Home/ 2022年 July 2022年 July 電力危機列島ニッポン、原発再稼働が進まない3つの理由【後編】 2022.07.31 https://youtu.be/OgpA5T1Lk_I 幸福実現党党首 釈量子 ◆法的根拠なく停止している日本の原発 日本では福島原発事故後の2013年に、世界で最も厳しいとされる「新規制基準」が導入され、既存の原発にも遡って適用されました。 本来、法律というのは遡らない不遡及の原則があります。しかし、電力会社は、既存の原発も含め新規制基準に適合するよう、安全対策の工事を行い、原子力規制委員会の安全審査に合格しなければいけなくなりました。 本来は一度許認可を受けて運転されていた原発が、規制基準が見直されたから原発を止める必要はありませんでした。 しかし、止まった理由は、民主党政権のとき、当時の菅直人首相が浜岡原発を「依頼」お願いで止めたことが前例になってしまったからです。 またその後、原子力規制委員会の田中委員長が私的に書いたメモ、いわゆる「田中私案」も根拠になっていると言われています。 「依頼」も「メモ」も当然、法律的なものではないので、原発を止める筋合いはなかったのです。外国でも、このような不合理な運用をしている国はありません。 原発の規制基準は、今後も新しい知見を採り入れて見直される可能性が当然あるわけですが、規制基準が変わろうとも、原発を運転しながら対策工事や審査を行うのが、本来のあるべき姿です。 そもそも、「新規制基準」があまりに厳しすぎることや、審査が遅いことも、大きな問題です。 原発を再稼働させるためには、テロや大規模な自然災害が起きた場合に、十分対応できる施設を備えなければならなくなりました。 例えば津波に耐える防波壁、耐震補強、電源喪失時の予備電源の設置、消防車の高台へ常備され、とにかく過酷な事故に対応した安全対策が盛り込まれています。 これ自体は、過剰な設備とは言えないところもありますが、ただ、10万年前の断層など、過剰と思われる想定もあります。 ◆遅々として進まない原子力規制委員会の審査 もう一つが、原子力規制委員会の審査が、遅々として進まないことを挙げられます。 例えば、北海道電力は、2013年7月、「泊原発」の新規制基準への適合性審査を申請しましたが、申請からおよそ8年も経過しているにもかかわらず、原子力規制委員会は「適合性」があると認めていません。 理由としては、「約12~13万年前の断層」をあげています。そこには「耐震設計上重要な施設を設置できない」とする基準を原発に適用しています。 泊原発は、世界最高水準の安全対策を施しているにもかかわらず、非科学的な理由で適合性を認めず、冬の北海道を危機にさらしています。 ◆政府が本来やるべきこと 政府は今、「節電」を呼びかけており、プログラムに参加した家庭に2000円相当のポイント、中小企業に20万ポイントを付ける対策を検討しています。 しかし、政府の本来やるべき仕事は本来、経理課長レベルの「節電」の呼びかけではなく「発電」を押し進めることにほかなりません。 安全性が格段に高まっているにもかかわらず、原発が今止まってしまっているのは、新規制基準を元々ある原発に当てはめる際に稼働を停止するという、不合理な運用を行っていることに原因があります。 諸外国では規制基準を見直す場合であっても、原発を運転したままその変更を行うとの対応が取られてきました。やはり、審査は稼働中のまま行えば良いのです。 さらには、厳格すぎる新規制基準の見直しとともに、審査の迅速化を進めなければなりません。 資源のない日本は、ひとたび戦争が起きれば安全保障の環境が激変します。燃料が途絶えれば国民の生命と財産が脅かされます。 それが現実化しているのに、政府は危機感がなさすぎるのではないでしょうか。今は特に、ゼロリスクの追求ではなく、いかに安定的な電力供給を確保するかを考えなければなりません。 また、審査が長期化すれば莫大な経済的損失が発生し、国民の財産が損なわれるほか、電力の安定供給を阻害し、国民の生命、健康、わが国の安全保障を脅かすおそれもあります。政府は規制委員会に対し、審査を迅速にさせるべきです。 原子力エネルギーは国家の独立と安全保障の基盤です。政府は、法的根拠のないような縛りで止まっている原発に関しては、責任を持って、今ある既存の原発の速やかに再稼働させるべきです。 また、新増設や、建て替え、つまり廃炉する原発を新しいものに入れ替えることなどの方針を早期に明示することで、中長期的な観点からも電力の安定的な供給を図るべきと考えます。 電力危機列島ニッポン、原発再稼働が進まない3つの理由【前編】 2022.07.30 https://youtu.be/OgpA5T1Lk_I 幸福実現党党首 釈量子 ◆岸田首相が「原発稼働」方針 先日、岸田首相が記者会見において「原発最大9基を稼働する」という方針を発表しました。これで、国内消費電力の約1割の電力を確保するとしています。 当初は、ネットなどで「岸田さん、ようやく決意してくれた」という喜びの声があがり、東電の株価も上がったものの、すでに稼働する予定の原発について触れただけだということが分かりました。 電気事業連合会の池辺和弘会長は「(原発を)きちんと冬に運転できるように、工事や検査に取り組みなさいという叱咤激励だと思う」とは言うものの、岸田首相の「指示」だけでは、冬の電力逼迫解消にはつながらないのというのが実態です。 ◆予想される電力逼迫 昨今、石油、石炭、液化天然ガス(LNG)などの燃料の調達が世界的に厳しくなり、ウクライナ危機以降はエネルギー危機に拍車がかかっています。 特に、電力については、経済産業省が令和4年度の夏季・冬季について非常に厳しい需給の見通しを公表しています。 供給予備率(電力需要のピークに対し、供給力にどの程度の余裕があるかを示す指標) で、この冬については、令和5年1、2月には全国7エリアで安定供給に最低限必要な予備率3%を確保できず、特に東京エリアでは1月で1.5%、2月で1.6%と、極めて厳しい見通しです。 真冬に電力が使えなければ、多くの生命が失われる事態にもなりかねません。(※1) (※1)電力需給対策について 2022年 6月30日 資源エネルギー庁 https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/denryoku_gas/pdf/051_03_01.pdf ◆今後の予定を説明しただけの岸田首相の記者会見 そこで岸田首相の「エネルギーの安定供給のために、最大で9基の原発の稼働を経済産業相に指示した」という発表に期待が集まったわけです。 しかし、実態は、すでに、10基は原子力規制委員会の安全審査に合格し、地元の合意を経て、一度は再稼働を済ませています。 10基のうち、先日発電を再開した大飯原発4号機を含め、6基が運転中です。 運転中の九州電力・玄海原発4号機については、9月から来年2月まで定期検査で止まる予定です。 現在止まっている4基(関西電力・美浜原発3号機、高浜原発3,4号機、九州電力・玄海原発3号機)については、定期検査が済めば、7月下旬から順次、運転が再開される予定となっています。 つまり、岸田首相はもともと予定されていた9基の再稼働を「しっかりやれ」と指示したのであって、別の原発を新たに再稼働するという指示ではなかったのです。 尚、高浜原発3号機では、検査中にトラブルが発生して一時的な停止を余儀なくされています。 他の原発の運転についても、実際にスケジュール通り進むかどうかは不透明ですが、それでも、9基が同時に稼働するのは、来年1月下旬〜2月中旬のわずか一か月にも満たない期間となっています。 だから「最大」9基と言っているのです。 そして、ここからが大変大事な部分ですが、先般発表された電力の需給見通しは、この9基が再稼働することが織り込み済みになっているために、今回の首相の指示では、電気事業連合会の池辺会長も述べたとおり「安定供給の改善にはならない」ということが重要です。 例えば、柏崎刈羽原発が稼働すれば東電は5%以上の予備率にたしますのでこれ安定供給には届きます。しかし、これができないわけです。 ◆原発はなぜ再稼働できないのか 東日本大震災が起こる前の2010年には、全国に54基の原子力発電所があり、日本は米国、フランスに次ぐ世界第3位の原発大国でした。 そして今、「廃炉が決まっていない発電所だけで30基近く、3000万キロワット分くらいあるにもかかわらず、電気が足りないと言って喘いでいる国は他にない」と言われる状況です。 福島第一原発以外は設備が損壊しているわけではないため、技術的には運転継続が可能ですが、全国の原子力発電所の再稼働が遅々として進んでおりません。 ではなぜ原発は再稼働できないのでしょうか。 (後編につづく) 「反撃能力」では日本は守れない。自前の核保有こそ「最大の抑止力」【後編】 2022.07.23 https://youtu.be/HQBVUzrZ2X0 幸福実現党党首 釈量子 ◆自前の核装備を 「核を使った攻撃」の議論については、根強い反対があるかもしれません。 とはいえ、現在の日本を取り巻く状況を考えた時、どうしても核を使った攻撃を想定しておくことが必要で、そのこと自体が「抑止力」になるのです。 特に日本は、中露北の3つの核保有国を相手にしています。この状況で核保有の議論がないのは大変心もとないことです。 「核シェアリング」といって、アメリカの核を持ち込んでもらい、いざとなったらアメリカに核を発射してもらうという方法もありますが、これは抑止力としては不十分です。 中国とロシアを合わせた核戦力はアメリカの核戦力を凌駕しており、中露が歩調を合わせている今、自国を攻撃される危険を冒してまで、アメリカが日本のために核を提供して守ってくれる保障はないからです。 ゆえに、自前の核装備を急ぐ必要があるのです。 ◆自前の核で日本を守り抜く とはいえ、現実的にアメリカは日本の核保有を許さないだろうという見立てもあります。しかし、まずは「自前の核で日本を守り抜く」という明確な国家意思を持つことです。 「広島的平和主義」の岸田首相にとっては、非核三原則の撤廃すら困難だと思います。 しかし、核を落とされた国だからこそ、「いざとなれば核を使った電磁パルス攻撃を行う」という体制を整えることで、相手国に核を落とさせない国、核を使わせない国にしなければならないのです。 5月下旬に行われた日米首脳会談では、バイデン大統領が日本の常任理事国入りを支持すると発言し、日本でも歓迎の声が上がりました。 実際に常任理事国の一角に入ったら、国際紛争の解決などに責任を負うことになりますが、現在の日本には、問題を解決する実力も覚悟も十分とは言えません。 現在の国連は、常任理事国同士が二手に分かれて戦っているような状況にあります。ゆえに日本は滅びる側につかないよう、国力相応の軍事力と外交力を持つための努力をしなくてはなりません。 ◆憲法9条の改正で国家防衛の意思を明確に そのように「自分の国は自分で守る」体制を整えるためにも、やはり憲法9条の改正は待ったなしです。 国防の議論が行われるたびに「足かせ」となっているのが、戦力の不保持と交戦権の否認を定めた憲法9条です。 「自衛のための最小限の戦力はよい」「しかし、攻撃的な兵器は許されない」など、解釈を変えることによって乗り越えるのはもはや限界です。 憲法9条の改正は、日本が本当の意味で自立した主権国家になる道です。国力相応の国防力を持てば、独自外交も展開できます。 現在、岸田首相はアメリカ追従でロシアを敵に回してしまいました。これは岸田首相の判断ミスもありますが、自国の防衛をアメリカに委ねている弱みもあると言えます。 中国の脅威を考えたならば、日本の現在の軍事力でロシアも敵に回すことの間違いが分かるはずです。 ゆえに、「中国の脅威に関しては一緒に戦うが、この件について日本はロシアとの友好を取る」という姿勢が必要でした。 少なくとも、ロシアへの制裁撤回は今すぐにでも行い、敵を減らさなければ、日本は国家存続が危ういことだけは強調しておきたいと思います。 ◆戦争自体が悪ではない そして最後に強調したいことは、日本人の中に根強く残る「戦争イコール悪」という考え方の間違いです。 大川総裁は『ウクライナ問題を語る 世界の7人のリーダー』のあとがきにおいて「世界史の中では、戦争自体が悪であるのではない。神と悪魔の区別がつかず、正義を闇に葬る戦争を「悪」というのである」と述べています。 先の大東亜戦争も、日本は自国を守ると共に、アジア諸国を欧米の植民地支配から解放すべく戦いました。実際、アジア諸国は戦後独立を果たしました。 こうした日本の行為がすべて悪で、植民地支配を行ったヨーロッパや核兵器を日本に落としたアメリカが正当化されるのは、おかしなことではないでしょうか。 大切なのは、神仏の目から見て何が正しく、何が間違っているかという判断です。そして、正義を守るためには、時には戦わなければならないこともあるのです。 私たち幸福実現党は、この国に精神の柱を立て、神仏の心を心として、日本と世界の正義を守るために必要な備えを行ってまいりたいと思います。 【参考】 『ウクライナ問題を語る世界の7人のリーダー』大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=2799 「反撃能力」では日本は守れない。自前の核保有こそ「最大の抑止力」【前編】 2022.07.22 https://youtu.be/HQBVUzrZ2X0 幸福実現党党首 釈量子 今回は、国際情勢が緊迫している中において、どのように日本を守っていけばよいのか考えてまいります。 ◆時代遅れの「反撃能力」 ロシア・ウクライナ戦争を受けて、岸田政権が対露制裁に踏み切って以降、日本は、中国、ロシア、北朝鮮の「三正面の脅威」に備えなければいけなくなりました。 しかもこの3か国は核保有国です。 自民党の安全保障調査会は、4月下旬に、「敵基地攻撃能力」という名称を、「反撃能力」という呼び名に変えました。 この「敵基地攻撃能力」という概念は、1956年の鳩山一郎内閣が示したもので、幸福実現党も2009年の立党時に、北朝鮮のミサイルの脅威を念頭に「敵基地攻撃能力」を訴えました。 しかし、それは当時の北朝鮮のミサイルが液体燃料を使い、燃料注入で明らかに発射の兆候が分かるのに、これを放置するのはあり得ないという主張でした。 しかし今や北朝鮮のミサイルは固形燃料を使い、さらにトンネルからの発射や、潜水艦からの発射にも成功したと言われています。 非公表ではありますが、弾道ミサイル基地は20か所もあるとされます。つまり、発射の兆候が極めて読みにくくなり、さらに脅威も増しているのです。 こうした状況で「反撃能力」といっても、もはや時代遅れです。 中国については、米国科学者連盟の分析によれば、地下の弾道ミサイルサイロが300、移動式発射台が100以上あると推計されています。 こうしたミサイル基地を全て叩くことなど、ほぼ不可能です。逆に、中途半端な反撃をすれば、核の報復を受けることになりかねません。 「反撃能力」を持つこと自体に反対する野党は論外ですが、現在の「反撃能力」の議論には、どうも具体性が欠けています。 「憲法や法律の範囲内で何がやれるか」ではなく、「国を守るために本当に必要な防衛力とは何か」をタブーなく考える時が来ているのではないでしょうか。 ◆日本を守るために必要な戦力とは では、三か国の脅威から日本を守るためには何が必要になるでしょうか。まず重要なことは、通常兵器で敵基地を攻撃するのは限界があると知ることです。 具体的には、核兵器によるEMP攻撃(電磁パルス攻撃)ができる状況を整える必要があります。 電磁パルス攻撃とは、高層大気圏で核爆発を起こして強力な電磁波(ガンマ線など)を発生させ、電子機器に過負荷をかけて誤作動させたり破壊したりすることを目的とした攻撃のことです。 人体には直接的な影響はないものの、飛行機や電力網、通信網、衛星通信を麻痺させ、電気制御された水道やガスのインフラなどを止め、相手国のミサイル発射能力などの攻撃力を大方奪うことができます。 何百発とあるミサイルのサイトをすべて通常兵器で叩くことは不可能であり、もし通常兵器で叩けば、当然、全面的な反撃を受ける可能性があります。 ですから、一瞬で大半の攻撃力を奪う方法を備えておく必要があるわけです。 そのうえで、日本が海軍基地などをミサイルで叩き、アメリカが日本近海に来援できる状況をつくります。アメリカの打撃力で中国奥地にあるICBM基地などを破壊することで、中国の攻撃力を無力化するのです。 それでもどうしても叩き損ねる基地や兵器が出てくるので、万が一に備えて、電磁波バリアをはりめぐらせ、迎撃システムや避難シェルターも備えておく必要があります。 こうした戦力を備えるためには、当然のことながら、防衛予算が必要です。自民党は5年以内に倍増すると言っていますが、遅すぎます。 今すぐ倍増すべきですし、倍増した予算はアメリカの兵器購入に使うのではなく、今、述べたようなミサイルや電磁バリアなど、国産の兵器開発に投じるべきです。 幸福実現党は2009年から防衛産業の育成を訴えてきました。もちろん、13年前から防衛産業に力を入れていたらよかったのですが、今ならまだギリギリ間に合います。 さらに、相手国の指揮命令系統を混乱・麻痺させるためのサイバー攻撃ができるよう部隊の整備も必要ですので、こうした人材養成にも予算を付ける必要があります。 ですから、経済発展に資さないバラマキ予算に使っている場合ではないのです。このように他国の攻撃を想定した備えをしておくことは大事です。 (後編につづく) 最低賃金引き上げで大失敗した韓国。日本は同じ過ちを犯すのか? 【後編】 2022.07.17 https://youtu.be/u6TMrDCReOM 幸福実現党党首 釈量子 ◆企業の価値創造を後押しする4つの提言 前編では、最低賃金引き上げで大失敗した韓国の例を紹介し、その問題点を明らかにしました。後編では日本の雇用を創出し、賃金をアップさせるために必要な4つの提言を紹介します。 (1)シュレーダー政権に学ぶ雇用の自由化 ここで参考にすべきはドイツのシュレーダー政権です。 ドイツには少子高齢化と東西ドイツ統一の影響で失業者が増加し、2003年には10年ぶりのマイナス成長に陥っていました。 これを立て直すためにシュレーダー政権は、まず法人税を大幅減税し、企業の活力を取り戻しました。さらに、生活保護の条件を厳しくする一方で、民間を巻き込んだ細やかな就労支援を行いました。 もう一つは、正社員の解雇規制を緩和しましたことです。企業側は解雇が難しいと、会社と合わない社員がいたとしても雇い続けなくてはならず、正社員の雇用に慎重になります。その結果、若者の非正規雇用が増えるのです。 つまり、解雇規制を緩和しないと、正社員と非正規雇用の格差がかえって開いていきます。日本では今もこれが続いているわけです。 ここにシュレーダー政権がメスを入れ、ただ、解雇の際には一定額の補償金を労働者がもらえるようにして、ひとつの会社でうまくいかなかったとしても、新しいチャンスを与えたわけです。 こうした一連の改革で、新しい産業に人材が集中するようになり、ドイツの発展の原動力になりました。このように、日本でも、政府の権限を減量し、自由に働ける環境を整える必要があります。 (2)カジノや観光客頼みではなく、質素倹約して必要なものに投資 2つ目は、カジノや観光客頼みのアベノミクス型の「観光やカジノで一時的な消費を増やせば経済は良くなる」というような甘い考え方ではなく、質素倹約して、本当に必要なものに投資していく精神が重要になります。 政府主導でカジノを誘致したり、旅行のための補助金を出したりすることで、かえって民間企業の自由な活動が阻害されることもあります。 このようなバラマキ型の予算は全部ストップさせるべきです。 (3)日本の技術を守るためにスパイ防止法制定 3つ目は、日本の付加価値を守る、技術を守る政策です。つまり、スパイ防止法の制定が必要です。 日本は資源のない国ですから、技術力は経済の生命線です。 例えば、虎の子の技術の「新幹線」です。中国の巨大市場に目がくらんで売り込んだ結果、技術ごと盗まれて、中国の国際特許にされてしまいました。 日本の国富を守るために、こうした技術流出は何としても防がなければなりません。 (4)電力の安定供給を実現 4つ目は、安定した電気など質の高いインフラの供給です。 規制緩和は大切ですが、インフラ系の自由化については、進め方を誤ると、いざというとき大変です。 例えば、アメリカのテキサス州は、規制も少なくて「ビジネスがしやすい州」として多くの企業が本社を移して経済成長率が上がっている州です。 しかし、電力自由化を進めた結果、2021年の大寒波で2万9千人の1週間の電気料金が100万円に爆増しました。 日本でも、国民の電気料金が上昇した原因の一つが電力の自由化です。いろんな再エネ業者が大量に参入しました。しかし、再エネ発電は不安定なので、安定供給に責任を持てません。 代わりに送電網を管理する会社が安定供給に責任を持つようになりましたが、急に電力需要が増えた時のバックアップ電源を常に持っておくと経営が成り立たなくなります。 その結果、国民は真夏に節電を強いられ、自由に電気を使えなくなりました。 ですから、インフラという国民の命を握る部分については、自由に対する責任を担保するような制度にしていくべきです。 具体的には、電力自由化はやめて、原発再稼働を急ぎ、再エネ固定価格買い取り制度(FIT)を廃止すると共に、次世代原発や石炭火力発電の建設を政府としてバックアップし、安定して電力を共有できる体制を築きます。 こうして、「すべての人が自由意志に基づいて勤勉に働ける体制」を整えていきます。 ◆若い人は本を読もう 今回は賃金をアップさせるための根本的な解決策について提言しました。 他党が主張しているような、企業に負担をかけて最低賃金を無理に上げるとか、税金で雇用を増やすといった政策は即効性があるように見えて、早晩行き詰まり、あとから厳しい反作用が来ます。 しばらくは大変厳しい時代が続くでしょう。お金や時間を浪費させるのではなく、堅実に富を増やしていく道が求められます。 それは、企業だけでなく、個人にも当てはまります。 最近、若い人が電車の中で、スマホのゲームやSNSに夢中になっている姿を見かけますが、厳しい時代だからこそ、自分自身にしっかりと投資して、自分の付加価値を上げていくことが大切です。 そこでお勧めしたいのが、読書です。それによって智慧を増やしていくことです。 幸福の科学グループの大川隆法総裁は、3000書突破記念講演会『なお、一歩を進める』におきまして次のように語っています。 「これから先、むしろ本をしっかり読んでいる人が新しい付加価値をつけて出世していく時代になると思います。」 知恵を蓄積しなければ、「お金さえ配れば満足するだろう」という政治家に騙され続け、ネットを通してGAFAなどに時間を奪われ続けてしまいます。 若い人が、そうした考えであっては国家存続の危機です。刻一刻と変化する、この厳しい国際情勢の中で、日本の国を守り、発展させていくためには、勤勉の精神で、勤勉革命を起こしていくしかありません。 最低賃金引き上げで大失敗した韓国。日本は同じ過ちを犯すのか? 【前編】 2022.07.16 https://youtu.be/u6TMrDCReOM 幸福実現党党首 釈量子 ◆最低賃金引き上げで大失敗した韓国 先の参院選では、多くの政党が最低賃金の引き上げを政策として掲げました。 しかし、幸福実現党は、最低賃金の引き上げには反対です。その理由は、最低賃金の引き上げは、若い人達の就労のチャンスを奪うことになるからです。 ギリギリのところで経営している企業にとって、最低賃金を強制的に引き上げるとなれば、誰かの首を斬らないと経営が厳しくなります。 その場合、給料に見合わない働きをしている若手から首を斬られる可能性が高いわけです。 そうした反作用が実際に起きたのが韓国です。 文在寅前大統領は、2017年の就任のとき、5年間で最低賃金を5倍にするという目標を掲げました。1年目には16.4%引き上げ、5年間の任期中に累計41.6%上げました。 その結果、何が起きたかというと。不況と若者の大量失業です。 GDPの成長は低迷し、所得下位20%世帯の月平均所得は2017年第4四半期から、2019年第4四半期には、日本円で月収が2万円近く減少しました。 失業率を見ると、2021年は3.0%と一見、低く見えるのですが、これは税金を使って無理やりバイト雇用を充実させたからだと元駐韓国特命全権大使の武藤正敏氏が指摘しています。 それも、この税金主導のバイト雇用で増やしたのは、シニア層ばかりで、若者の失業率は7.8%と高く、失業者の3人に1人が若者世代でした。 参院選で、最低賃金引上げを訴えている政党は、単純な引上げだけではなく、賃上げを政府が負担するもので2つのパターンがあります。 ◆補助金による賃上げ 1つ目は、れいわ新選組などが提言している補助金による賃上げです。賃金引上げによって生じる企業の負担を、政府に負担させるもので、つまり、バラマキです。 人件費分を政府が負担するというなら、これは公務員を増やすことと同じであり、行きつく先は企業の国有化で、旧ソ連などの共産主義の国と変わりません。 政府がお金を負担してくれるなら、企業も労働者も新しい価値を生み出したり、給料に見合った働きをしたりする必要がなくなります。 れいわ型の補助金による賃上げは国民の勤勉の精神を破壊しかねない極めて危険な政策で、日本を没落させてしまいます。 ◆助成金による賃上げ 「賃金をあげて、生産性も上げた企業に補助金をあげ、減税をする」というタイプもあります。 そのひとつが「業務改善助成金特例コース」です。コロナ禍で特に業績が厳しい中小企業を対象にして、賃金を引き上げ、設備投資などを行った場合に補助金を支給します、というものです。 ただし、賃金を引き上げた人数によって支給額が変わったり、投資の内容や条件などが細かく決められたりしている複雑な制度で、かえって企業の仕事の邪魔になってしまいます。 結局、政府が民間に介入するやり方では、賃金は上がりません。その証拠に、政府の支出が増えれば増えるほど、実質賃金が減っていきます。 なぜなら、お客様のためによいサービスや製品を生み出すことではなく、補助金をもらうことに民間のお金や時間を使うことになるからです。 政府が賃上げのためにすべきことは、「企業がビジネスしやすい環境を創り、企業が成長する後押しをする」ことです。 ◆勤勉に働ける体制を 幸福実現党は、法人税の実効税率を10%台にすることを掲げています。 複雑な条件を付けずに、まずは10%台に引き下げることで、企業は自由に使えるお金が増やし、節税など、余計な仕事に力を入れなくてもよくなります。 実際、トランプ政権で、法人税を10%台にしたことで、従業員の給料やボーナスは上がりました。 ◆企業の新たな価値創造を後押し ただし、法人税の減税だけでは不十分です。 未来の見通しが明るくなければなりません。今後も日本が繁栄していくという見通しが見えなければ、企業は新しいチャレンジをしません。 そして何より、日本を豊かにしたいという志を持つ人たちが増え、勤勉に働いてこそ新たな価値は生まれます。 豊田佐吉や松下幸之助など、日本経済を発展させてきた人物は、多くの人を便利にしたい、日本を豊かな国にしたいという志を立てて努力を重ねてこられた方ばかりです。 そうした人物を育み、応援できるよう、幸福実現党は、すべての人が自由意志に基づいて勤勉に働ける体制をつくりたいと考えています。後編では、そのために必要な4つの提言を致します。 (後編につづく) 急騰する食料・エネルギー価格。待ったなしの物価高対策 2022.07.15 https://youtu.be/UEq9-GpV31M 幸福実現党党首 釈量子 ◆深刻化する物価高 4月26日、政府は物価高対策として、低所得者層やひとり親世帯に現金を給付するなど、総額6兆2000億円の緊急対策を決定しました。 これはあくまで生活支援であって、物価高対策ではありません。むしろ、政府支出は更なる物価高要因になる可能性があります。 5月の消費者物価は生鮮食品を除いたものが2.1%の上昇。総合だと2.5%の上昇です。 しかし、電気代は18.6%、ガソリンは13.1%、生鮮食品は12.3%。皆さんの生活必需品の多くは、10%以上値上がりしています。(※1) 小麦は5月時点で15.4%(前年同月比)で値上がりしています(※2)が、これは昨年夏の北米での干ばつなどが主な原因で、ウクライナ戦争による本格的な値上がりは秋以降と言われています。 日本の主食である米は、自給率こそほぼ100%ですが、肥料の99%は海外からの輸入です。ある米作農家は、次のように言っています。 「次年度以降、肥料価格は倍以上となる。さらに、中国も肥料の輸出制限をしていて、トラクターの燃料代も上がっている。販売価格を大幅に上げるしか、生き延びる道はない。」 夏の猛暑、その先にはエネルギー需要が増える冬があり、さらにエネルギー問題も深刻化するでしょう。(※3) ◆幸福実現党の3つの物価高対策 幸福実現党は物価高対策について3つの提案を致します。 (1)原発再稼働とFITの廃止 まず、一つ目に政府の責任のもと、原発再稼働をさせることで電力の供給不足を解消することです。 さらに、FIT(固定価格買取制度)を廃止すれば、電気料金を1割以上減らすことが可能です。このFITの廃止と原発の即時再稼働で電気代を抑制できれば、製造コストも抑えることができます。 (2)停戦を仲介しロシア制裁を終わらせる 供給不足を終わらせるには、ロシアへの制裁を止めなければなりません。これが2点目になります。 西側諸国は資源国のロシアに制裁を加えて、自分の首を自分で絞めています。日本はウクライナ戦争の停戦を仲介し、世界的なロシア制裁を終わらせることです。 (3)円安の解決 3番目は円安の解決です。 円が安くなると、その分、輸入代が高くなります。円安の大きな原因の一つは、日米の金利差が拡大していることが挙げられます。 ですから、金利が高いドルの方が人気となって、円が売られて、円安になります。つまり、円安を止めるには利上げという話にもなるのですが、そう簡単にはできません。 政府と地方の借金は1200兆円を超え、金利が1%増えると利払い費が約10兆円も増えるからです。(※4) 貿易赤字が続けば円が流出し、円安はさらに進むという悪循環となります。これを正すには企業活動を活性化させなければいけません。 つまり、円安を正すには、企業に活力を取り戻し、政府の借金を減らさなければいけません。これを両立できる方法が一つだけあります。 ◆政府の減量を それが、政府の減量です。政府の減量とは、政府の予算の規模を小さくして、権限も小さくし、民間でできることは民間に任せることです。 具体的に以下の無駄な省庁を廃止します。 ・二重行政のデジタル庁(0.47兆円)や内閣府(4.38兆円)は廃止。これで約5兆円を減量(※5)。 ・プラスチックのレジ袋を有料化し、無理に米を30%配合したレジ袋を使わせたりするような無駄な規制ばかりつくる環境省も無くします。これでさらに約3兆円を減量(※6)。 ・子ども家庭庁や感染症危機管理庁などの新しい省庁もストップします。 ・厚生労働省にもメスを入れ、120兆円以上ある社会保障の中の無駄を減量し、国民の皆様の社会保険料を減らしていきます。 こうして財政赤字は徐々に減っていき、マイナス金利を止め、金融をゆっくりと正常化させることで円安を止め、インフレという見えない税金を退治します。 政府の減量は規制の減量にもつながります。 例えば脱炭素政策といったエネルギー規制、減反や新規参入を阻む農地規制などの農業の規制を減らし、エネルギーと食糧の自給率を高め、危機に強い日本をつくりあげます。 つまり、政府の仕事を減量し、無駄な規制や予算をなくすことで、企業に元気を取り戻し、円の実力を高めるという根本的な治療が必要です。 バラマキや一時的な減税という対症療法ではなく、日本の抜本的な立て直しが今、必要なのです。 【参考】 (※1) 2020年基準 消費者物価指数 全国 2022年(令和4年)5月分 総務省(令和4年6月24日) https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf (※2) 08年の再来?足元で加速「世界食料危機」の深刻度 ウクライナ侵攻で小麦やコメ、肥料価格も高騰 東洋経済2022/05/17 https://toyokeizai.net/articles/-/589544 (※3) ロシアからガスを絞られて、焦ったドイツ「石炭火力を2024年までフル稼働」の衝撃 CO2は「毒ガス」ではなかったのか? 2022.06.24 現代ビジネス https://gendai.ismedia.jp/articles/-/96711?imp=0&utm_source=pocket_mylist (※4) 【数字は語る】インフレで金利や成長率が上昇すると財政で何が起こるのか 週刊ダイヤモンド(2022年5月14日発行) https://cigs.canon/article/20220523_6771.html (※5) 令 和 4 年度デジタル庁所管 一般会計歳出予算各目明細書 https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/f4f6b57f-7779-4950-bbb5-07a265cb1d8f/20220125_budget_01.pdf 令和4年度予算(案)の概要 https://www.cao.go.jp/yosan/soshiki/r04/yosan_gai_r04.pdf (※6) 令 和 4 年度環境省所管 一般会計歳出予算各目明細書 https://www.env.go.jp/content/900470740.pdf コロナの医療対策に16兆円超の国費!?感染抑止効果はあったのか?【後編】 2022.07.14 https://youtu.be/hvyVUzLuYdE 幸福実現党党首 釈量子 前編では、コロナ対策16兆円が有効に使われたのかについて検証しました。 では、どのようなコロナ対策を進めるべきだったのでしょうか。幸福実現党としては、次のように提言したいと思います。 ◆ワクチンの有料化 まず、接種を希望する低所得者層を除いて、ワクチンは原則、有料化します。希望者が一定以上の自己負担をする方が国の財政の負担は少なく、無駄も減らせたはずです。 自己負担で接種を受けることになれば、接種をすることに慎重な判断が働き、ワクチンに対する正しい情報を求める声もより強くなるはずです。 さらに今回のようなワクチン接種をした日付が不明な人を「未接種」に分類するような事実上の改ざんに対してより厳しい目が向けられることになります。 またワクチンは、どんなものであっても副作用は一定の割合で生じます。実際に医療機関から報告があった数だけで、これまでに1700人を超える人が、ワクチンの接種直後に亡くなっています。 有料化すれば、副作用で亡くなった方々への補償や後遺症対策の原資に充てることもできたでしょう。 ◆感染症法の分類を5類相当に 次に、感染症法の分類を5類にすることです。 新しい感染症で対応に試行錯誤した医療現場の負担は大変なものだったとは思いますが、多くの国民が一番不安に思ったことは、感染して苦しんでいても病院になかなかアクセスできなかったことです。 日本は医師が少ないと言われていますが、毎年10万人の肺炎による死者が出ているのに、医療が逼迫して問題になったことはありませんでした。コロナ肺炎の死者は2年で2万人以下です。 つまり、病院にアクセスしやすくするには、現在のコロナの致死率から見れば、感染症法の分類を1類、2類相当から5類相当にすべきです。 1類、2類相当の感染症であれば、医師は診療を断ることができるからです。 もちろん、地域医療を守ろうとして患者を積極的に受け入れた、かかりつけ医や診療所などもありましたが、保健所を通さなければ入院の調整はできない状況にあります。 その結果、保健所が発熱や酸素飽和度だけで入院の可否を決めることになり、さらに一部の病院に重症者から軽症者までが集中し、現場はパンクしました。 また、保健所の方は膨大な感染者の情報の吸い上げでキャパオーバーとなり、医療崩壊に拍車をかけていました。 5類相当にして、初期段階では診療所ベースでかかりつけ医が対応し、入院の可否を判断し、本当に高度な医療を必要とする方を専門的な病院に任せることができます。 そうすることで、早期診療、早期対応ができれば、重症化に迅速に対応できるようになります。 ◆人間の尊厳の問題 安全第一という考えも分かりますが、多額の予算を投じた過剰な対策は、かえって人間の尊厳を踏みにじり、不幸を呼び込むことにもなりかねません。 コロナ禍が始まってから、入院患者や老人ホーム入所者へのお見舞いにも行けず、死に目にも会えず、そのまま火葬場に運ばれるケースも多いようです。 これは、厚生労働省が「必須ではないが、コロナで亡くなった方やその疑いのある方は、24時間以内に火葬することができる」というガイドラインを出しているためです。 「人間はいずれ死ぬ」というある種の諦観を持ち、冷静に「どう生き、どう死んでいくのか」を考えることがいま、とても大切です。 医療法の第1条の2には、「医療は、生命の尊重と個人の尊厳の保持」を旨とし、第1条では、同法の目的を「国民の健康の保持に寄与すること」と定めています。 そうであるならば、コロナの医療体制も、身体の健康だけではなく、「心の健康」にも配慮した「人の温もり」のある対策を実現していくべきではないでしょうか。 「死」というものを考えるにあたって、宗教の存在は避けて通れません。 「死」について知ってはじめて、「生きているその時間を、いかに有意義なものにし、いかに魂の向上のために使えるか」(※1)を考えることができるようになるのではないでしょうか。 幸福実現党は、宗教政党としてまっとうな死生観のもと、あくまで国民の自由を守り抜くコロナ対策を推し進めてまいります。 (※1) 『釈尊の未来予言』大川隆法(著)/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=2356 コロナの医療対策に16兆円超の国費!?感染抑止効果はあったのか?【前編】 2022.07.13 https://youtu.be/hvyVUzLuYdE 幸福実現党党首 釈量子 今回は、コロナ対策に投じられた国費の使い道を確認しながら、果たしてそれが有効なお金の使い方だったのかを検証していきたいと思います。 ◆医療供給体制強化に16兆円――その使い道とは? 2020年1月以降、新型コロナ対応の医療体制確保、ワクチン確保などに、少なくとも16兆円の国費が投入されました。 財務省の諮問機関が、4月13日に発表したところによると、16兆円の内訳は次のようになっています。 ・病床確保などの緊急包括支援金、約6.0兆円。 ・ワクチン関連で4.7兆円。(ワクチンの購入、冷凍状態で運搬、ワクチン接種会場の確保や医師等への手当などの費用) ・ワクチンの打ち手を確保するための医療従事者を派遣した医療機関への補助金。 ・治療費の確保やPCR検査体制を整える費用。 なお、コロナ禍が始まってからの経済対策費用は、財政投融資を含む事業規模293兆円に上ります。 他にもコロナの感染拡大に伴う緊急事態宣言の協力金、苦境に陥った中小企業などの支援にも多額の費用が投じられました。 ◆国費を投じた感染対策の効果? コロナの医療体制確保の予算が仮に16兆円だけだったとして、単純計算で国民一人当たり12万円の国費を投じたことになります。これだけの多額の国費を投じた感染対策には効果があったのでしょうか。 ワクチンを打っても感染者は増えたのは事実で、特にオミクロン株などの新しい株には効果が疑問視されていました。 5月には厚生労働省のワクチンデータの集計方法の変更が明らかになり、ワクチン接種を1回目、2回目接種した日付が不明な人を「未接種」に分類して集計していたことが判明しました。 この結果、多くの年代層で、2回接種した人の感染率が、未接種の人の感染率よりも上回りました。つまり、ワクチンを接種した人の方が、接種していない人よりも感染者が多かったことが判明したのです。 心筋炎のリスクも、ワクチン接種者の方が、未接種者よりも高かったことも判明しております。実際、ワクチン後遺症の事例も出てきており、愛知県は独自に相談窓口を設置し、サポートを始めています。 つまり、感染予防効果には疑問があるうえ、接種者の健康に悪影響を与えているというデータが出つつあるわけです。 ◆ワクチン接種の運用に関するムダ 次に、ワクチン接種の運用に関するムダです。 大規模会場で接種したことで、会場費、運営スタッフ、PR費用等が必要になりました。 また、各地で使用期限が過ぎたワクチンが大量廃棄されています。確保されたワクチン8.82億回分に対して、実際に接種された本数は、2.83億回(6/17時点)で、わずか32%です。 接種されていない68%のワクチンのうち、どれくらいが在庫なのか廃棄されたのかは分かっていません。 廃棄量を明らかにする自治体もありますが、厚生労働省は自治体の事務負担を考慮して廃棄量を調査していないからです。 しかし、ワクチンの接種数を報告させるのなら、廃棄量を報告させても、負担はそれほど増えないのではないでしょうか。 要は、廃棄数が明らかになり、批判がでることを恐れているのかもしれません。 ◆病床確保は有効だったのか 次に、病床確保は有効だったのかを検証します。 コロナ対策16兆円のうち、一番お金が投じられた緊急包括支援金です。 その約6.0兆円は主に「病床確保」に使われましたが、補助金だけもらって、実際は患者を受け入れない幽霊病床の問題が起きました。 確かに、ベッドが空いていても医者の手が空いていなければ患者を受け入れることは難しいわけです。しかし、病床使用率が100%でないのに、重症患者がたらいまわしにされる問題も相次ぎました。 ベッドを空けておきさえすれば、患者を受け入れなくても公金が入る仕組みになっているからです。 新型コロナ感染症対策分科会の尾身茂会長が理事長を務める地域医療機能推進機構(JCHO)傘下の東京都内の5つの公的病院では、コロナ病床を183床確保していたのですが、このうち30~50%も使われていないということが批判されたこともあります。 このようにコロナ対策16兆円は、有効に使われたとは言えないのではないでしょうか。 (後編につづく) 大インフレか大恐慌か。究極の2択になる前に、減量を。 2022.07.08 http://hrp-newsfile.jp/2022/4323/ HS政経塾スタッフ 赤塚一範 ◆日本もいつかは利上げを迫られる アメリカ合衆国の中央銀行である、FRB、連邦準備制度理事会は、高いインフレ(5月前年比8.6%)に対処するため、利上げを強行しています。 FRBは、今年3月に0.25%、5月に0.5%、6月に0.75%の金利を引き上げ、今後も更なる利上げを予定しています。他方で、利上げは、景気に悪影響を与えます。 FRBのパウエル議長も、6月22日に上院銀行委員会の公聴会で、景気後退の可能性に言及しており、実際、アメリカでは、株価や仮想通貨の下落、住宅販売の低迷等々、その影響が表れています。 つまり、FRBは、不況になってでもインフレと戦うことを決意したのです。 日本でも、5月の消費者物価指数が2.1%とデフレからインフレに向かいつつあり、インフレが今以上に深刻化してきた場合、日銀は金利を引き上げざるを得ない時期が来るでしょう。 ◆利子操作の反動 本来、利子とは市場で決定されるものであり、政府や中央銀行が操作できるものではありません。 これは、自然利子とか中立利子と呼ばれるもので、貯蓄と投資が一致するように市場で決定されます。 他方で、20世紀の大経済学者ケインズは、貨幣量を増加させることで、短期的に政府や中央銀行は、貨幣利子率を操作できるという理論がつくりあげました。これが「流動性選好論」です。 ケインズの理論とは、本来、市場で決まるはずの利子率なのに、多量に貨幣を供給することで、無理やり低利子にし、企業や個人がお金を借りやすくすることで、経済を良くするという理論なのです。 市場で決まる利子率よりも、無理やり低くするのが低金利政策ですから、長く続ければ、当然その反動がやってきます。その反動が、バブル景気と、その後のインフレや不況なのです。 これは、酒飲みに例えられます。酒を飲めば、気持ちが良くなりますが、翌日二日酔いで頭痛になります。酒が貨幣であり、酔いがバブル景気です。そして、二日酔いの頭痛がインフレや不況なのです。 ◆バラマキがバブルを生み出した 2020年初頭から世界でコロナが流行、経済に混乱が生じ、世界各国の政府と中央銀行は、政府支出を増やし、それを支えるために貨幣の量も増やしました。その結果、バブルが生じました。 たとえば、2020年、日本では、国民一人当たり10万円が配られ、要件を満たせば、中小企業には最大200万円、個人事業主には最大100万円の持続化給付金が配られました。 また、コロナで苦しむ企業に対しコロナ融資(いわゆる無担保・無利子で貸し出すゼロゼロ融資)がなされ、その実行額は40兆円を超えると言われています。 このバラマキの結果が、日本ではコロナ禍にもかかわらず、一時、日経平均株価が3万円を超え、ビットコインは700万円を超えるという現象なのです。 貨幣量を増やしばら撒いた結果、その貨幣が、株やビットコインに流れて、バブルを生み出したのです。 ◆バブルはバラマキ続けないと維持できない このような、バラマキの問題点は、バラマキがなければ成り立たないような経済構造を生み出してしまい、それが更なるバラマキを生み出すということです。 例えば、バラマキによって上昇した、株価やビットコインの価格は金融緩和をやり続けなければ維持できません。 実際、アメリカの株価やビットコインは、FRBが金融緩和を止めた途端、値段が下がっています。 日本株も、何とか株価を維持していますが、それはまだ日銀が金融緩和を継続しているからで、緩和は永遠に続くものではありません。 岸田首相も国民に「貯蓄から投資」と盛んに言っておりますが、これは株価を維持したいからでしょう。 また、最近問題となっているのが2022年夏ごろから徐々に本格化するコロナ融資の返済です。 これによって多くの企業が倒産の危機に瀕しておりますが、今後、場合によっては返済の猶予、減免措置等も検討されるかもしれません。 これはさらなるバラマキであり、結局のところ、バラマキによって生み出された仕事は、バラマキがなければ維持できないのです。 ◆最後は、ハイパーインフレか大恐慌かの2択となる インフレにバラマキで対処するというのは、二日酔いに対して、更に酒を飲むことで対処するようなものなのです。 バラマキは、一部でバブルを生み出し、別の場所ではそれがなければ維持できない雇用を生み出します。 当然、バラマキを止めれば、この問題は解消しますが、それには一時的な不況や失業が生じてしまうため、政治家はさらなるバラマキで対処しようとするのです。 この結果がインフレーションです。 つまり、インフレーションとは、「経済が病気である。これ以上バラマキはいけない」というシグナルであり、不況とは、「歪んだ経済構造が元に戻る市場の自浄作用」なのです。 政府はバラマキ続けることで、不況という自浄作用を阻止しようとしますが、それはインフレの加速を招きます。 政府は、インフレにバラマキで対応しますが、経済構造はさらに歪み、インフレはもっと加速します。 結局のところ行き着く先はハイパーインフレです。インフレが加速してから、バラマキを止めたなら、歪みに歪んだ経済構造はそれに耐えきれず倒壊してしまうでしょう。 これが、大恐慌です。インフレが加速してから止めたのでは遅いのです。 ◆日本は今すぐ減量を 現在の日本のインフレ率は、まだ致命的ではないので、現時点で止めなければなりません。 その為には、現在のインフレにバラマキ(歳出カットのない消費減税、給付金、補助金)で対応するのではなく、政府支出の減量で臨むしかないのです。もちろん、減量には痛みが伴います。 従って、急激な減量ではなく、まずは増量を止めるところから始めるべきでしょう。 また、原発の再稼働により電力価格を抑えたり、脱炭素規制を撤廃したり等、企業負担を軽くする必要もあるでしょう。 しかし、繰り返しになりますが、現在のインフレに、バラマキで対応してはいけません。それは、ハイパーインフレか、大恐慌かの究極の2択へと進む、地獄への道なのです。 すべてを表示する 1 2 Next »