Home/ 和田みな 和田みな 執筆者:和田みな 安倍首相、9条全面改正、今やらずしていつやるのですか? 2017.09.09 安倍首相、9条全面改正、今やらずしていつやるのですか? 幸福実現党・たつの市地区代表 和田みな ◆日本を取り巻く「現実」 2009年以来、幸福実現党が訴えてきた北朝鮮の核ミサイル、中国の軍事力による現状変更が「現実の脅威」として、わが国の平和と安全を脅かしています。 幼い頃から日本史が好きで、過去の時代に想いを馳せることの多かった私ですが、元寇や黒船のような日本の危機は歴史物語ではなく、いま起こっている「現実」でもあるのだと実感することが多くなりました。 2009年に「新・日本国憲法試案」を世に問うたわが党としては、「有事の際、愛する家族や大好きな日本を守ることができるのか」ということを考えた時、事ここに至るまで憲法を改正することが出来なかったということが悔まれてなりません。 特に、「憲法9条では日本やアジアの平和は守れない」という気持ちをお持ちの方は多いのではないでしょうか。 ◆9条はどのように解釈されているのか 改めて条文を読んでみましょう。 日本国憲法 第二章 戦争の放棄 第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。 9条に関しては、様々な解釈がありますが、政府の立場としては、侵略戦争の放棄、個別的自衛権の保持、集団的自衛権を限定的に保持、戦力不保持、専守防衛というのが基本的なスタンスです。 ◆9条の正しい解釈 9条に関して最も大きな問題は、第1項が禁止している戦争とは何を指すのか、第2項でいう戦力不保持とはどのようなことか、です。 第1項の原文は、「不戦条約」と「国連憲章」であると言われています。 この2つの原文が指している「国権の発動たる戦争」の放棄は、明らかに「侵略戦争」のことであり、「自衛権」は全ての独立国に認められた固有の権利であることから、日本国憲法下においても、同じように解されるべきです。 また、憲法前文には、「われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思う」という文言があります。 ゆえに、第1項前段部分は、「積極的に世界平和に貢献する」ということであると解釈すべきです。 つまり、第1項は、積極的平和主義の下で、侵略戦争を放棄したものであり、それを受けて第2項は、侵略戦争のための軍隊や戦力を持つことはできないということを示していると言えます。 ◆9条と自衛隊 しかし、長年「一項において自衛戦争も含めてすべての戦争が放棄されていると解すべきであると説く見解(乙説)も有力である」(芦部信喜『憲法』)というのが、日本の憲法学の主流見解となってきました。 このような解釈の下では、第2項は全面的な戦力不保持を意味することとなり、自衛隊は「違憲」という批判を浴びてきたのです。 そのため、政府はこれまで、自衛隊は「実力部隊」であって、憲法9条第2項が保持を禁止している「戦力(軍隊)」ではない、と苦しい「言い訳」をしてきました。 「戦力」ではない「自衛力」を持った自衛隊は、自衛のための必要最小限度の実力しか持つことはできず、専守防衛に徹し、その行動は常に制限されてきたというのが現状なのです。 このままでは、自衛隊が臨機応変に危機に対処することは困難です。 今年5月に安倍首相が示した「9条への自衛隊明記」「加憲」が「保守」のコンセンサスとなりつつありますが、これまで述べてきたように、現行の9条を残したまま「自衛隊を憲法上の存在にする」ということでは、何も変わらないのは明らかです。 やはり、首相の「加憲」は、実現の可能性を最優先した妥協の産物であると言わざるを得ません。 ◆9条改正は今やるべき 「保守」の方々の本音も、必ずしも「加憲」にあるとは思えません。 あくまでも9条全面改正への第一段階である、と多くの改憲派は自分の意見を押し殺し、「憲法改正」という悲願達成を目指しているように感じられます。 しかし、国民の大半が自衛隊の存在を認めている中で、「自衛隊明記」を行うことの労力や時間、また何より、時代認識を考えた時に、やはり9条は全面改正し、最低限「自衛権の保持」と「自衛のための軍隊の保有」を明記すべきであると考えます。 本音を言えば、今から9条改正を行っても間に合わないかもしれない、という危機感はあります。そうであっても、現状にできる限り対応しつつ、早急に取り組まねばなりません。 毎日、北朝鮮の核ミサイルの恐怖の中で暮らさざるを得ない時だからこそ、9条全面改正の必要性を多くの国民に訴えるべきです。 むしろ、改憲を目指す政治家であるのであれば、いま、正々堂々と訴えずしていつやるのか、と思うのです。 「安倍首相、9条全面改正、今やらずしていつやるのですか?」 そう問いたいと思います。 <参考文献> ・長谷川三千子著『九条を読もう!』(2015.9 幻冬舎) ・潮匡人著『誰も知らない憲法9条』(2017.7 新潮新書) 教育の一律無償化は憲法改正に盛り込むべきではない 2017.07.01 教育の一律無償化は憲法改正に盛り込むべきではない 幸福実現党たつの市地区代表 和田みな ◆今年の夏は憲法改正議論が熱い 2020年の憲法改正にむけて、永田町の動きがあわただしくなってきました。 安倍首相は自民党改正案の年内国会提出を目指す意向を示しており、自民党憲法改正推進本部は9月にそのたたき台をまとめたい考えです。 ◆教育の無償化は憲法改正の主要4項目 自民党憲法改正推進本部は、これから、主要4項目を中心に議論を進める方針ですが、その中で、最も各党の合意が取りやすい項目は「教育の無償化」です。 先月、政府がまとめた「骨太の方針」にも「幼児教育・保育の早期無償化」や「高等教育の改革」が盛り込まれる形となりました。 民主党政権時に高校の授業料無償化に反対した自民党としては大きな方向転換ですが、改憲勢力として重要なポジションにある日本維新の会を取り込みたい安倍首相にとって、維新が強く主張する「教育の無償化」が重要な論点となっていることがわかります。 現在、日本国憲法第26条において、義務教育は無償と定められています。また、2010年度からは、高校の授業料についても全額または一部が無償となりました(「高校無償化法」)。 「教育の無償化」議論は、就学前教育や高等教育までこの範囲を拡大しようとするものですが、憲法に明記し、一律に無償化する必要があるのか甚だ疑問です。 ◆高等教育の無償化も問題点 「高等教育の無償化」にはどのような問題点があるのでしょうか。 日本の大学の教育支出に占める私費負担の割合は65%と非常に高く、学生と家族に重い経済的負担が問題であると言われています。 このような現状に対して、日本維新の会などは「無償化は教育の機会均等、少子化対策にも資する」「教育投資は成長戦略である」と主張しています。 一方で、定員割れの私立大学は全体の4割強に達しており、授業料を無料にすれば、無料であることのみを理由に進学する人が増えることが予想できます。 また、学割や様々な学生サービスを利用したいがために、学ぶ意思のない人が進学するケースも懸念されます。 このような学生の増加は、定員割れに苦しむ大学にとっては、非常にありがたい施策であるかもしれませんが税金を支払っている国民にとっては、許せることではありません。 やる気のない学生の授業料を税金で賄うことが、投資として本当に有効であるとは思えません。 本来、大学も他の企業同様、市場原理の下で、学生に必要な教育の質を確保し、競争力を維持できるよう、努力するべきです。そのために、国は授業内容や授業料などを自由に設定できるようにすべきです。 逆に、無償化によって経営状態のよくない大学を国が支援する形になれば、「定員割れ」の大学は努力する必要がなくなり、結果として、大学教育の質の低下を招きます。これでは、意欲のある学生が大学に進学するメリットも薄れてしまうということになりかねません。 ◆就学前教育の無償化 様々に問題がある高等教育の無償化に対して、就学前教育の無償化については、肯定的な意見が多くみられます。 経済学的な観点からは、「年齢が低いほど人的資本投資の社会的収益率が高い」とする、米ノーベル経済学者のJ.ヘックマンの研究を引用し、幼児教育や保育への投資が正当化されてきました。 さらに、社会保障的な視点からは、自民党の小泉進次郎氏などが主張するように、今の時代は「子どもは社会全体で育てるもの」であり、高齢者向けの社会保障費の増加に比べて、子ども向けの施策の少ないアンバランスな構造を是正するために、就学前の子育て支援の必要性が述べられてきました。 しかし、日本の場合、4歳で幼児教育施設に通っている比率は95%であり、すでにほとんどの子供が幼児教育を等しく受けている現状があります。さらに、保育対象の子供たちの内、全国で2万3000人が待機児童となっており、受け入れる器がない状態です。 待機児童問題が解決されない中、就学前教育が無償化されれば、今預ける必要のない子供たちまで、保育園への入園を希望するようになることは明らかです。 そうなれば、更なる保育園不足が問題となる可能性が高く、これによって保育の質の低下も懸念されます。 ◆憲法に教育無償化を盛り込むことは単なるバラマキ どのような家庭環境にある子供にも、教育を受ける機会を保障することは大切ですが、「教育の機会均等」のためというのであれば、教育内容にも議論が及ぶべきではないでしょうか。無償化によって質の低下を招いては意味がありません。 憲法改正には賛成ですが、教育の無償化を書き込むことには反対です。「教育の無償化」を憲法に明記するとなれば、義務教育と同じように、親の収入や子供の数に関係なく、一律に無償化されることになるでしょう。 これは単なるバラマキであり、ポピュリズム政治です。 教育は一律に無償化するのではなく、経済的に苦しい家庭に対しての、保育料や授業料の減免や教育バウチャー制度の導入、奨学金の拡充などで対応すべきです。 給付型奨学金制度に今よりも多くの予算を割き、能力ややる気のある学生を支援することも、無償化より有効な教育投資になると考えます。 憲法改正に必要なのは高く貴い理想―今こそ、「新・日本国憲法試案」を世に問う【後編】 2017.05.07 憲法改正に必要なのは高く貴い理想―今こそ、「新・日本国憲法試案」を世に問う【後編】 幸福実現党兵庫県本部たつの市地区代表 和田みな ◆「新・日本国憲法試案」 我が党は、2009年5月の立党から約1か月後、「新・日本国憲法試案」を発表しました。 この憲法によって成し遂げたいことは「自由の創設」です。 平和・繁栄・自由を基本理念とした国家を創り、未来型の国家を創りたいと考えています。憲法の議論が加速している今こそ、「新・日本国憲法試案」の理念を世に問いたいと思います。 1.平和 「新・日本国憲法試案」の第一条は、「国民は、和を以て尊しとなし、争うことなきを旨とせよ。また、世界平和実現のため、積極的にその建設に努力せよ。」から始まります。 日本国民は、聖徳太子の十七条憲法以来、「和を以て貴しと為す」ことを基本理念に、平和で寛容性のある国家を建設してきました。 東京大学の名誉教授である平川祐弘氏が3月15日付の産経新聞「正論」の中で、この「和の精神」である寛容の素晴らしさに触れ、「今度、日本が自前の憲法を制定する際は、前文に『和ヲ以テ貴シトナス』と宣べるが良くはないか。(中略)日本発の世界に誇り得る憲法理念ではあるまいか。」と述べておられます。 日本国の憲法に最も相応しい理念が「和の精神」なのです。 また、聖徳太子の憲法では「和の精神」を大切にしながらも、6条には、善を推し進め、悪をみては必ず正せ、という勧善懲悪の理念も入っています。 平和を愛さず、自国民を苦しめ、他国を侵略しようとしている国に対して弱い態度を示すことは悪を増長させ、さらなる大きな悪を侵させてしまうことになります。 日本の真の平和主義はそのような見せかけの「平和主義」であってはいけません。 2.繁栄 「新・日本国憲法試案」の第11条には「国家は常に、小さな政府、安い税金を目指し(以下略)」とあります。 財産権を守ることは、近代憲法の最も大切な部分、近代立憲主義の本来の目的でもあります。 「新・日本国憲法試案」はスリムながらも、近代憲法の核心部分が成文化されており、現在の政治家のように票のための増税をする「バラマキ政治」から国民を守り、憲法に増税の防波堤をつくることが目的です。 そして、これによって個人が自由に繁栄するチャンスを得ることができるのです。 3.自由 「新・日本国憲法試案」の前文には「われら日本国国民は、神仏の心を心とし、日本と地球すべての平和と発展・繁栄を目指し、神の子、仏の子として本質を人間の尊厳の根拠と定めここに新・日本国憲法を制定する。」とあります。 この部分は初代神武天皇以来の日本建国の精神を現しています。 天上界の理想を地上界に実現するために天から降りてきた存在である私たちが、天上界にあるような理想の国を地上界に実現することが日本建国の理念でした。 天皇陛下はその肉体子孫であり、その日本国民の崇高な精神の象徴です。 一方で、世界には生まれながらに罪の意識を背負って人生を送っている人々や様々な差別や唯物論国家の中で苦しんでいる人が多くいます。 だからこそ、日本国民は「神仏の子としての自由と尊厳」を人間の尊さの根拠として明確に謳い、崇高な理想をもう一度掲げるべきです。 そして、一人一人が神仏の子として尊重され、自由からの発展を体現することが世界の人々への福音となるのです。 今、世界中で苦しんでいる多くの人々がその想いを共有することができれば、日本は精神的に世界のリーダー国家になることができるのです。 ◆今こそ「新・日本国憲法試案」を世に問う 「新・日本国憲法試案」は、日本の歴史や伝統、文化に基づきつつ、近代憲法の要点を押さえ、人間の神仏の子としての自由と尊厳を守る新しい時代の憲法です。 安倍首相は自分の総理在籍中に憲法改正をする、ということが目的になり、憲法改正の高い理念や志を失っています。戦後初の憲法改正は力のいる大きな仕事になるでしょう。 支持率の高い安倍首相であっても容易なものでなく、妥協せざるを得ないという気持ちもわかります。 しかし、だからこそ、憲法改正には高く尊い理想が必要なのではないでしょうか。 その理想が国民の心を動かした時、憲法改正への動きを後押しする力になるはずです。2020年に憲法を改正し、日本を世界に輝く理想国家にするために、「国民の心を打つ」正々堂々とした憲法議論が必要です。 参考: 「新・日本国憲法試案」https://hr-party.jp/policy/constitution/ 平川祐弘「正論」(2017年3月15日付「産経新聞」より)http://www.sankei.com/column/news/170315/clm1703150005-n1.html 憲法記念日にあたって(党声明)https://info.hr-party.jp/press-release/2017/4402/ 安倍首相による憲法改正発言を受けて(党声明)https://info.hr-party.jp/press-release/2017/4415/ 憲法改正に必要なのは高く貴い理想―今こそ、「新・日本国憲法試案」を世に問う【前編】 2017.05.06 憲法改正に必要なのは高く貴い理想―今こそ、「新・日本国憲法試案」を世に問う【前編】 幸福実現党兵庫県本部たつの市地区代表 和田みな ◆憲法施行から70年目のGW 今年のゴールデンウイークは、朝鮮半島情勢がかつてないほど緊迫化するなか、緊張感をもって過すことになりました。 そのような中で安倍首相が、70回目の憲法記念日である5月3日に読売新聞や改憲派の集会において発信したメッセージは非常に情けないものでした。 憲法9条の1項、2項を残したまま、自衛隊を憲法に明記する意向を表明したからです。 この首相の発言からは、「とりあえず自衛隊を合憲のものとしたい」との意向が読み取れます。 一見、現在の政府解釈を憲法に明文化するだけのようにも見えますが、これでは「自衛隊は軍隊ではないが存在は合憲」ということを憲法に明記することになりかねません。 ◆安倍首相の改憲発言の問題点(9条) 自衛隊は国際的にも立派な軍隊であり、自衛のための活動を行っています。交戦権もなく、戦力でもない自衛隊を憲法上の存在とするとは、逆に自衛隊の軍隊としての活動を縛ってしまうことにもつながります。 憲法の中に矛盾するものを書き込むことになれば、憲法の権威そのものを貶めることになるとともに、「自衛隊は戦力ではない」ことを憲法に明確に宣言することにもなりかねません。 安倍首相は、これまで憲法が簡単に改正できないため、状況変化に対応するために仕方なく行ってきた「解釈変更」を憲法に加えようとしていますが、解釈論と条文の改定を混同しており、このような「加憲」では、今より状況が良くなるはずがありません。 ◆安倍首相の改憲発言の問題点(教育無償化) また、安倍首相が憲法改正の大きな柱であると触れた「教育無償化」も大きな問題です。これは、同じ改憲勢力である日本維新の会との協調のために欠かせない項目でしょう。 維新の会の橋下徹法律政策顧問は、この財源を相続税の増税でと検討しているようです。 教育の無償化は「教育格差是正」「未来のための投資政策」という、一見、聞こえのいい理念であるため、現在では民進党や共産党、小池都知事に至るまで多くの政党や候補者が選挙前に公約に掲げているトレンド政策となっています。 しかし、教育内容に触れられることはほとんどありません。現在の教育政策に必要なのは質の向上です。残念ながら質の低い公教育を無償化したところで、子供たちの未来が拓けるはずがありません。 また、塾に通わなければよい学校に進学できない現在の教育内容では、教育格差が埋まるはずもありません。意欲ある、優秀な学生には奨学金制度の充実を図ることで教育格差の問題は解決できると考えます。 日本の教育政策に必要なのは、無償化ではなく自由化です。無償化することによって国家による学校教育への介入は大きくなり、質の低下、社会主義化が進む恐れがあります。 また、そもそも相続税の増税は憲法29条の財産権の侵害であり、政治家による票のための増税とバラマキ政策の禁止こそ憲法に盛り込むべきものです。 学問の自由を脅かす文部科学省の天下り問題【後編】 2017.01.29 幸福実現党たつの市地区代表 和田みな 前回取り上げた「文部科学省の天下り問題」について、さらに掘り下げ考えて参ります。 ◆文科省が脅かす学問の自由 文部科学省の天下りが、さらに問題なのは「学問の自由」を侵しているということです。 例えば、日本では新設大学を創る場合、厳しい「大学設置基準」があり、審議会を経て、文科大臣の認可が必要です。 また、この審議会は非公開、構成委員は競合相手ともいうべき私立大学の関係者が含まれています。 そのためもあり、ここ数年、不認可や厳しい意見が相次ぎ、新規参入を阻む「規制強化」となっており、実質的には「学問の自由」を奪っているといえる状態です。 本来、私立の大学にはもっと自由が認められるはずです。 しかし、文科省の言い分は「教育は公共性が高い」ため、大学の倒産は望ましくなく、簡単に新規参入を許可することはできないというものです。 ある意味倒産を防ぐために、私学助成金も支給されています。当然、文科省には、認可の権限があるというのでしょう。 一方アメリカでは、連邦政府は大学の認可には関与すらせず、民間団体が教育の質をチェックし、州政府が認可するという簡単なものがほとんどです(州政府によってばらつきがあります)。 もし、連邦政府が認可に関わるようなことがあれば、憲法違反で訴えられる可能性が高いといいます。 日本の文科省は多額の税金を使い、大学を補助金漬けにすることで、大きな権限を維持してきました。しかし、大学の財政基盤を健全化させるためにも、教育の自由を守るためにも、過度な私学助成は見直すべきです。 そのためには、教育の質の低い大学は自由競争の中で淘汰されるという自由競争が必要なのではないでしょうか。 学生の救済措置をしっかりと定めつつ、教育の自由性を確保することで、日本の大学の教育の質は向上するはずです。 ◆バウチャー制度で補助金行政の見直しを 私学助成の目的の一つにあった学生の経済的負担の軽減策としては、バウチャー制度の活用が有効です。 バウチャー制度とは、教育目的に限定した個人への補助金の支給にすることで、これによって大学への補助金を背に文科省が大学に天下りを斡旋したり、学問の自由を脅かすような権限を振りかざすことは防ぐことができます。 私学助成の見直しによって浮いた予算をこのように転用することで、低所得家庭の学生に対しても学問の自由が保障されます。 私学助成の全てが「悪」であるとは言えません。しかし、今の助成制度では私学の赤字補てんという意味合いが強く、文科省の権力を増大させ、私学の自由、創造性を奪っており、天下りの温床となっています。 政府の借金が1000兆円を超え、政府が「増税止むなし」を訴えている中、今回のように税金を補助金としてばら撒くことで利権を得ようとする官僚の不正は許されることではありません。 私学助成についても、卒業生の業績や新しい価値のある研究など「成果」に対する助成を主流にするべきだと考えます。 「成果」をだすための大学側の努力やチャレンジが教育の質を向上させることにもつながります。そのためにも新しい大学の創設や大学の新たなチャレンジにも広く門戸を開く「学問の自由」を守ることこそ文部科学省の使命です。 なくならない官僚の「天下り」問題――。まずは、学生たちの「人格の完成」を指導する立場の教育行政のトップである文部科学省から、襟を正していくことが求められます。 幸福実現党は、日本を弱体化させる補助金行政を見直し、民間の自由を拡大していくための政策提言を行ってまいります。 学問の自由を脅かす文部科学省の天下り問題【前編】 2017.01.28 幸福実現党たつの市地区代表 和田みな ◆文部科学省の天下り問題 文部科学省の元高等教育局長が退職の2か月後に私立大学の教授に就いた「天下り」問題が霞が関を騒がせています。 政府の再就職等監視委員会による文科省への調査では、10件のあっせん行為について国家公務員法違反であると認定され、この件に直接関与した前川喜平文科次官が辞任、6人の幹部が懲戒処分となる事態にまで発展しました。 さらにその後、文科省側が再就職等監視委員会の調査に対して想定問答を作成していたことも発覚し、同省が規制をすり抜けるため口裏合わせをしていたことも明らかとなりました。 これらのことから、文科省から私立大学への天下りは、組織的に、常習的に行われていたことが疑われています。 文科省の管理職経験者で退職後2年以内に大学に再就職したケースは、ここ5年間で79人(2011年~2015年度)に上ります。 この内、監視委員会が疑わしいとする事例は上記の10件以外にも28件あるとされ、詳細な調査が行われています。 さらに、安倍首相は、全省庁を対象とした実態調査を指示しました。 ◆天下りの弊害 国家公務員として働いていた官僚などが、退職後に関連する民間企業や特殊法人などの重職につくことを天下りといいます。 そもそも天下りが「悪」だとされる主な理由として、汚職や官民の癒着が起こることや無駄なポストが増えることがあげられます。 これまで民間企業などへ天下った官僚が、その見返りに、仕事を斡旋したり、補助金を増やすことが、官製談合事件などの汚職や補助金行政の温床となってきました。 また、官僚が天下り場所を確保するために独立行政法人等の不必要な機関が増え、省庁の影響の強い無駄なポストが作られてきました。 このような天下りが更なる既得権を生み、許認可行政でがんじがらめの状態を招いていることが天下り問題の弊害と言われています。 しかし、公務員であっても職業選択の自由は保障されています。そのため、民間への再就職の全てを禁止することはできません。 そこで、2007年に国家公務員法(106条)が改正され、「天下り斡旋等の禁止」という現在の規制体系が作られました。 天下りの規制が厳格化されて10年。今回の文科省の天下り問題では、組織ぐるみの斡旋行為があったことは明白であり、現在の法規制に「抜け穴」があることを意味しています。 ◆文科省と私学助成 国の行政機関である文科省の官僚と、「私立」の大学との間にどのような癒着関係があるのでしょうか。 戦後、教育界では「私学の自主性」が重んじられ、国による私学への規制は緩やかでした。 しかし、少子化などの影響で私学経営が困難になったことや、私学に進む学生の経済的負担を減らすため1970年代頃から国や地方行政による私立学校への助成が本格的に行われるようになりました。 平成27年度の「私立大学等経常費補助金」は、大学だけでも566校、約2940億円となっています。(日本私立学校振興・共済事業団ホームページより) 国からの補助金は私立大学だけではなく、法人化された国立大学の経営においても大きな影響を持っています。 多くの大学で定員割れを起こしている現在、文科省からの補助金は大学の存続に関わる重大なものです。文科省は補助金によって、大学が文科省のいいなりにならざるを得ない体制を作り上げてきたのです。 このような体制の下で、「天下り」の斡旋も行われているといえます。 そもそも、私学に対する助成には、経済的負担の軽減と経営の健全化という目的がありました。しかし、補助金なしでは経営自体が立ち行かず、経営の健全化とは反対の結果となっています。 日本の大学を弱体化させたのは、補助金行政の弊害といえます。 (つづく) トランプ革命に続け!100年後の日本のために考える日本型大統領制 2017.01.07 幸福実現党たつの市地区代表 和田みな ◆2017年は憲法改正への議論が進む 安倍晋三首相は5日、自民党の仕事始めに出席し、今年の抱負を述べました。 その中で、今年が日本国憲法施行から70年目の節目を迎えることに触れ、憲法改正の議論を進めていく決意を語りました。 今年は憲法改正への議論が進む一年になるでしょう。 私たち幸福実現党は、立党の僅か一か月後である2009年6月に、103条ある現行憲法の条文を16条にスリム化した「新・日本国憲法試案」を発表し、常に憲法改正の議論を盛り上げてきました。 新憲法制定は幸福実現党の悲願なのです。 ◆2020年以降のビジョンが描けない政治 現在、日本は2020年の東京オリンピックにむけて大変盛り上がっています。 安倍首相はその時まで自分の政権が維持できるかということが気になっておられることでしょう。また、マスコミや多くの方の関心も3年後のオリンピックに集中しています。 しかし、通常、オリンピック後には景気が悪化することが多く、手放しで喜んでばかりはいられません。 このような中で10年先、30年先、50年先の未来において、発展する日本のビジョンを明確に示している政党や政治家がいないことに私は危機感を抱いています。 ◆政策実現に欠かせないリーダーシップ 一方で幸福実現党は高い経済成長を達成し、GDPを現在の3倍である1500兆円に引き上げるための多くの政策を掲げています。 例えば、「交通革命」を起こすため、リニア新幹線などのインフラ投資を積極的に行うこともその一つです。 最短で2037年に予定されているリニア中央新幹線の延伸を更に前倒しし、北海道~九州までをリニア新幹線で結ぶことによって、オリンピック後の日本の成長を確かなものにしたいと考えています。 しかし、リニア新幹線の早期延伸には問題も山積しています。 JR各社の経営の自主性を確保しつつ、環境にも配慮し、人口減少が進む日本社会の中で速やかに「交通革命」を起こすためにはリーダーの「熱い思い」と「強いリーダーシップ」の両方が欠かせません。 「交通革命」は一つの例ですが、このような「思い」と「リーダーシップ」は他の政策を実現する上においても重要です。 ◆ドラスティックな改革を進めるための大統領制 しかし、現在の日本の政治体制では、「大きな未来ビジョンを示す」ことや、「大きな国家プロジェクトを推進する」ことは簡単ではありません。 総理大臣であっても、平均して2年に一度ある衆議院選挙を気にしなければなりませんし、与党内でも意見の調整が難しく、そのような中で長期のビジョンを示すことは困難です。 更には、国民から直接選ばれたわけではない総理大臣では、国民の世論を盛り上げることも簡単ではありません。 一方で、昨年、アメリカではトランプ新大統領が選出され、フィリピンでは一見過激に見えるドゥテルテ大統領が国民の圧倒的な支持を得て活躍しています。 わかりやすい政策で国民の心をつかんだトップたちは、「国をいい方向に変えてくれる」と、多くの人々に期待と希望を持って受け入れられています。 同じことは東京の小池都知事にも言えるのではないでしょうか。このように直接的に選挙で選ばれた代表の下では、ドラスティックな改革が可能となるのです。 ◆トランプ革命に続け!今こそ新しい国のかたちを考える時 かつてアメリカのケネディ大統領は「Go to the moon」と夢を語り、多くの国民の支持を得て、その夢を実現しました。 もしあの時、アメリカ国民がケネディ大統領という選択をしていなかったら、人類は月に立つことができたのでしょうか。アメリカが今でも世界No.1の国であり続けていたかわかりません。 幸福実現党は、「新・日本国憲法試案」の中で大統領制を提示しています。 私は、多くの有権者の方から「大統領制だけは受け入れられない」というお声を頂戴します。 しかし、現在の日本の政治に必要なことは小さな改革ではなく、根本的な改造です。50年後、100年後の日本を考えるのであれば、日本でも、憲法をスリム化し、「日本型大統領制」を考える時が来ているのではないかと思います。 日本には古来より、天皇陛下がおられます。そして、より素晴らしい日本を創るために様々なものを受け入れ、独自に進化させてきたわが国。国体は変えず、政体を変化させて様々な国難、社会の変化に対応してきました。 そのような日本であるからこそ、逃げずに、気概を持って、世界で最も素晴らしい憲法、よりよい政治制度を目指し続け、議論を深めていきたいと考えます。 「譲位」問題から考える戦後政治の問題点 2016.11.12 幸福実現党兵庫県たつの市地区代表 和田みな ◆天皇陛下の譲位へのお気持ち表明を受けて 本年8月8日、天皇陛下がビデオメッセージで「譲位」の意向をにじませるお気持ちを表明されてから3ヵ月が経ちました。 当初、各種メディアにおいても大きく取り上げられたこの問題への国民の関心は高く、関連書籍の発刊や様々な発信が続いています。 多くの国民が日本の国柄を知る機会になっていることは大変素晴らしいことであると感じています。 前回の私のHRPニュースファイルでは、天皇陛下の最も重要なお仕事は「祈る」ことであると述べました。 天皇陛下は今の政治に失われた「神秘的なもの」「聖なるもの」を大切にしてきた祭政一致の精神の象徴であり、天照大神から繫がる日本国民の「神人合一」の精神の象徴です。 国民が宗教心を失い、宗教性を否定すれば、天皇や皇室の基盤は脆弱なものになってしまいます。 幸福実現党は責任ある宗教政党として、皇統を守るためにも、国民が真の「宗教心」を取り戻すことが重要であると考えています。 「天皇陛下のお気持ちメッセージから考える日本の精神」 http://hrp-newsfile.jp/2016/2917/ ◆譲位までの政治スケジュールは? 一方で、政府は先月から「天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議」を開催しています。 会議では、構成メンバーのみならず、様々な専門家からヒアリングを実施し、陛下にとっても国民にとっても「最も良い結論」を導いていくことが必要であると確認されました。 現在、10日に一度のペースで会議が開かれ、現在第3回まで行われています。 今後のスケジュールとしては、来年の年初に有識者会議が論点整理を公表し、衆参両院で協議を進め、春ごろに有識者会議が政府に報告書提出し、5~6月に「譲位」を実現するための法案を政府から国会に提出する予定です。 ◆有識者会議の内容 有識者会議では、専門家からヒアリングを行いますが、その内容は、日本国憲法における天皇の役割、国事行為や御公務のあり方、負担軽減方法、摂政の設置や国事行為の委任について、退位の理由や退位後の活動について、特別法か制度化すべきかなど8項目となっています。 また、ヒアリング対象の有識者は現在16名で、3回に別けてヒアリングが行われます。 その顔触れは、教授が最も多く、ジャーナリスト、作家、元官僚、元判事などとなっており、安倍総理に近しい保守層の識者の名前が並んでおり、会議の資料を見ると保守系の雑誌を読んているような感覚を受けます。 また、日本国憲法第4条で、天皇は「国政に関する機能を有しない」とされているため、「天皇陛下のお気持ちをうけての法改正」は憲法違反となります。政府は天皇陛下のお言葉とは関係なく譲位について検討することとなっています。 ◆美智子皇后陛下のお考え このような中、10月20日に82歳のお誕生日をお迎えになられた美智子皇后陛下が、天皇陛下のお気持ちメッセージを受けてのお考えを述べられました。 そこには、このようにあります。 「私は以前より、皇室の重大な決断が行われる場合、これに関わられるのは皇位の継承に連なる方々であり、その配偶者や親族であってはならないとの思いをずっと持ち続けておりましたので、皇太子や秋篠宮ともよく御相談の上でなされたこの度の陛下の御表明も、謹んでこれを承りました。」 ◆有識者会議の違和感 皇后陛下のこのメッセージを受け、私の中で有識者会議に対する違和感が鮮明になりました。 それは、皇后陛下のメッセージにあるように、皇室の重大な決断を決定するにあたり、部外者である学者やジャーナリストだけの意見で本当に良いのかということ、そして、天皇陛下が最も大切に感じられている「祈り」についての専門家である「宗教家」が会議に呼ばれていないことです。 天皇の「形」だけでなく、精神的なものを守ることを大切に考えるのであれば、皇族の方々や宗教を抜きにした議論をこれ以上続けても、政府の目指す「最も良い結論」は導けません。 ◆国民の幸福の実現のために新しい憲法が必要 繰り返しになりますが、天皇陛下の最も重要なお仕事は「祈る」ことです。 しかし、平成21年の御公務・宮中祭祀の見直しの際にも新嘗祭や旬祭といった大切な宮中祭祀の簡略化が行われてしまいました。宮内庁の職員であっても宮中祭祀の意味を理解しない人が増えている現状の中で、皇統を守るためには、宗教的な議論に蓋をすべきではありません。 私は以前、道徳の教科化にむけた文科省の会議を傍聴しました。その際も委員の一人から「宗教的な議論を」との意見が出ました。 道徳教育を本当に意味のあるものにしたければ、宗教的な議論をこれ以上避けていてはいけないと良識ある人たちは分かっていたのです。 しかし、ついに10回の会議で宗教的な内容に触れられることはありませんでした。そこにあるのは、子供たちのために何が必要かという視点ではありませんでした。 このように戦後の日本の政治は間違った「政教分離」の考え方に支配され、宗教に一切触れずに政治を行ってきました。そして、本当に重要な議論ができずにいるのです。 しかし、本来は国民の幸福のために何が大切か、タブーを抜きにして議論すべきです。それが民主主義の基本ではないでしょうか。今こそ、新しい憲法の制定が必要です。 今後も、有識者会議の内容を見極め、今回の議論を契機とし、宗教政党として日本の国柄である「祭政一致」の政治を取り戻すべく、訴えて参ります。 ※天皇の公務の負担軽減等に関する有識者会議 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/koumu_keigen/kaisai.html 天皇陛下のお気持ちメッセージから考える日本の精神 2016.10.01 兵庫県たつの市地区代表 和田みな ◆天皇陛下のお気持ちメッセージをうけて 2016年8月8日15時、今上天皇陛下は、自らのお気持ちをビデオメッセージという形で国民に示されました。 そのお気持ちの内容が、明治天皇以降、積極的に排除されてきた「生前退位」の御意向を強くにじませるものであったため、各種メディアにおいても大きく取り上げられ、国民の関心を集めています。 これを受けて、政府は今上天皇一代に限り「生前退位」を認める特措法を軸に法整備を急いでおり、今月から有識者会議が開かれる予定です。 しかし、この天皇陛下の「退位」(以降は「譲位」とする)をどう受け止め、どのようにすれば良いのか、保守系の政治家、専門家の間でも意見が割れており、安倍首相は難しい判断を迫られることになりそうです。 ◆天皇陛下と祈り では、陛下の「お気持ちの真意」はどこにあるのでしょうか。 今回のお言葉の中で、私の心を最も深く打ったのは「祈り」という言葉です。 「私はこれまで天皇の務めとして、何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えて来ました(中略)天皇として大切な、国民を思い、国民のために祈るという務めを、人々への深い信頼と敬愛をもってなし得たことは、幸せなことでした。」 天皇陛下が最も大切にされてきたお仕事「国民の幸福のために神に祈る」という宗教的な聖務こそが、歴代天皇の祭祀王としての共通したお立場であり、日本の祭政一致の国柄を象徴するものです。 歴代の天皇陛下が最も大切にされていたことは、この「敬神」です。 『禁秘抄』(順徳天直筆)においても、「およそ禁中の作法は、神事を先にし、他事を後にす。」とあるように、世の中が乱れ、皇統が危険にさらされるたびに、「敬神」の原点に戻ってこられたのが歴代天皇のご姿勢でした。 天皇陛下は毎日国民のために祈っておられます。その祈りの繰り返しによって天皇には「ご聖徳」が生まれると考えられており、それなしには国は治まらず、国民の幸福はないとされてきました。 国民を治めるべき天皇が、人間心で国民の生命や財産を左右する大事なことを判断することは傲慢だとのお姿が、歴代天皇には一貫して流れています。 今上陛下が国事行為でもない、公務でもない「その他の行為」に位置づけられる宮中祭祀に熱心なのは、戦後、皇統や日本の国の危機的状況の中、宗教的行為を大切にされ、判断を間違わないようにしようとするご歴代天皇の遺訓に従われたからであると感じます。 ◆神仏を敬わない政治 しかし、この日本人が最も大切にしてきた宗教的伝統を次の世代に伝えていくことの難しさに直面しているのが現在の御皇室を取り巻く状況となっています。 平成21年に宮内省は、天皇陛下のご公務、宮中祭祀の「ご負担軽減策」を発表しました。 天皇陛下の体力の衰えを感じられての措置でしたが、ここで対象となったのが、今上陛下が大切にされてきた新嘗祭や旬祭など、宮中祭祀の「簡略化」だったのです。 宗教ジャーナリストの斎藤吉久氏は著書の中で「陛下がご高齢になられたことに便乗して、宮中祭祀を改変したり、簡略化したり、そして、それ以降、それを固定化しようとする「怪しい勢力」が、昭和天皇のころからいたようです。」と指摘しています。(『天皇の祈りはなぜ簡略化されたのか』) 「全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなる」と、目に見えないものを信じない政治家や官僚などによって宮中祭祀の「簡略化」が進もうとしています。 それを知っておられる今上陛下が、日本から宗教心がこれ以上失われることに危機感を持たれ、それを阻止しようと必死に抵抗されているお気持ちが「譲位」というメッセージとなったとも考えられます。 ◆宗教性を失ったら天皇制は存続できない 戦後、日本は大きく変わりました。特に宗教に対する価値観の変容は想像を絶するものでした。 政治家も官僚も国民も目に見えることしか信じず、目に見えないものへの価値を認めないどころか、科学的ではないことを忌み嫌うようになりました。 祭政一致の国柄も崩れ、天皇の最も重要な祈りという聖務を誰も理解できず、「祈る」ことによって国民の総意を得ることは難しくなったと感じられた今上陛下は、新しい戦後象徴天皇としての在り方を模索し、常に民主主義の「国民の総意」を恐れなくてはならないようになったのではないでしょうか。 国民が宗教心を失い、宗教性を否定すれば、天皇、皇室の基盤は脆弱なものになります。 終戦当時GHQは、天皇を残しましたが、日本国民から宗教心をなくす政策を推し進めました。それによって、戦後民主主義の中で本来の皇室の制度は骨抜きになりかかっています。 ◆宗教立国にむけた議論を 大切なのは制度ではなくて、精神です。幸福実現党が守りたいものは、制度としての皇室だけではなく、天皇の宗教的、精神的な部分も含めた国柄です。 それは、今の政治にはない「神秘的なもの」「聖なるもの」を大切にしてきた祭政一致の精神であり、天照大神から繫がる日本国民の「神人合一」の精神の象徴としての天皇陛下のお姿です。 国民は今でも、天皇陛下のお姿の中にしっかりと「目に見えない神秘的なもの」を感じています。 どんな政治家が来ても怒りや不安に震えていた被災地の方々が、天皇陛下のお姿を見ただけで、涙を流し復興へ情熱を取り戻す姿を何度も目にしました。 これこそが、天皇陛下のご聖徳であり、日々の祈りのパワー、宗教的なパワーだと思います。 今回の天皇陛下のお気持ちメッセージをうけて、国民が真の「宗教心」を取り戻すきっかけとなるようにしなければなりません。 日本の国柄である「祭政一致」を見直すきっかけとなるよう本質的な議論をすすめ、日本の政治に精神的主柱を立てるべく、憲法改正にむけた宗教政党の責任を果たしてまいります。 中小企業の悲鳴「首相、このままじゃ会社つぶれますよ!」【後編】 2016.04.21 文/兵庫県第12選挙区支部長 和田みな ◆安倍政権は民間介入の強化・国家社会主義 中小企業に対する負担増は、【前編】で述べた「消費増税」「事業承継税」「マイナンバー制度」「外形標準課税」、これだけに留まりません。 参院選の年である本年、政府はアベノミクスの成果を急ぐあまり、民間介入を強めてきています。 安倍首相は再三にわたる企業への賃上げ要請を行い、「同一労働同一賃金」の実現に向け労働契約法などの改正を検討することまで表明しました。 政府はこれを5月に取りまとめる「ニッポン1億総活躍プラン」の目玉とする方針です。 ◆「同一労働同一賃金」が中小企業に与える負担 この政策に対して野党からは「選挙の争点潰し」との批判が上がっていますが、そもそも我が党は「同一労働同一賃金」の法制化には反対です。 前述のような厳しい経済情勢を考えると、人件費の上昇は見込めません。このような状況の中で、同一労働同一賃金とそれに伴う非正規社員への保障の拡充による負担増は、企業側には大きな問題です。 実際、この政策が進めば経営を維持するために、従業員を減らさざるを得なくなるというのが本音のようです。そうなれば、雇用環境の悪化は避けられません。 一方で、前出の「中小企業同友会」速報では、「人材確保」が大きな課題となっています。 また、「中小企業白書2015」においても、近年中小企業で従業員の不足感が大きくなっており、賃上げをした中小企業の約76%が「従業員の定着・確保」が主な理由であると回答しています。 このように、企業が優秀な人材の確保に懸命な努力をしている中、安倍政権が介入を強めていることは、悪影響を与えるはずです。 そればかりか、明らかな自由の侵害であり、安倍政権の経済政策は国家社会主義への道そのものです。 幸福実現党は、立党以来「小さな政府」による自由の創設を訴えてまいりました。 今年の夏の参議院選挙において、与党も野党も「大きな政府」路線の政策を進める中、「このままでは会社がつぶれる!」という多くの経営者のお声を国政に届けるために、私たちは黙ってられません。 幸福実現党の経済政策をしっかりと訴え、中小企業の活力発揮を促し、日本の経済を元気にしてまいります。 すべてを表示する 1 2 3 Next »