Home/ 2019年 May 2019年 May エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(2)電気事業の「ゲームチェンジ」 2019.05.15 エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(2)電気事業の「ゲームチェンジ」 幸福実現党 政務調査会エネルギー部会 ◆現政権による「電力システム改革」 2011年の福島第一原発事故後、日本の電力業界のリーダーであった東京電力の国有化を契機として、電気事業への政府の関与が強まっています。 政府は2013年4月に「電力システム改革に関する改革方針」を閣議決定し、第1弾=広域系統運用の拡大(2015年4月施行)、第2弾=小売全面自由化(2016年4月施行)、第3弾=発送電分離(2020年4月施行)という3段階の改革のための電気事業法改正案を、2015年までに国会で成立させました(※1)。 このうち第1弾は、東日本大震災の教訓を踏まえて、原則として地域ごとに行われてきた電力需給の管理を、新設した「電力広域的運営推進機関」(※2)が地域を越えて行い、安定供給を強化するものです。 大川隆法・幸福実現党総裁は、震災直後の2011年4月の講演(※3)で、緊急時に電力を広域融通できる仕組みの強化を訴えており、この施策は我が党の考え方とも合致します。 また、第2弾の小売全面自由化については、電力会社の経営が短期志向になるものの、サービスの向上など一定の効果が期待できるため、現政権の方針を静観してきました。 ◆発送電分離は、松永安左エ門氏による戦後の電気事業体制の解体 一方、第3弾の発送電分離は、送配電事業者を公的管理下に置く事実上の「電力国家管理政策」であることから、我が党はこれを見直し、発電・送配電・小売の一体経営(垂直統合)を維持したまま大規模化を図るべきと訴えてきました。 もともと日本の電気事業は、「電力の鬼」と呼ばれた松永安左エ門氏などの起業家による民営事業として、明治時代に始まりました。その後、1938年の国家総動員法に続く電力国家統制により、発電・送電は特殊法人の日本発送電に接収され、政府の管理下に置かれます。 戦後、松永氏は9電力会社への地域分割・民営化・垂直統合を強く主張し、日本発送電による全国独占体制の維持や発送電分離を主張する勢力と激しく対立しました。 しかし、最終的にGHQが反対派をねじ伏せる格好で、1951年に民営の9電力(その後、沖縄電力が加わり10電力)体制が発足し、現在に至ります。 松永氏は、送電部門を分離すれば必ずそこに政府が介入し、民間による自由で効率的な経営ができなくなることを見抜き、断固として発送電分離に反対しました。 よって、発送電分離は、日本の電気事業体制の約70年ぶりの大きな方向転換となりますが、さまざまな弊害も指摘されています。 例えば、電力会社はこれまで、発電と送電の設備の建設時期をずらし、キャッシュフローを融通することで巨額の長期投資を行ってきましたが、発送電分離により、供給義務を負わない発電会社は短期的な利益で投資を判断するため、安定供給に必要な発電設備が不足します。 また、送電会社はこれまで以上に公共インフラとしての役割を求められるようになり、より政治的な理由で投資を判断するようになります。 その結果、供給安定性の低下と電気料金の上昇が起きる可能性がありますが、実際に、電力自由化と発送電分離を実施したフランス以外の欧州各国では、こうした傾向が見られます。 このような理由で、我が党は発送電分離の見直しを訴えてきました。 ◆「ゲームチェンジ」を受け入れ、電力システムを強化 しかし、もはや「電力システム改革」は後戻りできないところまで来ています。その理由は、再生可能エネルギーの急速な普及と低コスト化にあります。 今後は自由化された電力市場(kWh市場)に大量の再エネが流れ込んでくるため、このままでは火力などの大規模発電所は固定費が回収できなくなり、経営が困難になります。 仮に小売全面自由化と発送電分離を撤回したとしても、再エネを排除しない限り、大規模発電所の置かれた厳しい状況は変わりません。 しかし、低コスト化が進む再エネを排除して大規模発電所の経営を守ることは本末転倒であり、再エネを生かしつつ、供給安定性と経済性を確保できるよう、適切な制度設計によって電力システムを強化するしかないのです。 我が党は、このような電気事業における「ゲームチェンジ」をいったん受け入れ、2050年頃までは政府がこれまで以上に電気事業に関与することによって、再エネの大量導入と電力の安定供給を両立する体制を構築することとしました。 ◎エネルギー部会では、ご意見・ご質問をお待ちしています。ご質問のある方は、energypolicy2019.hrpprc@gmail.com までご連絡ください。ご質問にはできるだけ本欄でお答えします。 参考 ※1 電力システム改革について 資源エネルギー庁 https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/system_reform.html ※2 電力広域的運営推進機関 https://www.occto.or.jp/ ※3 「『震災復興への道』講義」 大川隆法総裁 2011年4月24日 エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(1)総論 2019.05.12 エネルギーは日本の安全保障と経済の基盤(1)総論 幸福実現党 政務調査会エネルギー部会 ◆新しい「主要政策」におけるエネルギー政策 幸福実現党は、「夢は尽きない123の政策―2019年5月主要政策」を発表しました。 これは、昨今の社会・国際情勢の変化を踏まえて2017年10月版の主要政策を見直したもので、政務調査会が2019年2月に発表した「政策提言集2019」がもとになっています。 特にエネルギー政策については大幅な変更を行ったため、その内容について政務調査会エネルギー部会が解説します。 新しいエネルギー政策では、我が党が従来から訴えてきた原子力発電の推進やエネルギー資源調達の多様化など、日本の安全保障と経済成長に寄与する強靭なエネルギー供給体制を目指す基本方針は変わりません。 しかし、エネルギーを取り巻く情勢は大きく変化しており、難しい問題が山積する一方、新しいチャンスも生まれています。 このため、我が党は概ね2050年までの変化を見据えてエネルギー政策を再構築し、今後約30年間で実行すべき施策を提案することにしました。 ◆エネルギー自給率を高めて安全保障を強化 日本の一次エネルギー自給率は9.5%(2017年)で、OECDの35か国のうち34位と、きわめて低い水準にあります(※1)。 2010年の自給率は20.2%でしたが、2011年の福島第一原発事故後に全国の原発の再稼働が進まず、液化天然ガス(LNG)や石油等の化石燃料に大きく依存した結果、自給率が低下しました。 化石燃料は、南シナ海を含むシーレーンを通って日本に届きますが、海洋進出を進める中国が台湾や南シナ海で軍事行動を起こせば、供給が止まる可能性があります。 日本が将来にわたって国家の独立を守るうえで、自給率の低さは致命的です。 これを解決するため、我が党は自給率をフランス並みの50%以上に高めることを目指して、原発の再稼働・新増設だけでなく、再生可能エネルギーの主力電源化、国産メタンハイドレートの開発等を推進します。 従来の日本の再エネ開発は太陽光や陸上風力が中心でしたが、これに加えて、より大量のエネルギーを得るため海洋温度差、潮力、洋上風力、次世代地熱(EGS)等の開発を進めます。 再エネは開発に多額の初期投資を必要としますが、燃料が不要なためランニングコストが非常に安く、ほぼ「限界費用ゼロ」(※2)で無尽蔵のエネルギーを供給できる可能性を秘めています。 ◆送配電ネットワークを再構築 ところが、再エネのほとんどは分散型電源であり、大規模発電所のために建設された既存の送配電ネットワークでは、再エネを十分に受け入れることができません。 また、再エネは需要の変化に合わせて供給をコントロールできず、出力変動も大きいため、十分な調整力がなければ有効活用できません。 このため我が党は、再エネに適した高圧直流(HVDC)送電線(※3)を全国の海岸線に沿って新設するなど、公共インフラとして日本の送配電ネットワークを抜本的に再構築します。 また、電気自動車(EV)の普及を支援し、電力系統に接続されたEVを需給調整に活用するとともに、走行中にEVに充電できる道路インフラ(※4)を整備します。 これにより、EVが電力システムの一部となり、道路交通の石油依存度が低下し、エネルギーとモビリティ(交通)が融合して大きく変化します。 ◆国家の独立と繁栄は「強い電力システム」から 日本の電力化率(※5)は25.7%(2016年度)(※6)ですが、この値は経済成長と強い相関があり、日本では1960年代から現在まで、ほぼ直線的に増加してきました。 今後も再エネの大量導入、EVの普及、省エネの要請等により、エネルギーの電力化が一段と進むことは間違いありません。 我が党はエネルギー政策の中でも特に電力を重視し、原子力利用の堅持と電力システムの抜本的な強化で、国際情勢の変化に対応したエネルギー自給体制を確立し、日本の独立と繁栄を守ります。 参考 ※1 日本のエネルギー2018 資源エネルギー庁 https://www.enecho.meti.go.jp/about/pamphlet/pdf/energy_in_japan2018.pdf ※2 限界費用: ここでは、追加的に1kWhの電気を発電するためのコスト。 ※3 例えば、「三菱電機、再エネと連係容易な『直流送電』参入へ」 日本経済新聞 2018年11月16日 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37833300W8A111C1000000/ ※4 例えば、「The UK is testing out roads that charge electric cars as they go」 Mashable Aug.18, 2015 https://mashable.com/2015/08/17/electric-car-charging-uk/ ※5 電力化率: ここでは、最終エネルギー消費に占める電力需要の割合。 ※6 エネルギー白書2018 資源エネルギー庁 https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2018html/2-1-1.html 中国に「爆買い」される日本の領土――法整備による対策を 2019.05.09 中国に「爆買い」される日本の領土――法整備による対策を HS政経塾第9期生 笠原 麗香(かさはら れいか) ◆外国資本による買収が進む現状 林野庁によると、2006~2017年の間に外国資本が買収した日本国内の領土は、森林が計5789ヘクタールに上ります。 この面積は、東京ドーム1231個分、あるいは山手線内側面積の約9割に相当する広さです。 ただ、これはほんの一部にすぎません。 森林以外の土地買収は政府への報告が必要ないため、今どれだけの土地が買われているのか、正確な数値を把握できていないのが現状です。 ◆水源地付近の農村地帯ばかりを狙う買収――北海道の事例 産経新聞の宮本雅史記者によると、北海道では2495ヘクタール(東京ドーム530個分)もの森林地帯が外国資本によって買われているそうです。 さらに、森林や農地に加え、リゾート地、ゴルフ場なども買収されており、公表数値などから見積もると、これらの合計は4万ヘクタールに及ぶと推計されています。 しかも、その買い手のほとんどが中国とつながりのある企業、法人であることが分かっています。 買われている土地にも共通点があります。山の麓で、水源地付近に位置し、自己完結的に生活ができる農村地帯という点が挙げられます。 なかには、ほぼ村ごと買われている地域もあり、中国人の自治区ができるのではないかという不安の声も上がっています。 (※参考書籍:宮本雅史(2017)『爆買いされる日本の領土』角川新書) ◆中国総領事館建設のための民有地買収――新潟県の事例 北海道の他にも、土地買収の進んでいる地域があります。 私が活動させていただいている新潟県では、県庁付近にある4500坪の民有地が中国政府によって買収され、そこに中国総領事館が建設される計画が持ち上がりました。 本来、領事館はビザの発行業務が主であり、これだけ広大な土地を取得する必要はありません。 もし中国の公館が建設されたとき、そこに治外法権が適応され、館内で何が行われようと日本政府は手が出せなくなります。 事実上、中国領土ができるということになります。 ◆外国人による土地所有に規制がないのは日本だけ 領土が無制限に外国資本によって買われている現状は、看過できないレベルに来ています。 しかし、現在日本では外国人の土地所有に関する規制がありません。 戦前に制定された「外国人土地法」という法律がありますが、内容が古く、現代には適用が困難です。 第1条では、相互主義に基づいて、「外国人の土地取得に制限をかける」、第4条では、「国防上必要な地域は外国人の土地取得を禁止、あるいは制限する」としています。 しかし、これまで規制する政令が制定されたことはなく、法律は機能していません。 ◆早急な法整備を 国籍を問わず、誰でも自由に土地を購入できる状態を早急に改善しなければなりません。 アメリカでは、2019年の国防権限法のなかで、外国人が土地を取得する際に、政府が事前審査することを義務づけました。安全保障上重要な地域が外国資本に購入されている日本でも、同じような法整備が必要ではないでしょうか。 まず、防衛施設や港湾などの周辺地域、水源地や森林地帯などの所有者を明確にする実態調査を進める必要があります。 そして、「外国人土地法」を現代で適応できる法律に改正するか、あるいは外国資本による土地買収に制限をかける法律を新たに制定するべきです。 幸福実現党では、2018年6月に法整備を求める署名を北海道庁に提出いたしました。これからも土地買収問題に対する危機意識を高めてまいります。 ■6月18日(月)「外国人による不当な目的の土地買収等を規制するための署名」を北海道庁に提出 幸福実現党・北海道本部統括支部長 森山佳則 https://info.hr-party.jp/2018/6563/ 令和の新時代に、麗しき国つくりを 2019.05.04 幸福実現党 山口県本部代表 かわい美和子 平成も終わり令和の時代となりました。 私は4月1日の新元号の発表を聴いたとき、本当に美しい言葉の元号だなと感じるとともに、令和の「れい」の響きに「麗」という漢字もイメージしました。 和をもって麗しき国を創る。そんな令和の新時代になることを期待しております。 日本は、神武天皇の時代から実に2600年以上にわたって、天皇と臣民によって麗しき国つくりに努めてきました。和や礼節も重んじてきました。 2600年以上の世界最長の歴史をもつ日本の皇室は、世界の多くの国から尊敬を集めています。 ◆日本には、世界の繁栄と平和のために貢献する尊い使命がある 日本には、「世界の繁栄と平和のために貢献する尊い使命」があるのだと、いつも思っています。 そのための第一の条件が日本の経済繁栄です。それも自国の繁栄のみならず、また中国が提唱する一帯一路とも異なる、真に世界の繁栄と平和にもつながるような大きな経済繁栄が必要です。 和や礼節を重んじる日本が大きな経済力を持てば、必ずや世界の繁栄に貢献できると確信しております。そして、世界の紛争解決の一助になるとも信じています。 日本は、平成初期の空前の好景気のとき世界一の経済大国、世界のリーダーになれる大きな機会がありました。ところが、当時のバブル叩きのなか、政府や日銀の政策の失敗により景気は一気に失速しました。 その後、長期のデフレ不況となりますが、それも政府や日銀の政策の失敗があります。私の二人の娘たちは平成に生まれましたが、彼女たちの世代は好景気の時代を知りません。 「さとり世代」とも呼ばれて未来に希望や夢を持てていない子供たちも少なくありません。子供たちの未来に希望や夢を与えるためにも、日本の経済繁栄が絶対に必要です。 そのため、幸福実現党は、金融緩和と減税による経済成長をずっと訴え続けてまいりました。 金融緩和により長く続いた不況からの脱出の目途がみえましたが、その後に実施された消費税の8%への増税が景気回復の足かせとなってしまいました。 日本のGDPの約6割は消費支出によるものです。実際、政府の統計によると、消費税の増税が実施された2014年4月以降、家計からの消費支出が減少し、長い期間にわたって回復しませんでした。 安倍政権は10%への消費税の増税を予定しているようですが、本当に愚かな話です。その一方で、アメリカでは、トランプ政権が行った減税が経済成長に寄与しました。日本の国を創られてきた神々が見られたらどう思われることでしょうか。 幸福実現党は、3月28日と4月26日に総数53,896筆の「消費増10%への「増税中止」を求める署名」を、内閣総理大臣宛てに提出しました。 これで幸福実現党が過去に提出した「消費増税中止を求める署名」の累計は、306,842筆となりました。これからも日本の経済繁栄のための政策を訴えてまいります。 ◆自分の国を愛するアイデンティティーを持つため、歴史教育・偉人教育の重要性 日本が世界の繁栄と平和のために貢献する尊い使命を果たすため、自分の国を愛するアイデンティティーを持つ人材の教育も必要です。真の国際人を育むためにも必要だと思っています。 いま世界で起きている戦争や紛争は、お互いが信じる宗教の考え方の違いによって起こっているものも少なくありません。 それは宗教が悪いということではなく、お互いを理解できないために起きているということです。 神道と仏教を主体として国つくりをしてきた日本は、和と礼節を重んじて、欧米に比べて頻繁に大きな戦争を起こしませんでした。 神道と仏教以外の世界宗教にも寛容な精神を持っており、日本を信頼する国が世界には数多くあります。 私の生まれ育った山口県周南市の偉人に児玉源太郎がいます。児玉源太郎の偉業は数多くありますが、特に台湾総督として経済・鉄道・医療などで様々な改革を行い、台湾の発展のために貢献しました。 台湾では「児玉神社」ができるほど慕われています。児玉源太郎以外にも、他国の繁栄のために尽くした日本人が数多くいます。先の大戦も敗戦こそしましたが、欧米の植民地支配から解放された諸国が数多くありました。 和と礼節の精神、寛容な心、そして他国の繁栄や平和のために尽くした偉人を数多く輩出した日本を、私たちはもっと誇っていいと思います。そのためにも、歴史教育と偉人教育がとても重要です。 4年ほど前に、私は、「自分の国を誇れる健全な愛国心を育む、歴史教育の重要性」、「日本の誇りを取り戻す-歴史教育と偉人教育、教科書採択の重要性」と題する寄稿をいたしました。(詳細は参考URLをご参照下さい) 今年は、4年に一度の「教科書採択」の年に当たります。 各採択地区(各自治体)においては、文科省の検定を合格した教科書のなかから、住民の意見なども聴取しながら、専門家による議論などを経て、来年度から4年間使用する教科書が採択されます。 文部科学省のホームページによると、6月14日から14日間、教科書展示会が各教育委員会等において開催されます。この展示会では、実際に候補となる教科書のサンプルを見て、意見を出すことができます。 ちなみに、2015年の採択では、自虐史観を排した中学の歴史教科書や公民教科書を採択する採択地区(自治体)が増えました。 この寄稿をご覧の皆様、どうか教科書展示会に足を運ばれて、皆様のご意見をお出し頂けたら幸いです。 <参考URL> 1.自分の国を誇れる健全な愛国心を育む、歴史教育の重要性 http://hrp-newsfile.jp/2015/2073/ 2.日本の誇りを取り戻す――歴史教育と偉人教育、教科書採択の重要性 http://hrp-newsfile.jp/2015/2270/ 3.「日本の誇りを取り戻す」教科書採択を進めるために http://hrp-newsfile.jp/2015/2229/ 教員免許制度の改革で、発展する教育界の実現を 2019.05.03 教員免許制度の改革で、発展する教育界の実現を HS政経塾8期生 柄澤悠(からさわ ゆう) ◆進む教員不足 現代日本では、「教員不足」が進んでいます。 2018年の文科省調査によれば、11自治体を累計すると、小学校で316人、中学校で254人の教員が不足していることが分かりました。 少子高齢化の影響や、第二次ベビーブームに合わせて増えた教員の定年退職も重なり、教員採用試験の倍率は年々低下しています。 さらに、転職が盛んになり、教育関係業の離職率(3年目までの離職)は46.2%もあります。 国は、退職した教員を臨時採用するという対策を講じましたが、これで新たな人材は確保できないので、その効果は限定的でしょう。 ◆多様化する教育内容 加えて、現代の教育は多様化が進んでいます。グローバル化に対応するための「国際教育」、プログラミングやタブレット等を使った「IT教育」、高校普通科の見直しによる「教育の専門化」等が必要とされているのです。 こうした変化には、今までの教員採用システムでは対応しきれません。 まず、教員養成カリキュラムの再編成が必要でしょう。 しかし、それだけではなく、免許を持たない新しい教育人材に対して、門戸を開くべき時期が来ているのです。 ◆教員の採用規制を緩和する このように、現在の公教育で、人材不足の中で多様化が進んでいます。 こうした状況に対応するには、どうすれば良いのでしょうか。 その対策は、「特別免許状制度の廃止」と「免許の有無を問わない臨時採用」です。 本来、特別免許状とは「一定の社会経験や専門知識が認められた者に授与される免許状」ですが、実際は、あまり活用できていません(約30年間で、累計1101件。33校に1人しかいない)。 そうなるのは、非常勤講師でカバーした方が人件費が安く、特別免許状を取ろうとする程の「なり手」が不足しているからです。 そのため、「免許がなければ教員にはなれない」という常識を、今こそ覆す必要があるでしょう。 免許制度ができる以前には「代用教員制度」というものがありました。 これは、免許を持たない人であっても教員になることができ、かつ、一定の経験と簡単な研修によって、代用教員から正規の教員になることも可能という制度です。 この制度は、GHQの教職追放等で急激に減った教員の補充にも、大きな効果を発揮しました。 免許がなくとも、質の高い教育ができる人材は数多くいます。 免許の取得は、採用後でも構わないのです。 ◆不適格教員の排除で、教員の質を保証 しかし、教員の門戸を広げれば、同時に質が落ちるのではないかという意見もあるでしょう。 そこで活用されるべきは、「免許更新制」です。 現在の免許更新は、数万円の費用を払い、ただ研修を受けるだけの制度です。これでは、はっきり言って「無駄」です。 免許更新の際に、不適格教員の排除も可能にできるよう、しっかりと教員の評価を行っていく必要があるでしょう。 教員になる「チャンスの自由」を保障し、採用後の「振るいの強化」を行うことで、「量」と「質」の両立を目指すことができます。 そして、教員免許制度の改革は、「教員免許」そのものの存在意義を考え直す機会にもなり、大学における教員養成プログラムの見直しにまで、影響は広がっていくのです。 <参照> ・『教師は生まれ変わる 教育現場を変える新しい考え方』(森口朗著、幸福の科学出版) ・「小中学校で「先生が足りない」理由」NHKニュースおはよう日本2017年7月4日(火) https://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2017/07/0704.html ・「文部科学統計要覧(平成28年版)」文部科学省 http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/002/002b/1368900.htm 憲法成立時に反対した共産党が、なぜ護憲を語るのか 2019.05.02 憲法成立時に反対した共産党が、なぜ護憲を語るのか HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆共産党は日本国憲法ができる前、9条に反対していた 5月3日の憲法記念日が近づくと、共産党は、いつも「護憲の政党」であることをPRしています。 しかし、我々日本人にとって、思い出すべき事実があります。 それは、憲法9条ができた時、野党だった共産党は、反対していたということです。 当時、共産党を代表し、野坂参三氏が国会で反対の演説を行いました。 「憲法案第二章は、我が国の自衛権を放棄して民族の独立を危くする危険がある、それゆえに我が党は民族独立のためにこの憲法に反対しなければならない」 (※ここで言っている「第二章」は9条第2項のこと) 当時、共産党は「日本人民共和国憲法」を世に訴えており、そこでは自衛権を放棄していなかったのです。 「すべての平和愛好諸国と緊密に協力し、民主主義的国際平和機構に参加し、どんな侵略戦争をも支持せず、またこれに参加しない」 これは、戦力を持つことも自衛戦争を行うことも可能な条文でした。 当時、そう訴えた共産党が、なぜか、今、護憲の旗を掲げているのです。 ◆日本国憲法は「共産党を除く大多数」の賛成でできた 日本国憲法は、実は、共産党を除いた、全政党が賛成してできた憲法でした。 「共産党を代表して野坂参三君より反對意見を述べられ、採決の結果、共産党を除く大多数を以て委員長報告の通り可決せられました」(自民党・芦田均氏) 共産党は、なぜ、かつての主張を捨てて、「憲法9条を守れ」と訴えるようになったのかを、しっかりと国民に説明していません。 元委員長の不破哲三氏は、2000年に「日本人民共和国憲法」を「歴史的文書」として切り捨てました。 これは今後の「基準」にならず、共産党の行動を「拘束」しないと言っていたのです。 単なるご都合主義としか思えません。 ◆野党にも本心では「九条ではまずい」と考える人がいる どうやら、護憲を掲げる野党の指導者でも、九条に問題を感じたりすることはあるようです。 そうでなければ、こんな主張が出てくるはずがないからです。 しかし、「護憲の政党」という看板が掲げられると、そうした発言はしにくくなります。 その矛盾に堪えきれなくなると、他の政党に鞍替えたりしたりする人が出てくるのでしょう。 ◆護憲派の主張は、もはや「ファンタジー」 実際のところ、護憲派の主張は、現実離れしたものばかりです。 その典型は「軍隊は国民を守らない」「日本が戦争を放棄し、非武装を貫けば、外国は攻めてこない」「日米同盟で米国の戦争に巻き込まれる」などという考え方です。 これは、中国の軍拡や北朝鮮のミサイル実験から目を背けています。 しかし、それは歴史的な事実から見て、間違っています。 例えば、チベットは十分な軍隊がなかったので、中国共産党の支配下に置かれてしまいました。 非同盟のスイスは、徴兵制を敷き、「自分の国は自分で守る」国を維持してきました。 こうした現実は、護憲派の主張が、世界の実態とは合わないことを教えてくれます。 彼らにとっての脅威は「安倍政権」であり、中国や北朝鮮の軍隊ではないようです。 これは幻想なのですが、その夢をみている方は、北朝鮮が何度ミサイル実験を行っても、いっこうに目を醒ましてくれません。 ◆ぶれずに筋を通しているのは、幸福実現党のみ こうした平和ボケの夢から目をさましていただくためには、憲法9条の改正案が必要です。 しかし、自民党の改憲案は、昔よりも後ろ向きになりました。 現行の九条の条文を残して、そこに自衛隊の根拠となる条文を入れればよい、という程度のスタンスです。 九条の根本改正を訴える政党は、国会には、もうありません。 ぶれずに九条の根本改正を訴えているのは、幸福実現党だけです。 幸福実現党こそが、日本を守る真の保守政党なのです。 【参考】 ・帝国議会会議録データベースシステム「90-衆-本会議-35号(回)昭和21年08月24日」 ・国会図書館「日本共産党の日本人民共和国憲法(草案)」(一九四六、六、二九発表) ・不破哲三「日本共産党の歴史と綱領を語る」(日本共産党創立78周年記念講演会、2000年7月20日) 憲法論で「筋を通せる」のは、立憲民主党ではなく、幸福実現党 2019.05.01 憲法論で「筋を通せる」のは、立憲民主党ではなく、幸福実現党 HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆立憲民主党 枝野代表の憲法論には矛盾がある 日本の安全保障の最大の問題は、憲法9条の改正ですが、これに関しては、共産党のほか、立憲民主党が、近年、抵抗を繰り広げています。 しかし、その代表である枝野氏に関しては、過去と現在の主張に大きな矛盾があります。 その矛盾をマスコミは広く国民に伝えていないので、今回は、その問題を掘り下げてみます。 ◆立憲民主党・枝野代表は2013年に「他国と共同して、自衛権を行使」と主張 民主党が野党になってから約10ヶ月が経った頃、枝野氏は、2013年10月号の『文藝春秋』に「憲法九条 私ならこう変える」と題して「改憲試案」を発表しました。 そこには「我が国の安全を守るために行動している他国の部隊に対して、急迫不正の武力攻撃がなされ」た場合に、「他の適当な手段がな」ければ、「必要最小限の範囲で、当該他国と共同して、自衛権を行使することができる」と書かれていたのです。 これは「集団的自衛権」の行使を認める内容です。 「我が国の安全を守るために」という条件がついているので「限定容認」ですが、その範囲で集団的自衛権が使える文言を入れたわけです。 実際に、枝野氏は、この論文のなかで「個別的か集団的かという二元論で語ること自体、おかしな話です」と書いています。 そして、自衛権の行使は、内容次第で是非を判断すべきだと論じていました。 --- 【具体例】 ・自衛のためでも先制攻撃や報復行為は認めない。 ・日本に照準を向けたミサイルが発射される前には自衛権を使ってよい。 ・日本に米軍基地があるのは「集団的自衛と説明するしかない」。 ・定義が困難な後方支援は「言及する必要がない」(※言及するとそれに縛られ、臨機応変に動けないため) --- この内容は、自民党の方針に近い内容だったので、当時、民主党では保守派だった長島昭久議員も賛成していました。 そのため、この改正案は、共産党から「集団的自衛権の行使に道を開くもの」(市田忠義書記局長〔当時〕)だと批判されていたのです。 ◆「筋を通す」ならば、立憲民主党の旗を下ろすべき しかし、2014年に安倍首相が集団的自衛権の行使を認めると、枝野氏は、反対しました。 本人は、改憲私案は「集団的自衛権の行使を認めたものではない」と言いますが、同盟軍である米軍が攻撃された時に、日本が共同して戦闘に参加するのは、集団的自衛権の行使です。 理解に苦しむ行動ですが、枝野氏は、そのあとに2017年に立憲民主党を立ち上げても、同じく、集団的自衛権の行使に反対を続けました。 枝野氏は、過去と現在の矛盾を、有権者にきちんと説明できていません。 枝野氏は、立憲民主党をつくった頃、「筋を通す」ためだと言っていましたが、実際は、言行不一致の状態が続いています。 筋を通すのならば、2013年に出した、もとの案に戻り、立憲民主党の旗を下ろすべきです。 ◆立党以来、「集団的自衛権の行使」「憲法改正」で一貫している幸福実現党 しかし、幸福実現党には、そのような問題はありません。 立党以来、「集団的自衛権の行使」による日米同盟の強化を訴えてきました。 憲法九条を変え、自分の国を自分で守ることを一貫して主張し続けています。 我々は、票を取りたいがために、平気で矛盾した主張を重ねる枝野氏が率いる立憲民主党とは違います。 しかし、幸福実現党には、そんな迷いはありません。今後も、変わらず、筋を通して、憲法9条の根本改正を訴えてまいります。 【参考】 ・枝野幸男「改憲試案発表 憲法九条 私ならこう変える」(『文藝春秋』2013年10月号) ・しんぶん赤旗「枝野9条改定私案―歯止めどころか集団的自衛権の行使に道を開くもの 市田氏が批判」(2013年9月10日) すべてを表示する « Previous 1 2