Home/ 2024年 November 2024年 November 「103万円の壁」について考える 2024.11.30 幸福実現党政務調査会ニューズレター No.37 https://info.hr-party.jp/2024/14648/ ◆「103万円の壁」問題とは 2024年10月27日投開票の第50回衆院選で、自民・公明合わせた与党が過半数を割りこむ結果となり、第2次石破茂内閣は、野党との政策ごとの交渉を余儀なくされています。そこで焦点となっているのが、「103万円の壁」問題です。 「103万円の壁」とは、アルバイトやパートで働く労働者が、年収103万円を超えると所得税の納税が発生するため働き控えを行うようになるという問題です(注1)。 この壁が「103万円」であるのは、基礎控除額(48万円)と給与所得控除額(最低額55万円)の合計が103万円であることによります。 与党と政策協議を行っている国民民主党は、基礎控除額を引き上げることで、所得税の納税が発生するのを「103万円」から「178万円」にすべきだと提言しています。 20日、自民・公明両党と国民民主党は、103万円の壁を「引き上げる」との内容を盛り込んだ新たな経済対策について合意し、22日には、政府はこの経済対策を閣議決定しました。 今後は、控除額をどう設定するかなど具体策が議論されることになります。 ◆「103万円の壁」問題をどう考えるべきか 「103万円の壁」の引き上げは、パート・アルバイトの働き控えを抑え、労働力不足を抑制する効果を期待することができます。同時に、基礎控除が拡大するため、家族などの扶養者をはじめ、一般の労働者に対して幅広く減税措置が取られることになります。減税で国民負担が軽減される点は評価すべきでしょう。 一方で、政府は、壁を「103万円」から「178万円」に引き上げた場合、国と地方自治体の税収は併せて7兆円〜8兆円程度減収すると試算しています。 壁の引き上げと同時に歳出カットを行わなければ、赤字国債の発行額増など財政悪化やさらなる物価高につながることが懸念されます。物価高や将来的な増税など、実質的な意味で国民負担を軽減するためには、壁の引き上げと同時に「政府の仕事の減量」を併せて行うべきです。 ◆「年収の壁」問題の根本解決に向けて 国民民主党は、壁を「178万円」に引き上げるべきとする根拠として、「103万円の壁」の水準が定められた1995年から現在までの最低賃金額の伸び率を挙げています。一方、壁の引き上げ額は、1995年を基準にした物価上昇分を考慮した「120万円程度」で良いのではないか、とする意見もあります。 英国の基礎控除額(約239万円)や、ドイツの基礎控除額と給与所得者に対する控除とを併せた額(約169万円)などといった例を見ても、178万円まで引き上げることは諸外国と比べても遜色ないと考えられます。 しかし、178万円分よりももっと働きたい人や、物価高の影響による名目上の収入増の傾向を考えると、本来、「壁」自体を解消すべきではないでしょうか。 そこで、所得税制においてフラット税制を導入すれば、労働量や収入に関わりなく税率が一定であることから、「年収の壁」は根本的に解消されることになります。 労働供給を増やすインセンティブが高まって労働力不足が解消されるとともに、労働者の手取りが増える方向となります。 将来構想として、段階的にフラットタックスを導入することを検討すべきです。尚、その場合は、低所得者への増税につながらないよう、社会保険料負担の見直し、逆進性が指摘される消費税廃止と同時に進めるなどといった配慮を行う必要があります。 フラットタックスを導入する前段階としては、できるだけシンプルな税制を敷いて広く浅く税をとる仕組みを目指すべきです。所得税率の低下と累進性の緩和を行いながら、税を複雑にしている様々な控除はできるだけ無くしていくべきです(注2)。 ◆問題は「103万円の壁」だけではない 「年収の壁」は「103万円の壁」だけではありません。たとえば、パートで働く妻のケースを考えると、住民税が発生する100万円、一定の条件(従業員51人以上の企業で働くなど)で社会保険料が発生する106万円、基本的に無条件で社会保険料が発生する130万円、夫の配偶者特別控除が減り始める150万円、夫が配偶者特別控除を受けられなくなる201万円に、それぞれ壁が存在しています。 所得税に関する103万円の壁については、非課税(税率0%)から税率5%が課せられるに過ぎないので、それほど大きく手取りが減るというわけではありません。 より大きな問題は、社会保険料(厚生年金保険と健康保険)が発生する106万円の壁や、130万円の壁であり、社会保険料の加入義務が発生することで、手取りは大きく減ることになります。 厚生労働省は社会保険料の壁について、年収条件や企業規模の条件を撤廃し、週20時間以上働けば、社会保険料の負担が発生する仕組みとする方針を示しています。しかし、これは社会保険料負担の対象を拡大させる措置であり、企業と労働者にとっては事実上の増税となります。 また、厚労省は、企業と労働者で保険料を折半する今のルールを見直し、労使間で合意が取れていれば、労働者の負担割合を減らせる案も示しています。 しかし、労働者の社会保険料負担を軽減したところで、企業にその分の負担が上乗せされることになれば、企業は賃上げをためらうか、労働者を雇うことに消極的になって、失業者が増えることが懸念されます。 そのほか、高齢者が「働き損」となる「50万円の壁」も存在しています。これは、「在職老齢年金」制度によるもので、65歳以上の働く高齢者の収入が、賃金と厚生年金を合わせて月額50万を超える場合、50万円を上回った年金部分の半分が減額されるという仕組みです。 厚生労働省は現在の制度を見直し、基準を引き上げるほか、将来的に廃止する案を提示しています。 現行制度は高齢者の労働意欲を削ぎ、生涯現役社会の実現に逆行するものと言えます。将来、年金を多くもらうことを希望する人に限って負担を増やしたり、在職老齢年金の廃止を含め、制度の見直しを早期に進めるべきです。 総じて、事実上の税金といえる社会保険料の壁を根本的に解決するには、公的年金をはじめとする社会保障の根本的な見直しが必要ですが、これは今からでも議論をはじめなければ、国民の負担は重くなる一方です。 (注1)アルバイトやパートが家族の扶養に入っている場合、給与収入が103万円を超えると、税制上の扶養から外れるため、扶養者の所得税、住民税が増えることにもつながります。 (注2)所得税について、現在、様々な控除が存在することにより、収入約270兆円のうち課税対象となる所得は約120兆円に過ぎません。見直すべき控除の一例として、年金に関する控除があります。社会保険料を納める際の「社会保険料控除」がある一方、年金による収入が入った際の「公的年金控除」も存在しており、こうした二重控除の仕組みは見直しを図るべきとの声も挙がっています。 「大きな政府」の象徴 デメリットだらけのマイナ保険証を廃止しよう(幸福実現党NEW168号解説) 2024.11.21 https://youtu.be/VssxLGU–x0 幸福実現党政務調査会代理 小川佳世子 ◆12月2日からマイナ保険証に一本化 今回は、幸福実現党NEWS168号「デメリットしかない マイナ保険証一本化は見直しを」の解説をいたします。 今年の12月2日をもって、従来の健康保険証の新規発行がなくなり、「健康保険証の利用登録をしたマイナンバーカード」通称「マイナ保険証」に一本化されます。 これについて、「マイナンバーカードはつくりたくないけど、健康保険証がなくなってしまうんだったら、カードをつくらないといけないのかな」という不安の声も寄せられています。 そこで、まずお伝えしたいことは、現在、お手元にある健康保険証は、有効期限が来るまで、最長1年間利用できます。 それ以降も、「資格確認書」という、従来の健康保険証と同じように使えるプラスチック製のカードが発行されますので、マイナ保険証を持っていないからといって、病院の受診ができなくなることはありませんので、ご安心いただきたいと思います。 むしろ、マイナ保険証を取得するためには、自治体の窓口に申請してマイナンバーカードを手に入れて、保険証の利用手続きを行わないといけないので、結構面倒です。 一方、現在のところ、資格確認書を取得するための手続きは特に必要ありません。 とはいえ、この資格確認書は、マイナ保険証を持っていない人が自ら申請して取得することが原則です。また当初、有効期限は1年ほどになる予定でした。 しかし、「それはつまり、マイナンバーカードの取得を義務化されるのと同じじゃないか」という反発が沸き起こり、政府は「マイナ保険証を持っていない人全員に、資格確認書をお送りします。有効期限は5年とします」と苦し紛れの策を出しました。 ただ、この政府の「申請しなくても資格確認書を送ります」という約束は、ハッキリとした法律の裏付けがあるわけではありません。 今後、「やはり、マイナ保険証を持っていない人は、1年ごとに申請して資格確認書を取得してください」などといって、マイナ保険証を持っていないと困るような状況がつくられる可能性もあります。 ですから、幸福実現党としては、現在の健康保険証を廃止してマイナ保険証に一本化することに、引き続き反対していきます。 そもそも、資格確認書は、従来の健康保険証と色くらいしか変わらないものになる見込みです。それなら、今の保険証をなくす必要はないはずです。 ちなみに、ご自宅に「資格情報のお知らせ」という紙製のシートが送られてきた方も多いのではないかと思います。当初はマイナ保険証を持っている人だけに送られる予定でしたが、全員に送られるようです。 これは、「資格確認書」とは違い、単独では保険診療が受けられません。あくまでもあなたの入っている健康保険や、保険者番号を確認するためのものです。 また、マイナ保険証を持っていても、ネットや機械の不具合で、マイナ保険証のカードリーダーが使えないというトラブルが報告されていますが、そんな時に、マイナ保険証と一緒に、「資格情報のお知らせ」という紙を提示すると、診察が受けられるとのことです。 このように現行の健康保険証を廃止して、無理やりマイナ保険証に一本化しようとしているため、非常に複雑になり、手間もお金もかかっています。 ◆利用率14%の現実 さて、これだけ苦労して普及させようとしているマイナ保険証ですが、9月時点で利用率は14%未満で、利用する人がなかなか増えません。 それはなぜかというと、トラブルが絶えないからです。 全国保険医団体連合会が9月に公表した調査によると、約7割の医療機関がマイナ保険証の「トラブル・不具合があった」と回答しています。 トラブルの内容としては、カードが読み込めないとか、保険証の資格が確認できない、さらには他人の情報が紐づけられていたという深刻なものもありました。 マイナ保険証には、患者さんの入っている健康保険組合や保険者番号などは書かれていません。そのため、カードリーダーでデータを読み込めなければまったく使えないわけです。 トラブルがあった医療機関の約8割が、「健康保険証でトラブルを乗り切った」と答えており、やっぱり現在の健康保険証は便利なので残してほしいという声が絶えません。 その結果、マイナ保険証の利用率は、14%に満たないというわけです。 ちなみに昨年末段階は利用率4.29%だったのですが、マイナ保険証が利用できない医療機関は通報してください、一方で、利用率を上げた医療機関や薬局に対しては最大40万円の補助金を出しますよという、「アメとムチ」の政策でようやく9か月で14%まで利用率を引き上げました。 そもそも、推進側にいるはずの国家公務員がマイナ保険証を使っていないのです。 実は8月時点ではもっと低かったのです。国家公務員全体で利用率は5.47%、防衛省の職員は3.54%、外務省職員は4.5%という利用率でした。 マイナンバー関連の情報漏洩も、昨年度は分かっているだけで300件以上起きており、情報漏洩が心配だということもあるのではないかと思います。 そのように、みんなが使いたがらない欠陥システムを、税金を使って使わせようとするなど、民間企業ではありえないことをやっているわけです。 このような状態に私たちはもっと怒るべきではないでしょうか。 ◆マイナ保険証のメリットは虚構 とはいっても、デメリットよりメリットが大きいならば推進する意味もあるかもしれません。ところが、政府がアピールしていたメリットはどうも怪しいのです。 例えば厚生労働省は「救急搬送時や旅行先ではじめて受診する病院でも、マイナ保険証があれば過去、病院を受診した時のデータや、どんな薬を飲んでいるかが分かるので安心です」などと言っています。 しかし、病院を受診した後1か月ほどたたないと、マイナ保険証を通じて情報を確認することはできないのです。ですから、お薬手帳を持ち歩く、もしくはスマホにお薬手帳アプリをダウンロードした方がよほど便利で安心ということです。 しかも、消防庁が救急活動のシミュレーション訓練において、本人の身元などを確認するのに、従来の保険証とマイナ保険証を使った場合を比べたところ、情報の読み取りに時間がかかり、マイナ保険証を使った方が救急車の出発が6分29秒も遅くなってしまったという、笑えない結果が出ました。 また、マイナ保険証のメリットとして、河野太郎・前デジタル担当大臣が「保険証の不正利用を防げます」と言っていました。 しかし、市町村国民健康保険において不正利用が確認されたのは5年間で50件とのことです。他にも隠れた不正使用があり、これがマイナ保険証で防げたとしても、それ以上にマイナカードを悪用した詐欺被害や情報漏洩事件などが起きたら本末転倒ではないでしょうか。 実際、偽造されたマイナンバーカードが身分証明書として使われ、知らないうちにスマホが乗っ取られ、ネットショッピングで高額の商品が勝手に購入された被害が出ています。 保険証の不正使用対策は、本人確認を徹底することで防げばいいだけで、これをもってマイナ保険証をゴリ押しする理由にはならないのではないでしょうか。 ◆マイナカードをゴリ押ししたい理由とは? では、政府がここまでマイナ保険証にこだわる理由は何でしょうか。 幸福実現党の大川隆法党総裁は、マイナンバー制度について「貯金が銀行にあるのは分かっているので、これを全部マイナンバーと連結してしまえば、各人がどれだけ持っているかが分かるようになります。番号だけ入れれば、全部が一目瞭然で分かるようになるので、『貯金に税金をかけていく』という次の手があるわけです」(『人の温もりの経済学』)と述べています。 実際、この指摘を裏付けるような動きを政府は着々と進めています。 例えば、「改正マイナンバー法」などによって、年金給付を受けている人に対して、書留郵便などで通知した上で、同意を得た場合、または、一定期間内に拒否するという回答がない場合は、年金の給付を受けている口座を政府が自動的に「公金受取口座」としてマイナンバーに紐づけられるようにしました。 なお、こちらはまだ準備を進めている最中とのことです。 政府は「口座を登録しても、預貯金の残高を知られることはありません」「公金受取口座は、政府から国民に給付をするときのみに利用しますから安心してください」などと説明しています。 しかし、財務省の財政制度審議会の議事録などを読むと、「マイナンバーと全銀行口座の紐づけを通じて、その人の収入や財産を把握し、負担能力に応じて税金や社会保険料を負担してもらうようにしましょう」という趣旨のことが堂々と話し合われています。 ただ、この預貯金への課税は、国民がマイナンバーカードを持たなくても可能です。 強引にマイナ保険証を普及させて、国民全員がカードを携帯しないといけないような社会を作ろうとしているのは、あらゆる個人情報と紐づけて、監視社会を完成させようとしているからではないでしょうか。 特にマイナ保険証で健康情報をつかむことができれば「ワクチン接種した人」「特定の病気にかかっていない人」だけ行政サービスを受けられるとか、保険料を下げるなどといった施策も可能になります。 今年5月には、マイナンバーカードの全機能をスマホに搭載できるようにする「改正マイナンバー法」が成立しました。 デジタル庁は、「本人確認が、さまざまな行政手続きだけでなく、民間サービスでも利用できる」と言っていますが、これによってより多くの個人情報が一元管理できる道が開けます。 他国でも共通番号の導入は試みられたことはありますが、国民からの反発やなりすまし被害が多発して、利用拡大に歯止めがかかっています。 当初、税と社会保障と災害対策のみに使うだけです、と言っていたマイナンバーの利用範囲を拡大し、事実上のカード取得の義務化まで進めている日本は、自由主義国の流れには逆行しているといえます。 むしろ日本は中国に近づいているのではないでしょうか。 中国では、身分証明書の携帯が義務付けられ、政府が国民の個人情報、年収や資産、借入状況、さらにはウェブでの行動履歴・購入履歴などを監視し、「信用スコア」をはじき出し、それによって行動や借金の制限がされるという監視システムが成立しています。 大川総裁は、全体主義体制の中国について触れながら「国民をマイナンバーで全部つかめたら、ナンバーだけで全部日本人をつかめるんだったら、あと、侵略するときはしやすいでしょうね」(『「小説 とっちめてやらなくちゃ」余話』)と述べています。 国民を一元管理できるマイナンバーのシステム自体が、中国の全体主義と極めて相性がいいということです。 ◆今必要なのは「小さな政府」の考え方 現在、マイナンバーを推進している自民党は、社会保障の充実や子育て支援などの「大きな政府」を目指しています。 「大きな政府」を目指すと、どうしても国民の財産を監視し、取れるところから税金を取り、所得の再配分を強化するような仕組みが欲しくなります。 現在はマイナンバーやマイナ保険証に反対している、立憲民主党や共産党、れいわ新選組などの野党も、自民党以上に「大きな政府」を目指しています。 そもそも、マイナンバー制度導入の議論が加速したのは、年金保険料をおさめたにもかかわらず、それが正しく記録されていなかった「消えた年金」問題がきっかけでした。 そこで、立憲民主党の前身である民主党が2009年の衆院選公約に「所得把握を確実に行うため、税と社会保障制度共通の番号制度を導入する」との政策を盛り込み、政権を取った後、仕組みづくりに着手したのがマイナンバー制度のはじまりです。 自民党が創った制度に反対している政党も、何らかのかたちでマイナンバーに似たシステムをつくりたいという考え方は共通しているのです。 いくら「国民の利便性を高めるため」といっても、結局は国民の財産を把握し、取れるところから取って、持たざるものに配るというシステムにならざるを得ないのです。 つまり、「ゆりかごから墓場まで」国民の面倒を見る「大きな政府」を志向する限り、マイナンバーの問題は無くなりません。マイナンバーは「大きな政府」の象徴ともいえる仕組みなのです。 幸福実現党は、現在のところ日本で唯一、自助努力の精神をベースにした「小さな政府」を目指している政党です。 一人ひとりの経済的自由、政治的自由を守るためにも、マイナンバー制度の拡大を含む「政府の無駄な仕事」をやめ、「小さな政府」を目指して参ります。 【米大統領選2024】トランプ勝利が日本に与える影響 2024.11.07 https://youtu.be/VeI0YJNyCHE 幸福実現党政務調査会長 里村 英一 ◆米大統領選でトランプ氏が勝利 注目を集めてきたアメリカ大統領選挙は、日本時間11月6日午後4時半の段階でトランプ勝利という報道が流れ、トランプ氏自身も実際に勝利宣言を行いました。 今回のトランプ勝利をどのように見るのか、あるいは、なぜトランプが勝ったのかこれについて考えてみたいと思います。 その答えは簡単です。アメリカ国民は「小さな政府」と「安い税金」を選んだということです。アメリカは景気がいいですが、物価がどんどん上がって生活苦になっています。 その中でアメリカ国民から経済状態を良くしてほしいという声が止まらなくなっていました。これが今回の大統領選の決め手になりました。 アメリカの大統領選挙は、建国以来基本的に「大きな政府」を選ぶか「小さな政府」を選ぶか、言葉を換えれば、政府により大きな力を与えるのか、そうではなく、より大きな力を民間に与えるのかで選ばれてきました。 今回のアメリカ国民の判断は政府に力ではなく、国民に力を与えようと。これが「小さな政府」や「安い税金」によって可能になるわけで、これを国民が選んだということです。 そういう意味においては、本日ニューヨークダウが上がり、あるいは日経平均株価も上がったというのは非常に納得できるところがあります。 果たして今後このトランプが選んだ判断が、どのように日本と世界に影響するのかこれを考えてみたいと思います。 ◆日米関係の行方 1点目は、日米関係の行方についてです。 基本的にトランプ氏と日本の総理大臣に石破氏が首班指名で選ばれた場合に石破氏とトランプ氏は相性が合いそうにない感じがします。 決してトランプは日本の味方というわけではありません。基本的にトランプ氏の外交方針は2つあります。 1つはアメリカの国益で動くということです。2つ目は主権国家の意思を尊重するというところになります。 そういう意味において、日本がいつもの権利にアグラをかくような外交をやっていると、トランプ氏からはそういう日本の外交姿勢は卑怯だと言われて、厳しいものになるかもわかりません。 この辺は今後経済問題、あるいはさまざまな政治問題で出てくると思います。 さらに日米関係を含めたロシアとの関係を見れば、当然アメリカとロシアの関係は修復に向かいます。 すでにプーチン氏はその方向で動き始めて、談話を発表しています。 日本が相変わらずの反ロシア姿勢でいく限り、日本はアメリカあるいは国際社会で置いて行かれかねない。こういう意味で日本の判断は大きく外交方針も変えていかなければなりません。 ◆株価の推移 2点目は、経済の動向です。 基本的にトランプの経済政策は、政府の支出を減らし減税をする。これはインフルなき経済繁栄をつくる方向で間違いないやり方です。 この方向でいく限りアメリカの株価は上がる。日本の株価も当然上がってくる。ただし反作用もないわけではありません。円安です。 ですから、日本は生産性を上げて、日本製品を海外で買ってもらえる。こういう動きがないと円安になり、輸入を中心に物価が上がることになってしまいます。 ◆憲法改正の今後の展望 3点目は、憲法改正の今後の展望です。トランプ氏はアメリカの歴代政権の中で唯一、憲法9条改正について主権国家として、日本の意思に任せるという考え方を持っていた人です。 そういう意味では憲法改正の今後の展望を見たときに、やはりトランプ時代を逃してはならないと思います。 そして、これにつながる論点として、核装備議論はどうなるかということです。 核装備については、トランプ氏は日本に任せるという考えを安倍晋三氏が総理大臣時代に伝えていますので、やはりトランプ時代にやっておかなければならないと思います。 ◆地球温暖化、LGBTQ、宗教 トランプ氏になると、地球温暖化防止にアメリカが必ずしも乗らないということになると、日本も大きく舵取りを変えないといけなくなります。 あるいは、LGBTQあるいは、同性婚の推進もアメリカの保守への回帰の動きがありますが、それに反して日本が多様性を大義名分に何でもやっていいということになれば、アメリカとの間に政治的トラブルを抱え込むことになるかもしれません。 その政治的トラブルというのは、結局のところ人間の素晴らしさとは何か、さらには宗教的な問題にもなってきます。 暗殺未遂事件で改めて分かったように、トランプ氏自身は非常に信仰心が宗教心が篤い方です。 今後の日本の考えた時に宗教を理解するということがないと、日本はアメリカ外交がうまくいかなくなりかねません。 こういうことだけに幸福委実現党は宗教政党として、しっかりと今後も自立した日本としてのアメリカとの付き合い、ロシアとの付き合いを考えながら、日本の平和と繁栄のために努力してまいります。 トランプ時代の今こそ日本が再浮上する復活するチャンスだと思います。 すべてを表示する