Home/ 2013年 April 2013年 April サッチャー革命を推し進めた思想とシンクタンクの存在 2013.04.10 4月8日、英国元首相のサッチャー女史が亡くなられました。 主要な業績は「宗教立国を目指したサッチャー元首相への追悼」でも触れられていますが、今回の論考で論点を補足します。 彼女はIron Lady「鉄の女」と呼ばれたほど信念のある政治家でした。J・キャンベルのThe Iron Ladyはベストセラーとなり、フィリダ・ロイド監督制作の映画は「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」という題で2012年の3月に日本でも上映されました。 福祉政策や企業の国有化によって経済が停滞した「英国病」を救い、フォークランド紛争に勝利して一時は世界的に有名になったマーガレット・サッチャーは、なぜあれほどまでに自由主義の信念を貫き通すことができたのでしょうか。天性のものなのか。それとも振付師がいたのか。あるいはその両方なのか。もちろん、一概に語ることができません。 ただ、日本語以外の情報を見ることによって、ある二人の人物とシンクタンクの存在が見えてきます。 一人目は、世界的にも有名で1974年にノーベル経済学賞を受賞したF・ハイエク。 サッチャー氏が首相就任演説で「これが我々の信じるものである」と取り出したのが、ハイエクの「自由の条件」でした。ハイエクは、ケインズとの経済論争ばかりが目立ちますが、実は法学や哲学など幅広い分野に関心が及んでいた天才学者です。 そして、サッチャー氏が紹介した「自由の条件」は世界中のリバタリアンと呼ばれる自由主義者が今でも愛読する自由主義哲学の名著です。そして、強い英国を取り戻すためには、増税や規制、福祉国家に傾く社会主義的な政策から以下の4つの自由主義政策への転換(注:ハイエクは、個別ではなく同時に徹底的に進めることが大事だと主張していた)が必要だと訴えます。 ①減税 ②規制緩和 ③適度な金融政策 ④政府支出の削減 実は、上記の政策をサッチャーよりも早くアドバイスを受けていた人物がいます。世界でも指折りの自由主義的なシンクタンクInstitute for Economic Affairs (経済問題研究所 以後IEAと表記)の創設者であるA・フィッシャー氏です。 フィッシャー氏は、今では誰もが鶏肉を食べることができるように事業化して大成功した実業家としても有名です。政治家になることを志していたフィッシャー氏は、ハイエクに相談に行きます。ところが、ハイエクの答えは意外なものでした。というのは、政治家になることよりも「社会のムードを変える」ことに使命があることをフィッシャーに伝えたからです。このハイエクとの出会いと言葉が、後のフィッシャー氏のIEAの創設に至ったとされています。 フィッシャーの考え方やIEAでの政策提言は、まさにハイエクから出ていたのです。なぜなら、IEAの初代所長はハイエクだったからです。こちらも参照→http://bit.ly/16M0EDL(JTRのHP) 日本では、銀行か証券会社系のシンクタンクが多くあります。彼らの仕事は景気の予測が主な仕事だといっても過言ではないでしょう。メディアでよく登場するエコノミストとは、こうしたシンクタンクの研究員です(もちろん、単なる予測屋とは違い、立派な経済分析を行っている方もいる)。 シンクタンクのエコノミスト達は、独自のマクロ計量モデルでアベノミクスなどの効果を推計しているのですが、現実問題としてどこまで政府の経済政策に影響を与えているかは微妙です。 また、気になるのは、財務省や金融庁とのつながりが強い証券会社系のシンクタンクからは増税を肯定する論者が割合に多くいることです。おそらく、経済成長で名目金利が上昇して国債の価格が下がることを恐れているのが原因でしょう。この背景には、社債や国債を大量に保有していることと大いに関連があります。 しかしながら、本来のシンクタンクとは、政府からの資金提供を一切受けずに独立採算を原則としています。筆者は2月のインド出張で世界中の自由主義者が集まるアジア・リバティーフォーラムへの出席と併せてシンクタンクの研修を受けてきました。その観点からすると、日本にはシンクタンクと呼べるものは殆ど存在しないということです。むしろ、政府の御用組織になっているものが多いと感じるくらいです。 とまれ、サッチャー元首相が労働党や国民の反発も覚悟で自由主義路線を貫徹できた背景には、彼女自身の政治哲学への継続的な研究があったこと。そして、彼女に強い影響を与えたIEAなどのシンクタンクの存在があったことが挙げられます(J・Campbell著 The Iron Lady 参照)。 サッチャー氏の死が報道されたことによって、世界中の自由主義系シンクタンクが敬意を込めてRest in Peace(安らかにお眠りください)という表現を使っている記事が多数配信されました。また、彼女の人生と業績をドキュメンタリー動画もありました。 左派からみれば、サッチャー政権は市場原理主義や弱者切り捨てだとして批判されることも多いでしょう。 ただし、英国病を克服して経済成長をもたらしたこと。フォークランド紛争に勝利し、英国民を勇気づけたこと。最後まで自由主義者としての政策を実現しようと鉄の意志を貫いた政治家であったことは否定しようがありません。 「決められない政治」といった情けない言葉がはやる昨今ですが、サッチャー氏のような強いリーダーシップと信念(あるいは信仰心)を持った政治家の登場が待たれるのは言うまでもありません。 幸福実現党は、サッチャー氏の意志を引き継ぎ、20年間ゼロ成長という「日本病」から「自由からの繁栄」が実現できるよう、戦い続けて参ります。(文責:中野雄太) 宗教立国を目指したサッチャー元首相への追悼 2013.04.09 「福祉国家」から「自由主義経済国家」へ 妥協を許さない政治姿勢から「鉄の女」と呼ばれ、第2次大戦後の「英国病」と名付けられた経済不振を克服したサッチャー元英首相が8日、脳卒中のため死去しました。 ここに改めて、衷心より哀悼の意を捧げます。 1979~90年、3期連続で首相を務め、20世紀では英首相として最長の在任期間を誇る英国初の女性首相でした。 サッチャー首相登場以前のイギリスでは、国民は「働くよりも国家からの福祉的給付を受けよう」と期待し、健全な勤労意欲の喪失が広がった「英国病」に陥っていました。 「ゆりかごから墓場まで」と手厚い社会福祉の財源確保のため、1970年代には所得税の最高税率が83パーセント、不労所得の最高税率が15%の付加税を加算して98%、という異常に高率な累進課税になっていました。 サッチャー元首相は最高所得税を83%から40%に減税し、国有企業を民営化し企業活動を活発化させました。 国有化はBP(英国石油)、航空宇宙、道路輸送、自動車生産、通信、航空、空港、鉄道、鉄鋼、水道、電力、石炭等、ほとんどの国有企業に及びました。 さらには、税制改革、規制緩和、労働組合の弱体化などの政策を次々と推し進め、イギリス経済の復活をもたらしました。 サッチャー改革はレーガン元大統領や中曽根元首相、小泉元首相らにも大きな影響を与え、以降、市場原理重視型の保守主義が世界の潮流となりました。 サッチャー氏の社会主義との戦い ハイエクが社会主義という人類の負の遺産を理論的に解体した経済学者であるとすれば、サッチャー氏は現実の社会主義を崩壊させた政治家だったと言えます。 サッチャー元首相は真正面から労働党の政策、つまり社会主義政策そのものを攻撃し、いくつもの有名な言葉を残しています。 「金持ちを貧乏にしても貧乏人は金持ちにはならない」――これは多くのイギリス人の胸に響いたといわれています。 労働党との公開討論会では、労働党を指して「あなた方の旗は赤旗で、私たちの旗はユニオン・ジャック(英国国旗)だ」と言って沈黙せしめたこともあったといいます。 福祉政策を次々と切り捨てるサッチャー氏に対する「あなたはこの国の乳幼児からミルクを取り上げるのですか」という批判に対し、サッチャー氏は「乳幼児にミルクを与えるのは母親の仕事であって、国家の仕事ではありません」と反論しました。 これなども「子ども手当」を導入し、「国家が子どもを育てる社会」を作ろうとした国家社会主義者たちに聞かせたい言葉です。 「宗教立国」を目指したサッチャー元首相 こうしたサッチャー元首相の信念の根底にあったものは、純粋な信仰心でした。 敬虔なキリスト教徒であるサッチャー元首相は「イギリスの『美徳』とは、わが国誕生のよりどころとなった聖書の規律から生まれるものだと私は信じています」と語っています。 宗教的美徳の上に国家を築いていこうとするサッチャー氏の宗教的信念こそが、サッチャー氏をして「鉄の女」たらしめたのではないでしょうか。 「働くよりも国家からの福祉的給付を受けよう」と考えていた多くのイギリス国民に対して、サッチャー氏が「汗をかいて働くことの素晴らしさ」を訴え続けたのも、キリスト教的な「セルフヘルプの精神」に由来しています。 また、サッチャー氏は、市場経済原理が「弱肉強食」に陥らないために、信仰心が大切であることを訴えました。 サッチャー氏による「英国病の克服」「イギリスの復活」の偉業の根本には「宗教立国の精神」があったのです。 今、日本に必要なのは、国家の背骨となる正しい「精神の柱」を立てることです。 日本も「サッチャー改革」に学び、宗教立国の精神に基づいて、国家を建て直すべき時が来ています。(文責・幸福実現党岐阜県参議院選挙区代表 加納有輝彦) 宗教的土台なき愛国心は虚像――安倍政権下の愛国心教育にあえて異論 2013.04.08 偉人教育、郷土愛教育が復活へ 4月1日の衆院予算委員会で下村文科相は、道徳教材として使われている小中学生向け「心のノート」全面改訂に関して、偉人伝を盛り込む意向を表明しています。(4/1 産経「道徳教材『心のノート』に偉人伝も 下村文科相」) また、各地方教育委員会では独自に郷土の偉人教育を道徳などの時間で強化する動きも出ています。(2009/3/31 学校ニュース 「『授業で吉田松陰』山口県教委が奨励 愛国心条項に対応」/4/5 河北ニュース「宮城県教委による郷土偉人を掲載した道徳副教材の作成」) 確かに「偉人教育」は規範意識を高め、理想や志の大切さを教え、自助努力の養成になると共に、郷土の偉人を学ぶことで一層の愛国心や郷土愛にもつながるでしょう。 そもそもは第一次安倍内閣で教育基本法が改訂され、第2条第5項にいわゆる「愛国心条項」が明記されたことが前提になっており、これをもとに今年3月、安倍政権は愛国心・郷土愛教育の強化をするための識者会議設置を表明しました。(3/23 朝日「『郷土愛・愛国心育むため』 安倍内閣が識者会議設置へ」) 愛国心の基にある宗教的精神 こうした動きに対し、主に日教組などの左翼的立場からは「戦前に戻る改悪だ」などと、例によって単純な批判が示されていますが、ここで、あえて保守的立場、国際的立場からの異論を提起したいと思います。 それは本来、普遍的宗教精神の土台がなければ、愛国心は虚像であり、国際社会の中では通用しないと考えるからです。 4月8日、マーガレット・サッチャー元英首相が亡くなられ、心より追悼の意を表します。 安倍首相が目指す「教育再生」はサッチャー氏の「教育改革」がモデルであると言われています。 サッチャー氏は「現在の問題の解決が要求する実際的な方法で、社会を再道徳化するのに必要な徳目を、キリスト教以外に何かあるとは想像しがたい」と語り、生涯の課題として取り組んで来た「教育再生」の根本にキリスト教的な宗教精神を置いていました。 サッチャー改革は今なお受け継がれ、2004年には「宗教教育フレームワーク」が導入され、英国における宗教教育は拡充され続けています。 その一方で、日本において、教育に普遍的な宗教精神を導入しないまま、「愛国心」のみを強化した場合、国際社会の中では単なる「国家エゴ」と区別するのは難しいと言えます。 「保守主義の父」として、多くの保守が尊敬してやまないエドマンド・バークは『フランス革命の省察』で以下の通り、述べています。 「民主主義が機能するためには、民衆はエゴイズムを捨てねばならない。宗教の力なくして、これはまったく不可能と言える。 国家は聖なるものであり、権力は神の御心に沿うべく行使されるとき、はじめて正当なものとなる」(新訳『フランス革命の省察』,佐藤健志編訳,PHP,2011) 世界中の圧倒的多数の人々は何らかの信仰を持っており、諸外国は宗教的信仰の上に愛国教育や政治的信条が築かれています。 日本が本当の意味で世界のリーダーになるためには、普遍的宗教精神を土台にした愛国心教育や政治的改革が不可欠です。 日本にも「真の愛国心教育」の復活を! では、現代における「普遍的宗教精神」とは何でしょうか。 例えば、それは震災で被災地・沿岸部の方々が日々実感している霊の存在やあの世の存在、そしてそれをもとにした善悪の価値観、「絆」に代表される宗教的情操(優しさ)ではないかと私は考えます。 日常的出来事として、東日本大震災で被害が大きかった沿岸部では、あの世や霊の存在を認めざるを得ない状況が起こっています。 毎夜、霊があらわれて新たな交通事故の元になるので通行止めにされる橋。同じく霊が出るために工事に支障が出てなかなか復旧作業ができなかったスーパーなど。 こうした議論を待つこと無く、普遍的宗教ではいずれも霊界の存在を前提として認めており、ここから善悪が生まれ、祖先や親・兄弟を大切にする心、故郷・祖国への愛が導かれています。 偉人教育にしても、なぜ偉人が偉人になり得たのか理解するには、彼らの行動原理・思想的背景を学ぶことが何より大切ではないかと思います。 明確に普遍的宗教精神をベースに置かない愛国心や郷土愛は、虚像であり、場合によっては危険な側面があります。 私たち幸福実現党は、普遍的な宗教精神を土台とした教育改革を提唱しています。 日本が本当の意味で国際社会の中で協調し、リーダーとして役割を果たすためには宗教的精神に基づいた「真の愛国心教育」が必要です。 それこそ「世界が望む日本」の役割を果たすために必要な要素であると考えます。(文責・宮城県本部第四選挙区支部長 村上 善昭) 道州制は国を滅ぼす――「道州制基本法案」、今国会へ4月中にも提出へ 2013.04.07 自公政権は「道州制基本法案」を国会へ4月中にも提出するとの意向を明らかにしました。(3/31時事通信「自公、基本法案4月提出も」) 国家の統治機構を根本から変える「道州制」は民主党、維新の会、みんなの党にとって党是ともいえる重要政策で、自公政権は分権政策の新たな旗印に掲げ、野党との連携の軸にする考えです。(3/9 日経「安倍政権、分権議論に着手 道州制で野党と連携探る」) 「道州制」とは何か 「道州制」とは、現在の都道府県を廃止して、いくつかの州を設置。国家の権限の多くを道州に移譲する構想です。 アメリカは「州制」ですが、日本は北海道をそのまま「道」として存続させ「道州制」と呼んでいます。 自民党案によれば、全国に10程度の道州を設置し、都道府県を廃止。基礎自治体(市町村)は、現状を維持します。(2012/6/19 自民党「道州制のイメージ」) 自由民主党の道州制推進本部が2008年に提示した区割り案では、9道州案(北海道、東北、北関東、南関東、中部、関西、中国・四国、九州、沖縄)や11道州案(上記の中部→北陸・東海、中国・四国→中国、四国)が提示されました。 他にも多様な区割り案が示されていますが、自民案も含め、九州と琉球は歴史と風土が全く異なる点から、沖縄県で単独の州として、「沖縄州」あるいは「琉球州」への移行を目指しているのが特徴です。 道州制で地域は自立できるか? 道州制は、中央集権体制とそれに伴う利権を壊し、地域・地方の完全自立を目指すことが目的とされています。 しかし、果たして、道州制を取り入れただけで、本当に地域・地方が「自立」することができるのでしょうか? 4月6日、幸福実現党公開講演会にて講演した前・消費者庁長官の福嶋浩彦 中央学院大学教授は、閣僚時代の経験から「地方分権を阻んでいるのは地方自治体自身」であることを指摘しています。 これまで、地方自治体は「いかに国から地方交付金などの補助金を引き出すか」ということを常に考えて来ました。 一方で国は、その地方交付金などの補助金の財源に四苦八苦している現状で、それをカットするために道州制を導入し、「地方は自分で自立すべき」という狙いがあります。 しかし、経営力なき赤字体質の企業が集まっても決して上手くいかないように、赤字体質の自治体がたくさん集まっても財政は改善されません。 問題の本質は、道州制の導入ではなく、自治体の財政的自立にあります。自治体の財政的自立を促す方策は二つです。 一つは自治体が借金を減らす努力をすべきです。そのためには、民営化や官民連携を進め、企業やNPOなど、民間で行えることは民間で行い、最大限、スリムで小さい自治体を目指すべきです。 第二に、地域の経済活動を活性化させ、税収を増やすことです。地元の経済活性化策を真剣に考え、実行することです。 現在、多くの日本の製造工場が海外に移転していますが、これは自治体が地域経済に全く無関心で、地域企業への支援を怠って来た証でもあります。 地方自治体がこうしたイノベーションに取り組まない限り、道州制を導入しても問題は全く解決しません。 そればかりか、道州制を導入すれば、国税による地域への税の再配分機能が無くなるため、豊かな州はより豊かに、貧しい道州はより貧しくなり、地域の公共サービス格差はますます広がります。 道州制で国家が解体する! 道州制の論点として非常に大切な観点は、地方に降ろす「権限」が何かということです。 特に、問題なのは「立法権」です。道州に「立法権」が降ろされた場合、道州ごとに法律が大きく異なり、日本国家の統一が失われます。 例えば、ある州では死刑が廃止され、別の州では死刑が執行されているような国家になります。 また、道州制推進派の一部勢力は「外国人の地方参政権」を推奨しています。 たとえ外国人参政権が地方に限られたとしても、道州に「立法権」が移譲された場合、外国人が「立法権」に大きな影響を与えることができ、日本を合法的に間接侵略することも可能になります。 外交面でも、沖縄州が中国と同盟を結び、北海道がロシアと同盟を結び、各道州が対立に向かう「国家分断」の事態も懸念されています。 また、例えば沖縄州で米軍基地や自衛隊基地を撤去する法律が成立すれば、日本の国防は成り立たなくなります。 「道州の長」が強大な権限を持ち、国家機能が縮小される結果、国家は解体し、バラバラになります。 既にその兆候は、米軍基地と補助金とを天秤にかけ、日本政府を困らせている仲井真沖縄県知事の姿に象徴されています。 道州制は危険な国家解体法案であり、幸福実現党は道州制に反対する唯一の政党として、「道州制中止」を求め、愛する日本を守り抜きます。(文責・政務調査会 佐々木勝浩) 日本よ、主権国家たれ! 2013.04.06 「主権回復の日」の意義 政府は、1952年4月28日サンフランシスコ講和条約が発効した「主権回復の日」に当たるとして、4月28日に政府主催の式典を開くことを閣議決定しました。(3/12 産経「主権回復の日式典、4月28日開催を閣議決定」) 1945年8月14日、日本は「ポツダム宣言」の受諾を連合国に通告、8月15日「終戦の詔書」が玉音放送により国民に伝えられ、終戦を迎えました。 正式には9月2日、戦艦ミズーリ号の船上で連合国との間で降伏文書に調印し、連合国の占領下に入ることとなりました。 その後、7年に及ぶ占領を経て、サンフランシスコ講和条約(正式名:「日本国との平和条約」1951年9月8日)に調印し、1952年4月28日に発効され、日本国は正式に国家としての全権を回復しました。 アメリカ合衆国では、1776年7月4日に独立宣言が公布されたことを記念して、毎年7月4日を祝日として祝い、建国の志を新たに愛国心の発揚がなされています。 「主権回復の日」は、日本再建の原点にあった「国家の主権を取り戻す」という歴史的意義を振り返ると共に、日本国の主権を守り続けていく不断の努力を決意する大切な節目です。 しかし、「主権回復の日」式典に対して、沖縄県内では大きな反発が巻き起こっています。(3/29 琉球新報「主権回復の日、32首長『式典反対』本紙調査、開催賛成はゼロ」) 1952年4月28日サンフランシスコ講和条約が発効し、本土は主権回復して以降も、沖縄では20年間もアメリカの占領が続いたことから、沖縄にとっては「主権回復の日」ではなく、「屈辱の日」とされています。 このように様々な意見がありますが、「主権回復の日」は、主権の回復とは何なのか、日本は本当に独立国としての主権を回復しているのかを考える大切な機会であると思います。 日本は主権を守り抜くことができるのか? 2012年11月14日、中国・韓国・ロシアによる「東アジアにおける安全保障と協力」会議が開かれ、席上、中国外務省付属国際問題研究所のゴ・シャンガン副所長は「日本の領土は北海道、本州、四国、九州4島に限られており、北方領土、竹島、尖閣諸島にくわえて沖縄も放棄すべきだ」と公式に演説しました。 そのためには、中国、ロシア、韓国が「反日統一共同戦線」を組んで、サンフランシスコ講和条約に代わって日本の領土を縮小する新たな講和条約を制定しなければいけないと提案しています。(2012/11/15 ロシアの声「反日統一共同戦線を呼びかける中国」) 日本政府は即座に自国の領土を明確に実効支配して施政下に置かなければ、このまま領土を失うことになります。 日本よ、主権国家たれ! 「主権」とは、他国の意思に左右されず、自らの意思で国民および領土を統治する権利です。 日本のために命を捧げられた先人への感謝と敬意を表すべく、国家のトップである首相が靖国参拝することなくして、国民の間に、日本の主権を守る愛国心は育ちません。 また、教科書の近隣諸国条項により、中国・韓国の横槍により、日本人の教科書が書き換えられる状態にあることも異常です。 さらに、拉致問題を解決する軍事力を持たず外交は成り立ちません。自国民が拉致され、救出もせずに見殺し続けて、本当に「主権国家」と言えるのでしょうか。 このような日本の現状を見る限り、「独立国家」としての主権を回復しているとは言い難く、いまだ植民地支配が続く「半主権国家」「隷属国家」の様相を呈しています。 「主権国家」を存立させる観点から見れば、憲法9条の思想そのものが、占領軍の植民地思想を背景としています。 安倍首相は本当に主権回復を記念するのであれば、自主憲法の制定、自衛軍の創設、教科書近隣諸国条項の撤廃を断行し、真の意味で「日本独立宣言」を行うべきです。 そして、参院選において、各党は「憲法改正」を争点として、主権国家のあるべき姿を論じるべきです。(文責・三重県参議院選挙区代表 小川俊介) 相続税、15年から課税対象者倍増――相続税を即刻、廃止せよ! 2013.04.05 富裕層の課税強化へ 参院本会議は3月29日、平成25年度税制改正の関連法案を可決。同法は成立しました。 設備投資額を前年度より10%超増やした企業は、生産設備などへの投資額の3%を法人税額から控除できるようにするなど、成長強化に向けた投資減税が行われます。(3/29 日経「成長強化へ投資減税 13年度税制改正法が成立」) 幸福実現党は法人税減税を主張していますが、アベノミクスによる金融緩和を「投資の拡大」という景気回復効果に繋げるためには、(まだまだ不十分ですが)こうした法人税減税は不可欠です。 それと同時に、今回の税制改正では、消費増税をにらんで、「低所得者ほど負担が重くなる」という消費税の逆進性に対する批判をかわすために、公平性の観点から富裕層への課税が強化されることが決定しました。 所得税は2015年1月から課税所得4000万円超の部分を対象に税率を40%から45%に引き上げられます。2007年度に最高税率が引き上げられて以来の所得増税です。 相続税の課税対象が倍増! そして、富裕層への課税強化の最大の目玉は、相続税の増税です。 税制改正により、相続税は税額から差し引くことができる基礎控除が4割縮小されます。具体的には、2015年1月1日以後の相続から以下のように基礎控除が変更されます。 【現行】5000万円+1000万円×法定相続人の数 【改正後(2015年~)】3000万円+600万円×法定相続人の数 例えば、相続人が2人の場合、現行の税制であれば7000万円以上ないと相続税は発生しませんが、改正後は4200万円以上あれば相続税が課税されます(基礎控除4割減)。 これにより、都市部を中心に、相続税の課税対象者が倍増すると言われています。(4/3 財経新聞「平成25年度の税制改正法案が参院本会議で可決・成立」) 不動産コンサルタントの長嶋修氏は「都心での地価の底入れを考慮すると、改正後は課税割合が20~30%(注:東京国税局管内の2011年の課税割合は約7%)に膨らむことも考えられる。富裕層だけが相続税の対策をすればいいという時代は終わった」と指摘しています。(2/20 日経「相続増税、まずは財産把握」) また、合わせて相続税の税率が引上げられました。課税対象となる遺産が2億円超~3億円以下の場合は現行の40%から45%に、6億円超の場合、現行の50%から55%に増税されます。 相続税を即刻、廃止せよ! 幸福実現党は立党以来、「相続税廃止」を訴えています。そもそも、税制の基本原則に「二重課税の禁止」がありますが、相続税は「二重課税」の疑いがあります。 個人の所得に対して所得税や住民税がかかり、その残りが私有財産になるわけですが、そこに再度、死亡時に課税することは極めて理不尽です。 そもそも相続税はマルクスの『共産党宣言』に掲げられた「相続権の廃止」に思想的淵源があり、相続税増税は、「私有財産の侵害」「国家社会主義」に繋がります。 渡部昇一氏は『対論「所得税一律革命」』(光文社,1999年)で「相続財産を含めた私有財産こそが自由の砦であり、私有財産が国家のものになったら、本当に自由も何もなくなるということなのです。 自由をとるか、それとも相続税をとるか――比べて悩む人は社会主義思想に汚染されている危ない人です。自由をとる人ならば、相続税ゼロ、相続税廃止に反対する人は絶対にいないはずです」と述べています。 そもそも「相続」とは、親から子・孫へと努力の成果を受け継ぐ「絆」です。 相続税が増税されれば、親から子孫に渡す財産が減り、子孫にとっては親や先祖への感謝や「絆」を感じる基(もとい)が減ることになります。 そればかりか、地価が高い地域では、子孫が保有している財産だけでは相続税を払えず、相続した家や土地、財産等を手放さざるを得ないケースが増えており、親から子への文化・伝統の継承が途切れてしまいます。 幸福実現党は社会保障を政府に頼るのではなく、社会保障はセルフヘルプ(自助努力・「生涯現役」社会の実現)と、家族・地域の助け合いを基本とすべきと考えており、そのためにも相続税は廃止すべきと訴えています。 実際、スイス、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、スウェーデン、イタリアでは既に相続税が廃止されています。 「相続税廃止」は先祖代々の文化・伝統の継承の尊重に繋がり、愛国心の涵養に資することを信じてやみません。(文責・黒川白雲) 金融緩和と経済成長戦略でフロンティアの開拓を! 2013.04.04 市場の予想を上回る黒田新総裁の金融緩和 黒田総裁が就任されてから初の日銀政策決定会合が開かれました。 市場関係者の予想を上回る「量的・質的金融緩和」が発表され、日経平均は前日より272円34銭高の1万2634円54銭、長期金利の指標となっている10年物国債の金利は0.425%となり過去最低を更新しました。(4/4 ロイター「市場も驚いた異次元緩和、黒田日銀の『バズーカ砲』炸裂」) 今回決定した金融政策は主に5つです。 1.日銀が保有する長期国債の残高を銀行券の発行残高までとする「銀行券ルール」の適用を一時停止。 2.金融市場調節の方針を「金利」(無担保コール翌日物金利)から「資金供給量」(マネタリーベース)に変更。 3.マネタリーベースを2012年末の138兆円から、2013年末に200兆円、14年末に270兆円にまで増やす。 4.長期国債、株価指数連動型上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(REIT)など資産の買い入れ額を増やす。(長期国債は2年間で89兆円から190兆円、ETFは年1兆円、REITは年300億円) 5.購入する長期国債の対象を拡大。(40年物国債を含む全ゾーンを対象、残存期間を3年弱から7年程度に延長) 白川前総裁が導入した「資産買い入れ基金」は廃止され、通常の国債購入枠と一本化されました。 白川総裁時代には、「資産買い入れ基金」の資金を増やすことで、実際にはそれほど資産が増えていない、ということが多くありました。 それに対して、黒田新総裁は「どんな資産を」「いつまでに」「どれだけ」購入するかを明確にしており、金融緩和に対する真剣味が全く違います。 問題は企業や家計が借入を増やし、お金が流れ始めるか その中で興味深いのは、金融市場調節の方針を「金利」から「資金供給量」(マネタリーベース)に変えた点です。 「金利」はお金を借り入れる負担なので、金利を低くすることは、お金を借りる負担を減らすことですが、既に金利レベルは限界まで下がっています。 それに対して、「資金供給を増やす」ということは、借りられるお金の量を増やすことになります。 民間の金融機関が保有している法定準備金(日銀当座預金)を増やすことで、民間の金融機関が企業や家計にお金を貸し出せるようになります。 企業が新しく工場を建てるためにお金を借りたり、個人が住宅を購入するためにローンを組むと、工場を建てる企業にお金が入り、住宅を販売する企業にお金が入り、お金がどんどん流れるようになり、景気が回復します。 問題は、投資をしたり資産を購入する企業や家計がどれだけ増えるかです。 特に、「投資が投資を呼ぶ」というような好循環をつくっていくためには、企業が投資に乗り出したくなるような経済環境の改善が必要です。 規制緩和、海洋・宇宙開発によってフロンティアの開拓を! すなわち、景気を回復させるには「借金環境」の改善のみならず、企業が積極的に投資に踏み切る意欲を高めていく「規制環境」の積極的改善が必要です。 幸福実現党は大胆な規制緩和・撤廃や特区制度の拡大、海洋・宇宙開発によって新しい市場を開拓し、企業が投資できるようなビジネスチャンスを増やして参ります。 また、都市部でさらに高いビルが建設できるように建築・土地関係規制の緩和を行ったり、メタンハイドレードやレアアースなど日本近海に眠る資源を開発し、宇宙開発を進めることにより、情報産業、航空産業、素材産業等における新技術の開発に梃子入れを行って参ります。 企業が積極的に投資に踏み切れる環境を創ってこそ、果敢な金融緩和が実を結ぶのです。 幸福実現党の金融緩和政策と経済成長戦略の融合政策こそが、日本、そして世界のフロンティアを開拓していくのです。(幸福実現党 東京都第1区支部長 伊藤のぞみ) 「生涯現役社会」に向け、規制緩和と減税でパイを増やす発想を! 2013.04.03 希望者を65歳まで雇用するよう義務づける「改正高年齢者雇用安定法」施行 本年4月1日より、希望する社員を65歳まで雇用することを企業に義務付ける「改正高年齢者雇用安定法」が施行されました。 2006年4月に施行された「改正高年齢者雇用安定法」は、65歳まで働ける制度を導入するように促すもので、労使協定や就業規則等で定めた基準に合わなければ、希望者であっても再雇用されないこともありました。 今回の改正法では、企業は雇用する社員を選別することはできなくなり、「60歳以降も働きたい」と希望する社員は、原則65歳まで働くことができるようになります(2025年までは経過措置あり)。 ただ、それぞれの事情を考慮することなく、各企業に高齢者雇用を義務付けることは歪みを生みます。 みずほ総合研究所の試算によれば、事実上の定年が65歳になる2025年度には、企業全体で年間の人件費は1.9兆円、約1%程度増加するとのことです。 この数値をベースに計算すると、各産業の利益率を0.1ポイント押し下げるとの試算も出ています。(3/4 日経ビジネス) しかし、ドラッカーが述べているように「知識労働者をコストではなく資産として遇すること」によって、生産性を高め、人件費増加を補って余りあるだけの利益を上げる道はあります。 実際、多くの企業は高齢者の智慧と経験を活かそうと、様々な工夫を凝らしています。 消費増税を中止し、景気回復を優先せよ! ただ、企業が雇用を維持・増加しようとする前提として、景気の回復と経済成長が必要です。 その足を引っ張るのが消費増税です。消費増税で景気が悪くなって倒産が増えれば雇用も減ります。 1997年に消費税が3%から5%に引き上げられた際には、それまで3%台だった失業率が、その翌年の98年には4.11%に上がりました。その後も少しずつ上昇し、2001年には5%台になりました。 経済成長の足かせとなる消費増税を阻止し、新産業への投資を行って若い世代に魅力的な職場を与えると共に、高齢者も貴重な戦力とされるような環境作りを急がねばなりません。 労働市場の流動化を進め、「チャンスの平等」を実現せよ! その上で、長期的には、労働市場の流動化を進めることが重要です。 この度の法改正は、一律に65歳まで雇用し続けることを義務化するものですが、業種によっては高齢者に向かない仕事もあります。 例えば、住宅建材等の運送を手掛けるアルプス運輸建設では、体力や判断力が衰える高齢者にトラックの運転をし続けてもらうことはリスクがあると判断し、新規事業として農業を始め、高齢社員に稲作に従事してもらうことにしています(3/4 日経ビジネス)。 ただ、これは全ての企業ができることではありません。 現在の日本では、正規社員の解雇についての規制が非正規社員に比べて強すぎるため、一度職を失った人、これから社会に出る若者にとって不利な状況が生まれています。 今後、65歳までの雇用が義務付けられるようになれば、ますます正規雇用を控える企業が増えるでしょう。 雇用に関する規制を緩和して労働市場の流動化を進め、転職をしやすくする環境をつくることで、長期的にはチャンスの平等が生まれます。 転職が当然の社会になれば、各自の年齢や経験、体力や技能に応じた職場への道も開けるでしょう。 ドイツでは、一度採用したら解雇はほとんど無理と言われるほど厳しい規制がありましたが、法律を改め、解雇をしやすくしたところ、短期的には失業者が500万人を超えましたが、長期的には雇用の流動性が高まり、企業の活力も高まって失業者が減りました。(2011/8 WEDGE http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1422?page=1) 高齢者雇用のパイを増やせ! さらには、高齢者雇用のパイをいかに増やしていくかを考えるべきです。 介護人材派遣業を営む㈱かい援隊本部は「介護分野の人手不足の問題を元気な高齢者を雇用することで克服したい」という志でスタートしたベンチャー企業です。 このような高齢者雇用を積極的に推し進めようとする企業や、高齢者による起業に対して、投資や税制優遇などの支援を行うことも必要です。 「生涯現役社会」に向けたマインド転換を! 最後には社会全体のマインド転換が必要です。 幸福実現党は「セルフヘルプの精神」に基づいて、老後の生活を政府に依存するのではなく、個人や民間企業の力、家族の助け合いで生計を立てることができる、充実した「生涯現役社会」を目指しています。 その具体的政策として「75歳定年制」を提唱しています。 戦後長らく55~60歳定年が常識だったため、75歳は突拍子もなく聞こえるかもしれませんが、55歳定年が一般的だった1951年に男性60.8歳、女性64.9歳だった平均寿命は、50年間で男性18年、女性20年も伸び、男性78歳、女性84.9歳となりました。 余命を考えれば、「75歳定年」はむしろ自然の流れだと言えるでしょう。(文責・政務調査会部長代理 小川 佳世子) 円安による「悪いインフレ」に陥らないためには消費増税を中止せよ! 2013.04.02 円安で「値上げの春」到来 円安による原材料の輸入価格上昇などを受け、4月1日から電気料金、食用油など生活に密着したものの値上げが相次いでいます。 平均的な世帯のモデルでは、月あたりで東京電力が131円アップ。東京ガスが102円の値上がりとなります。 サラダ油、キャノーラ油などの食用油は、家庭用で1キログラムあたり30円以上の値上がりに。ツナ缶、小麦の値上がりも、円安による原材料費高騰が要因です。 トイレットペーパーやティッシュは、大手製紙会社の出荷価格が約15%上昇。自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)の保険料も2890円アップします。(3/30 夕刊フジ「『値上げの春』到来 円安で電気、ガス、食用油が値上げ」) クリーニングには欠かせない溶剤などの石油製品が値上がりしたため、全国でクリーニング代の値上げも相次いでいます。 ガソリン価格は、現在は横ばいが続いていますが12週間連続で上がりました。このように製造業は円安によるコスト上昇に直面しています。 コスト上昇による値上げは「コストプッシュ型インフレ」と呼ばれ好ましくない「悪いインフレ」として分類されます。 特に日本は、原油、天然ガス、鉄鉱石、銅、小麦などの必需品の大半を輸入に頼っており、円安になると「コストプッシュ型インフレ」に直結しやすい環境にあります。 円安は景気回復をもたらすか? 日本のマスコミの多くは「円安になれば日本経済は復活する」と評しています。 確かに、円安効果で日本の輸出企業に急速に注文が増えており、輸出企業が活力を取り戻しつつあります。 実際、輸出企業の時価総額はトヨタ自動車が16兆9296億円と昨年11月14日(野田前首相による衆院解散表明時点)に比べて6兆円以上も増加。 東京証券取引所の第1部に上場し、時価総額が1兆円を突破している企業の数が、昨年11月14日から4カ月で約1.5倍に急増しています。(3/26 産経「時価総額1兆円突破企業が4カ月で1.5倍に アベノミクス効果」) しかし、円安による景気回復効果は業種によって大きな差が見られます。 みずほ総合研究所の試算によると、2012年平均の円ドルレート79.8円が10%円安になった場合、「輸送機械」「電気機械」「一般機会」の三業種は大幅に利益が上昇するものの、輸入コスト増によって「石油製品」「飲食料品」「建設」等は利益が減少します。(4/6 週刊ダイヤモンド) 円安が「良いインフレ」をもたらすためには? 円安が日本経済全体の景気回復をもたらすためには、輸出企業の利益が設備投資や賃金上昇・消費拡大を通じて波及することが不可欠です。 同研究所のシニアエコノミストの前川亜由美氏は円安が景気回復に繋がるかは「(円安のメリットが)雇用の6~7割を占めている非製造業の中小企業に波及するかどうか」が鍵だと述べています。(同上) 第一生命経済研究所副主任エコノミストの鈴木将之氏は「まずは外需が引っ張る形で、それが内需に波及し、消費で後押しするという回転が起きるか否か」だと語っています。(同上) すなわち、円安→輸出企業の利益増大→賃金上昇→投資・消費拡大→景気回復という「良いインフレ」の好循環に入るか、円安→輸入コストの増大→消費者・非製造業・中小企業の負担増、賃金は上がらず、という「悪いインフレ」に陥るかの分岐点にあるのです。 「悪いインフレ」を避けるためには、消費増税を中止せよ! 1997年の消費増税が「消費不況」をもたらしたように、来年2014年4月と2015年10月に予定されている消費税増税は、消費拡大・投資拡大の循環を断ち切る最大の障害となります。 実際、大和総研の試算によれば、消費税増税がなされれば、毎年3%ずつ賃金が上がっていかなければ、実質可処分所得が目減りします。(2/25 日経ビジネス) 同研究所の試算によれば、年収500万円の世帯の場合、2012年の実質可処分所得は423万円だったのが、消費税増税等により、2016年の実質可処分所得は391万円と32万円も減少し、3%以上の賃金上昇が無ければ、実質所得が減少する計算になります。(同上) このまま消費税増税がなされれば、実質賃金上昇→消費拡大という好循環、「良いインフレ」が実現することは極めて困難になります。 幸福実現党の大川隆法総裁は3月17日、山口支部での法話『時代を変える信念の力』において、「2%程度の物価上昇で、消費税を上げたら、景気はすぐ落ちてしまいます。日本経済はマイナス成長に変わります。」と述べています。 「悪いインフレ」の増長を阻止し、「良いインフレ」を実現するべく、幸福実現党は参議院選において、「消費税増税の中止」を訴え、戦って参ります。(文責・加納有輝彦) 今こそ政府・日銀はメガバンク通貨の発行を検討せよ! 2013.04.01 「『メガバンクも30兆円ぐらいまでなら1万円札を出してもよい』ということにすれば、一年で景気は回復します」―――。(大川隆法著『日本の繁栄は絶対に揺るがない』幸福の科学出版) 幸福実現党・大川隆法総裁はリーマンショック直後から、不況撃退策として大胆な金融緩和、さらにメガバンクによる通貨発行を提言しています。 現在、日本の金融政策が世界的な注目を集めていますが、メガバンク通貨の発行を唱えているのは幸福実現党のみです。そこで、「なぜメガバンク通貨なのか」を考えたいと思います。 「緩和に次ぐ、緩和」が世界の潮流 昨年末の衆院解散から日経平均株価は43%上昇し(参照3/30日経朝刊)、株式市場から景気回復の兆しを見ることができます。 一方、工業生産や失業率、インフレ率など実体経済の動向を表す指標の改善は遠く(参照3/30産経)、一般国民の懐具合が実感を持って良くなる段階はまだ先です。 アメリカでは早くからの「大胆な金融緩和」が功を奏し、NYダウ平均株価は最高値を更新し続けていますが、やはり実体経済を表す指標の改善は遅れています。 バーナンキ連邦制度準備理事会(FRB)議長は「失業率が6.5%に低下するまで資産を無制限に購入する」と表明しておりますが、これは「たとえインフレ率が目標とする2%を超えたとしても、失業率の改善が思わしくなければ、さらに緩和を続ける」というメッセージです。 現カナダ中央銀行総裁であり、次期イングランド銀行総裁のマーク・カーニー氏は、インフレ目標に代わって、名目GDP目標政策を提言し、議論の的になっております。 名目GDP成長率=インフレ率+実質GDP成長率なので、「中央銀行はインフレ率だけでなく、実質GDP、すなわち企業や国民の実際の経済状況にまで責任の範囲を広げるべきだ」という主張が背景にあります。 緩和に次ぐ、緩和――これが世界の潮流であり、中央銀行の責任と権限は拡大に向かっています。 金融緩和の仕組みと限界 ところで、金融緩和はどのような仕組みで行われるのでしょうか。 企業が銀行に預金口座を持つように、民間の金融機関は中央銀行に口座(日銀当座預金)を持っております。 通常の金融緩和では、中央銀行が新しく発行したお金で民間の金融機関から短期国債を購入し、金融機関の預金口座にお金が振り込まれます。 日銀は金融機関の日銀当座預金を潤沢にし、金融機関の資金繰りを助けることで「銀行システム」を安定化させます。 ところが、実際に雇用を増やしたり、従業員に賃金を支払ったりするのは、「銀行システム」の先にある企業です。 中央銀行は「銀行システム」を安定化させることはできても、企業の資金繰りを直接、助けることはできません。 現在、日本やアメリカなどが直面している問題は、最大の資金供給源である中央銀行と一般経済との間に直接的な資金供給ルートがないということに起因しています。(参照:竹森俊平著「アベノミクスの本質を読み解く」,『Voice』3月号) 政府・日銀はメガバンク通貨を検討せよ そこでバーナンキFRB議長がやってきたことは、短期国債の購入を通じた資金供給を超え、住宅抵当証券(MBS)など値下がりが予想されるリスク資産を直接購入するということです。 中央銀行による民間リスク資産の購入は、リスク資産の価格を維持させつつ、一般企業への直接的な資金供給ルートを開きます。 日本でも日銀新体制の下、企業の社債や手形、株、上場投資信託(ETF)、不動産投資信託(REIT)などの民間のリスク資産を買い増していく方向で調整が進んでおります。(3/30読売朝刊) ところが日本はアメリカと異なり、「証券市場の未発達」という問題を抱えております。 2%のインフレ目標達成のためには、100兆円以上の資金投入が必要だとの分析がありますが、それに対して、例えば日本のREITの市場規模は7兆円程度、東証一部の時価総額でさえ300兆円程度です。 日銀がデフレ脱却のために、100兆円を超えるリスク資産を購入し続けた場合、日銀が日本の主要企業の筆頭株主になるという事態も生じかねません。 ありとあらゆる手段を用いた金融緩和は景気回復のために不可欠ですが、それは日本企業の国有化政策、特定資産の価格支持政策、社会主義政策としての側面を持っていることも否めません。(参照:大川隆法著『政治の理想について』第4章,幸福の科学出版) だからこそ、政府・日銀は幸福実現党が提唱しているメガバンク通貨の発行を検討すべきです。 メガバンクに一定の通貨発行枠が与えられれば、自由市場の機能を損なうことなく、「銀行システム」の先にある企業への資金供給を活発化させることができます。 メガバンクによる通貨発行は決して奇異なことではありません。私たちは銀行に預金しますが、その預金は全て金庫にしまわれるのではなく、投融資に使われます。 すでに預金・貸出業務を通じて民間銀行は新しくお金を創りだす機能を持っており、メガバンク通貨の発行は、銀行の投融資能力を格段に高める効果を持ちます。 世界に拠点を持つ三大メガバンクの投融資能力の向上は世界経済を牽引し、日本をリーダー国家へと導いていく力になります。(HS政経塾2期生川辺賢一) すべてを表示する « Previous 1 2 3