Home/ 2014年 October 2014年 October 地域貢献・国際貢献から考える新たな大学像 2014.10.10 文/幸福実現党秋田県本部副代表 三國佑貴 ◆国際観光文化都市の創造へ 10月4日、国内最大の文化の祭典「第29回国民文化祭あきた2014」が、皇太子殿下ご臨席のもと、秋田県立武道館で開幕しました。 皇太子殿下は「東日本大震災以降、初めて東北で開催される国民文化祭。多くの困難に立ち向かっている方々に夢と希望を与えるものとして、大きな役割を果たすことを期待しています」とお言葉を述べられました。 約1ヶ月間に渡って、秋田県内全市町村が舞台となり、美術、文芸、音楽、舞踊、伝統芸能、アートプロジェクト等、多彩な事業が展開され、日本、そして世界から、多くの観光客が訪れます。 秋田県は6年連続で、小、中学校の学力テストにおいて、全国上位を占めている教育立県です。その理由として、質の高い文化、美術、芸術を愛し、理解する心が、秋田全土に根付いていること、これが要因のひとつではないかと考えます。 ◆国際教養大学(AIU ※Akita International University)の躍進 秋田の新しい文化創造、国際化を強力に推進しているのが、開学10周年を迎えた、AIU(公立)の存在です。 2010年4月、国際基督教大学、立命館アジア太平洋大学、早稲田大学国際教養学部と、AIUがグローバル4大学交流協定を結び、2012年には上智大学が加わりました。 そして先月、文部科学省より、世界レベルの研究を行う大学を支援するための「スーパーグローバル大学」として、AIUが選定され、総額15億円の助成を受けることが決まりました。 世界に拡がる160を越える大学と提携、世界26ヶ国、全国47都道府県から学生が集まり、約9割の学生が、キャンパス内で24時間生活しています。秋田市の郊外に「世界の縮図」とも言えるような多文化共生の空間ができあがっています。 Pharrell Williams – Happy (We are from AIU) #AIUHAPPYDAYS #国際教養大学 #HAPPYDAY https://www.youtube.com/watch?v=8klvHb1N-V8 24時間365日開館している図書館は「学習意欲を喚起する本のコロッセウム」をテーマとした、半円のユニークなデザイン。多くの学生達が、寸暇を惜しんで知的格闘に励んでいる姿は、緊迫感に満ちており、決闘前のグラディエーターの姿を彷彿とさせられます。 ◆国際教養大学の知られざる地域貢献力 AIUは、県内の6市町村と国際交流に関する交流協定を結び、留学生や、大学訪問の受け入れを実施。2013年実施回数は215回、参加留学生は1100人以上にのぼります。(国際シンポジウム、県職員と合同の国民文化祭委託事業、地元小中高生たちとの交流 ※由利本荘市、留学生による着物姿秋の観光キャンペーン、等々) 学生が県内の小、中学生に英語を教え、教員が小中高の先生に英語指導をするという取り組みも始まっています。 また、卒業生による秋田発のプロバスケットボールチーム(秋田ノーザンハピネッツ)の立ち上げ、東アジア調査研究センター(AIU内)主導の、日露関係強化に向けたロシア沿岸部産業育成、海外展開に意欲のある企業に向けた「攻める秋田企業応援プロジェクト」などが進んでいます。 AIUは年間で約40億円の経済効果(消費や県内生産の誘発)をもたらしており、県内のグローバル化と産業活性化に大きな貢献を果たしています。 国際性に加えて「大和の心」を学んだ多数の海外留学生が、県内企業や、日本有数の大手企業で活躍しており、全国の大学関係者、国内メディアから注目を集めています。 ◆大学の教育改革から世界の担うリーダーの輩出を 以上のように国際教養大学のような、これまでの既存の概念にとらわれない理念を持った大学から、国際性とチャレンジ精神があふれる学生がどんどん輩出されることは、大学がある地域ばかりではなく、日本の発展を促し世界への貢献にも繋がっていきます。 東京オリンピックも2020年に開幕致しますが、これを契機にこれまでの既存の大学にはない新しい発想に基づく大学を創設し、政治や経済、芸術をはじめ、宇宙開発や海洋開発などにも国際貢献する世界のリーダーを日本から輩出していくことが求められます。 ≪参考≫ ・国際教養大学(AIU)学校案内 ・産経2014.9.27 10.5 ・月刊「事業構想」2014年9月号 ・第29回国民文化祭・あきた2014プレガイドブック ・秋田県大型観光キャンペーンガイドブック 「自主防衛の気概」が導いた、日米防衛協力のためのガイドライン改定 2014.10.09 文/HS政経塾1期卒塾生・逗子市政を考える会代表 彦川太志 ◆日米防衛協力のためのガイドライン 10月8日、日米両政府の間で改定交渉が進む、「日米防衛協力のためのガイドライン」の中間報告が発表されました。 「ガイドライン」とは、特に日本の周辺で発生する有事において、日米両政府が取りうる協力体制について、まとめられたものです。 今回の改定の特色は、今夏の集団的自衛権行使容認の閣議決定を反映し、「米軍に対して自衛隊が連携できる内容と範囲が大幅に拡大した」と報道されている点にあります。 このような防衛協力の拡大について、自主防衛に関する日本国民の意識の高まりがあった事を、用語と共に解説させて頂きます。 解説する用語は、「アセット(装備品等)の防護」と、「切れ目の無い、実行的な政府全体に渡る同盟内の調整」です。 ◆「アセット(装備品等)の防護」とは 集団的自衛権の行使容認により、自衛隊は武力攻撃を受ける米軍の軍艦や軍用機、基地を守れるようになりました。 アセット(装備品等)とは、この米軍の軍艦や軍用機、基地のことを指す言葉です。 これで日米安保条約の「片務性」が解消されることとなり、日米安保協力がより強固なものとなりました。 ◆「切れ目の無い~同盟内の調整」 これは尖閣諸島などの離島防衛を念頭に置いたものです。 わが国の防衛について、米軍と自衛隊の役割はこの「ガイドライン」で明確に分担されております。 現行の「ガイドライン」では、以下の3点について取り決めを作っています。 (1) 平素から行う協力 (2) 日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等 (3) 日本周辺地域における事態で日本の平和と安全に重要な影響を与える場合(周辺事態)の協力 現行のガイドラインの問題は、この3点に含まれない「脅威」については何の取り決めもなされていないため、日米両政権の相性や政治的環境の変化によって、ケースバイケースの対応がありえたと言うことに尽きます。 例えば、(3)の「周辺事態」は、朝鮮半島や台湾有事を想定した「非戦闘地域」での協力を想定したものであり、尖閣諸島についての取り決めではありませんでした。 また、(2)の「武力攻撃」については、すでに戦争が起きてからの話であり、中国公船や漁民が尖閣諸島に上陸を試みるような、「戦争以前」の小競り合いは対象外でした。 何かが起きた時、日米両政府がどう対応するのか、その事前の取り決めがなかったのです。 これがいわゆる「グレーゾーン」であり、ここに目をつけたのが、中国でした。 日米関係が悪く、日本に自主防衛の意志が無い状態にあって、「ガイドライン」の取り決めがない隙間を突けば、日米安保の片務性を暴露することができます。 平たく言えば、「ガイドライン」に含まれない「グレーゾーン」を突けば日米関係を破壊できると踏んで、2010年の漁船衝突事件が起きたのです。 ◆「グレーゾーン」を埋めたのは、自主防衛の気概 漁船衝突事件では、中国船の恣意的な衝突映像を隠蔽しようとした民主党政権に対し、勇気ある海上保安官が情報をYouTubeに公開しました。 これによって、誰の目にも中国による海洋進出の脅威が明らかとなり、幸福実現党の主張する自主防衛の気運が、全国に広がり始めたのです。 このように、全国に広がった自主防衛の気運が、夏の集団的自衛権の行使容認や、今回のガイドライン改定に影響を与えたことは間違いありません。 防衛協力の「グレーゾーン」を埋めたのは、国民ひとりひとりの意識の高まりだったのです。 本ガイドラインの改定について報じる9日の五大紙は、いずれも改定の背後に中国の脅威があることを認めています。 今後は、自衛隊がひとり自国の防衛のみならず、世界の平和と安定のために、積極的な役割を果たす必要がある、と言う論調を主流とさせる努力が必要となるでしょう。 これ以上、消費税をあげてはならない 2014.10.08 文/千葉県本部 副代表 古川裕三 ◆2回目の消費税上げを目論む政府 国会では、10月7日から参議院予算委員会で質疑が始まり、安倍首相は来年10月に予定されている消費税率の10%への引き上げを見送った場合、子育て支援などの社会保障の充実に充てる予算が減ることになると〝脅し“をかけました。 ただ、客観的に現状の日本の経済環境を分析すると、とても消費税を上げられる状況にはありません。 四月から始まった消費税率8%の影響で4~6月期の実質GDPは、増税前の駆け込み需要の反動減もあって年率換算でマイナス7.1%でしたが、これに加えて今は円安による原材料費の高騰による物価上昇、さらには、原発が十分に再稼働していないがために電力料金も値上げされ、「値上げのトリプルパンチ」が企業、家計を圧迫しています。 こうした状況であるにも関わらず、政府は、賃上げを企業に要求しています。この厳しい環境下で賃上げするには、従業員を減らすしか生き残る方法はなくなります。これは政府が決めることではなく、個々の企業が決めることですから、統制経済に入っているといえます。 ◆日本はもう「輸出立国」ではない 円安であれば当然輸出産業は儲かるわけですが、昔と違い、GDPに占める輸出の割合は全体の1割程度であり、全体の6割が消費であることをみれば、日本はかつての高度成長期のような輸出で稼ぐ国家ではありません。 日本経済のカギは、国内における個人の消費をいかに活発化させるかにかかっています。 しかしながら現状は、述べてきたように輸入品の値上げ、消費増税による値上げ、電気料金の値上げ、そして給料は上がらないということで、私たちの生活実感はますます厳しいものになっています。 ◆政府主導の「補助金漬けバラマキ経済」は計画経済 先月、第二次安倍改造内閣が発足し、新たに、地方創生本部をおきましが、復興庁との整合はとれるのでしょうか。 結局は選挙対策のバラマキを行うようになるのではないかと予想されます。予算をどこがいくらどのように使うかという役所型の経済は本質的には計画経済と同義であり、一時しのぎにしかなりません。 ◆これ以上、消費税をあげてはならない 持てる者から多くとり、再分配するという政府主導の経済ではなく、民間企業の活性化と消費の活発化を促すためには、民間の活力を削いでいる阻害要因を体系的に廃棄することから始めなければなりません。 それには、まず、景気の先行きを暗くしている最大要因である消費税について、「もう上げない」と宣言して国民に安心感を与え、プラスのアナウンス効果を出すことですし、すみやかに原発を再稼働させて電力供給の安定化させること、そして、海外に逃げている工場を日本に取り戻し、「日本人の雇用を取り戻す」ことが大事です。 消費増税によるこれ以上の景気後退は食い止めなければなりません。 参考文献:『希望の経済学入門』大川隆法著 自由のために闘う香港を見殺しにしてはいけない 2014.10.07 文/兵庫県本部副代表 みなと 侑子 ◆香港のデモはまだ終わっていない 9月の終わりから始まった香港のセントラルを中心としたデモは、香港の連休であった10月1・2日を盛り上がりの頂点としながら、一週間以上経った今もまだ続いています。 昼間は学生中心、夜や週末になると社会人も集まり、座り込みと抗議を続けるのです。 デモのリーダーの1人である17歳のジョシュア・ウォン君は、2年前香港に中国共産党礼賛教育が押し付けられようとした際、一人で反対運動を始めました。 仲間の集い活動を続けた結果、最終的に10万人を動員し、共産党礼賛教育を打ち返しました。現在は中国共産党から異端分子として見られています。 今年6月彼にインタビューをした際、行動・勇気の源泉を尋ねました。彼の答えは「仲間の存在」と共に、信仰深い両親から影響を受けている信仰について語ってくれました。 「クリスチャンは聖書を読んだり、祈るだけでは十分ではありません。一人ひとりが灯となり光となって行動し、この暗闇の世の中を照らす使命があると思います。」 彼は今回のデモにおいて、公務執行妨害で40時間拘束されました。これが香港市民をさらに怒らせました。一人の若者の勇気ある行動がきっかけとなり、多くの若者の心に火を灯し、今の香港があります。 日本に留学経験があり、日本語を完璧に話す23歳の社会人女性は、「私たち日本人は香港のために何ができるだろうか?」という質問に対してこう答えました。 「世界中の方からの応援は香港人の心に届いています。でもこれは中国政府の問題です。彼らが香港の声を聞かない限りどうしようもないのです。」 ◆誰が中国共産党に、圧力をかけることができるか 世界の注目を香港に集めることで、中国共産党は天安門事件の時のように、無抵抗な市民を虐殺することはしにくくなります。しかし、香港市民が求めるのは、現行政長官の辞任と2017年行政長官の完全なる普通選挙です。 現行政長官は、辞任しないこと、公開討論の場を持つこと、選挙を見直すことを発表しましたが、辞任しないこと以外は先延ばしされています。 行政長官を操る中国共産党に圧力をかけることができるのは、アメリカをはじめとする数か国もしくは国際機関しかないでしょう。 しかし、中国は国連の常任理事国でありますし、アメリカはオバマ大統領・ケリー国務長官の声明を発表こそしましたが、不介入主義であることは周知の事実であります。 もちろん、香港民主派も努力はしています。民主派において精神的主柱であるマーティン・リー氏は、アメリカのバイデン副大統領に何度も面会し、香港の現状を伝え支持を訴え続けています。 また、イギリスのキャメロン首相にも面会を求めました。しかしイギリス政府は面会を断っただけでなく、イギリスは香港と中国のどちらにも肩入れしない中立であることを中国政府に伝えたといいます。 1997年まではイギリス領であった香港にとって、イギリスから受けた影響は大きいと推測します。その国に拒絶されたことを、香港市民はどのように感じているのでしょう。 ◆使命成就のため、闘う香港 前述の女性は「中国の一体何が優れて世界の王になっているのか。訳が分からない。」と言います。 その言葉の奥に、どうして誰も中国共産党に対して何も言えないのか、何を恐れているのか、という声が聞こえてきます。 意外ですが、香港の民主派たちは中国からの独立を求めているのではありません。彼らが求めているのは、香港における自由と民主主義の確立です。 その理由を、民主派のマーティン・リー氏は、「香港の自由と民主主義を、中国大陸にも弘めていくためだ」と語りました。まさに、“香港の自由化から生まれる、中国の香港化”こそ、香港民主派の願いであり、大きな目から見た香港の使命なのです。 その使命成就のため、後ろ盾を何一つ持たず必死に闘っている学生たちの未来はあやふやです。いつ強制排除にあうかも分からない中、学生たちは自分たちの未来を賭けて、自分たちと未来の中国大陸の人々の自由を守るために抵抗しているのです。 香港の自由が侵され、中国共産党のいいなりとなってしまうことは、中国13億人の人々の不幸でもあります。そして、アジアの自由の弾圧の本当の始まりであることを知らなければなりません。 日本政府は、香港民主派の支持を表明し、自由と民主主義を守る宣言を行うべきですが、そのような勇気ある行動は今はまだ見られません。 しかし、それに落胆するのではなく、ジョシュア・ウォン君が言うとおり、私たち一人ひとりが小さな灯となって行動する時に必ず、この暗闇を照らす光となって、世の中を変える力となることができると信じます。 日露パイプラインで、エネルギー安全保障を盤石にせよ 2014.10.06 文/HS政経塾3期生 幸福実現党新潟県本部副代表 横井 基至 ◆インド洋が中国の海に 中国のエネルギー戦略として、中東やアフリカ方面から原油や天然ガスを供給するために、インド洋のシーレーンを確保しようとする動きが活発化しています。 先月9月22日にアデン湾の海賊活動に参加している中国海軍ミサイル駆逐艦「長春」とミサイルフリゲート「常州」が、イランのバンダル・アッバース軍港に初めて寄港し、両国が友好関係ならびに両海軍の協力関係の進展を強調していることから、利益を共有している両国による対米戦略での「布石」と報じられています。(ロイター電子版 2014.9.24) さかのぼること2011年12月、インド洋上の島国セーシェルによる、中国海軍基地の誘致は現在も継続中で、中国も前向きな姿勢を示しており、実現されれば中国にとっては初の公式な海外軍事基地としてインド洋での足場が誕生することになります。 また、日本人にも海外旅行先として人気が高いモルジブについては、インド海軍が潜水艦基地をモルジブに建設しようと政府間で交渉中でしたが、先月中旬に中国が割り込むかたちで、習近平国家主席がモルジブを訪問し、モルジブ大統領と首脳会談を行い、空港や港湾等の整備や観光産業の振興などを中心とする大々的な支援を約束しました。 以上の計画が実現すれば、インド洋周辺の中国海軍拠点はなんと8個も存在することとなり、それに対しての米海軍の拠点は3か所と、中国海軍の存在感は高まる一方です。 出典:JBPRESS 中国海軍艦艇がイランに初寄港、インド洋沿岸に着々と戦略拠点を確保 米海軍もはや対処できず(北村淳) ◆エネルギー輸入のリスク分散を 中国はシーレーンを手中に収めるのみならず、イラン、パキスタン、ミャンマーから地上パイプラインによってエネルギー安全保障を強化しています。 しかし、日本には、海上輸送だけが唯一の「生命線」となっているため、インド洋、南シナ海のシーレーンを中国に抑えられてしまったら、日本は中国に対し白旗を上げざるをえないのが現状です。 アメリカ海軍に依存したシーレーン防衛から、自国のエネルギーは自ら守る精神のもと、関係各国と協力してシーレーン防衛を行うと同時に、エネルギー安全保障の転換として石油・ガスパイプラインによる分散供給が不可欠です。 ◆ 日露パイプライン建設を急げ サハリンガス田から天然ガスパイプラインを敷く計画があり、それはサハリン南端から北海道の北端まで、わずか43キロメートルの海底の工事で済み、あとは関東圏まで地上にパイプライン施設するという計画です。このパイプラインで、年間輸送量は200万立方メートル、国内天然ガス需要の17%をまかなえます。 また、ウラジオストクから新潟を経由して仙台と関東圏に天然ガスを供給する計画もあります。すでに国内の両方のパイプラインは稼働していることから、ウラジオストクから新潟にパイプラインを施設することで、船舶輸送によるLNGの輸入額高騰に悩まされることなく安く輸入することができます。 日本海側の各県には同様の計画があり、まさにパイプライン誘致合戦が繰り広げられています。 プーチン大統領は「パイプラインなどの輸送インフラを高度に発達させることにより、広大な地域に広がるロシアの特殊性を逆に競争力へ転換させ得る」とし、現在稼働している東シベリアパイプラインについても「ロシア極東のインフラが持つ可能性を飛躍的に高める」としてアジア市場の獲得という明確な戦略を掲げ、同時に極東地域に対する日本からの投資を積極的に呼び込んでいます。 ◆国としてエネルギー安全保障戦略を明確にせよ パイプラインの施設の問題点に漁業補償の問題があります。技術的な解決を追求すると同時に、国家のエネルギー事情に関わる問題ですので、国富流出阻止のためにも政府の主導が必要です。 同時に、民間企業から資金と技術を呼び込むことで、日本経済の成長戦略の一つとして目玉事業になることは間違いありません。 日本政府は早急にロシアとの関係を回復させ、信頼関係を築き、「エネルギーを政治利用しない」意思を再確認し、早急に日露パイプラインの建設を開始するべきであると考えます。 市場原理に立脚しない再生エネルギー固定価格買取制度(FIT)のほころび 2014.10.05 文/幸福実現党岐阜県本部政調会長 加納有輝彦 ◆全量買い取りが困難となった電力各社 太陽光など再生可能エネルギーでつくった電気について、電力会社が買い取りを中断する動きが広がっています。 九州電力が9月下旬から、発電事業者との新規契約を保留しているほか、北海道、東北、四国、沖縄電力4社も当面保留すると発表しました。 電力会社は保留の理由として、申請通り受け入れると安定供給に支障をきたすと説明しています。 太陽光は天候に左右され、晴れた日の昼間に発電量がピークになります。これをすべて受け入れると各社の送電網の容量を超え、周波数が変動して工場の操業などに悪影響が出る恐れがあるとしています。(日経10/3) 九州電力の瓜生道明社長は9月30日の記者会見で、「安定供給のためには、保留(制限)せざるを得ない。苦渋の決断だ」と述べました。 ただし、一般家庭からの買い取りは沖縄電力を除き従来通り継続します。 2012年に施行された再生可能エネルギー特措法は、電力会社に全量の買い取りを義務付けているのに、なぜ中断できるのでしょうか。 それは当該法律に「電気の円滑な供給の確保に支障が生じるおそれがあるとき」は受け入れを中止できると例外規定あり、各社はこれを断る理由にしています。 ◆再生エネルギー買い取り負担額が4倍以上に 経産省は30日に開いた審議会で、電力各社の受け入れ可能量を検証する有識者会議を10月中に設置することを決めました。年内にも各社の受け入れ可能量を算定し、余力がある場合は新規受け入れを要請します。(毎日9/30) また、再生可能エネルギーを用いる発電設備がすべて運転を始めると、FITに基づく電力利用者の負担額が一般家庭で現状の月額225円から935円と現在の4倍以上に増える試算を公表しました。(日刊工業10/1) 経産省は再生エネルギー設備の認定量に上限を設ける総量規制や、買い取り価格の算定方法の見直しなどを行う方向で検討に入りました。 ◆このような事態になることは分かっていたこと 太陽光など再生可能エネルギーによる電力の受け入れを制限している九州電力は30日、制限を発表した9月24日から26日までの3日間に、送電線接続の申請をしている再エネ事業者らから計約6000件の問い合わせがあったことを明らかにしました。制限内容のほか、自社が対象になるかどうかの確認が多かったといいます。(読売10/1) このように多くの民間事業者が事業計画の変更を余儀なくされる事態に、経産省、電力会社の責任を問う声も一部マスコミ等から上がってまいりました。 一方で、このような事態になることは、容易に想定できたとする専門家も少なくありません。 ◆震災後の空気の中で全ては決定された・・・ 菅首相(当時)は、東日本大震災、福島第一原発の事故を経て、自らの責任を反省する事より、反原発・脱原発を政権延命のための千載一遇の旗印としました。 一国の総理というより、まるで一市民活動家の風体で喜々として推進した菅首相(当時)のFIT構想、それを計画性なしに大賛成した一部マスコミが、今になって経産省、電力会社の責任を問う事は許されないと思います。 一部の参入事業者が巨額の利益を得る一方で、一般家庭で4倍以上に跳ね上がる可能性のあるFITに関る電気料金負担は、消費増税、円安と相まって、家計を圧迫し消費活動を鈍らせる要因となります。 また、中小企業にとってもこれ以上の電気料金負担増は、企業存亡に関る事態になってまいります。 一刻も早く、政府は、FITに関る電気料金負担を減額し、安全と認められた原発の再稼働を主導し、電気料金の安定化を図るべきです。 「南京大虐殺」の虚構――「紅卍会」の埋葬記録の検証 2014.10.04 文/幸福実現党政務調査会 佐々木勝浩 ◆15万余の埋葬記録 終戦後、連合国が日本を裁いた東京裁判において検察側の証拠資料に、南京市が出した「紅卍会」(こうまんじかい)と「崇善堂」(すうぜんどう)の埋葬記録があります。 「紅卍会」とは、道教の流れを汲む慈善団体で「赤十字」のような活動を行っていました。「崇善堂」とは、清の時代に設立され子供の養育などをしていた慈善団体です。 東京裁判で報告された証拠資料は、「紅卍会」が埋葬した遺体が4万3071体、「崇善堂」が埋葬した遺体が11万2266体で、合計すると15万5337体になります。 「これらの遺体すべては日本軍が虐殺したものである」――と、東京裁判はそっくりそのままその数字を承認しました。これが、いわゆる「南京大虐殺」があったという一つの根拠にもなっています。 ◆「紅卍会」の埋葬記録の検証 まず「紅卍会」の埋葬記録を検証してみましょう。 「紅卍会」は、昭和12年12月、日本軍と国民党軍の戦いが終わると、さっそく埋葬作業に従事しました。実はこのとき埋葬した遺体は、南京の戦いで亡くなった戦死体だけではありませんでした。 南京戦に先立つ上海事変で負傷した国民党軍の将兵は、列車で南京に送られ、そのまま放置されたり、病院に収容されても国民党軍が南京から逃げ出したので、置き去りにされた遺体でした。 他にも南京では難民が毎年15万人ほど発生し行き倒れもありました。そうした遺体と戦死者の遺体を「紅卍会」は埋葬したのです。 こうした事実は「中華民国27年度、南京市政概況」「南京市政府行政統計報告」などの昭和14年に中国で発刊された刊行物に記述されています。 つまり、日本軍による、いわゆる「南京大虐殺」は、中国の当時の文献によって崩れています。 ◆埋葬数の水増し 南京の治安が安定して翌13年1月になると南京市民による自治委員会が結成されました。そして同委員会が資金を出し「紅卍会」の埋葬作業は続けられました。 翌年の昭和13年2月~3月には日本軍が主導して南京城の内側と外側で遺体の埋葬作業を行いました。この時、「紅卍会」を通じて埋葬作業を指導したのが、日本の南京特務機関の丸山進氏です。 同特務機関は、「紅卍会」に埋葬の資金を提供しているのですが、その際に埋葬数を水増し請求してきても、差額を「紅卍会」への援助金としました。 東京裁判に提出された「紅卍会」の埋葬記録は、前述のように4万3071体で、うち南京城内で1793体、城外では4万1278体を埋葬したことになっています。 丸山進氏によれば、水増し数は1万4000~1万8000、多ければ2万3000体と考えられ、これからすると「紅卍会」の実際の埋葬数は2万~3万くらいと推定されます。 また「紅卍会」の埋葬記録で、南京城内の安全区にあった遺体は175体です。これも東京裁判で宣教師が証言した虐殺数1万2000体とは、桁が違い過ぎます。これを見ても南京大虐殺の信憑性は崩れています。 ◆安全区の175体の遺体 日本軍が上海から南京に向かっていることを知った裕福な市民は、早々と日本軍が来る前に南京市の北側に接する揚子江から船で避難しました。 昭和12年12月1日、アメリカの宣教師が中心に組織した国際委員会が安全区をつくったのですが、その時に南京城内の南方にいた船賃も持ってない人たちがたくさん安全区に入って来ました。 それで治安が悪くなったこともあり、国民党軍が12月7日に100人程を射殺しました。その遺体が安全区の中にあったのです。 国際委員会は、安全区をつくるときに、日本軍と国民党軍に対して、安全区を攻撃しないよう約束を取り付けていました。日本軍はそれを守りました。 ただ12月11日、南京城内で戦闘が始まる前に日本軍は、安全区のそばにあった中国軍の高射砲の陣地を攻撃しました。その際、逸れ弾があり、安全区の辺りに落ち10数人が犠牲になったという記録があります。 このことから安全区の中にあった遺体は、国民党軍が射殺した100人程度と、それと日本軍が攻撃した際の犠牲者10数体を合わせると「紅卍会埋葬記録」の175体と符合します。 以上、「紅卍会埋葬記録」の4万3071体は、戦死体の他、国民党軍が置き去りにした将兵の遺体、行き倒れ遺体、戦闘で巻き添えにあった遺体が含まれ、さらに埋葬数は水増しされたもので、ここからも日本軍の大虐殺などは最初からなかったことがわかります。 次回は、もう一つの「崇善堂」の埋葬記録を検証します。 【参考文献】 『南京大虐殺の徹底検証』東中野 修道著 展転社 『南京虐殺の虚構』田中正明著 日本教文社 『南京事件の総括』田中正明著 小学館文庫 『南京で本当は何が起こったのか』阿羅健一著 徳間書店 香港の普通選挙要求デモから考える日本の使命 2014.10.03 文/HS政経塾1期卒塾生・逗子市政を考える会代表 彦川太志 ◆自由な普通選挙の実施を要求する、香港の人々 中国の特別行政区・香港において、2017年から普通選挙が始まる行政長官選挙での「立候補の自由」を求める抗議活動が続いています。 これまで香港行政長官の立候補者は、業界団体の代表者や議員によって構成される「指名委員会」によって選出されていたという経緯があり、事実上、中国共産党の意向に沿わない候補者を門前払いにすることが可能でした。 今回の抗議活動の趣旨は、2017年に実施予定の普通選挙において、「一定数の市民の支持」があれば、誰でも立候補ができる新しい制度の実現を求めたものです。 香港の人々がこのような制度の実現を求める理由は、普通選挙の実施を求める政治活動に対し、強権的取締りを行う中国政府に不信感が高まっていることにあります。 ◆抗議活動の特徴:メディア、国際社会の反応も視野に入れた周到な戦略 今回の抗議活動の特徴は、その活動が極めて「平和的」に行われていることです。報道によれば、民主派のデモ隊は、催涙弾を撃ち込まれるなどの被害を受けながらも暴徒化することなく、平和的な抗議活動を行っています。 今回の活動について、ロイター通信は以下の理由を挙げています。 (1)一人のリーダーが突出し、中国政府による集中攻撃を受けてしまうことを回避している ウォールストリートジャーナルの報道でも、「誰が中心なのか、必ずしも明確でない」という事を取り上げています。たとえば若干17歳の学生運動リーダーとして知られる黄之鋒(ジョシュア・ウォン)は、中国政府から「米国のスパイ」というネガティブキャンペーンを張られていますが、大小のリーダーが複数存在することにより、そのような流言が運動全体の決定的打撃になることはないと言えます。 (2)暴力的な抗議活動を避けることで、中国政府による武力鎮圧を回避している。 直近では、本年5月には、香港のTV取材を受けた中国政府の元高官が、「香港が混乱に陥った場合、中国は香港に戒厳令を布告する権限がある」という警告を発したことが報道されています。 このような元政府高官の発言は、「社会秩序の維持、災害救助」に際して、駐留している人民解放軍への支援申請を中国政府へ要請できるとする、1997年に施行された香港の法律に根拠を置いています。デモが過度に暴力的になった場合、戒厳令布告の格好の口実となります。 (3)平和的・組織的デモの方が、民主主義国の支持を受けやすい。 暴徒化しやすい抗議活動を、平和的かつ組織立って統制できている背景には、香港に1400あるプロテスタント教会の約半数が、抗議活動を支援しているからだという説があります。 実際、聖職者が発起人として名を連ねるグループもあり、ある聖職者は、香港における政治的抗議活動について、「文化を守るための戦い」であり、社会主義・唯物論がそれを破壊する性質をもつがために行われている、と公言しています。 10月1日に行われた米中政府首脳の会談において、ケリー国務長官は「香港当局が自制し、デモ隊の表現の自由を尊重することを強く期待する」と表明したほか、オバマ大統領も「米政府は香港民主派デモの状況を注視しており、平和的な対応を期待する」と発言し、民主運動家の活動を擁護していますが、宗教的信条に裏打ちされた民主活動がおこなわれているからこそ、米国も堂々と賛意を表明できるのでしょう。 以上の点を見る限り、香港の活動家の描いた運動戦略は、今のところ功を奏していると言えそうです。 ◆決定的な問題点:出口戦略が不明確 しかし、決定的な問題点として、中国政府と「政治的取引の着地点」を設定できるかどうかが不明確、という点が残っています。 香港の民主活動家たちは行政長官選挙における「自由」の獲得を求めて行政庁長官である梁振英氏に対して辞任を要求しましたが、梁振英氏は辞任を拒否し、学生達と「対話の用意がある」旨を発信しました。 抗議活動は国慶節の休日を利用して行われているため、行政府・中国側は「平日を待つ」という持久戦略を考えていると報道されています。デモ参加者の多くが仕事や学業に戻らなければならない事態が予想されるため、抗議活動の縮小が予想されています。 ◆日本よ、「アジアの自由」の灯を守れ 以上のように、周到な戦略で粘りを見せる香港の民主派抗議活動ですが、意義ある形で収束させるには、国際社会によるもう一段の圧力が必要だと考えます。わが国としては、「アジアにおける自由主義・民主主義の護り手としての立場」を明確にすべく、香港の民主派活動に対する賛意を首相の声明として発表するべきでしょう。 宗教的信条を背景に唯物論・社会主義と戦い、「自由の灯火」を護ろうとする香港の民主派運動を支援することは、安倍首相自身が教育改革においてすすめる「宗教の尊重」と姿勢を一にするはずです。 終戦70周年を控えた今、日本は「アジアの自由」の守り手として、力強く立ち上がるときを迎えているのではないでしょうか。 <参考> 産経ニュース2014.7.27 「正念場迎える香港 「普通選挙」の民意、来月中国側が拒絶の公算 揺らぐ一国二制度」 ロイター通信コラム2014.10.2 香港デモが突く中国政府の「泣き所」 WSJ:2014.10.3 香港の民主化デモ、中国軍が鎮圧の可能性も」 ロイター通信2014.10.3 「香港行政長官が辞任を拒否、「政府庁舎占拠なら深刻な事態」 WSJ:2014 .10 .3 「香港の民主化運動の底流にあるキリスト教価値観」 行き過ぎた円安に原発再稼動で歯止めを 2014.10.02 文/HS政経塾1期卒塾生 伊藤のぞみ ◆6年ぶりの1ドル=110円台 円安・ドル高が進んでいます。1日の外国為替市場では、一時、6年ぶりの1ドル=110円台まで円安、ドル高が進んでいます。 2日の終値は108円91銭を回復していますが、アナリストのなかには、15年末にかけて、1ドル=120円台まで円安・ドル高が進むと予測をする人もいます。(http://mxt.nikkei.com/?4_27499_506071_33)(日経新聞10月2日3面) ◆円安・ドル高の原因 円安・ドル高の原因には、以前のHRPニュースにある通り、日米の金融政策の差にあります。 (http://hrp-newsfile.jp/2014/1736/) アメリカの中央銀行である米連邦準備制度理事会(FRB)は10月末に量的金融緩和を終了すると発表しています。それに対し、日銀の黒田総裁は、物価目標の達成が難しいようであれば、追加緩和を行う、と明言しています。 そんななか、9月26日に総務省が発表した物価上昇率(消費税増税の影響を除いた消費者物価上昇率)が1.1%にとどまると発表があり、追加緩和の予測が広がりました。 さらに、円安ドル高が急激に進んでいる背景には、ヘッジファンドの動きがあります。 ヘッジファンドはFRBの量的金融緩和の終了で米国債の利回りが上昇すると年初に立てた予測が外れたため、円安・ドル高で運用益を出そうとしています。そのため、積極的に円売り、ドル買いを積み上げつつ、利益確定のための売りが入るために、円・ドル相場は上下を繰り返しつつ円安・ドル高が進んでいます。 ◆行き過ぎた円安は貿易収支にマイナスの影響を与える 円安は、海外から日本に資金が流れて株高につながり、輸出企業の売り上げを増やしますが、行き過ぎれば、貿易収支にマイナスの影響を与えます。 原発が止まるなか、燃料の輸入は続けなければなりません。そのなかで、円安が進めば、輸入代金はかさんでいきます。 8月にかぎっては、電力需要が少なく、燃料の輸入量が減ったので、9485億円と貿易赤字は若干縮小しました。しかし、今年1月には過去最大の貿易赤字2兆7900億円を記録しており、上半期の貿易赤字も過去最大の7.6兆円の赤字となっています。 輸出企業と考えられている製造業も、輸入で原料費が上がれば、円安メリットも相殺されてしまうことから、急激に進む円安には警戒も必要です。 ◆円安の急進を緩和するためにも原発の再稼動を 日本経済の回復は、まだ本格的な軌道に乗っていないため、金融緩和は続ける必要があります。 ただし、貿易赤字は実需の面から円安・ドル高を進める要因にもなるため、貿易収支を改善する努力 が必要です。 13年の燃料輸入額は27兆円となっており、10年と比較して10兆円も増加しています。貿易収支を改善するために、原発の再稼動を進めるべきです。 さらに、消費税増税で苦しい家計の負担を減らすためにも、原発の再稼動を進めるべきです。 燃料費がかさんだことにより、家庭向けの電気代は1ヶ月分で19.4%上昇。企業向け料金では28.4%増加しています。 また、原発の代わりに導入を進めてきた再生エネルギーも家計を圧迫しています。 9月30日、経済産業省は再生エネルギー買取制度による負担が現在の225円から将来的には935円になると推計を発表しました。(「再生エネ優遇見直し必至 経産省、家計負担1割増も」http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF30H03_Q4A930C1MM0000/) そして、外交政策の面からも原発の再稼動は必要です。 9月5日、インドとオーストラリアと原子力協定を結びました。安部首相はインドとの原子力協定を結ぼうと交渉加速を合意していることから、国内の原発再稼動に責任を持って取り組むべきでしょう。 日立製作所は核廃棄物の無害化を10万年から300年にまで短縮する技術を研究しています。 原子力技術で最先端をいっている日本であるからこそ、これから原発を導入しようとしている国々に対して、多くの責任を果たすことができます。 ◆まとめ 改めますと、輸入代金が増えることにより、ドルの需要が増えればドル高の原因となり、円安が進めば、輸入代金はさらにかさみます。 貿易赤字を減らし、急激な円安を緩和するために、ひとつの手段として原発の再稼動を提言します。 ※円安・ドル高を是正するために最終的な手段としては、財務省が溜め込んだドルを売り、円を買うという方法もありますが、これはアメリカとの関係をよく見極めながら行う必要があります。 戦後70周年に向けて力強い外交を行うための体制を整備せよ 2014.10.01 文/HS政経塾2期卒塾生 服部まさみ ◆朝日が誤報を認めても残る歴史問題 朝日新聞が従軍慰安婦報道の一部誤りを認めましたが、誤報を長年撤回しなかったことによって損なわれたものは計り知れません。 実際に、慰安婦を「性奴隷」と規定した1996年の国連人権委員会「クマラスワミ報告」や2007年の米下院対日決議へと進みました。 朝日が誤報を認めても、国際社会での問題は残ったままです。米中韓の思惑が複雑に絡みあっている歴史問題をひっくり返すのは容易なことではありません。 来年は、戦後70周年を迎えます。米国では、日本と戦った民主党政権が続き、第2の「レイプ・オブ・南京」とも言える反日映画「アンブロークン」(アンジェリーナ・ジョリー監督)がアカデミー賞を狙っています。 また、7月に習近平国家主席が訪韓した際に、中韓は歴史問題で共闘することを宣言するなど、日本にとって厳しい布石が打たれました。 今、国家と国家がせめぎ合う外交の世界は、情報戦の時代にあります。こうした中で、日本が世界の信頼を勝ち取り、誇りを取り戻すために何を為すべきなのでしょうか。 歴史問題解決に向けて、政府は新しい談話や声明の発表を目指すべきですが、そのための事前準備と他国を説得する理論とメッセージ性を兼ね備えた外交力が問われます。 ◆国際世論を味方にする「メッセージ」の発信 国際世論を味方につけ、情報戦を制するためには、国際世論に大きな影響を与えている「メガメディア」と呼ばれる米国3大メディア(ABC、CBS、NBC)やCNN、英BBCなどをいかに活用するかにかかっています。 そのために、メガメディアが好みそうなメッセージを発信できるかが重要になってきます。 発信するメッセージには、宣伝色の強いプロパガンダではなく、信憑性や公平、中立、国際社会に通用する倫理や道義性が求められています。 つまり、ポイントは発信するメッセージが国際社会の価値観の潮流に合っているものであるかどうかということです。 といっても、決して、迎合するのではなく、新しい価値観を世界の先頭に立って発信していくぐらいでなければ、情報戦の時代を勝ち抜いていくことはできません。 実際に、中国はCCTVなどの国際放送に約8135億円(09年)の予算を使っていることに対して、日本のNHK国際放送は、約158億円(12年)とその規模は比べものになりません。 しかし、中国の対外発信は、量は多いが、都合が悪い情報は流さないなど言論の自由がなく、政府の宣伝機関というイメージが強いのも事実です。 やはり、日本は国際世論に合った「質」で勝負しなければなりません。 ◆外交を根底で支える新しい大学の必要性 国際世論を味方にする「質」の高いメッセージを発信するといっても難しいものがあります。 なぜなら、国際世論に影響を与えている「メガメディア」の価値観の基準が第二次世界大戦で勝った連合国の戦勝史観に基づいているからなのです。この価値観を変えない限り、日本は情報戦でも外交でも不利な立場に置かれたままです。 こうした歴史観について議論することは、国益がぶつかり合う政府間では限界があります。そのため、政府から距離を置いた研究機関である大学やシンクタンクの存在が必要不可欠になってきます。 自由な立場から研究し、アイデアを提案することで政治家やメディアの発信の論理的な裏打ちを行ったり、外交政策に活かすことができます。 例えば、従軍慰安婦問題で強制連行があったかどうかという狭義の理論は国際社会では理解されず、人権問題として捉えられています。 これに対して、どのような理論で国際世論を説得することができるかを研究し、政府に提言する大学があれば、日本の外交はもう一段強くなるのではないでしょうか。 しかし、日本の大学や学会の現状は、学問の自由があるにも関わらず、研究内容やその成果を自由に発表する場になっているとは言えません。 例えば、左翼史観が強く残る歴史学会においては学問の研究が止まったままです。近年、戦時中の米国極秘文書が公開されるようになり、これまで憶測でしかなかったルーズベルトの側近が共産党のスパイだったという噂が事実として判明するようになりました。 英国でも同じような文書が出始め、日本が戦争に向かっていく時期の外交史の見直しが必要になっています。 日本にとって、重要な歴史の転換点であるにも関わらず、このような研究が学会で積極的に行われているわけではありません。そのような今までなかった新しい研究に挑んでいくことが日本の外交の幅を広げることにもなります。 また、研究者自らが世界に向けて、英語で研究内容を発信したり、学生などが欧米やアジアの親日国の大学との交流や共同研究を通じて人脈やネットワークをつくることは、将来の日本外交の厚みになっていきます。 さらに、世界の国々が抱える貧困や環境問題などの課題を解決するための未来産業の研究を大学で行うことも日本と世界の未来を明るくしていくのです。 ◆政府レベルで世界に貢献できる体制づくりを 民間と協力しながらも政府は政府として、外交の基礎を整えなければなりません。 日本が今ひとつ世界から信頼されていない大きな理由は、大国でありながら軍事行動が伴わないことにあります。 いくら首相が国連で安保理改革や常任理事国入りを訴えても、お金を出すだけの小切手外交に他国からは「結局、日本は何もできないんでしょ」と冷めた目で見られているのが現実です。 日本が世界から信頼を得るためにも、集団的自衛権の行使容認、そして、憲法9条改正など大国として当たり前に自国を守り、世界に貢献できる法整備が必要なのです。 外交の基礎は軍事力であり、抑止力をもつことでしっかりとした言論戦や対話ができるのです。戦争の前に外交があり、外交の前に情報戦があります。 情報戦に勝つためには、世界の国々にとって「日本は重要な国であり、信頼できる国である」と思わせなければなりません。そのために、有言実行と真実の発信が不可欠です。 日本と世界の平和と繁栄を築くために、憲法9条の改正と新しい大学の創設が必要だと信じるものです。それが、戦後70周年を迎えるにあたり、日本の誇りを取り戻すために必要な戦略なのです。 参考文献: 『外交』vol.27 東京財団 『安倍外交への15の視点』 すべてを表示する « 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