Home/ 安原宏史 安原宏史 執筆者:安原宏史 HS政経塾 第7期卒塾生 幸福実現党 外交部会 暴発する韓国――その行く末を探る 2019.09.13 幸福実現党 外交部会 安原宏史 ※関連動画URL 「暴発する韓国!その後をウォッチ」 https://youtu.be/sETCKmrU6ts ◆戦後最悪の日韓関係 戦後最悪の日韓関係と言われる現在。 2017年に文在寅氏が韓国大統領に就任して以来、日本に対し、「従軍慰安婦問題についての日韓合意の見直し」「徴用工問題」を持ち出し、国際条約を反故にするような態度を示しております。 その姿勢に対し、日本は国際法違反であるという姿勢で臨んでおり、日韓の対立は収束する兆しが見えません。 この「従軍慰安婦問題」「徴用工問題」の詳細についてはまたの機会に触れさせて頂くこととし、本ニュースではここ1、2か月の日韓関係について振り返り、今後のあり方について考えていきたいと思います。 ◆韓国・文大統領が腹の中で考えていること ここ数か月の韓国は、 7月 ・日本、半導体原材料の輸出管理強化。 8月中旬 ・韓国、曺国(チョ・グク)氏を新法相に任命。直後に不正疑惑噴出。 ・経済不調などを理由に文政権支持率低下。 8月22日 ・韓国、日韓GSOMIA破棄を通告。 8月23日 ・対日強硬姿勢にも関わらず、支持率がさらに低下。 8月25日 ・韓国、竹島で軍事訓練を行う。 8月31日 ・韓国国会議員、竹島に上陸。 という流れでした。 韓国政府は支持率が下がると、日本の竹島への上陸を強行するなどの対日強硬姿勢を強め、支持率を回復しようとします。 裏を返せば、韓国による竹島利用は、政権の地盤が揺れていることの証拠でもあります。 ところで、GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)というのは、日韓の防衛当局が持つ映像や文書、技術を共有し、主に北朝鮮の核・ミサイルに関する情報をやり取りする協定です。 これを破棄しても、中国、北朝鮮、ロシアにしかメリットがないといわれています。 韓国が日米と共同歩調をとるなら、GSOMIAの破棄ははっきりいって韓国にもデメリットです。 しかし、南北融和という路線から見るなら、韓国にとってもGSOMIAは邪魔でしかないともいえます。(※1) また、9月10日に「JCASTニュース」より、 「『核武装なら米韓同盟不要』『15年で北朝鮮と経済連合』文在寅氏ブレーン 露メディアに語る」、という記事が出ました。 本記事の要旨は、 ・韓国と北朝鮮が10~15年の間に経済連合(EUのような)を組むことが可能 ・米韓同盟は韓国が核兵器を持てば「必要性がない」 ・北朝鮮に対する国際的な経済制裁の緩和も考慮されるべき というものです。 北が制裁を受けているのは、核・ミサイル開発を止めないためですが、制裁解除を訴えるなら当然触れるべき北朝鮮の核兵器の廃絶には触れておりません。 突然のように「韓国核武装論」が出てきたというよりは、北朝鮮の核兵器廃絶への意思が韓国には希薄であると見るべきでしょう。 そして、EUも経済的つながり以外に、ロシアへの共同防衛の結束であるという点から、韓国もEUのように南北で共同防衛が可能な状態をつくり、その核兵器保有の利点を韓国は狙っていると見るべきです。 また重要なことは、韓国には、将来に渡って米韓同盟を維持し続ける必要性を感じないという見解もあるということです。 同じく8月、文大統領は、北朝鮮との経済協力体制が確立すれば「一挙に日本の優位に追い付くことができる」と述べています。(※2) 文氏ブレーンの話は整合性が取れているとみるべきです。 ◆韓国の仮想敵は「日本」か 私は先ほど、「竹島上陸は韓国政権の足元が揺れていることの裏返しだ」とお伝えしました。 しかし、支持率回復のために従来の上陸パフォーマンスに終始するとも限りません。 8月25日に竹島で行われた軍事訓練からは独島という言葉が消え、東海領土防衛訓練と命名されています。 軍事訓練である以上、日本との交戦も辞さないという意思表示ですが、それが竹島に限定されなくなったということです。 私たちは、韓国は同じ西側陣営であり、共同の敵が北朝鮮であると通常考えております。 そのため防衛ラインは38度線だと考えておりますが、実は日本海の対馬沖や佐渡島など韓国に近い海域が防衛ラインだと認識しなければいけないでしょう。 以前、韓国海軍のレーダー照射もありました。 今、支持率低下もあいまって、韓国が日本近海で暴発する可能性もありうるという想定をし、外交と防衛の両方を進めていかなければいけません。 (※1) 8/22日本経済新聞「日韓軍事情報協定を破棄 韓国政府が決定」より「南北融和を優先する韓国の革新系勢力には『日米韓の安保協力は南北分断を固定化する』という主張が存在する。北朝鮮はメディアを通して同協定の破棄を韓国側に促してきた。」 (※2) 8/5日本経済新聞「南北協力で日本に対抗 韓国大統領」より 「ユーロ」の行く末――ギリシャからイタリアへ 2018.07.17 「ユーロ」の行く末――ギリシャからイタリアへ HS政経塾 第7期生 安原 宏史(やすはら ひろし) ◆イタリア発の経済混乱 2018年3月4日。イタリアの総選挙で与党民主党が惨敗、コメディアン出身のディマイオ氏率いる「五つ星運動」と「同盟」の連立政権が誕生しました。 両政党ともEU懐疑派です。新首相のコンテ氏は、内閣発足時の所信表明演説の中で、最低所得保障導入(ベーシック・インカム)と減税に向けた税制改革など、両立しがたい政策を掲げました。(※1) 結果、急激なイタリア国債売りが進み、金利が急上昇、市場が混乱しました。今後、EU離脱に加え、イタリア発の経済危機にも備える必要がありそうです。 ◆欧州危機のからくり イタリアの経済危機はどう発生し、どう波及するのでしょうか。その鍵はイタリアの経済規模と債務の大きさです。 イタリアはギリシャの約10倍のGDP(約210兆円、2017年時点※2)です。債務は約265兆円(2016年時点※3)で、EUで1位、世界第4位の大きさです。 金融危機対応のための欧州システムであるESM(欧州安定メカニズム)準備金は約100兆円ですが、これを超えたらユーロ圏では対処不能、世界的規模の恐慌となる可能性があります。 国債の金利が7%近くなると、いわゆるジャンク債(紙切れ)扱いされ、デフォルト(債務不履行)の懸念が高まります。金利が上がれば上がるほど、債務国の財政負担はますます厳しくなり、新規国債発行も買い手がつきません。 国債は売られる一方で資金調達の術なく、破産状態に陥ります。これがユーロ危機のからくりです。 ◆ユーロ圏の抱える「構造的な問題」―為替変動と各国経済の乖離― ギリシャ、イタリア、スペイン、フランスなどの南欧では、財政赤字対GDP比3%以内、累積債務残高対GDP比60%以内などのEUが定める厳しい財政規律をクリアできずにおります。 この財政規律達成のためにも、国内産業育成による経済成長が必要です。 しかし問題なのが共通通貨ユーロというシステムです。共通通貨ユーロを採用するユーロ圏各国の金融政策はECB(欧州中央銀行)が一括で行い、各国経済に応じた独自の金融政策はとれません。 通常、各国の経済の強さに応じて為替は変動しますが、ユーロ圏各国では「ユーロ圏の経済力」として為替が推移します。 ドイツのような経済強国では、本来の為替より低く推移し、ギリシャのような経済弱少国では、本来の為替より高く推移します。 ドイツは輸出に有利、ギリシャは輸出に不利だと言えます。発展途上国の成長モデルでは輸出増が大切な要素ですが、ドイツ製の割安で質のいい製品ばかりを消費者が好むなど、国内産業が成長していきません。 ◆ユーロ圏の抱える「構造的な問題」―各国バラバラの財政政策― また、金融政策は統一にも関わらず、財政政策が各国独自である点も問題です。先に述べたイタリアの例が顕著です。 ただバラバラといってもルールはあり、ユーロ圏は財政面でも厳しい規律を求め、基準を超すとペナルティがあります。当然、バラマキや年金、雇用や労働規制についての構造改革は必要です。 しかし結果として、減税や公共投資なども絞られ、有効需要の創出まで削がれてしまいます。国内経済の成長戦略が採りづらいのが問題です。 ◆ヨーロッパ合衆国構想とユーロ圏の行く末 ただ、もしユーロ圏が金融・財政政策とも均一であれば、この危機を超えられるかもしれません。 つまり、ユーロ圏の各国が日本の都道府県やアメリカの州のような位置付けとなり、全体として合衆国的に動くということです。 ただ、そのためには財政政策の決定権等を中央に移譲せねばならず、国の主権放棄と言えます。それを各国が呑めるかといえば、現実的に考えて難しいのではないでしょうか。 思うに、EUの前身であるECができた時に英国首相サッチャーが参加を拒否したのは、主権の放棄につながると直感的に感じたからではないでしょうか。(※4) 結局ユーロ圏がユーロ圏である限り、改革不能な問題をはらみ続けております。未来にEUや共通通貨ユーロがあるかどうか―。 それは、(1)危機は構造上の問題 (2)EU合衆国実現の見通しも限りなく厳しい、ということから、「ユーロ圏はどこかのタイミングで体制の崩壊に繋がる可能性がある」と言わざるをえません。 【参考文献】 白井さゆり2011「ユーロ・リスク」 藤原章生2010「ギリシャ危機の真実 ルポ『破綻』国家を行く」 ※1日本経済新聞2018年6月5日「イタリア新首相『我々はポピュリズム政権』 上院で所信表明」 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31416050V00C18A6FF8000/ ※2世界銀行データバンク https://data.worldbank.org/indicator/NY.GDP.MKTP.CD?year_high_desc=true ※3IMFデータバンク http://www.imf.org/external/pubs/ft/weo/2018/01/weodata/weorept.aspx?sy=2016&ey=2023&scsm=1&ssd=1&sort=country&ds=.&br=1&pr1.x=30&pr1.y=10&c=122%2C941%2C124%2C946%2C423%2C137%2C939%2C181%2C172%2C138%2C132%2C182%2C134%2C936%2C174%2C961%2C178%2C184%2C136&s=GGXWDN&grp=0&a= ※4大川隆法著「サッチャーのスピリチュアル・メッセージ」9「EUの失敗」は予測していたP.113 https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=933 すべてを表示する