Home/ 2015年 December 2015年 December 慰安婦問題の終わりのはじまり 2015.12.31 文/HS政経塾4期生 窪田 真人 ◆「慰安婦問題」で日韓合意!? 日韓両政府は12月28日の外相会談で、旧日本軍の慰安婦問題の決着で合意したと、マスコミ各社が報じました。 なお日韓外相会談では、おおむね以下5点のことが合意されました。 1.当時の日本軍の関与のもとに、多数の女性の名誉と尊厳を傷つけたことに対して、日本政府は責任を痛感している。 2.安倍首相はそのことに関して、心からの反省とお詫びを表明している。 3.韓国側が設立する財団に、日本政府の予算から資金(10億円)を拠出し、心の傷を癒す措置を講じる事業を支援していく。 4.在韓日本大使館前に置かれた元慰安婦の少女像に関しては、韓国政府はそれを移動すべく関連団体と協議し、適切な解決に向けて努力する。 5.今般の合意は「最終的かつ不可逆的」で、日韓両国は今後、国連など国際社会において、互いを非難することをしない。 上記合意を通し、岸田外相は「日韓間における従軍慰安婦問題の終結」を表明し、同盟国であるアメリカもまた日韓慰安婦合意を評価することを表明しています。 では、この日韓合意について我々はどのように評価するべきなのでしょうか。 ◆日本は白旗を上げた! 今回の日韓合意、その実態を踏まえると残念ながら全く評価されるものではありません。 そもそも従軍慰安婦なる存在は朝日新聞の一連の捏造報道が元になってつくられたものであり、全くのでたらめです。 韓国が外交上の切り札としてこのでたらめを使い始め、河野・村山談話を通し、日本が韓国に対して公式謝罪をしてしまった結果、世界中に「従軍慰安婦は存在した」、「日本は朝鮮の方々に悪いことをした」という認識が広まってしまいました。 また皆様ご存知の通り、1965年日韓国交正常化にあたって結ばれた日韓請求権・経済協力協定にて、日本は韓国に5億ドル(当時の韓国国家予算のほぼ2年分)の経済協力等を行い、日韓の賠償問題については完全かつ最終的に解決されています。 こうした背景があるにも関わらず、日本政府は「心の傷を癒す措置を講じる事業」に対する支援として、元慰安婦へ10億円もの財政支援を行おうとしているのです。 さらに岸田外相は共同記者発表で「当時の軍の関与のもとに多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、日本政府は責任を痛感している」と強調しました。 この主張は今年8月14日に出された戦後70年談話以上に、日本の戦争責任について言及した内容です。 こうした姿勢は「日本が従軍慰安婦問題を認めた」と諸外国に発信することに繋がります。 実際にこの日韓合意を受け、NYタイムズなど海外の大手メディア各社では「日本が従軍慰安婦問題を認め謝罪した」との認識のもと記事が多数書かれています。 以上をまとめると、日本は今回の日韓合意を通して、韓国のプロパガンダを認め、全く支払う必要のない10億円もの大金を国民の税金を元に韓国に支払い、さらには「日本が従軍慰安婦問題を認め謝罪した」と世界中に発信してしまったのです。 これは、従軍慰安婦問題について日本は韓国に白旗を上げたと言わざるを得ません。 ◆韓国の国益優先!迷走中の安倍内閣!! 従軍慰安婦問題が日韓の間で解決されたかのように報道がなされていますが、全く以てそんなことはありません。 そもそも50年前の1965年に決着がついているはずなのに、韓国は(朝日新聞の捏造記事が出されて以降)何度も従軍慰安婦問題を蒸し返しています。 韓国政府の「蒸し返さない」という言葉は全く信用できるものではありません。韓国は近い将来、新たな謝罪や補償を求めてくるでしょう。 また韓国側の強い要望により、今回の慰安婦問題合意は前代未聞の口約束形式でなされ、合意文書作成・調印見送りがなされました。 さらにソウル日本大使館前にある慰安婦問題を象徴する少女像については市民団体の意向次第とされ、撤去が約束された状態ではありません。 このように、日韓合意の内容は韓国に大きく譲歩したものになっています。 現在韓国は、最大の輸出先である中国経済の悪化の影響を受け、大きく経済が後退しています。 2015年10月の韓国の輸出額は前年比15.8%減少しました。輸出依存度が高いことで知られる韓国にとっては大きな打撃です。 こうした状況下において韓国の視点から考えると、日本との関係を改善し、経済関係を強化することは避けて通ることはできません。 外交交渉上日本はその点を大きく利用し、最大限自国の利益を確保するべく努めるべきでした。 にも関わらず、なぜこのように韓国にとって大変優位な合意内容になるのでしょうか。全く以て日本政府の意向が理解できません。 今回の合意は、これからさらに多くの問題につながるでしょう。 ◆日本と世界のあるべき発展のために そうした中で今、我々にできることは、「従軍慰安婦問題はデタラメである」という正しい歴史観を世界に発信し続けることでしょう。 そして従軍慰安婦問題の諸悪の根源となっているのが、河野・村山両談話の存在であり、一刻も早く両談話を撤回しなくてはなりません。 幸福実現党は歴史認識を巡る日本の名誉回復に向けて、自虐史観談話の撤回をはじめ、東京裁判史観の払拭に引き続き取り組んでまいります! 真実の下に日本、そして世界の発展を実現して参ります!! 参考:【幸福実現党声明】日韓外相会談を受けて http://shaku-ryoko.net/education/6914/ 「パリ協定」の曲解で国を滅ぼすことなかれ【後編】 2015.12.30 文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 ◆不確実性が高い米国の参加 米国はパリ協定をオバマ大統領のレガシー(政治的遺産)とするため、議会の同意を必要とせず大統領権限で署名できる「単独行政協定」の範囲にとどめる必要がありましたが、大統領権限だけで本当に署名できるかどうかについては、異論があります。 議会で過半数を占める共和党は、「パリ協定はシュレッダーにかける」と徹底抗戦の構えを見せており(12/23 毎日新聞)、議会の同意が必要となれば、米国はパリ協定に署名することは不可能です。 また、仮に米国が署名したとしても、今後共和党への政権交代があれば、京都議定書のように米国がパリ協定から離脱する可能性は非常に高いといえます。 日本は米国など他国の状況を十分に見ながら、場合によってはパリ協定への署名を拒否する姿勢を持たなければなりません。 ◆パリ協定を「利用」する環境派・環境省に注意せよ このように、パリ協定では各国が削減目標を達成する国際法上の義務はなく、仮に達成する場合でも削減目標の厳しさには大きな差があり、そもそも米国など主要排出国の参加が完全に保証されているわけではありません。 しかし、パリ協定の採択をきっかけとして、またぞろ、環境派のメディア、政治家、学者、NGO、環境省等が、日本国内でのCO2排出削減の強化を主張しています。 パリ協定の採択を受けて、12月22日に安倍総理を本部長とする政府の地球温暖化対策本部が開催され、地球温暖化対策の取組方針が決定されました。 ※パリ協定を踏まえた地球温暖化対策の取組方針について (2015年12月22日 地球温暖化対策本部) https://www.kantei.go.jp/jp/singi/ondanka/kaisai/dai32/paris_torikumi.pdf それとともに、同日の政府の審議会で地球温暖化対策計画の骨子案が提示されました。 ※地球温暖化対策計画(骨子案) 2015年12月22日 産業構造審議会 産業技術環境分科会 地球環境小委員会・中央環境審議会 地球環境部会 合同会合 資料3 http://www.meti.go.jp/committee/summary/0004000/pdf/044_03_00.pdf この骨子案には、「国民運動の推進」という項目があり、「地球温暖化に対する国民の意識改革と危機意識浸透を図る」、「国民に積極的かつ自主的な行動喚起を促すことで、低炭素社会にふさわしい社会システムの変革やライフスタイルの変革を促進させる」と書かれています。 日本の約束草案は、年率1.7%という控えめな経済成長率のもとで、国民の徹底した省エネ・節電によってエネルギー需要を大幅に削減することが前提となっており、「国民運動の推進」は、国民が自由にエネルギーを使えなくなることを意味します。 また、「慎重に検討を行う」とは書かれているものの、「国内排出量取引制度」について、わざわざ言及しています。 「国内排出量取引制度」は、政府が企業に「CO2を排出できる量」を割り当て、これを達成した企業と達成できなかった企業との間で、余剰排出量を取引する制度であり、EUや米国の一部の州、日本では東京都と埼玉県で導入されています。 CO2は生産活動やエネルギーの使用に伴って必然的に排出されるものであり、その排出上限を政府が割り当てるということは、生産調整やエネルギーの配給制に他ならず、極めて経済統制的な手法であることから、産業界が強く反対しています。 このような政策を実行すれば、製造業は規制の緩い国に生産拠点を移転し、結果としてGDPを減少させ、雇用が失われてしまいます。 このように、特定の目的のために国民の価値観を誘導し資源配分を集中するような、社会主義的・全体主義的な政策が政府によって簡単に提案できてしまうところに、「地球温暖化対策」の本当の恐ろしさがあります。 今後の半年で、政府の「地球温暖化対策計画」の具体化が進むと考えられますが、その内容が国民の自由と繁栄を奪い、経済の低迷に伴って日本の安全保障が脅かされることがないよう、幸福実現党は警鐘を鳴らしてまいります。 「パリ協定」の曲解で国を滅ぼすことなかれ【前編】 2015.12.29 文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 ◆万雷の拍手で迎えられた「パリ協定」 12月12日、フランス・パリで開催されていた国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で、2020年以降の温室効果ガス削減に関する新たな国際枠組みである「パリ協定」が、196の国と地域の賛成で採択されました。 パリ協定は、京都議定書(1997年)以来18年ぶりに採択された法的拘束力のある国際枠組みであり、各国代表はスタンディングオベーションで採択を歓迎しました。 また、日本政府代表団の事実上のトップであった丸川珠代環境大臣の尽力もあり、これまでの日本の主張が概ね反映されたことから、安倍総理や政府も歓迎を表明しています。 ◆パリ協定で決まったこと パリ協定では世界共通の長期目標として、産業革命以前からの地球の温度上昇を2℃より十分下方にとどめ、さらに1.5℃以下にとどめるよう努力すること(パリ協定 第2条)、世界全体の排出のピークをできるだけ早めること、21世紀後半に人為的な排出と森林による吸収をバランスさせること(パリ協定 第4条)などを決定しました。 先進国が途上国に温暖化対策の資金を提供することを義務付け、中国などの途上国も自主的に資金を提供することが奨励されます(パリ協定 第9条)。 また、世界の排出量の55%以上を占める55か国以上の批准が、パリ協定の発効要件として決まりました(パリ協定 第21条)。 これは、一部の主要排出国が批准しない場合に協定が法的拘束力を持たないようにするためであり、丸川大臣の発言が反映されました。 ◆パリ協定に基づく削減目標を達成する義務はない パリ協定では、全ての国が自主的な削減目標を5年ごとに提出・更新し、その実施状況を報告し、レビューを受けることが決まりました(パリ協定 第4条)。 この点は、国連が先進国だけにトップダウンで削減義務を割り当て、中国を含む途上国には削減義務がなかった京都議定書とは決定的に異なるものであり、日本や米国の主張が反映されています。 各国は削減目標の達成に向けて国内で削減措置を講じる義務がありますが、削減目標を達成することは、京都議定書と異なり、どの国においても国際法上の義務ではありません。 例えば、日本が7月に提出した約束草案「2030年度に2013年度比26%削減」(「日本の約束草案」2015年7月17日 地球温暖化対策本部)は、達成できなかったとしても、パリ協定には違反しません。 ◆日本の削減目標を実際に守ればバカを見る パリ協定で全ての国が自主的な削減目標を提出することになったことは、公平性の観点から一定の評価はできますが、現時点で各国が提出している削減目標(約束草案)を比較すると、その厳しさには大きな差があります。 政府は「欧米と遜色ない約束草案を提出した」と説明していますが、これは基準年を2013年に揃えれば欧米の数字と大差はないという意味であり、石油危機以降に既に世界最高水準のエネルギー効率を達成していた日本と、効率が悪い東欧の旧共産圏諸国を含むEU、シェールガス革命で排出が減った米国とは、大きく事情が異なります。 地球環境産業技術研究機構(RITE)は最新の研究の中で、各国が約束草案を達成すると仮定した場合に、1トンの二酸化炭素(CO2)を追加的に削減するために必要な費用(限界削減費用)を比較した結果を示しています。 ※我が国および世界各国の約束草案の排出削減努力の評価 (2015年12月18日 地球環境産業技術研究機構) http://www.rite.or.jp/news/events/pdf/akimoto-ppt-kakushin2015.pd それによると、CO2の限界削減費用は、日本の378ドルに対して、スイスだけが380ドルとやや高いですが、EUは210ドル、韓国は144ドル、米国は85ドル、オーストラリアは33ドル、ロシアは4ドル、中国とインドに至ってはゼロという、ほぼ日本だけが突出して高い結果となっており、相当なコストをかけなければ、約束草案は達成できないことがわかります。 一方、例えば中国の約束草案は、「2030年に2005年比でGDPあたり60~65%削減」というものであり、実質的に削減目標ではないため、容易に達成できます。 このような中で日本が無理に削減目標を達成しようとすれば、莫大なコストがかかり、決定的な経済のダメージを受けることになってしまいます。 (つづく) 日本軍のユダヤ難民保護を中国がユネスコ申請へ 2015.12.26 文/幸福実現党・政務調査会 佐々木勝浩 ◆映画「杉原千畝」 現在全国で映画「杉原千畝」(すぎはら・ちうね)が上映されています。 外交官である杉原千畝氏が、大戦中ナチス・ドイツから、自己の命の危険も顧みず6000人ものユダヤ人を救った姿は大変感動的です。 ちなみに杉原氏はイスラエル政府から、昭和60年に日本人としては初めて「諸国民の中の正義の人賞」を授けられています。 ◆日本政府はナチスのユダヤ人排斥要求を拒否した 一つ映画の中で気になる点は、「日本政府に背き、命のビザを発行した」というポスターの文言です。杉原千畝氏は、もちろん素晴らしい方ですが、「軍国主義の日本」は悪い国だったという印象がどうしても残ります。 当時、日本政府はナチス・ドイツから度重なる「ユダヤ人排斥要求」を受けていました。しかしユダヤ人排斥はできないとして安江仙弘大佐の働きかけで板垣征四郎陸相(後にA級戦犯で死刑)等が会議でユダヤ人を人道主義の下に保護することを決定しています。 「杉原ビザ」と同時期には、ウィーン、プラハ、ストックホルム、モスクワなど12以上の都市の日本領事館もユダヤ人へビザを発行しています。 そして後にA級戦犯で死刑になった当時の関東軍東条英機司令官、また松岡洋介満州鉄道総裁が協力して、無賃でユダヤ人の亡命を助けました。 ◆2万人のユダヤ人を救った樋口季一郎少将 この時、吹雪の中で2万人とも言われるユダヤ人を救ったのが樋口季一郎少将です。 樋口少将は、第二次大戦当時、日本が支配権を持っていた満州国ハルピンの特務機関長をしていました。 ドイツから迫害にあったユダヤ人は、ソ連に逃げ込む人が多くいました。しかし、ソ連はシベリア開拓や農業の労働力として期待できないとみるやユダヤ人の入国を拒否します。 しかたなくユダヤ人は、シベリア鉄道に乗り込み満州国を目指しました。ソ連と満州国の境にあるシベリア鉄道の終着点、オートポール駅はユダヤ人で溢れかえりました。飢餓と寒さに震えるユダヤ人の数は2万人です。 このとき、それを聞きつけた樋口少将は、ただちに救援列車を手配し、ユダヤ人を満州国のハルビンに受け入れたのです。 そこで医療介護を受けたユダヤ人たちの多くは、その後、旧日本軍が上海の日本人居留区に置いた「無国籍難民隔離区」で保護したのです。 ドイツが日本に対して、大量のユダヤ人を満州国へ受け入れたことについて抗議をしてきた際、東条英機司令官は「当然なる人道上の配慮によって行ったものだ」として一蹴しました。 イスラエルの首都エルサレムの丘には、モーゼ、メンデルスゾーン、アインシュタインなどの傑出した ユダヤの偉人達にまじって、上から4番目に「偉大なる人道主義者、ゼネラル・樋口」と刻まれた高さ3メートルの黄金の記念碑が立っています。 ◆日本がやったユダヤ人保護を自国の功績として記憶遺産登録申請する中国 日本は、樋口少将などの尽力によって2万7千人を超すユダヤ難民を、上海の日本人居留区にあった無国籍難民隔離区」で保護しました。 ところが、中国は上海で行った日本のユダヤ人難民保護を封印し、「抗日戦争勝利70周年」の一環として、中国が上海でユダヤ人保護に貢献したかのように来年の3月にユネスコ記憶遺産に申請しようとしています。 当時の中国大陸は蒋介石率いる国民党政府であり、現在の中国共産党は政権の座になければ、上海でユダヤ人を助けた歴史もありません。 中国は、ウソまでついて人道主義国家を演出してチベットやウイグルでやった大虐殺を隠蔽しようとしているのです。 日本が何もしなければ、「南京大虐殺」のように中国の更なるウソがユネスコに記憶遺産に登録されてしまうでしょう。日本政府は、今からでも上海でのユダヤ人保護は日本がやったことをユネスコに説明する必要があります。 また中国のウソを打ち消すためには、杉原千畝氏の「ユダヤ人救出の命のビザ」だけでなく、安江仙弘大佐、板垣征四郎陸相、関東軍東条英機司令官、樋口季一郎少将もユネスコ記憶遺産に登録申請すべきでしょう。 外交官だけではなく、軍人が中心になってユダヤ人救出の人道主義が実現したことを世界にアピールすべきです。 必要なのは「軽減税率」ではなく「増税中止」 2015.12.25 文/幸福実現党・政務調査会チーフ 小鮒将人 ◆我が党は、消費減税を進める政党 去る12月16日、与党間で協議されていた「2016年税制改正大綱」の全容が固まりました。 その中で、2017年4月の消費増税時に導入する「軽減税率」について一応の決着が付き、1兆円という財政規模及び、適用される具体的な品目について合意がなされました。 今回の議論では、軽減税率の線引きに、インボイス(税額票)の導入、「みなし特例」制度の新設、今となっては笑い草ですが、低所得者への現金やらプリペイドカードの給付案なども浮上しました。 しかし、こうしたドタバタ劇については、そもそも消費増税がなければ起きようがなかったものです。 我が党は「国民の負担を軽減し、自由の領域を拡大することで、経済成長とその果実である税収増を目指す」のが、経済政策の基本方針です。 そして、軽減税率については、党声明で表明したとおり「消費増税の負担減が必要というのなら、本来は、軽減税率の導入で対処するのではなく、増税自体を取りやめるべき」という立場です。 ◆「税率据え置き」となる個別品目をどう見るか そうしたことも踏まえた上で、今回の軽減税率の対象となる具体的な品目について見てみましょう。 まず、生鮮食料品や加工食品などは「生活必需品」として、これらの増税を避けることができたという意味では、8%の税率据え置きが望ましいことは言うまでもありません。 さらに、新聞・書籍関係について、新聞は「税率8%に据え置き」、書籍も「同様の方向で検討中」となりました。 新聞に対する軽減税率の適用は、財務省とマスコミと裏取引の懸念はあるものの、書籍・出版の自由が自由主義を保障する大きな根幹をなすものであることは間違いありません。 少なくとも、今回の協議の結果、この分野での増税が止まったことには賛成の立場です。 といっても、現在のマスコミのあり方そのものを是としている訳ではなく、つねに国家・国民にとっての利益をもたらすものであるか、今後も注視を怠ってはなりません。 ◆GDP1,500兆円を実現するために さて、現時点の日本経済の現状について、8日に内閣府より発表された7月~9月のGDP改定値は「年率換算プラス1.0%」でした。 昨年4月以来、GDPの値は、プラスとマイナスを行き来しており、現在の日本経済は、アクセルを踏みながらも「消費増税」というブレーキをしている状態です。 このままでは、少なくとも日銀黒田総裁がことあるごとに表明してきた「物価上昇率2%」の目標達成は、極めて困難な状況です。 しかし、それでも、プラスの結果を残したという意味では「ブレーキを踏みながらも、前進し続けている」、日本経済の底力を感じるところです。 幸福実現党は、さらなる日本経済のさらなる発展を通じて、世界のリーダーたるべき役割があると訴えています。 先般、総合雑誌「ザ・リバティ」の綾織次郎編集長による著書「GDPを1500兆円にする方法」が出版されました。 アマゾンwebサイトより http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4863957408/liberty0b-22 このタイトルを見ると、キャッチフレーズとして「極端な数字」を掲げたのではないか、と思う方も多いでしょう。 現在の日本は、「失われた20年」での中で、およそGDP500兆円のレベルを行き来している状態が続いてきました。この書籍では、3倍の1,500兆円のGDP達成が可能、という夢のようなビジョンが掲げられています。 実は、1990年代以降、日本が米国と同程度の経済成長を続けていたら、すでに1,500兆円のGDPが達成可能だった、という話が掲載されています。 「なぜ、米国並みの経済成長ができなかったのか」、逆に「何がその成長を止めていたのか」が、分かりやすく解説されています。これを読むと、いかに政治または官僚の経済政策が国民の財産を奪い取り続けてきたのか、ということが実によくわかります。 そして、1500兆円という数字は、本来、達成していなければおかしい数字であったことを感じます。 例えば、消費増税の中での「年率換算プラス1.0%」というGDP値について述べましたが、仮に、増税ではなく、減税を行うことによってこのプラスがさら2%、3%とさらに大きな数字になり、米国並みの成長を取り戻せたということは間違いありません。 さらに、リニアなどのインフラ整備、未来産業の立上げなどを国家が主導することで、この成長率を高め得ることが可能となるのです。 このように、まず「ブレーキ」となって成長を妨げている部分を取り除き、更には、アクセルとなる部分を強化することが必要なのです。 そのためにも、今回の軽減税率について、一部の重要な品目について、増税を回避できたという意味では賛成ですが、本当に必要なものは、消費減税であり、世界経済のリーダーとしての日本のさらなる経済大国としての国家ビジョンであるのです。 国民一人ひとりが豊かになれる政治を! 2015.12.23 文/幸福実現党・千葉県本部副代表 古川裕三 ◆今年の流行語大賞「爆買い」 今年の流行語で年間大賞となった「爆買い」という言葉。中国人観光客が、ドラッグストアや家電量販店、スーパーマーケット、百貨店などで、化粧品、医薬品、お菓子など、一人当たり10数万円もの買い物をすることが社会現象化しました。 一つの商品を買い物かごに収まりきらないほど買い込んでいる映像がメディアにも度々登場していましたが、まさしく「イナゴの大群」よろしく、店内の商品を一掃していく姿には、言葉を失いました。 この「爆買い」現象について、一人の日本人としてある種の憤りを感じているのは、私だけではないはずです。 もちろん、消費不況の日本では、インバウンド消費(海外からの訪日客の消費)が頼みの綱であるという小売業の切実さは理解できますが、少々、納得できないものが残ります。 なぜなら、政府は日本国民に対しては2014年4月より消費税を3%増税し、「買い物できない」ように“制限”をかけておきながら、同年10月には、改正「外国人旅行者向け消費税免税制度」により、従来は免税対象外だった消耗品(食料品、飲料品、薬品類、化粧品類、その他消耗品)を含めたすべての品目を消費税免税の対象としました。 要するに、日本人は消費しないので、中国人の皆さんは消費税を廃止するのでどんどん買い物してください、ということです。 つまり、この「爆買い」という社会現象は、政府の制度によるものであり、この制度を機に、免税店も一気に増加しました。 ここ最近で「tax free」と書かれているお店がやけに増えたと実感されている読者も多いのではないでしょうか。この文字を見るたびに、消費税がかからないって、何ていいのだろうと思います。 中国人はお得意様で、日本人は政府の失政のつけである財政赤字を埋めるために高い税金を払い続けなければならない家畜か何かでしょうか。 私なら、GDPの6割を占める個人消費がもっと活発になるように、日本人に対して、消費税率を一律に減税して、国民の皆様を幸福にしたいと思います。 日本人が「爆買い」するというと少々品性に欠けるかもしれませんので、日本人が、もっと積極的に「大人買い」できる社会を目指す、というのはいかがでしょうか。 別に秋葉原や銀座の街を行きかう中国人の皆様を蔑視しているわけでは決してありませんが、日本人が消費増税に耐えているのに、中国人が免税で爆買いしている様はやはり異常だと指摘したいのです。 もっと日本人が買い物できるようにすべきです。むしろ、中国に対しては、中国国内で、日本製と同じような高品質のものが日常的に買える社会にすべきだと言いたい。その前に、pm2.5をどうにかしていただきたい。 ◆政治家が、今、考え、なすべきこととは何か ところで、89年より竹下内閣下で導入された消費税は、すでに失敗した政策であると結論されます。 消費税が導入された当時の大義は、「財政再建」でした。この当時の財政赤字は100兆円程度でしたが、20年経った今は、1000兆円と10倍になりました。 つまり消費税は不況を作り出し、トータルの税収を減らす効果しかなかったのです。「財政再建」のための消費税という政策的大義はとっくに失われています。 この客観的事実に対して、現政権はもっと謙虚に反省し、「政治家が、いま、考え、なすべきこととは何か。」を元総理の言葉に照らして熟考すべきです。 ※参照:『竹下登の霊言――政治家が、今、考え、なすべきこととは何か。』 大川隆法著/幸福の科学出版 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1597 ところが、政府は反省どころかウソを重ねて、消費増税の大義を「社会保障のため」と言い換えるようになりました。老後が人質にされれば、国民は誰も反対できません。 この大義を振りかざして昨年の4月に政府は景気回復ままならない段階で消費増税したのです。これは、ぬるま湯でまだ体が十分に温まっていないのに、いきなり氷を大量に投じたのと同じようなものです。 案の定、昨年の消費増税後、GDPはマイナス成長となりました。 ◆マイナンバーという名の監視モニター さらに政府は、ナチズムの本質であるところの全国民に番号をつけて管理する「マイナンバー制度」を導入し、将来的には個人の金融資産を把握し、財産税をかけようと企んでいます。 マイナンバー制度とは、「私有財産監視制度」であり、今年1717兆円にまで増加した個人金融資産に課税したいというのが政府の本音でしょう。個人の経済的自由が奪われようとしています。 結局のところ、消費増税で「消費してもとる」、マイナンバーで、「貯金して金融資産を増やしてもとる」、どちらにしてもとりますよ、というのが政府の方針です。 今のまま行くと、富裕層は日本からいなくなるだけでなく、中間層も資産課税の強化によって豊かになれず、巨大な国家という生き物を構成するための一要因として国民は税金を納め続けることになります。これを国家社会主義といいます。 ◆「正義」について考えよう 格差是正という美名のもとに、国民を隷従の下に置く体制(結果の平等社会)を「正義」とするか、それとも個人の創意工夫と努力精進を奨励し、国民一人ひとりが豊かになれる体制(機会の平等)を「正義」とするか、この選択が迫られていると言えるでしょう。 私たち幸福実現党は、小さな政府、安い税金を志向する政党として、もちろん、後者に正義があると考えます。 来年の参議院選挙に向け、国民の皆様に、「隷属」をとりますか、「自由」をとりますか、あなたはどちらを選びますか、と問いかけていきたいと思います。 堂々と稼げる中小企業を増やそう! 2015.12.22 文/HS政経塾4期生 幸福実現党・大阪本部副代表 数森圭吾 ◆中小企業の事業承継と相続税 日本には中小企業が約390万社あり、これは全企業数の99.7%を占める数です。 また、雇用の約7割を担い、日本企業の売上高の約半分を占めているのも中小企業であり、地方においてはより中小企業の役割が重要となります。 中小企業庁の発表では、中小企業は年間約26万社が廃業しており、この原因として企業相続問題が大きく影響していると言われています。 これを示すかのように日経ビジネス2010年4月5日号の表紙には「相続が7万社を潰す」という見出しまで出されています。 利益を出し、雇用を生み、社会から必要とされている企業が永続的に発展するためには、経営者が交代する際などにスムーズに事業継承が行われる必要がありますが、ここで大きな壁となっているのが相続税なのです。 ◆相続税の課税対象となる中小企業の非上場株 中小企業の社長やオーナーが死亡した場合、 その会社の株は残された家族などの後継者に引き継がれます。この際、この株が相続税の課税対象となります。 中小企業といっても、その場合の株の評価によっては相続税額が数億円に上るケースも珍しくありません。 ところが中小企業の非上場株式は、簡単に売却してお金に変えることができず、廃業を選択する企業もあるのです。 税理士の方への取材によると、家族だけで経営している個人事業主が廃業を選択するのはまだ経営者の判断としては楽なものです。 しかし、これが数十人以上の従業員を抱える中規模企業になると、経営者として雇用などの社会的責任が発生するため、簡単に廃業を選択することさえできないといいます。 そのようななかで経営者は相続財産を一部処分することによって納税資金を確保したり、納税のために銀行から借金をし、その返済に四苦八苦している経営者も多いそうです。 ◆自社株の評価を落とす努力をする経営者 以上のように、事業承継における相続税の課税で企業の後継者にとって最も重い負担となるのが自社株にかかる税金です。 会社の株は企業価値を示す一つの指標であり、本来は株の評価額が高いことは経営者にとって喜ばしいことのはずです。 しかし、この株の評価額が高ければ高いほど事業承継の際に課税される相続税は高くなり、納税資金の確保が困難になります。 ここで多くの中小企業は利益を下げるなどの方法で自社株の評価を下げる努力をしているのが現状なのです。 企業とは本来、社会に対して良いサービスを提供し、利益を上げ、成長し、さらによいサービスを提供していく公的側面をもった存在ではないでしょうか。 しかし、多くの企業が税金対策のために利益を下げ、自社の評価を落とす努力が必要となる今の状況は、本来の企業の存在目的に対して矛盾を生んでしまっていると感じます。 ◆他の主要先進国に遅れをとる日本 このような中小企業の苦しい実態を政府はどのように考えているのでしょうか。残念ながら日本は事業承継税制について主要先進国に大きく後れをとっています。 各国とも雇用や株の保有期間など一定の条件を満たせば、以下のように株の評価減などの負担軽減策が適用されます。 【各国における非上場株式の評価減・控除】 ・アメリカ ⇒ 0.8億~1.3億円控除 ・フランス ⇒ 75%評価減 ・ドイツ ⇒ 85~100%評価減 ・イギリス ⇒ 100%評価減 ・日本 ⇒ なし このように、企業にとって最も負担の大きい株式への課税に関する特例処置は、主要先進国においては100%~80%前後の評価減や控除が適用されます。 これに対し日本における非上場株への課税に対する優遇措置は納税猶予制度(納税を遅らせる制度)しかなく、その適用条件も他国と比較して厳しいものとなっています。 このように、日本の税制面における事業承継支援は非常に限定的なものであり、各国と比較して日本は制度的に未熟であると言わざるを得ない状況です。 ◆中小企業が堂々と稼ぐために 現行制度での中小企業の事業承継には資金に関する大きなリスクが伴います。税理士の方への取材によると、事業承継に関する相続税対策には10年以上の年数をかけて対策をする企業が多く存在するそうです。 そんななか、主要各国と比較しても日本においては非上場株の評価優遇制度がまったく整備されていません。 このため企業経営者は少しでも納税額を減らし、ダメージを和らげるために納税額の算出の基盤となる自社株の評価を下げる努力をしています。 本来の企業のあるべき姿から考えるとこれは「無駄な努力」であり、このような状況を放置している政府には大きな責任があると言わざるを得ません。 世に必要とされている中小企業が堂々と稼ぎ、永続性を確保するためにも、早急な事業承継税制の改革が必要です。 真珠湾攻撃とアメリカの歴史の見直し――アメリカ・ラジオ出演報告 2015.12.19 文/幸福実現党・外務局長 及川幸久 ◆世界に正しい歴史認識を発信 今年、幸福実現党では、大川隆法総裁自らが、いわゆる南京事件・従軍慰安婦問題、先の大戦の歴史解釈等について、常識を覆す見方を、日本語のみならず、英語書籍の発刊によって、世界発信してきました。 今回のHRPニュースファイルでは、日本からの発信の結果、アメリカ人が日本との歴史の見方を変えつつある、という内容をお伝えします。 私は党外務局長であり、国際政治コメンテーターとして、アメリカの主にラジオ番組に出演して、インタビューを受け、大川総裁の政治発信の内容に基づいて発言してきました。 昨年10月から全米のラジオ番組には約70回出演しました。 ◆「日本の卑怯な真珠湾攻撃」 12月7日、日本時間の8日は、日本のハワイ真珠湾攻撃の日です。 私がかつて勤務していたニューヨーク・ウォール街の投資銀行で、毎年12月7日が近づくとアメリカ人の同僚たちの会話に真珠湾攻撃の話が出てきました。 ときには日本人の私にわざと聞こえるように、「日本っていうのは卑怯な国だよな」と言い合っていました。 アメリカの学校では、歴史の授業で必ず真珠湾攻撃を教えます。 「日本は宣戦布告をせずに、国際法違反の『奇襲攻撃』を行い、三千人のアメリカ人が亡くなった」。すると、学校では、在米の日系人、日本人の生徒たちはいじめを受け、泣きながら家に帰ることになります。 ◆日本に真珠湾攻撃を仕向けたルーズベルト 戦後70年の今年12月7日、私は「真珠湾攻撃の真実」と題して10局の番組で話しました。 私が主張したのは主に2点。 まず第一に、アメリカ政府が日本に対して石油の輸出を禁止したことが、真珠湾攻撃の原因だったことです。 現在日本は中東から石油を買っていますが、当時日本は石油需要の8割をアメリカから輸入していました。 ルーズベルト米大統領は、アメリカが日本への石油禁輸をすれば、日本は戦争を始めざるを得ないことを知っていました。 いつの時代もアメリカ大統領は、戦争開始を自国民に説得することが重大事です。 戦争しないことを公約に再選したルーズベルトは、日本に最初の一発を撃たせて、それを口実に、自国民に参戦を納得させました。それが真珠湾攻撃の正体です。 第二に、防共協定を結んでいた日本を相手に戦ったアメリカの大矛盾です。 当時の国際的課題は、ソ連による共産主義の拡散を止めることでした。日本はドイツと防共協定を結び、アジアにおける共産主義の防波堤だったはずです。 にもかかわらず、ルーズベルトは日本と戦い、スターリンと手を組みました。 戦後、共産主義が世界に大展開し、多くの人々が犠牲になった歴史を考えると、アメリカは戦うべき敵を間違ったのです。問題は、アメリカはその反省をしていないことだと私は語りました。 ◆ラジオ番組を通して感じたアメリカ人の反省 ラジオのトーク番組とは、単にゲストが言いたいことを言うのではなく、司会者との対話であり、その向こうにいるリスナーたちとの交流です。 「歴史の反省に基づき、日米同盟がいかに大切かを真に理解したら、74年前に真珠湾で亡くなったすべてのアメリカ人、日本人の魂に報いることになりませんか」という私の呼びかけに、「あなたに全面的に同意する」という反応を得ました。 数年前までアメリカで真珠湾攻撃の異論を言うことは、一種のタブーでした。 このようなアメリカ人の反応は、大川隆法総裁の歴史の見方を今年一年数回に渡って伝えてきたことによる一つの成果だと私は実感しました。 そんな交流をしたラジオ番組の一つ、フロリダ州オーランドのWOCA局のLarry Whitler Show の一部を以下のYouTubeでお聞きください。 https://youtu.be/6hdSvHczJ9g 幸福実現党は、来年も世界に向けて何が正義かを発信し続けます。 マイナンバー利用拡大の危険性 2015.12.18 文/幸福実現党・三重県本部副代表 野原 典子 ◆マイナンバーとは? 10月からマイナンバーが簡易書留で通知されています。 この夏の国会では「安保法案」が審議されたとき、賛成、反対が分かれる中、国民の意識がそちらに引きつけられている間に、この「マイナンバー制」が、するするっと「通されてしまった」感があります。 そして、マイナンバーが交付された今でも、「よくわからない」という人がたくさんいらっしゃるようです。 マイナンバーは、一人一人に12桁の個人番号が記され、そのメリットは、政府広報によりますと、「行政の効率化」「国民の利便性の向上」「公平、公正な社会の実現」があげられています。 ◆マイナンバーが生まれたいきさつ マイナンバーの前には2002年に始まった「住基ネット(住民基本台帳ネットワーク)」があります。マイナンバーの番号の基になっているのがこの住基ネットです。 しかし住基ネットに対しては、「個人情報の漏洩」が懸念されて、全国で反対の声がわき起こりました。300を越える地方議会が、延期や中止、見直しを求めて衆院に意見書を提出しています。 しかし今回のマイナンバーに対しては、衆院に反対の意見書を出した地方議会は6つでした。 ◆マイナンバーは安全か? ではマイナンバーは、本当に安全なのでしょうか? 私の手元には、今年6月に日本年金機構から送られてきた「日本年金機構不正アクセス事案についてのお詫びとお願い」という書類があります。 「流出が確認されました情報は、最大でお客様の 『基礎年金番号』、『お名前』、『生年月日』、『住所』であることが現在判明しております」とあり、「抜本対策に全力かつ可及的速やかに取り組んでまいります」とのことでした。 この事件がきっかけで、サイバー攻撃に対して危機管理を徹底させる姿勢を打ち出しました。しかし今も政府系のホームページに対するサイバー攻撃は続けられ、明らかに、日本の守備能力は後手にまわっています。 マイナンバーは、住基ネット以上に個人情報が繋がっており、「芋づる式ではない」と言うものの、かなりの個人情報が危険にさらされることは推測できます。 ◆マイナンバー利用拡大の危険性 これからマイナンバーが、銀行口座や、検診結果、治療歴、買い物、嗜好などに結びつけられ、資産や行動、趣味嗜好まで「政府に把握」されてしまうことを危惧しています。 銀行で現金を引き出したり、カードで食事をすれば、いつどこで、どんなことをしたのか、推定することも可能だからです。 世界一民主的なワイマール憲法ができたとき、それがヒトラーを君臨させるとは思いもよらなかったでしょう。 ドイツでは、ナチスの歴史を経験しているため、マイナンバーのような共通番号は人を集団管理する国家権力の危険性があるため、利用制限をかけています。 マイナンバーが安保法案にかくれるように、すっと通ったことが、将来どんなことを引き起こすのか、わかりません。 ◆マイナンバー制に反対します マイナンバーは「よくわからないけれど、キモチ悪い」という女性が、私のまわりにたくさんいます。よくわからないけれど、直感的に、生理的に、イヤ、なのだそうです。 私もマイナンバーと聞くと、岐阜の長良川で、毎夏行われる「鵜飼い」を思い浮かべます。 かがり火が夜の長良川の水面を赤く照らし、その静かななかを、鵜庄さんが操る鵜が、鮎をとるために水中に潜る水音が聞こえるのです。 松尾芭蕉も句を詠んでいます。 「おもしろうて、やがてかなしき鵜飼いかな」 風情のある、風流な伝統的な鵜飼いですが、鵜にはプライバシーはありません。私たちが、その「鵜」になるとしたら、「やがてかなしき」どころではありません。 今、先に起こるかも知れない危機を避けることができるのなら、私たちは勇気を持って、いいことは進め、よくないことは止めていかなくてはいけないと思います。 それは、私たち自身の未来のためでもありますし、もっと先の未来の、私たちの子孫に対する責任ではないでしょうか。 ※なお、幸福実現党では、現在、「マイナンバー制度の廃止を含めた抜本的見直しを求める署名」活動を行っております。 ■マイナンバー制度の廃止を含めた抜本的見直しを求める署名 http://info.hr-party.jp/2015/5007/ 2016年に衆参同時選はあるのか? 2015.12.17 文/HS政経塾スタッフ 遠藤明成 ◆なぜ1月4日に国会召集? 年の暮れとなり、来年の計画を考えている方もいるかもしれません。 企業や組織で責任ある立場につかれている方は、「来年の選挙が自社の商売に、どんな影響を与えるのか」と考えることもあるのではないでしょうか。 このたび、安倍政権が1月4日に通常国会を召集する方針を固めたのは、来年の選挙を視野に入れた意志決定だと言われています。 過去の国会召集の日を見ると、2015年は1月26日、14年は24日、13年は28日、12年は24日、11年は24日です。 1月4日は1992年以降で最も早い日時だとも言われています。 国会の当初予定は150日なので、4日に召集すれば、参院選の投票日として6/26、7/3、7/10、7/17、7/24の五通りの日時を選べます。 しかし、1月5日以降に召集すると、参院選の投票日が一つの選択肢に確定されてしまうのです。(1月5日召集の場合は6月26日) ◆選挙日程のからくりを利用して、首相は政治の主導権を握る? 「えっ。どうして」と思われた方もいるかもしれませんが、そのからくりが、『エコノミスト(2015/12/15)』(P90-91)に書かれていました。 執筆者の与良正男氏(毎日新聞専門編集委員)は、公選法が定める参院選の二つの規定に注目しています。 (1)任期満了日の前、30日以内に選挙を行う、 (2)国会閉会日から23日間が「任期満了前30日以内」にかかる場合は、国会閉会日から「24日~30日」の間に選挙を行う 「参院議員の任期満了は来年7月25日で、『30日前』は6月25日となる。1月4日に召集した場合、150日間の会期を延長しなければ閉会日は6月1日」 「このため、(2)の『23日間』規定はぎりぎり適用されず、投票日は6月26日、7月3日、10日、17日、24日の5日曜日を候補にできる」 「1月5日以降に召集した場合は閉会日は6月2日以降。『23日間』規定が適用されて、例えば1月5日召集なら投票日は自動的に6月26日に確定する」 ※24日~30日後の範囲は6月26日(日)~7月2日(土)。選挙は普通、日曜日に行われるので、この場合は26日で確定。 そして、憲法では「衆院解散後、40日以内に衆院選を行うと定めている」ので、7月10日に衆参同日選をやれば、選挙活動の日数から見ても、ほどよい長さになります。 かくして、首相は選挙日程の選択肢を持ち、政治の主導権を握るというわけです。 ◆与党は、軽減税率という「羊頭」を掲げ、増税という「狗肉」を売ろうとしている 首相が来年に衆院を解散する可能性があるのは、17年4月に消費税を10%に増税した後では、選挙がやりにくいからです。 前掲の与良氏も「可能性は低い」としながらも、「17年4月の消費再増税延期もあり得るのでは」と真顔で述べる国会議員も少なくないと述べていました。 この場合、ちゃぶ台返しのように「そもそも」の前提が変わるため、軽減税率を巡る自公の合意も議論のし直しになるでしょう。 裏を返せば、公明党は「軽減税率」を固めることで、増税延期のための「衆参同日選」を阻止し、増税への道を舗装しているとも言えます。 この議論の本質は「軽減税率があれば、増税してもよいではないか」という論理だからです。 14年4月の消費税増税が景気後退を招いたことを正直に認めれば、5%に減税すべきなのは明らかなのに、与党の政治家やマスコミは、企業に複雑な事務を強いる軽減税率を持ち出しています。 本来あるべき5%への減税を無視して、今の与党は「軽減税率」という「羊頭」を掲げて、「増税」という「狗肉」を売ろうとしているのです。 ◆消費税5%、大幅な法人税減税が本道 来年の選挙の行方を考える上で、12月時点で安倍政権と自民党が支持率を取り戻していることは見逃せません。 産経・FNN合同調査では、安倍晋三内閣の支持率は47.8%(+3.6)、不支持は41.2%(+2)でした。自民の支持率は37.9%(+4)、民主党の支持率は9.4%です(産経ニュース2015.12.14)。 同じような傾向がTV朝日の世論調査(12/5-6)でも出てきています。 (http://www.tv-asahi.co.jp/hst/poll/201512/index.html) 【安倍内閣への支持・不支持】 支持する47.3%(+5.1) 支持しない33.3%(-7.7) わからない、答えない19.4%(+2.6) 政党支持率でも自民党(47.3%〔+3.1〕)と民主党(11.5%〔-4.2〕)の明暗が分かれていました。 支持率の行方次第では衆参同日選になる可能性もありますが、争点となる経済政策を、軽減税率や増税延期などの「その場しのぎ」でよしとすべきではありません。 本来、あるべき消費税5%への減税を訴える政党が必要なのです。 自公政権は18年度に法人税を29%(※まだ実質3割)に減税する方針ですが、これは細切れの減税でしかありません。法人税に関しても、企業の国際競争力の強化のために、幸福実現党が訴える2割台への大幅減税(長期的には1割台を目指す)こそが必要なのです。 すべてを表示する 1 2 3 Next »