Home/ 2018年 May 2018年 May 日本農業の再生――農家の現実とその打開策 2018.05.24 日本農業の再生――農家の現実とその打開策 幸福実現党 広報スタッフ 佐々木勝浩 ◆米作農家の現状 私の実家は福島で、父が米作農家として2ヘクタールほどの農地を営んでいました。 他にも1ヘクタールの稲作を数軒の農家から頼まれ、春の田植えと秋の稲刈りの繁忙期には私も休日に手伝っていたのです。 その父が脳出血で倒れたのは、一昨年の秋、稲刈りシーズンの真っただ中でした。 親戚から連絡を受けて実家に戻ってみると、まだ籾摺り作業(玄米にする作業)と出荷が終わっていません。 それから毎週、実家に戻り父の見舞いをしながら、残りの農作業を従兄や近所の方の協力でやり終えました。 作業の休憩中は、缶コーヒーを飲みながら、次のような何気ない話が始まります。 「ほったらかしで草が茫々にしたら周りの迷惑になるから仕方なく米作りをやっているようなものだ。米は全然儲からない。」 一年で何俵の米が収穫でき売り上げはいくら。そこから機械代と肥料などを支払うと実収入は数十万。これでは生活ができません。 だからみんな別の勤めに出て、田んぼの耕作は誰かにやってもらおうとします。それで父に耕作の依頼が来るわけです。父は何軒かを束ねて収益を上げていたという状況でした。 父のような「米作請負人」がいなければ、田んぼは休耕地となり、そのうち耕作放棄地になっていきます。雑草の根が土深く入っていくと、農地に戻すことは難しくなります。 我が家の農地も例外ではなく、昨年1年間は休耕地にせざるを得ませんでした。幸いに地元の農業委員会の紹介で、今年農地を借りてくれる方が見つかりました。 しかし、最初に言われたのは、「農地の借り手はなかなか見つからない。今は逆にお金を払ってでも農地を借りてもらう時代だ」と。 それでも、休耕地の何の生産性のない草刈りを年に数回やるよりはいいのです。 それに農地を荒らしたまま放置すると固定資産税も上がります。税金を上げることで耕作放棄を防ごうとしているのでしょう。 しかしながら私の実家の周りでも休耕地がどんどん増えており、行く行くは、ここも、あそこも農業はやらないという声を聞いています。 農林水産省の農業労働力に関する統計を見ると、平成22年は260,6万人、27年は209,7万人、28年は192,2万人、平成29年2月時点の概数値は181,6万人と農業従事者は減少傾向にあり、平成29年データでは66%が65歳以上です。(※1) ◆休耕地の打開策 農業就労者が高齢化し減っていく中で、農業経験者の中から休耕地の耕作者を探すことは益々困難になります。 農業委員会の方の話では、最近は他県からの若い世代の新規就農者が増えているそうです。 平成26年は新規就農者数5,7万人のうち1,8万人は44歳以下。平成26年から平成27年の1年間で1,300人も若年層が増加しています。(※2) 増えている理由は、平成21年の農地法の改正の規制緩和で、一般の個人や企業も農地を借りられるようになり、さらに平成27年の農地法の改正では、農業に従事していない企業や個人も農地を所有できるようになったことです。(※3) それでも、休耕地の拡大の勢いに歯止めはかからないでしょう。 農業委員会の方の話では、政府が進めている農地集約は進んでいないそうです。休耕地は虫食い状態でバラバラに離れているので、農地の交換などで集約するのは困難だからです。 どうすればそれを打開できるでしょうか? 農業に従事したい企業に、まとまった農地を提供できれば日本の農業は一気に大規模化できるはずです。 そのためには、国や市町村が農地を買い上げ、工業団地のように企業に提供するとか、不動産の家賃のように貸すとかを考えてもよいのではないでしょうか。 先進的な技術と六次産業化のノウハウがある企業に借りてもらえば、農家も賃貸的な収入が見込めます。 このように国や市町村が農地を集約し、工場団地のように企業が参入できるようにすれば、農業の大規模化は一気に進み、地方人口の増加、雇用創出につながるでしょう。 ◆農業は食糧安全保障 最近は中国が国家を上げて有機野菜の生産に力を入れており、近い将来、中国産の有機野菜が日本のスーパーに並ぶ時代が来ます。(※4) かつて中国はレアアースの対日輸出禁止を外交カードに使ったように、今度は食糧が対日圧力のカードになる可能性があります。 農業の再生、国の食料生産量をアップさせることは食糧安全保障にもつながっていくのです。 参考 ※1 農業労働力に関する統計(農林水産省) http://www.maff.go.jp/j/tokei/sihyo/data/08.html#1 ※2 新規就農者調査(平成27年新規就農者調査) http://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/sinki/ ※3 一般企業の農業への参入状況(平成28年12月末) http://www.maff.go.jp/j/keiei/koukai/sannyu/kigyou_sannyu.html ※4 汚染なき安全な中国の「緑色食品」、世界に浸透(中国メディア サーチナ 2010年10月5日) https://www.excite.co.jp/News/chn_soc/20101005/Searchina_20101005021.html 香港における自由の革命と日本が果たすべき使命 2018.05.22 香港における自由の革命と日本が果たすべき使命 幸福実現党 青森県本部統括支部長 HS政経塾7期生 三国ゆうき ◆激化する宗教弾圧 中国共産党による宗教弾圧が激しさを増しています。 2018年1月9日、中国北部の山西省にある金灯台教会が「違法建築」を理由に爆破されました。数千とも言われる教会が一方的に取り壊され、昨年だけでも20万人以上のキリスト教徒が、自宅の強制捜査、投獄、拷問、といった迫害を受け続けています。 イスラム教徒のウイグル民族に対しても、中国語の強制、虐殺、闇の臓器売買といった非道の限りが尽くされています。 その中心にいるのは、終身独裁を目指している習近平国家主席。3月の全国人民代表大会において、任期制限が撤廃されたことで、益々権力が大きくなり、東アジアにおける覇権を拡大しています。 習近平国家主席は、5月4日、マルクス生誕200年を記念する大会において「党がマルクス主義を旗印にしたのは完全に正しい」と宣言しました。 マルクスの唯物論を信奉する中国共産党が政権を握っている限り、信仰者に信教の自由は永遠にやってきません。 ◆香港に蒔かれた自由の種 2009年4月30日、幸福実現党は「マルクスの共産党宣言を永遠に葬り去る」という旗印の下に立党し、立ち上がりました。 そして、2011年5月22日、大川隆法党総裁は「Fact and the Truth」(事実と真実)と題する英語説法を香港で開催。法話の中において「『自由』と『平等』のどちらかを選ばなければならないのなら、まず、『自由』を選ばなければなりません」と力強く述べられ、香港に自由の種を蒔かれました。 3年後の2014年、親中派が多数を占める行政長官選挙を自由化するための大規模な運動が起きました。それが、総参加者120万人とも言われる「雨傘革命」です。 「雨傘革命」によって、香港の多くの人たちが政治的自由の大切さを知りました。そして、「香港が中国化されるのではなく、中国を香港化していくこと」これが目指すべき方向性であるということに目覚めました。 ◆選挙権の剥奪、収監、そして反撃 「雨傘革命」の中心的リーダーであった黄之鋒(Joshua Wong)「学民の女神」と呼ばれた周庭(Agnes Chow)らが中心となって立ち上げた政治団体・香港衆志(デモシスト)は、選挙権の自由を求めて親中派との闘いを続けています。 闘いを続ける中で、黄之鋒は二度の収監と実刑判決(執行猶予中)を言い渡され、周庭は香港立法会選挙への立候補を表明するも、選挙権を剥奪されるという憂き目に遭っています。 周庭の選挙権剥奪によって、活動が下火になったかに見えた香港衆志ですが、5月8日、選挙結果の司法審査を求めて請願書を高等法院(高裁)へ提出。再び、反撃の狼煙を上げ始めています。 雨傘革命後、まったく譲歩しない香港政府、中国政府の対応を見て、若者たちの間には失望感が広まっていました。しかし、どんな理不尽があっても周庭は街頭に立ち続けていました。 周庭は、記者のインタビューに対して「希望が見えるから街に立つというのではなく、デモをする人が街に立ったら、希望が見えてくるようにしたい」と答えています。 街宣旗と共に、常に街頭に立ち続ける周庭の姿は、17歳にして軍事指揮者として立ち上がり、オルレアンを解放に導いたジャンヌ・ダルクを彷彿とさせるものがあります。 それは、香港の方々が今、命を賭けて中国共産党と闘い、勝ち取ろうとしている自由です。 日本は、明治維新から今年で150年。今私たちが享受している自由は、先人の方々が命を賭けて勝ち取ってきました。 だからこそ、日本には香港衆志を中心とした新しい自由の芽を、中国共産党に絶対に潰させないこと、香港における自由の革命の後押しをする義務があると考えます。 【参考文献】 ・Truth Youth 2016.4.29香港探訪記「初めて会う、革命のリーダーたち」 http://truthyouth.jp/2016/174/ ・withnews 2018.1.9 「ぴくりとも動かない中国政府、それでも黙らない「女神」立候補へ」 https://withnews.jp/article/f0180109001qq000000000000000W07y10101qq000016553A ・産経 2018.5.4 習近平氏「マルクス主義選択は完全に正しい」生誕200年で講話 https://www.sankei.com/world/news/180504/wor1805040040-n1.html ・The Liberty 2018.6 神を信じると罪になる国 https://the-liberty.com/article.php?item_id=14381 ・「信仰の法」大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1952 ・「洪秀全の霊言」大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1961 金正恩の再訪中と李克強首相の初来日 2018.05.10 金正恩の再訪中と李克強首相の初来日 HS政経塾担当チーフ 古川裕三 ◆金正恩が再訪中 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が7日から8日にかけて中国の習近平国家主席と大連で再び会談しました。 3月26日に初の中朝首脳会談が行われたばかりでしたが、なぜこの短期間で金氏は再び中国を訪れたのでしょうか。 背景には、米朝首脳会談に向けた事前協議がもつれていることがあげられます。 トランプ大統領は、5月4日時点で首脳会談の「日時と場所は決まった。すぐに発表できる」としていましたが、発表はなされず、6日には北朝鮮外務省報道官が「圧迫と軍事的威嚇を引き続き追及するなら問題の解決に役立たない」と述べてアメリカへの反発を強めました。 トランプ大統領は、非核化が達成されるまで最大限の圧力を続ける姿勢を崩していないため、米朝首脳会談前に改めて中国の後ろ盾を得る必要があったのでしょう。(5/9読売新聞) トランプ大統領には、引き続き、融和ムードに流されることなく、北の核開発施設、実験基地、長距離・中距離・短距離弾道ミサイル基地、施設、装備の完全放棄ないし、壊滅、さらには化学兵器、生物兵器、攻撃機、潜水艦、戦車、大砲、電磁パルス攻撃システムにいたるまで完全破壊すべく、断固たる覚悟をもって米朝会談に臨むよう期待します。 ◆李克強首相が初来日 一方、日本では9日、日中韓首脳会談や、日中首脳会談、中韓首脳会談などの日程をこなすため、中国の李克強首相が8日に初来日しました。 来日に先立ち、5月8日付の朝日新聞に李氏が寄稿した記事が掲載されました。 それによると、本年が日中平和友好条約締結40周年にあたることなどに触れ、日本との関係改善に向けて、具体的には「人民元適格国外機関投資家」(RQFII)の投資枠を日本に付与することをはじめ、日中通貨スワップ協定締結を目指すことなどが明らかにされました。 日本との関係改善に向けた李首相の発信を受けて朝日新聞は好意的に報じました。 ただし、朝日新聞への今回の李氏の寄稿の全文には、「近代に入ってから、日本軍国主義が起こした侵略戦争は中華民族に深刻な災難をもたらし、日本人民も大きな被害を受けた。」と記されている箇所もありました。 しかし、それを言うならば、中国国内において民主化を求める学生たちを解放軍が粛清した「天安門『大虐殺』」について、国際社会に説明責任を果たすべきです。 ◆中国のチベット侵略 そもそも、中国の歴史は侵略の歴史です。中華人民共和国が建国した1949年の翌年には、チベットを侵略しました。 中国は、当時チベットには外国人がほとんどいなかったにもかかわらず、「人民解放軍の基本的課題は、本年中にチベットを帝国主義者の手から『解放』することである」と宣言しました。 この「解放」を名目に、1950年10月には中国の人民解放軍が数万人規模で侵略軍を組織し、東チベットに侵攻しました。 時あたかも、朝鮮戦争開戦当時で、中国は火事場泥棒的にチベットを奪い取ったわけです。 侵略後、チベットは「自治区」とされましたが、民族の自治、信教の自由は認められず、貴重な仏教寺院は破壊され、多くの僧侶、尼僧が残酷な拷問の末に処刑されました。 ◆日本への警告 『犠牲者120万人 祖国を中国に奪われたチベット人が語る侵略に気づいていない日本人』の著者ペマ・ギャルポ氏は、日本人に警鐘を鳴らします。 侵略され始めた当時、チベット全土が標高4000メートル以上の高地にあり自然要塞として外的から守られてきたことで、ある種の「平和ボケ」があったことや、世界情勢への無知、さらに決定的だったのは、国防のための近代的な軍隊の必要性をチベット人が重要視しなかったことなどが侵略を許した原因とペマ氏は指摘します。 同書には「現在の日本国の憲法前文、そして第九条と、それを守るべきだとする日本の知識人、政治家の発言は、私には、かつてのチベットを滅ぼした言説とまるで同じ幻想にとらわれたもののように思える」と書かれています。 日本も、今が正念場です。自分の国は自分で守る当たり前の国になるか、中国あるいは統一朝鮮の属国になるのか、選択が迫られています。 参考文献:『犠牲者120万人 祖国を中国に奪われたチベット人が語る侵略に気づいていない日本人』ペマ・ギャルポ著 『China 2049秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」』マイケル・ピルズベリー著 『李克強 次期中国首相本心インタビュー 世界征服戦略の真実』大川隆法著 『文在寅守護霊VS金正恩守護霊 南北対話の本心を読む』大川隆法著 『司馬遼太郎 愛国心を語る 天国からの緊急メッセージ』大川隆法著 早められたイラン核合意離脱の真意――トランプ大統領はイラン・北朝鮮の核を許さない 2018.05.09 早められたイラン核合意離脱の真意――トランプ大統領はイラン・北朝鮮の核を許さない 幸福実現党・山形県本部統括支部長 城取良太 ◆早められた合意破棄の発表 米国・トランプ大統領は8日午後、イランと欧米関係6カ国が締結した核合意から離脱することを発表しました。 その会見の中で、トランプ大統領はイランとの核合意を改めて辛辣に批判したうえで、最高レベルの経済制裁を科すと表明。 そして、イランが核開発計画を放棄しなければ「今までにないほどの大問題に見舞われる」と警告を投げかけました。 また、金正恩委員長の名前も挙がり、来たる米朝首脳会談の内容を想起させる言及や、日中韓との協力という言葉が出てきました。 予定されていた12日の発表を大幅に早め、日中韓首脳会談の日に合わせてきたトランプ大統領の意図があるようにも感じます。 ◆イランとの「核」対話路線が中東の混迷を助長させた さて、「核なき世界」を提唱し、就任早々にノーベル平和賞を受賞したオバマ前大統領が、自身の集大成の「レガシー」として注力したのが、このイラン核合意です。 この合意はイランが核開発を大幅に制限する代わりに、国際社会は経済制裁を解除するという取引でしたが、合意に至るまで「イランは未だかつて一度も核兵器開発を目指したことはない」という前提条件で協議されてきました。 しかし、イスラエルは4月末、イランが密かに核兵器開発を推進してきた「アマド計画」に関する証拠文書の存在を公開し、イランの虚偽に基づいた核合意を改めて批判しました。 トランプ大統領も昨日の会見の中で「イランの約束が嘘だという決定的な証拠がある」と述べていますが、当の本人は2016年の選挙戦の最中から、この合意内容の真偽や実効性に対し、既に強い不信感を露わにしており、再協議、または破棄すべきだという事を公言してきた経緯もあります。 オバマ氏は一貫してイランとの融和・対話路線を採ってきましたが、これが皮肉なことにイランの野望を増長させ、シリアを中心に中東全域の混迷を助長する結果となりました。 オバマ氏の8年間で更に複雑に絡み合ってしまった中東情勢を正常化させる第一歩として、トランプ大統領による核合意離脱は歴史的な分岐点と言っても過言ではありません。 ◆核合意離脱は北朝鮮に大きなインパクトを与える また、この核合意離脱は今後の米朝首脳会談の動向にも大きな揺らぎを与えることは間違いなく、少なくとも北朝鮮にとっては大きな衝撃であったはずです。 もともとイランと北朝鮮は80年代からつながりが深く、近年では核ミサイル開発で協力関係にあることは公然の事実であり、トランプ大統領は両国の深いつながりについて明確に認識し、言及もしています。 また、両国が国際社会から経済制裁措置を受けている間も、独自のルートを活用した武器弾薬等の取引が横行し、実際に中東・アフリカの戦場で多くの北朝鮮製の武器弾薬が使用されている痕跡もあります。 要するに、どちらかが核ミサイル開発を完全に成功させれば、どんなに厳しい制裁が引かれていても網の目をかいくぐって、直ちに核兵器が拡散する可能性は極めて高いということになるでしょう。 メディアの中には「イランに対する厳しい核合意離脱に比べ、北朝鮮との非核化の合意形成については楽観的すぎる」という批判的な見方もありますが、核弾頭の開発においてイランを先行している北朝鮮に対して、トランプ大統領が手を緩めるとは考えられません。 「完全なる核廃棄、それが出来なければ先制攻撃を正当化」が持論のボルトン氏の起用、直後のシリア攻撃を両国へのメッセージと考えれば、今回の離脱は北朝鮮に対して「時間稼ぎの対話と秘密裡の開発はこれ以上許さない」という明瞭な一線をトランプ大統領は示したと言えるでしょう。 ◆イスラエル、サウジアラビアから考える日本のあるべき姿 そんな最中、日中韓首脳会談を迎えましたが、日本はどうあるべきなのでしょうか。 シリア、レバノン等でのイランの勢力伸長に大きな危機感を募らせてきたイスラエルは同盟国の判断に完全なる支持を表明する傍ら、国境付近でイラン系勢力との一触即発の状態が続く中、自国防衛のために、米国に依存することなく先制攻撃を辞さない姿勢を示しています。 サウジアラビアも米国協力のもと原子力開発に着手し、核保有の可能性に言及するなど、イラン核保有となった際には、直ちに自国と中東の安定を守る体制を確立しようとしています。 翻って、日本の国会審議では野党のボイコットや国家の一大事とは程遠い枝葉の議論で終始し、憲法改正の議論は遅々として進まない状況です。 北朝鮮の完全なる核廃棄を米国が確実に実現すべくバックアップしながらも、イスラエルやサウジアラビアの姿勢に倣い、いざという時には自分の国は自分で守れる体制を構築すべく、憲法改正を推し進めていく使命が日本の政治家にはあるのではないでしょうか。 北の核の裏で進む中国の軍拡――日本に国家戦略はあるのか 2018.05.08 北の核の裏で進む中国の軍拡――日本に国家戦略はあるのか 幸福実現党 外務局長 及川幸久 ◆問題は北朝鮮だけではない 5月9日、東京で日中韓首脳会談が開かれます。 首脳会談では、中国の李克強首相と韓国の文在寅大統領が出席し、安倍首相は北朝鮮情勢を最重要課題として協議しようとしています。 北朝鮮との対話路線に日本を引き込む目論見が見える韓国と中国に対して、日本は開催国として成果を出すことはできるのでしょうか? 確かに、北朝鮮の核の脅威は日中韓の共通の問題です。しかし本当の問題は北朝鮮のバックにいる中国です。 北朝鮮の核に注意を奪われているうちに中国はアメリカを倒すほどの軍事拡大を進めています。 現在の世界の問題は北朝鮮だけではありません。 中国が自治区にしたウイグルでは、中国への異常な同化政策が行われています。(注1) まず、「ウイグル語が禁止」され、学校では中国語を強制しています。 家でもウイグル語が禁止され、全家庭に盗聴器と監視カメラがあり、完全な監視社会になっているのです。 女性は中国人と強制結婚させられ、ウイグル民族を消滅させようとしています。 そして、中国は徹底的な「思想管理」も行っています。 過去の言動を調査され、少しでも中国批判があると「再教育キャンプ」という強制収容所に送られ、拷問を受けます。その多くが虐殺されており、これは「現代のホロコースト」です。 さらに、一説によるとウイグル人たちの臓器が臓器ビジネスで売られています。中国では、年間6~10万件の臓器移植が行われていると言われています。 かつて、ヒトラーがユダヤ人600万人を虐殺しましたが、同じことが今の中国で起きているのです。 ◆中国が着実に進める軍拡 次に、「中国の軍拡」です。中国は、いよいよ台湾を本気で取る気でいます。その時期は2020年とも、2021年とも言われています。 空母「遼寧」だけでなく、次々と大型戦艦を保有して台湾海峡を支配する計画です。さらに、台湾側の海岸線には185機の無人攻撃機を配備しています。 ある自衛隊筋の情報では、日本に対しても最新鋭の戦闘機を930機配備していますが、これは350機の日本の航空自衛隊の3倍で、日本はもう守りきれない状況です。(注2) 地上軍を運ぶ能力も3万人に増強し、3個師団を同時に運ぶことができます。これは九州の自衛隊の1.5倍です。つまり台湾も日本の島嶼もいつでも侵攻できる能力を持っています。 そして、中国には最強のミサイル「東風」(注3)があります。 「東風」は、マッハ10で飛び、アメリカを攻撃できるミサイルです。これで、中国が台湾侵攻してもアメリカが介入できないようにしたのです。 幸福実現党の大川隆法総裁は、最新刊『司馬遼太郎 愛国心を語る』(幸福の科学出版)で、中国の戦略は「天下二分の計」である指摘しています。 「ハワイを境に米中で地球を二分しよう」という計略です。 ◆本当に大切なのは「国家戦略」 中国は、台湾に侵攻し、アメリカに手を出させないようにし、日米を分断しようとしています。その日本に足りないものが「国家戦略」です。 中国は2020年代後半には、GDPでアメリカを抜くと予想されています。 習近平主席は、「中華民族の偉大な復興」という夢の実現を掲げ、人民共和国の建国100周年となる2049年に、軍事力でアメリカを抜き、世界一の覇権国家になると宣言しています。 トランプ政権は防衛戦略を作り直し、中国を敵国であるとはっきり明記しました。 その中で、日本は相変わらず「防衛費はGDPの1%以内」「必要最小限の防衛力」「専守防衛」、そして「憲法9条」を守り続けています。 今回の首脳会談で、安倍首相は李克強首相と北海道まで同行します。日本は従来の日中関係を大切にしようとしていますが、本当に大切なのは、「国家戦略」ではないでしょうか。 なぜ、中国の首相が北海道に行くのか、世界の覇権国家を目指す中国は太平洋への出口を確保しようとしているからに他なりません。 日本の仮想敵国はどこかをはっきりさせねばなりません。 ◆中国には砲弾ではなく「自由・民主・信仰」を 中国は独裁国家です。独裁国家には砲弾ではなく「自由」と「民主」という考え方を入れるべきです。 今の共産主義と対立する考え方を入れて、国内に思想の自由競争を起こすことで、独裁国家は自動的に崩壊します。 もう一つ必要な思想が「信仰の自由」です。中国はウイグル人を粛清し、イスラムの信仰を奪っています。ウイグルの人権を守るためには、信仰の自由を守るという思想が必要です。 独裁国家として「信仰の自由」を認めず、人権弾圧を繰り返す中国に世界の覇権を持たせては絶対にあってはいけません。 そのために、まずは日本が憲法改正をし、日米同盟を強化することで中国に対抗できる防衛力を持つことが大事です。そして中国に「自由・民主・信仰」という価値観を撃ち込む必要があります。 自由で、民主的で、信仰に基づく人権が保障される国家を日本が世界に示すべきでしょう。 私達幸福実現党は、北朝鮮の核の問題のみならず、その裏で進む中国の軍事拡大から世界の平和を守るために頑張って参ります。 (注1) 【参考】中国のウイグル弾圧 ■2018.01.05 AIに顔認証……中国がウイグルで実験し始めた監視社会の実態 https://the-liberty.com/article.php?item_id=13986 ■2018.02.13 BBCが新疆ウイグル自治区での現地取材 映像が伝えるリアルな「監視社会」 https://the-liberty.com/article.php?item_id=14117 ■2018.01.27 中国で急増する臓器移植 その臓器は「無実の囚人」から摘出されている https://the-liberty.com/article.php?item_id=14077 (注2) 関連記事「世界の軍事費、冷戦後最高 アジア大洋州が伸び率トップ」(5/8「朝日」) https://www.asahi.com/articles/ASL5232GGL52UTFK001.html 「過去10年の伸びをみると、軍事費世界1位が続く米国は17年に6100億ドルだが14%減ったのに対し、東アジアは68%増。2位の中国は推定2280億ドルと2倍強に増え、8位の日本は4・4%増の454億ドル、10位の韓国は29%増の392億ドルになった。」 (注3) ■「軍事研究」2016年11月号、田中三郎氏「日米ミサイル防衛網を無力化!」より 「人民日報網」は、中国の新型の極超音速滑空体(hypersonic glide vehicle)の7回目の飛行試験が先週(田中氏注:2016年4月17~23日と推定)、山西省北西部で実施され成功裏に終了したと報じた。東風‐ZF(DF‐ZF)滑空体はマッハ5~10の間で飛行できる。 ■「中国、新型ミサイル試射か 極超音速兵器向けに開発」(2017/12/30「産経」) https://www.sankei.com/life/news/171230/lif1712300016-n1.html 「東風17」(推定射程1800~2500キロ)の発射実験を2回実施した。東風17が2020年ごろに実戦配備が可能な能力を獲得すると米情報筋はみているという。極超音速兵器は現在のミサイル防衛システムでは迎撃困難。 経済発展に必要な「愛国心」教育 2018.05.05 経済発展に必要な「愛国心」教育 HS政経塾 第6期卒塾生 坂本麻貴 ◆経済成長時期の見送りとモノづくり産業の人材不足 日本の発展を支える成長産業の半導体において、技術者の枯渇が深刻な問題となっているということが、5月2日付の日経新聞(注1)で報じられました。 記事によると、中国国有企業の長江存儲科技(YMTC)は、自前でフラッシュメモリー開発を進めるため、東芝の技術者をヘッドハンティングしているという記事です。 また、自動車運転技術の普及によって、半導体技術に精通する技術者が要になり、昨年末にはデンソーが東芝の四日市工場から開発チームを引き抜いたことも大きなニュースとなっていました。 そのため、メモリー需要の拡大で東芝が三重県四日市市と岩手県北上市に新製造棟を稼働させる計画で、十分な技術者を確保できず、頭を抱えているというのです。 同じ日の日経新聞で、プライマリー・バランスの黒字化達成を、これまでの目標から5年先送りし、2025年度とする検討に入ったことが報じられました。 日本の経済低迷には、こうした企業の苦悩も一因となっていると考えられます。 ◆プライマリー・バランスの黒字化には「減税」を 政府が目指す目標を実現するには、高い経済成長が必要になります。しかし、実際には簡単ではないようです。これまでも何度か、黒字化達成時期を先送りにしてきています。 今のままの政府の戦略では、結局2025年でも達成できず、2030年、2040年と先延ばしされる可能性も非常に高いと思われます。 幸福実現党は、経済成長させるために、消費税や法人税の減税の必要性を訴えてきました。 具体的には、消費税の税率では、現行の8%から5%へ引き下げるというものです。 5月1日に自民党の若手議員がつくる「日本の未来を考える勉強会」が、消費税率10%への引き上げの凍結をうったえていましたが、「凍結」では8%のままです。 人口が減少傾向にあるからこそ、消費税率を引き下げて、成長していける土台を作らなくてはなりません。 こうした「減税政策」とともに、経済成長のためには、専門技術をもつ人材の育成に力を入れる必要があるということが、この記事からうかがえるのではないでしょうか。 ◆「愛国心」が技術者を育てる 日本を代表する企業であるトヨタ自動車の創始者・豊田佐吉も、パナソニックの創始者である松下幸之助は、「愛国心」をもっていました。(注2) 愛国心について、幸福実現党創立者である大川隆法総裁は次のように指摘しています。 「愛国心というのは、国を発展させる大きな力になります。やはり、富を生産していく人、新しい価値を創造していく人をつくらなければいけません。」 「そのためには、国を愛していなければならないし、『国を愛して立派にしていくことは、よいことだ』と考えて努力することを認めなければいけないのです。」(『教育の使命』)(注3) また、次のようにも指摘しています。 「不況期における、いちばん正しい考え方は『人材教育』です。これが、いちばん効果があるのです。『不況期は人材教育の時期である』と考えたほうがよいでしょう。」 「リーダーであるならば、自分の部下たちをしっかり教育することです。『今は、お客様が大して買ってくれない時期である』と思うならば、教育の時期であると考えて、しっかりと『仕込み』にかかることです。」(『朝の来ない夜はない』)(注4) 国を愛する心が、日本という国で働く誇りにもなります。企業を支える人材を多く養成するためにも、愛国心教育を公教育に取り入れていく必要があるのではないでしょうか。 (注1)5/2日本経済新聞「技術者枯渇 東芝の苦悩 半導体メモリー増産に暗雲」 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO30054380R00C18A5EA1000/ (注2)『かえりみて明日を思う』松下幸之助 著/PHP研究所 (注3)『教育の使命』大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=906 (注4)『朝の来ない夜はない』大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=120 日本を取り巻く国際情勢は激変――憲法改正で国防強化を 2018.05.02 日本を取り巻く国際情勢は激変――憲法改正で国防強化を HS政経塾 第6期卒塾生 野村昌央 ◆時代の要請に応じて改正されてきた主要国の憲法 本日は「憲法記念日」です。71年前の1947年5月3日、日本国憲法が施行されました。 憲法記念日は、「日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する」日として定められています。 国の成長を考える憲法記念日だからこそ、議論の渦中にある「今の憲法を守り続けるべきなのか、それとも、憲法改正を行うべきなのか」を皆様と考える機会にさせていただければと思います。 日本の憲法は施行された71年前から全く書きかえられていません。 確かに、憲法は国の規範であることは間違いありません。ですが、国家の存続のためにその規範を改めることが必要であれば、十分に議論すべきことだと考えます。 世界の憲法は時代の要請に応じた形で改正されていることを皆さんは御存じでしょうか? 主要国を見ても、戦後、アメリカで6回、カナダで19回、フランスで27回、イタリアで16回、ドイツで59回の憲法改正が行われています。 ◆北朝鮮の脅威、その先にある中国の覇権主義 実際に、日本が置かれている国際情勢は大きく変化しています。 4月27日に南北首脳会談が行われ、南北の両首脳は笑顔で握手、緊張緩和を演出し朝鮮半島の「完全な非核化」を目標とすると宣言されました。 しかし、いつまでに、どのような方法で実現するのか明確になっておらず、過去、何度も裏切られてきた北の非核化交渉の歴史を見れば、半島情勢が話し合いで解決するとは思えません。 また、5月下旬から6月には米朝首脳会談が実施されます。しかし、核ミサイルの脅威にさらされている当事者の日本が蚊帳の外にいるのが現状です。 金正恩委員長に任期はありませんが、トランプ大統領の任期は長くとも2期8年間です。 平昌オリンピックからの融和路線を東京オリンピックまで続け、トランプ大統領が支持率を落として最初の任期である4年間で退陣すれば、金正恩は、近い将来米国からの圧力をかわすことが可能になります。 さらには、北朝鮮の騒動は、中国の覇権主義の隠れ蓑となっていることを忘れてはいけません。 習近平氏は米中共同記者会見で「太平洋には中国とアメリカを受け入れる十分な空間がある」と発言しています。 中国は北朝鮮を抑える振りをしながら、その狙いは、米中で世界を二分する意図をもっています。 ◆現在の国内政治は週刊誌政治 日本は間近にその危険にさらされていますが、国内政治はまともな議論もできない状況です。 森友問題・加計問題・防衛省の日報問題と、同じ問題でもう一年以上も国の命運を決める国会が振り回され続けています。 そこには大局観はなく、スキャンダルをマスコミがつついて、それに乗じた野党が積み木崩しのように安倍政権を崩そうとしています。 まるでマスコミや野党が結託して国会で政治日程に乗りつつあった憲法改正の議論をつぶそうとしているように見えます。 まさに、週刊誌で政治が動く「週刊誌政治」と言えるのではないでしょうか。 ◆加憲ではなく9条の改正で国防を強化 そもそも憲法とは一体何のためにあるのでしょうか。 よく言われるのは、「権力を縛る」役割です。「国家権力の暴走を抑止し、国民の権利を守るために憲法がある」ということです。 しかし、国家から国民の安全を守る力をも縛ってしまえば、国は周辺国に翻弄され続けることとなります。それでは主権ある独立国家とは言えません。 また、「国防の強化」は、「日本国憲法の特徴のひとつである『平和主義・戦争放棄』をダメにする」という意見もあります。 日本が平和主義を謳っていても、もしも平和を脅かす相手が現れた場合には平和で居続けることはできません。国が滅びることを黙って見ているのも平和主義と言えるのでしょうか。 日本が国防のあり方を世界標準に合わせ、北朝鮮や中国に悪を犯させないようにしてこそ、本当の平和主義ではないでしょうか。 やはり、憲法において自衛権の保持を明確にするべきです。「自分の国を自分で守る」ことは主権国家として当たり前の姿なのです。 他国の脅威に国民の安全が脅かされるならば、国のリーダーは毅然とした態度で国家を守る気概を示さなくてはなりません。 憲法9条に第3項を付け加える安倍首相の加憲案は、憲法に政府解釈を書き込むだけで現状と何も変わりません。 これでは北朝鮮と中国の狙いを阻止し、平和を守り続けることはできません。 幸福実現党は、憲法9条を改正し、国民の生命・安全・財産を護るため、陸軍・海軍・空軍よりなる国防軍の組織を、明記すべきだと訴えています。 私達は今後とも一貫して国防の議論を喚起してまいります。今後とも幸福実現党へのご支援の程、よろしくお願い申し上げます。 すべてを表示する