Home/ 2022年 January 2022年 January 北朝鮮の極超音速ミサイルが日本に落ちたらどうなる?日本の国防は大丈夫?【後編】 2022.01.30 https://youtu.be/k5tUpg_euLc 幸福実現党党首 釈量子 ◆極超音速ミサイルの実験に失敗した米国 一方これに対して米国は、極超音速ミサイルの実験に2021年段階で失敗し、大きく出遅れてしまいました。 極超音速ミサイルは、極超音速に加速すると、空気とミサイルが摩擦を起こし、1000度以上の高温に達することで、電子機器が壊れ、ミサイルのコントロールが効かなくなる点などが、開発を困難にしています。 しかし、中国がどうやって、それを克服したのかは謎となっています。 いずれにしても、日本のミサイル防衛を根本から揺るがす事態が起きていることだけは間違いありません。 ◆「敵基地攻撃能力」は憲法違反ではない こうした事態を受けて、国会でも既に議論が交わされているのが「敵基地攻撃能力」です。 考え方は非常にシンプルで、ミサイルを迎撃できないなら、発射前にミサイルを打てないように敵基地を攻撃するしかない、ということです。 ちなみに、敵基地攻撃能力を持ったとしても直ちに憲法違反にはならず、必要最小限度の範囲であれば自衛手段として認められております。 これは日本だけの考え方ではなく、例えば、米国の国家安全保障戦略には「ミサイル防衛には敵基地攻撃能力も含む」と明記されています。 ◆中途半端な敵基地攻撃能力は最も危険!? 岸田首相は昨今の情勢を鑑みて、敵基地攻撃能力の必要性を訴え、国会において論戦が行われています。 ただ、「敵基地」といっても、北朝鮮が配備する弾道ミサイルは全て「車載移動式」であるため、攻撃したところで「もぬけの殻」という状況になってしまいます。 そのため防衛省では、ドローンの活用や、人工衛星によって電波を特定して攻撃することを考えていますが、叩く手段はなく、叩き漏らしたときの抑止力もありません。 最大の課題は、中途半端な敵基地攻撃能力を持つことで、かえって「核兵器」による反撃を招きかねないということです。 となると結局、核兵器に対しては、核で抑止力を持つことが不可欠であり、相手に攻撃を思いとどまらせるためには、本来は核保有について議論されなくてはならないはずです。 ◆新たな抑止力と防衛体制のかたち もっとも、地上に落とす広島・長崎型ではなく、電磁パルス(EMP)のように、パンと上空で爆発させることで電子機器を使えなくさせ、都市機能を麻痺させることを目的にするものでいいわけです。 日本を攻撃することによって、逆に「受け入れがたい被害」が敵国に生じるのであれば、これが十分に抑止力となります。 更に「ミサイルに対してミサイルで撃ち落とす」のではなく、日本独自の考え方として、電子戦と電磁波兵器による「電磁バリア」を築くべきだという指摘もあります。 例えば、言論チャンネルに多数ご出演頂いております用田和仁氏(元陸上自衛隊・西部方面総監)は、電磁波兵器がミサイルやドローンに内蔵されている電子機器を破壊すると提言しており、課題である電源の開発を急ぐために、早急に予算をつけるべきだと強く訴えていらっしゃいます。 ◆小手先の改革では何も変わらない 以上の通り、北朝鮮のミサイルと核について考えてきましたが、政府はいまだに「遺憾です」としか言えておりません。 また、未だに「二枚舌」というか、防衛白書を一つとってみても、北朝鮮については明確に「脅威」と書きながら、中国については、あくまで「懸念」という表現にとどまっています。(令和3年版『防衛白書』) しかし、北朝鮮よりも中国の方が明らかに軍事力は強大ですし、実際の自衛隊の配置も、中国を想定して、沖縄・南西諸島方面の防衛を強化しています。 コロナウィルスも「生物兵器」であると我々は考えており、「もう戦争は始まっている」という認識が必要だと考えます。 小手先の改革ではなく、国を護るということで、バシッと一本、精神棒を入れる必要があるのではないでしょうか。 ◆「自由・民主・信仰」に基づいた国家戦略を! 世界の正義と平和を構築するために、国家の基本原則として「自由・民主・信仰」という価値観が政治の基盤に必要だと考えます。 バイデン大統領が「民主主義国家 対 専制国家」といってロシアを中国に接近させてしまっていますが、プーチン大統領は元来、敬虔なロシア正教会の信仰者として、強い信仰心をお持ちです。 「自由・民主・信仰」を原則とする国々が手を結ぶべきです。 なぜなら、神を信じない国は、中国と北朝鮮ぐらいで、大抵の国は「信教の自由」を認めており、信仰を持たない国の独裁者に「遺憾です」といっても通じませんが、「神仏への信仰心を持つ国家 対 無神論・唯物論国家」の対立軸を構築できれば、勝てる可能性が出てくるのです。 また、「人権」「法の支配」という言葉もありますが、政治の上位概念にある「神への信仰」を認めなければ、その根拠というものは極めて甘いものになります。 北京五輪への外交的ボイコットや、ウイグルジェノサイドへの非難決議もできず、国防体制の構築もなかなか進みませんが、これは日本に精神的な柱が立っていないために、善悪の判別ができないことと無関係ではありません。 こうした観点から、日本の外交戦略を根本的に組み直し、国防も強化していくべきであると考えます。 日本は「武士道の国」として甦る必要があるのではないでしょうか。 北朝鮮の極超音速ミサイルが日本に落ちたらどうなる?日本の国防は大丈夫?【前編】 2022.01.29 https://youtu.be/k5tUpg_euLc 幸福実現党党首 釈量子 ◆2022年、頻発する北朝鮮ミサイル発射実験 今年に入って、北朝鮮は既に6回のミサイル発射実験を行っています。 1月5日、1発の極超音速ミサイル発射を皮切りに、14日には鉄道発射型イスカンデル、17日には北朝鮮版のエイタクムスを2発ずつ発射しています。 エイタクムスはもともと米国のミサイルで、今回のミサイルは大変酷似しており、韓国からの横流しではないかと囁かれています。 また今後、追加の核実験に踏み切る恐れも指摘されております。 ◆東京23区壊滅!? 衝撃の被害想定 ミサイルはあくまで運搬手段でありますが、ここに核を搭載したらどうなるのか。 こうした核攻撃の防衛に失敗するという最悪の事態をシミュレートしたNUKEMAP(ニュークマップ)というものがあり、これは中国の大陸間弾道弾「東風5号」が千代田区三番町に着弾した場合の被害を想定しています。 ※NUKEMAP(ニュークマップ)は、下記動画の映像よりご覧ください。 https://youtu.be/k5tUpg_euLc 風向き等、自然条件で変わるものですが、着弾する中心エリアは核爆発で生じた火球で蒸発してしまいます。 その外縁部は「爆風半径」と呼ばれ、大半の住宅が崩壊し、木造家屋の場合は圧死の可能性があると言われます。 さらに北はさいたま市、南は川崎市に至る範囲は「熱放射半径」と言い、皮膚や髪などを含めて木造の建築物が瞬時に燃え上がる恐れがある地域となります。 たった一発の核ミサイルで東京23区は壊滅し、死者は最大で約220万人、負傷者は437万人に上ると考えられています。 ◆極超音速ミサイルが日本の防衛体制を無力する? そのため、こうした核ミサイルが決して日本に落ちないように、これまでPAC-3やイージス艦を中心とするミサイル防衛のシステムを政府は構築してきたわけです。 しかし今、これを真っ向から揺るがす新しい兵器が登場しました。 それが、前述した「極超音速ミサイル」です。 今年に入ってからの北朝鮮のミサイル発射でも、6回中2回、1月5日、11日のものが極超音速ミサイルだったと言われています。 こうした極超音速ミサイルは、2兆円かけて作り上げた今までのミサイル防衛体制では迎撃できないと言われています。 ◆極超音速ミサイルは初代ウルトラマンより速く飛ぶ まず、極超音速ですが、「音の速さより極めて速い」ということで、具体的には音速の5倍以上になると極超音速と呼ばれるようになります。 このときに、「マッハ」という言葉がよく使われます。これは音速と比べて「どれくらいの速さなのか」を表したもので、マッハ1は音速と同じ速さで、マッハ5が音速の5倍の速さということになります。 ちなみに、初代ウルトラマンの飛行速度はマッハ5ですので、ウルトラマンより速く飛んでくるのがこの極超音速ミサイルになります。 野球の剛速球のように速度が上がれば上がるほど、迎撃は難しくなりますが、問題は、速さだけではありません。 ◆迎撃が極めて難しい極超音速ミサイル 通常のミサイルの軌道は放物線を描いて落下しますが、極超音速ミサイルは全く違った動きをとり、低い高度で、ものすごい速度で迫ってくるところに特徴があります。 通常のミサイルの場合、放物線を描くので落下地点を演算で出すことも比較的容易なのですが、極超音速ミサイルは軌道がくねくねと変動するので、動きが予想できず、迎撃が難しいのです。 例えば、発射段階では日本本土に落ちるのか、排他的経済水域(EEZ)に落ちるのか、それ以外に落ちるのかをミサイルの軌道だけで判断するのは難しいわけです。 さらに、1月11日に打ち上げたミサイルはもっと曲者で、縦方向の高度で動きを変えただけでなく、横の水平方向に200キロ以上方向を変えたと言われています。 例えば富士山より西側に向けて発射したように見せながら、最終的には東京を狙える、というようなことを意味します。 ◆イージス艦では撃ち落とせない!? 加えて、極超音速ミサイルは、発見と探知が格段に難しくなります。 地球は丸いのですが、ミサイルを探索するためのレーダーの電波はまっすぐにしか進まず、もっと言えば、こうした低空軌道のミサイルをイージス艦で迎撃することはできません。 なぜなら、イージス艦はミサイルが宇宙空間まで上がるタイミングで迎撃を行いますが、これは高い高度を飛んでいるミサイルにしか対応していません。 ですので、もし極超音速ミサイルが日本に飛んできた場合、早期の発見が難しく、イージス艦でも十分に迎撃できない可能性が濃厚となります。 PAC-3が限られた時間の中で、高速のミサイルを撃ち落とせるかどうか、非常に心許ない状況と言えるでしょう。 一昨年は陸上型のイージスシステムを配備するかどうかで大変揉めていましたが、わずか数年でその根本を揺るがす事態が起きているわけです。 ◆極超音速ミサイルを既に配備する中国 なお、脅威という意味では、北朝鮮以上に中国が深刻です。 北朝鮮は、極超音速ミサイルは実験の段階ですが、中国は既に、兵器として配備しています。 これについて、幸福実現党の大川隆法総裁は、1月9日に行われた「『秘密の法』講義」の中で、「中国と北朝鮮が、同時にマッハ5以上の超音速のミサイルができるわけがないので、そこが通じているということでしょう」と指摘されました。 中国と北朝鮮が裏でつながって、中国からの技術供与がなされ、北朝鮮が極超音速ミサイルの技術を着実に蓄積しているということについて、警戒感を高めるべきであると考えます。 なお、大川総裁は「中国はいざという時は北朝鮮を戦場にして」「北に撃たせまくるつもりで多分やっているのだろうと思います」という読みもされています。 (後編につづく) 北京五輪前に、やっぱり看過できないウイグル問題。中東イスラム諸国はなぜ沈黙するのか?【後編】 2022.01.14 https://youtu.be/0pCKwKCeZZA 幸福実現党党首 釈量子 ◆中東はなぜ沈黙するのか?そして同通するポイントとは? 【中編】で示したように、米国の同盟国を含めて、中東のイスラム教国がことごとく中国の軍門に下ったかのようになっていますが、共通するポイントは「チャイナマネー」です。 米トランプ前大統領のような強いリーダーが不在になり、米国の足元を見て、中国と付き合った方が明らかに得だと、値踏みをされているのは間違いないでしょう。 もう一つの共通する点は「人権思想」が欠けていることです。 イスラム教を土台にした強権的な社会体制は、元来「自由」「民主」といった欧米的な人権思想には反発心が強く、同じ人権問題で内政干渉されたくない中国と、見事に同通してしまいます。 更に言いにくいところではありますが、イスラムの商習慣の中には「嘘をついて騙してなんぼ」という日本人には理解しがたいメンタリティーがあると言われます。 ムスリム全てがそうではないのはもちろんですが、平気で嘘をつけるというのは、中国との隠れたもう一つの共通点かもしれません。 中国は、経済的に苦しい国々を「債務の罠」にかけていますが、「はなから中国からの巨額の債務を踏み倒すつもりで支援させている。中東イスラム諸国の方が一枚上手だ」という見方もあるかもしれません。 ◆ウイグル問題でどっちつかずの日本。どうすべきか? 中東と中国がつながることで世界の闇はますます深まりますが、こんな状況において日本はどうすべきでしょうか? まず中国と欧米諸国、どっちつかずのスタンスを捨て、明確な姿勢で欧米側に立つという「判断」をし、真正面からウイグル弾圧を非難すべきです。 幸福実現党創立者である大川隆法総裁は、昨年12月エル・カンターレ祭における御法話『地球を包む愛』で「お金で魂を売ってはいけない」と指摘、「なぜイスラム教の多いウイグルで、あれだけの強制収容所の苦しんでいる人たちがいるにもかかわらず、助けようとしないのか。」と激しく訴えました。 イランでは強硬派の大統領が誕生し、米国を舐め切って核開発を加速させている一方、イスラエルも更に強硬路線に立って、イランとの最終戦争に踏み切る可能性は否めません。 この点についても、大川総裁は「(中国への依存は)食べていくためには仕方ないと思うところもあります」としつつ、「核兵器をつくるのを、急ぐのをやめてください。つくったら、イクラと同じ運命が待っています。イスラエルとイランが核兵器もったら、生き残るのはイスラエルです。イランは無くなります。だから私の言葉を聴いて、踏みとどまってください、西洋化してください、民主化を入れてください、それが生き延びる道です。」と述べられました。 ◆中東イスラム諸国から中国を切り離し、欧米圏とつなぐことが日本の使命 そして、中国と中東イスラム教国の良からぬ関係を「分断」するのは、日本の役割でしょう。 「イスラム圏」の国々は大変親日的で、日本人の真面目さ、勤勉さ、誠実さ、その日本人が作り出す自動車や精密機器など、質の高い製品への信頼感は驚くほどです。 そして何より、日本の「武士道精神」によって、欧米の植民地支配を終わらせたことに深い敬意を抱いています。 信仰の同胞を虐殺しながら、お金で懐柔する中国に代わって、日本がイスラム圏の末永い発展を支えるような役割を果たすべきです。 そして、欧米キリスト教圏と中東イスラム教圏の懸け橋となって「つなぐ」ことこそ、世界宗教と渡り合えるような、宗教的・精神的文化を有する日本のみが果たしうる世界的な使命だと言えるでしょう。 幸福実現党は本年こそ、日本が「武士道の国」として蘇り、地球的正義を取り戻すために、世界に向けて大きな役割を果たすべき年として参りたいと思います。 北京五輪前に、やっぱり看過できないウイグル問題。中東イスラム諸国はなぜ沈黙するのか?【中編】 2022.01.13 https://youtu.be/0pCKwKCeZZA 幸福実現党党首 釈量子 今回は中東イスラム諸国を一つずつ、見ていきたいと思います。 ≪エジプトの事例≫ 長い歴史を持ち、人口も1億人を超え、アラブのリーダー国家とされるエジプトですが、2017年、ウイグル人イスラム教徒たちが一斉に逮捕され、約20人が中国に強制送還されるというショッキングな事件が起こりました。 多くは、イスラム教の名門アズハル大学の留学生で、ウイグル人が集まるレストランや家にエジプト治安当局が押しかけましたが、中国政府の要請で動いたとみられています。 背景にあるのは、習近平主席とシーシー大統領の「蜜月関係」です。 2014年12月、両首脳が両国関係を「包括的戦略的パートナーシップ」に格上げしてからは、カイロの「新行政首都」の建設や、スエズ運河経済特区への投資など、中国から莫大な投資を受け入れ、2015年からは合同軍事演習も行なっています。 元来、エジプトは米国の同盟国ですが、ここ10年、対米関係には隙間風が吹いています。 エジプトの立場から見ると、人権問題に敏感な欧米諸国と異なり、国内の政治情勢や人権侵害(特に女性)を融資の条件としない中国の方が、商売上、好都合なのかもしれません。 ≪サウジアラビア、UAEなど湾岸諸国の事例≫ ウイグル人と同じ「スンニ派」の盟主サウジアラビアが、沈黙を保っているのもおかしな話ではありますが、今、最大のビジネス相手国は中国です。 少し古いデータですが、サウジ国内において建設・電気通信・インフラ・石油化学分野など、140社以上の中国企業が事業を展開し、約2兆円相当と言われる莫大なチャイナマネーに魂を奪われた状況と言えます。 また、サウジアラビアをはじめ、UAE(アラブ首長国連邦)やカタールなどは、2019年国連人権理事会において提出された「ウイグルの人権弾圧に対する非難書簡」に対し、中国を擁護する立場に回っています。 こうした中東の小国は、国際社会の動きを敏感に察知しており、特に「バイデン大統領弱し」と見て、中国への傾斜はより鮮明になっています。 昨年11月には、UAEの首都アブダビの港で、中国が秘密裏に軍事基地を建設していたことが発覚しました。アメリカの介入で急遽中止となり、UAEは「軍事施設だとは知らなかった」と弁明しています。 その後12月半ばには、トランプ政権時に締結していたF35の購入計画を凍結されましたが、中国への情報漏洩を恐れた米国側が厳しい要件を付けたことに、UAEが反発したと言われています。 昨夏には、UAEドバイに中国の秘密拘置施設があり、複数のウイグル人が拘束されているとAP通信で報じられました。中東一開かれた観光都市であるはずのドバイのダークな一面が見えてきます。 ≪トルコの事例≫ 更に、ウイグルと信仰面でも、民族的にも同根のトルコですが、ウイグル弾圧に対しても、5万人のウイグル人を受け容れ、世界各地で発足されたウイグル人組織の先駆けにもなりました。 2009年には、エルドアン大統領はウイグル問題が「大量虐殺」に当たると批判し、中国との緊張が激化。2018年にもトルコ政府はウイグル弾圧を激しく批判しています。 しかし近年、エルドアン大統領の中国批判のトーンは急激に下がっています。 昨年3月、トルコ野党が「中国によるウイグル人に対するジェノサイド」と認定する決議案を国会に提出しましたが、エルドアン大統領率いる与党AKP(公正発展党)が反対、決議案を握りつぶしました。 最大の要因は経済的な問題でしょう。トルコリラの暴落など、経済的苦境が続くトルコが、新型コロナの拡大も相まって中国依存を深めました。 エルドアン大統領が中国製のワクチンを率先して打ち、中国へのすり寄りを国民に示した姿は、実に残念でなりません。 それ以外でも、中東における最大の親中国イランはもちろんのこと、南アジアのパキスタンなども、中国の悪行には目を瞑っています。 (後編に続く) 北京五輪前に、やっぱり看過できないウイグル問題。中東イスラム諸国はなぜ沈黙するのか?【前編】 2022.01.12 https://youtu.be/0pCKwKCeZZA 幸福実現党党首 釈量子 ◆昨年末、英米で大きく動き始めた「ウイグル問題」 2月の北京五輪あと少しとなりました。その前に、開催国・中国に対して、断じて譲れない問題として、改めて注目されているのが「ウイグル問題」です。 ご存じの通り、新疆ウイグル自治区で強制収容所に入れられたウイグル人は、2017年から19年の2年間で少なくとも300万人と推計されています。 昨年末からこの問題がまた大きく動き始めて、英国では12月初旬、非政府組織「ウイグル・トリビューナル」が、ウイグルにおいて、強制収容や強制労働、大規模な不妊手術など、苛烈な人権侵害が行われていることが記された「新疆文書」を世界にリークしました。 内容としては、2014年から17年の間に、習近平国家主席や、他の共産党幹部が、新疆ウイグル自治区に関して行った最高機密レベルの演説が含まれており、今ウイグルで行われている強制的な同化政策の方向性を決定づけたとする、極めて重大な内容だとされています。 文書を公表した団体は、ウイグル族やカザフ族に対するジェノサイド、すなわち民族大量虐殺が日常的に行われており、習近平国家主席の重大な責任を国際社会に訴えています。 これに対して、中国は「新疆での取り締まりはテロを防ぎ、イスラム過激派を根絶するために必要だ」と断固否定しています。 12月中旬、米上院議会においても、新疆ウイグル自治区からの輸入を全面的に禁止する「ウイグル強制労働防止法案」が全会一致で可決されました。 輸入禁止は法成立から180日後に発効されますが、ウイグルに供給網を多く抱える日本企業にとっても、これは大きな分水嶺です。 ◆ウイグル弾圧を正当化する根拠はなかった!? そして、本年1月4日、トルコ在住のウイグル人が、新疆ウイグル自治区でレイプや虐殺など、人道に反する罪を犯しているということで、習近平を含む中国共産党の幹部112人を、トルコのイスタンブール検察当局に刑事告発しています。 告発したウイグル人は19人ですが、イスタンブールの裁判所の前には、およそ150人のウイグル人が家族の写真を掲げて抗議の声を上げていて、映像を見ましたが、胸が締め付けられるような思いになりました。 これに対しても、中国外務省の汪文斌(おうぶんひん)報道官は5日、記者会見で「人道に対する罪などというものは、反中勢力がでっちあげた、とんでもないデタラメであり、事実や法律的な根拠は何もない。うそに基づいて中国を攻撃し、中傷しようというたくらみは、絶対に成功しない」と反発しています。 ちなみに、これまで、中国がウイグル弾圧を正当化する根拠として挙げていたのが、イスラム過激派の存在で、中国当局はETIM(東トルキスタン・イスラム運動)という組織の存在を挙げています。 一方で、米国務省の調べによれば「ここ10年以上、ETIMが実在している十分な証拠がない」という結論が出ています。 要するに、さもありそうな敵を創作し、それを大義にウイグル人弾圧を行ってきたという手口をよく使うことを、日本人含めて、全世界の方は覚えておかなくてはなりません。 ◆同胞の弾圧に口をつぐむ中東イスラム諸国 ここで疑問なのは、ウイグルの人々と同じく、イスラム教を信仰する国々が沈黙していることです。 特に、中国は彼らの信仰心を標的にし、「神を信じることが罪だ」として片端から収容所に入れています。その本質は宗教弾圧です。 英米など、欧米キリスト教国が、宗教の壁を超えて、唯物論国家・中国の魔の手から彼らを護ろうとしている一方、中東イスラム教国は、信仰の同胞たちへの苛烈な弾圧に対して、ダンマリを続けているのは残念でなりません。 様々な背景があるとは思いますが、「見て見ぬふり」ができる最大の理由、それは中東諸国が中国とズブズブの関係にあるからです。 (中編に続く) 岸田氏vs高市氏の財政再建論争!必要なのは、緊縮財政でも積極財政でもなく、健全財政 2022.01.09 http://hrp-newsfile.jp/2022/4189/ 幸福実現党 政務調査会 藤森智博 ◆年初から盛り上がりを見せる財政再建論争 1月7日付の毎日新聞の報道が話題となっています。岸田文雄首相が財政再建を重視し、財政赤字に慎重であるのに対し、同じく自民党の高市早苗政調会長が噛みつきました。 高市氏は、積極財政を掲げ、コロナ禍を克服していくためには、政府がお金を出して、経済を回す必要があると考えています。 与党の政調会長と総理の路線対立が大きく表面化したのは珍しいと言えるでしょう。「背景にあるのは、単なる二人の軋轢でもなければ、政策論争でもなく、権力闘争の一環だ」という報道もあります。高市氏の背後に安倍元総理がいることを御存知の方も多いでしょう。 岸田氏は、総理就任後、安倍氏の言うことを聞かなくなったばかりか、盟友の麻生氏を取り込み、安倍氏を孤立させ追い込んでいると見る向きもあります。 これについて、ここでは深く立ち入りませんが、今夏の参院選に向けて、財政政策をめぐる議論が過熱していくことが予想されます。本稿では、あるべき財政政策について検討してみます。 ◆緊縮財政の問題:経済を犠牲にしてでも、とにかく財政再建 岸田氏の「緊縮財政」から見てみましょう。この考えは、財務省の伝統的な考えと共通しています。先般の衆院選前に話題となった財務次官の「矢野論文」は典型的な緊縮財政論でしょう。 しかし、「緊縮財政」はともすれば嫌がられます。なぜ嫌がられるかと言えば、国民の生活よりも政府の財政再建を優先するからです。2010年代の2度の消費増税がその典型例でしょう。 財政再建の美名のもと、国民が貧しくなる増税を行いました。それにもかかわらず、日本の累積債務は減るどころか逆に増えてしまいました。 ここから緊縮財政論に言えることは、「国民あっての国家であって、その逆ではない」ということです。 マクロ経済でもって、「これだけ増税すれば、これだけ税収が増える」と計算しても、国民の生活が疲弊してしまえば、国力が落ち、やがて税収は減っていきます。 結局、税収増を目指すあまり、経済を犠牲にしてはならないのです。 ◆積極財政の問題:ワイズスペンディング(賢い支出)が欠けている 次に高市氏の積極財政です。積極財政では、政府がお金を出して経済を回すことを考えます。特に日本は、長期にわたるデフレに苦しんでいるので、需要の不足を国家が補ってあげようと考えます。 積極財政については、昨年12月13日の衆院予算委員会で高市氏と岸田氏が舌戦を繰り広げました。 高市氏は「まずは、積極財政で皆様が働く場所、事業主体を守り抜き、成長への道筋を示すことによって、雇用と所得を増やし、消費マインドを改善させ、最終的には税収も増える形をつくる」と発言しました。 これは、令和三年度の過去最大となった補正予算についての見解ですが、積極財政の考え方がよく表れていると言えるでしょう。 積極財政は、国民生活のために国家が一肌脱いでくれるわけですから、一見素晴らしく感じます。増税や社会保障費などの歳出削減を言わなくてよくなるので、政治家としても大変ありがたい考え方と言えるでしょう。 しかし、積極財政派に決定的に欠けているのは「ワイズスペンディング」(賢い支出)の観点です。流行りのMMT論もそうですが、支出の中身の部分をなおざりにして、支出額のみに着目する傾向は強いです。 ◆今の政府にワイズスペンディングはできない もちろん、積極財政派の方もワイズスペンディングの大切さは訴えています。 先ほど紹介した高市氏も、同予算委員会で「ワイズスペンディングを前提に効果的な財政出動と成長戦略を大胆に講じていただき、雇用と所得と消費を増やし、結果的に税収増にもつながるお取組みをお願いしたい」と発言しました。ワイズスペンディングと言えば、誰も反対はできないでしょう。 しかし、ここには大きな落とし穴があります。それは「政府の自称『ワイズスペンディング』が本当に賢いのか」という問題です。 民間企業であれば、自由市場において、厳しい競争に晒されます。「売れるか売れないか」あるいは「倒産するかしないか」という結果をつきつけられるので、判断能力は磨かれていきます。 一方、行政の特徴は「無謬性」にあると古くから言われています。これは、「行政は間違った判断をしない」ということです。 つまり、官僚は昔から「ワイズスペンディング」だったことになります。しかし、現実は間違いだらけだったので、日本の借金は積み上がっていったわけです。 結局、民間企業のような競争も無く、間違いを認めたがらない政府にワイズスペンディングなどできるわけがないのです。それは、高市氏がワイズスペンディングを唱えた補正予算を見るだけで分かります。 補正予算では、岸田総理が掲げた「新しい資本主義」を名目にしたものが253項目ありましたが、「ごった煮」状態で、「ワイズ」とは程遠いものです。例えば、「新しい資本主義」を起動するために「良好で緑豊かな都市空間の形成等のための国営公園事業に必要な経費」として39億円近い予算がつけられました。 国営公園の整備は分かりますが、なぜ「新しい資本主義」につながるのかはさっぱり分かりません。これはあくまで一例ですが、このような問題は数多くあるわけです。 ◆やらなくてよい仕事はやめて、国家は「健全財政」を目指せ このように、多額のお金が政府にあっても、有効に使われないことが多すぎるのです。 これを改めるためには、やらなくてよい仕事を無くしていくと同時に、民間の経営の考え方を政府に入れていく必要があります。 ハンコのデジタル化も結構ですが、行政のハンコを押す判断スピードを上げて、許認可行政を改めない限り、生産性の向上は困難でしょう。そうした生産性の向上ができなければ、国家の経済成長も期待できません。 これらを言い換えれば、国家の「健全財政」を目指すということでもあります。 「自助努力により無駄を排し、優れた商品やサービスを提供することで発展していく」という民間では当たり前の考え方を実践することが今の政府に求められる財政政策です。 増税とケチで国民を苦しめる「緊縮財政」と、放漫経営で将来の危機を招く「積極財政」は採るべき道ではないと考えます。 政府は「やるべき仕事」として、国民の安全を守る「治安・国防」を中心に予算を集中すると同時に、規制緩和を通じて、政府の膨大な仕事を減量していくべきでしょう。 すべてを表示する