Home/ 2016年 January 2016年 January 交通革命の歴史と未来ビジョン【その1】 2016.01.02 文/HS政経塾第二期卒塾生 曽我周作 ◆投資意欲を引き出す減税政策を まず初めに、10月7日付の当ニュースファイルで「事業用資産(償却資産)への課税は、課税根拠が極めて不明確であり、経済成長の阻害要因であると考えられるため、「これを撤廃すべきである」」と主張させていただきました。(参考:http://hrp-newsfile.jp/2015/2436/) その後、11月30日の日経新聞の報道でもあるように、自民税調が「資本金1億円以下の中小企業が新たに導入する製造機械や建設機械、発電機といった機械・装置が対象。評価額に応じて年1.4%かかる固定資産税を減らす」方針を固めたようです。 しかし、景気が思うように回復せず、消費増税の悪影響も重なりデフレからの脱却も不完全な中、もう一段思い切った減税方針を打ち出せないものかというのが正直な印象です。 もっと政府は全力を挙げて「民間の投資意欲を引き出す」方針を打ち出すべきです。今回のテーマである交通革命を起こしていくためにも、民間企業が投資しやすい環境を作っていく必要があります。 ◆馬車から始まった交通革命 さて、今回のテーマである「交通革命」ですが、それは、いつどのような形で始まったのでしょうか。実は近現代における交通革命の起源は、馬車から始まったと考えられます。 都市交通としての「交通革命」は乗合馬車が世界各地で生まれた19世紀から本格的に始まったといえるでしょう。 乗合馬車や馬車鉄道が国民の生活や、都市のあり方を変えていった様子の一つとして『都市交通の世界史』に次のようなことが書かれています。 「(馬車鉄道は)時速8マイル(約12.9㎞)と徒歩や馬車よりも早く、エネルギー効率で3倍の乗客を輸送することができ、乗り心地も快適であった。馬車鉄道は、ニューヨークに登場した初めての大量交通機関であり、マンハッタンの北で建設ブームを引き起こす一因となった。1832~1860年に、都市の境界は42番ストリート付近まで北上し、富裕層を中心に郊外へ移転が生じた。」(p26) 「(ロンドンでは)18世紀後半には、過密化によって居住環境の悪化が進む都心部を離れ、郊外に移転する動きが富裕なシティの商人層(上層中流階級)から始まった。この動きは19世紀に入ると、技術者や上級事務員など、中層中流階級にも広がっていった。中層中流階級の郊外移転を促した最大の要因は公共交通機関、特に1829年からの乗合馬車の発達である。」(p54) ここでは非常に重要な事が述べられています。それは「(それまでより)スピードの速い乗り物」が広く利用されるようになった結果、都市が外へ向けて広がりをみせ、人びとが郊外に移り住み、都市の中心部に向けて仕事等に出かけるスタイルができたということです。 やはり、都市のあり方や、人びとの生活が変わるきっかけのキーポイントの一つになるのが「スピードアップ」であることがうかがえると思います。 ◆交通革命・都市交通の充実が現代の都市を生み出した さらに、当然のことながら馬車鉄道の後には、蒸気機関の鉄道や電気鉄道が導入されていき、さらにスピードアップが図られ、さらに大量輸送が可能になっていきます。 「(ニューヨークの)地下鉄開業後、沿線人口は増加を続けた。例えば1900~20年に、マンハッタンの人口は1.23倍に、ブロンクスの人口は3.7倍になった。これら住民は、マンハッタンへの通勤に地下鉄や高架鉄道を利用した」(『都市交通の世界史』p32) 交通革命・都市交通の充実が高度な集積を生み出していきました。そして「輸送技術は都市を形成し、マンハッタンのミッドタウンは、大量の人々を運べる二大鉄道駅を中心に建設されたのだった」(『都市は人類最大の発明である』p185)ともいわれるように、現代の都市を生み出したのは交通革命・都市交通の充実であったといえるでしょう。 また、例えばドイツの首都ベルリンについて、以下のようにと指摘しています。 「ベルリンの都市としての発展は19世紀後半に急拡大するが、その原因の1つとして1866年にそれまでの市の囲壁が取り壊され、その外側に労働者向けの廉価な高層住宅が密集して建造されたことがあげられよう。この団地は…人口密度が高まる要因となった。人口増大と産業の発展によって急速に拡大するベルリンの都市機能を支えるために、19世末から20世紀初めにかけては、公共交通のネットワークが拡大、改善された」(『都市交通の世界史』p128) 交通網の整備は都市を外側へ拡大させる力が働くと同時に、それを一つの都市として見た場合、その都市圏に人やモノ等を引きつけ集積させる求心力も同時に働きます。 「十九世紀末には、都市は外に広がると同時に上にも広がったのだった」(『都市は人類最高の発明である』p224)と指摘されるように、都市は高層化によって更なる集積を可能にしながら発展を遂げていきました。 (つづく) 「マイナンバー制度の廃止を含めた抜本的見直しを求める署名」へのご協力を! 2016.01.01 文/HS政経塾一期卒塾生/逗子市政を考える会 彦川太志 新年明けましておめでとうございます。 本年が読者の皆様にとって福多き年となり、また、日本と世界の行く末が明るく開けていく年となることを祈念申し上げます。 ◆「マイナンバー制度の廃止を含めた抜本的見直しを求める署名」へのご協力を! 昨年末より、幸福実現党は「マイナンバー制度の廃止を含めた抜本的見直しを求める署名」に取り組んでいます。 国家による監視社会の到来を防ぎ、国民の自由を守るための重要な署名活動となっていますので、多くの皆様のご協力をいただければと考えております。 本日は、マイナンバー法に漠然とした不安感は感じているものの、「一体何が危険なの?」という点についてわかりやすく説明するための材料を用意してみました。 ◆国民は10年越しで「ゆでがえる」にされてきた マイナンバー法は、民主党政権が発足した2009年の「平成22年度税制改正大綱」における言及に始まり、政権交代にかかわりなく着々と準備が続けられてきました。 2013年5月には「税・社会保障・災害対策」の3分野に限定して成立しましたが、2015年9月に法改正が行われ、2018年から金融機関(任意)や医療分野などの民間分野にも利用を拡大できるようになりました。 2021年には義務化も予定されております。 国民を「ゆでがえる」にするかのように、10年越しで着々と進められてきた法案であることがわかります。 ◆政府の本音は「コンビニのレシート」まで監視したい!? さらに昨年9月ごろ、財務省からとして、「軽減税率をマイナンバーカードを通じて還付する」という驚きの案が登場しました。 例えば軽減税率8%の商品を購入するとして、「購入時は10%で支払い、マイナンバーカードに残った購入履歴を合算して年末に還付する」という案です。 さすがに反発が大きく現状では白紙となっている案ですが、これが財務省の「本音」の部分と考えて間違いないのではないでしょうか。 仮にこの制度が実施されれば、軽減税率が適用される商品は全て、スーパーやコンビニのレシートに至るまで、支出が把握されてしまうという事になります。 軽減税率は食料品や加工品など、「どこで線引きをするか」が微妙であることから、業界団体による「財務省詣で」が加速する恐れも指摘されていましたが、軽減税率の対象が増えれば増えるほど、財務省としても国民の支出を把握することが容易となる可能性もあるわけです。 結局のところ、財務省は最終的に、「国民の所得、資産、消費の全てを把握しよう」という狙いを持っていることが浮き彫りになったと言えます。 ◆政府は「安心です」と言うだけで、漏洩の責任はとってくれない もっとも懸念される事は、個人情報の漏洩です。アメリカや韓国など、すでに同様の制度を導入したことで深刻な個人情報流出や、なりすましに直面した事例がいくつも報告されています。 政府は「日本の場合、他国よりも厳しい本人確認を行うので安心です。」「自治体はこれまで10年以上住基ネットを運用してきましたが、一度も事故は起きていないので、大丈夫です。」という発信をしておりますが、現実にトラブルは起きている。というのが実態です。 2012年、愛媛県中予局勤務の職員が住基ネットを「興味本位で」不正に閲覧したことが発覚し、戒告処分を受けています。また2013年には、兵庫県加古川市職員が住基ネットの住民情報を探偵業者に漏洩し、恐喝未遂事件にまで発展しました。 このような「人」を介したトラブルが現に発生している他、2015年6月、サイバー攻撃によって日本年金機構から125万件分の個人情報が流出した事件も記憶に新しいところです。 一旦個人情報が流出すると、流出した情報以上に「私の情報は大丈夫だろうか」という不安につけ込んだ「便乗詐欺」が横行し、二次的な被害を広げてしまうことにもなりかねません。 政府がいくら「安心です!」と声を大にしていたとしても、それを鵜呑みにするわけにはいかないのです。 ◆マイナンバーの廃止を含めた見直しの必要性 以上のように、自由を抑圧する監視社会をもたらすとともに、国民に無用な不安感を与えるマイナンバー制度に対して、幸福実現党は下記のように訴えています。 一、マイナンバー制度を廃止すること。 一、廃止できなければ、マイナンバーの利用を「税・社会保障・災害対策」の従来の3分野に限定し、2018年から予定されている「預金口座、健康保険証、戸籍、パスポート、証券口座等や、地方自治体、民間等」への利用拡大を中止すること。 幸福実現党は、「小さな政府と安い税金」により、自由からの経済繁栄を主張してまいります。ご協力のほど、何卒よろしくお願いいたします。 ■マイナンバー制度の廃止を含めた抜本的見直しを求める署名 http://info.hr-party.jp/2015/5007/ ※署名用紙はこちらからダウンロードできます。 http://info.hr-party.jp/files/2015/12/WkID9rtF.pdf 【署名活動期間】 2015年12月4日(金)~2016年4月30日(土) ・第一次締切:2016年3月31日 ・最終締切 :2016年4月30日〔党本部必着〕 【署名送付先】 〒107-0052 東京都港区赤坂2-10-8-6F 幸福実現党本部 TEL:03-6441-0754 IR推進法は浪費推進法!?賭博で日本を豊かにできる? 2016.01.01 IR推進法は浪費推進法!?賭博で日本を豊かにできる? 幸福実現党・大阪第5選挙区支部長 数森 圭吾 ◆IR推進法とは 2016年12月15日の衆議院本会議で自民党や日本維新の会などの賛成多数で「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」、いわゆるIR推進法が成立し、カジノ合法化への道が開かれることになりました。 このIRとはIntegrated Resortの略で統合型リゾートを意味しています。 この統合型リゾート施設とは、地方自治体の申請に基づいて、カジノの併設を認める区域を指定されて設置される国際会議場・展示施設やホテル、商業施設、レストラン、劇場・映画館、アミューズメントパーク、スポーツ施設、温浴施設などと一体になった複合観光集客施設をさしています。 この説明ですと、IR推進法が地域にエンターテイメント性や商業性の向上をもたらし、人もお金も集まってくる良いイメージを持つ方もいるのではないかと思います。 このIR推進法の主なメリットとしてあげられているのは、「国内外からの観光客の誘致やMICEの振興」「カジノ税収入など新規財源の創出」「地域での雇用促進や経済波及効果」などです。 つまり政府は「消費促進にともなう経済効果」「新たな財源(税収)」を狙ってカジノを合法化しようとしているといえます。 ◆刑法185条 賭博の禁止 しかし日本では刑法185条によって賭博が禁止されています。 これは、賭博を放置すると国民の勤労意欲が失われ、さらに賭金の獲得や借金の返済のために窃盗や強盗など他の犯罪が誘発されることなどが懸念されるためであり、賭博罪とは、風俗ないしは経済倫理・秩序に対する罪であるとされています。 IR推進法の成立によって、今後日本でカジノの法制化がすすめられるにあたり、この刑法で定められた賭博罪との矛盾を乗り越えることは非常に難しい問題です。 個人で賭博をした場合には犯罪となるにも関わらず、国が関わるカジノは合法となることには疑問が残ります。 ◆「賭博が国を滅ぼす」と考えた歴史の為政者たち 歴史を振り返ると、日本初の賭博禁止令を出したのは689年の持統天皇で、その対象となったのは「すごろく」でした。 また戦国時代には武士たちが陣中などでも賭博に熱中したことから、「賭博」が士気に関わる懸念材料の一つとなっていたそうです。 そのため、徳川家康が天下統一を果たすと、賭博常習者を厳罰に処したとされています。 歴史的にも為政者にとって「賭博は国を滅ぼす」と認識されることが多かったと言えます。しかし反対に、今の政府はこの賭博を合法化しようと考えているのです。 ◆カジノ解禁によるデメリット カジノ解禁によるデメリットとして、「反社会的勢力の活動の活発化」や「ギャンブル依存症問題」などが懸念されています。 カジノ解禁によって暴力団やマフィアが介入する可能性が高まり、反社会的勢力の資金源を増やすことになる。またマネーロンダリングにカジノが利用される可能性もあるといえます。 またカジノが身近にできることによってギャンブル依存症となる人の増加が見込まれるともいわれています。 ◆IR推進法によって促進されるのは、消費?浪費? IR推進法は、消費促進にともなう経済効果と新たな財源を狙ったものです。政府の思いは「なんとしても国民に金を使わせたい」というのが正直なところでしょう。 刑法にある理念や倫理を無視してまで行われる消費推進は、いつのまにか「浪費推進」になっていくのではないでしょうか。これでは国民の堕落を招きかねません。 ここ最近の政府の他の動きをみると、10年以上使われていない預金を政府が回収する「休眠預金法案」や、月末の金曜は15時退社を推進する「プレミアムフライデー」がすすめられています。 財源確保や消費促進のためなら私有財産没収を行い、民間企業の就労スタイルにまで口をつっこむ政府は「国民が消費するためなら手段は選ばない」という次元にまできているのではないでしょうか。 この考え方を極端にしていくと「理想実現の為なら暴力革命も厭わない」という共産主義的発想に通じるような怖さもどこかで感じてしまいます。 政府は自由主義・資本主義の精神に基づいた政治理念について考え直し、減税など、健全な消費を促す政策を実行し、経済発展に伴う税収の確保を第一とすべきではないでしょうか。 すべてを表示する « Previous 1 2 3