Home/ 2018年 October 2018年 October 日中首脳会談――中国による「史上最悪の人権侵害」を問え 2018.10.25 日中首脳会談――中国による「史上最悪の人権侵害」を問え 幸福実現党 政調会外交部会副部会長 彦川太志(情報分析担当) ◆「米中新冷戦」の国際情勢 今月25日(木曜日)から27日にかけて、安倍首相は習近平国家主席との首脳会談のために中国・北京を訪問しています。 報道によれば、安倍首相は今年10月23日に「日中平和友好条約」の締結から40周年、中国の「改革開放」から40周年の節目を迎えることから、首脳会談によって「日中関係の改善」を演出するとともに、「日中第三国市場協力フォーラム」の開催を通じて中国の「一帯一路」構想に日本企業を参画させる道筋を作ろうとしています。 日中両国が、対話と経済協力を通じて平和的に発展していける未来がくることはとても良いことですし、わたしたちもそれを望んでおります。 しかしながら、中国軍機に対する自衛隊のスクランブルは増加する一方であり、尖閣諸島をめぐる主権侵害行為もエスカレートしていることからも、中国側は「関係改善」を真剣に考えていないことは明らかです。 また、中国は南シナ海の軍事拠点化や他国への選挙干渉、さらにはウイグル人などへの深刻な宗教弾圧・人権侵害によって、国際社会の秩序を大きく混乱させているのが実態です。 トランプ大統領はこうした中国の危険な振る舞いを深刻に受け止め、すでに「米中新冷戦」に舵を切っています。安倍首相はこうした国際情勢を踏まえた上で日中首脳会談に臨むべきだと考えます。 ◆中国共産党による史上最悪の人権侵害 特に、中国共産党による中国国内での宗教弾圧の問題は、国際社会で深刻に受け止められており、米国や欧州では制裁法案も準備されています。 8月に開催された国連人種差別撤廃員会での追及を皮切りに、中国共産党がウイグル自治区で数百万人に上るウイグル人を「再教育キャンプ」という事実上の強制収容所に収容していることが明らかとなりました。 中国共産党は、なんの罪もないウイグル人を、イスラム教徒であると言うだけで拘束し、拷問によって信仰を捨て、共産党に忠誠を誓うよう強制しているのです。 こうした中国共産党による宗教弾圧は、イスラム教徒だけでなく、法輪功や仏教、地下キリスト教会など、様々な宗教に及んでいます。 さらに、イギリスのメディアであるBBCは、中国共産党がこうした宗教弾圧で殺害された人々の臓器を違法に摘出し、臓器移植ビジネスに利用している実態を明らかにしました。 中国共産党による宗教弾圧と一体となった組織的な臓器ビジネスは、かつてのナチス・ドイツが行ったホロコーストをはるかに超える、「史上最悪の人権侵害」であることは明白です。 ◆首脳会談では中国の人権侵害を追及すべき 折しも、安倍首相と習近平国家主席の首脳会談が予定される10月26日には、亡命ウイグル人のラビア・カーディル氏が中心となり、中国共産党の弾圧に立ち向かう国際組織の結成大会が東京で行われます。 「中国国内の人権擁護の促進をするための署名」提出集会を開催 https://info.hr-party.jp/2018/7372/ 中国国内での人権侵害に対して国際社会の注目が集まる今、安倍首相が習近平国家主席とどのような会談を行うか、世界的にも注目が集まっています。 私たちは、安倍首相は習近平国家主席との会談において、新疆ウイグル自治区での強制収容施設や、違法な臓器ビジネスの実態公開を求めるとともに、中国国内での人権侵害の即時停止を要求するべきだと考えています。 さもなければ、日本政府は「中国の宗教弾圧や臓器ビジネスを黙認する」と言う誤ったメッセージを国際社会に発信することになってしまいます。 中国共産党の人権侵害はおとがめなしで、「一帯一路」への協力だけ進めて帰国するようなことにでもなれば、安倍政権は国際社会から「人権に無関心な拝金主義者」だと批判を受ける事となるでしょう。 ◆日本はアジアの守護神たれ 私たち幸福実現党は中国の人権侵害の問題について年初から啓蒙活動を行い、10月3日には「中国国内の人権擁護の促進をするための署名」(東京都本部、他)を内閣府に提出しました。 私たちは、人間は皆、神の子・仏の子であり、基本的人権は国や地域にかかわらず尊重され、「信仰の自由」「理想の社会をつくるための政治活動の自由」を天賦のものとして与えられていると考えるものです。 幸福実現党は、今後も、中国共産党による人権侵害の即時停止に向けて働きかけを行うとともに、日本が民主主義国家のリーダーとして、アジアの人権擁護の促進と平和実現の守護神の役割を果たすことができるよう、活動を続けて行く所存です。 ※関連動画 【ザ・ファクト】「中国の人権侵害に対する日本政府の措置を求める署名」提出集会 https://www.youtube.com/watch?v=I6m5hQB_M6k 【ザ・ファクト】中国の人権弾圧を審査する国連人権理事会の会合に釈量子氏が参加 https://www.youtube.com/watch?v=yIh857IO40M 消費増税まで1年。それでも本当に増税しますか。 2018.10.11 消費増税まで1年。それでも本当に増税しますか。 HS政経塾 担当チーフ 古川裕三 ◆税制改正の議論が本格化 第四次安倍内閣が発足し、2019年度の税制改正に向けた議論が本格化しています。もちろん、その議論の焦点は、いまから1年後の10月に10%へ引き上げられる消費税についてです。 住宅、自動車を筆頭に、耐久消費財ほど消費税の負担も重いため、駆け込み需要と増税後の消費の冷え込みが予想されます。 そうした増税後の消費者の「買え控え」を防ぐため、政府はその対策に躍起になっています。 ◆政府の検討案 今回の税制改正の議論では、住宅については、現在の10年間で合計最大500万円軽くなる住宅ローン減税の減税幅の拡充や期限の延長が検討されているほか、一定の条件を満たした住宅購入者に最大50万円支給する「すまい給付金」の給付額引き上げなども議論されています。 また、自動車についても、自動車を取得した年にかかる燃費課税と自動車税を増税後は当面ゼロにするなどの案が出されています。 さらには、企業の設備投資を支援する優遇税制が終了期限を迎えるため、期限を延長するかどうかも焦点となります。 その他、低所得の年金生活者に毎月5000円を支給する制度の実施前倒しや、キャッシュレス決済をした消費者にポイントを付与すること、小売店の「消費税還元セール」の宣伝・広告を解禁することなども検討されています。 ◆軽減税率の導入に3000億円不足 来年の消費税引き上げ時には、食料品などには軽減税率が導入される予定ですが、その導入に必要な予算が約1兆円とされているなか、残り3000億円の財源の目途が立っていないといいます。 ただ、今回の軽減税率とセットでインボイス方式の導入が義務付けられていますが、これにより政府は、免税事業者となっている小規模事業者を狙い撃ちして納税額を増やし、それを財源の一つとしているわけです。 免税事業者を納税事業者に変えることによって納税者を増やそうという魂胆なわけですが、小規模事業者を消費税によって「いじめる」と、倒産件数は増え、日本経済を支えるプレイヤーがいなくなり、GDPは減少の一途をたどることになります。 ちなみにインボイス方式とは課税事業者が発行する税額表(インボイス)に記載された税額のみを控除することができる方式です。 インボイス導入後、免税事業者が仕入税額控除を受けられるようにするためにはインボイスを発行する必要が出てきます。 インボイスの発行は免税事業者ではできないため、今まで消費税を納めていなかった事業者は、「生き残る」ために消費税を納める課税事業者にならないといけません。 小規模事業者は、消費税を納めることで利益が圧迫されると共に、過大な事務負担を強いられることになるでしょう。 ◆そして、また、バラマキ 2014年4月に消費税が8%へ引き上げられた際、政府は5.5兆円の補正予算を組んで景気対策を打ちました。 具体的には、低所得の住民税非課税世帯に一人当たり1万~1万5千円の現金給付や児童手当を一人当たり1万円の上乗せをして「バラマキ」ました。 この効果は乏しく、実質GDP成長率は14年4月~6月は前期比マイナス1.8%と、駆け込み需要の反動減による景気の腰折れが鮮明となりました。 今回も数兆円規模の景気対策という名の「バラマキ」を実施するでしょうが、同じ轍を踏むことになるでしょう。 ◆一番の解決策は、「増税しない」こと 事業者を苦しめ、消費者を苦しめ、日本経済の活力を奪う消費税の増税には断固、反対です。 ばらまいても、一時しのぎにしかすぎません。ばらまくくらいなら最初から、増税しなければよいのです。 幸福実現党は、財政再建は増税によってではなく、名目GDP成長率を上げる事でなしていくのが筋であると兼ねてより訴え続けています。 増税によって消費を止めるのではなく、減税によって消費を促してGDPも増やし、税収も上げます。増税なき財政再建です。 前日銀副総裁の岩田規久男氏は、次のように指摘しています。 「日本は20年間デフレで名目成長率が上がらず、その間、インフレ目標政策を導入した諸外国は名目GDPの3~4%成長を達成し、財政も大幅に改善しました。もし日本が1990年代から量的・質的金融緩和を行っていたら、やはり名目3~4%成長となり、いまごろは1000兆円を超える規模の名目GDPになっていたはずです。」(『Voice』8月号寄稿「消費増税は再延期せよ」より) さらには、財政再建は、デフレ脱却が最優先であり、増税をカレンダー通りに行うことで果たせるものではないことを氏は強調しています。 日本の新聞は軽減税率の適用を受けているがために、政府から口止め料をもらっているようなものですから、正面を切って消費税の減税を主張することができません。 幸福実現党は今後とも「真なるマスコミ」の機能を果たし、国民の利益、国益を守るために、正々堂々の論陣で戦ってまいります。 参照 ・10/4日付 日本経済新聞、読売新聞 ・『Voice』8月号 ・財務省ホームページ ・消費税の納税を免除される「免税事業者」とは? https://keiei.freee.co.jp/2016/10/13/shohizei_menzeijigyosha/ ・『松下幸之助の未来経済リーディング』(大川隆法著) ・『未来への国家戦略』(大川隆法著) 崩れ去った信仰の優位――バチカンから中国共産党に売り渡された地下教会信者たち 2018.10.09 崩れ去った信仰の優位――バチカンから中国共産党に売り渡された地下教会信者たち 幸福実現党 HS政経塾1期卒塾生 湊 侑子 ◆悪魔と合意形成をしたバチカン(ローマ法王庁) 10月3日からキリスト教カトリックの総本山バチカンにて行われている「世界代表司教会議」ですが、1967年の第一回開催以来のトピックがあります。中国の司教2人が初参加したことです。 フランシスコ法王は「今日初めて、中国から司教2人が出席している。温かくお迎えしたい」と歓迎の意を表したと言われています。 「世界代表司教会議」は数年に一度開かれ、信仰の重要性が話し合われます。 無神論を掲げる中国共産党は、1951年にバチカンと断交しました。その後、中国政府系の団体が独自に国内のキリスト教司教を任命してきました。 バチカンは、信仰の優位を訴え、司教の任命権はローマ法王が持つという考えの下、中国と対立していたのです。 しかしこの度、バチカンは中国が任命していた司教7名を追認する形で正当性を認め、司教の任命方法において中国と暫定合意したと言われています。 つまり、バチカンの上に中国共産党が立ち、共産党の意図の下に選ばれた司教をローマ法王に認めさせた、ということになります。 ◆バチカンと中国共産党の関係修繕は相互利益? 今回の動きには、それぞれに思惑があります。 まず、中国共産党は蔡英文政権になってから反発する台湾に対する揺さぶりです。 現在台湾と国交を持つ国は、過去最も少なくなっており、世界に17カ国のみです。台湾と国交を持つ国は、中国とは国交を持てません。 つまり、相手にとっては、中国をとるか台湾をとるかの選択になります。中国は、今年に入って3カ国を台湾と断交させました。 ヨーロッパで台湾と国交を持つのは唯一バチカンのみであり、ここに中国は揺さぶりをかけたいのです。 今回の動きに対し、台湾は警戒感を強めています。 70年以上続いたバチカンとの外交関係が近い将来、解消される懸念がでてきているからです。蔡英文総統の特使が、14日にバチカンに派遣されることになっています。 バチカンにとっても中国共産党の関係修繕は利点があります。 カトリック教会聖職者による児童への性的虐待が全世界から報告され、法王への批判が集まり求心力が落ちています。信者離れも進んでおり、組織運営に危機感が出ているのです。 中国13億人中、公認団体のカトリック信者は約600万人。このほか数倍の信徒が非公認の地下教会信者だと言われているため、一気に信者を増やすことができるのです。バチカンにとって中国市場は魅力的です。 こうしたお互いのwin‐winの関係の下、この度の関係修復と暫定合意につながったものだと考えられます。 ◆追い込まれる国内の地下教会信者 現在、中国には共産党が認めた公認教会と、認められていない地下教会が存在しています。 共産党は認められていない地下教会に対してはもちろん、公認施設に対しても統制を強めています。 複数の欧米メディアが最近、中国共産党が「7000以上の十字架を破壊し、数多くの聖書を燃やした」「インターネットやfacebook YouTubeでのキリスト教関連ページを表示禁止とした」と報道しています。 さらに、カトリック教会の破壊・礼拝中の信者への暴行なども報告されており、異常なほどの弾圧がエスカレートしています。 それは裏を返せば、宗教勢力を恐れているということです。 今回の合意により、共産党はバチカンのお墨付きを得た公認団体を通して、地下教会への管理を強化し、「服従」を迫るとみられています。 バチカンから中国へ地下教会信者のリストが手渡される可能性もあります。信仰者への弾圧や拷問がさらに広がることでしょう。 カトリック香港教区元司教の陳日君枢機卿は日本国内の新聞取材に対し、「中国はバチカンを利用して、信者を攻撃するだろう。ローマ法王庁は地下教会の信者を売り渡した。とても絶望している」「信仰に対する裏切りだ」と答えています。 ◆バチカンは営利団体になってはならない さらに陳日君枢機卿は「(バチカンに行った中国司教たちは)信仰がなく、外交官だ。外交が成功し、信者をだまして喜んでいる」と言います。 中国共産党にとって宗教・信仰とは単なる外交の手段です。それを分かった上での合意であれば、バチカンも根本は中国共産党とそう変わらないのではないでしょうか。 つまりローマ法王を頂点とする聖職者たちはイエスの声が聞こえない単なる組織の運営者なのだということです。 ドストエフスキー著『カラマーゾフの兄弟』の中に登場する「大審問官」は、復活したイエスに対し、「もしもお前が本物のイエスであり、現代に復活していたとしても、本物を偽物と称し、その事実を消すために火あぶりにする。そして民衆には一切知らせず、文句なく従える対象にし続ける」との旨を伝えました。 すでに1880年に教会批判として描かれている内容です。 残念ながらバチカンは長い歴史の中で教えも曲がり、現代人を救いきれていません。前述の陳枢機卿は「国家に隷属する教会など、もはやカトリック教会ではない」と言います。 既に信仰の優位は崩れ去っているのです。残念ながらこれが現代のバチカンです。 宗教の理念は国益を超えます。宗教が国家を導く指針となることはあっても、国家運営に利用されてはなりません。 まして信者の信仰心を見捨てる宗教などあっては相ならないのです。もしもそうなり下がっているのであれば、それはもう単なる営利団体なのです。 ◆宗教者の信仰心を護りたい 「われわれはどんな圧力も恐れない。良心を売り渡したりはしない」という陳日君枢機卿の言葉に象徴されるよう、信仰は命よりも重く、弾圧や拷問により捨てさせることはできません。 しかし、それを捨てさせようとするのが中国共産党であります。これは地下教会に限ったことではありません。 チベットでは、チベット仏教への大弾圧、ウイグルでもイスラム教の棄教を目的とした「再教育キャンプ」への収容を大々的に行っているのです。 私たちは宗教政党として、このような状況を黙って見ておくことはできません。 また自由と民主を愛する国民として、信じがたい人権弾圧・宗教弾圧を行う中国共産党を許すことはできません。 日本政府には民主主義国家のリーダーとし、中国における信教の自由の確立と人権擁護の促進実現のため、解決に向けた働きかけを行うことを強く望みます。 そして正しい信仰を持つ人々が、内心の自由・信教の自由を保障され、信仰者が中国において笑顔で生きていける時代を創りたいと心から願います。 【参考】 日経新聞 「バチカンの司教会議 中国人司教が初参加」 2018年10月4日 東京新聞 バチカン 中国合意 香港教区元トップが批判「法王庁は信者を売った」 2018年9月25日 産経ニュース 中国が「地下教会の信者らに『服従』迫るのでは」 香港枢機卿、バチカンとの合意で危惧表明 2018年9月23日 産経ニュース 「中国、宗教の締め付け強化 『歴史的』合意も思惑不一致」 2018年9月23日 産経ニュース バチカン 中国に大きく譲歩か 宗教弾圧続く中「悪いメッセージ」の懸念 2018年9月23日 ドストエフスキー 『カラマーゾフの兄弟』 北海道大停電は人災!?――求められる原子力規制行政の適正化と審査の迅速化【後編】 2018.10.01 幸福実現党 宮城県本部統括支部長 HS政経塾第5期卒塾生 油井哲史(ゆいてつし) ◆原発が必要な理由を改めて考える 政府はエネルギー政策の基本的な方向性を示すためにエネルギー基本計画を策定しています。その中で、個々の電源を国や地域の状況に応じて、適切なバランスを組み合わせ、エネルギーミックスの確実な実現へ向けた取り組みを強化していくことを示しています。 2030年に実現を目指すエネルギーミックス水準として、原発の電源構成比率は、20~22%。安全最優先の再稼働や使用済燃料対策など必要な対応を着実に進めると宣言しています。 改めて、原発を推進すべき理由を3つにまとめました。 一つ目に、原発停止により火力発電所がフル稼働しており、これに伴う震災後の燃料費増加の累計は15.5兆円に達しています。燃料費が増加すれば電気料金に跳ね返り、家計負担の増加、企業のコスト競争力が低下。国富の流出は避けられません。安価で安定的な電力供給のためには原発は必要です。 二つ目に、今回のブラックアウトの教訓として、再生可能エネルギーでは出力が不安定であり、電力に必要な需給バランスをとるのが困難であるとわかりました。太陽光や風力発電の変動を補うための火力発電などの安定電源が必要で、再生可能エネルギーのみではベースロード電源にはなり得ません。また、昨今の自然災害で、太陽光や風力の発電施設で被害が続出していることもあり、再生可能エネルギー依存には警戒すべきです。 三つ目に、日本は化石燃料の大部分を中東からの輸入に頼っています。世界第4位のエネルギー消費国である日本のエネルギー自給率は、先進国の中でも極めて低く、8%しかありません。国際情勢によって原油や天然ガスの価格や供給も左右されます。もし、中東有事となれば、価格は高騰し、輸入が途絶えるリスクもあり、火力発電に依存しすぎると、エネルギー供給自体が危うくなります。原子力はエネルギー安全保障の要です。 イギリスを代表する政治家チャーチルもエネルギー安全保障の要諦は「多様性が安全を確保する」と述べており、エネルギーの多様性を強調しています。安定的な国民生活と経済活動を維持していくうえで、持続可能なエネルギー供給を確保するために、しっかりと原発を選択肢に入れるべきです。 ◆大地震にも耐えてきた日本の原発 これまで世界最高水準を誇る日本の原発は大地震にも耐えて抜いてきました。 東日本大震災では、震源地に最も近い女川原発は震度6弱の揺れにも安全に自動停止し、13mの津波にも耐えました。さらに、発電所へ避難者を最大で364名を受け入れています。IAEAの現地調査でも「女川原子力発電所は、震源からの距離、地震動の大きさ、継続時間などの厳しい状況下にあったが驚くほど損傷を受けていない」と評価しています。また、2009年の静岡県を中心に発生した駿河湾地震において震度6弱だった浜岡原発も安全に自動停止しています。 そもそも、福島第一原発は震度6強の揺れにも耐えて、自動停止していました。しかし、津波で発電機が故障し、電力を原子炉に供給できなくなった結果、原子炉の冷却機能が働かなくなり、事故につながってしまった。 福島原発は、もともと高さ35mの高台に設置する予定でしたが、最終的に25mも削り、10mの高さに設置されました。もし、35mの高台であれば、津波の影響もなく、事故も起こらなかったでしょう。 ◆原子力規制委員会は審査の迅速化を! 原子力規制委員会の審査の長期化は電力の安定供給を阻害し、莫大な経済損失を招く恐れがあります。道民の生活や経済活動を守り、少しでも停電のリスクを下げるために、泊発電所の再稼働を求めます。そのため、幸福実現党は原子力規制委員会に適正化並びに審査の迅速化を求める要望書を提出しました。 【政務調査会】原子力規制委員会宛てに「原子力規制行政の適正化及び新規制基準適合性に係る審査の迅速化を求める要望書」を提出 https://info.hr-party.jp/2018/7199/ 原子力規制委員会は、大局観をもって国家の根幹にかかわるエネルギー問題を担っていかねばなりません。原発の最高水準の安全を求めながらも、どこに合理的な着地点を求めるかという姿勢が必要です。安価で安定的な電力供給を確保し、日本の経済成長とエネルギー安全保障を支える立脚点に立った適切な規制行政を求めるものです。 (完) 【参考】 奈良林直 「全道停電は泊発電の停止も一因」 2018年9月12日 国家基本問題研究所 遠田晋次 「「地震活動と地震動の予測」-研究の最前線と今後の展開-」 損害保険料率算出機構 2010年3月 資源エネルギー庁 「火力発電に係る昨今の現状」 2017年10月10日 資源エネルギー庁 「新しくなった「エネルギー基本計画」、2050年に向けたエネルギー政策とは?」 2018年7月3日 東北電力株式会社 「女川原子力発電所の概要および東日本大震災時の対応状況」 2014年11月11日 産経新聞 「【原発最前線】とっくに再稼働していたはず… 審査難航の北海道電力泊原発、通称は「最後のP」」 2018年9月26日 産経新聞 「【原発最前線】火山層否定の火山灰が見つからない! 再稼働へ苦難続く北海道・泊原発」 2017年12月12日 日本経済新聞 「活断層地震の確率、九州は30年内に30~42% 政務が評価」 2013年2月1日 The Liberty Web 「福島原発事故、「国と東電に責任あり」の判決 政府は「原発は安全」と宣言すべき」 2017年3月18日 The Liberty 「次は富士山!?なぜ地震・噴火が続くのか?天変地異は神々の警告」 2015年8月号 幸福実現NEWS 51号 「「原発即ゼロ」は無責任 幸福実現党は、未来を見据え原発推進」 2013年12月7日 すべてを表示する