Home/ 2020年 September 2020年 September 米大統領選挙の仕組みを簡単解説、トランプ再選の可能性【後編】 2020.09.30 https://youtu.be/cMW334BQZXo (9月15日収録) 幸福実現党外務局長 及川幸久 ◆バイデンが有利? 前回、複雑な大統領選挙の仕組みを説明しましたが、その仕組みは、さらに複雑です。 大統領選は11月3日が投票日ですが、選挙をやる前から勝者が決まっている州が沢山あるのです。 民主党の候補者が勝つことが決まっている州を「ブルーステート」(青)といいます。共和党の候補者が勝つことが決まっている州を「レッドステート」(赤)と言います。 「リアルクリアポリティクス(RealClearPolitics、RCP)」という有名な世論調査の統計では、9月15日の時点で、バイデンが取る州が決まっている州の選挙人の数が222で、トランプが取る州が決まっている州が125です。 過半数が270ですから、バイデンはあと50弱。トランプはあと150です。これだけ見ると圧倒的にバイデンが有利です。 ◆激戦州がトランプの勝機を決める まだ決まってない州の選挙人の合計は191残っているのですが、選挙人が38のテキサス州と選挙人16のジョージア州は、まず間違いなく「赤」(トランプ勝利)になります。 大都市圏で選挙人が多いカリフォルニア(55人)、ニューヨーク(29人)、イリノイ(20人)の合計が、100人以上となり民主党が取っています。これがバイデンとトランプの差です。 候補者が誰であったとしても、共和党は初めから100ポイントのハンディキャップがあり大統領選挙に勝つのは至難の技です。 共和党は、100ポイントを他州でひっくり返さなければなりません。これをひっくり返す方法は「激戦州を取る」ことです。 ◆トランプ勝利の方程式 激戦州は、「スイングステイト」と言われ、「赤」(トランプ)でも「青」(バイデン)でもない州です。 その中で特に重要なのが、フロリダ州、ペンシルベニア州、オハイオ州、ミシガン州で、先日、トランプはミシガン州で大きな演説をやりました。 激戦州における各州の支持率をみると、9月14日時点で、次のようになっています。 フロリダ州 バイデン +1.2% ペンシルベニア州 バイデン +4.3% オハイオ州 バイデン +2.4% ミシガン州 バイデン +4.2% 全てバイデンがリードしていますが、そのリードは、1%、2%。多くても4%で、まだどちらが勝つか分かりません。 4年前のヒラリー対トランプの大統領選挙では、フロリダも含めて激戦州をトランプが全部取りました。 また、先の世論調査で全米ではバイデンが7%以上リードしているのですが、ただこの数字に入っていないものがあります。 それが、「シャイなトランプ支持者」といわれる人たちです。「トランプを支持」を公に口に出して言えない人たちの票です。 ◆激戦州を制する者が大統領選を制する もう一度、4年前の大統領選の結果を数字でみると、選挙人の数は、トランプが304票、ヒラリーが227票。個人票では、ヒラリーが6585万票、トランプが6298万票です。 個人票では300万票近くもヒラリーが上でした。全米の支持率でもヒラリーの方が上でした。しかしルールは選挙人の数なので、激戦州をすべて制したトランプが304票を取って勝利しています。 特に重要なのが五大湖の近くにある選挙人18のオハイオ州です。オハイオ州で勝てなければ大統領選挙で勝てないというジンクスがあります。 もちろん、トランプは今回も激戦州で全部とないとダメです。しかしバイデンは、激戦州を1個取ったら勝ちです。 ◆イギリス機関の世論調査の結果 世論調査ははあてになりませんが、しかし一つ私が信頼している世論調査があります。 イギリスの「サンデーエクスプレス」という新聞社と「デモクラシーインスティチュート」というシンクタンクが共同で行っている世論調査です。 アメリカのメディアではないので、ある意味、客観的です。一番直近の8月の結果を見てみましょう。 トランプ48% バイデン45% 2カ月前の6月の結果では両方とも47%でしたので、ここに来てトランプが上げています。 では、激戦州はどうか見てみます。 トランプ49% バイデン42% 激戦州はかなりトランプがリードしています。 この世論調査の結果を選挙人数に当てはめると予想はこうです。 トランプ319 バイデン219 結果は、トランプの圧勝です。果たしてどうなるか、これも一つの予想なのでまだわかりません。 次回は、アメリカ大統領選挙について幸福実現党大川隆法党総裁が出された次の書籍からポイントを探って参ります。 ■『米大統領選 バイデン候補とトランプ候補の守護霊インタビュー』 大川隆法著/幸福の科学出版 ・世界の課題に対する両候補の本音を探り、11月に迫る米大統領選のゆくえを占う。 ・「私が再選されて、2年以内に習近平を失脚させる」(トランプ守護霊) (日本語)https://www.amazon.co.jp/dp/4823302125/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_VCWCFb5MXMTRX (英 語)https://www.amazon.com/dp/1943869928/… 米大統領選挙の仕組みを簡単解説、トランプ再選の可能性【前編】 2020.09.29 https://youtu.be/cMW334BQZXo (9月15日収録) 幸福実現党外務局長 及川幸久 ◆トランプ再選はあるのか 今回のテーマは、アメリカ大統領選挙直前に控えて、「果たしてトランプ再選はあるのか」です。 まず、アメリカ大統領選挙の仕組みを説明します。 アメリカ大統領選挙は、日本のように街頭演説や政見放送はありません。基本的にはテレビコマーシャルによる選挙が中心です。 両陣営ともテレビコマーシャルをいくつも作り、それをテレビやネットで流します。 (※両陣営のコマーシャルは、下記の動画(02:29〜06:31)で紹介しています。) https://youtu.be/cMW334BQZXo ◆バイデン陣営のトランプ批判 バイデン陣営のテレビコマーシャルのテーマは「コロナウイルス」です。 この映像の内容は、バイデンは、1月の段階でコロナウイルスに関して中国を批判するスピーチを行ったのとは対照的に、トランプは、2月に「中国がコロナ対策で一生懸命やっている」と讃えていたというものです。 そして映像では、トランプがアメリカ疾病予防管理センター(CDC)のアドバイスを聞かずにウイルスを甘く見た結果、アメリカ人に感染者が広がり、死亡者が増えたと批判しています。 「これを変えるのは、バイデンだ」というのが、民主党のコマーシャルです。 ◆トランプ陣営のバイデン批判 対してトランプ陣営のコマーシャルは、オバマ政権でバイデンが副大統領であった時にアメリカの製造業をどんどん中国に移すよう促したため、6万以上のアメリカの工場が潰れた様子を流しています。 その結果、アメリカ人の雇用は減少しますが、そんな時にバイデンが中国に訪問した映像と続きます。 工場が潰れ中産階級以下の人たちが仕事を失っていった中で、それを元に戻したのがトランプ政権だった。「バイデンが大統領になったら、同じことがまた繰り返される」、これがトランプ陣営のテレビコマーシャルです。 このように、大統領選挙のテレビコマーシャルは相手方の批判しかしていません。この雰囲気を知っていただいた上で、「アメリカ大統領選挙の仕組み」を説明します。 ◆支持率ではバイデンが優位だが 去年の10月からの米各社の世論調査の支持率の平均を見ると、終始バイデンが上回っています。 9月14日時点で、バイデンがトランプに対して「プラス7.1%リード」しています。このリードはかなり大きいものですが、最大で14%もの差ありました。 日本のマスコミは、それをうのみにして「バイデンが勝つだろう」と報道しています。 しかし、4年前の大統領選挙の時も民主党のヒラリーがリードしていました。現在のバイデンよりもっとリードしていたのです。 そのリードは投票当日まで変わりませんでした。しかし結果はトランプが勝利したのです。その最大の理由は、大統領選挙は「個人の票数」ではなく、「選挙人の票」で決まるからです。 ◆複雑な大統領選挙の仕組み 選挙人は、アメリカ50州にそれぞれ割り当てられています。 選挙人は、田舎の州は3人とか4人ですが、カリフォルニア州は55人、テキサス州は38人、ニューヨーク州は29人で、人口の多いところは割り当ての選挙人が多いのです。 アメリカは連邦国家で、州は基本的に独立した国のようなものです。だから大統領選挙は、それぞれの州がそれぞれの州の大統領を選ぶのです。 例えば、カリフォルニア州はカリフォルニア州として大統領選挙をやって、1票でも多く取った候補者がカリフォルニア州の勝者です。 1票でも多く得票した候補がその州に割り当てられた「選挙人」の票数をすべて獲得する「勝者総取り方式(ウィナーテイクオール方式)」で行われます。 例えば、カリフォルニア州は選挙人が55人ですが、仮にバイデンが6割取って、トランプが4割取っても、バイデンが票数の55を全部取るルールです。 各州に割り当てられた選挙人の合計は538人ですが、過半数の270を超えた方が勝利します。 (つづく) 世界に広がる中国発・AI監視社会の魔の手【後編】 2020.09.11 https://youtu.be/fEah86PxYUo 幸福実現党党首 釈量子 ◆世界に拡散される中国発・AI全体主義 そして、こうした中国発の「AI全体主義体制」は、水面下で世界各国に広がりつつあります。 昨年行われた米国のカーネギー国際平和財団の調査によれば、ウイグル人自治区等で実際に活用されているAIによる顔認証などの監視技術等が、「一帯一路」構想への参加国を中心に、既に60か国以上に輸出されており、欧州の先進国、そして日本の名前も挙げられています。 中国は自国14億人のみならず、日本を含めた世界各国の億単位の国民の個人情報まで、一手にすることが出来る危険性があります。 ◆中国人に必要な「魯迅」の精神 こうしたAI技術をベースにした監視体制について、「マナーが大変に悪かった中国人の行儀がよくなりつつある」と肯定的に評価する意見もあります。 しかし、中国共産党支配、習近平体制の下で命がけの言論活動を行っている言論人たちからは、次のような悲痛の声があがっています。 いまの中国社会は、「毛沢東時代に戻ったかのように言論が統制され、監視と密告制度が高度にデジタル化したものに変容した。」 興味深いのは、中国国内にとどまって全体主義体制と戦う知識人が、約100年前の中国の小説家「魯迅」の名前を引き合いに出していることです。「魯迅の精神が今こそ必要だ」と言います。 「阿Q正伝」というタイトルは聞いたことがあるかもしれませんが、魯迅は100年前に中国人の国民性の改造に取り組んだ人で、中国人の精神の弱点には「奴隷根性」があると喝破した人です。 魯迅は、中国が「立国」、つまり近代国家に生まれ変わるためには「立人」、すなわち個人の精神的自由、人格の独立が必要だと言いました。 いくら科学が発達して豊かになっても、中国人が独立した個人の自由を獲得しなければ近代文明国家になれない、それが魯迅の現代的意義だと、魯迅研究者の銭理群氏は語っています。 ◆中国のAI侵略の対応に遅れる日本 大川隆法総裁のもとに、先日、魯迅の霊が現れ、毛沢東革命の果実と、習近平の覇権主義に憤りを持っており、「中国に自由を」という強いメッセージを送ってきました。 霊界思想を信じる中国人は多いので、衝撃を与えると思います。 ■『公開霊言 魯迅の願い 中国に自由を』著者・大川隆法/幸福の科学出版 いま、中国に必要なのは、「自由」と「民主」、そして「信仰」という価値観。 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=2426 中国のようにAIを神のように位置付け、人間が奴隷化していくような社会を創るなら、それは本当に恐ろしいことです。 AIの暴走で行きつく先は、「AIディープラーニング機能」を組み込んだ兵器の登場です。 「自律型致死性兵器システム(LAWS)」など、人間の手を離れて自ら敵を殺傷するような兵器で、まだ登場していませんが、恐ろしい殺傷能力を有することになります。 中国共産党のような唯物論・無神論の独裁国家が、これを手にして優位に立てば「AI全体主義」 が世界に広がる危機があるわけです。 アメリカはじめとする世界各国が「自由・民主・信仰」の価値観のもと、世界正義を守り抜くための大きな戦いが繰り広げられていると言っても過言ではないと思います。 いま日本も、迷うことなくアメリカのトランプ政権と歩調を合わせながら、人間がAIの奴隷になるのではなく、人間としての精神性の高さを目指すことの大切さを知ることです。 また、「人の温もり」を大切にする社会こそ、これから人類が目指すべき社会であり、神の願われる未来なのだということを考えていきたいと思います。 世界に広がる中国発・AI監視社会の魔の手【前編】 2020.09.10 https://youtu.be/fEah86PxYUo 幸福実現党党首 釈量子 ◆トランプ大統領がTikTok使用を禁止? 日本でも若者に大人気の動画投稿アプリTikTok(ティックトック)ですが、7月上旬、トランプ政権は安全保障上の理由から米国内での使用禁止を発表しました。 8月上旬に、トランプ大統領は運営元の北京字節跳動科技(バイトダンス)に対し、TikTokの国内での事業を米国企業に売却することを命じる大統領令を発令し、45日以内に売却できなければ、米国内の事業展開を禁止すると強気の姿勢を示しています。 今回、アメリカ政府が「安全保障上の理由」を挙げた背景には、TikTokがユーザーのスマホの識別番号を無断収集して、利用者の位置やアドレス、検索履歴等、個人情報が中国政府に流出する懸念があったためです。 ◆AIの技術進歩が生む中国の監視社会 TikTok は、AIによる顔認証など、ユーザーの好みに合わせたコンテンツが「勝手にどんどん出てくる」状態を作ることで、TikTokにハマったユーザー情報がAI技術で盗まれるというカラクリです。 TikTokだけではなく、中国AIベンチャーの技術進歩は目覚ましく、メグビー(Megvii)社は、顔認証だけでなく、服装・髪型や、どういう行動をしたかという「動態認識」もデータとして蓄積でき、新疆ウイグル自治区での弾圧に、実際に活用されていると言われています。 既にメグビー(Megvii)社が持つ顔認識プラットフォーム「Face++」は、既に日本市場に進出を果たしており、末恐ろしいものがあります。 ◆中国14億人を監視する3つの手法 では、中国共産党政権は、中国人全14億人を、どのように「監視」しているのか。3つの視点から見てみたいと思います。 (1)カメラによる「監視」 中国国内の監視カメラの台数は急増の一途を辿っており、今年の年末には、5億7,000万台に達すると見込まれています。これはたった3年で3.3倍以上増加した計算となります。 単なる監視だけでなく、人間の顔や体温などを瞬時に認識できる「AIカメラ」についても、中国では2,000万台以上が設置・導入されていて、「天網工程」(スカイネット)という、AIによる監視システムが中国全土に張り巡らされています。 「天網」は、今年2020年までに中国全土をカバーするとされ、一瞬で顔や服装、年齢、性別、動き、手にしているものなどが認識できます。 (2)検閲による「監視」 次に検閲による「監視」です。中国では印刷物への検閲はもちろんのこと、AIを駆使したネット検閲もかなり徹底しています。 中国本土においては、GoogleやFB、Twitter、LINEなどには接続出来ないため、基本的に、百度(バイドゥ)や微信(ウィーチャット)と言われる中国国内向けのものを使わざるを得ません。 政府に批判的なコメントをした有名ブロガーや人権派弁護士など影響力のある人物が逮捕されたり、公安警察に呼び出されて、過激な発言をしないよう指導される一般市民も数多くいます。 もっとも、最近はあからさまに削除されることもなく、本人も気づかないうちに検閲され、アルゴリズムで拡散されないよう外されるケースも出ています。 (3)社会信用スコアによる「監視」 特筆すべきなのが、「社会信用スコア」による「監視」です。簡単に言えば、中国社会における民衆それぞれに対する「通信簿」のような仕組みです。 最も有名なのはアリババ・グループが運用する「芝麻信用(ゴマ信用)」です。 当初、金融機関の融資審査に提供するサービスとして始まったのですが、ネット通販履歴や電子決済、資産、ひいてはSNSでの交友関係、学歴等に至るまで、膨大な項目についてAIを活用しそれぞれに総合点が算出されます。 点数は350点~950点と、まるで英語のTOEICのようなスコアで算出され、高得点を獲得すると、例えば自転車や傘、モバイルのバッテリーに至るまで、デポジット(保証金)不要で利用できます。 700点以上でシンガポールビザ、750点以上でルクセンブルクビザが取得できるなど、「国外移動の自由」まで、社会信用スコアによって決定されてしまいます。 微博(ウェイボー)では「陽光信用スコア」というものがあり、書き込みがデマだったり、問題があると減点される一方、中国共産党を礼賛するような書き込みや、他のユーザーの不適切な発言を通報すると持ち点が増える仕組みです。 まさに「密告制度」さながらの仕組みがAIを駆使した中国のネット社会には存在しています。 また、中国ではキャッシュレス社会が進んでいるため、何かあれば、一瞬にしてお金を巻き上げ、血を流さずに、自由を奪う仕組みがあります。 (つづく) 窮地の習近平氏、暴発で台湾進攻も。日本よ、国家たれ!【後編】 2020.09.08 https://youtu.be/8yM8jK_44n8 (8月22日収録) 幸福実現党政務調査会長 里村英一 前編では、これから台湾がどう動くのか、そして中国、アメリカなど周辺の国はどう動くのかを述べてきました。 後編では、日本はどうすべきかについて述べて参ります。 ◆「台湾の未来」を考える3つの視点――(3)日本はどうすべきなのか 日本では新聞の社説などを見ても「等距離外交」などという言葉を使って、中国とアメリカ、そして台湾とどっちつかずの外交を勧める声が強く、日本政府も基本的にそのスタンスで終始しています。 私が3月に台湾に取材行った時、台湾の国会議員、あるいはテレビに出ているコメンテーターの有名な大学の先生は、「安倍さんには失望しています」とはっきり言っていました。 日本が国際社会の中で曖昧な態度を取る以上、中国になびいているという見方が強くなっています。これは極めて危険なことです。 第二次世界対戦の前にナチスドイツと手を組んでしまっているため、このままでは日本は全体主義国家の仲間、ファシズム国家の仲間だと、このように見られます。 日本は中国に対して「非は非」とはっきりと言って、「自由・民主・信仰」の仲間であるということをはっきりさせるべきです。そして台湾とのさまざまな公的な繋がりを強め、日台関係法のような法律を制定し、台湾と関係を強めるべきだと思います。 ◆日本は台湾を助ける義務がある 大川隆法総裁は、2014年にも『日本よ、国家たれ!』というタイトルで「李登輝元総統守護霊」の霊言が出版されました。 この本を2019年、李登輝元総統ご本人が日本語で読まれ、大川総裁にお礼の意味を込めた手紙とご自身のDVDを送ってこられました。 それに応えて大川隆法総裁は去年3月、台湾で講演『愛は憎しみを超えて』を行い、「日本には台湾を助ける義務がある」ことを述べ、次のように訴えられています。 「蔡英文氏は、『独立という言葉を出したら、中国が硬化して、外交上、不利な扱いを受けるから、そういうことは言えない』と、言葉を選びながら抽象的に言ってはいますが、独立などする必要はありません。もうすでに、台湾自体が(中国とは)『別の国家』として成長してきています。この国家は別の国家だと思います。」 『愛は憎しみを超えて』 ―中国を民主化させる日本と台湾の使命― 大川隆法 著/幸福の科学出版 https://www.amazon.co.jp/dp/4823300629/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_To2rFb7RGWNSN @amazonJP これが台湾ですごい反響を呼び、去年の3月あたりから、蔡英文氏の支持が増え、対立候補の韓国瑜氏を追い抜いて、結果的に勝利するに至りました。 ◆日本よ、国家たれ! そして、亡くなった李登輝元総統が大川隆法総裁を通して帰天後、第一声を発しました。 『台湾・李登輝元総統 帰天第一声』 大川隆法 著/幸福の科学出版 https://www.amazon.co.jp/dp/4823302095/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_.M1rFbNE37N56 @amazonJP この中で、次のように日本のことを心配してくださっています。 「米中は、すごい対立から対決に向かおうとしている時期で、(日本は)もうどちらかを選ばなければいけなくなるよ。両方にいい顔して自分の姿を見せないようにして透明マントで隠れていけると思ったら大間違いだし、安倍さんの長期政権の最大の汚点になる可能性もあるよなぁ。」 これを受けて、大川総裁は、「あとがき」でこのようにおっしゃっています。 「日本よ、目覚めよ。専制的政府による弾圧の自由、侵略の自由と、国民を活かすための『自由』は違うのだ。悪魔に乗っ取られた国家を信じるな。その国民をこそ解放せよ。日本よ、再び武士道精神を取り戻せ。」 今、日本はどっちつかずの態度ではなく、アメリカと台湾と同じ「自由・民主・信仰」の価値を共有する仲間であるということをはっきりさせた上で台湾に対してのさまざまなアプローチをするべき時に来ています。 最後に、日本は地球的正義という立場から、善悪の価値判断を下して、そして今台湾、香港守るときに来ています。 「日本よ、国家たれ!」 この言葉を、日本の政府、自民党、あるいは様々な政治家の皆さんに対して申し述べさせていただきたいと思います。 窮地の習近平氏、暴発で台湾進攻も。日本よ、国家たれ!【前編】 2020.09.07 https://youtu.be/8yM8jK_44n8 (8月22日収録) 幸福実現党政務調査会長 里村英一 台湾の民主の父とも言われる李登輝元総統が7月末に亡くなりました。あらためて97歳で天寿を全うされた李登輝元総統のご冥福を心よりお祈り申し上げます。 今回は、これから台湾がどう動くのか、そして中国、アメリカはどう動くのか、さらに日本はどう動くべきか、この3点に絞って話をしたいと思います。 ◆「台湾の未来」を考える3つの視点――(1)台湾はどう動くのか 台湾は、1996年に李登輝氏が初めての総統選挙をやって民主的に選ばれて以降、25年ぐらいの間は、中国からの決別と中国にすり寄る時期を繰り返してきました。 馬英九前総統の時は、かなり中国に接近し、もう少しで台湾が中国に飲み込まれるところまでいきました。 これに対して、現在2期目の蔡英文総統は、もともと李登輝元総統に見いだされて政界に身を投じた方です。 蔡英文総統の政治は、簡単に言うと「台湾アイデンティティ」を掲げ、「中国とは別の台湾」という考え方に根ざしています。 また、「コロナウイルス」を見事な手綱さばきによって抑え込んだこともあり、蔡英文総統の支持率は基本的に60%、70%台を維持しています。 今年1月の蔡英文氏当選以来、台湾の人々が国民党の中国寄りの姿勢をいやがって「台湾アイデンティティ」の方に向かったと言えます。 私は今年3月に台湾の国政について、台湾大学のキャンパスの外で学生を中心に男女5人ぐらいに取材しました。(取材映像ありhttps://youtu.be/8yM8jK_44n8) 「蔡英文氏の当選をどう思いましたか」と聞くと、全員が良かったと答えています。その理由は、「一国二制度などの中国の言い分によって台湾が中国に統合される動きが止まったから」です。 2020年、台湾の政治大学の調べによると、「私は台湾人である」と意識している人たちの割合が67%で約7割が台湾人意識を持っており、「台湾意識」が進んでいます。 蔡英文氏は、総統選挙の公約の大きな柱を「中国からの防衛」に置き、自分の国で兵器を造ること、あるいはそれをアメリカなどから輸入すると言っておりました。 数名の与党民進党の国会議員に取材した際にも、そのうち一人の女性国会議員は次のように言っていました。 「アメリカや日本が台湾を応援してくださるという声があるのはありがたいのですけれども、基本的に中国からの脅威に対しては台湾が台湾だけででも自分たちの国を守りける体制をつくることが必要だと思います。」 これから台湾は、中国からの独立がはっきりしてくる流れになると思います。 ◆「台湾の未来」を考える3つの視点――(2)台湾に対して中国・米国はどう動くのか 2点目は、台湾に対して中国がいったいどのように動くかです。 習近平中国国家主席は、もちろんコロナの影響もありますが、米トランプ大統領からケンカを売られ、どんどん窮地に立たされています。 今年8月に中国で行われた北戴河会議(中国の長老と現役幹部の会議)で習近平氏は世界の中で孤立が進んでしまったことで、つるし上げにあったという話もでています。 何をやったら中国国内での評価が上がるかというと、「台湾統合」です。これは毛沢東もその夢を実現はできませんでした。 今後中国の台湾に対する武力侵略を警戒する中で、アメリカは、「台湾を守る」という意思をはっきりさせ法律をつくっています。 先般も1979年の米台団交以来、最高位の政府高官アザー厚生長官が元総統の弔問のため訪台しました。はっきり言って、アメリカは「ルビコン川を渡った」という感じがします。 今年、特にトランプ大統領の再選前後の辺で、アメリカはもう一歩台湾に対して踏み込むということが予想されます。 (つづく) コロナ禍で政治家が合法的買収?国民の血税を使ったそのカラクリ【後編】 2020.09.04 https://youtu.be/JYfiPWmgdO4 (8月28日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆一部農家に高額補償のカラクリ これは北海道のある市の農家の事例です。 昨年収穫した野菜を値段が高くなった春先に出荷するのですが、補助金(高収益作物次期作支援交付金)を申請した農家があったそうです。 その補助金は、所得ではなく耕作面積に対し補償する制度で、10アール当たり5万円です。例えば、耕作面積が40ヘクタールなら2000万円がポンと入ってくるわけです。 こうした農家への補助金は JAが中心になって取りまとめていることが多く、声が掛かるのは農水族の国会議員を推している農家だけで、他の農家が知った時には締め切りに間に合わなかったりするそうです。 ◆「移動制限」で観光業の仕事はゼロに また、政府から手厚くばらまかれたとしても全く割に合わないと痛感されている方もたくさんいらっしゃいます。 北関東で観光業を営む方によりますと、昨年4月から7月の売り上げは1億2000万円ありましたが、今年は200万円です。 コロナ禍で県をまたぐ移動制限されたことにより、ツアーも修学旅行も部活も遠足も何もかもが全部止まってしまったからです。 政府が「GOTOトラベルキャンペーン」をやっても7月8月は休業で、9月の仕事は今のところゼロだそうです。 ◆政府の「合法的買収」 では、政治家は何をしているのでしょうか。 東京都内に張られた某政党ポスターは、「給付の推進を我が党が実現した」と PR しています。これは、「お金をばらまいて選挙の票を買っている」のと同じです。「合法的な買収」ができるということです。 「個人がお金を配れば買収」となり逮捕されますが、これは参院選広島選挙区で起きたことです。 「合法的な買収」は、自民党が権力を維持してきた「戦後55年体制」の仕組みであり、公明党が与党に居続けることを可能にした仕組みと言って良いかと思います。 ◆「ばらまき政治」のツケは国民に こうした「ばらまき政治」が財政赤字を増やし、結局は国民への増税につながってきます。 すでに、政府の税制調査会は8月5日、コロナ対策による深刻な財政悪化を懸念して消費税の増税を中核に据えた議論が必要ではないかといった声が出ています。 そして今、政府がマイナンバーの銀行口座への紐づけを急いでおりますが、預貯金などに課税する可能性が指摘されています。 最近、幸福の科学出版より発刊された『トランプ経済革命』で、アーサー・ラッパー博士が、ムニューシン米財務長官が決定したトランプ政権の財政指数総額3兆ドル(約320兆円)を次のように批判しています。 「ヘリコプターマネーをもって景気刺激策であるなど主張するのは、あたかも核爆弾を平和の使者だと強弁するようなものだ。」 つまり、結局、「政府支出は課税を意味」し、ばらまきのツケは必ず国民に回ってくるという意味です。 ■『トランプ経済革命―側近ブレーンたちの証言』 著者 スティーブン・ムーア/アーサー・B・ラッファー/藤井幹久 訳/幸福に科学出版 https://www.amazon.co.jp/dp/4823302036/ref=cm_sw_r_tw_dp_x_nIWtFbCNA4Z68 @amazonJP ◆今の日本に必要な政策と国民のマインド では、この増税を避けるにはどうしたらいいのかということですが、それがズバリ、「安い税金と小さな政府を目指す」ことです。 今、コロナ危機で、政治家がばらまき、国民の側も「もえるものはもらっておこう」という空気が蔓延していますが、それが多数になれば国は必ず衰退してしまいます。 厳しくは見えますが、「天は自ら助くる者を助く」という自助努力に基づき、知恵と工夫でコロナ時代をサバイバルする方向しか、すべての人を幸福にする道はありません。 そして額に汗して働く人を偉いと言えるような日本の国民性を大切にし、「努力は無駄にならない」ということを教えるのが宗教です。 コロナ対策で、社会基盤を壊したり、経済を全滅させるような極端な政策をとるのは、これは知恵のないあり方ではないかと思います。 ここは一度冷静になって「人の温もり」を大切にして、そして努力で額に汗して働く価値観というものを取り戻していく必要があるのではないでしょうか。 コロナ禍で政治家が合法的買収?国民の血税を使ったそのカラクリ【前編】 2020.09.03 https://youtu.be/JYfiPWmgdO4 (8月28日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆政府の「大盤振る舞い」 政府は、中国発新型コロナウイルス対策で一次補正、ニ次補正を合わせた財政支出は120兆円を超え、「大盤振る舞い」を行っています。 個人への一律10万円の定額給付金や事業者への休業補償をはじめ各種補助金が配られていますが、もともとは国民の血税です。 今回は、国や地方のバラマキの実態について考えてみます。 ◆たった千円で高級ホテルに宿泊できる? この夏、政府による「GOTOトラベルキャンペーン」が行われ、政府は「観光復興支援策」として総額1.7兆円を投じました。 おかしいのは、県や市も全く同様の補助金を計上していることです。 例えば、北海道は「どうみん割り」、さらに網走市では「さぁ、網走に行こうキャンペーン」があり、たつの市では「たつのおもてなしキャンペーン」があるそうです。 国と県と市と併用が可能なところも多いため、千円札1枚出せば高額の宿泊費が賄えてしまうというケースもあるようです。 このような地方自治体の取り組みを可能にしたのが、国からコロナウイルス感染症対策として配られた「地方創生臨時交付金」です。 一次補正で1兆円、ニ次補正に2兆円、休業要請に応じた事業所への協力金などに幅広く活用できるとされています。交付金を希望する自治体は実施計画を国に提出でき、すべての自治体が我も我もと手をあげました。 その額は、人口7〜8万ぐらいの市で約10億円ぐらいです。小さな町や村でも数億円です。 ◆地方自治体の困惑 自治体ごとの交付金の振り分けについては、「人口」「感染率(人口当たりコロナ感染者数)」「財政力指数(税収など自治体の稼ぐ力)」の指標に応じて配られています。 稼ぐ力の弱い自治体には比較的手厚くなる配分になっており、使い道に苦慮する自治体もあるようです。 こうした自治体の困惑を見越したのか、内閣府からは懇切丁寧に100以上の補助金事業の実例集がホームページにアップされておりました。 例えば、旅行券の他に、グルメ券、商品券、高齢者、妊婦への補助金、また図書館パワーアップ事業として蔵書を増やしたり、巣ごもりを支えるものです。 また、文科省から昨年より計画に上がっている「GIGAスクリール構想」は、小中高校生にタブレットを配るものですが、コロナ問題で前倒しで実施されています。 合わせて「地方蘇生臨時交付金」で市や町の議員全員にもタブレットを配布して、オンライン議会であるとか、ネット配信をするそうです。 「持続化給付金」に関しても国・県・市がそれぞれ同じような事業支援の給付があり、国や県の給付の併用も可能です。 このように自治体が交付金の使い方がわからずに、国の政策にぶら下がるようにばらまくことは問題ですが、それを望む国民にも問題があります。 ◆一銭も出さずにエアコンを5台つけた家庭 ある市では春先から建築業界の仕事が減ったことで、その負の連鎖を止めるため住宅リフォーム補助金を設けました。 リフォーム工事に関わる経費の一部補助で、エアコンが買えるため、補助金をフル活用してお金を一銭も出さずに、エアコンを5台もつけた家庭があったそうです。ちなみにこの市の感染者数はゼロです。 それから、ある自治体は水道の基本料金を数ヶ月無償化したのですが、無償化していない周辺の自治体の住民から不満の声が上がり、他の自治体もバラマキや無償化をやらざるを得なくなっているそうです。 多くの組長に圧力が働き、「この方面にいくらの補助金をつけました」、あるいは「我が市は県内で一番早く配りました」と競っている話が耳に入っています。 (つづく) 「沖ノ鳥島」周辺が戦場に?日本最南端の領土と領海を守れ【後編】 2020.09.02 https://youtu.be/RF6Z6P37kNM 幸福実現党党首 釈量子 ◆中国が「南シナ海」でやったこと 1988年3月14日、スプラトリー諸島(中国が言う南沙諸島)のジョンソンサウス礁(中国が言う赤瓜礁)で、中国とベトナムのにらみあいがありました。 ベトナム海軍の兵士が上陸して測量し、ベトナム国旗を掲げたところ、中国軍が艦艇からボートを出してベトナム兵70名以上を銃撃して殺害しました。 その後、中国は赤瓜礁に高脚屋という「掘っ立て小屋」を建てて領有権を主張し、満潮時には1,2メートルも水没する岩礁を埋め立て、人工島を建設して軍事拠点化していきました。 ちなみに、沖ノ鳥島は水没することはありません。 2016年フィリピンは、中国が人工島を建設することは、国際法に違反すると提訴しましたが、オランダ・ハーグの国連の常設仲裁裁判所は中国の主張に「法的根拠なし」との判断を示しています。 しかし、中国はその判断を認めませんでした。 ◆沖ノ鳥島の戦略的重要性 中国が沖ノ鳥島を狙う理由は、ずばり戦略的な問題からです。 アメリカのシンクタンク「プロジェクト2049研究所」は、2020年から2030年の間に、中国が尖閣諸島と台湾を「同時」に軍事侵攻する可能性が高まっていると警鐘を鳴らしています。 沖ノ鳥島は、沖縄、台湾、グアムからほぼ等距離の位置にあり、アメリカと中国の双方にとって、重要な戦略ルートになるわけです。 台湾有事となれば、横須賀の米軍基地から第七艦隊空母機動部隊とグアムの原子力潜水艦が台湾に接近します。 中国はそれを阻止するために、機雷を敷設したり、潜水艦を展開しようとしています。すでに水中では米中の激しい「つばぜり合い」が展開されていると考えられます。 中国にとって、沖ノ鳥島近海は原子力潜水艦の「ハイウェイ」であり、台湾海峡を通らずに太平洋に抜け、米国本土を核で攻撃することが可能です。 すでに2011年6月には、中国海軍艦隊11隻が沖ノ鳥島から米軍基地のあるグアム島に至る海域で、大規模な軍事演習を行っています。 また、沖ノ鳥島近海は、海上輸送路として南シナ海のシーレーンが封鎖された時の迂回路になります。 日本にとってもオーストラリアから石炭などエネルギー資源や鉱物資源も輸入している沖ノ鳥島近海は非常に大事です。 ◆日本は何をすべきか すでに日本政府は、沖ノ鳥島に灯台を設置したり、海洋温度差発電やサンゴの移植などの試みも始めています。 最近の沖ノ鳥島海域で勝手に調査する中国船に対しては、取り締まりが可能になる法整備の検討に入っています。 日本は憲法を言い訳に、これまで最悪の事態に備えることを放棄してきたのですが、「まず自分で守る努力もしなければ、誰も守ってはくれない」という原則に立ち返るべきだと思います。 幸い米軍は、2019年5月に「海洋圧迫戦略」を打ち出しています。 具体的には、「第一列島線」(日本―台湾―フィリピン)で中国軍を封じ込め、また、長射程の対艦ミサイルを分散して、「中国艦隊」の「船を沈める」という方針を柱にしています。 台湾とオーストラリアも対艦ミサイルの保有を決めており、日本も「台湾有事は日本の有事である」ことを明確にし、米軍の戦略と一体化させるべきです。 また、アメリカ国防省は「インド太平洋戦略報告書」で台湾を「国家」と表現していますが、日本も日台交流基本法の制定を急ぎたいところです。 日本が中国の言いなりになってひれ伏したならば、「地球としての正義」が崩れることは間違いありません。 自国の平和のみならず、自由・民主・信仰の価値を守るためにも、「地球的正義」の観点に立ち、沖ノ鳥島の重要性について、考えを深めていく必要があるのではないかと思います。 「沖ノ鳥島」周辺が戦場に?日本最南端の領土と領海を守れ【前編】 2020.09.01 https://youtu.be/RF6Z6P37kNM (8月20日収録) 幸福実現党党首 釈量子 ◆中国船が沖ノ鳥島付近で不穏な動き 尖閣諸島周辺で中国が不穏な動きを見せていますが、我が国最南端の沖ノ鳥島付近にも脅威が迫っています。 今回は、沖ノ鳥島を狙う中国の動きと、この海域の重要性について考えてみます。 7月9日、海上保安庁の巡視船が沖ノ鳥島北北西310 キロメートルで、中国の海洋調査船が海中にワイヤーのようなものを投入しているところを発見しました。 翌10日には、観測機器のようなものを引き上げている様子が確認され、現場と外交ルートを通して「我が国の排他的経済水域において、事前の同意のない調査活動は認められない」と中止を要求しました。 しかし中国は、これを無視しています。 中国がやっているのは、海底の地形、水温、潮流などのデータの収集ですが、実際のところは、潜水艦を展開するための軍事的な調査です。 ◆沖ノ鳥島の概要 沖ノ鳥島は、東京から1740キロメートル離れた我が国最南端の領土で、周囲11 キロメートルのサンゴ礁でできた「環礁」で面積は4.9平方キロメートルです。 大正11年(1922年)に日本の調査船が測量して、どの国にも領有権が主張されていないことを確認したうえで、昭和6年(1931年)、東京都に編入しました。 その後、戦争がはじまり、終戦後は米軍の統治下に置かれましたが、昭和43年に小笠原諸島返還協定によってアメリカから返還されました。 ところが、日本の領土に編入した時点で6つあった小島が、北小島と東小島の2つしか残っていませんでした。 国際的な海のルールとして1982年に「国連海洋法条約」が採択されると、「排他的経済水域」(EEZ)を設けて、資源開発などの主権的権利と、海洋調査などの管轄権を持てるようになりました。 沖ノ鳥島が海没すると、日本の国土面積を上回る約40万平方メートルの排他的経済水域を失います。 政府は1987年から「護岸工事」を行い、島の周囲を半径25メートルのコンクリで固め、鉄製の波消しブロックで囲みました。 さらに平成11年には錆びないチタン製メッシュで覆い、日本は、「国際法」の枠の中で保全をしています。 ◆沖ノ鳥島は、岩か、それとも島か ところが2003年に突如、中国は、「沖ノ鳥島は国連海洋法条約の『島』ではなく『岩』にすぎない」と言い出しました。 国連海洋法条約121条の「1項」に、「島とは、自然に形成された陸地であって、水に囲まれ、高潮時においても水面上にあるもの」とあります。 沖ノ鳥島は、満潮時にも頭を出し、さらに保全工事でも、ちゃんと海水に接する構造にしています。 同2項には、島も他の領土と同じように「領海、接続水域、排他的経済水域及び大陸棚は、他の領土に適用される」とあります。日本は沖ノ鳥島を島として、日本の国土よりも広いEEZを持てるわけです。 ところが同2項には「3項の場合を除く」という条件があり、「人間の居住又は独自の経済的生活を維持することができない岩は、排他的経済水域又は大陸棚を有しない」とあります。 中国は、「だから沖ノ鳥島は岩だ、EEZに当たらない」と言ってきました。ただ、沖ノ鳥島は日本の領土であることは認めています。 領土の場合は12海里の領海を持つことはできますが、島でなければ広大なEEZは主張できなくなります。 「国連海洋法条約」は各国の妥協の産物でできた経過あり、それぞれの国が勝手な解釈ができるような矛盾した内容を含んでいます。 121条で「人間が住んでいるかどうか」は、その国が島で何をするか、その国の主権の問題です。現状変更されてしまうなら、断固とした主張を言い返さなければいけません。 (つづく) すべてを表示する