Home/ 2021年 December 2021年 December 台湾有事は日本有事――中国の台湾上陸作戦シナリオとは?【後編】 2021.12.26 https://youtu.be/N-y1KOVtTnA 幸福実現党党首 釈量子 ◆高まる台湾上陸作戦能力 前編に続き、台湾上陸作戦についてです。 報告書によると、中国人民解放軍は、台湾上陸の戦力を増強しており、先制攻撃後の初期段階の上陸作戦に「海上輸送2万人、空中輸送5千人、ヘリコプター3千人、合計2万8千人以上」を投入できると分析しています。 上陸作戦に使用する上陸用舟艇や、ドック型輸送揚陸艦、戦車揚陸艦などを大幅に増強しています。 これらの部隊が担う最初の攻撃では、台湾全体を占領する必要はなく、まず海岸や港湾の確保が目的となります。 次の段階で、日頃から訓練を受けた民間のRO-RO船(ロールオン・ロールオフ船)、船の前後の出入口からトラック等が乗降できる船が加わって、地上戦を展開する部隊をどんどん運ぶわけです。 港湾がなくても、水陸両用戦車を配置できることも分かっており、中国の台湾上陸作戦能力は日増しに高まりつつあります。 ◆異例となる台湾東部での不穏な動き 産経新聞(11/25)で、11月中旬、中国の揚陸艦2隻が、沖縄県与那国島と台湾の間の海域を通過し、台湾東部の花蓮沖で上陸作戦の演習を行っていたと報道されました。 南西諸島周辺で、揚陸艦の行動が確認されるのは極めて異例としています。 中国軍の台湾上陸作戦は、台湾本島西側が主戦場になるといわれ、台湾東部の沿岸部は断崖絶壁が多いのですが、花蓮には長さ10キロの砂利浜があり、軍民両用の「花蓮空軍基地」があります。 また、台湾侵攻時にミサイル攻撃から航空機を避難させる「佳山空軍基地」もあり、台湾防衛の重要拠点というわけです。 記事の中で、台湾当局関係者が「日本の南西諸島を、攻撃目標の選択肢に加えた」とハッキリ指摘したことは注目に値します。 台湾から沖縄の与那国島はわずか111キロ、また尖閣諸島は170キロの距離にあり、陽動作戦として、台湾侵攻と同時に、尖閣奪取に動く可能性もあります。 ◆台湾侵攻が世界経済に与える影響 報告書によれば、「台湾侵攻」が世界経済に与える影響も甚大だと、言及しています。 台湾は世界の半導体サプライチェーンの中心で、短期的に、台湾に取って代わる国はありません。 報告書は「台湾の混乱が起きれば、世界経済に約59兆円(約4900億ドル)の損害をもたらす」と試算しています。 日本でも、トヨタが半導体不足により5つの工場で稼働を止めて、減産せざるを得ない状況だと報道されましたが、日本経済に与える影響も計り知れません。 このように「台湾有事は、まさに日本有事」だということです。 ◆今日の香港、明日の台湾、明後日の沖縄 最後に、「日本はどうするべきか」ということです。 報告書の公表後、沖縄の共産党議員は議会で「沖縄が捨て石になる」「計り知れない惨劇になる」など言及し、玉城デニー沖縄県知事は「台湾有事で沖縄が標的になるようなことがあってはならない」と発言しています。 沖縄から米軍を追い出したい算段でしょうが、それこそ中国共産党の「思うつぼ」だということです。 日本が自国のことだけで「一国平和主義」となり、台湾を見捨てたとしても、何の解決にもなりません。 大事なのは日米同盟を強化し、抑止力を高めるということです。 「今日の香港、明日の台湾、明後日の沖縄」、そして「しあさっての九州」かもしれません。 大川隆法党総裁は書籍『メシアの法』の中で、「全体主義国家というのは、常に敵をつくり続けるのです。 どんどんどんどん新しい敵をつくって侵略したり、粉砕したりしていくようになっていきます。これが怖いところなのです。」と指摘しています。 よって日本政府は「台湾有事は日本有事」と明確な姿勢を示すべきです。 これにより、中国に対する抑止力を高めると同時に、「あいまい戦略」を採る米国に対して、台湾防衛の意思を明確にするよう促すこともできます。 ◆「台湾有事」に対する備えを万全に 日本政府は「台湾有事は存立危機事態に該当するか?」という質問に対し、「一概に述べることは困難である」と曖昧な官僚答弁を行っています。 しかし、日本は「台湾有事は日本有事」であるため、「原則、存立危機事態に該当する」と閣議決定をして、自衛隊が防衛出動できるように備えるべきだと思います。 台湾有事の際に「自衛隊がどう動くのか」、曖昧なままにしておくことは、中国に対する抑止力を弱めることになります。 「存立危機事態」と位置づけることで、日米台の共同訓練を実施し、備えを万全にすべきかと思います。 また現在、日本と台湾の間には、正式な国交がないという理由で、議員交流に止まっていますが、これも政府間の交流や、台湾軍と自衛隊の交流をしっかりと行う必要もあります。 これらと並行し、南西諸島などのミサイル防衛を大幅に強化すべきですし、当然、防衛費の増額は欠かせません。 ◆台湾を二度と見捨てない こうしたなか、幸福実現党は12月7日、「幸福実現党 日台友好議員連盟」を設立し、既に台湾へも訪問し、台北市の与野党の議員たちと交流活動もしております。 日本と台湾の親善友好を促進し、日台の国交を回復させ、同盟関係を結ぶことや台湾の国連への加盟を目指していきたいと思っています。 また「台湾を二度と見捨てない。いまこそ、日台同盟を。」というポスターも制作、「中国共産党の人権弾圧行為をやめさせ、台湾と沖縄の防衛強化を求める署名」も全国で開始しております。 ■「中国共産党の人権弾圧行為をやめさせ、台湾と沖縄の防衛強化を求める署名」のお願い https://info.hr-party.jp/2021/12200/ 2022年は、日本と台湾が断交して半世紀の節目になりますが、元来、台湾は日本の良き友人であり、兄弟でもあります。 私たちの激烈な台湾に対する熱い思いを、台湾に、そして国際社会にしっかりと届けることで「自由・民主・信仰」という共通の普遍的な価値観を持つ国家と連携する動きを強めて参りたいと思います。 中国共産党の一党支配を世界に輸出し、世界を一元管理しようとする中国に対して、世界の国々は徹底抗戦すべきです。 台湾有事は日本有事――中国の台湾上陸作戦シナリオとは?【前編】 2021.12.25 https://youtu.be/N-y1KOVtTnA 幸福実現党党首 釈量子 ◆米中経済安全保障調査委員会の報告書 11月17日、米国議会の諮問機関で、超党派で構成されている米中経済安全保障調査委員会(USCC)が、報告書(アニュアルレポート)を発表しました。 550ページに及ぶ大変なもので、米中関係を分析し、貿易や外交、軍事など、多方面をカバーした内容になっています。 第4章では「台湾防衛」を単独で取り上げており、特に注目したいのは、「台湾侵攻」に関する分析です。 報告書には「中国の指導者は2020年までに『台湾侵攻能力』を持つことを人民解放軍に指示し、20年近くに渡って軍事力を増強してきた」としています。 また「サイバー攻撃、ミサイル、空路や海上封鎖など、台湾侵攻に必要とされる軍事力を備えつつある」と評価しています。 ◆格段に進化する中国人民解放軍の「台湾侵攻能力」 2008年の時点では、国防総省は「人民解放軍が台湾攻撃と海上封鎖の限定的な軍事力を得た」という評価しつつも「完全に海上封鎖できる軍事力を持っていない」と記載してきたわけです。 ところが、2015年の段階でこの記述は削除、2020年の国防総省の報告書には、「台湾侵攻能力」即ち「台湾上陸作戦」が選択肢に入っていることを繰り返し述べていました。 米中の軍事力に差が無くなりつつあり、米国の抑止力が効かなくなってきているのは明らかです。 もし抑止力の行使に失敗すれば、中国の台湾侵攻が現実のものになる可能性が強くなっています。 ◆「一撃で敵を機能不全にする」という不気味な方針 報告書では、(1)米国の軍事力が東アジアで不十分な場合、(2)中国が台湾侵攻の際に米軍が断固とした介入を行う意思がないと判断した場合、中国が台湾侵攻に踏み切ると指摘しています。 2021年3月、米インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン前司令官は米議会で「6年以内に台湾侵攻の可能性がある」と議会で証言し、衝撃を与えました。 蔡英文総統は、台湾人の不安を払拭するべく、対艦ミサイルを大量生産しておりますが、中台の軍事力を比較すると、大きなギャップがあるのは事実です。 実際、中国の軍事費は台湾の20倍以上あり、台湾単独で防衛するのは難しく、日米同盟を軸とした米国と日本の支援が必要だということは明らかです。 国防総省は、中国人民解放軍は「一撃で敵を機能不全にする(paralyze the enemy in one stroke)という方針を持っている」とし、「台湾侵攻はある日突然始まり、米軍の介入を防ぎながら、大方終了させるだろう」と想定しています。 米国が台湾への武器輸出しているのも、台湾の反撃能力を高めるためです。 ◆台湾有事で在日米軍基地攻撃の可能性が高い? 日本にとって、今回の報告書で特筆すべきは、台湾有事の際に「在日米軍基地攻撃の可能性が高い」と明記していることです。 報告書では、人民解放軍の指針を参考にしながら、台湾上陸作戦がどんなものになるか述べています。 まず、人民解放軍は先制攻撃を仕掛けると指摘しており、一つ目には「在日米軍への先制攻撃」です。 人民解放軍にとって、米軍の反撃能力を抑え込むためには「在日米軍基地を先制攻撃することが最も効果的だ」と指摘しています。 ここで時間稼ぎをすれば、台湾上陸作戦を有利に進めることができます。 前述した米・インド太平洋軍のフィリップ・デービッドソン前司令官は「米軍が米国西海岸からグアムに到着するまでに3週間必要になる」と述べています。 人民解放軍は、日頃から在日米軍基地の艦艇や戦闘機などを正確に攻撃するシミュレーションも常に行っています。 これらを中距離弾道ミサイルなどで破壊し、台湾に一番近い在日米軍を足止めすれば、台湾上陸作戦の絶好の機会をつくることができると考えています。 中国は中距離弾道ミサイルを最低で200発持っているとしており、近年大幅に増強しています。 ◆台湾本土への「短期激烈戦争」 次が台湾本土への先制攻撃です。 上陸作戦は、上陸後の地上戦とは比較にならないほど難しく、これを成功させるには、情報戦や、海と空の領域で支配権を握ることが必要となります。 解放軍の指針によれば、海と空の支配権を握るため、まず情報通信網を破壊するためのサイバー攻撃や、台湾軍の司令部や空軍・海軍の基地やミサイル防衛システムなどを「突然、激烈に、継続的に(surprise, fierce, and continuous)」ミサイルで攻撃すると指摘しています。 いわゆる「短期激烈戦争」であり、大量のミサイルが突然、台湾の主要施設に降り注ぐことが想定されます。 今回の報告書では言及されていませんが、この先制攻撃の時に、蔡英文総統を初めとする政治リーダーや軍事的リーダーを殺害する計画、いわゆる「斬首作戦」を考えているとも言われています。 すでに、中国人民解放軍は、幾つかの演習を「斬首作戦」と表現し、砂漠に台湾総統府のような完全模型の建物を建築していることも衛星写真から分かっています。 これは戦闘機からのミサイル攻撃の際に、台湾に侵入している工作部隊が、総統府などを襲うこともあり得ることを示しています。 ほかにも最近、衛星写真でアメリカの空母の完全模型も発見されています。 (後編につづく) ウクライナ国境にロシア軍大集結――ロシアからみたウクライナ問題の真相【後編】 2021.12.24 https://youtu.be/PFybL3xRFnk 幸福実現党外務局長 及川幸久 ◆ウクライナとアメリカの接近 前編では、ウクライナの複雑な背景を説明しました。 さらに複雑にしていることは、この地域で紛争が起きることを喜ぶ人たちがいることです。それはこの地域に武器を売っている人たちです。 アメリカがウクライナに「EU に入ったらアメリカが守ってあげます」と誘ったわけです。 ウクライナを誘っている側には、共和党の上院議員だった故ジョン・マケインやオバマ政権の時の副大統領ジョー・バイデンやその息子もいます。 こういう人たちがウクライナをEUやNATOの方に向け、この地域の紛争に対してアメリカの兵器を売ってきました。 プーチンにとっては、ロシアとウクライナの関係において、もしウクライナがNATOに入ってしまったら、アメリカ製のミサイルがウクライナの領土に配備されることを意味します。 モスクワのすぐ近くにアメリカのミサイルがずらずらと並ぶ。これはロシアから見たら最悪のシナリオです。だからプーチンにとっては、これがレッドラインなのです。 それを許してしまうようなロシアの大統領はロシアの大統領ではないということになります。だから今抵抗している。それでロシア軍をウクライナの国境近くに集結させている。これが今起きていることです。 さらにプーチンは、12月初めに最悪ウクライナがNATOに加盟しても、NATOがロシアの国境に軍を配備しないという法的保障を要求しました。 今の報道では、ほとんどがアメリカ側や西側の報道ばかりで、ロシアやプーチン側の報道は少ないのです。 ロシアは信用できないというのが国際世論ですが、日本もそうでしょう。プーチンは悪者でありプーチンは現代のヒトラーであるという国際世論がつくられています。 ◆キューバ危機にも似たウクライナ危機 今起きていることと同じようなことがありました。それは1962年のキューバ危機です。 当時のソ連が秘密裏にキューバにソ連製の核ミサイルを配備しようとしていました。キューバは、アメリカのワシントンのすぐ近くです。そこに核ミサイルが配備されてしまったらアメリカにとっては大変なことになります。 ケネディはどうしたかというと、キューバ周辺を海上封鎖しアメリカの艦隊によってソ連製の核ミサイルがキューバに入ってくることを阻止しました。 この時、世界の緊張がピークになった時ですが、しかしケネディの判断は正しかったのです。 この時のケネディの立場と今のプーチンの立場は同じかもしれません。プーチンとしてはモスクワのすぐ手前にアメリカ製のミサイルが並ぶことを絶対に阻止しなければなりません。 今のアメリカは、前述のようにオバマ政権の時からプーチンを追い込んでいます。 2014年のウクライナ騒乱をきっかけに、プーチンがクリミアを奪ったことは国際法違反であると、当時のアメリカの大統領オバマは、ロシアに対して経済制裁を行いました。この経済制裁は今でも続いています。 そうなるとロシアは、完全に国際社会から孤立し中国やイスラム諸国や北朝鮮の国々と連携するしかなくなってきます。 それが世界大戦の危機です。ここはアメリカも日本も、もっと冷静に考えなければいけません。ロシアを追い込むことが本当にいいことなのかを。 オバマ政権に日本も要求されてロシアに対して経済制裁をしましたが、その結果せっかく安倍政権が進めていた日本とロシアの平和条約、そして北方領土返還交渉が全て止まってしまったわけです。 あらためて、日本はこの国際情勢から教訓を学び冷静に判断すべき時であると考えます。 ウクライナ国境にロシア軍大集結――ロシアからみたウクライナ問題の真相【前編】 2021.12.23 https://youtu.be/PFybL3xRFnk 幸福実現党外務局長 及川幸久 ◆ロシア軍が国境に集結、第3次大戦の危機か? 12月3日、『ワシントンポスト』が、「ロシア軍17万5000人が国境に集結。来年の年初には侵攻作戦があるのではないか」と報じました。 プーチンがウクライナを攻め、それが第3次世界大戦につながるのではないかと世界中が注目しています。 元々ウクライナとロシアは同じソ連ですが、位置関係はロシアの隣にウクライナがあり、ウクライナの南側にクリミアがあります。 ウクライナ住民の多くは、ロシア系でロシア語を母語としています。ウクライナのゼレンスキー大統領も母語はロシア語です。クリミア住民の多くもロシア系です。 ウクライナは1991年ソ連崩壊で独立しましたが、2014年に「ソチ冬季オリンピック」のタイミングでウクライナ騒乱が起こり、「極めてロシアに近い人たち」と「EUの方に行きたい人たち」に分かれたわけです。 ◆クリミア問題の歴史的な背景 ロシアとウクライナの領土問題は、元々クリミア半島の所有権にありました。 ソ連時代はロシアもウクライナも1つの国で、実質国境はなくクリミアもロシアの一部でしたが、フルシチョフがソ連の最高指導者であった時にクリミア半島をウクライナに譲渡することを決めてしまったのです。 その時点ではソ連が崩壊するとは誰も思っておらず、どちらにしても1つの国の中で、クリミア半島の所属がロシアであろうとウクライナであろうと誰も問題にしていませんでした。 ところが、まさかのソ連崩壊が91年に起こり、ロシアとウクライナに国境ができた瞬間にクリミアはウクライナに所属することになってしまったのです。 ただクリミアの住民たちは、ウクライナという国の傘下にあっても自治権を持った実質的に独立国だという意識があったわけです。 そこに2014年のウクライナ内乱が起き、国民投票を行って「クリミア共和国」としてウクライナから独立する道を選んだのです。 この時はロシアに入りたいというよりもウクライナから独立したいという意識が強かったのです。ウクライナの中でロシア系住民を狙った事件も起きていたこともあったからです。 それが1回目の住民投票です。その後、2回目の住民投票で、クリミアはロシアに併合されることを決めました。 クリミアとロシアの主張は、ロシア軍が国民投票の間、クリミアをウクライナ軍から守っていたと言っています。 日本も含めて西側のマスコミが言っているように、プーチンが武力侵攻して他国の領土を略奪したという見方だけではないということは認識しておいた方がいいと思います。 ◆ウクライナ内戦の複雑な事情 ウクライナで、クリミア似たようなケースは数年前にもありました。 ロシアとトルコの間に挟まれ、かつてグルジアと言われていたジョージアの北側にロシアに隣接している南オセチアという地域があるのですが、ここも一つの独立した共和国です。 南オセチアもロシアに入りたかったのですが、ジョージアはそれを武力で止めようとしました。 ロシアは、南オセチアの住人が殺されてしまうので軍を派遣し、結局ジョージアと戦争になったのです。結果はロシアが強く休戦となり、南オセチアはジョージアから独立した形になっています。 他にもロシアと国境を接しているウクライナ東部ドンバスを中心とした地域もロシア側に入ることを望んでいますが、ウクライナが西側の方に向いているので内戦になっています。 このようにロシア側に入りたいという民族国家は多く、クリミアはその内の一つです。 ウクライナ内戦の報道は少ないですが、普通の住民が戦っておりウクライナのドローンによるミサイル攻撃で子供達が殺されたりしています。 ロシアは、クリミアにもウクライナ東部の人たちにもロシアの市民権を与えているのでプーチンとしては守らなければならない義務を持っているわけです。 そのような複雑な事情がある事をまず確認しておきましょう。 (つづく) 新型コロナを「5類」へ 反対論の是非を検討する 2021.12.18 http://hrp-newsfile.jp/2021/4182/ 幸福実現党政務調査会 藤森智博 ◆新型コロナを「5類」とすれば、軽症患者も医療サービスにアクセスできる 今夏のデルタ株の感染拡大に伴い、入院病床がひっ迫しました。この状況に耐えかねて、一部の医療関係者は、新型コロナを季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げるべきと声を上げました。 「5類」とすることで何が変わるのでしょうか。現在、新型コロナは、ペストやエボラ出血熱と同じ1類相当の措置もできる区分です。 この区分だと「保健所」が全ての患者を管理する必要があるため、感染者数が激増するとパンクします。すると、日本は世界一の病床数があるにもかかわらず、いわゆる医療崩壊が発生します。 つまり、5類にすれば、保健所での「目詰まり」が解消され、医療サービスにアクセスしやすくなるわけです。 特に、軽症者に関しては、「自宅療養」と称して事実上放置されていた状況が改善されることが期待されます。 しかし、こうした5類への変更には、根強い慎重論が存在することも事実です。本稿では、そうした慎重論を検討します。 ◆5類変更に反対する理由(1):医療費が自己負担になる → 現状維持は、かえって将来の負担増 第一に挙げられる反対理由が、医療費が自己負担となることです。 現在は、コロナの医療費は全額無償となっていますが、5類であれば無償の根拠が失われます。重症化すると莫大な医療費がかかるので、これを警戒するわけです。 しかし、自己負担と言っても、全額自己負担にはならず、負担は限定的です。健康保険制度があるため、最大でも3割負担にとどまります。 また、高額療養費制度という月の医療費の上限を定めた制度もあります。 例えば、100万円の医療費の場合、自己負担額は本来3割の30万ですが、同制度を利用すると、1割以下の9万円で済むケースもあります。 本制度の是非はここでは論じませんが、少なくとも5類への変更によって、莫大の負担が生じることは現状あり得ません。 さらに言えば、5類への変更で、軽症者が医療サービスにアクセスしやすくなれば、軽症者の「中症化」「重症化」を未然に防ぐことも期待できます。その結果、莫大な入院費用が抑えられ、日本全体の負担は減少することもありえるでしょう。 コロナ医療のための負担は、結局「将来の増税」によって賄われるものなので、長期的に見たら、今の状況を維持することには問題があります。 5類に変更することで、医療資源を無駄なく活用した方が、結果的には私たちの負担は少なく済むでしょう。 ◆5類変更に反対する理由(2):感染者が増える → 現状維持でも、将来的な感染者増は防げない 次によく挙げられるのは、5類にすると感染者が激増するのではないかという疑惑です。5類になると、緊急事態宣言などを発出する根拠を失うので、人との接触が増え、感染が増えるのではないかということです。 しかし、人と人との接触を制限する現在の枠組みには明らかに弱点があります。それは、ロックダウンのような接触制限で感染の封じ込めにたとえ成功しても、一時的にすぎないということです。 新型コロナは感染爆発の中心をぐるぐると変えながら、世界中で流行し続けており、収束の兆しは見えません。こうした状況下では、行動制限は長期化せざるをえず、社会的弱者に大きな負担を強いることになってしまいます。 そればかりではなく、行動制限はある種の「滅菌状態」であるため、いざというときの抵抗力は弱くなります。従って、今後、新型コロナが劇的に強毒化した場合も、より被害が拡大する可能性もあります。 なお、「ワクチンがあるから大丈夫」という考えもありますが、ワクチンが有効であれば、そもそも行動制限を課す必要はありません。 ◆5類変更に反対する理由(3):新しい変異株に対応できない →既存の株と強毒の変異株の対応を変える 最後に検討したい反対理由は、新しい変異株についてです。5類に変更した後に、より強毒な変異株が登場した際に対応できなくなるという懸念があります。 これについては、「新型コロナ」とまとめて考えるのをやめれば解決できます。つまり、既に流行した株と本当に危険な新しい変異株を別種に分類すればよいのです。 例えばインフルエンザでも、季節性か強毒の新型かによって既に別分類となっています。ですから、新型コロナでも毒性が段違いに異なれば、別分類にしても問題ないと言えます。 ですから、既存の変異株も含め、従来株は、5類に引き下げても問題ないでしょう。 既に治療薬が開発されつつあり、またワクチンも有効だと言われています。さらに言えば、致死率を見ても、新型コロナは現在の日本で1%程度です。SARS(約10%)やMERS(約34%)と比べると、けた違いに小さいです。 従って、いつまでも厳しい規制はするべきではありません。 他方、新しい変異株で、劇的に強毒になるものが登場する可能性はあります。新しい変異株を明確に分けることで、検疫等の水際対策を現在の水準に維持できるでしょう。 また、そうした変異株が国内に侵入し、感染拡大の兆候を見せたのなら、迅速に指定感染症とすればよいのです。 ただし、毒性の高まりを十分に考慮し、強毒でない変異株を指定感染症として、1類相当の対応をすべきではありません。 ◆従来の対応に一区切りをつけ、次なる生物兵器対策を 既存の株と劇的に強毒化した変異株を明確に分けることで、必然的に後者に対する対応が検討されていくことになります。 資源は限られているため、漫然と新型コロナの対策をするのではなく、メリハリをつけて対策に当たるべきです。法的な分類からメリハリをつければ、実際の対策もその通りとなるでしょう。 そして、今検討すべきことは、第二次生物化学兵器攻撃対策を立てておくことです。新型コロナが中国発であることは間違いのない事実であり、状況証拠として生物兵器であったことも分かっています。 従来の新型コロナ対策が進む中、意表を突くために「次なる一手」を打つことも十分考えられます。 現在、政策担当者はコロナ対策で頭がいっぱいであり、次なる生物兵器への対応を考える余裕はないでしょう。しかし、こうした5類への変更措置が、新しい事態に目を向ける契機となっていくはずです。 過去最大規模の補正予算36兆円――今、求められる政府の仕事」とは?【後編】 2021.12.16 https://youtu.be/bNSrKLa0m54 (12月9日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆コロナウィルスは本当にエボラ並みか?ワクチンに効果はあるのか? コロナ感染で、自宅待機中に症状が悪化して亡くなる方も多かったのですが、普通の町医者がきめ細かな診療を早期にできるようにするべきです。 その為には、ペストやエボラ出血熱など1類並みの分類をやめて、季節性インフルエンザ並の5類相当にすれば、「幽霊病床」向けの数兆円は不要になります。 オミクロン株への警戒感もありますが、厳しい規制をかけ続ければ、かえって医療現場に負荷をかけることになるので、フレキシブルに対応できるようにすべきだと思います。 またワクチンに関して、補正予算では接種体制の整備や接種の実施に、約1.3兆円が組まれています。 幸福実現党は、ワクチン接種に反対の立場を採っているわけではありません。 しかし、ワクチンに本当に効果があるなら、命のお金が一番高いので、みんな有料でも打つはずです。 経済的支援が必要な人は無料で打てるようにしてもいいかもしれませんが、無料をいいことに、強制的に接種をした結果、死亡するケース、また心筋炎など重篤な副反応が生じてもろくに補償もしないことに対して、政府への不信感が高まっています。 ◆「新しい資本主義」の内実 更に、岸田首相肝煎りの「新しい資本主義」も無駄だらけではないかと思います。 今回の補正予算では「新しい資本主義の起動」と銘打って、約8.3兆円計上されております。 財務省ホームページで公開されている内訳を見ると、全部足しても6兆円に達しないので、残り2兆円の使い方がよくわからない不思議な予算なのですが、どうやら新しい資本主義の成長戦略の大きな柱の一つは、「クリーンエネルギーへの投資」のようです。 岸田首相が、所信表明演説でも述べていた「クリーンエネルギー」は、アンモニアや水素でした。 アンモニア(NH3)や水素(H2)は、二酸化炭素(CO2)が含まれていないので、「これを燃やしてもクリーンだし、既存の火力発電の設備も使える」という算段かと思います。 しかし水素やアンモニアの原料として、石炭や天然ガスを使うため、製造段階でCO2が発生します。 結果的に、水素やアンモニアは「なんちゃってクリーンエネルギー」というのが実態です。 ◆気候変動対策より、エネルギー安全保障の確立を 石炭や天然ガスをそのまま燃焼させて、電力を得るのに比べて、わざわざ水素やアンモニアに変化させるので、エネルギーロスが生じます。 石炭や天然ガスから「水素」に変化させると、エネルギーの約半分を消費してしまうということなので、 こうした電力を推進していくと、絶対に電気料金はさらに値上がりするわけです。 今までも申し上げてきた通り、「地球温暖化説」はフェイクですので、無駄を排除すれば、政府は石炭火力発電など、「化石燃料を今後も利用し続ける」と宣言して、安く安定したエネルギー供給体制を作り上げることが肝要かと思います。 もし「気候変動対策をしていない」と批判されるならば「日本の火力発電の技術は世界一で、非常にクリーンだ。そして日本の技術によって、安く空気中の二酸化炭素を捕まえる技術を開発中だ」とでも言えばいいかもしれません。 ◆デフレ下における成長は可能か? 以上、「無駄」を削る話をしてきましたが、必ずしも「経済が縮小する」ということを意味するわけではありません。 それがこの度、幸福実現党の大川隆法党総裁が発刊する『減量の経済学』第三章において、通説である「デフレ=不況」という考え方について、実は「デフレ下でも成長は可能だ」と紹介されています。 実際、2020年の新規上場企業は過去最高でした。 コロナ禍で倒産や廃業が増え、大企業の倒産も予想される厳しい時代ではありますが、 新しく生まれてくる会社もたくさんあるわけです。 こうした時代に生き残り、繁栄を実現するためにはどうするのか。 「やらなくてよい仕事はするな」という副題の通り、「無駄なことを削り、新しい付加価値を増やしていく」ことしかありません。 ◆望まれる日本型資本主義の復活 キーワードは「勤勉の精神」であり、ひとつ人物像をあげれば、二宮尊徳の精神でもあります。 岸田首相は「財政の健全化」と演説でもちらっと触れ、またご著書の『岸田ビジョン』の中で、ご自身がやりたいのは「日本型資本主義の復活だ」とも語っておられます。 「1200兆円の財政赤字をいつまでに、どうするのか」を考えるのが、二宮尊徳流かと思いますし、徳ある人物が命懸けで行ったような、壮絶な仕事をなさりたいということであれば、 国家の存続を懸けたヒントはまさにこの一冊にあります。 岸田首相の「新しい資本主義」については「そんなのが分かればノーベル賞ものだ」という声もありますが、この書籍から本当の「新しい資本主義の風景」が見えて参ります。 ぜひ年末年始、「新しい未来を創らん!」とする志のある方は、ぜひお読みいただければと思います。 過去最大規模の補正予算36兆円――今、求められる政府の仕事とは?【前編】 2021.12.15 https://youtu.be/bNSrKLa0m54 (12月9日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆「例外中の例外」が常態化する日本の財政状況 12月6日、岸田首相は、過去最大規模の補正予算の成立に向けて、臨時国会に臨みました。 所信表明演説の冒頭では「屋根を修理するなら、日が照っているうちに限る」というケネディ大統領の言葉を引いて、コロナ対策や経済回復に向け、一日でも早く手を打たないといけないということを、訴えておられました。 また「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」と銘打ち、総額55.7兆円の財政支出を計画しており、この額は、過去最大規模となります。 だいたい、日本政府の税収が60兆円くらいなので、今回の補正予算は、来年度の予算分を先食いするようなものです。 財務省が、財政の赤字拡大は止まらないことを「ワニの口」に例えて、入ってくるお金(歳入)よりも、はるかに多くのお金を使っていた(歳出)わけですが、コロナ禍で天井をぶち抜くような予算を組んでおりますので、もはやワニのあごが外れそうな状況です。 2021年度は、昨年のとびぬけた一般会計歳出147.9兆円から、一気に元に戻して、106.6兆円の予定でしたが、今回の補正予算によって、142.6兆円とほぼ横ばいとなりました。 また、国債発行額も、当初予定の43.6兆円が、65.7兆円に跳ね上がっています。 コロナ禍で「例外中の例外」のはずが、気が付いたら今年もで、これが常態化すると「気は確かか?」と財務次官が造反論文を書きたくなるのも、分からなくないような、極めて恐ろしい状態です。 ◆債務拡大の先に待ち受ける増税の未来 一方、こうした過去最大規模の予算と聞いて、「頼もしい!」と思う日本人がいるのも事実ですが、既に日本の財政赤字は1200兆円もあります。 こういうと「いや大丈夫だ。日本政府は金融資産があるし、世界一の対外純資産もある。国債は円建てだし、家計の金融資産も1900兆円を超えているから平気だ」と言う方もいます。 しかし、債務がここまで天文学的な数字となり、これから高齢化が進行すれば、家計の資産も取り崩す一方となるわけです。 これでひとたび信用不安が起きたら、国債が暴落する可能性は十分あるわけですが、そうならないよう、政府は増税の準備に余念がありません。 例えば、預貯金口座とマイナンバーを紐づけて、給付金受け取り用で政府のオンラインシステムに登録すれば「7500円分のポイントが付きますよ」と言っています。 逆にマイナンバーは増税のインフラとなり、ザックリ持っていかれるのも時間の問題でしょう。 そこで「もう、いい加減にしてくれ!」と考える皆さま方と共に、今回の補正予算に関して「無駄づかい」を少し指摘させて頂こうと思います。 ◆バラマキは「票の買収」 まず、筆頭に挙げられるのが「バラマキ」です。 公明党肝煎りの公約だった「18歳以下の子どもへの10万円給付」ですが、約2兆円、消費税1%分の税収が使われることになります。 当初は「10万円の給付のうち、半分の5万円をクーポンで」と言っていましたが、クーポンだと現金給付に比べて900億円を超える莫大な事務費がかかることが判明し、ここに批判が噴出、現在は「全額現金給付」の方向になっています。 これに関して、一般的には「なぜ18歳以下なのか。なぜ10万円なのか、大人も配れ」だとか、保守言論人の中には「ドケチだ」と批判する方もいましたが、私たちはそもそも、政治が恣意的に対象を選び、現金を懐に入れるのは、もはや「下の下」、政策ではなく、ズバリ「票の買収」だと考えます。 何より、働かないでお金が手に入るようになると、必ずまたもらえないかと思うもので、結果的に国民の働く意欲を奪ってしまいます。 「施しは愛ではない」ということを考えれば、バラマキは本当に最低なことかもしれません。 また、無駄遣いという意味では「時短要請に応じた飲食店等への協力金等」に約6.5兆円もムダです。 そもそも時短要請をしなければかからないお金ですし、世界的に見ても、ロックダウンの効果を疑問視する人はたくさんいるので、そろそろやめてはどうかと思います。 ◆コロナ対策の中にある大きな無駄づかいとは? コロナ対策費も、感染症拡大防止に18.6兆円の予算を組んでおり、うち2兆円以上が、新型コロナ用の病床確保などに使われます。 しかし、夏の流行では、補助金をもらいながら、コロナ患者を受け入れない、いわゆる「幽霊病床」が問題となりました。 菅政権では、病院がコロナ患者のためにベットを空ければ、ICUの場合、1床あたり1日最大43万円以上、普通の病床でも1日最大7万円以上がもらえる仕組みを作っていました。 「幽霊病床」対策として、岸田政権は病床使用率を調べ、一定基準よりコロナ向けにベットが使われていなければ、補助額を「3割減らす」と決めました。 では「なぜ3割減か?」といえば、これズバリ適当ということかと思います。 そもそも日本は病院のベット数は世界一であるにもかかわらず、莫大な税金をつぎ込まなくてはいけないというのは、本当にバカバカしい話です。 (後編につづく) 膨れ上がる政府の借金! インフレ・ファーストは時代遅れ 2021.12.12 幸福実現党政務調査会 藤森智博 ◆インフレを期待し、36兆円まで膨れ上がった補正予算 現在、臨時国会にて、令和3年度補正予算が審議されています。その額なんと36兆円。過去最大の補正予算のようです。 ここまで予算が膨らんだ理由を考える際に、鍵を握るのが、GDPギャップです。GDPギャップとは、需要と供給力の差のことです。 お店側が「これだけ売りたい!(売れる能力がある!)」というのに対し、お客さんが「お財布事情も考えて、これだけ買いたい!」という需要と供給の差を日本全国規模で見たものになります。 どうやら、今回の補正予算では、政府は、財政出動によって需要不足を補い、GDPギャップをプラマイゼロにする狙いがあるようです。 11月15日の自民党政務調査会全体会議では「(政府が直接支出する)真水ベースで30兆円規模が必要だ」というような大規模な財政支出を求める意見が噴出したと言われています。 これは、7-9月期のGDP1次速報から試算されたGDPギャップ27兆円とも対応しているでしょう。 さらに、GDPギャップがプラスになれば、インフレに転じる可能性があります。 安倍政権以来、「2%程度のインフレになれば、好循環が生まれる」と考えられているので、インフレを目指して、支出を増やしていった結果、補正予算は36兆円まで膨れ上がったと言えるでしょう。 ちなみに、2%の超過需要を発生させるには、+11兆円で、計38兆円以上が必要になるとも試算されます。 もちろん、政府の財政支出でお金をバラまいても、例えば何も買わず、貯金する人もいたりするので、今回の補正予算がインフレを確実にするわけではありません。 ◆燃料代などが高騰しているため、「円安」路線は命取りになりかねない しかし、ここで、お伝えしたいことは、そもそもインフレありきの経済成長路線を見直さなければいけない時代に突入しつつあるということです。 御存知の方も多いかと思いますが、現在、世界はインフレと景気の停滞が同時に進行する「スタグフレーション」を警戒しています。 アメリカでは、11月の消費者物価指数が前年同月比で6.8%上昇となりました。1年前と比べて、モノの値段が6.8%上昇したということですが、これは約39年ぶりの高水準です。 また、EUのユーロ圏では、11月の統計で、物価が4.9%上昇したと報告されています。アメリカでは、高インフレを警戒し、FRB(アメリカの中央銀行)が、金融緩和を縮小させています。 インフレの原因は景気が回復している以上に、ガソリンやガスなどの燃料代が高騰したり、パンデミックによる渡航制限などのさまざまな規制によって、モノの供給が滞っているからだと言われています。 こうした事情であれば、日本も無関係ではいられません。それは企業物価指数を見れば分かります。 企業物価指数とは、企業が購入する物価の変動を示す指標です。例えば、車などの消費者が買う商品を作る前に、企業は、素材や部品を輸入したり、他の企業から買ったりします。 そうした企業の間で売買する物価を見れば、今後、消費者が買う商品の物価がどうなっていくか、ある程度予測できるわけです。 実は、日本の企業物価指数は、記録的に上昇しており、11月には9.0%台に突入しました。これは、高インフレに苦しんでいるアメリカと大きく変わりません。 アメリカは値上げに踏み切る一方で、日本の場合、景気の動きが弱く、素材の価格上昇を商品に転嫁できません。 給料が上がっていないので、値上がりしたら物が売れなくなってしまいます。上げして売れなくなるかという「進むも地獄、退くも地獄」という状況と言えます。 ◆インフレを建前に、お金をバラまけば、円安を招き、かえって企業を苦しめる こういう状況だと、「企業が値段を上げても売れるように、政府がお金をばらまけばいい」という発想もあるかもしれません。 しかし、それでは問題は解決されません。アベノミクスを思い出してほしいと思います。 アベノミクスは「第一の矢」で金融緩和をして国債を刷り、「第二の矢」で財政政策という形でお金をばらまきました。 そして、一連の政策の結果、円安が起きました。民主党政権時代の円高が、瞬く間に円安となり、空前の株価上昇となっていきました。 しかし、現在はこの円安が企業を苦しめています。 円安は輸出の際には有利ですが、現在は燃料代や原料など、輸入品の値段が上昇していることが、企業物価指数を押し上げています。円安が深刻になれば、材料の調達が困難になり、さらに企業を苦しめることになります。 お金をバラまき、需要を創出して企業を助けようとしても、それによって円安が進めば、問題は解決しないということが言えます。 ◆日本企業を立て直すために必要なことは、適切な「規制緩和」と「減税」 結局、この逆風を乗り切るには、輸入品そのものを安くするか、企業の生産性そのものを上げて、逆境に強い体質にしていかなくてはいけません。 前者については、脱炭素をやめ、化石燃料に再投資したり、ロックダウンなどの必要以上の規制を撤廃していくことが重要になりますが、世界レベルの問題も含むため、日本一国の取り組みでは限界があります。 一方、後者については、政府の施策の余地は大きいです。政府をスリム化して、不要な仕事を無くせば、行政手続きで企業が浪費していた時間を「創造」できます。 また、必然的に、税金を多くとる必要が無くなるので、減税して人々の暮らしも楽になります。従って、「規制緩和」と「減税」こそが今考えるべきことなのです。 対して、今までの自民党政権のように、インフレを目指して富の創出につながらない財政出動を重ねれば、無駄な仕事をたくさん生み出し、生産性はむしろ下がっていくはずです。 今までの「インフレ・ファースト」の考え方では、もはや時代の変化に対応できないのです。 「中国共産党の人権弾圧行為をやめさせ、台湾と沖縄の防衛強化を求める署名」のお願い 2021.12.09 https://info.hr-party.jp/2021/12200/ 私たち幸福実現党は、現在、中国共産党が行っている行為を決して見逃すことができません。 ウイグル、チベット、南モンゴル、香港の人権弾圧行為は激しさを増し、今この瞬間にも多くの人が自由を奪われ、宗教や言語を奪われ、殺害されています。 特にウイグルでは、無実の罪で 100万人を超える人々が「強制収容所」に収監され、拷問や強制労働に従事させられているとの証言が後を絶ちません。 これらは、ナチス・ドイツのユダヤ人虐殺(ジェノサイド)を超える暴挙であり、暴力革命を肯定し、常に敵をつくり続ける全体主義の本質が現れたものといえます。 私たちは、同じ人間が自由と尊厳を奪われている状況に対し、聖なる怒りでもって断固抵抗します。 中国への拒絶感が高まる国際社会にあって、日本では、中国の人権弾圧行為を非難する国会決議の採択すら見送られました。 普遍的な「正しさ」に照らせば、中国への非難は当然のことであり、「不当な内政干渉」には当たりません。100 年、200 年後の人類が、現在の中国共産党の暴挙を振り返って見れば、傍観することは悪だと断じ、香港、台湾、沖縄、尖閣を護れと言うでしょう。 中国のなすがままに放置し、何らの反作用もない状態で、そのまま発展させていくなら、先の大戦でヒトラーが順番に国を取っていったのと同じことが起きかねません。 全体主義の傾向から見れば、香港を制圧したら、次は台湾を制圧したくなることは明らかです。すでにその兆候はあります。台湾が中国の手に落ちれば、沖縄の尖閣諸島も危機にさらされます。 今、私たちがすべきことは、中国に非難の声を上げ、正しきものが滅びていくことを決して見過ごさないことです。目先の経済的利益を優先し、中国への非難行動を避けようとする政治勢力もありますが、それは地球的正義に反し、中長期的には国益を損なう道です。 私たち幸福実現党は、「自由・民主・信仰」こそ政治の基本原則だと考えます。自由は幸福の源であり、不幸を招く自由の抑圧に対しては徹底的に抵抗すべきです。 そして信仰は自由と民主に正しさを与えます。中国共産党のいちばんの問題は「無信仰」にあります。 それは「神や仏の目は意識しなくていい」ということであり、「地上で権力を持った者が、自動的に“現人神”になる」ということです。 共産主義の精神を輸出し、世界を一元管理しようとする中国の動きには、世界の国々と力を合わせて抵抗すべきです。よって私たちは、日本政府に対し次のように求めます。 一、国際社会と協調し、中国がウイグル、チベット、南モンゴルで行っている人権弾圧行為を「ジ ェノサイド」と認定すると共に、香港の高度な自治を守り抜く意思を示すこと。 一、中国の侵略行為から台湾と沖縄を守るため、台湾を二度と見捨てない覚悟で、日本の防衛力強 化と台湾との国交回復を目指し、有事の際は日台防衛に立ち上がること。 「中国共産党の人権弾圧行為をやめさせ、台湾と沖縄の防衛強化を求める署名」のお願い https://info.hr-party.jp/2021/12200/ 署名用紙のダウンロードはこちらから https://info.hr-party.jp/files/2021/12/09123651/6wq2zi50.pdf 【締め切り】 令和4年4月30日(土)(党本部必着) 【お問い合わせ・署名送付先】 〒107-0052 東京都港区赤坂2-10-8 6F 幸福実現党本部 TEL 03-6441-0754 《参考》 【幸福実現党NEWS】アジアの仲間を救うため今こそ立ち上がろう https://info.hr-party.jp/newspaper/2021/12163/ 【幸福実現党NEWS】中国共産党による人権弾圧を許してはいけない https://info.hr-party.jp/newspaper/2021/11821/ 在日ウイグル人ムカイダイス氏インタビュー https://info.hr-party.jp/2021/11864/ すべてを表示する