Home/ 新着一覧 新着一覧 クアッド失敗!? 対露制裁でほころぶ中国包囲網【前編】 2022.06.14 https://youtu.be/R2o25ITa6yU (6月1日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆クアッド失敗の兆し 5月24日、東京でクアッド首脳会議が開かれました。 クアッドとは、日本、アメリカ、インド、オーストラリアの4か国の対中国包囲網の枠組みです。会談の後は、共同声明で、中国を念頭に「威圧的、挑発的、一方的な行動に強く反対する」と発表しました。 しかし実のところ、クアッドは既に失敗する可能性が見え始めました。その表れのひとつが、会談直前の21日に行われたオーストラリアの総選挙です。 対中強硬派だった保守連合(自由党と国民党)を率いるモリソン首相が敗れ、親中派だと言われているアンソニー・アルバニージ党首が率いる労働党が第一党となり、政権を奪取しました。 オーストラリアの政権交代は9年ぶりの出来事です。 ◆政権交代によるオーストラリアの「親中化」 選挙キャンペーンでは、習近平国家主席が「Labor(労働党)」と書かれた投票用紙を投票箱に投じている写真をラッピングした、PRトラックがオーストラリアを走り回っていました。 これは与党系の市民団体による活動ですが、このように保守連合は、中国問題を争点にしようとしましたが、これは空振りに終わります。 理由は、ロシア・ウクライナ戦争などでオーストラリアは、20年ぶりの前年比5.1%の物価高(3月)を記録し、国民の関心は、インフレに対処に集まっていたからです。 労働党のアルバニージ党首は、インフレに追いつくために少なくとも5.1%の最低賃金の引き上げを支持し、育児補助金の引き上げなどのバラマキ政策を主張しました。 さらに労働党に期待されていることは中国との関係改善です。 保守連合のモリソン前首相は、「2019年にコロナ・ウィルスの起源の調査を中国ですべきだ」と主張したところ、中国との関係が悪化しました。 これがきっかけで中国は、実質上の報復としてオーストラリアからの石炭やワインなど200億ドル相当の品目に関税をかけ、例えば、オーストラリアのワインの輸出量は12億ドル近くから2420万ドルに落ち込みました。これは、約98%の減少になります。(※1) ◆親しくしないものには制裁を与える中国 オーストラリアにとって中国は最大の貿易相手国であり、この輸出の落ち込みは経済に大打撃です。 これにロシア制裁などによるインフレが加わって、生活のために中国と関係改善して少しでも稼ぎを増やしたいという国民の声が高まりました。 例えば、西オーストラリア穀物グループのダグ・スミス会長は「私たちの業界に課されている中国の関税が取り除かれれば、とんでもない利益となるだろう」と取材に答えたことが5月29日、イギリスのデイリー・メールが報じています。(※2) ◆中国にゴマをするアルバニージ氏 新首相のアルバニージ氏は、クアッド首脳会議の直前に「中国からの要求は完全に不適切であり、私たちはそれらを全て拒否します」と強気な発言をしており、すぐに中国に妥協する姿勢は見せていません。 これがいつまで続くかは怪しいところです。 先ほどのデイリー・メールは、1月25日にキャンベラの「ナショナル・プレス・クラブ」でアルバニージ氏が「中国が何億人もの人々を貧困から救ったのは、多大な賞賛に値する」と述べたと報じています。 報道によると、さらにアルバニージ氏は「これは素晴らしい経済的成果であり、人類の歴史上、これまでに見たことのないようなもの」と中国をベタ褒めしました。(※3) ある意味で、アルバニージ氏の最低賃金の引き上げなどの社会主義的な経済思想が、中国共産党の思想と共鳴していると指摘できると思います。 (後編につづく) (※1) https://www.dailymail.co.uk/news/article-10851989/Anthony-Albanese-repair-Australias-trade-tensions-China.html (※2) ttps://www.dailymail.co.uk/news/article-10851989/Anthony-Albanese-repair-Australias-trade-tensions-China.html (※3) (※3) https://www.dailymail.co.uk/news/article-10438091/Federal-Election-2022-Albanese-praises-China-lifting-hundreds-millions-poverty.html 自民党の「反撃能力」 使えるのは、核ミサイルを落とされた後?【後編】 2022.06.12 http://hrp-newsfile.jp/2022/4287/ HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆有事にだけ、米国に「核持ち込み」をお願いするのは筋違い 冷戦以降、日本が、核を「持たず、つくらず、持ち込ませず」という三原則のうち、「持ち込ませず」をあいまいにしてきたのは、近隣諸国に「日本に米軍の核があるかもしれない」と思わせるためでした。 そうすることで旧自民党は、ソ連や中国、北朝鮮などをけん制してきましたが、これが、民主党政権が行った「核密約の公開」で崩れました。 核密約は、米軍が核を持ち込んでも日本政府は知らぬふりをする、ということが主な内容だったからです。 今の日本は、核保有国に包囲されている状態なので、本来は、「持ち込ませず」を廃止し、核抑止力を強化しなければいけません。 しかし、岸田首相は欧米のロシア制裁に歩調を合わせ、ウクライナに防弾チョッキなどを送り、ロシアを敵に回しました。 中国・北朝鮮・ロシアという三方位に脅威がある中で、岸田政権は、核抑止力が下がった状態を放置しているわけです。 自民党政調会の提言には「緊急事態における核の持ち込みと非核三原則についての考え方を踏襲していく」と書かれていました。 しかし、米軍の「核の持ち込み」は、本来、核攻撃や核威嚇を防ぐために、緊急事態になる前に、平時に行うべき政策です。 緊急事態になった後、バイデン大統領に「核を持ち込んでください」と言っても、ウクライナの時と同じく、「第三次大戦を避けたい」と言われる可能性が高いからです。 核密約を公開し、非核三原則を守ってきた日本が、米国に「有事にだけ核を持ち込んでください」と頼むのは、虫が良すぎる考え方だと言えます。 やはり、「核の持ち込み」が必要なのであれば、「核を持ち込ませず」という原則を廃止し、米軍がいつでも核を持ち込める体制に変えなければなりません。 ◆自民党の憲法改正案は「専守防衛」をよしとしている こうしてみると、自民党政調会の提言では、日本を守れないことがよくわかります。 それは、自民党の憲法改正案についても同じことが言えます。 自民党案では「自衛隊を明記」する条文を「加憲」するだけなので、「戦争放棄」と「戦力不保持」「交戦権の否認」を定めた今の9条がそのまま残ります。 9条の1項と2項の解釈から生まれた「専守防衛」が残るので、先制攻撃を受ける体制の中で「自衛隊を保持する」と言っているだけの話にすぎません。 これでは日本を守れないので、幸福実現党は、抜本的な憲法九条の改正が必要だと訴えています。 「戦争放棄」と「戦力不保持」「交戦権の否認」の全てを改め、国防軍を組織する必要があるからです。 ◆「憲法九条の抜本改正」こそが日本を救う 幸福実現党が憲法九条の抜本改正を訴えているのは、戦争がしたいからではありません。 今の体制では、日本が守れないからです。 大川隆法党総裁は2019年に「どうしても避けられない戦争が未来に起きる。それも、自分たちから侵略するのではなく、他国から侵略されて、国民に大いなる受難が来る」ということが予想されるならば、せめて国民の「生命・安全・財産」と「領土・領海・領空」を護るために、きっちりとした仕事をすることは、税金を集めている国家の使命である」と訴えています(『自由・民主・信仰の世界』第三章)。 専守防衛のように、被害が出た後に反撃する体制だと抑止力が効かず、日本への攻撃を誘発しかねません。 憲法9条のない他国と同じように、通常の軍隊で国を守れる体制をつくり、「抑止力」を機能させなければならないのです。 通常戦力には通常戦力、核には核でしか抑止が効かないため、幸福実現党は「非核三原則の撤廃」や「米軍による核の持ち込み容認」を主要政策に掲げています。 そして、米国だけに日本の運命を委ねることはできないので、「自前の核装備を積極的に検討」しなければいけないと考えています。 そうすることで、幸福実現党は、日本を守る「責任政党」としての使命を果たそうとしています。 【参照】 ・NHK NEWS WEB「自民 茂木幹事長『防衛費増額や “反撃能力”の保有 公約に』」(2022年5月29日) ・自由民主党政務調査会『新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言』(https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/news/policy/203401_1.pdf) ・朝日デジタル「核密約公開、民主政権に再三『憂慮』 米外交公電で判明」(2011年5月7日) 自民党の「反撃能力」 使えるのは、核ミサイルを落とされた後?【前編】 2022.06.11 http://hrp-newsfile.jp/2022/4286/ HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆自民党が「防衛費増」と「反撃能力」を公約に盛り込む? 5月29日、自民党の茂木幹事長は、防衛費を「来年度予算で6兆円台の半ばか、それ以上」にし、「5年以内に対GDP比2%も念頭に」増やす方針を述べました。 弾道ミサイルなどに対処する「反撃能力」を持つことを「党の選挙公約にもしっかり書き込んでいきたい」と述べています。 防衛費の増額も、反撃能力の保有も、4月に自民党政調会が提言していた政策で、この二つが参院選の公約に入る可能性が濃厚になりました。 (※自民党は『新たな国家安全保障戦略等の策定に向けた提言』を4月26日に党議決定) ◆自民党の「反撃能力」は、日本が先制攻撃を受けることが前提 しかし、自民党の防衛費増額は少なすぎますし、5年以内というのも遅すぎます。 この提言では、中国の公表国防予算が「日本の約4倍となっている」と言いながら、それに対抗できない増額案を出しています。 さらに、もう一つの「反撃能力」にも重大な欠陥があります。 これは「専守防衛」の範囲でしか使えないからです。 専守防衛とは「相手から武力攻撃を受けたときにはじめて防衛力を行使」することなので、結局、日本に大きな被害が出た後に反撃できると言っているだけです。 しかも、その反撃には、自衛のための「必要最小限」という条件がついています。 (*自民党政調会の提言には「専守防衛の考え方の下で、弾道ミサイル攻撃を含むわが国への武力攻撃に対する反撃能力を保有し、これらの攻撃を抑止し、対処する」と書かれている) ◆北朝鮮や中国の核ミサイルが落ちた後に「反撃」するのか 「武力攻撃を受けたときにはじめて防衛力を行使」する、と言っている政治家は、目の前の脅威を見ようとしていません。 北朝鮮と中国は核ミサイルを撃てるので、先制攻撃を許せば自衛隊は先に壊滅します。東京や名古屋、大阪といった主要都市も崩壊します。 通常兵器の戦いでも、先制攻撃を許せば、陸・海・空などの戦場で自衛隊は大きな被害を蒙ります。 現代では、ミサイルや戦闘機、火砲といった飛び道具の性能が昔よりも格段に上がっているからです。 「専守防衛」の日本には、先制攻撃で優位に立てるので、自民党が言う「反撃能力」で、中国や北朝鮮の「攻撃を抑止し、対処する」ことはできないでしょう。 ◆中国が核ミサイルを持つ前に生まれた「専守防衛」を現代の防衛に持ち込むのは筋違いな話 そもそも、「専守防衛」という考え方は、ミサイルをはじめとした兵器の性能の向上を無視しています。 「専守防衛」という言葉は、1955年に、当時の防衛庁長官(杉原荒太氏)が初めて国会答弁で使いました。 ソ連が初めて宇宙空間に人工衛星を送ったのは1957年(スプートニクショック)。 米ソのミサイル開発競争が本格化する時代の前に使われた言葉が、今の日本の防衛政策の中心に置かれています。 1955年には、ソ連からアメリカの主要都市に届く長距離ミサイル(大陸間弾道弾)は、まだ、ありませんでした。 ソ連は射程距離2000km以下の弾道ミサイルを持っていましたが、当時は、今よりも、ミサイルの数が、はるかに少なかったのです。 当然、そのころには、中国も北朝鮮も核ミサイルを持っていません。 そんな時代に出てきた「専守防衛」を、中国や北朝鮮、ロシアの核ミサイルに包囲された今の日本に持ち込んだなら、どんな防衛政策も機能しなくなります。 ◆岸田首相は、民主党政権の「核持ち込み」についての方針を踏襲 さらに、自民党の防衛政策には、岸田首相に特有の「核アレルギー」という問題があります。 岸田首相は、今年の3月、国会で、米軍の「核持ち込み」については、民主党政権の岡田外務大臣の答弁を踏襲すると語っています。 2010年に、岡田氏は、以下のように述べました。 「緊急事態ということが発生して、しかし、核の一時的寄港ということを認めないと日本の安全が守れないというような事態がもし発生したとすれば、それは、そのときの政権が政権の命運をかけて決断をし、国民の皆さんに説明する」 岸田政権は、この鳩山政権の方針を踏襲したのです。 (後編につづく) ※岸田氏の発言の全文 「令和4年3月7日の参議院予算委員会での岸田総理答弁」 「かつて、2010年の当時の岡田外務大臣のこの発言でありますが、余り仮定の議論をすべきではないと思いますが、緊急事態ということが発生して、しかし、核の一時的寄港ということを認めないと日本の安全が守れないというような事態がもし発生したとすれば、それはそのときの政権が政権の命運を懸けて決断し、国民の皆さんに説明する、そういうことであるという発言があります。これが当時の岡田外務大臣の発言でありますが、こうした答弁について岸田内閣においても引き継いでいるというのが立場であります」 (*これが自民政調会の提言の中に引用されている) 新築住宅への「太陽光発電パネル設置の義務化」の不条理【後編】 2022.06.10 新築住宅への「太陽光発電パネル設置の義務化」の不条理【後編】 HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆安易に「強制力」を使いたがる政治の危険性 前編では、「太陽光発電パネル設置の義務化」の不条理について指摘してきしました。 結論を言えば、新築住宅への太陽光の発電パネル設置の義務化は、企業活動の自由を圧迫する政策と言わざるをえません。 CO2削減を錦の御旗にして、環境確保条例で、住宅メーカーに負担を上乗せしたがっています。 「CO2を削減しなければ大変なことになる」という論理を使い、経済を権力で統制しようとしているのです。 危機を理由にして、経済統制を行いたがる傾向は、最近の中央政府の政策にもみられます。 5月27日、経産省は、本年の冬に電力需給が逼迫することを想定し、大規模停電の恐れが高まった時、大企業などに「電気使用制限」の発令を検討すると公表しました。 これは、違反した場合は罰金を伴います。 「需給がひっ迫したらしかたがない」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、原発の再稼働を進めずに、企業に罰則つきの電力制限を課するのは筋が通りません。 2022年6月9日の時点で、稼働している原発は3基しかありません。 電力の供給が少なくなるというのなら、まず、発電能力を高めるのが先決です。 それをなさずに、足りない電力をいかに「分配」するかだけを考え、企業活動の自由を統制しようとするのは間違っています。 危機を理由に、経済統制を行う傾向は、コロナ対策の頃から強まってきました。 大川隆法党総裁は、2021年に「『緊急事態』と称して全体主義が入ってくるので、気をつけなければいけないところがあると思います」と警鐘を鳴らしました(『コロナ不況にどう立ち向かうか』)。 政府が強制力を駆使する前に、なすべきことがあります。 原発を十分に稼働させずに、無理に太陽光ばかりを推進したり、企業に罰則つきの電力制限を課したりするのは、筋が通りません。 幸福実現党は、こうした現状を打破してまいります。 原発を早く再稼働させ、日本経済が健全に発展する基盤をつくります。 不安定な太陽光発電に比べると、原発には安定電源としての強みがあります。 また、燃料費が高騰している今、火力発電だけに依存するのは望ましくありません。 バランスのとれた電源構成を再構築しなければいけないのです。 【参照】 大川隆法著『コロナ不況にどう立ち向かうか』幸福の科学出版 「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)の改正について~カーボンハーフの実現に向けた実効性ある制度のあり方について~(中間のまとめ)」(2022年5月 東京都環境審議会) 週刊ダイヤモンド「消費者と住宅メーカーが両損 『太陽光発電義務化』の無理筋」2022/6/4 東京新聞(WEB版)「太陽光パネル義務付け条例制定に向けて東京都がパブコメ開始 反対論に小池知事『おかしなことでない』」2022年5月27日 杉山大志「新築住宅への太陽光義務化 見送りは妥当か否か」(2021.8.2) キャノングローバル戦略研究所HP 原子力規制委員会HP「原子力発電所の現在の運転状況」 新築住宅への「太陽光発電パネル設置の義務化」の不条理【前編】 2022.06.09 http://hrp-newsfile.jp/2022/4284/ HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆「新築住宅への太陽光の発電パネル設置の義務化」とは 東京都は、2030年までにCO2を2000年比で半分にする(50%減)という目標を掲げています。 それを実現するための政策の一つとして、全国に先んじて、新築の一戸建てやマンションへの太陽光の発電パネル設置を義務化する方針が出されました。 昨年12月、小池都知事が、新築住宅を対象にして、住宅メーカーに太陽光パネル設置を義務化する方針を打ち出しました。 その半年後、5月に開催された都の有識者検討会(東京都環境審議会)の答申案(※)にも、その内容が盛り込まれました。 ただ、この政策は、まだ、国レベルでは実施されていません。 昨年の6月、政府が公共建築物を新築する場合、原則として太陽光発電設備を設置する方針を決めましたが、負担の重さなどを理由に、新築住宅への設置義務化は見送られたのです。 しかし、この政策が、今後、国や他の自治体に取り入れられる可能性があるので、注意する必要があります。 (※本稿で参照する「答申案」の出典は「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)の改正について~カーボンハーフの実現に向けた実効性ある制度のあり方について~(中間のまとめ)」) ◆「太陽光発電パネル設置の義務化」の不条理(1) パネルを付けた後にビルが建ったらどうする? 新築住宅への太陽光の発電パネル設置の義務化といっても、一応、答申案では「隣接建物による日陰等」と例をあげ、「設置に不向きな場合を考慮する」としています。 (※日当たりが悪い地域では、代替案として他の再生可能エネルギーの設置や再エネ電力購入などを講じる方針) そのうえで、答申案は、85%の住宅がパネル設置に「適」しているとしています。 しかし、そこには、「条件付き」の「適」が含まれています。 (※これは「東京ソーラー屋根台帳」という小平市の「環境部 環境政策課」が作成したWEBマップの数字) 統計や地図上では可能に見えても、現地の「条件」を見たら無理だった、ということがありえるわけです。 太陽光パネルの設置前には、高層ビルの有無や、土地の高低差、近隣の建物の並び方、日射取得率などから発電のシミュレーションを行います。 また、日影規制や斜線制限(建築基準法)、高度地区の高さ制限(都市計画法)といった規制に合わせなければいけません。 一つ一つの案件を見ていかなければならないので、太陽光パネルの設置は、一律の「義務化」にそぐわないところがあります。 さらに言えば、家を建てた時は太陽光発電ができても、その後、近隣にビルが建てば、十分な発電量が確保できなくなります。 住宅が太陽光パネル設置に適していると判定されても、その状態が続くかどうかは限らないわけです。 ◆「太陽光発電パネル設置の義務化」の不条理(2) メーカーの負担増 住宅販売減 もう一つの問題は、太陽光パネルの費用(100万円程度)が住宅価格に上乗せされるということです。 木材などの資材の価格が上がる中で、さらに値上がりするのです。 また、半導体不足で太陽光パネルの供給が遅れているという問題もあります。 その中でパネル設置を義務化すれば、住宅の完成も遅れます。 住宅をつくる際にも、売る際にも、マイナスの影響が出ます。 「太陽光パネル設置の初期費用は、パネルの余剰電力売却金で回収できる」という意見もありますが、家の値段は高いので、消費者の中には「パネル代まで払えない」という人が出てきます。 また、「初期費用を住宅メーカーが負担し、後で、それをパネルの余剰電力売却金から回収する」という方法も考えられています。 しかし、この場合でも、回収が終わるまでの負担がメーカーにのしかかります。 政府が企業や消費者を補助金で支援したとしても、結局、そのお金の出どころは税金か国債です。 やはり、この政策が国民の負担増につながることは否定できません。 ◆「太陽光発電パネル設置の義務化」の不条理(3) 義務目標が未達の場合、事業者名を公表 答申案の内容から「義務化」の対象になるのは、大手住宅メーカー50社程度とみられています。 (「環境審議会がまとめた案では、一戸建てなど中小規模の建物では、建築主ではなく、中小規模の建物の供給量が都内で年間2万平方メートル以上の住宅メーカーに義務が課される。都内で年間に販売される新築住宅の5割強が対象になる見通しだ」東京新聞WEB版 2022年5月27日) 都は住宅メーカーなどに、環境対策についての報告を求め、基準未達成の場合は「都による指導、助言、指示、勧告、氏名公表などを通して、適正履行を促していくべきである」と書かれています。 従わなければ業者名を公表し、国民の前でさらし者にするという、恐怖政治的な手法が取り入れられているのです。 ◆「太陽光発電パネル設置の義務化」の不条理(4) ウィグル自治区でつくられた太陽光パネルでもおとがめなし? この政策は事業者にとっては負担増になるため、コストを切り詰めなければいけなくなります。 この政策が実施されれば、多くの企業が、中国製の安い太陽光パネルを使うことになりそうです。 しかし、キャノングローバル戦略研究所の杉山大志氏によれば、最も安い結晶シリコン方式の中国製パネルのうち、半分近くが新疆ウイグル自治区で生産されているそうです。 「いま最も安価で大量に普及しているのは結晶シリコン方式であり、世界における太陽光発電用結晶シリコンの80%は中国製である。そして、うち半分以上が新疆ウイグル自治区における生産であり、世界に占める新疆ウイグル自治区の生産量のシェアは実に45%に達する。」 (杉山大志「新築住宅への太陽光義務化 見送りは妥当か否か」(2021.8.2) キャノングローバル戦略研究所HP) しかし、都の有識者会議の答申書では、なぜか、この問題は取り上げられていませんでした。 (後編につづく) 日米首脳会談の陰に隠れたウクライナ支援――世界から金づるにされる日本【後編】 2022.06.06 https://youtu.be/UKRkF_tpZ3o 幸福実現党党首 釈量子 ◆物事の「幹と枝葉」の峻別が出来ていない日本 ロシアに負けを認めさせようと追い込めば追い込むほど、ウクライナに戦術核が撃ち込まれるリスクも高くなるわけなので、ロシアに多額の賠償金を払わせようとするのは危険な賭けでしょう。 そうしたロシアに比べれば日本の方がはるかにお金を要求しやすい相手です。 日本のウクライナは、気がつけば何兆円規模の支援になっていた、ということもあり得ます。 日本はウクライナに支援をすればするほど、ロシアが日本の敵となり、日本は、中国・北朝鮮・ロシアの三正面作戦を強いられることになります。(※1) またロシアは圧倒的な資源国です。そのロシアを、非資源国のヨーロッパや日本を含むG7が、制裁で兵糧攻めをしようと思っても逆にこちらが兵糧攻めに合うことになります。 ですから、現在の日本には、果たして他国の支援する余裕があるのかということです。ロシアと敵対することで資源高には悩まされ続けることになります。また、三正面作戦の対応は国防費も爆増しなければ無理でしょう。 ◆虎視眈々と国土奪還を狙うウクライナ また、現状、欧米がウクライナを支援すればするほどウクライナは勢いづいて、停戦よりも国土奪還に動いているように見えます。ゼレンスキー大統領は、プーチン大統領との会談の前提はロシア軍の撤退だと述べています。(※2) アメリカも、決してウクライナに対して巨額な財政支援をすべきだという意見だけになっているわけではありません。 小さな政府を標榜することで有名な保守系のヘリテージ財団所長のケビン・ロバーツ氏は3月23日付のウォール・ストリート・ジャーナルにアメリカの400億ドル法案を批判する記事を投稿しました。 「ウクライナへの米国の援助は私たちの利益に関するものであり、彼らの利益に関するものではありません」と述べました。また「ウクライナへの単なる同情では、アメリカの国益に反することになりかねないと批判しています。(※3) さらに「400億ドルの援助法案は、ウクライナをロシアから保護するのではなく、議会をアメリカ国民への説明責任から保護するために可決されました」とも述べています。つまり、予算の中身について十分な議論がされたり、精査がされることがなく、巨額の予算が決められていることを問題視しているのです。 ◆生き残る道はロシアとの友好関係 さらに、ニューヨーク・タイムズの5月19日の社説では、「ウクライナを自由にする」などの目標は変えるべきでないとしつつも、「結局、アメリカの最大の国益は、それでもなおロシアとの全面戦争に突入することではありません。たとえその結果、交渉による和平のために、ウクライナに対して厳しい決断を迫ることになったとしてもそうなのです」と述べました。(※4) また「ロシアに対するウクライナの決定的勝利は、2014年以来ロシアが占領したすべての領土をウクライナが取り戻すことだと考えるのは、現実的な目標ではありません」とし、そうした非現実的な期待はアメリカやNATOを「出費がかかる長期の戦争に、さらに深く引きずりこむ可能性があります」と伝えています。 そして、バイデン大統領はゼレンスキー大統領とその国民に、ロシアと全面戦争はできないことや支援にも限界があることを明らかにすべきだと指摘しています。 結局、日本の国益は何かと言えば、中国封じ込めのために、ロシアとの友好の道を残すことです。そして、そのために日本はロシア―ウクライナ戦争の停戦の仲介に尽力すべきです。それが実現できなければ、終わりなきウクライナ支援と中国・北朝鮮・ロシアの三正面作戦によって日本は疲弊しきることになるでしょう。 (※1) https://news.yahoo.co.jp/articles/00118171d3292f899e3bb87974a3b420f111a498 (※2) https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-talks-zelenskiy-idJPKCN2MZ1O9 (※3) https://www.wsj.com/articles/ukraine-aid-package-government-spending-waste-war-munition-missile-populist-debate-democracy-senate-congress-debt-billions-isolationism-shutdown-11653338550 (※4) https://www.nytimes.com/2022/05/19/opinion/america-ukraine-war-support.html 日米首脳会談の陰に隠れたウクライナ支援――世界から金づるにされる日本【前編】 2022.06.05 https://youtu.be/UKRkF_tpZ3o 幸福実現党党首 釈量子 ◆あくまでウクライナを支援する日米 5月23日、東京で日米首脳会談が行われました。 その後の記者会見では、日本の国連安保理への常任理事国入りに対するアメリカの支持や、日本の国防費増強のアメリカの支持、台湾防衛へのアメリカの軍事的関与、インド太平洋経済枠組み(IPEF)の創設などが表明されました。 また、日米共同声明では「当面の最大の脅威は、ロシアによるウクライナに対する残虐でいわれのない不当な侵略であるとの見解で一致した」などと述べられ、ウクライナ戦争について日米が結束するという方針が示されました。(※1) 日本は5月19日に、岸田首相がウクライナに対する3億ドルの追加融資を発表し、日本の累計のウクライナの融資額が6億ドルになることが分かっていますが、今回の声明を見ればその支援は更に続くでしょう。 一方アメリカは、バイデン大統領のアジア訪問の裏で、ウクライナに対するおよそ400億ドルもの巨額な支援を行う法律を議会で可決しています。(※2) アメリカもコロナパンデミックを契機に巨額な財政出動をした結果、財政赤字が積み上がっており、羽振りよくウクライナ支援はできないのが現実です。 ◆「金づる日本」 ここで懸念されるのは、日本が世界で金づるになっているのではないかという状況です。 5月11日にフィンランドのサンナ・マリン氏が、岸田首相に支援を求めに来日しました。これは異常事態であり、世界から見た日本はまさに「花咲かジイサン」のようで、気前よく、カネをバラまいてくれるものだと認識し始めているのです。 現時点でのウクライナの支援金はまだまだ序の口で、どんどん日本から搾り取るべく、支援を迫ってくることでしょう。 20日付のブルームバーグの記事では「ドイツのエルマウで6月26-28日に開催されるG7首脳会議では、より規模が大きい支援パッケージが承認される可能性もある」と報じています。(※3) ですから、6月末の本丸であるG7首脳会談に向けて、今回の首脳会談では、今後、特に話題になるであろうウクライナ復興支援について話し合われた可能性があります。 ◆復興支援を世界に求めるゼレンスキー 日経の5月20日の記事では、復興プランは現代の「マーシャルプラン」だと指摘しています。マーシャルプランは第2次世界大戦後のアメリカによるヨーロッパ復興支援です。 イエレン米財務長官は会議前に開かれた講演で「1945年以降の欧州復興の作業に匹敵する多額の支援と民間投資がいずれ必要になる」と述べました。(※4) 5月3日付のウォール・ストリート・ジャーナルは「ウクライナの経済とインフラの再建には、およそ6000億ドルがかかる」とゼレンスキー大統領が述べたことを報道しています。(※5) お金が無いウクライナはこの莫大な復興費用をG7に負担させるべく、500億ドルの財政支援を求めましたが、その根拠は今後6ヵ月で月80億ドルの赤字が生まれるからだと4月17日付のポリティコで報じられています。(※6) さらに、G7の中で特に目をつけられるのは経済大国の日本やドイツである可能性は高いでしょう。 (後編につづく) (※1) https://www.mofa.go.jp/mofaj/na/na1/us/shin4_000018.html (※2) https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220522/k10013637551000.html (※3) https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-05-20/RC6LVXT0G1KZ01 (※4) https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB167190W2A510C2000000/ (※5) https://www.wsj.com/livecoverage/russia-ukraine-latest-news-2022-05-03/card/zelensky-estimates-cost-of-rebuilding-ukraine-at-600-billion-oP04eAen6xsQHqiJK8rE (※6) https://www.politico.com/news/2022/04/18/ukraine-50-billion-aid-package-00026032 SNSアカウントも続々凍結?バイデン政権が「偽情報」監視か【後編】 2022.06.01 https://youtu.be/SGjAbZCmgUg 幸福実現党党首 釈量子 ◆民主党とソーシャルメディアの繋がり 民主党とソーシャルメディアは金銭面でも深いつながりがあります。 例えば、Twitter社の政治献金について、2020年の大統領選のとき、圧倒的に民主党に献金しています。ジョー・バイデンには約20万ドル献金されており、これはTwitter社の中では一番多い献金対象です。 4月にイーロン・マスクが言論の自由を守るためにTwitter社を買収すると発表したとき、民主党は猛反発しました。 このTwitter買収案件について、アメリカの証券取引委員会(SEC)が調査に乗り出したことが、5月11日、ウォール・ストリート・ジャーナルで報道されました。 アメリカでは、上場株などの株式を5%を超えて大量に保有した場合は、取得から10日以内にSECに届け出るルールがあるのですが、マスク氏がこれを破ったと問題視されています。 しかし、重大な犯罪かと言えばそうではなく、報告を怠っても、全ての案件をSECが訴訟するわけでもありません(そもそも刑事ではなく民事訴訟)。 他にも、Twitter買収を一時的にストップさせるような政府機関の動きが報道されています。 5月6日、ブルームバーグによると、米連邦取引委員会FTCが、独占禁止法の違反の疑いでTwitter買収の審査を行っているということです。 そもそも独占禁止法は、企業に競争させて、消費者が安くていい商品が選べるように、一つの企業が他の企業を買収して市場を独占することがないようにするための法律です。 完全な異業種のEVの会社のテスラや、ロケットの会社のスペースXのイーロン・マスクによる買収が、なぜ独占禁止法違反なのかよく分かりません。 もっとも、民主党との金銭的なつながりはTwitter社に限った話ではなく、GAFAなどのインターネット産業に共通しています。 民主党は、このようにインターネット産業と結びつきを強めると同時に、フェイクニュースの規制を強化せよと言っているわけで、アメリカの「言論の自由」は非常に危険な状況です。 ◆自由を守るために必要なこと なぜ、リベラル、つまり自由を掲げるアメリカの民主党で、このような言論統制が起きてしまうのでしょうか。 バイデン政権は「偽情報の拡散は、国境の安全、災害時のアメリカ人の安全、そして私たちの民主的機関に対する国民の信頼に影響を与える可能性がある」と言っています。 これは裏を返せば、国民一人ひとりが自分の判断で正しい情報を選ぶ力がないと言っているようなものです。 つまり、リベラルと言いながら、本当の意味での「人権」を軽視して、全体主義的な傾向を強めています。 それは、アメリカ独立宣言の冒頭に出てくる「すべての人間は生まれながらにして平等であり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている」考えを忘れてしまっているからではないでしょうか。 これは、トランプ氏が「自由は神から与えられているので、どんなこの世の権力も奪うことはできない」と語り、ブレなかった姿を実に対照的です。 私たち幸福実現党は、神なき民主主義や信仰なき民主主義では、限界があると考えます。 無神論は人間の傲慢さにつながります。中国のような専制国家の独裁者は、政府の批判を許さず、犯罪をでっちあげて逮捕していきます。 しかし、民主主義国であっても、神を信じない、自由や人権に関する哲学や信念のない精神性の低い人物が大統領になると、自分の考えに反対する人たちを潰したり、言論の自由を踏みにじったり、前任者をお縄に懸けたりと、全体主義的な傾向を持ってしまいます。 アメリカが今、急速にバイデン政権の元、全体主義化が進んでいるのは、こうしたアメリカの 建国の精神が忘れ去られつつあることに他なりません。 一方で日本でも、ロシア報道一つ取ってみても、多様性が確保されているとは決して言い難い状況となっています。民主主義国で、異なる意見が言えなくなってしまえば、それは中国などの独裁国家と何ら変わりません。 幸福実現党は、日本は「自由の大国」であるべきであり、民主主義を守るためには、是々非々で、正直な意見を国民の皆様に訴え続けてまいります。 SNSアカウントも続々凍結?バイデン政権が「偽情報」監視か【前編】 2022.05.31 https://youtu.be/SGjAbZCmgUg 幸福実現党党首 釈量子 ◆アメリカの「言論の自由」の危機 今、自由と民主主義の国、アメリカが言論の危機にあります。 バイデン政権が4月末に設立した「ディスインフォメーション・ガバナンス・ボード(DGB)」は、日本語では偽情報統治委員会で国土安全保障に関する偽情報に対処するための機関です。 4月29日付のAP通信の報道によれば、特にロシアや不法移民に関する偽情報に集中して対応する予定でしたが、共和党や一部のメディアが猛反発したことで、わずか3週間で停止に追い込まれました。 しかし、報道ではあくまで、「pause」(一時停止)と報じており、将来的に復活する可能性もあります。 国土安全保障省はDGB設立時に「偽情報の拡散は、国境の安全、災害時のアメリカ人の安全、そして私たちの民主的機関に対する国民の信頼に影響を与える可能性がある」と発表していました。 一見、とても正しい発言にも聞こえますが、これは、「言論の自由」をめぐる攻防であり、議論が沸騰しました。 例えば、ウォール・ストリート・ジャーナルは、DGBについて「バイデン政権は、国家による監視社会を描いたジョージ・オーウェルの小説『1984』を誰も読んでいないのではないか」と皮肉っています。(※2) ◆DGBトップの問題 DGBのトップになった、ニナ・ジャンコウィッツ氏は、2020年の大統領選のときに、汚職疑惑があがったハンター氏のノートパソコンをトランプの選挙運動のために作り出されたウソ情報と見るべきだと主張しました。 ちなみに、彼女自身は過去の二回の大統領選でバイデン氏とヒラリー氏を公然と支持していたとフォックスニュースは報道しています。 さらに、2021年3月21日にはTwitterで、ハンター氏のノートパソコンが疑わしいもので、おそらくロシアの影響工作の一環だとツイートしています。 しかし、アメリカ当局の捜査が進んだ現在、これはフェイクでも何でもなく、本物で副大統領の息子の立場を利用してウクライナや中国で商売をしていた証拠もあることが報道されています。 また、今年の3月末にはアメリカの大手メディアが司法省による刑事事件捜査が進展していることを一斉に報じました。 DGBのトップとなったニナ氏は、過去にこのような重要な真実を、誤ってフェイクニュースと断じていたわけですから、「トップになる資格があるのか」と非難が巻き起こり、今回辞任に追い込まれました。 バイデン政権は、事実上の撤回となったDGBについて「委員会は、どんな方法であれ決して検閲も言論の取締りもしない。憲法上の核となる権利を守りながら、祖国を守るという私たちの使命を確実に果たすように設計された」と弁明しています。 つまり、政府は情報が本物か偽物のジャッジをするだけで、検閲はしないのだから、「言論の自由」は守られるという建前を言っているわけです。 しかし、政府が検閲しないと言っても、政府が本物か偽物のジャッジするのなら、マスコミやソーシャルメディアがその判断を基に、発言の削除などができるわけです。 ◆強まる言論統制 アメリカでは既に、政治家とメディアが融合することで言論の統制が始まりつつあります。 2020年大統領選中のハンター・バイデンをめぐる汚職疑惑でも、民主党がフェイクだと断定するのに合わせたように、Twitterなどのソーシャルメディアも、情報を検閲しました。 選挙直後に実施されたアメリカのメディアリサーチセンターの調査によれば、バイデン氏に投票した4.6%の人がハンター・バイデンの疑惑を知っていたら投票しなかったと答えています。 ワクチンをめぐる問題でも、政権の動きに沿ってTwitterが検閲を行った例があります。 2021年7月16日にバイデン大統領は、フェイスブックなどのSNS上でmRNAワクチンに対する反対意見の存在を許すことで、「人々を殺している」と発言しました。 このバイデンの発言の数時間後、ワクチンやマスクの義務化に異議を唱えていたジャーナリストのアレックス・ベレンソン氏のTwitterアカウントが凍結されました。 ベレンソン氏は、アカウント凍結は違法だと裁判を起こし、裁判所は、Twitter社に判断の根拠を示す情報開示を4月29日に命じています。 今回のTwitter社の動きは、偽情報統治委員会DGBがなくても、既にアメリカでは、政府による言論統制が進みつつある実態を示唆しています。 (後編につづく) ウクライナ戦争の背後で台湾に迫る中国。このままだと日本はウクライナ化する?【後編】 2022.05.30 https://youtu.be/O1F0dhWrsKc 幸福実現党党首 釈量子 ◆北海道が戦場になる可能性も 前編では、アメリカのウクライナへの武器支援が長期化すれば、中国は無傷であるため、東アジアの軍事バランスが崩れ、戦争が起きかねない不安定な状況になることを指摘しました。 ロシアを敵に回せば、台湾だけでなく北海道も前線になってしまうため、日本も戦場になってしまう可能性が高まります。 しかし、現時点では、日本の北海道防衛についてはノープランです。 また、「習近平はロシアの苦戦を見れば、台湾侵攻には動けないのではないか」という意見もありますが、中国の立場に立てば必ずしもそうは言えないでしょう。 5月11日、幸福の科学では、第二次世界大戦開戦時のアメリカの大統領フランクリン・ルーズベルトの霊言が行われました。 ルーズベルトがバイデン大統領を霊的に支援していることが明かされており、ウクライナ戦争に関して「バイデンが『兵を送らない』と言ったから、プーチンは喜んで攻め込んだ。罠にかかったのさ」と供述しました。 また、ロシアを潰した後は習近平を跪かせるのが戦略であり、台湾への侵攻を焚きつけ、ウクライナ同様、中国をひっくり返したいということが語られました。 ◆日本がなすべきは停戦の仲介 今の日本の状況で、中国・北朝鮮・ロシアの三正面から攻撃があれば、日米同盟があっても、日本を守り切ることは非常に困難です。 日本が選ぶべき道は、ウクライナ戦争の停戦を実現し、ロシアと欧米の関係修復を行うこと以外に道はありません。 G7は今のところ、ロシア制裁で協調していますが、アメリカの圧力でそうせざるを得ない様子が伺えます。 例えば、ドイツのショルツ首相は、ウクライナ戦争が始まった当初からドイツの防衛力の強化を進める一方で、ウクライナへの武器供与は慎重姿勢でした。 そうした姿勢もあってか、4月12日にドイツのシュタインマイヤー大統領のキエフ訪問を拒否されたという前代未聞の出来事もありました。 フランスのマクロン大統領は戦争が始まった後も、プーチン大統領と協議を繰り返して、停戦を模索しています。 また同大統領は、「ウクライナ人とロシア人は兄弟のようなもの」と述べたり、意図的にジェノサイドと呼べば、戦争が拡大する恐れがあるとして慎重姿勢を貫いています。 アメリカでも、イギリスのデイリー・エクスプレスの調査結果によれば、アメリカ国民はウクライナ戦争で敗北しても構わないと44%の人が答えています。 さらにアメリカ国民は、「バイデン大統領か、プーチン大統領のどちらが辞めてほしいか」という質問に対し、53%の人がバイデン氏だと答えているのです。 ◆中国包囲網の構築を 日本はG7の国々とも協力し、アメリカ世論に粘り強い外交を行い、ウクライナ戦争の停戦を実現すべきです。 そして、日米ともに本当に世界の問題である中国共産党への対処に集中すべきです。 日米同盟第4条には「極東における国際の平和及び安全に対する脅威が生じたときはいつでも、いずれか一方の締約国の要請により協議する」とあります。 今の世界で一番の問題は、中国共産党によるウイグル、チベット、香港やモンゴルでの悪行の数々を、アジア一の民主主義国である日本が、同じく民主主義国家であるアメリカに訴えていく義務があります。 ロシアとの停戦を実現し、中国共産党への包囲網を構築することこそが日本の真なる国益となり、世界の安定と平和につながっていくことに必ずなります。 すべてを表示する « Previous 1 … 12 13 14 15 16 … 253 Next »