Home/ 2019年 June 2019年 June エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(9)政府の支援で原子力事業環境を整備 2019.06.08 エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(9)政府の支援で原子力事業環境を整備 ◆英国では政府の支援で原発を新増設 前回、「電力システム改革」や再生可能エネルギーの大量導入といった事業環境の変化により、民間企業による原子力事業が困難になり、特に原発の新増設はほぼ不可能になることについて述べました。 この問題を解決するため、米国の一部の州や英国では、制度的措置により原発の支援策を講じています。 例えば英国では、差額決済型固定価格買取制度(FIT-CfD)により、事業の予見性を高め、原発の新設を支援しています。 FIT-CfDは、原発や再エネなどの低炭素電源から供給される電気について、政府機関と発電会社とで投資回収可能な基準価格(ストライクプライス)を事前に契約し、基準価格よりも市場価格が安い場合には差額を政府機関が補填し、市場価格が高い場合には差額を発電会社が政府機関に支払う制度です(※1)。 この制度は固定価格買取制度(FIT)と異なり、買い取りが保証されていないため、発電会社にも経営努力を促す利点があります。 しかし、英国では先行するヒンクリー・ポイントC原発(※2)で市場価格の2倍近い基準価格(※3)を設定し、批判を受けました。 このため、日立製作所が建設を検討してきたホライズン原発事業では、基準価格が約20%引き下げられ(※4)収益性が見込めなくなったことが、計画凍結の原因の一つともいわれています(※5)。 このように、再エネの普及でほぼ「限界費用ゼロ」の電気が増えていく現状では、FIT-CfDのような市場価格を参照する制度で原発を支援することには限界があります。 ◆政府出資の原発会社も選択肢の一つ 原発は、市場原理の中で運営することが難しい一方、日本の安全保障の観点からは、絶対に手放せないものです。 このようなインフラは、道路、鉄道、河川、空港、港湾、防災施設、防衛施設など数多くあり、これらの管理の一部を民間に開放したとしても、公共財として政府が最終責任を持つことに違和感はないでしょう。 実際に、原発を強力に推進する中国・ロシア・インドは国営、原発大国フランスは実質国営、カナダは州営、米国は民営と州営の混在で原子力事業が営まれています。 日本は福島事故以前には、民間企業のみが原発を運営する、世界でも珍しい国でした。 これは、地域独占による発電・送配電・小売の一体経営(垂直統合)と、総括原価方式による規制料金が可能にしたものであり、核燃料サイクル等には多額の国費も投入されていたことから、諸外国と同様に、政府による原発への強い政策的支援があったといえます。 核燃料の調達や再処理は、核兵器の拡散とも絡んだ重要な外交問題であり、政府の関与なしに原子力事業が進むことはありませんでした。 現在、東京電力は実質国営化されていますが、東京電力の廃炉部門と原発部門をそれぞれ分離して、東京電力の原発部門を母体とした、政府出資の原発会社を設立することも選択肢の一つです。 この会社に希望する原子力事業者を統合して大規模化し、低金利の長期資金を政府保証で調達するなどして、将来に備えた原発の新増設を国策として推進することが、現実的な方法であるといえます。 これにより、日本国内での原子力利用を堅持するとともに、中国やロシアなどの「原子力強国」に対抗して、海外の原発事業にも参画し、日本の原子力技術を維持・向上することができます。 ◆原発の小型化は「救世主」となるか なお、別のアプローチとして、現在の主流となった100~150万kW級の大型原発とは別に、小型モジュール炉(SMR)と呼ばれる30万kW以下の小型原発の開発が、米国を中心に英国、中国、韓国、フランス、カナダ等で進められています。商用化は2020年代後半といわれていますが、日本はやや出遅れています。(※6) SMRは設備の大部分を工場で製作し、5万kW程度のモジュールをトラック等で運んで現場で組み立てるため、工期を短縮し、建設にかかる初期投資を抑えることができます。熱出力が小さいため、外部電源等がなくても自然循環で冷却できることから、受動安全性に優れ、燃料交換をせずに長期間運転できるため、核拡散防止の観点からもメリットがあります。(※7) SMRは、1モジュールあたりの設備投資額が小さいことから、投資に伴うリスクを限定することができます。 また、負荷追従運転が容易であり、出力が変動する再エネと協調して運転でき、小型のため分散型電源として設置することも可能です。SMRは、「電力システム改革」や再エネの大量導入といった事業環境の変化に適応する、新しい原発といえます。 ◆政府の支援で事業環境整備を 幸福実現党は、現在建設中・計画中の原発(軽水炉)に加えて、軽水炉およびSMR等の原発の新増設を訴えています。 しかし、上記のような特長をもつSMRであっても、やはり政府の支援で原子力の事業環境を整備することが、開発の前提となります。 我が党は、政府の強力な支援と制度的措置により、国家の独立と安全保障の基盤である原子力エネルギーを堅持し、原子力の利用を着実に推進します。 ◎エネルギー部会では、ご意見・ご質問をお待ちしています。 ご質問のある方は、energypolicy2019.hrpprc@gmail.comまでご連絡ください。ご質問にはできるだけ本欄でお答えします。 参考 ※1 「世界の電力事情 日本への教訓 英国編:自由化・制度改革で先行した英国が抱える課題」 丸山真弘 日本工業新聞社・電力中央研究所「月刊Business i. ENECO 地球環境とエネルギー」 2013年12月 https://criepi.denken.or.jp/press/journal/eneco/2013/004.pdf ※2 英国で約20年ぶりに建設される原発で、フランス電力(EDF)と中国広核集団(CGN)の合弁事業。 ※3 1MWhあたり92.5ポンド(1kWhあたり13円程度) ※4 「原発輸出ゼロでも再編はない 日立・東芝・三菱の袋小路」 宗敦司 エコノミスト 2019年2月4日 https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20190212/se1/00m/020/068000c ※5 「日立、原発プロジェクト凍結は大英断なのか」 山田雄大 東洋経済 2019年1月21日 https://toyokeizai.net/articles/-/261236 ※6 「原子力イノベーション政策の追求」 資源エネルギー庁 2018年12月5日 https://www.meti.go.jp/shingikai/enecho/denryoku_gas/genshiryoku/pdf/018_04_00.pdf ※7 「海外で開発が進む小型原子炉の可能性」 阿部真千子 三菱総合研究所 MRIマンスリーレビュー2018年9月号 https://www.mri.co.jp/opinion/mreview/topics/201809-2.html エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(8)民間による原子力事業は困難に 2019.06.07 エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(8)民間による原子力事業は困難に 幸福実現党 政務調査会エネルギー部会 ◆原子力発電は「電力システム改革」と相性が悪い 現政権が進める「電力システム改革」により、2016年度から小売全面自由化が施行され、2020年度からの発送電分離に向けて準備が進められています。しかし、「電力システム改革」によって、民間による原子力事業が難しくなり、特に原発の新増設がほぼ不可能となる可能性が指摘されています(※1、※2)。 原発は火力発電と異なり発電コストに占める燃料費の割合が低く(※3)、ひとたび巨額の設備投資をすれば、少ない限界費用(※4)で長期間発電できる特長があります。この点は再生可能エネルギーと似ていますが、原発の建設には数千億円を要するため、低金利の長期資金を調達し、数十年かけて安定的な電気料金収入を得て設備投資を回収することが事業の前提になる点が、小規模な再エネとは異なります。 電力会社はこれまで、発電と送電の設備の建設時期をずらし、キャッシュフローを融通することで巨額の長期投資を行ってきましたが、発送電分離により、これが不可能となります。 また、小売全面自由化で、発電会社と小売会社が長期間一定の価格で電気の売買を確約することは難しくなったため、低金利の長期資金を調達することが困難になります。 電力会社の長期資金の一つであった一般担保付社債(※5)も、対等な競争条件(イコールフッティング)の観点から2020年度に原則廃止され、2025年度には経過措置も含めて全廃される予定です。 ◆政治の影響で原子力事業の予見性が低下 日本の原子力事業は「国策民営」で、政府が制度をつくり事業環境を整備し、民間が営利事業を行うことによって、民間の効率性を生かした公益事業を展開してきました。 しかし、福島事故の際には、民主党(当時)政権の菅直人・元首相が自ら事故現場に介入、政府が事故処理の前面に立つことを避けて「東京電力の第一義的責任」を強調し(※6)、住民に対しても避難指示の混乱を招くなど、事故対応コストは政治の失敗で大きく膨らむことが判明しました。 例えば、民主党(当時)の細野豪志氏が政治主導で除染目標を「年間1ミリシーベルト」と決めたことにより、除染費用の総額は6兆円(※7)となり、民主党(当時)の失政で数兆円増加した可能性が指摘されています(※8)。 また、福島事故後には、原子力規制委員会による既設の原発の新規制基準への適合性審査が行われていますが、審査に合格するには莫大な工事費と長期間を要し、その間は原発が運転できないばかりか、合格しても運転期間が40年に制限され、地元の同意が得られなければ、さらに運転期間は短縮してしまいます。 原子力事業は制度変更や政治の影響により、当初は想定されなかった大きな不確実性に直面しています。 ◆政府のリーダーシップで原発の新増設を推進 このような事業環境の変化により、政府の関与や制度的措置がなければ、やがて民間企業は原子力事業から撤退し、特に原発の新増設を民間に期待することは困難になると考えられます。 現在、日本には廃炉を決めていない既設の原発が約30基あります。これらは新規制基準に対応するために安全対策工事を行ったとしても、運転を継続すれば一定の収益性は見込めます。 しかし、このままでは新増設はリスクが大きく、民間が投資を決めるだけの経済合理性がありません。 幸福実現党は、「電力システム改革」や再エネの大量導入に伴い、原子力事業の環境が大きく変化する中でも、政府の強力なリーダーシップによって原子力利用を堅持し、原発の新増設を進めることを訴えています。 その具体的な方法については、次回に述べたいと思います。 ◎エネルギー部会では、ご意見・ご質問をお待ちしています。 ご質問のある方は、energypolicy2019.hrpprc@gmail.comまでご連絡ください。ご質問にはできるだけ本欄でお答えします。 参考 ※1 「原発と電力自由化が両立するには」 日本経済新聞 2016年10月3日 https://www.nikkei.com/article/DGXKZO07912890T01C16A0PE8000/ ※2 『エネルギー産業の2050年 Utility 3.0へのゲームチェンジ』 竹内純子ほか 日本経済新聞出版社 ISBN978-4-532-32170-3 ※3 「長期エネルギー需給見通し小委員会に対する発電コスト等の検証に関する報告」 資源エネルギー庁 2015年5月 https://www.enecho.meti.go.jp/committee/council/basic_policy_subcommittee/mitoshi/cost_wg/007/pdf/007_05.pdf これによると、原発の1kWhあたりの燃料費(核燃料サイクル費用)は1.5円で、発電コスト(10.1円~)の15%程度。 ※4 限界費用: ここでは、追加的に1kWhの電気を発電するためのコスト。 ※5 一般担保付社債: 発行会社の全財産によって他の債権者よりも優先して弁済を受けられる権利がついた社債。財投機関債、電力債、NTT債など、特別法に基づいて発行される。 ※6 「政府の第一義的責任のなかでの東京電力の責任」 森本紀行 2012年2月9日 https://www.fromhc.com/column/2012/02/post-167.html ※7 「原子力損害賠償・廃炉等支援機構 説明資料」 原子力損害賠償・廃炉等支援機構 2019年4月 http://www.ndf.go.jp/capital/ir/kiko_ir.pdf ※8 「除染『年1mSv』は民主党政権の大失策だ」 GEPR 2016年2月15日 http://www.gepr.org/ja/contents/20160215-03/ 米国務長官が「天安門」を批判 米中対決は「経済」から「政治」の次元に 2019.06.06 米国務長官が「天安門」を批判 米中対決は「経済」から「政治」の次元に HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆香港では「天安門」追悼集会の参加者が1.5倍に 天安門事件からちょうど30年となる6月4日には、香港や台湾で犠牲者を追悼する集会が開催されました。 香港で集会を主催した民主化団体(「香港市民愛国民主運動支援連合会」)は18万人が参加したと発表しています。 (※警察は、参加者は37000人だと発表) 主催者発表での数字では、本年は、昨年よりも65000人増えています。 増えたのは、多くの民衆が、香港の自由の危機を感じているからです。 今夏の議会で、中国への犯罪者の引き渡しを可能にする「逃犯条例」が可決されれば、民主活動家などが「中国送り」にされかねないので、それに反対する人々が集会に参加するようになりました。 ◆台湾では蔡英文総統が天安門事件を批判 台湾でも追悼集会が開催されましたが、特に注目すべきなのは、蔡英文総統の発言です。 (※以下、蔡総統のフェイスブックを参照) 「一つの国が文明化されているか否かは、政府が人民をどのように扱い、過去の過ちにどのように対処するかを見ればわかる」 「今年は『六四』天安門事件から30周年だ。幾千もの若者の尊い命が失われた事件の真相や、中国による香港の自由の侵食に、全世界が注目している」 そして、香港の集会に参加しようとした天安門の元学生指導者が空港で入境拒否されたことや、中国の国防相が武力弾圧を正当化したことを取り上げ、共産党を批判しました。 「中国政府は過去の過ちを悔いていないばかりか、真実の隠蔽を続けている」 「私は、全世界の自由と民主主義を求める人々は、こうしたやり方に同意できないと信じている」 さらに、「一国二制度」下の香港で自由が後退していることを指摘。 「民主主義と権威主義とは共存できない」と断じました。 ◆米国務長官が明白に「天安門事件」を批判 そして、米国でも、5月30日の国務省報道官の会見に続き、ポンペオ国務長官が6月3日に天安門事件を批判しています。 「(この事件の)死者数はまだ不明である。我々は、重大な危険にかかわらず、(政府に)説明責任を求めてやまない、勇気ある『天安門の母たち』に、また、いまだ悲しみに暮れている遺族に、心からの哀悼の意を表明する」 「数十年にわたり、米国は、国際社会に入った中国が、より開かれ、寛容になることを望んできた。だが、それらの望みは打ち砕かれた。一党独裁の中国は反対意見を認めず、自らの利益のためには人権侵害も辞さない」 「我々は、権利を要求すべく、勇敢に天安門広場で30年前に立ち上がった中国人民の英雄に敬意を表する。彼らの模範的な勇気に続いて、ベルリンの壁は崩れ、数ヶ月間で東欧における共産主義が終焉した。それらの活動は、世界各地で自由と民主主義を求める次世代の人々を鼓舞し続けている」 「多くの犠牲者を慰めるために、我々は、中国政府に、殺された者や行方不明者についての完全な情報公開を要求する」 「我々は中国に対し、権利と自由の行使を求めて拘束された人々を解放し、宗教や政治的表現をテロと混同する、逆効果のある政策をやめることを要求する」 ※国務長官声明は、ウィグルの人権弾圧も批判 「そこでは、共産党の指導者たちが、組織的にウイグル文化を統制し、イスラム教信仰を根絶しようと試みている。(その計画には)少数民族のイスラム教徒を100万人以上、拘禁することが含まれているのだ」 ◆天安門の象徴”タンクマン写真”をユネスコ世界記憶遺産に 国務長官は、中国の独裁体制そのものを批判しています。 「トランプ政権の対中強硬策は譲歩を引き出すためで、米中貿易戦争はやがて収束する」という見方も根強いのですが、この声明をみると、米中の対決が、今、経済から政治の次元へと移行してきたことが分かります。 しかし、日本政府は、中国の人権状況を懸念している程度にとどまっています。 いまだに「天安門事件の真相究明」をはっきりと要求していません。 日本は、米国や台湾と連携して、中国の人権抑圧を批判すべきです。 幸福実現党は、主要政策で中国の人権侵害を批判するとともに、本年、新たな試みをはじめました。 中国の人権弾圧の実態を世界中の方に知ってもらうために、「『天安門大虐殺』を象徴する「タンクマン写真」をユネスコ世界記憶遺産に登録するために」署名のご協力を呼びかけています。 ■「『天安門大虐殺』を象徴する「タンクマン写真」をユネスコ世界記憶遺産に登録するために」署名ご協力のお願い https://info.hr-party.jp/2019/9099/ これは、釈党首と対談した人権活動家の楊建利氏が始めた運動ですが、こうした試みを通して、中国の民主活動家を支援してまいります。 【参照】 ・TBS NEWS「香港で『天安門事件』追悼集会」(2019/6/5) ・MICHAEL R. POMPEO “Department Press Briefing May 30, 2019″(USDepartment State ) ・蔡英文総統 Facebook ・フォーカス台湾「蔡総統『台湾は民主主義と自由守り抜く』天安門事件から30年」(2019/6/4) 沖縄・台湾を中国の侵略から守ろう!――玉城デニー知事の「中国・一帯一路構想」入り発言撤回を求める!【後編】 2019.06.05 沖縄・台湾を中国の侵略から守ろう!――玉城デニー知事の「中国・一帯一路構想」入り発言撤回を求める!【後編】 幸福実現党 沖縄県本部 代表 下地玲子 ◆台湾有事ともとれる事態において、玉城デニー知事の一帯一路構想入り発言 玉城デニー知事は2019年4月26日の定例記者会見で、「中国政府が推し進めている『一帯一路』に関する日本の出入り口として沖縄を活用してほしい」と中国の胡春華副首相に提案したことを明らかにしました。 「沖縄がどのように関わっていけるか詳細に提案している段階ではない。情報収集し、沖縄がどのように関わっていけるか模索し、広く中国や台湾、アジア全域への架け橋につながっていけることを期待している」と主張しました。 玉城知事は、日本国際貿易促進協会の訪中団の一員として2019年4月16日~19日、訪中しております。 そもそも一帯一路とは何でしょうか。 それは中国の対外政策で、「(1)平和協力(2)開放と包摂(3)相互学習(4)相互利益とウィン、ウィン」を基本理念としています。 より具体的な枠組みとして(1)共同発展・共同繁栄(2)東アジア・欧州の二大経済圏を繋ぐ(3)陸上・海上の大通路建設(4)沿線各国の開放・協力ビジョン策定が謳われております。 例えば域内のロシアでも、「この構想で利益を得るのは中国だけではないのか」との議論が起きていますし、インドを取り囲むように港湾建設が進んでいることに対する警戒感がとても強くなっております。 2017年5月に北京で開催され130カ国以上が参加した中国主導の「一帯一路国際協力フォーラム」において具体的なプロジェクト案件の取り決めのほか、多数の協力覚書、経済貿易協力取り決めが締結され、資金の拡大が約束されましたが。 その実態は、中国政府が巨額の資金を貸し付け、中国企業が発展途上国や新興国の港湾、道路などの建設を進め、返済できなくなると、中国が施設を使用するという、脅迫外交による覇権拡張です。 現実に、スリランカのハンバントタ港は99年間、中国が租借することになりましたが、軍事的使用が疑われています。 つまり、外交権を持たないはずの玉城知事が、日本政府に対し敵対姿勢を貫きつつ、中国の軍事覇権化に我が国が手を貸すよう導くという、恐るべき越権行為を強行しているのであります。 幸福実現党沖縄県本部は、玉城知事の「中国・一帯一路構想」入り発言が、台湾・沖縄の安全保障を脅かす危機をもたらすものであることを県民にお知らせするとともに、知事に発言の撤回を求めるデモを行ってまいります。 ◆今こそ、台湾の支援を 2010年、尖閣諸島周辺海域にて、中国の漁船がわが国の巡視船に体当たりするという事件が起き、日本国民の抗議の声が高まる中、沖縄の中国からの観光客が激減しました。 台湾においても、蔡総統が就任される直前から、中国からの台湾への観光客が激減しています。親中派の馬英九政権時代には、中国観光客が増え、将来を見越して観光バスを増やした業者が悲鳴を上げている、ということが報じられていました。 蔡総統が独立派だとして、当局より中国国内の観光会社に圧力がかりましたが、このようなことは自由主義国家ではありえないことです。 少なくとも、国策として観光客を送ったり送らなかったりすること自体、自国民の自由を奪っていることにほかなりません。 そのような中、キムタク出演の「 Time for Taiwan~思い立ったが台湾吉日!」というCM(「ミッション:インポッシブル 」、「レッドクリフ」のジョン・ウー監督が手掛けた)は台湾観光の追い風となりました。 台湾の側からは、1年間で200万人もの観光客が日本に訪れます。台湾の人口は2000万人なので、台湾人の約10人に1人が日本に来てくださっている計算になります。 同じ比率で考えますと、沖縄140万県民のうち、14万人が台湾観光をして対等となります。 経済力によって支配を強めようとする国家におもねるのではなく、民主・自由・信仰を共有することのできる国家間での観光振興、経済交流をさらに高めることができれば、国民を守る強い外交ができるのではないでしょうか。 ◆6月16日(日)午前9時45分、沖縄県庁前集合、「沖縄・台湾を中国の侵略から守ろう!」デモ・行進のお知らせ 先日、池上彰さんの「知っているようで知らない、人気の台湾」という番組が放映されました。 その中で、毛沢東軍が台湾を併合せんとして金門島への激しい砲撃を繰り返していたときに、アジアの歌姫と言われたテレサ・テンさんが台湾軍兵士を激励していたことを明かしていました。 兵士とともにヘルメットをかぶり軍服姿で肩を組んでいた写真がとても感動的でした。 我が国においても、尖閣諸島周辺で警備にあたる海上保安官や、自衛隊員に対する感謝の声がもっとあがるべきではないでしょうか。 幸福実現党は、国民の生命・財産を守るため、危険な業務に従事してくださっている皆様を心から感謝・尊敬申し上げております。 同時に、本当に今、私たちは危機の中にある、という事実を共有し、正しい判断のできる一人ひとりにならなければならない、と強く強く願うものです。 来る6月16日(日)、午前9時45分、沖縄県庁前集合にて、デモ・集会を行います。一人でも多くの県民の皆さまがご参加くださいますことを心より祈念申し上げます。 沖縄・台湾を中国の侵略から守ろう!――玉城デニー知事の「中国・一帯一路構想」入り発言撤回を求める!【前編】 2019.06.04 沖縄・台湾を中国の侵略から守ろう!――玉城デニー知事の「中国・一帯一路構想」入り発言撤回を求める!【前編】 幸福実現党 沖縄県本部 代表 下地玲子 ◆中華人民共和国・習近平国家主席が台湾の併合を明言 中国の習近平国家主席は、2019年1月2日に、台湾との「統一」を確実にするための選択肢として「武力行使を排除しない」と明言しました。台湾は最終的に中国本土に統一されることになる、と強調しています。 更に、習近平氏は2日後の1月4日、中央軍事委員会の会議で演説し、「我が国は発展の重要なチャンスを迎えているが、同時に予想が難しいリスクも増えている。危機意識を高め、軍事闘争の準備を着実に進めなければならない」と軍に指示を出しました。 中国人民解放軍軍事化学院の元副院長で、同軍中将の何雷氏は2019年1月9日、中国が武力行使による台湾併合を余儀なくされた場合、台湾の独立支持派は「戦争犯罪人」と見なされると警告しました。 このように中国は、台湾に対する政治圧力を一層強めています。 ◆軍装備面でも台湾併合に向けた動きを加速させる中国 中国は近年、軍装備面でも台湾奪取の動きを加速させ、本気さを露にしています。 1996年、台湾初の民主的な総統選挙前、独立派と目されていた李登輝氏が優勢との観測が流れると、中国人民解放軍は軍事演習を強行し、選挙妨害をしました。 その際に、台湾海峡にアメリカ海軍が空母部隊を派遣し、中国に圧倒的な軍事力の差を見せ付けましたが、その後中国は、「空母キラー」配備でリベンジを目指しています。 2018年4月17日、環球時報は、中国の新たな「空母キラー」ミサイルが部隊に配備されたと伝えました。そしてロケット軍某ミサイル旅団が新型ミサイル武器装備品の配備を記念する式典を開きました。 これは同ミサイル旅団が試験段階から、全面的に作戦能力を形成する新しい段階に入ったことを意味しています。 中国は空母も新たに建造。2030年までに4隻の空母打撃軍を運用する計画があることが産経ニュースで報じられています。 2018年4月20日、中国海軍の空母「遼寧」を中心とした空母艦隊が、台湾とフィリピンの間のバシー海峡以東の海域で軍事演習を行いました。 中国は海兵隊の増強も行っております。 米国防省の2018年8月16日、中国の軍事・安全保障分野の動向に関する年次報告書では、中国海軍が2020年までに上陸作戦などを担当する陸戦隊(海兵隊)を3万人以上の規模に拡大するとの見通しであることを示しました。 辺野古移設反対派は、普天間固定化を恐れるあまり、「海兵隊は沖縄には必要ない。普天間は閉鎖するべきだ」と強弁し、沖縄の新聞においてもそのような記事がよく掲載されます。 しかし海兵隊を増強している中国に対する備えについては、まったく言及がありません。 琉球新報によりますと、玉城デニー知事は米軍普天間飛行場の早期運用停止を求める書簡を2019年5月24日、米国政府に送りました。 書簡の内容には「米国は海軍と空軍で中国・北朝鮮問題に対応することができる力を有する国で、トランプ大統領が復活させる『偉大なる米国』は普天間飛行場の運用停止だけでなく、沖縄からの県外・国外移設という賢明な選択をすると信じている」と記しています。 それは、陸・海・空・海兵隊の四軍を効果的に運用、自衛隊と連携することで抑止力の維持を目指す日米政府を混乱させるだけです。 台湾近海は日本のシーレーンでもあり、台湾が中国に併合されるということは、我が国の貿易船、タンカー等が自由に航行できなくなることを意味しています。 台湾を守るということは、我が国国民の生活を守ることでもあるのです。 (つづく) 「天安門事件の真相究明」で日米は連携を 2019.06.03 「天安門事件の真相究明」で日米は連携を HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆中国は「天安門事件」の風化を目論む 共産党が民主化を求める学生らを武力鎮圧し、多数の死傷者を出した天安門事件が起きてから、6月4日で30年となります。 しかし、中国では言論統制が強化され、この事件への言及はいまだにタブーとされています。 この種の「禁止ワード」を削除するために、中国のネット上には「グレート・ファイアウォール」(万里の長城)が築かれ、ついにウィキペディアまでもが遮断されました。 中国共産党は、若い世代が「天安門事件」を知る機会を奪い、この虐殺の記憶を風化させようともくろんでいます。 こうした独裁体制に対して、5月末に米国の国務省から注目すべきメッセージが出されたので、その抜粋を紹介してみます。 ◆米国務省報道官が「天安門事件」をめぐり、中国を批判 5月30日、米国務省のオータガス報道官は記者会見で、天安門事件30周年をめぐる言論統制を厳しく批判しました。 「平和的な抗議者への徹底的な虐殺が行われたことを、我々は忘れてはならない」 「我々は、悲劇的に失われた無実の命を思い起こし、今までと同じく本年も、その遺族のために哀悼の意を表明する」 「米国は、他の国々や国際社会とともに、(中国に)殺された者、拘禁された者、行方不明者を完全に明らかにすることを求めている」 「我々は、天安門広場の記憶を(社会に)存続させようとしたことで投獄された人々の釈放を要求する。そして(天安門の)デモ参加者と家族への継続的な嫌がらせや威嚇を終わらせることをも求めている」 「それは、中国共産党による、組織的で恐るべき虐待であり、我々がこんにち世界で目撃したものの中で、非常に悲しむべき事件の一つだ」 ◆日本政府は「天安門事件30周年」に沈黙を守るのか しかし、日本政府は、天安門事件について、中国に真相究明や運動家の釈放などを求めていません。 それは、18年11月の訪中以来、「日中友好」が強調されているためですが、もっと遡ってみても、政権発足以来、天安門の真相究明を求めたことはありませんでした。 要するに、この問題については、はじめから腰が引けているのです。 安倍首相は、2014年の「雨傘革命」の時も「対話が実現し、それを通じて事態が平和裏に収束することを望んでいる」(2014/10/8、参院予算委)としか言えていません。 今の自民党には、中国の人権問題を批判する勇気を持った政治家はいなくなったようです。 ◆日米で連携し、国際社会と共に「天安門事件の真相究明」を求めるべき 「天安門の真相究明」については、今から四年前(2015年)に、スペインの記者が中国の報道官を詰問したことがありました 「中国は日本に歴史を正視しろと求めています。それでは、中国はいつになったら天安門事件の歴史を正視するのですか」(スペインEFE通信社のパロマ・アルモゲラ記者)。 これは、極めて理にかなった質問です。 こうした中国の人権弾圧に関しては、日本や米国だけでなく、世界各国に憤る人々がいます。 そうした自由民主主義者の声を代弁すべく、日本は声をあげるべきなのです。 ◆主要国が沈黙すれば、独裁国は人権侵害をやりたい放題 国際政治においては、結局、パワーを持つ「大国」以外は無力なので、日本や米国などの主要国が沈黙すれば、独裁国の人権弾圧を止められるものは何もありません。 そのため、世界の先進国には、独裁国の人権侵害に対抗する責務があります。 14年に香港で雨傘革命が起きた頃、最後の香港総督を務めたクリス・パッテン氏は「世界の国々は民主主義と人権で中国に対抗することを恐れてはいけない」と述べていました。 近代化された軍隊を持つ独裁政権を市民が倒したり、人権侵害をやめさせたりするには、大国の支援が必要だからです。 こうした観点から、幸福実現党は、中国の人権侵害に抗議し、国際社会に自由の危機を訴えるべきだと主張してきました。 【参照】 ・USDepartment State”Department Press Briefing May 30, 2019″(MORGAN ORTAGUS, DEPARTMENT SPOKESPERSON) ・NEWSポストセブン「天安門事件を正視しろ」習近平を叱責したスペイン美人記者(2015.6.23) ・産経ニュース「香港デモの平和裏な収束望む」 参院予算委で安倍首相(2014.10.8) ・産経ニュース「人権で中国に対抗を」 最後の英香港総督がメッセージ(2014.11.21) 【NHK料金】国民に解約の自由がないのはおかしい 2019.06.02 【NHK料金】国民に解約の自由がないのはおかしい HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆NHKもTV番組をネットで同時配信が可能に 5月29日、NHKのテレビ番組をネットでも同時配信を可能にすることを盛り込んだ「改正放送法」が成立しました。 今まで同時配信できるのは民放だけだったのですが、2020年のオリンピックに合わせて、NHKもこれが可能になりました。 これに対して、民放連(日本民間放送連盟)は、NHKがネットに業務を拡大するのは「民業圧迫」になると反発しています。 民放各局の収入源は、スポンサーからの広告収入等ですが、NHKは法律で支払いが定められた「受信料」で賄われているからです。 そのため、民放連は、NHKのネット業務の範囲に上限(*受信料収入の2.5%以下)を定めるべきだと主張しています。 ◆国会議員もマスコミも公共放送の問題点はスルー 国会では、改正放送法に対して、自民党、立憲民主党、国民民主党、公明党、日本維新の会、希望の党、社民党などが賛成しました。 マスコミは、監査委員会のチェック機能強化(不祥事対策)、情報公開による透明性の確保といった法改正の要旨を報じたものの、公共放送の問題点については、あまり言及していません。 その問題点というのは、現代では「公共放送が必要な理由」が揺らいでおり、料金徴収の仕組みが時代遅れになっているということです。 ◆「公共放送が必要な理由」の根拠は怪しい NHKは、受信料で成り立つ公共放送は、国家に直接支配されず、民放のようにスポンサーに左右されないので、独立した放送が可能だと主張しています。 独立した立場で「公」のための放送を行うことが、公共放送の意義だとされているのです。 しかし、その実態は、建前と一致していません。 例えば、NHKの紅白歌合戦では、広告代理店や芸能事務所と密接な関係が築かれています。 大河ドラマでも、役者は芸能事務所を通じて確保しますし、プロモーションには広告代理店が関わります。 番組を通じて利害関係が生まれるので、実際のNHKは、自分たちが主張するほどには、独立できていません。 「特定の利益や視聴率に左右されず」(NHK)と書きながらも、NHKが毎年、紅白歌合戦や大河ドラマの視聴率を気にしているのは周知の事実です。 (※今年の大河ドラマ「いだてん」は視聴率一桁が続き、年間放映が危ぶまれている模様) また、公的な情報の配信も、大部分は民放で可能です。 例えば、大地震の際には民放でも予定を変更して緊急報道を行っています。 ネット記事や動画、SNS、携帯アプリなどの媒体が増えたので、緊急情報はテレビ以外でも入手できます。 公的な情報の配信は、もはやNHKだけが担っているわけではないのです。 ◆時代遅れな料金徴収システム NHKの受信料については「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」(放送法64条)と定められています。 これは、テレビが広まり始めた頃にできた制度なので、現代では、もう古くなってきています。 1950年代は民放が少なく、主な番組がNHKから提供されていたので、「テレビを設置するがNHKは見ない」という人は稀でした。 しかし、今は多チャンネル化が進み、選択の自由の幅が広がっています。 WOWOWのようにスクランブルをかければ受信料を払った視聴者に限って番組を提供できるので、「受信設備を買ったらNHKと契約しなければいけない」というルールを強要する必要性はなくなっています。 ◆NHKとの契約・解約を自由にしたらどうなる NHKがいう「公共放送が必要な理由」が妥当かどうかは、「契約・解約」を自由に国民が選べるようにすればわかります。 NHKの主張が理にかなっているのなら、多くの国民は契約を維持するはずです。 しかし、納得できなければ、多くの国民がNHKを解約するでしょう。 これは、高度な価値判断が問われるような問題ではないので、国民に選ばれるかどうかで、NHKの主張の是非を判断できます。 放送法を根拠にしなければ存続できないのなら、NHKには、国民を納得させられるだけの「中身」がなかったと考えるべきなのです。 ◆本当に「公共放送」が必要かどうかは、国民に選ばせればわかる NHKは「公共放送」という建前を掲げ、憲法で認められた「契約自由の原則」に対する特別扱いを求めています。 しかし、その業務の多くは民放でも代替できますし、その経営実態と建前の間には、ギャップが生まれてきています。 そのため、今後のNHK改革の方向性としては、まず、NHKに関して、国民に解約の自由を認めることが大事です。 それでNHKが潰れても、民放に対して、非常時に公の放送を優先すべきことを、法律で強く義務づければ済むのではないでしょうか。 (※NHK改革には「民営化」という道筋もありえます。これは、民放と競争条件を同じにして「広告容認+独自コンテンツの活用」で放送局としての独自性を追求するという選択肢です) エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(7)原子力発電所は直ちに再稼働できる 2019.06.01 エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(7)原子力発電所は直ちに再稼働できる 幸福実現党 政務調査会エネルギー部会 ◆世界最速で「脱原発」に向かう日本 2010年には全国に54基の原子力発電所があり、日本は米国、フランスに次ぐ世界第3位の原発大国でした。 しかし、2011年の東日本大震災・福島原発事故をきっかけに原発が次々と停止し、2019年6月現在、原子力規制委員会による新規制基準への適合性審査に合格して再稼働に至った原発は、わずか9基しかありません。 残りの45基のうち、規制委の審査に合格し地元同意など再稼働に向けて準備中のものが6基、規制委が審査中のものが10基(ほか新設2基が審査中)、未申請のものが8基(ほか新設1基が未申請)です(※1)。 一方、損壊した福島第一原発の4基を含む、全国21基の原発が廃炉を決定しています(廃炉の方向で検討中のものを含む)。また、未申請のうち柏崎刈羽原発の5基などは、地元の政治に配慮して廃炉になる可能性も否定できません。 福島第一原発以外は設備が損壊しているわけではないため、技術的には運転継続が可能ですが、廃炉の決定が相次いでいる背景には、2012年に民主党(当時)政権が法律を改正し、原発の運転を原則40年に制限(規制委の認可で1回に限り最長20年の延長も可能)したことがあります(※2)。 このため、運転開始から30年程度が経過した原発は安全対策工事をしても数年しか運転することができず、電力会社は設備投資を回収できないため、早期廃炉を決定せざるを得ない事情があります。 現行の「40年運転制限」のままでは、全国の原発が審査に合格し地元同意を得て再稼働したとしても、早期廃炉が進み、楽観的に見積もっても2030年には25基程度、2050年には10基程度に減少する可能性があります(※3)。 ◆原発の「40年運転制限」を撤廃せよ しかし、日本ではもともと、原発の60年運転を前提とした合理的な検査体系が運用されていました。 原発の「40年運転制限」は、震災後の政治的な「空気」の中で、民主党(当時)が主導し自民党・公明党の一部の議員の賛成で決めたものであり、科学的根拠は全くありません。 原子炉等の主要設備はもっと長寿命であり、廃炉の時期は個別の設備の劣化状況に応じて決めるべきであって、一律に40年で打ち切ることに合理的な理由はないのです。(※4、※5、※6) 実際に、日本とほぼ同型の原発が運転されている米国では、大部分の原発が60年運転を許可され(※7)、さらに、一部の原発では80年運転に向けた米原子力規制委員会(NRC)の審査が行われています(※8)。 米国物理学会は、原発の80年運転に技術的障害はないとし、NRCが運転制限を80年まで延長することを提言しています(※9)。 幸福実現党は2016年より、原発の「40年運転制限」の即時撤廃を訴えていますが、少なくとも原則60年の運転を可能とすれば、原発事業の予見性が高まって不合理な早期廃炉が回避されるため、日本の急速な「脱原発」を緩和することができます。 ◆実質的な安全性が確保された原発は、政府の責任で再稼働を 日本の原発は福島事故をきっかけとして、外部電源の喪失や過酷事故への対応が十分になされ、安全性が一段と高まっています(※10)。 一方、このように実質的な安全性が確保された原発の再稼働が遅々として進まない主な原因に、規制委の審査に膨大な時間を要していることがあります。 法律には、原子力の安全の確保は「確立された国際的な基準を踏まえ、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として」行うとあり(※11)、また、これに基づく規制委の任務が規定されています(※12)。 しかし、現状の原子力規制行政は、国家としての大局観を欠いた、技術専門家による「議論のための議論」に陥っており、審査の長期化により莫大な経済的損失が発生し、国民の財産を毀損しているほか、電力の安定供給を阻害し、国民の生命、健康、我が国の安全保障を脅かすおそれもあります。 このため我が党は、2018年9月に規制委に要望書を提出し、原子力規制行政の適正化と審査の迅速化を求めました(※13)。 しかし、より根本的な原因は、規制委の審査への合格が、事実上「再稼働の許可」のように誤認され、それを政府自らが追認していることにあります。 原子炉等規制法は、新規制基準適合性に係る審査の途上にある既設の原発の運転を禁止しているわけではなく、本来は運転を継続しながら原発の安全性を高めていくことが可能です。また、規制委に原発の再稼働を止める権限はありません。(※14、※15) つまり、既存の原発の多くが再稼働できないことに法的根拠はなく、政治的な「空気」によって停止を余儀なくされているというのが実情なのです(※16、※17)。 我が党はこれについても、2018年10月に内閣総理大臣に要望書を提出し、政府の責任において直ちに再稼働を進めることを求めました(※18)。 我が党は、国民の生命・健康・財産を守るため、「脱原発やむなし」の“空気”に負けることなく、今後も原発の再稼働を力強く訴えていきます。 ◎エネルギー部会では、ご意見・ご質問をお待ちしています。 ご質問のある方は、energypolicy2019.hrpprc@gmail.comまでご連絡ください。ご質問にはできるだけ本欄でお答えします。 参考 ※1 「原子力発電の現状」 資源エネルギー庁 2019年5月24日現在 https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/nuclear/001/pdf/001_02_001.pdf ※2 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(原子炉等規制法)第43条の3の32において、「発電用原子炉設置者がその設置した発電用原子炉を運転することができる期間は、当該発電用原子炉の設置の工事について最初に第43条の3の11第1項の検査に合格した日から起算して40年とする。」と規定。 ※3 幸福実現党による推定。 ※4 「“原発40年規制”の根拠は『科学と技術』でなく『政治と空気』 ~ 専門家でない政治家が決めた危険な安全ルール」 石川和男 現代ビジネス 2015年2月25日 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/42231 ※5 「おかしな原発廃炉40年ルール 科学的根拠なし」 GEPR 2015年3月23日 http://www.gepr.org/ja/contents/20150323-03/ ※6 「原子炉規制法 原発の40年制限を見直せ」 産経新聞 2017年3月12日 https://www.sankei.com/column/news/170312/clm1703120002-n1.html ※7 「世界の原発はどうなっているのか?」 経済産業省METI Journal 2018年1月22日 https://meti-journal.jp/p/170/ ※8 「原発、米で80年運転申請 新設コスト増、延命で収益狙う」 朝日新聞 2018年12月14日 https://www.asahi.com/articles/DA3S13810875.html ※9 “APS Report Calls for Extending Nuclear Reactor Lifetimes” American Physical Society, December 2013 https://www.aps.org/publications/apsnews/201312/apsreport.cfm ※10 原子力発電所の安全対策 電気事業連合会 https://www.fepc.or.jp/nuclear/safety/torikumi/taisaku/ ※11 原子力基本法第2条第1項において、「前項の安全の確保については、確立された国際的な基準を踏まえ、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資することを目的として、行うものとする。」と規定。 ※12 原子力規制委員会設置法第3条において、「原子力規制委員会は、国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資するため、原子力利用における安全の確保を図ること(< 略>)を任務とする。」と規定。 ※13 「エネルギー部会は原子力規制委員会に対して要望書を提出いたしました。」 幸福実現党政務調査会エネルギー部会 2018年9月20日 https://info.hr-party.jp/2018/7189/ ※14 「原発はなぜ再稼動できないのか」 池田信夫 アゴラ 2018年9月22日 http://agora-web.jp/archives/1629639.html ※15 「原発のテロ対策工事で運転を停止する必要はない」 池田信夫 アゴラ 2019年4月25日 http://agora-web.jp/archives/2038638.html ※16 「『安倍首相が再稼働を表明すべきだ』 安念潤司中央大学教授に聞く、『空気主権がむしばむ原発行政』」 井本省吾 JBpress 2014年6月13日 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40936 ※17 「原子力規制委員会と法治主義」 安念潤司 GEPR 2015年9月7日 http://www.gepr.org/ja/contents/20150907-01/ ※18 「内閣総理大臣宛てに『全国の原子力発電所の早期再稼働を求める要望書』を提出」 幸福実現党政務調査会エネルギー部会 2018年10月17日 https://info.hr-party.jp/2018/7397/ すべてを表示する « Previous 1 2 3