Home/ 新着一覧 新着一覧 アジア最後のフロンティア、ミャンマーへの日本支援 2014.09.15 文/HS政経塾 4期生 数森圭吾 ◆ミャンマーの開国 ミャンマー連邦共和国の民主化が進み始めたのは最近のことです。 同国では1988年から23年間にわたって軍事政権が続き、最近まで鎖国状態でした。軍事政権下では、民主化運動の象徴でもあったアウン・サン・スー・チーさんが合計15年間も自宅軟禁状態にあったように、民主主義への圧迫は非常に強い状況でした。 このため人権状態を問題視したアメリカが経済制裁を実施。これによってミャンマー経済は非常に厳しい状況に立たされました。しかし2011年にテイン・セイン氏が大統領に就任、民主化を推進したためアメリカの経済制裁が緩和され、いま海外からの投資が活発化し始めているのです。 ◆ミャンマーに進出する日本企業 民主化にともないミャンマーへの外資参入が活発化しています。例えば有名なコカ・コーラですが、世界でコカ・コーラが販売されていないかった国は北朝鮮、キューバ、ミャンマーだけでした。 現在ではミャンマーでも販売され人気が出ています。そのような中で、特に日本企業の進出が目立っています。 この3年間で日本企業の進出数は3倍に増え、156社が進出(14年5月時点)しています。JT、三菱商事、大和証券(証券取引所設立支援)、など大手企業だけでなく、総務省も郵便事業支援を行うなど官民あげてのミャンマー進出が始まっているのです。 ◆ミャンマー市場への日本の期待 鎖国状態にあったミャンマー市場は、欧米企業の進出が少ないため、この「手つかずの消費市場」への早期参入は日本企業が欧米に先駆けて市場開拓をするチャンスでもあるのです。 また、ミャンマーの人口は6200万人ですが、若い労働人口も豊富であり、識字率も92%を超えている(ASEAN第3位)ミャンマーは「労働市場」としても大きな期待を寄せられているのです。 日本企業進出の影響もあり、ミャンマーでは日本語学校が人気となっています。現在では旧首都のヤンゴン市内だけでも日本語学校が40か所も存在するという盛況ぶりです。 さらに戦後、日本が食糧難だった際には、ミャンマーから米の援助を受けたという歴史もあり、日本にとってミャンマーは決して「遠い国」ではないのです。 ◆ミャンマーの光と影 市場への期待という光と同時に影も存在しています。 第一はインフラの未整備です。道路網が非常に脆弱であり、また電力供給にも問題が多く毎日停電が起こるような状況にあります。 第二には政治情勢への懸念です。民主化されたとはいえ、ミャンマーの連邦議会の約80%が国軍政党出身であり、テイン・セイン大統領自身も国軍政党出身です。2015年に予定されている総選挙でミャンマーが本当に民主化の道を進むことができるかが試されることになりそうです。 ◆ミャンマーの交通インフラ整備が日本企業を救う ミャンマーの隣国であるタイには日本企業が約7,000社以上進出しています。タイからミャンマーに物資を運ぶ際は、「空輸」もしくは3週間かけてマラッカ海峡を通る「海洋ルート」しかありませんでした。 しかし、ミャンマーの外国人立ち入り禁止区域の解放に伴って陸路を利用することが可能となったのです。 ミャンマーの陸路が整備されればインド洋に直接アクセスすることができるようになります。インド洋の先には、インド、中東、ヨーロッパという巨大市場が存在するため、ミャンマーの交通インフラ整備は日本企業にとっても非常に重要な意味をもっています。 ◆ミャンマーで進む日本の巨大プロジェクト 日本企業がインフラ整備の一環として進めているのが、ティラワ経済特区における工業団地です。 現在400ヘクタール(東京ドーム80個分)の広大な土地に日本の商社と現地企業が連携して開発が進められており、日本政府もインフラ整備の為にODAで200億円資金援助をおこなっています。 最終的には山手線の内側の約4割の面積にあたる巨大な経済特区を築く計画もあるそうです。 ◆脱中国、中国包囲網の要となるミャンマー 経済制裁が実施されていた際、唯一ミャンマーに手を差し伸べたのが中国でした。 しかし次第に中国がミャンマーへの影響力を拡大し、支配的な政策を取り始めたことに対し、ミャンマー国内からも批判が高まり、いま脱中国が進められようとしています。 日本でも脱中国が叫ばれているが、ミャンマーと日本の連携強化は経済、安全保障の両面から考えて非常に重要であると考えられます。 したがってミャンマーにおいて真の民主化を実現するためにも、日本が官民一体となって支援し、共栄できる関係を築く必要があるのです。 GDP確定値、「年率換算マイナス7.1%」をどう見るか 2014.09.14 文/政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆予想を大きく超えた厳しい結果 去る9月8日(月)、内閣府より、2014年度第1四半期(4月~6月)のGDP確定値が、下方修正され年率換算マイナス7.1%と発表されました。 すでに速報値として、年率換算マイナス6.8%という数字が出ており、ある程度の予想は、されてはいたものの、結果としては予想以上の厳しい印象を与えるものとなりました。 3月までの駆け込み需要の反動が大きな原因と思われているものの、現在のデフレ下の中で、消費増税による実質的な値上げに対して、国民が家計の防衛に入っている様子が伝わります。 また、今回のGDP確定値発表についてのマスコミ報道には、大きな違和感を覚えます。 8日(月)の夕刊各紙は、一面での報道が行われていましたが、翌9日(火)の朝刊では、一面での報道はほとんどなく、夕刊を購読していない多くの国民にとって、知るべき事実が、知らされておらず、いわば「マスコミによるアリバイ作り」が行われた状況です。 ◆なぜ、安倍総理は「7月-9月のGDP速報値」で決定するのか さて、産経新聞の田村解説委員は著書「消費税の黒いシナリオ」の中で「なぜ安倍総理は7-9月期の速報値に基づいて増税の判断をするのか」について呆れる理由を示しています。 それは、1997年の体験に基づいたもので、当時、増税後4月-6月期の数値は買い控えなどの理由でマイナス3.5%という厳しいものとなりましたが、次の7月~9月期になると逆にプラス1.5%程度の上昇を示したというのです。 これは、1月-3月→買いだめ、4月-6月→買い控え、というサイクルの中での結果と思われますが、今年度の7月-9月期の速報値についても同程度の予想になると見越して、財務省側が安倍総理に提言したようです。 さらに、昨年も「速報値」と「実際の数値」との間に大きなかい離があったように今回も同様に速報値が「上ぶれ」する可能性も否定できません。 要するに、実態から離れた数値に基づいて大切な判断が下されることになるのです。これが、本当に国民の幸福のための政策と言えるのでしょうか。 ◆黒田総裁の「増税容認」発言は、日銀の責任放棄 また、日銀の黒田総裁について、公約として掲げた2014年度の「2%成長」は、達成は困難との見方が広がっています。黒田総裁は、すでに「増税推進」という立場を明確にしていますが、今回の厳しいGDP確定値の発表にも関わらず、会見では変わらず「増税は必要」という発言を行っています。 本当に公約である2%の目標達成を目指すならば、増税ではなく、減税を訴えるべきではないでしょうか。 その証拠に2013年度は「アベノミクス」で上向きになった景気が原因となり、税収増になっています。黒田総裁が元大蔵官僚としての悲願である消費増税を優先させることは、国民への責任放棄といえないでしょうか。 ◆日本の年間GDPは20年間、およそ「500兆円」で変わらず 政府が消費増税の理由として言い続けてきたのは、「これからの高齢社会の中で、社会保障費が必要だから」というものでありますが、こうした停滞のイメージを政府が発信し続けていると、将来の繁栄への希望がどんどん摘まれていきます。 1990年代以降、現在まで「失われた20年」と言われています、この間、現役世代と言われる20歳代から50歳代の、第一線で働き続けた世代の家計にとって、厳しい時代が続きました。 銀行をはじめとする多くの大企業が崩壊した事などは、日本にとって必要なイノベーションかもしれませんが、一方、現役世代の賃金はほとんど上昇せず、「デフレ経済」の大義名分の元で、生活水準を高めることができませんでした。 その結果、日本のGDPはおよそ500兆円(5兆ドル)の水準で変化がありませんでした。グラフを見ると一目瞭然で、停滞がつづいており、国民にとってもこの傾向に慣れてしまったようです。 一方、日本以外の先進国は着実な成長を続けており、特に中国などは、7%~8%もの成長を続け、GDP世界第2位となった現在も、その成長率が維持されています。このままでは、2020年には、1,000兆円(10兆ドル)に達すると予想されており、日本の2倍となります。この経済格差が国防の危機につながる可能性が高まっています。 ◆繁栄・発展のビジョンを示し、実行実現する事が必要 バブル期の不良債権の処理がほぼ完了している今、日本政府は、更なる成長を目指すべきですが、国が明確なビジョンを示すことができないために、経済も足踏み状態が続いています。 「アベノミクス」成功の大きな理由として、「日銀がインフレ目標2%を掲げた事」があげられます。このように、日銀総裁という立場のある方が、力強く宣言したことで、経済関係者に自信が出てきたのだと思います。政府には、それだけの影響力があるのです。 政府は、明確に繁栄へのビジョンを示し、勇気を持った起業家の輩出及び、新しい発明に挑戦するエンジニアたちをもっと応援する必要があります。 「失われた20年」はある意味、発展・繁栄を志した貴重な人材の希望の芽を摘んできた歴史でもあります。この間、有望な挑戦者が日本的なムラ社会、嫉妬社会の中で、希望を失い、消え去っています。 そうした意味で、小保方晴子博士による「STAP細胞」という夢のような発見について、論文の書き方などの細かい手法にこだわるのではなく、最も重要な論点である「この発見をどのように生かしていくのか」について国益に基づいた議論が求められるでしょう。 私たち幸福実現党は、日本のさらなる繁栄の為には、増税ではなく、減税を進め、本来の成長戦略として、成功の種、新しい技術、発明の種を具体化させるための人材の輩出が必要だと訴えてきました。 そうした意味では、安倍内閣には、日本の発展繁栄を、文字通り「実行実現」することを強く願うものです。 「吉田調書」報道――日本を貶めた朝日新聞の誤報 2014.09.12 文/幸福実現党政務調査会 佐々木勝浩 ◆はじめて謝罪した朝日新聞 かつて伊勢の名物「赤福」や北海道の名物「白い恋人」は、製造年月日を偽ったことについて、社会から追及を受け謝罪したことがあります。またデパートにも出店していた名門の「船場吉兆」にいたっては、料理の使い回しが発覚し社会からの制裁を免れず倒産に追い込まれました。 企業がお客様を欺いて商品を提供すれば、それなりの社会的制裁が待っています。場合によっては倒産することもあるのです。厳しくともそれが社会の当然の定めです。 ところがマスコミ業界にいたっては、お客様に提供している商品である「情報」において、明らかな「誤報」を流しておきながら謝罪もしてきませんでした。その最たる代表が朝日新聞です。 その朝日新聞が9月11日、記者会見を開き、東日本大震災で福島第一原発の事故対応に当たった吉田昌郎所長の、いわゆる「吉田調書」に関する、5月20日のスクープ記事を取り消し、読者と東京電力の関係者に謝罪しました。 ※「吉田調書」とは、「政府事故調査・検証委員会」が作成した「聴取結果書」 ◆問われる朝日新聞の報道姿勢 朝日新聞は、同スクープ記事で「吉田所長の命令に違反し、福島第一原発所員の9割が第二原発に撤退」と報じました。ところが吉田調書を入手した産経新聞が「命令違反の撤退なし」と報じたところからマスコミ各社が朝日新聞の報道を追求し始めました。 調書で吉田所長は、直接事故対応を行っている所員以外の事務系などの所員は「(放射)線量の低いようなところに一回退避して指示を待てと言ったつもりなんです」と証言しています。 しかし朝日新聞は、吉田所長が「退避」して指示を待てと言ったにも関わらず、東電社員の9割が、事故現場から「撤退」して逃げたように報じたわけです。 11日の記者会見で木村社長と杉浦取締役は、「所長の発言の評価を見誤った」「記者の思い込みやチェック不足」と説明し特別な意図はなかったとしています。 しかし、これまでも朝日新聞は「反原発を推進する立場」から、汚染水の処理対応など東電を責める報道を繰り返してきました。 そもそも朝日新聞は所員への裏付け取材も行っていません。取材することなく「思い込み」によって報道することは三流の記者がやることです。 同社は、こうした不十分な記事を、6月にイタリアで開かれた「新聞協会賞候補」として世界新聞大会に申請し紹介しました。 さらに朝日新聞の報道を引用したニューヨーク・タイムズは「パニックになった数百人の所員が命令に背いて福島第一原発から逃げた」と報じたことで海外にも誤解が波及していったのです。 こうして「東電社員の名誉を傷つける誤報」が世界に発信されたのですが、吉田所長と東電社員の名誉を守るためにも「吉田調書」の公開の声が巻き起こり政府も公開せざるを得なくなったのです。 朝日新聞が非公開の「吉田調書」であるから、少しくらいウソを書いてもバレないと思ったのかどうかはわかりませんが、しかし政府が「吉田調書」を公開したその日の11日、真実が国民の前に明らかになる前に朝日新聞は謝罪の会見を開かざるを得なくなりました。 ◆朝日新聞の使命は日本人を貶める誤報を世界に拡散すること? 先の8月にも朝日新聞は、いわゆる「従軍慰安婦問題」の発端となった済州島で「婦女子を強制連行し慰安婦にしたとの吉田清治の証言」と「工場で働く要員として動員された女子挺身隊を慰安婦」と報道したことに間違いがあったとして記事を取り消しました。 この報道においても謝罪をしていないとの声が記者会見であがり、木村社長らは「訂正の遅れ」についても謝罪しました。 「吉田調書報道」「慰安婦報道」に共通する点は、「裏付け取材をすることなく思い込み」で報道し、「日本人を貶める誤報」が世界に拡散されていることです。 こうして「慰安婦」のウソの報道に対して日本は韓国に謝罪したばかりか、日本政府は韓国にお金までせがまれて支払いました。朝日新聞の誤報で日本の国益まで損なったのです。国民はそうした意味でもマスコミに対して真実の報道を求めなくてはなりません。 ◆次に来るのは「南京大虐殺」 朝日新聞は、1980年代の本多勝一が流した、いわゆる「南京大虐殺」報道の一つの発信源でもあります。それに乗じる形で、今年3月中国は、「南京大虐殺」に関する資料をユネスコの記憶遺産に登録申請しました。 私たちは、歴史認識をめぐる日本の名誉を回復するために、中国による記憶遺産への申請に強く抗議し日本政府に対して、登録阻止に向けて全力を尽くして参ります。 ※ご協力よろしくお願いいたします。 中国による「南京大虐殺」「従軍慰安婦」のユネスコ記憶遺産への申請に抗議し、 日本政府に万全の措置を求める署名 http://info.hr-party.jp/2014/3159/ 国は肚をきめて原発の重要性を明確にせよ! 2014.09.11 文/福井県本部副代表 白川 康之 ◆電源構成を現実的なものにせよ 8月、総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の基本政策分科会が開かれ、将来の最適な電源構成を決める検討作業が始まりました。安価な電力を安定的に供給するには、安全性が確認された原発を活用することが不可欠です。 「ベストミックス」を目指すのであれば、原発の重要性を明確にするべきです。電源構成は暮らしと産業の明日を左右します。現実的かつ積極的な原発比率の目標を明示することを期待したいものです。 ◆廃炉、廃棄物処理の道筋を明示せよ 原発の早期再稼働は喫緊の課題ですが、同時に使用済燃料の中間貯蔵の問題や最終処分場の選定など、廃棄物問題全般に対し国として、しっかりとした道筋を示し責任ある対処を進めていくことが重要です。 原子力発電所の廃炉は世界共通の課題になっています。世界では、これまで建設された558基のうち約4分の1に当たる132基が廃炉を決定しています。わが国においても、48基のうち今後10年で17基、20年で37基が運転開始後40年を経過します。 福井県には、現在13基の商業用原子力発電所がり、このうち運転開始後40年を経過したプラントが3基(敦賀1号機、美浜1,2号機)、30年経過したプラントが5基(高浜1,2号機、美浜3号機、大飯1,2号機)あります。 福島第一原子力発電所の事故後、平成25年7月に施行された原子力発電所の新規制基準において「40年運転制限制」が導入され、1回に限り最大20年の運転延長を認める例外規定が設けられました。廃炉の問題は福井県の原子力行政にとって大きな課題になっているのです。 文部科学省が2015年度概算要求で、福島第一原発の廃炉に関わる研究開発に81億円を計上するようです。 ただ、福島第一原発の廃止措置に関しては、高線量環境下で作業員が入れない現場が大半であることから、福島第一原発の廃止措置に特化した技術の開発が必要となり、通常プラントの廃止措置とは大きく異なります。 このことから、福井県をはじめ全国各地で発生する通常運転プラントの廃止措置に必要な除染、解体手法や、工期の短縮化、工程作業管理等の技術開発を、福島第一原発と並行して行う必要があると言えましょう。 ◆廃炉ビジネスは成長分野 廃炉ビジネスは原子力産業における21世紀最大の成長分野とも言われていますが、国内のプラントメーカーは、商業炉の廃止措置を完了した実績がありません。海外のプラントメーカーは、これまでの実績をもとに世界の廃止措置市場に参入しているようです。 今後、わが国が原子力産業の海外展開を図っていく上で、国内プラントメーカーが廃止措置業務を通じて知見や技術を蓄積し、建設、運転、保守管理、廃止措置をセットに高いレベルの技術をアピールいていく必要があるといえましょう。 ◆「原発は悪」では人材は育たない 廃止措置で海外展開の実績のあるドイツの廃炉専門の国営会社「EWN」が問題としているのは人材です。福島第一原発の事故以降、ドイツは2020年までの原発全17基の停止を打ち出しましたが、その影響で「原発は悪」といった社会風潮が高まり、若い人が入社せず若い技術者が育っていないのです。 そのため技術そのものは確立されているが、蓄積された知識をどう維持し継承していくかが大きな課題となっているのです。とはいってもドイツでは今も原発は稼働しています。わが国では48基もありながら稼働原発はゼロという惨憺たるありさまです。 「脱原発」「原発は悪」といった風潮は一向に収まらず状況はドイツより深刻です。このままでは人材は育たないばかりか、人材という国富が海外に流出してしまいます。 この様な異常事態を正常にしていくためにも、国は肚をくくって原発の重要性を明確にするときです。 日本人が知るべき唯物論国家の恐ろしさ 2014.09.10 文/千葉県本部副代表 古川裕三 ◆度重なる中国による領海侵犯 9月4日、尖閣諸島周辺の領海側の接続水域に中国海警局の船3隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が発見しました。中国船が尖閣周辺で確認されたのはこれで27日連続になります。(9/5産経27面) 12年8月に香港(中国)の民間団体メンバーらが尖閣諸島に不法上陸して以降、周辺海域での中国公船による領海侵入はすでに300隻を超えています。 一方の日本の対応として、尖閣諸島を巡る日中間の対立が長期化していることを受け、警察庁は、沖縄県警の警備体制を拡充する方針を固めました。(9/8読売オンライン) 前回のHRPニュースファイルにて、チベットが中国に侵略されたのは、今の日本同様、一国平和主義に陥り、国防に対する備えが甘かったという事実を指摘しましたが、今回はより詳細に侵略後のチベットについて言及します。 ◆中国に侵略されるとどうなるか チベット亡命政府によると、チベットが中国に侵略される過程で、1959年から79年の20年間で殺されたチベット人は120万人以上と発表しています。 侵略後は、チベットに共産主義思想を浸透させるために、まず宗教が破壊されました。 実際にチベットでは、僧侶の処刑と寺院の破壊が徹底的になされ、「奇跡を起こせるなら皆の前で飛んでみせろ」と僧侶たちを高所から蹴り落とし、その時中国人は「自分の命さえ救えない者に、人命を救えるはずがないではないか」と言い放ったといいます。 中国は僧侶の威厳を地に落としてチベット人が僧侶に抱く尊敬と信仰心を根こそぎ奪い取ろうと試み、チベットの三大寺院を筆頭に、チベット全土で約7000以上あった僧院の9割を完全に破壊しました。 結果、100万人以上いた僧侶の9割が、死亡、還俗、国外脱出を余儀なくされたのです。寺院の破壊に際しては、著名な仏像や教典は奪取され、それ以外はみな破壊するという悪業ぶりです。 そのあと、奪い取った仏像などは、観光資源として“利用”されました。 ◆中国の最終目標は天皇制の廃止 40年以上も前、1972年に発掘された中国共産党の作成による「日本解放第二期工作要綱」の冒頭には、「日本が現在保有している国力の全てを、我が党(=中国共産党)の支配下に置き、我が党の世界解放戦に奉仕せしめることにある」という基本戦略が掲げられています。 工作員の具体的な任務として、第一期目標が日中国交正常化(1972年に現実化)、第二期が、日本に民主連合政府を成立させること(09年、民主党政権によって現実化)、第三期が天皇制の廃止(天皇は戦犯として処刑)と日本人民共和国の樹立があげられています。 これらの任務達成の手段においては、工作員が直接に手を下すというやり方ではなく、あくまでも日本人の選択として、自発的に行動するように仕向けるとしています。 ◆2050年極東マップ 数年前に中国外務省から流出したとされる「2050年極東マップ」なるものには、日本列島は分断され「東海省」と「日本自治区」が日本地図上に記されています。 中国によると、出生率低下で日本の人口は減少するので、日本列島の西半分に中国人を移住させて「東海省」とし、少数民族となった日本人を東半分に強制移住させて「日本自治区」とするとしています。 このように、中国は明確な国家戦略として、日本侵略を企てているのです。 ◆迫られる日本人としての選択 こうした事実を、荒唐無稽な話ととらえるか、現実に待ち受ける危機として捉え、備えを固めるか、日本人としての選択が迫られています。 来年の戦後70周年に向けて米中韓が歴史戦を仕掛けてきている今、我が党は正論を武器として戦い、中国がユネスコに記憶遺産登録を申請している歴史の捏造である、いわゆる「南京大虐殺や従軍慰安婦問題に終止符を打つため、署名活動を展開しています。 【中国による「南京大虐殺」「従軍慰安婦」のユネスコ記憶遺産への申請に抗議し、 日本政府に万全の措置を求める署名】 http://info.hr-party.jp/2014/3159/ そして日本の自虐史観の元凶である東京裁判史観の誤りを正し、日本人としての正当な誇りを取り戻すことで、世界の平和と繁栄に貢献するリーダー国家を建設してまいります。 参考文献:『最終目標は天皇の処刑』ペマ・ギャルポ著 「地方創生」本部発足――政府は哲学とビジョンを持て 2014.09.09 文/HS政経塾第2期卒塾生 川辺賢一 ◆政治術としての「地方創生」 今月3日、安倍首相は第2次政権発足後初の内閣改造を行い、なかでも石破茂氏の地方創生担当大臣への就任が注目を集めました。安倍首相自らが「地方創生本部」の本部長となり、アベノミクスの重点課題として「地方重視」が位置付けられました。 そこで「地方創生」の意義について、考えてまいりたいと思います。 都市と地方を巡る問題は歴史的にも国際的にも政治的に非常に重要なテーマとされており、日本だけでなく世界各国において、単なる政策論争を超えて、ときに根深い政治対立を生む原因となっております。 例えば日本においても、戦後政治史上、最大の派閥闘争とされる田中角栄氏と福田赳夫氏との政治闘争、「角福戦争」の背景にも都市と地方を巡る問題がありました。 「裏日本」と言われた日本海側地域の国土開発等、「日本列島改造論」「国土の均衡ある発展」をスローガンに掲げた田中氏に対して、福田氏は政府支出が肥大化しすぎだとして対抗しました。 ところで安倍首相の所属派閥は福田赳夫氏が創設した清和会(現・町村派)です。最近では地方分権改革を掲げた小泉純一郎元首相に象徴されるように、清和会の底流には公共事業費や地方への補助金等を削減して均衡財政主義を採る傾向があるといえます。 一方の石破氏は田中角栄氏の薫陶を受けて育った政治家であり、「おまえが親父の後に出ろ」と田中氏に言われたことが、石破氏が政治への道を歩むきっかけとなったとされます。 通常、大都市優先と地方重視とで政策は両立せず、主張の対立から政権が不安定化し、振り子が右から左へ振れるように政府がつくりかえられるわけですが、今回の内閣改造で安倍政権は田中角栄氏の流れを組む石破氏を地方創生担当相として取り込んでしまいました。 こうした背景を踏まえるならば、内閣改造で重点課題となった「地方創生」は政権の長期安定化を狙った政治術の一環であるといえるでしょう。 ◆経済政策としての「地方創生」 それでは「地方創生」に政治術以上の合理的な意義はあるのでしょうか。 地方分権改革を掲げた小泉政権は「ない」という結論を出したのだといえるでしょう。都市への人口集中が本当に問題のあるレベルに達したならば、自然と地方に人口が逆流すると考えたからです。 もしも政治が介入し、高い利益や所得獲得を目指して都市に移ろうとする企業や人口を地方にとどめようとするならば、国民全体の平均的な所得水準の向上を抑えることになってしまう。こうした論法からです。 そもそも近代以降の資本主義経済の発展は土地に縛られない、土地を必要としない経済への移行でした。農地や米が貨幣価値の源泉、基準であった農本主義の時代は土地の所有自体が価値のあることだと考えられましたが、いまや土地は将来収益を生むための数ある資源の一つにすぎません。 経済の成長に伴って「人・もの・金・情報」の集まる都市に企業や人口が流入するのは自然な流れであり、経済的な論理だけで考えるならば、政治が介入にして地方に企業や人口をとどめる意義を見出すのは困難です。 ◆「地方創生」の意義は何か では「地方創生」の合理的意義はどこにあるのでしょうか。 まず第1に国防上の観点からです。かつて尖閣諸島・魚釣島にも250人程度の日本人が生活し、仕事をしておりました。もし、現在も同じ状況であったらならば、尖閣諸島が日本の領土であることなど説明不要の自明の理とされたはずです。 尖閣諸島は特殊な例ですが、地方の過疎化によって地価が下がり、外国人による購入が進めば、国防上の危機が高まります。やがて破たん直前の地方債が外国に買われるようになれば、日本は財政的に分断されます。 第2に快適な暮らしという観点です。 例えば日本の人口はフランスの2倍ですが、日本の国土面積はフランスの1/2、くわえて日本の国土の約2/3は山間部で人が住めません。地方の土地を有効利用できていないことと重なって、日本の地価は異常に高く、サラリーマンは平均1時間半の通期時間を満員電車のなかですごさなければならないのです。 国土の狭い日本では陸海空のインフラ交通網の整備を通じて、国全体を一つの都市圏・経済圏として統合して国土の有効利用を進めていくべきですし、「日本をアジアの首都」として、世界中から人口が集まってくる国を目指すべきです。 ◆「地方創生」のカギは「一貫した国土計画」と「単年度予算の廃止」 このように「地方創生」進める上でも、単にお金を地方自治体にばらまけば良いものではなく、国家防衛や国土計画の全体観に調和したものでなければなりません。 そのために政府は一貫した国土計画を持ち、単年度で財政の均衡を図ろうとするのではなく、長期での回収、長期で均衡していくことを目指した財政政策が求められます。 政府はなぜ「地方創生」が必要なのか、その哲学を持つと同時に、一貫したビジョンを持って行っていく必要があります。 日本外交のツボ、インドとロシア 2014.09.08 文/HS政経塾3期生 たなべ雄治 ◆安倍首相の地球儀外交 第二次政権の安倍首相の歴訪国数は49カ国となり、過去最多を記録しました。 その外交は、アジアのみならずアフリカや中南米にも及び、ODAやトップセールスなどで成果が出ています。 ◆モディ首相来日 さらに、外国首脳の招待でも成功しています。モディ首相は、主要国への単独訪問のトップバッターとして日本を選びました。その来日では、インフラ投資や企業進出など、良好な日印関係が強調されました。 反面、日印首脳会談の共同声明の内容からは、今後の課題が見えてきます。 課題の一つは、原子力協力です。日印原子力協力協定への進展が見られませんでした。 インドは慢性的な電力不足に悩んでおり、世界でも屈指の技術力を誇る日本の原発に大きな期待を寄せています。ところが日本は、インドがNPTに加盟していないことなどを理由に、原子力関連の協力を渋っています。 安倍政権は、反原発の日本の世論を懸念しているのでしょう。自衛隊法が決着していない中で日印の原子力協力まで踏み込むことは、国内世論の現状においては望めないでしょう。 しかしインドがNPTに加盟しないのは、中国に対する核抑止力の確保という不可欠の事情があるからです。日本の、とりわけマスコミは、この事情を理解しなければなりません。 インドは、米印原子力協力協定をはじめとして、日本以外の国との原子力協力協定は着実に進めています。日本一国のみが協定を結ばないことに意味はありませんし、インドとの協力関係への阻害要因にしかなりません。感情論に陥らない原子力政策の議論が必要です。 もう一つの課題は、安全保障協力です。今回の首脳会談で、日印の閣僚級2プラス2が決定されるのではないかと期待されましたが、結局見送られました。 これにはインドの国内事情が関連していると思われます。インドの今の最大の課題は、経済問題です。貿易額一位の中国を下手に刺激したくないのがインドの本音であり、今回の先送りは中国への遠慮でしょう。 しかし、モディ首相は心情的に大変な親日家であることが分かります。今回の訪日でモディ首相は、日本と大きな縁があるパール判事とチャンドラ・ボースの名前を幾度も口にしています。 講演の中でも、チャンドラ・ボースを再評価する映像を作りたいと表明されていました。日本としては、このメッセージを受け止めるべきでしょう。 インドは、歴史的にも地政学的にも重要な国です。特別な関係を築いて行く必要があります。 ◆ウクライナ問題への日本の役割 ウクライナ東部の紛争についても、この週末に動きがありました。 ウクライナ政府と親ロシア武装勢力との和平の覚書の詳細が公表されました。東部2州に強い自治権が認められるなど、ウクライナ政府の妥協が見て取れます。 これは妥当な落としどころでしょう。ロシア系住民も比較的多い地域です。ウクライナに代わって東部の自治地域が緩衝国としての役割を果たすのであれば、ロシアとしても納得できるのではないでしょうか。 ロシアの孤立化に伴い、仲が悪かった中露の関係が親密化してきました。中国への牽制要因が一つ減るわけですから、日本にとって悪い状況です。欧米とは逆に、ロシアの孤立化を防ぎたいところです。 ウクライナ停戦に関しては、自治のレベルが未解決で和平交渉の難航も予想されます。ここでも一つ、日本の外交が役割を果たすべきです。 北朝鮮の拉致問題でも見られたように、独自外交も安倍外交の特徴の一つです。日本が、ロシアと欧米とを仲裁することができれば、大きな成果です。安部外交に期待したいと思います。 ◆日本が果たすべき新たな役割 中国が香港での普通選挙を認めない方針を打ち出し、香港では抗議デモが続いています。 先進諸国に対しては巨大市場を、途上国に対しては巨額の経済支援、といったアメ玉を駆使して中国は影響力を強めています。 ところが、あからさまな人権弾圧、ハイペースの軍事費膨張を見れば、全体主義の拡張の危険はまさにアジアに迫っているといえるでしょう。 インドとロシアは歴史的にも友好的です。日印露の友好関係は、アジアの安定に大きな力を発揮するでしょう。 自由や人権、法の支配といった、中国がちらつかせる経済的メリットを超える価値を打ち出して、世界をリードすることができるか。日本外交が新たな役割を果たすべき時がきています。 オスプレイ佐賀空港配備に賛成するデモ――県民意識と報道姿勢の変化 2014.09.07 文/佐賀県本部副代表 中島 徹 ◆自衛隊のオスプレイ佐賀空港配備計画の意味 今年7月22日に武田良太前防衛副大臣、8月25日には小野寺五典前防衛大臣がそれぞれ古川康佐賀県知事を訪ね、陸上自衛隊が導入するオスプレイ17機の佐賀空港配備の申し入れが行われました。 防衛省が佐賀空港に配備を計画する理由は、第一に中国の軍事的脅威に直面している尖閣諸島など離島防衛のため佐世保市を拠点に創設が進められている水陸機動団の輸送手段とすることがあげられます。 そのほかにも離島や山地が多い九州地方の人命救助、また今後想定される朝鮮半島有事の際、邦人救助においても重要な役割が期待されます。 ◆オスプレイ配備に見る国民と報道の変化の兆し 幸福実現党佐賀県本部では、国防上、重要な意味を持つ配備計画に賛成する立場から、古川康佐賀県知事宛に計画の受け入れを求める署名活動を展開致しました。 8月27日には約100名が参加者し『オスプレイ賛成デモ』を開催、約3週間程度で集められた3,452筆の署名を、古川知事宛に提出しました。デモでは飛び込みで参加されるビジネスマンや、参加者に向かって手を振られる沿道の方の姿も多く見られました。 【8/27オスプレイの佐賀空港配備に賛成するデモ行進(佐賀県本部)※写真あり】 http://info.hr-party.jp/2014/3374/ 報道ではほとんど反対派ばかりが取り上げられる中、地元民放テレビ局や新聞社は異例とも思われる取材に駆けつけ、夕方のニュース(サガテレビ8/27)や翌日の新聞(毎日新聞、佐賀新聞8/28)にも一部写真入りで掲載されました。 ちなみに武田前副大臣の来庁時には、県庁前で反対派の約120名・賛成派約20名がそれぞれの立場から意見を訴えていましたが、報道されたのは反対派だけだったことから考えると、明らかな変化です。 また、署名活動では、最近の中国の対日姿勢に対し憤りを覚える方や国防の危機を感じている方、配備が地元経済にもたらす経済効果に期待をされ署名してくださる経営者の方など、水面下でオスプレイ配備に賛成の声が広がっている事を筆者自身、実感しました。 それは日頃、反対の立場からの記事が多く目立つ地元紙の県民世論調査でも、半数を越える58%の方が自衛隊のオスプレイ佐賀空港配備を容認している点からも伺われます。(佐賀新聞8/31) ◆自らを窮地に追い込むNHKの報道姿勢 そんな中、国民から受信料を受け取り国民が正しい判断をするための判断材料を提供すべき立場にある地元NHK佐賀放送局が、オスプレイ賛成派の取材に来られなかったことに対し、翌日に局に赴き、抗議を行いました。 対応された職員は限られた人材で対応しているため取材できなかった、偏向報道している訳ではないと反論がありましたが、30日には反対派の決起集会、デモ行進を報道、再度、電話にて厳重抗議を行いました。 やり取りの中で判明した、末端のNHK職員にまで染みついた独特の思考形態があります。それは、NHKとしては「中立」な報道と考えている、その「中立」が、既に完全に「左」に寄ってしまっている事実です。 抗議の中で、政府が配備の申し出をしている事に対し、反対派と賛成派の両方の意見を報道するのが、公正中立な報道ではないかとただすと、防衛大臣が来県した報道自体がオスプレイ配備を推進する後押しになっているから、反対派を報道することでバランスを取っているという見解が披露されました。 従軍慰安婦を巡る虚偽報道とその後の無責任な対応で窮地に立つ朝日新聞の例を挙げるまでもなく、国民に不利益をもたらす独りよがりの偏向報道をするマスコミは、報道姿勢を改めその本来の職業的使命を果たさなければ、自身をも滅ぼしてしまうことを知らねばなりません。 ◆「葉隠」の武士道精神でオスプレイ佐賀空港配備受け入れを! 幸福実現党佐賀県本部は、国益に資するオスプレイ佐賀空港配備受け入れを実現すべく、引き続き活動を行って参ります。 それは地元のためだけでなく、日本全体、ひいては東アジアの安定のために必要なことであり、佐賀県が大局を見て配備を受入れる事が、再び明治維新のように「葉隠」の武士道精神が、日本の誇りを取り戻す事に繋がっていくからです。 ※「葉隠」(はがくれ)は、江戸時代中期(1716年ごろ)に出された書物。肥前国佐賀鍋島藩藩士・山本常朝の武士としての心得についての見解を「武士道」という用語で説明した言葉を田代陣基(つらもと)が筆録した記録である。(『Wikipedia』より) 「地方創生」をただの選挙対策で終わらせないために 2014.09.06 文/幸福実現党山形県本部副代表 城取良太 ◆安倍政権が発信する「地方創生」は選挙対策か? 「政権の最大の課題は豊かで明るい地方をつくることだ。大切なのは現場主義で霞が関の常識を忘れて、地域にどんどん出てほしい」 安倍首相は5日、地方創生の司令塔となる「まち・ひと・しごと創生本部」の看板掛けに立ち会い、このように職員たちに訓示し、地方創生相に就任した石破氏も「日本の消滅という事態を避けるための処方箋を出さないとこの国はなくなる」と危機感を露わにしました。 各省から出ている予算案を見ても、地域経済を支える企業の支援、地方部でのベンチャー企業の育成や若者の就職支援など、「地方の活性化」を現政権として最重要課題の一つとして取り組んでいく姿勢が見て取れます。 しかし一方で、来年春に全国で行われる統一地方選を見据えた「選挙対策」ではないかという声も根強く、「地方の味方であり、地域のことを誰よりも理解している。(高橋はるみ北海道知事)」と地方で大人気の石破元幹事長の地方創生相起用もその疑念をより一層強くさせます。 地方の活性化が日本を明るくすることは間違いありませんが、同時に地方部の過疎という問題は、今始まったことではなく、数十年といった長いスパンで継続しているトレンドであるということをまず受け止めることです。 その上で、メッセージ先行型や予算バラマキ型ではなく、長期的視点に立った実効性のある政策にじっくりととりくんでいく姿勢が必要であります。 ◆地方創生のためには「移民政策」から目を背けてはいけない 地方創生という視点に立って、行うべき必要な政策は多岐に渡りますが、最も重要だと考える2つに絞って述べると、まずは「人口自体を維持し、増やしていく」という視点が重要だということです。 いまの出生率1.4%前後では、2060年に日本の人口は現在の3分の2にあたる8700万人にまで減少し、2040年には私が住んでいる東北地方を筆頭に、全国で896の地方自治体が消滅すると言われています。(東北では青森35、岩手27、秋田24、山形28、宮城23の合計137が消滅) これに対し、政権側では「2060年に人口1億人維持」という目標を掲げていますが、そのためにはここ十数年で出生率が2%以上にまで回復しなければならず、今までの政策の実効性から見ると考え難い数値だと言えます。 こうした点から、地方創生のみならず、日本の未来を守っていくためにも、真剣に「移民導入」を検討すべき時期に来ていると考えますが、現政権の支持基盤である保守層からも「移民政策」への嫌悪感が根強いために腰が引けている状態でしょう。 確かに、今のシリア・イラクで勢力拡張を続ける「イスラム国」の中に、ヨーロッパで育ったイスラム教徒たちが多数参加しているという事実や、社会に溶け込めない移民が犯罪を犯しているという事例がヨーロッパでは多数あり、「移民は怖い」という先入観があることは否めません。 しかし逆を返せば、移民たちが社会に溶け込めない要因は「言葉や文化」と「仕事」の問題が大半であり、これらに対する教育支援を徹底して行っていくことで解決は可能であると考えるべきです。 指を咥えながら日本の人口崩壊をただ見届けるだけでなく、彼ら外国人たちが我々日本人と共に、先人たちから受け継がれた伝統や文化、言葉などをそれぞれの地域で「守り保ってくれる」パートナーになってもらう未来図を信じ、努力を行うことで、地方創生は動き始めていくと考えます。 ◆地方創生と消費増税はまさに「水と油」の関係 また、野党からは「消費増税内閣」と揶揄されているそうですが、もう一つの重要な点は、「地方創生と消費増税は全く両立しない」という点です。 それは消費税には、低所得者ほど負担比率が高くなる「逆進性」という特質があることから明らかです。 2012年の都道府県別の年収を見ると、1位の東京(582万円)と下位の沖縄、東北各県(350万円前後)のように、個人所得で200万以上もの開きがあります。 消費税が10%に更に上がるとなると、逆進性という性質上、まるで指先やつま先から冷えが始まっていくように、「地方創生」という掛け声むなしく、所得が低い地域から景気の冷え込みが始まっていくはずです。 このように国家の観点から、真に「地方創生」を成し遂げる前提条件として、今の政権が踏み込めずにいる「移民政策」と「消費増税の撤廃」に解がある気がしてなりません。 ◆地方創生にとって必要なマインドとは 最後に、地方創生にとって最も重要なことは、何より各地方自治体の自助努力でありましょう。 ケネディ大統領が就任演説で述べた「国があなたに何をしてくれるかではなく、あなたが国のために何が出来るかを考えよ」という言葉こそ、地方側が持つべき必要なマインドなのではないでしょうか。 今の人口動態が続いていくならば、残念ながら限界集落化する自治体は後を絶たないでしょう。 しかしながら、自助努力の精神をしっかりと持った市民がおり、新しい価値を生み出そうとする若い起業家たちを惹きつけ、違った価値観を持つ外国人たちを受け入れる寛容さを持った自治体は、その個性を最大限に開花させ、未来を切り拓いていくはずです。 そうした面白い自治体が全国で名乗りを挙げ、百花繚乱の地方創生が成し遂げられていくことを心待ちにしたいと思います。 ※お知らせ Factで中東問題を扱う番組が始まりました。是非ともご覧下さい! 世界の原子力安全の向上に貢献するのは日本の責務 2014.09.05 文/福井県本部副代表 白川 康之 ◆福井地裁の不合理な判決 今年5月21日、福井地裁は、関西電力大飯発電3、4号機の再稼働を認めない判決を言い渡しました。それは「ゼロリスク」を求めた、あまりにも不合理な判決だと言わざるをえません。 そもそも「100%の絶対安全」などあり得ません。原子力規制委員会が定めた原発の新規制基準も全く考慮せず、科学的検討もない、原子力の素人が下した無見識なものでした。 1992年の伊方原発の安全審査を巡る訴訟の判決で、最高裁は「極めて高度で最新の科学的、技術的、総合的な判断が必要で、行政側の合理的な判断に委ねられている」との見解を示し、原発の審査に関しては、司法の役割は抑制的であるべきとしました。 極めて妥当な判決です。各地で起こされた原発関連訴訟の判決には、この最高裁の考え方が反映されてきたにもかかわらず、福井地裁の判決は最高裁の判決に反するものであり、「脱原発ありき」の判断だったのではないでしょうか。 さらに判決は、原発の運転停止によって多額の貿易赤字がでるとしても「国富の流出や喪失というべきでない」とし、国富を「豊かな国土に国民が根を下ろして生活していること」と定義し、それを取り戻せなくなることが「国富の喪失だ」という現実を無視した環境左翼的な実に無責任な私見に基づくものでもありました。 ◆原発の再稼働は不可欠 現在わが国は、原発はあるが使えない「原発稼働ゼロ」という異常事態の中にあります。東日本大震災後、火力発電の燃料輸入費が増大し、毎日百億円という国富がムダに垂れ流されていることは厳然たる事実です。 結果、平均的な電気料金は家庭用で2割、産業用で3割も上がっています。家計の負担増だけでなく、産業界も値上げで悲鳴を上げているのが現実です。国民生活と産業の基盤である電力を安価で安定的に供給するためには、安全性を確認した原発の早期再稼働が不可欠です。 ◆世界は原発を必要としている 今の日本の世論は、原発についても「一国平和主義」の中にあるのではないでしょうか。 今や、国防は一国のみにてできる時代ではありません。そうした現実から、政府は集団的自衛権の行使容認を決定しました。ましてや、エネルギー自給率が6%のわが国においては、エネルギー安全保障についても一国にてできるものではありません。 他国から資源を輸入するだけでなく、エネルギーの面においても日本が世界に貢献してこそ、エネルギーの安全保障が成り立つといえます。 世界人口が100億に向かう中、食糧増産のためにも大きなエネルギーが必要となります。安価で安定した電力の需要は増すばかりであり、世界が原発を必要としているのです。 世界の原子力発電所については、運転中が426基(内、日本は運休中48基)、建設中が81基、計画中100基であり、建設、計画中については、中国、韓国やインド等のアジア諸国が約5割を占めています。 「エネルギー基本計画」においても、国際的な原子力利用は、特にアジアにおいて拡大を続ける見込みとしており、そうした世界のニーズに応えるためにも、わが国は原子力利用先進国として、原発の建設、運転、保守管理、廃止措置(原発の廃炉は世界共通の課題)をセットに高いレベルの原子力技術、人材を維持、発展させることが必要とされているのです。 福島第一原子力発電所事故の経験と教訓に基づいた、安全性を高めた原子力技術を世界に提供し、世界の原子力安全の向上に貢献していくことは日本の責務であり、成長戦略、国際協力の観点からも意義のあることなのです。 すべてを表示する « Previous 1 … 141 142 143 144 145 … 253 Next »