Home/ 柄澤悠 柄澤悠 執筆者:柄澤悠 HS政経塾8期生 教員免許制度の改革で、発展する教育界の実現を 2019.05.03 教員免許制度の改革で、発展する教育界の実現を HS政経塾8期生 柄澤悠(からさわ ゆう) ◆進む教員不足 現代日本では、「教員不足」が進んでいます。 2018年の文科省調査によれば、11自治体を累計すると、小学校で316人、中学校で254人の教員が不足していることが分かりました。 少子高齢化の影響や、第二次ベビーブームに合わせて増えた教員の定年退職も重なり、教員採用試験の倍率は年々低下しています。 さらに、転職が盛んになり、教育関係業の離職率(3年目までの離職)は46.2%もあります。 国は、退職した教員を臨時採用するという対策を講じましたが、これで新たな人材は確保できないので、その効果は限定的でしょう。 ◆多様化する教育内容 加えて、現代の教育は多様化が進んでいます。グローバル化に対応するための「国際教育」、プログラミングやタブレット等を使った「IT教育」、高校普通科の見直しによる「教育の専門化」等が必要とされているのです。 こうした変化には、今までの教員採用システムでは対応しきれません。 まず、教員養成カリキュラムの再編成が必要でしょう。 しかし、それだけではなく、免許を持たない新しい教育人材に対して、門戸を開くべき時期が来ているのです。 ◆教員の採用規制を緩和する このように、現在の公教育で、人材不足の中で多様化が進んでいます。 こうした状況に対応するには、どうすれば良いのでしょうか。 その対策は、「特別免許状制度の廃止」と「免許の有無を問わない臨時採用」です。 本来、特別免許状とは「一定の社会経験や専門知識が認められた者に授与される免許状」ですが、実際は、あまり活用できていません(約30年間で、累計1101件。33校に1人しかいない)。 そうなるのは、非常勤講師でカバーした方が人件費が安く、特別免許状を取ろうとする程の「なり手」が不足しているからです。 そのため、「免許がなければ教員にはなれない」という常識を、今こそ覆す必要があるでしょう。 免許制度ができる以前には「代用教員制度」というものがありました。 これは、免許を持たない人であっても教員になることができ、かつ、一定の経験と簡単な研修によって、代用教員から正規の教員になることも可能という制度です。 この制度は、GHQの教職追放等で急激に減った教員の補充にも、大きな効果を発揮しました。 免許がなくとも、質の高い教育ができる人材は数多くいます。 免許の取得は、採用後でも構わないのです。 ◆不適格教員の排除で、教員の質を保証 しかし、教員の門戸を広げれば、同時に質が落ちるのではないかという意見もあるでしょう。 そこで活用されるべきは、「免許更新制」です。 現在の免許更新は、数万円の費用を払い、ただ研修を受けるだけの制度です。これでは、はっきり言って「無駄」です。 免許更新の際に、不適格教員の排除も可能にできるよう、しっかりと教員の評価を行っていく必要があるでしょう。 教員になる「チャンスの自由」を保障し、採用後の「振るいの強化」を行うことで、「量」と「質」の両立を目指すことができます。 そして、教員免許制度の改革は、「教員免許」そのものの存在意義を考え直す機会にもなり、大学における教員養成プログラムの見直しにまで、影響は広がっていくのです。 <参照> ・『教師は生まれ変わる 教育現場を変える新しい考え方』(森口朗著、幸福の科学出版) ・「小中学校で「先生が足りない」理由」NHKニュースおはよう日本2017年7月4日(火) https://www.nhk.or.jp/ohayou/digest/2017/07/0704.html ・「文部科学統計要覧(平成28年版)」文部科学省 http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/002/002b/1368900.htm 学校運営に自由の風を 2019.01.10 学校運営に自由の風を HS政経塾8期生 柄澤 悠(からさわ ゆう) ◆学校を「未来の希望」に 現代日本が抱える大きな問題の一つには、「少子化」があります。 1月初旬の産経新聞(2面)には、「人口減少」の問題が取り上げられ、解決のために「何よりも重要なのは、未来への希望だ」と書かれていました。 人口減少の流れを急に食い止めることは出来ませんが、子どもが減る中であっても、より優秀な人材を育成できる社会づくりは教育が持つ使命でしょう。 また、「こんなに素晴らしい学校があるなら子どもを持ちたい」と考える国民を増やすことは、「未来への希望」で国家を包むことに他なりません。 教育改革は、人口増政策とも言えるのではないでしょうか。 ◆「学校選択制」がぶつかる壁 では、「未来の希望」となる学校を創るにはどうしたら良いのでしょうか。 幸福実現党は、競争を促すことで教育の質を高めるため、行きたい学校を自由に選べる「学校選択制(教育バウチャー)」を勧めています。 実際、現在は日本各地で「教育特区」として試験的に導入されていますが、その代表的なものとして注目されるのが、2000年より同制度がスタートした「品川区」です。 平成29年度の保護者アンケート調査によれば、区民の約30%が学校選択に参加しているとの結果が出ています。 しかし、この制度も、まだまだ多くの課題を抱えています。 同調査によると、その学校選択の基準は、「地元で通学上便利だから」54.2%、「兄弟関係・友人関係」19.5%となっており、本来基準にしたい「教育活動の内容」や「進学実績」等は全て10%未満となっているのです。 また、人気の学校は増える児童生徒の数に対応できず、逆に教育の質が低下してしまうという事態も発生しています。 このように、教育の質を高めるはずの学校選択制が、本来の力を発揮できていないというのが現状なのです。 ◆今必要なのは、公立学校の「自主運営化」 では、学校選択制を本当の意味で生かすにはどうすれば良いのでしょうか。 その答えの一つは、公立学校の「自主運営化」にあります。 自主運営化。簡単に言うとそれは、現在教育委員会が持っている権限の一部を、学校現場へと移していくことです。 例えば教員の採用権や、給料の決定権、教育内容・カリキュラムの編制権、予算用途の決定権などがそれに当たります。 学校選択制の導入によって、いくら教育界に競争の原理が入ったとしても、それぞれの学校に「選ばれる学校」になるだけの創意工夫の余地がなくては、意味がありません。 今必要なのは、現場の権限の幅を広げることで、特色ある学校、ニーズに対応できる学校を創っていくことです。 例えば、昨年、入国管理法が可決されましたが、これから需要が増えてくる外国人労働者向けの教育においても、日本語教育と専門技能教育の両立や、少子化によって増えた廃校舎の再利用、及び定年を迎えた教員の活用など、よりフレキシブルに対応できる体制が必要なのです。 ◆学校現場の権限拡大によるリスク ただ、自主運営化によるリスクも存在します。 最も大きなリスクは、「自主運営に学校側の能力が追い付かない」という点です。 自主運営化するとなれば、教員にこれまで以上の負担がかかることになるでしょう。 イギリスで2010年5月に誕生したキャメロン政権は、「全ての学校をアカデミー(国費で運営される独立学校)にする」と政策に掲げましたが、余裕がない学校を効果的に独立させることができず、結局大きな成果にはつながりませんでした。 全ての学校を一気に自主運営するのではなく、許可の基準を設けることで、徐々に変革していく必要があるのです。 ◆真に活躍できる人材づくりを このように、「学校現場の工夫の余地」と「学校選択制(教育バウチャー)による競争の原理」が両立する状態をつくることで、より質の高い学校が生まれ、保護者の学校選びの関心も高まり、「学校版ぐるなび」のようなサイトも創られるようになるでしょう。 良き学校が評価され、他の学校も見習うことで発展していく世の中がくるのです。 教育に自由と競争の風を吹かせ、真に活躍できる人材を創造する学校を増やしていく。 それこそが、今の日本を復活させるための「鍵」になるのではないでしょうか。 <参照> ・『学校の先生が国を滅ぼす』(一止羊大著、産経新聞出版) ・『偏差値は子どもを救う』(森口朗著、草思社) ・『英国の教育』(日英教育学会編、東信堂) ・1/4(金)産経新聞 ・品川区 平成29年度保護者アンケート集計結果 http://www.city.shinagawa.tokyo.jp/contentshozon/29hogosya.pdf すべてを表示する