国際的信用を失えば、今後日本から発信される「発言」「思想」「宗教」までも信頼されなくなるでしょう。「河野談話の白紙撤回」は、まさに日本の国際社会での信用回復までつながっているのです。 そこで、この「慰安婦問題」について世界に説明する立場から論点を整理しておきます。(英訳し世界に発信することも考えています。) ◆韓国の言い分――「日本は韓国人女性を20万人強制連行した」 反日を国策とする韓国は、たとえば1997年に韓国で使用されている国定歴史教科書のうち中学校の教科書で、「女性までもが挺身隊という名でひいて行かれ日本軍の慰安婦として犠牲になった」と子供たちに教育しています。 さらに高校の韓国の教科書にも「女性たちまで挺身隊という名でひいて行かれ、日本軍の慰安婦として犠牲になった」と記載されています。(参考:平成9年3月12日参議院予算委員会答弁) こうして韓国は「従軍慰安婦問題」で日本を謝罪に追い込み賠償請求の「外交カード」として使うようになりました。 ◆工場で働く「女子挺身隊」を「強制連行し慰安婦にした」と捏造 しかし歴史的真実は、日本軍が「韓国人女性を20万人強制連行し慰安婦にした」事実はありません。 当時、男子が兵隊として戦場に行っているので、若い女性を動員して工場で働いてもらいましたが、それを「女子挺身隊」といいます。その「女子挺身隊」を、韓国は「強制連行して慰安婦にした」と教えているのです。 そもそも、海外に配置された日本軍はアジア・太平洋全て合わせて約355万人で、20万人もの慰安婦が「従軍」していたということはあり得ない数字です。 米国議会調査局の報告書でも2007年、「日本軍による女性の強制徴用」について以下のような趣旨の見解を示しています。 「日本軍はおそらくほとんどの徴募を直接に実行はしなかっただろう。とくに朝鮮半島ではそうだった」「日本軍による20万人女性の性の奴隷化という表現で非難する日本軍による組織的、政策的な強制徴用はなかった」(2007/4/12産経新聞) 以上が韓国の言い分で、「日本は韓国人女性を20万人強制連行した」は、韓国側の捏造であり、歴史的事実とは異なります。 実は、韓国が捏造し日本を追い込むことについても許せないことですが、実は、日本人自らが、韓国の言い分を勢いづかせる捏造をしています。 次回より、日本人が捏造した「従軍慰安婦」「セックス・スレイブ(性奴隷)だった」について反論を加えます。 零戦と日本人――特攻の精神~特攻に散華した英霊に畏敬の念を込めて(4) 2014.02.25 文/岐阜県本部副代表 河田成治 【「大和魂」の復活】 ◆今、なぜ、「永遠のゼロ」なのか? 映画「永遠のゼロ」は、死生観とは何か?家族や愛する人を護るとはどういうことだったのかを考えさせてくれる、素晴らしい作品でした。 わずか70年前に、命を散らして戦った私たちの先祖がいたこと。その事実を自らに付きつけて未来を照らすことが、これからの日本の繁栄のために、どうしても必要であると思います。 先人の示された「武士道」「大和魂」。かつて明治期に活躍した新渡戸稲造先生は、ベルギーの学者に、「日本には宗教教育がないのに、どうやって道徳を教えているのですか?」と聞かれたことがきっかけで、日本人には「武士道」があると気づき、世界に「武士道」の精神を広めました。 「武士道」は日本精神であったと思います。江戸時代は江戸幕府への忠義として、明治以降は、天皇を通じて、日本の神々への尊崇と信仰が、行動規範の根幹にありました。 戦後、徹底的な日本神道への弾圧がかかると、「武士道」は会社への愛社精神と変身して、日本が大発展する精神的柱となりました。 しかしバブルの崩壊とともに、終身雇用制が失われ、転職が当たり前となり、フリーターが珍しくなくなったことで、最後の「武士道」の火が消えたのではないかと考えています。 これがバブル崩壊後に「失われた20年」と言われるような、日本が漂流した真の原因ではないでしょうか。特攻隊員の死を無駄にしないためにも、私たちは、次の世代に繁栄した日本を残す義務があります。 日本人が精神的主柱を打ち立てること。これは単なるモラルの問題ではなく、これからの未来を拓くための重要な根幹であると思います。 ◆いまこそ、日本人の誇りと気高い「大和魂」を復活させるとき 特攻隊員の遺志は、日本の繁栄となって一部は報われた、とは思います。しかし、大和魂は、戦後教育とバブル崩壊で消え失せました。 本当に残すべきは、日本人としての誇りであり、大和魂であると思います。 いま、なぜ、「永遠のゼロ」が流行るのか?それは神々による、日本人としての気概、「大和魂」「武士道」精神を取り戻せという指導が臨んでいるように感じてなりません。 「永遠のゼロ」のような小説や映画のヒットは、偉大なる日本精神が復活していく予感を感じさせます。 また岐阜県は、特攻潜水艦である「回天」を考案し、自らが「回天」に乗り込んで初の殉職者となった黒木少佐の出身地です。黒木少佐は、出身地である下呂市の神社に祭られています。 私たち国民は、日本を支えてこられた諸先輩への心からの尊敬と、日本は素晴らしい国であるとの認識を持つべきです。 また、国防の危機に際しては、命がけで護ってこられた日本を、今度は私たちが護り切ることが求められます。そのためには、憲法9条の改正と集団的自衛権がどうしても必要です。 政府には、一刻も早く国防体制を整え、アジアや世界のリーダー国として、充分な責任を果たしていくことを望みます。 そして、私たちも偉大なる先人を輩出し続けてきたわが国を、本当の意味で「神国・日本」にすべく努力精進して参りたいと思います。 中国による「日本脅威論」に警戒せよ! 2014.02.24 文/HS政経塾3期生 和田みな ◆浮上した日本の「核兵器脅威論」 2月19日、中国共産党の機関紙『人民日報』の日本語版サイトである「人民網」に「日本の兵器級核物質保有に国際社会が警戒」という見出しの記事が掲載されました。 内容は、日本が国内に保有するプルトニウムの量は非常に多く、「世界の平和と環境にとって大きな潜在的脅威」であるというものです。 また、冷戦時にアメリカから研究用に提供されたプルトニウム331kgは核兵器40~50発の製造に十分な量であり、もはや「兵器級」であると指摘しました。 さらに、オバマ大統領が2010年からこのプルトニウムの返還を求めてきたことは、日本が軍事目的にプルトニウムを使用する懸念をアメリカが持っているためであると述べられています。 ◆加速する「日本脅威論」 このような中国による「日本脅威論」は今年に入り顕著になりました。 中国人民解放軍の機関紙『解放軍報』は今年の年初の1月1日、「2013年世界核兵器動向分析」という記事の中で、「日本は既に(中略)核爆発装置2~5個を秘密裏に製造したか、もしくは製造中の可能性がある。」と指摘し、危険性をアピールしました。 また、2月17日と20日、中国外交部(外務省)は定例会見において、2度に亘って日本による大量の核物質国内保有をけん制するコメントを表明しました。 内容は「世界の平和と地域の平和・安全に対する潜在的危害を軽視できない。」、「我々は日本側に対して、核不拡散の国際義務を厳格に遵守し、(中略)国際的約束を的確に履行するように改めて要求する。」というものでした。 【論点1】日本は査察を受け入れず、説明を行っていない? 中国紙の記事や中国政府が述べている「日本脅威論」は的を射ているのでしょうか?前掲の人民網の記事の内容を2つの点から検証してみましょう。 1つ目は、「日本は世界に納得のいく説明をし、国際機関の査察を受け入れるべき」という指摘です。 日本は、これまで世界で最も厳しい基準でIAEAの査察を受け入れている国であり、過去には2004年にその姿勢が評価され、「日本に核兵器開発の疑いはない」というコメントももらっています。 また、エネルギー自給率が4%と非常に低い日本のプルトニウム保有は「平和利用」のためであると説明がつきます。 一方の中国は、核不拡散防止条約(NPT)が制定された1963年時点で核兵器保有国であったため、核兵器を持つことを認められており、査察を受け入れる義務を持たない国です。 そのため中国が保有する核弾頭の正確な数は不明なままであり、世界が核軍縮に進んでいる近年、その数を増加させているという疑惑もあるという現状なのです。 【論点2】日本の「狂った行為」とは何なのか? 2つ目として、同記事では「日本の狂った行為を連携して阻止しなければならない」、「日本は数十発の核弾頭を製造でき、その結果は考えるだけでぞっとする」と述べられています。 しかし、中国は現在、少なくても390発以上の核弾頭を所持しており、1996年までの32年間で46回の核実験が行われ、その核実験による被害者は129万人、75万人が死亡したという研究もあります。 以上2点から、日本と中国のどちらが「危険な国」かということは火を見るよりも明らかです。このような中国に日本をとやかく言う資格はないはずです。 ◆中国の狙いは? このような記事を中国側がこのタイミングで出してくる意図はどこにあるのでしょうか。安倍政権の集団的自衛権容認や憲法改正の動きへの牽制、人民解放軍による軍事行動の正当化など様々考えられます。 しかし、今回の中国政府の狙いとしては、3月24日25日にオランダで開かれる「核安全保障サミット」にあると推測できます。 このサミットは2010年にオバマ大統領の提唱で始まったもので、今年で3回目の開催となります。今年はこのサミットに、オバマ大統領をはじめ、安倍首相、習近平国家主席、朴大統領など各国首脳が訪れる予定になっています。 中国は、このサミットで自国の軍拡を棚に上げて、「日本脅威論」を唱える気なのではないでしょうか。 中国としては、サミットの提唱者であり、日本にプルトニウムの返還を求めているオバマ大統領を中国側の味方に付けることで、日本の危険性を世界中にアピールする絶好の機会になるはずです。 ◆「真の正義」の下に団結せよ! 中国政府は、近年の日本による「中国脅威論」に悩まされてきました。その打ち返しとして、今年に入り人民網(1/21)では「西側メディアが『日本の脅威』を直視すべき時が来た」と題する記事が掲載されました。 この記事は「西側メディアは責任を担い、『日本脅威論』を大きく伝え、日本右翼勢力を袋叩きの対象とし、国際正義勢力の大団結を促し、金城鉄壁によって日本軍国主義の復活を阻止しようではないか。」という過激な内容です。 また中国政府は、第二次世界大戦時の戦勝国であるロシア・イギリス・フランスなど「かつての対日共闘の同志」を中心に、戦後秩序の堅持を主張する外交を展開しています。 中国政府は今、幸福実現党が2009年から訴えてきた「中国脅威論」から「日本脅威論」へと世界の国々の考えを転換させようと言論戦・思想戦を仕掛けてきているのです。 オバマ大統領や安倍首相にはこのような中国の作戦に踊らされることのない「真の正義」に基づいた外交を押し進めていただきたいです。 参考:人民網 http://j.people.com.cn/ 「海洋大国・日本」―新たな国家ビジョンと安全保障【連載第9回】 2014.02.23 文/幸福実現党総務会長兼出版局長 矢内筆勝 《海洋開発と「太平洋自由連合」構想》 前回は、国防の面で、中国のミサイルから日本を守るためには、具体的にどのような「抑止力」が必要か論じましたが、今回は外交の側面から「海洋開発」を見据えた「太平洋自由連合」構想について紹介します。 ◆海洋開発と「太平洋自由連合」構想 まずは、日本は早急に日本の領海、排他的経済水域内の資源とエネルギーの調査・開発を、国家プロジェクトとして、総力を挙げて推進することです。 日本はこれらの海底に眠るエネルギー・資源を世界に先駆けて開発し、新産業としての海洋資源産業を立ち上げ、「資源大国日本」へと変貌を遂げなければなりません。 日本は海洋資源調査船や地球深部探査船、海中ロボットなどにおいては、世界屈指の高い技術力も有しているものの、これまで資源を海外から輸入に依存していたために海洋資源開発技術において、欧米に大きく水をあけられています。 そこで今回は、技術開発や安全保障強化の観点から、日本の領海、排他的経済水域内と太平洋での、日本とアメリカを中心とした環太平洋諸国との共同開発プロジェクトを提案します。 日本単独の開発だけでなく、広く日本の海洋権益が及ぶ海域での海洋開発に、アメリカやオーストラリア、ASEAN諸国の外国企業に事業への参加と投資を呼び掛け、「自由主義先進国との共同プロジェクト」とすることです。 ◆南満州鉄道の教訓 かつて日露戦争直後に、満州の権益をめぐって、アメリカの鉄道王ハリマンが、日本に南満州鉄道の日米共同経営を提案してきました。 一旦は、首相・桂太郎、元老・井上馨、同じく伊藤博文、財界の渋沢栄一らが協同経営の予備協定まで結びましたが、当時の外相・小村寿太郎が猛烈に反対し、同協定は破棄されました。 これが、アメリカの怒りを買って、日米の亀裂を生み、その後の排日運動や日英同盟の破棄、日米戦争へとつながっていったのです。 上智大学名誉教授の渡部昇一氏は、このハリマン事件について、「もし、『ハリマン構想』がそのまま実現していたら、その後の日本の運命は大きく変わっていたであろう」と述べています。 (『まさしく歴史は繰りかえす―今こそ「歴史の鉄則」に学ぶとき』 渡部昇一著 クレスト社) 日露戦争でロシアに勝ったとはいえ、中国大陸からロシアの勢力が消えたわけではなく、ロシア軍はなお北満州に展開し、南下の機会を狙っていました。 この状況的をみても、日本一国で南満州鉄道を維持するのは、軍事的にも財政的にも大きな負担がかかります。もし、ロシアが南満州を狙って南下しようとすれば、アメリカはロシアに圧力をかけるでしょう。つまり日米合弁で鉄道経営をすることは日本の「安全保障」にもつながるのです。 アメリカにとっても『ハリマン構想』は意義あるものでした。なぜなら当時、シナ大陸に進出していたのはイギリス、フランス、ドイツ、日本といった国々であり、アメリカは大陸に利権を有していなかったからです。 『ハリマン構想』を日本が受け入れた場合、賛成外交面からみても、アメリカは日本との友好関係を重視せざるを得ません。 ◆環太平洋自由主義諸国との「防衛と繁栄のための共栄圏」構想 当時の「満州」を「南シナ海、東シナ海、西太平洋」に、当時の「ロシア」を「中国」に置き換えれば、状況は現代も同じです。 中国の狙う「資源の宝庫」を、可能な限り、日米とアジア諸国が共同参加する開発プロジェクトにすることで、一帯を、アメリカを引き込んだアジアと環太平洋自由主義諸国との「防衛と繁栄のための共栄圏」とすることが可能となります。 次回最終回では、これまで論じてきたことを踏まえて「日本よ、誇りを取り戻し、新文明創造の気概を持て!」と題してお送りします。 自由と未来を守るために、日本は台湾を守りぬけ! 2014.02.22 文/HS政経塾1期生 兵庫県本部副代表 湊 侑子 ◆急速的な中台の接近 1949年の分断以来初めて、2014年2月11日に中国と台湾による公式な会談が開かれました。 中国と台湾は、お互いに相手の主権を認めておらず、今までは民間の窓口を通じて、経済分野における交流を行っていました。しかし、今回の会談は、中台双方の主管官庁トップ(閣僚級)同士によるものであります。 今年秋に中国で開かれるAPEC首脳会議における習近平と馬英九による首脳会談、そしてその後の台湾の香港化、緩やかなる台湾併合を狙う中国にとって、大きな一歩を進めた形となります。 ◆中国包囲網を形成するためのTPP参加をうながすアメリカ 一方でアメリカは、台湾が中国に吸収されることを恐れ、中国牽制を狙い台湾のTPP加盟に向けて、台湾当局との調整を加速しています。 元来、馬政権はTPP参加を2020年までの目標としていましたが、最短であれば台湾のTPP合流が2015年中に実現する可能性も出てきています。(2014.2.17 読売『米、台湾加盟へ調整急ぐ』) 中国の反対によって、国際協定に参加するのが難しい台湾にとって、中国が参加しない国際協定であるTPPは、世界に台湾の存在をアピールする千載一遇のチャンスであります。 ただし、北京政府は台湾のTPP参加表明に対して、「台湾のTPP加入と、中台間で締結された両岸経済協力枠組協議(ECFA)は相互排他的なものである」(2012.2.15 Council on Foreign Relations)と警告しています。 台湾のTPP参加諸国への総輸出額は全体の25%を占める一方で、中国・香港へは全体の40%に上るため、台湾は今後難しい選択を迫られるだろうと考えられます。 ◆別れるに別れられないカップル? 中国と台湾 現在の台湾・中国の関係は、離れるに離れられないカップルのようです。 女(台湾)が男(中国)に「将来は結婚する(併合を受け入れる)しかないと思うけれど、家庭内暴力だけはやめてね」とお願いしている状態です。 男は「わかってるよ、当たり前じゃないか。香港をみたらいいよ、ちゃんと自由があるだろう?」と答えますが、男の過去の言動を考えると、女が結婚後に悲惨で壮絶な生活を送ることになることは明らかです。 現に、「一国二制度」を導入し、50年間の自治を与えられた香港の自由と民主主義は中国共産党の独裁の手に落ちかけています。 ある香港人は言います。「台湾に頑張ってほしい。中国が香港の自由を尊重するのは台湾問題があるからだ。台湾を併合した後は、香港は好きなようにされるだろう」と。 2011年の調査によれば、台湾の未来について、永遠に現状維持か現状維持後に決定するべきだと考えている人が全体の6割、独立を支持する人は2割にとどまります。(台湾政治大学選挙研究センター調べ) しかし、大陸に隣接する小さな国が、現状を維持できる可能性はどの時代においても極めて低いものです。命運を賭けた選択をすべき時期が、近づいてきているように感じます。 ◆日本が台湾とアジアの平和を守るためにできること 台湾の南側にあるバシー海峡は、日本にとってエネルギーや食糧を運んでくるための命の道であります。中国によってこの海峡を封鎖されることになれば、日本だけでなく、韓国や東南アジア諸国も息の根を止められ、中国の支配下に入らざるを得なくなります。 そのためには、台湾と自由主義国家とのつながりを強め、台湾併合を阻止しなければなりません。 日台間の漁業協定が締結された今、さらなる関係強化を図るために日本がとるべき政策としては、 ①日台間の自由貿易協定(FTA)、経済連携協定(EPA)の締結 ②TPPの早期締結と、台湾のTPP参加への後押し ③集団的自衛権の容認 ④いざというときに台湾を守るための、日本版「台湾関係法」の制定 ⑤台湾の国連復帰への後押し、台湾の国家承認 などが考えられます。 今の日本は、急速に軍事費を拡大し、周りの国を脅かしている中国という国が隣にあるにもかかわらずその現実には目をつぶり、妄信的に平和・反核・反軍事力信仰をしている状態にあります。 そろそろ現状を見なければ、第一次世界大戦による甚大な被害への反省と恐怖から、「あらゆる戦争に対して無条件に反対する」という平和主義を唱えた結果、ヒトラーを野放しにしてしまったヨーロッパのようにならないとも限りません。 中国や国内の平和主義者たちの反発は避けられませんが、地理的にも歴史的にも、縁が深い国台湾を守ることは、私たちの自由と未来を守ることに他なりません。 台湾自身に、「野蛮な中国よりも、頼りがいのある日本を」と選んでもらえるような国に、日本自身が変わっていかなければならないと感じています。 すべてを表示する « Previous 1 … 160 161 162 163 164 … 253 Next »