Home/ 2023年 March 2023年 March 中国が宿敵イランとサウジアラビアを仲介。世界大戦の構図が鮮明に。【後編】 2023.03.29 https://youtu.be/n5r0Yfd8nG4 ◆バイデン外交で「世界大戦の構図」に イランの核開発は秒読み段階に入っています。イランは「核兵器を作る意思はなく、核の平和利用だ」と主張してきました。 たとえば原子力発電所に必要な濃縮度は3~5%です。イランが米英仏独中ロと2015年の合意した濃縮度は3・67%でした。 それが今年2月、国際原子力機関は濃縮度84%の高濃縮ウランが発見されたと報告しました。平和利用どころか、核兵器製造に必要な濃縮度90%まであと僅かです。 イスラエルは、イランの核開発成功を黙って見過ごすことはありません。これまでも、イランで核科学者らが暗殺されるたび、イスラエルの関与が報じられてきました。 核施設への破壊工作も行っています。核開発完了前にイランを攻撃する可能性は濃厚です。そうなれば、中東を発火点として世界大戦が勃発する可能性も出てきます。 バイデン米大統領は外交方針として「民主主義VS権威主義」の対立軸を打ち出しましたが、完全に裏目に出ています。 危機が迫る中、幸福実現党の大川隆法総裁は、世界の趨勢を決めるのは「インド」だと指摘してきました。 現在、インドは中立の立場を堅持していますが、中国寄りも人口は多く、仏教も生んだ宗教大国です。歴史的に日本のつながりは深いので、インドを味方に引き入れる役割を、積極的に果たすべきです。 ◆共産主義と戦うことは正義 米国共和党を中心にウクライナ戦争を終わらせようとする動きが出てきたことは注目されます。近い将来、バイデン外交が修正される可能性もあります。 トランプ前大統領は「大統領に返り咲いたら真っ先にウクライナ支援を停止する。私は第3次世界大戦を簡単に阻止できる唯一の候補だ」と語っています。 また次期米大統領選の有力候補とされるフロリダ州のデサンティス知事も「ウクライナ戦争は領土紛争であり、重大な国益ではない」と述べています。 さらに、米国下院では超党派で「中国特別委員会」を設置し、米国にとっての真の脅威を明らかにしようとしています。 中国問題に取り組んできたマクマスター元大統領補佐官などが、習近平主席の主張を根拠に、「マルクス主義を思想的根拠として西側と戦おうとしている」ことを説得する熱の入った映像を議会で上映しました。(※) (※)「中国問題委員会で使用された映像」 https://www.c-span.org/video/?526319-1/national-security-adviser-mcmaster-testifies-select-committee-china 19世紀のマルクスの共産主義が世界中に多大な犠牲を出したのは歴史的事実です。ソ連で2000万人、中国で6500万人、北朝鮮で200万人など、想像を絶する犠牲者が生まれました。 このマルクスを信奉し、共産主義を国是とする中国共産党の脅威を知らせることは、国防を論じるうえでも大事なことです。 ◆日本の使命 日本は、唯物論国家による文明実験で人類は150年以上、苦しみ続けてきた現実を直視しなくてはなりません。 唯物論を基本思想とする中国は、ウイグルやチベットに対する弾圧も行っています。中国国内でも苛烈な信教の自由への弾圧を行っています。 日本はアジアの大国として、「信教の自由」を守る砦とならねばなりません。「自由・民主・信仰」の普遍的価値観で中国を封じ込め、世界大戦を阻止するために力を尽くすべきです。 中国が宿敵イランとサウジアラビアを仲介。世界大戦の構図が鮮明に。【前編】 2023.03.28 https://youtu.be/n5r0Yfd8nG4 幸福実現党党首 釈量子 ◆中国が宿敵イランとサウジアラビアを仲介 イランとサウジアラビアが7年ぶりに外交関係の正常化で合意しました。 両国とも経済は原油や天然ガスに頼っています。イランとサウジアラビアは宗教上の対立があり、イランはイスラム教のシーア派、サウジアラビアはスンニ派です。非常に複雑な歴史を持っています。 ここ10年くらいのイランとサウジアラビアの対立の経緯を振り返って見たいと思います。主に、二点あります。 一点目は、イエメンの内戦に関わる対立です。 イエメンは、サウジアラビアの南側の国境に面している国で、スンニ派と、シーア派系武装勢力である「フーシ派」の対立がありました。 2015年、スンニ派の大統領に対して、イランが支援するフーシ派の反乱軍が首都を掌握してクーデターに成功しました。 しかしそこに、サウジアラビアが、スンニ派のイエメン政府を守るために、他のアラブ諸国とともに軍事介入しました。 つまり、イエメンの内戦が、サウジアラビアとイランの代理戦争へと発展したのです。ほかにもレバノンやシリアといった国でも、イランとサウジの代理戦争が繰り広げられてきました。 二点目は、サウジアラビア国内のシーア派に対する弾圧です。サウジアラビアのシーア派は、人口で見ると2割~4割を占めると言われています。 イエメンのクーデター騒ぎもあって、サウジアラビアで、シーア派による政治改革を求めるデモが行われたのですが、政権は、参加した47名を処刑しました。 その中には著名なイスラム教シーア派の聖職者(ニムル・バキル・アル・ニムル師)も含まれていました。 これにより、イラン国民も怒って、イランにあるサウジアラビア大使館や領事館へのデモが巻き起こり、結果、2016年1月にサウジアラビアはイランとの外交関係を絶ちました。 その後、サウジアラビアとイランの関係はどんどん悪化しました。 イエメンのフーシ派は、2017年ころからミサイルやドローンを使い、サウジアラビアの首都リヤドや、サウジ国営石油会社であるサウジアラムコの石油施設などを攻撃しています。 ◆中国がつくる「新たな世界秩序」 中国の仲介で、険悪なイランとサウジの両国の関係が7年ぶりに正常化で合意し、「ウォールストリート・ジャーナル」によると、イランはイエメンのフーシ派への武器提供を停止すると発表しています。 米国が湾岸地域から撤退していく状況のなか、中国が力の空白を埋める形で中東での影響力を増大させています。 その中国は、一帯一路構想を掲げ、中央アジア、南アジア、アフリカ、ヨーロッパへと、政治的、経済的な影響力を広げると同時に、台湾や南シナ海、インド国境付近でも軍事的な圧力を強めてきました。 しかし、中国は新たな動きとして、大国として、米国に代わって紛争当事国の「仲介役」を担おうとしています。 2月にもウクライナ戦争の停戦案を発表しましたが、中国は老獪さを見せています。 アメリカに代わる大国としての存在感を見せつつ、「新たな世界秩序」をつりだそうとする動きは、警戒すべきです。 (つづく) すべてを表示する