Home/ 野原典子 野原典子 執筆者:野原典子 マイナンバー利用拡大の危険性 2015.12.18 文/幸福実現党・三重県本部副代表 野原 典子 ◆マイナンバーとは? 10月からマイナンバーが簡易書留で通知されています。 この夏の国会では「安保法案」が審議されたとき、賛成、反対が分かれる中、国民の意識がそちらに引きつけられている間に、この「マイナンバー制」が、するするっと「通されてしまった」感があります。 そして、マイナンバーが交付された今でも、「よくわからない」という人がたくさんいらっしゃるようです。 マイナンバーは、一人一人に12桁の個人番号が記され、そのメリットは、政府広報によりますと、「行政の効率化」「国民の利便性の向上」「公平、公正な社会の実現」があげられています。 ◆マイナンバーが生まれたいきさつ マイナンバーの前には2002年に始まった「住基ネット(住民基本台帳ネットワーク)」があります。マイナンバーの番号の基になっているのがこの住基ネットです。 しかし住基ネットに対しては、「個人情報の漏洩」が懸念されて、全国で反対の声がわき起こりました。300を越える地方議会が、延期や中止、見直しを求めて衆院に意見書を提出しています。 しかし今回のマイナンバーに対しては、衆院に反対の意見書を出した地方議会は6つでした。 ◆マイナンバーは安全か? ではマイナンバーは、本当に安全なのでしょうか? 私の手元には、今年6月に日本年金機構から送られてきた「日本年金機構不正アクセス事案についてのお詫びとお願い」という書類があります。 「流出が確認されました情報は、最大でお客様の 『基礎年金番号』、『お名前』、『生年月日』、『住所』であることが現在判明しております」とあり、「抜本対策に全力かつ可及的速やかに取り組んでまいります」とのことでした。 この事件がきっかけで、サイバー攻撃に対して危機管理を徹底させる姿勢を打ち出しました。しかし今も政府系のホームページに対するサイバー攻撃は続けられ、明らかに、日本の守備能力は後手にまわっています。 マイナンバーは、住基ネット以上に個人情報が繋がっており、「芋づる式ではない」と言うものの、かなりの個人情報が危険にさらされることは推測できます。 ◆マイナンバー利用拡大の危険性 これからマイナンバーが、銀行口座や、検診結果、治療歴、買い物、嗜好などに結びつけられ、資産や行動、趣味嗜好まで「政府に把握」されてしまうことを危惧しています。 銀行で現金を引き出したり、カードで食事をすれば、いつどこで、どんなことをしたのか、推定することも可能だからです。 世界一民主的なワイマール憲法ができたとき、それがヒトラーを君臨させるとは思いもよらなかったでしょう。 ドイツでは、ナチスの歴史を経験しているため、マイナンバーのような共通番号は人を集団管理する国家権力の危険性があるため、利用制限をかけています。 マイナンバーが安保法案にかくれるように、すっと通ったことが、将来どんなことを引き起こすのか、わかりません。 ◆マイナンバー制に反対します マイナンバーは「よくわからないけれど、キモチ悪い」という女性が、私のまわりにたくさんいます。よくわからないけれど、直感的に、生理的に、イヤ、なのだそうです。 私もマイナンバーと聞くと、岐阜の長良川で、毎夏行われる「鵜飼い」を思い浮かべます。 かがり火が夜の長良川の水面を赤く照らし、その静かななかを、鵜庄さんが操る鵜が、鮎をとるために水中に潜る水音が聞こえるのです。 松尾芭蕉も句を詠んでいます。 「おもしろうて、やがてかなしき鵜飼いかな」 風情のある、風流な伝統的な鵜飼いですが、鵜にはプライバシーはありません。私たちが、その「鵜」になるとしたら、「やがてかなしき」どころではありません。 今、先に起こるかも知れない危機を避けることができるのなら、私たちは勇気を持って、いいことは進め、よくないことは止めていかなくてはいけないと思います。 それは、私たち自身の未来のためでもありますし、もっと先の未来の、私たちの子孫に対する責任ではないでしょうか。 ※なお、幸福実現党では、現在、「マイナンバー制度の廃止を含めた抜本的見直しを求める署名」活動を行っております。 ■マイナンバー制度の廃止を含めた抜本的見直しを求める署名 http://info.hr-party.jp/2015/5007/ だだっ子「中国」を育てる「やまとの心」【後編】 2015.05.30 文/幸福実現党・三重県本部副代表 野原 典子 ◆地球の大きな「だだっ子」 中国は、軍事だけでなく、経済でも、また国際支援すらも領土拡大に利用しています。ほしいものは、なんとしてでも手に入れていこうとする、なりふり構わない姿は、恐ろしくもありますが、まるで幼い子供のようです。 増長させてから叩き潰すよりは、なんとか成長の手助けをしてやりたくもなります。 考えて見れば、中華人民共和国は、1949年、それまでの中国の正統な継承国である中華民国を内戦で痛めつけ、台湾に追い出してできた国です。今年で66才だから、まだ100才にもならない赤ちゃん国家です。 そういえば、敗戦後、マッカーサーに「民主主義的には12才の子供」と言われた日本ですが、頑張って働き、学び、貢献しながら、立派な先進国となった「成功者」が私たち日本です。 中国は、隣人として、近々の歴史問題で、だたをこねるのをやめて、皇紀2675年の歴史的な大先輩に学んで損はないはずです。 日本人としても、なんとか中華人民共和国という幼い国の成長に手助けをしたいものだ、と考えてはいけないのでしょうか。 視野狭窄に陥っても仕方がありません。1986年には、沖縄県与那国島の海底で、少なく見ても1万年以上前の高度な文化遺跡が発見されています。 気絶しそうな古代からのメッセージは、琉球王国よりも前の沖縄と日本の大和朝廷を結ぶ鍵となる可能性が大きいものだといいます。そのことは、中国に再び、文明を伝える役目を日本が担うということでもあるのではないでしょうか。 ◆共産主義の檻から出る民衆 20世紀に失敗が証明された、時代遅れな「共産主義」の檻に、中国の人々をこのまま閉じ込めておくことは、中国人だけでなく、日本の私たちにとっても、アジアにとってもなにも良いことなどありません。 中国は、せめて経済で先進国に追いつき追い越したくて、軍事拡張もなりふりかまわなくなっているのでしょうが、精神文化のない政治や経済は、糸のきれた凧のようなもので、すぐに墜落するでしょう。 ◆自由な発想 中国は、サイバー空間でも、宇宙空間でも、子供っぽい発想を、じつに見事に、現実にやってしまうという、でたらめだけれど、スゴいパワーを持っています。 だからそれに振り回されて《破壊獣》になってしまうのでなく、うまくコントロールして活用すれば、自国や回りの国々を幸福にする力となるに違いありません。 中国は、「世界のだだっ子」を卒業して、そろそろ、地球の未来に責任を持つ大人の国に成長するための学習をしなければいけないころです。 大人にとって必要な「ルール」や「品位」や「心のよりどころ」を持ち、自分の国が、他の国々にどのような貢献ができるのか、どんな世界を描いて生きることが、国民の幸福になるのか。そうした精神性の高さを、求めなければいけないころなのではないでしょうか。 ◆日本は最高の友人になれる 天安門事件や雨傘革命は、まだ「易姓革命」には至っていません。けれども「自由と、民主主義と、基本的人権、市場経済」といった、この世界の「大人のルール」を学び、回りに敬意を持って、仲間になろうと努力するとき、中国は野蛮な殻を自ら破って、大切なものを得ていくでしょう。 その時、私たちは、一緒に夢を実現していく仲間になれると思います。日本は、その努力を誠実に続けていくことも必要です。 中国の間違った思想の檻に閉じ込められた人々が、自らの手で、錆びた時代遅れの檻をねじ曲げて、自由で、明るい世界に出てくることを手助けしたいのです。 アジアにおける白人優位の植民地を解放したいと立ち上がった先人達は、「自由と誇りをすべての人が持つべきだ」と考えていたはずです。 その心が「やまとの心」ではないでしょうか。 世界のだだっ子「中国」を育てる「やまとの心」【前編】 2015.05.29 文/幸福実現党・三重県本部副代表 野原 典子 ◆中国の軍備拡張はずっと続いている 5月27日の衆院特別委員会で、安倍首相が「安保法案を夏までに可決したい」と米議会で発言したことについて、野党から「急ぐ理由はなにか」「そんなに危機が近づいているのか」との質問があり、安倍首相は、ホルムズ海峡の石油航路などを上げて、「可能性としてはある」と答えていました。 国名は避けましたが、「中国」の軍事的侵略が懸念されていることは明らかです。 「朝雲」新聞によると、中国の「公表防衛費」は、アジア地域の4割を占めています。(ちなみに日本の防衛費は1割) 2014年版の「日本の防衛」(防衛白書)は、中国の国防費は「過去26年間で40倍」「過去10年間で4倍」と異常に急増し続けて来たことを記しています。 4月に日米両政府は「防衛協力のための指針(ガイドライン)」で「中国による海洋進出など安全保障環境の変化」をあげ、「アジア太平洋を越えた地域での協力」を前面に打ち出しました。 それに対して、5月26日に発表された、中国の「国防白書」では、「データ類の記載」がすっぽり抜けており、国防費の内訳も公表されず、ますます透明性が低下しています。 方針として「陸上のみならず海洋も重視」とするなど、まるで「旧約聖書」に描かれた、怪獣ビヒモスと海獣リヴァイアサンのそろい踏みといった不気味さが漂います。 そのうえで「地域外の国の南シナ海への介入」「海上軍事闘争への準備」などと、明らかに米国を「仮想敵」と見なした表現が使われました。 そして5月20日、南シナ海の中国埋め立て地に接近した米軍機が、中国海軍より「退去警告」を受けていたことを、CNNが放映したのです。 ◆迷惑なお隣さん 中国が勝手に造成している人工島の滑走路は3000メートル級で、軍事使用ができるサイズです。2017年ごろ完成するようです。 ところで、我が国の自衛隊の去年の緊急発進(スクランブル)は去年943回ありましたが、うち半分の464回は中国機が原因の発進でした。 日本は領空侵犯されても、そう簡単に撃墜できませんが、こうしたことが国防の隙となっていることは間違いなく、それだからこそ、自国の領空上に「防空識別圏」を勝手に設定されたりするのでしょう。 あれも単発では終わるものではなく、次のステップへの準備のはずです。 ◆「超限戦」というすごい戦略 軍事だけではありません。経済圏でも、中国の主導するAIIB(アジアインフラ投資銀行)の創設メンバーに、先進国を含む57カ国が参加しましたが、明らかに米ドル基軸通貨体制に対抗して「元」を国際通貨として広げる意図があります。 英独仏にとって、ロシアは「近攻」ですが、中国は「遠交」です。危機感が薄いのも仕方がありません。しかしロシアと中国は地中海で軍事合同演習をやってのけました。 中国は、中東、アフリカ、ヨーロッパのハブ港であるギリシャのピレウス港の買い占めも進めています。ヨーロッパも警戒が必要なのではないでしょうか。 ◆一帯一路 「一帯一路」という「砂の万里の長城」と「海のシルクロード」で、石油の航路であるシーレーンを挟み込んだ計画は壮大です。その航路上に、軍事的寄港地や独占的使用を認めさせる港湾、陸路、空港などのインフラを作っていくのですから。 AIIBは、そうした中国に利便の良い設備を「投資や支援」の姿を取って作ろうとしているのではないでしょうか。中国国内の余剰生産物や、落ち込んだ企業の売り込み先を、中国はAIIBを利用して押しつけたいだけではないのでしょうか。 さまざまな疑問が浮かびますが、やはり浮かんでくるのは「超限戦」という見事なまでの「戦略」です。 (つづく) すべてを表示する