Home/ 2013年 January 2013年 January 安倍政権の安全保障政策は本物か?―「統合防衛戦略」を検証する― 2013.01.11 安倍政権は昨年12月26日の発足から矢継ぎ早に政策を打ち出してきました。今回は安倍政権の安全保障政策について検証してみたいと思います。 安倍政権の安全保障政策でのキーワードは「統合防衛戦略」です。(1/1 産経「陸海空一元化『統合防衛戦略』に着手 対中国有事など想定」) 2006年に統合幕僚会議が統合幕僚監部に改編され、2007年に当時の防衛庁が防衛省に格上げしてより後、「統合運用」が一貫して追及されて来ました。 「統合運用」とは、陸・海・空の各自衛隊をバラバラに運用するのではなく、それぞれの強みを生かしつつも一体の組織体として運用するという考え方です。 この「統合運用」の考え方は、1946年に大規模な兵力を一元的に指揮できるとしてアメリカで考案されたものです。 1991年の湾岸戦争では統合軍の一つである「アメリカ中央軍」を中心とする多国籍軍がイラク軍を敗北させた例は記憶に新しいところです。 安倍政権の統合防衛戦略は、統合運用を用いて、どのように日本を防衛するかが課題となっています。 その内容は10~20年後の有事シナリオを練り、そのシナリオに基づき、各自衛隊の防衛力を一元的に整備するということです。 そのシナリオは主に対中国、対北朝鮮を想定しており、対中シナリオは、(1)尖閣への侵攻、(2)尖閣と石垣・宮古両島への侵攻、(3)それらに加え台湾への侵攻の3種類、北朝鮮シナリオは弾道ミサイル攻撃と、原子力発電所などへのゲリラ攻撃を想定するとなっています。 シナリオで想定されているこれらの脅威は比較的対処が容易であり、目立つために予算が付けやすいという一面があります。 その証拠に、防衛省は2012年度補正予算案でミサイル購入や戦闘機改修など約1805億円を要求し、更に政府・自民党は、2013年度予算の防衛関係費について、11年ぶりに対前年度比で増額する方針を固めています。(1/8 読売「防衛費11年ぶり増額へ…中国の領海侵犯受け」) しかし、これらのシナリオは中国や北朝鮮の脅威のほんの一部分にしか過ぎません。安易な想定に基づく防衛費の増額は、本当の脅威に対処するための時間と力を失わせる結果になりかねません。 今、世界中で注目されているのは、サイバースペースがどのように世界の安全保障環境に影響を与えるのかということです。 「統合防衛戦略」では、サイバースペースをどのように使って日本を防衛するのかという考えは記されていませんが、世界中で急がれているのは「サイバースペースを軍事的な攻撃からどのようにして守るのか」という観点からのシナリオの想定とその対策です。 この分野で一番進んでいるのは、アメリカです。アメリカはサイバー軍を持っていますが、特に注目するべきは、アメリカはサイバースペースが軍事攻撃に使われるシナリオを想定した軍事演習を10年以上も前から行っているということです。 この軍事演習は軍だけではなく、政府機関、民間企業、他国の軍などが集まって行われる非常に大規模なものです。(参考:http://www.afspc.af.mil/news/story.asp?id=123300199) この演習では、サイバー攻撃で戦争の火蓋が切られた場合、軍が正常に機能することが難しくなること、それは従来のような国家対国家の戦争、そして対テロ戦争に代表される国家対テロ組織の戦争でも有効であることが分かっています。 安倍政権の防衛政策が本物であるか否かは、統合防衛戦略を見れば分かります。幸福実現党は「サイバー防衛」の必要性を強く訴えて参りましたが、この点からも、安倍首相の防衛政策を是々非々で評価して参ります。 安倍政権はサイバー防衛も含め、日本に迫り来る脅威について、いかに考え、いかに対処するのかを国民に示すべきです。(文責・黒川白雲) 「ありがとう」と言える農政へ――自民党よ、肚をくくってカルマを刈り取れ! 2013.01.10 今、環太平洋連携協定(TPP)への参加交渉を巡って、自民党の政権運営に暗雲が立ち込めつつあります。 自民党は2012年の衆院選の公約として、「『聖域なき関税撤廃』を前提にする限り、交渉参加に反対」の立場を取っていましたが、6日、自民党の高市政調会長は「交渉には参加しながら守るべき国益は守る、条件が合わなければ脱退する、という選択肢もゼロではない」と述べ、安倍首相が交渉参加に踏み切った場合は党として容認する可能性を示唆しました。 その一方で、自民党内のTPP反対派でつくる「TPP参加の即時撤回を求める会」の入会者が党所属議員378人の半数を超える195人に拡大しており、自民党内部からTPP参加推進を阻止しようという動きが活発化し、自民党が二分されています。(1/10 東京) TPPに関する一貫した幸福実現党の主張 TPPについて、幸福実現党は「TPP参加推進」という主張を一貫して行っております。その理由は大きく言って二つです。 一つ目としては、世界全体のGDP約40%もの規模を誇るTPPへの参加が日本経済発展への無限の可能性を拓くからです。 そして二つ目としては、TPPには「中国包囲網」という国防的側面が挙げられます。 幸福実現党・大川隆法総裁は「TPPとは、実は、『アメリカとアジアを経済的に結び、中国を外す作戦』であり、TPPの本質は『中国包囲網』なんです」(『ジョーズに勝った尖閣男』)と対談の中で語られている通り、自由主義や民主主義を掲げる国々を結集して中国に知的所有権の保護や人権重視などの規範の尊重を促す目的があると言えます。 以上のようにTPPへの参加は、今後の日本経済の発展と、中国の覇権主義に対抗するために、国防的にも必要不可欠な一手なのです。 大局的判断が求められる安倍首相 幸福実現党の「政策シンパ」である自民党の安倍首相も、もちろんTPP参加推進への明確な意図はありながら、現状では「国益に適う最善の道を求めていく」というあいまいな表現にとどまっています。 なぜなら、TPP参加によって既得権益を奪われる農協などの全国組織の票田を、次の参議院選において失うのが恐いためです。 しかし反面、国内の選挙対策を優先しそうな安倍政権に対して、アメリカ側は冷ややかで、安倍政権が強く望んでいる日米首脳会談の日程がなかなか決まらないのも、TPPに進展が見込めない首脳会談を敬遠しているという見方があることを忘れてはいけません。 また、10月にインドネシアで開かれるAPECでのTPP合意が全体の目標となっており、もし日本が交渉参加するならば、米議会の承認に90日間かかるため、どちらにしても参院選前のTPP参加表明が求められるのです。 安倍政権は「自分たちの票田を守るか」、それとも「日本の未来の繁栄を守るか」という選択を大局に立って、勇気を持ってTPP参加に一歩踏み出さなくてはなりません。 TPP参加に向けて自民党が果たすべき責任 と同時に、TPP参加への障害となっている既得権益自体を作りだしてきたのも、戦後自民党が行ってきた政治であったと認め、責任を負うべき時期が来ています。 とりわけTPP参加について、特に争点となる農業(特に稲作)においてでしょう。 自民党(特にTPPに反対している農林族議員)が集票のために行ってきた農政が、農家を過剰に保護しながらも、やる気を奪い、どれだけ農業(特に稲作)を衰退させてきたかについて有権者に対して正直になり、説明責任を果たすべきなのです。 まさに、自民党は「自分で蒔いた種は自分で刈り取る」という姿勢を持つべきです。 TPP参加によって発展する日本農業のビジョンを語れ! と同時に「TPP参加によってこそ、日本農業の更なる発展は実現できる!」という真実を有権者に伝え、安易なTPP反対論に対して、しっかり向き合って理解を促すべきです。 特にTPP反対派が最も懸念を示す「関税の即時えることも排除されているわけではありません。」と『TPP興国論』の著者である松田学氏も述べている通り、TPPに参加すると関税を即時撤撤廃」についても、「WTOの規定に準拠すると、TPPで関税を撤廃するのは10年後まで猶予があると解されています。交渉次第では、10年を超廃しなくてはいけないかのような風説には嘘があるのです。 そして、どのように新しい日本農業を創りだしていくかというビジョンをしっかりと示すことです。 TPP参加に向けて自民党の見解を一致させよ 政策公約を平然と覆すような真のない政治は民主党までで十分です。 「国益」の観点からTPPには参加するしかない安倍政権は、自民党候補でありながら集票のためにTPP反対を訴え、後でなし崩し的にTPP賛成へと身を移すような嘘つき議員を国会に送りこんではいけません。 もし、TPP賛成を堂々と訴える勇気ある候補者が見つからないのならば、TPPはもちろん、安倍政権と足並みの揃う幸福実現党の候補者を推薦候補にするというオプションを、安倍総理にご提案したいと思います。 幸福実現党は、今年7月の参議院選挙に向けてTPP問題について、今までの農政に振り回されてきた農家の方々の苦しみをまず受け止めます。 そしてTPP参加によって日本の農業の明るい未来を拓くことができると誠心誠意伝え続けて参ります。「ありがとう」と言える農政へ。(HS政経塾 第1期生 城取良太) 富裕層課税強化は社会的正義なのか 2013.01.09 増税ラッシュ加速 自民党と公明党の税制調査会では、所得税の最高税率を40%から45%へ引き上げを検討しています。背景には「税と社会保障の一体改革」があります。簡単に言えば、富裕層への課税強化し、貧困層へ分配するというものです。自公政権は増税政権であることは何度も指摘してきましたが、今後も増税ラッシュは止むことがないだけに、暗澹たる気持ちになります。 一方、アメリカは日本以上の格差社会です。 こうした現状の中、第二次オバマ政権は、「財政の壁」危機を回避しブッシュ減税を恒久化することを決定しましたが、富裕層への課税はしっかりと強化されています。→参照:日本も「消費税増税」という「財政の崖」を全力で回避せよ! しかしながら、レーガン大統領の経済政策アドバイザーのA・ラッファー氏に加え、ウォール・ストリート・ジャーナルのシニアライターS・ムーア氏と投資会社の経営者であるP・タナウス氏との共著『増税が国を滅ぼす』(日経BP社)では、アメリカ経済史を題材に投資減税や株価上昇による利益にかかるキャピタルゲイン税の減税、相続税の減税が、株価の上昇と経済成長率に寄与していることを証明しています。そして、幸福実現党が主張するように、「税率を下げれば税収が増える」という法則を示しています。 現在、アメリカでは多くの経済学者が富裕層への増税を支持しているのですが、上記のような保守系の論陣も健在だということは特筆に値するでしょう。 フランスでは違憲判決 さて、2012年末にはフランスから興味深いニュースが飛び込んできました。 現職のサルコジ大統領を破り当選を果たしたオーランド大統領は、オバマ大統領と同じ左派の政治家です。同氏は、富裕層への課税強化を主張していたのですが、違憲審査を行うフランスの司法会議は、2012年12月29日、2013年予算に盛り込まれた年100万ユーロ(約1億4千万円)を超える所得への75%の課税は違憲であると判断しました。 日本で言えば、日本国憲法29条に「財産権は、これを侵してはならない」という既定があります。最高裁判所の裁判官や憲法学者が、現在の増税路線を違憲と見ることができるならば、情勢は大きく変わってきます。ぜひフランスの事例から教訓を得て欲しいものです。 真に弱者を救済するなら 欧米や日本での富裕層課税の問題を扱ってきましたが、増税以外の方法はないのでしょうか。もちろんあります。 第一に、経済成長によって中間層や貧困層の底上げができます。その結果、税収増へとつながります。 第二に、富裕層が果たしてきた社会的使命を学ぶべきです。 アメリカには、石油王のJ・ロックフェラー、鉄鋼王のA・カーネギーがいます。彼らは多額の富を図書館や学校に寄付しました。現在で言えば、マイクロソフト社のビル・ゲイツ氏が同じ仕事をしています。 富裕層への課税を強化すると、こうした社会に還元される資金が減少します。あるいは、政府や国に嫌気がさして、他国へ移住する方が続出する可能性が高くなることでしょう。 「富は、正しい使い方をすれば社会を繁栄させる」という考え方は、現在の学校教育では教えてくれません。上記のような偉人の伝記を学校教育の中で教えることができれば、国民の富に対する認識は変わります。あるいは、富裕層は必ずしも強欲な人ばかりではないと分かるでしょう。 さらに言えば、日本では自由主義に対して「市場原理主義」という考え方が強いため誤解が多く存在しますが、健全な自由主義には、秩序や責任が伴います。自由は無秩序と同義ではありません。この点、ハイエクやミーゼスが経済学で傍流に追いやられているのは残念でなりません。 第三に、富裕層が創設した財団を通して社会事業が充実した例があります。 インドの聖女と呼ばれたマザー・テレサは、貧しい子供達を支援するために生涯をスラム街で過ごしました。今でも世界から尊敬されているマザーですが、実はテンプルトン財団のJ・テンプルトン卿によるマザーの発掘と資金援助なしには語れません(1973年テンプルトン賞受賞)。その結果、マザーは全世界に知られる聖女となり、1979年にノーベル平和賞を受賞しています。 日本でも、こうした篤志家を輩出することは可能です。というのも、かつては二宮尊徳や岩崎弥太郎、安田善次郎のような方を輩出しているからです。 しかし、戦後は財閥解体と累進課税の強化、加えて税制が複雑で高いため、篤志家がますます輩出しにくい環境となっています。もちろん、独占や寡占による資源配分の歪みは避けるべきですが、民間が活性化して成功者や国富が増えることは正しいことです。 翻ってみれば、日本には既に国と地方を合わせて60種類以上の税金があります。社会保障やNHKの受信料などの「隠れた税金」として考えれば、日本の国民負担率はもっと高くなるでしょう。だからこそ、合法的略奪を働く政府に対しては Tax Enough Already(我々は十分に税金を払っている)! と言うべきです。 従って、格差是正とか財政再建などを名目に増税をしたがる政府や役人から自分を守る必要があります。言い換えれば、政府のプロパガンダを見抜く見識を得て「納税者としての目を開く」ことこそ、今最も大事なのです。 同時に、本気で減税を実現できる政党の出現が待たれます。幸福実現党は、その一翼を担えるように一層の努力研鑽を積んでいきたいと考えています。(文責:中野雄太) 『無宗教国家日本』の敗北から『宗教立国』による繁栄へ 2013.01.08 今を遡ること17年前、1995年12月に発刊された「信仰告白の時代」で著者大川隆法現幸福実現党総裁は「まえがき」にこう記されています。 「戦後50年、日本の教育は間違ってきた。宗教から遠ざかりさえすれば、第二次世界大戦のような惨禍は避けられるものと、ひたすら無宗教化をすすめてきた。その結果得られた、世界からの評価は、色・金・欲にまみれた経済奴隷としての日本人の姿に象徴される。 理想も、理念も、正義も、気概も、なにもかも、打ち捨ててしまった『町人国家日本』は、国家からは背骨とでもいうべき『宗教』を抜き去ったら、ただただクラゲのように漂うしかないということを証明した、悲劇の文明実験国でもあった。 本書は、『無宗教国家日本の敗北』を、思想の次元で論証する一書でもある。全国民が半世紀にわたる過ちを反省し、再び『無宗教』を国是とすることによって、来世紀の子孫を苦しめることのないように、切に願った警告の書でもある。」 17年前の言葉であります。あれから17年、なおも日本は漂流し、残念ながら停滞から脱することは出来ませんでした。 「失われた20年」と言われる所以です。この20年を「無宗教国家の敗北」という観点から見たとき、はっきりと見えてくるものがあるのではないでしょうか。 特にこの3年3か月、国家の敗北を決定づけた民主党政権を支えた思想とはどのようなものだったのでしょうか。 「ミスター円」と言われた榊原英資氏も民主党を支持しました。氏は「坂の上の雲はなくなって、今日より良い明日はない。成長経済から成熟経済に移った。これからはヨーロッパ型福祉社会を目指す大きな方向転換をしなければならない。民主党は、子供手当、農家の個別補償、高校授業料無料化とか、ヨーロッパ型社会を目指しており、政策の方向は間違っていない」と支持しました。 また、東大を首席で卒業した経済学者小幡績氏も、著書『下り坂社会を生きる』では、「国民はもう成長なんかとっくに終わったと気づいている。若者は一番気づいていて、給料なんか一生あがらないに決まっていると思っている。もう成長は終わったんだから、今の資源を大切に使って、これからの余命を平均的に豊かに過ごそうよ」と考えた方がいいと民主党の政策を支持していました。 現在、頻繁にTVに出ておられる浜矩子同志社大学大学院教授は、安倍政権を徹底的に批判しています。 昨年の総選挙直後のNHK日曜討論(12/23)では「この選挙の結果として『浦島太郎政権』が誕生してしまったのではないかと思います。成長を目指して大胆な規制緩和というような文言の中にも、浦島太郎度が表れています。成長しなくとも経済がうまく回るのはどういう姿かという事を考えるべきところなのに、ピントが全く外れている訳です。」と成長を否定し、成熟を目指すべきであると述べています。 民主党を支持した識者、マスコミに共通する思想は「成長の否定」です。 彼らは、一人一人が小さな神となり、「もはや成長はない」とご宣託をしているのです。 しかし、本来、政(まつりごと)を預かる為政者は、心を空しくして国民の繁栄を神仏に祈るのではないでしょうか。 神仏の心は「繁栄」と「調和」にあることは古来、日本人は知っていました。信仰を失くした時、繁栄と調和も失うのです。 なぜ、20年も日本が漂流したのでしょうか? 大いなる神仏の心を忘れ去り、マスコミが、知識人が小さな神となり「坂の上の雲はない」とご宣託をし、政局を支配したからではないでしょうか。 再び「無宗教」を国是とすることによって、未来の子孫を苦しめることのないように幸福実現党は、宗教政党としての使命を果たしてまいります。 この国の繁栄と調和のために。この国の未来を開くために。(文責・加納有輝彦) 日本の「世界のリーダーたらん」とする意志が世界を救う! 2013.01.07 「私たちは断じて、この日本を大恐慌の中に再び陥れてはならないんです」――昨年12月13日大宮駅西口、大川隆法幸福実現党総裁は強風が吹き上げる中、声をからして国民に訴えかけました。 その後、自民党安倍政権が誕生し、景気回復への期待感から株価も好調に伸びております。 大胆な金融緩和や財政出動など「アベノミクス」と称される経済政策は、幸福実現党が3年半前から訴えていた内容と重なり、適切な政策が実施されようとしていることは事実です。 しかし大川隆法総裁が警告を発されたように、いまだ日本を含めた世界経済は予断を許さぬ状況です。 そこで「なぜ大恐慌が起こるのか」「どうしたら防げるのか」を考えて参りたいと思います。 なぜ大恐慌は起こるのか 国際経済学者であり、大恐慌研究家としても名高いC・キンドルバーガーは、1930年代の大恐慌の原因を「国際金融システムにおける指導国の不在が不況を深刻なものにした」と結論付けております。(参照『大不況下の世界―1929-1939 』,C・キンドルバーガー,岩波書店,2009) 19世紀後半から第1次大戦前まではイギリスがリーダー国として、世界的に金融不安が高まった際には国際的な信用のあった通貨・ポンドを供給し、危機の拡大を防いできました。 ところが第一次大戦後、イギリス経済は消耗し、代わってアメリカが世界最大の資本輸出国となり、世界に資金を供給し続けるだけの経済力を持ちましたが、当時のアメリカはウィルソン大統領が提示した「国際連盟」を議会が否決したこともからも分かるとおり、リーダーとなる意志を持ちませんでした。 不況が最も深刻化した1932年、当時のフーバー大統領は、アメリカ財政の健全性をウォール街の投資家にアピールすべく緊縮財政をとり、大増税を決定しました。 しかし世界最大の資本輸出国であり、強い通貨を持つ国が、自国の財政規律の健全性をアピールするために大増税などの緊縮策をとれば、リーダー国の通貨の信認は高まるかもしれませんが、世界経済への資金供給はとまります。 世界が資金不足により支出削減と輸出拡大を迫られている中、輸入を増大できるだけの経済力を持つリーダー国が、大増税を行い経済規模を縮小させれば、その分輸入も減り、世界はさらに支出の削減を迫られ、大恐慌へと転落します。 大恐慌で最も疲弊したドイツでは、絶望した民衆の支持を背景に対外排斥主義を掲げるナチスが政権をとりました。 世界最大の資本輸出国であったアメリカがリーダーとしての意志を持たず、大増税などの緊縮策をとったために世界が混乱に陥ったのです。 日本経済が握る世界の命運 しかるに米ソ冷戦を経た現在のアメリカは世界最大の資本輸入国・債務国に転落しており、支出削減が求められております。 一方の日本は、財政赤字や貿易赤字のみが強調されるものの、国際収支全体を見れば経常黒字が続いており、日本は21年間連続、世界最大の債権国・資本輸出国、そして強い通貨・円を持つ国です。 昨年10月には日本が600億ドルの資金をIMFに拠出したことで世界経済が一時小康を得たように、今や日本なしでは世界経済は回りません。 1930年代の教訓を踏まえれば、日本の大増税・緊縮策がもたらすのは日本経済の沈没だけではないことは明らかです。 新政権への期待感から株価が上昇しておりますが、復興需要のピークは今年の夏、ちょうど消費税の増税判断がなされる頃にピークを迎えます(12/26 日経)。 やはり95年1月に起きた阪神淡路大震災の復興需要を背景に、96年の日本は先進諸国中最高の実質3%近い成長率を達成したものの、翌年の消費増税が実施されると日本長期信用銀行等、戦後日本の繁栄を象徴する金融機関が連鎖倒産し、97年以降日本のデフレ不況が本格化したことを忘れてはなりません。 私たちは世界を混乱に陥れないためにも断じて日本経済を沈没させるわけにはまいりません。 リーダー国としての強い意志を! 第二次大戦後のアメリカは一国安定主義がもたらす弊害に懲りて、マーシャルプランによる戦後補償やIMF、世界銀行などを通じた積極なドル資金の供給によって、自由主義諸国の経済発展を促し、同時にドルの基軸通貨化に成功しました。 今の日本に足りないのは、世界を救うだけの資力ではなく、消耗したアメリカに代わって、「世界のリーダーたらん」とする意欲です。 「この地上に正義を!地球に正義を!日本人よ、その筆頭に立とうではありませんか!」――大川総裁は大宮駅西口の街宣をこのように締めくくられました。 中国の覇権主義から世界の自由を守り、地上の正義を守り抜くことができるか否かは、私たち日本人の意志にかかっております。 幸福実現党は宗教政党として、日本人の使命感と誇りに火をつけられるよう、本年も闘魂の挑戦を続けて参ります!(HS政経塾2期生・川辺賢一) 中国による日本の言論弾圧を許すな!――中国の裁判で日本人が裁かれる? 2013.01.06 一歩引けば三歩踏み込んでくる中国 昨年9月以降、尖閣諸島周辺海域では、中国の公船がほぼ連日領海の外側の接続水域を航行するようになり、領海侵犯は既に20回、最近では、空からも中国の海洋監視船機の領空侵犯が起こっています。(1/5 産経) 全ては、先の民主党政権が尖閣諸島・魚釣島に上陸した中国人活動家を中国の反発を恐れてその罪を問うこともなく、簡単に強制送還したことから始まっています。 相手が一歩引けば、三歩踏み込む中国の性格を見誤った結果が、現在の尖閣の状況を呼び込んでしまったのです。 本当は日本の領土に意図的に不法上陸した中国人活動家は、刑事手続きで罰金なり懲役刑を科すべきでした。 尖閣諸島を断固として守る毅然とした態度を示しておけば、中国も今のような手出しは易々としなかったでしょう。 日本の言論の自由を封殺する「南京裁判」 尖閣諸島の危機は、目に見えるように報道され分かりやすく、日本人の多くが危機感を募らせています。 しかし、それとは別に、現在、内部から日本を崩壊させかねない「裁判」が進行しています。 発端は、夏淑琴という女性が十年以上も前に南京事件の被害者と言いだしたことです。 松村俊夫氏が夏淑琴氏の発言を精査し、著書『「南京虐殺」への大疑問』の中で、夏淑琴氏の南京事件の体験談は矛盾点が多くあり、中国によって「被害者」が仕立てあげられたことを指摘しました。 これに対して、夏淑琴氏が村松俊夫氏と出版社である転展社に対し、夏淑琴は「精神的苦痛」を受けたとして、合わせて1000万円の賠償請求を南京の法院に起こしました。(詳細:転展社を支援する会) 過去、南京事件の犠牲者だと称する中国人が日本の裁判所に訴えることはありましたが、中国で訴訟を起こしたのは初めてのことでした。 そして、中国の裁判所は松村俊夫氏と出版社に対して約500万円の損害賠償を命ずる判決を下しました。 本来、日本と中国には裁判の判決に基づく「相互保証」はなく(※)、中国の裁判所の判決は日本人に対して効力を及ぼしません。 ※実際、中国の最高民事法院は1994年に「日本の裁判所の裁判の承認・執行の許可をしない」(中国・民事訴訟法第268条)との判断を示しています。 ところが、本来は日本人を守るべき日本人弁護士が下支えとなり、昨年、原告の夏淑琴氏はこの判決の強制執行を求めて東京地裁に訴訟を起こし、昨年12月21日に第2回目の公判が行われました。(第3回は、3月15日) 中国の裁判で日本人を裁く――裁判の不当性 いわゆる南京虐殺に関する原告・夏淑琴の証言の実証もないまま、「精神的苦痛」を受けたとの理由で裁判が行われ、日本で著者と出版社に対して、中国の裁判所の判決(賠償支払い)の強制執行がなされようとしています。 そもそも原告が「精神的苦痛」を訴える原因となった書物は海賊版であり、著者と出版社は何の関係もないものです。 最大の問題は「法治国家」とは言いがたい中国共産党コントロール下の中国の裁判所が日本人を裁き、その効力が日本にまで及ばんとしていることにあります。 中国の裁判所の判決によって日本人が裁かれるということは、「中国による日本属国化の始まり」とも言うことも出来ます。 そうなれば、法が支配しない中国の裁判が日本の「法律の壁」を破り、日本人の人権、言論の自由、出版の自由を封殺できることになります。 今後、歴史的な検証もされないまま、今回の事件を前例として、同様の裁判が多発することは間違いありません。 これは「南京事件の証言」に限らず、日本の言論人が行った「従軍慰安婦の証言」の検証でも「精神的苦痛」を理由に韓国人が韓国の裁判で訴えれば、日本の裁判でも通る可能性も出てきます。 最終的に日本人は、中国、韓国に対して正しい歴史検証に基づく批判も出来なくなります。 これは日本の主権の問題である! 尖閣諸島中国漁船衝突事件で日本が譲歩した結果、中国や韓国、ロシアによる日本領土への不法上陸が激化しました。 それと同じく、この「南京裁判」で著者と出版社が敗訴すれば、中国の裁判の判決の矛先は次々と私たち日本人に突きつけられる日がやってきます。 この不当な裁判は一著者と出版社の裁判ではありません。この事実を国民の多くの方々に知って頂き、日本は主権国家として、中国の裁判が日本の個人や法人に及ぶことを拒絶すべきです。(文責・佐々木勝浩) 今こそ、真なる主権国家として立ち上がろう! 2013.01.05 安倍首相は第二次安倍内閣を「危機突破内閣」と名付けました。これまで幸福実現党が打ち出して来た、デフレからの脱却、外交立て直し、震災復興、原発政策の再構築等について、そのまま内閣の政策課題としています。 安倍首相は「安全運転」を心がけているとも言われていますが、現在は経済・金融政策的側面の打ち出しが強く、国防・安全保障についての打ち出しが明確には見えて来ません。 しかし、日本を取り巻く安全保障環境は急を要しており、安倍首相は十分には「国難」の正体についての認識をお持ちではないように見受けられます。 「国難」の正体とは何か 今、日本は過去に経験したことのない「国難」、すなわち、国家存亡の危機に直面しています。 それは経済の低迷や国政の混乱といったことがかすむような、「国家そのものが地上から消滅してしまうかもしれない危機」であります。 あえてこの国難に匹敵する危機を挙げるとすれば、幕末でありましょう。 当時、大航海時代以来の西洋列強の帝国主義によって世界の植民地化が進んでいました。 イギリス、フランス、スペイン、アメリカ、ロシア、そうした列強によって、アジア、アフリカ、南米の国々は植民地にされ、人々は収奪され、奴隷にされ、殺されていきました。 そうした西洋列強の侵略から日本を守り、西洋諸国に負けない新しい独立国家をつくろうとしたのが、明治維新であり、その主役となったのが、坂本龍馬や吉田松陰、西郷隆盛、勝海舟といった志士達でした。 現代の日本は、その幕末以上の危機に直面しています。どこからの危機か――一衣帯水の隣国「中国」です。 「大中華帝国」の再興を狙う中国 中国は1978年の鄧小平による改革開放路線によって、それまでの社会主義経済を捨て、市場経済体制に移行しました。 その経済成長は目覚ましく、この二十年のGDPの成長率は実に10%前後で、GDPはすでにドイツ、日本を抜いて世界第二位の経済大国になっています。 そして中国はその経済力をバックに、驚異的なスピードで軍事力を強大化させ続け、国防費はすでに日本の防衛費の二倍から三倍となり、アジア最大の軍事大国へと変貌しました。 その目的は何か――それは、かつての「大中華帝国の再興」であり、日本併呑まで視野に入れた、アジアの覇権国家の実現です。 「中華」とは、中国(中華)が世界の中心であり、漢民族以外の異民族は漢民族帝国に膝を屈するものとする思想です。 そこから歴史的な「羈縻(きび)政策(羈は馬の手綱、縻は牛の鼻綱。羈縻とは、手綱・鼻綱で周辺諸国を中国から離反しないように、つなぎ留めておく意味)」や「冊封体制(中国の皇帝が周辺諸国の君主と名目的な君臣関係を結ぶこと)」が生まれました。 「帝国」とは、一人の権力者がその強大な権力によって、自国民のみならず、異民族をも支配する状態を言います。 「覇権」とは、天下に向かい号令をかける権利のこと、あるいはその権利がある状態を指します。 かつて中国史上において、秦、漢、隋、唐、明、清などの王朝が、漢民族居住地域を越えた領域を支配し、アジア全域に影響を及ぼしたように、中国は今、その経済力と軍事力をバックに、再び周辺諸国を支配し、アジアの覇者にならんとの誘惑に駆かられているのです。 今こそ、真なる主権国家として立ち上がろう! 私は中国をいたずらに敵視したり、戦争を煽りたいわけでは全くありません。私個人としては、孔子や孟子など多くの思想家を輩出した中国文明には一定の尊敬の念を持っており、中国人の友人も数多くいます。 しかし、ここまで露骨な軍備拡張を行われては、「専守防衛」の立場から考えても、問題視せざるを得ません。 日本もまた国家として、国民と国土を守らなければならないのです。 私達は、そうした中国の「わがままな」拡大主義の前に膝を屈するわけにはいきません。 「自分の国を他国の植民地にはさせない」という、強い意志と気概を持たなければならない時を迎えているのです。 なぜなら、中国は共産党の一党独裁国家であり、マルクスの共産主義思想を核にした唯物論国家です。 その属国となることは、日本がチベットやウイグルと同じ運命をたどる――宗教も、言葉も、歴史も、自由も、思想も、土地も、資源も、全て奪われ、民族全体が奴隷のように扱われ、虐殺され、支配される――ことを意味します。 何よりも今、私たち日本人に求められていることは、自分たちが置かれている状況を理解することです。 つまり、2250年前に始皇帝が興した「秦」にも似た覇権主義の帝国・中国が台頭している現実を直視することです。 私たち日本国民は、このままであれば、十年後、二十年後には日本という国は、中国に呑み込まれて滅びる可能性が極めて高いという事実を知り、今こそ、真なる主権国家として立ち上がるべきであります。(文責・矢内筆勝) 日本も「消費税増税」という「財政の崖」を全力で回避せよ! 2013.01.04 世界が安堵した「財政の崖」回避 米上院と下院は1月1日、緊縮財政によって米景気が悪化する「財政の崖」の回避策を盛り込んだ法案をそれぞれ賛成多数で可決しました。 中間層の減税維持と引き換えに富裕層への増税に踏み切り、国防費など歳出の強制削減の開始は2カ月延期されることになりました。 これにより米国のほぼ全世帯は年末でいったん失効状態となった減税措置の多くを回復。急激な財政緊縮で経済に深刻な打撃が及ぶ事態は回避されました。 「財政の壁」が回避されなければ、大増税と大幅な財政緊縮の両方が同時にアメリカ経済に襲いかかるところでした。 その規模は2013年単年度でも約6000億ドル(約53兆円)と巨額で、両方とも景気を冷やす効果を持っているため、株価の3割が吹き飛び、アメリカのGDPが3~4%下がるとの予測もなされていました。 米国経済が「財政の崖」に落ち込めば、世界経済が受ける影響は深刻で、「円安株高」が進む「アベノミクス」も一気に吹き飛ぶところでした。 「財政の崖」が回避されたことによって、NY株が急騰。ヨーロッパや日本市場でも「財政の崖」が避けられたことに対する前向きな受け止めが広がっており、株高をもたらしています。 2013年最初の取引となった1月4日の東京株式市場では、取引開始から大幅に値を上げ、一時、大納会より300円以上値上がりした1万0,700円台を記録。終値でも、初めて東日本大震災前の水準を回復しました。 これは、およそ2年5カ月ぶりの円安になったことに加え、アメリカの「財政の崖」問題がひとまず回避されたことが、その要因として挙げられています。(1/4 FNN「大発会 平均株価、東日本大震災前の水準に回復」) 野村証券のエコノミストは「最悪の事態が回避され、マーケットでは取りあえず安心感が先行している」「年始の日本株はロケットスタートになる」と予測しています。(1/4 ブルームバーグ「日本株は連騰へ、2年5カ月ぶり円安好感-『財政の崖』回避」) 「合意」の本質は増税 しかし、これで米経済が好転していくかどうか楽観視はできません。米株価の上昇はオバマ大統領が再選されてから株価が急落し、NYダウは1万2500ドルあたりの水準まで下がっていたことへの反動に過ぎません。 「財政の崖」回避に向けた民主党・共和党合意の結果、減税打ち切りの対象は大統領が提案していた年収25万ドル(約2180万円)以上から、野党共和党の反発で45万ドル(約3900万円)以上に狭められたものの、富裕層への課税強化で所得税は20年ぶりに実質増税になります。 ブッシュ前大統領が大型減税による景気対策を行ったのに対して、「富裕層は応分の負担をすべきだ」と主張するオバマ大統領による富裕層増税が押し通された形です。 また、富裕層へのキャピタルゲイン(有価証券売却益)や配当への税率引き上げ(15%⇒20%)や遺産税の引上げ(35%⇒40%)なども決定されました。 また、富裕層と関係なく、社会保障給与税は、これまでの2%カットが廃止されます。社会保障税が2%増税したに等しく、米国民の幅広い層に増税が及びます。 日本でも、昨年4月に年少扶養控除を廃止された結果、勤労者世帯の消費が落ち込みましたが、米国でも今後、増税による消費の落ち込みが景気悪化を招くことが懸念されます。 米軍事費の大幅削減で、日本は自主防衛を迫られる また、財政支出の大幅削減については2ヶ月間凍結という「結論先送り」の形になりました。今回の回避が無ければ、巨額な軍事費と社会保障費の「強制的(自動的)な歳出削減」がなされるところでした。 今後、来月末に向けて、社会保障費は据え置き、軍事費削減を優先する民主党と、軍事費は据え置き、社会保障費削減を目指す共和党との激しい対立が続くことが予測されます。 この成り行きによっては、日本は経済のみならず、安全保障面においても多大な影響を受けることになります。 軍事費の大幅な削減がなされれば、「世界の警察」としてのアメリカのプレゼンスは後退し、日米同盟の抑止力が低下する他、長期的には「軍事力の米中逆転」に陥る危険性も強まります。 両党間で妥協がなされるにしても、相当規模の米軍事費削減は不可避と言われており、日本は核武装も含め、「自分の国は自分で守る」自主防衛体制を進めていくことが急務です。 「消費税増税」という「財政の崖」を回避せよ! 日本では、既に「増税ラッシュ」が始まっています。 昨年10月から「地球温暖化対策のための税(環境税)」がスタートし、今年1月から「復興増税」という名の増税(所得税額の2.1%上乗せ(25年間)、住民税増税等)が始まりました。 そして、消費税は来年2014年4月1日に8%、15年10月1日に10%へと連続アップする予定です。消費が低迷する中での消費税増税は「日本経済の自殺」に等しい行為です。 昨年2012年の日本のGDPも、復興需要が伸びず、下方修正の見込みですが、こうしたデフレ不況が続く中で消費税増税を強行すれば、まさしく日本経済は崖から転落します。 自民党は消費税増税法に賛成した立場上、消費税廃止はしづらい立場にありましょうが、安倍首相は勇気を持って消費税増税法を廃止し、日本の「財政の崖」を全力で回避すべきです。(文責・黒川白雲) 第二次安倍政権の国防政策を考える 2013.01.03 「防衛大綱」の議論から見えてくる国防政策のポイント 2012年12月16日に投開票が行われた、第46回衆議院解散総選挙により、第二次安倍政権が成立しました。 安倍氏は民主党政権下で打撃を受けた政治の立て直しに対して意欲を燃やしておりますが、特に喫緊の課題として、経済の立て直しと共に日々深刻化する中国・北朝鮮の軍拡への対応、すなわち国防体制の強化を挙げています。 本日は安倍政権の国防政策について取り上げたいと思います。 正式には、今後、「防衛大綱」2013年版として発表されることが予想されますが、その議論の中から、安倍政権下で国防政策がどのように進化するか、あるいはどのような限界にあたっているかを予想する事ができます。 (1)「対中有事」を念頭に置いた防衛大綱の策定 安倍政権の国防政策で第一に画期的だと思われるのは「防衛計画の大綱(防衛大綱)」の見直しに着手する上で、初めて「対中有事シナリオ」が作成されようとしている点です。(産経:2013年1月1日一面記事) 民主党政権下で策定された「H23年度以降に関わる防衛計画の大綱」でも「動的防衛力」というコンセプトと共に「島嶼部攻撃」への対応が盛り込まれていましたが、具体的な有事シナリオもなく、サイバー攻撃や弾道ミサイル攻撃などの脅威と共に「列挙」されるにとどまっておりました。 しかし、今回「対中有事」を明確に念頭においたうえで防衛大綱を策定する検討を始めたことは、「予想される危機」を具体的に明らかにするという点で画期的だと言えます。 (2)「国防戦略」策定への布石 次に画期的と言えるポイントは、陸海空自衛隊の「統合運用」を見据えている点です。 「対中有事シナリオ」を明確にしたことで、陸海空3自衛隊による「統合防衛戦略」を立案する動きが出てきました。 1月1日の産経紙面では、防衛省が想定する有事として、「尖閣、石垣・宮古、台湾への単独・複数同時進攻」が紹介されています。 このように「対処するべき危機」が明確となったということは、「それぞれ性格も能力も、また利害も異なる3つの軍種を、特定の目的に向けて効率よく運用する」という戦略的発想ができるようになったことをも意味しています。 そもそも陸・海・空の3軍種を統合運用するには、「明確な国防戦略」の策定はもとより、「政治家の強力なリーダーシップ」が不可欠です。 なぜなら、「国家の主権者たる国民」の信託を受けた政治家が、「向かうべき目標」を明確にしていなければ、3つの軍種の利害の調整などできないからです。 「明確な脅威」の設定と、それに対処する「自衛隊の統合運用」まで踏み込めれば、「国防戦略の策定」まであと一歩です。 あとは、(1)「国家戦略」の策定、(2)対応すべき脅威の優先順位、が決定され、さらにオープンな国防議論をできるようになれば、「専守防衛」の克服が可能となります。 「幸福維新」の志は生きている そういった観点から振り返れば、国防に対する「危機意識」を浸透させ、国論を「保守回帰」に導き、スムーズに国防政策を進める「世論」を整えた「幸福維新の志士達」の活躍には、計り知れない価値があったということがわかります。 また、「政治家のリーダーシップ」を発揮できるかどうかは、安倍首相の双肩にかかった課題です。国防危機の回避のため、安倍首相にはぜひ志を果たしていただきたいと思います。 この国を守り、未来を切り拓くべく、私たち幸福維新の志士は戦いを止めることはありません! まずは今夏の参院選において躍進を果たすべく、ご指導ご支援の程、何卒よろしくお願い申し上げます。(文責・HS政経塾一期生 彦川太志) 日本経済再建に向けて 2013.01.02 新年の祝賀ムードを吹き飛ばす復興増税 2013年元旦から始まった東日本大震災の復興に向けた所得税増税。所得税増税は2.1%上乗せされ、1月1日から25年間も継続されます。更に住民税は2014年6月から10年間、年間千円の上積みとなります。 既に、2012年4月からは法人税増税が始まっており、3年間の税額が10%高くなっていますし、2012年8月10日には消費税増税法案が可決していますので、このまま景気弾力条項が適用されなければ、2014年4月から消費税は8%へ、2015年10月には10%へと引き上げられます。 安倍政権の誕生によって保守回帰へ向けた一歩を踏み出し、デフレ脱却に向けて日銀法改正まで実行しようとされていることは大いに結構なことです。しかしながら、前政権時代の遺産としての復興増税は始まっています。 今も住居がなく不自由な生活を余儀なくされている被災地の方のために増税をされたわけですが、被災地以外への流用問題も出ており、国民の政府に対する信頼は依然として低いと見るのが筋でしょう。 □11万の国民の声を無視した事実 幸福実現党は2011年の11月、復興増税に反対するために「増税が国を滅ぼす!国民集会」(実行委員長:内山優日本税制改革協議会会長)に協賛団体として参加し、時の政府に対して批判を行いまいた。 また、昨年は3月に消費税増税に反対するべく、同じ趣旨で国民集会を行いました。この時、同時に進めていた消費税増税反対の請願用紙が全国から集められ、総数111,234に達しました。⇒http://bit.ly/Vor3Rj 筆者も『日本経済再建宣言』『増税亡国論』(二冊とも共著で幸福実現党出版より刊行)を記し、増税よりも経済成長を優先する論陣を張りました。当ニュースファイルでも、様々な切り口から増税反対の意見を述べてきています。 例えば、他党にはない論点として、国民が承諾しない増税は「合法的略奪」であるということです。⇒参照:国民の信なく増税するのは合法的略奪。今こそ減税路線への転換を これは「代表なければ課税なし」という原理原則に則ったものです。その意味では、11万を超える国民の声を無視し、野田政権が消費税増税法案可決に向けて爆進したことは非難に値します。 また、自民党と公明党も消費税増税法案可決に加担していることをゆめゆめ忘れてはなりません。自公政権への回帰といっても、国民は増税政党を圧倒的に支持したことによって、増税を合法的に承諾してしまったのです。 日経平均株価2万円の回復を目指そう! 幸福実現党は、次の戦いに向けて新体制でスタートを切りましたが、復興増税と消費税増税の凍結・廃止を引き続き主張します。 安倍首相のデフレ脱却に向けた金融緩和、日銀法改正に向けた動きは評価できるのですが、それだけでは日本経済は再建したとは言えません。 景気弾力条項には、名目成長率3%、実質2%が明記されています。この数値を下回った場合は消費税増税を見送るということになります。 たとえ一時的に成長率が3%を達成したとしても、増税は敢行されてしまいます。消費税増税によって消費が停滞すれば、企業の収益が圧迫されて設備投資が落ち込みます。 消費税の税収は増えるかもしれませんが、個人が支払う所得税や企業が支払う法人税が落ち込む可能性が高いのです。 特に、法人税の場合は景気に左右されますので、欠損法人(赤字で法人税を納税しない企業のこと)が一層増える可能性があります。つまり、一般会計の税収は全体的に落ち込むわけです(拙著『日本経済再建宣言』197p~204pを参照のこと)。 せっかく成長率が高まっても、再び増税によって経済成長と税収を減らすならば意味はありません。例えるならば、アクセル(経済成長)とブレーキ(増税)を同時に進めたら車がおかしくなるのと一緒です。 従って、復興増税と消費税増税の廃止は、ブレーキペダルを離すことに相当します。 今は東日本大震災の復興のためにもアクセルを全開(=適切なマクロ経済政策を行うこと)にし、日本全体を元気にすることが先決です。 最終的には、幸福実現党が2009年の衆院選の時に提言した日経平均株価2万円台への回復を目指すべきでしょう。 2万円は今の水準の2倍です。株価が2倍になれば、銀行や企業の資産価値も相当高まりますので、銀行による貸出や企業の設備投資がしやすい環境が作られます。増税を廃止することで、消費者も安心して消費をすることができるでしょう。 国民の安心を考慮するならば、増税ではなく減税や経済成長です。そこに株価の上昇が伴えば、必然的に消費も高まります(専門的には資産効果と呼ぶ)。 要するに、幸福実現党は、日本経済は政策次第によってまだまだ成長ができると考えているのです。 私たちは、決して成長を諦めてはいません。むしろ、本年を日本経済再建元年とするべく努力精進していく所存です。 本年も引き続き、我が党の経済政策にもご指導・ご鞭撻を頂ければ幸いです。(文責・中野雄太) すべてを表示する « Previous 1 2 3 4 Next »