Home/ 彦川 だいし 彦川 だいし 執筆者:彦川 だいし HS政経塾第1期卒塾生/党政調会・外交部会 国際正義を語れる国へ――責任ある大国、日本の復活を世界が待っている 2014.07.24 文/HS政経塾1期卒塾生 彦川太志 ◆集団的自衛権容認で何が変わるのか 7月14日と15日の二日間にわたり、衆院予算委員会で集団的自衛権の行使容認に関する審議が行われました。 今後は自衛隊法等の具体的な「法改正」に向けた準備が行われることになりますが、自民党は来春に控えた統一地方選への影響を考慮し、2015年春まで「先送り」されることが予想されています。 このように法案提出までは相当の時間がありますが、今回の閣議決定によって、今後自衛隊の行動にどんな変化が出るのか。また、わが国の外交にどのような展望が開けるのか、マスコミの報道だけでは分かりにくい面がありますので、外交評論家の岡崎久彦氏の発言を中心にまとめてみたいと思います。 ◆米海軍と共同でシーレーン防衛ができるようになった 外交評論家の岡崎久彦氏は、政府解釈の変更が閣議決定された当日7月1日の報道ステーション(テレビ朝日)のインタビューで、「これで日本の生命線たるシーレーンのすべてを自衛隊がパトロールできるようになる」と具体的な変化を指摘しています。 岡崎氏は法整備を待たずして、解釈変更だけで米海軍との共同パトロールが可能と指摘しており、日米同盟の抑止力が高まることはもとより、同盟国として「ともに汗を流すこと」が同盟の絆を固める効果があるとしています。 ◆国連常任理事国入りの現実味が増してきた さらに岡崎氏は、集団的自衛権に関する解釈変更によって、米軍やASEAN諸国の軍隊に自衛隊の「顔が見える」ようになることは、日本の国連常任理事国入りにとってプラスに働くことを指摘しています。 9年前、日本やドイツ・インド・ブラジルが国連安保理常任理事国の議席を増やす提案を行いましたが、中国の顔色を伺うASEAN諸国の支持を取り付けることができませんでした。 その原因として、国際正義を守るための軍事力行使について後ろ向きな日本政府に、信頼が集まらなかったという点が挙げられています。 日本海軍の伝統を受け継ぐ海上自衛隊の規律・能力を目の当たりにすることで、わが国にたいする国際的信頼が高まると共に、中国に必要以上におもねる国も減ると想定されています。 折りしも9月から国連総会議長に就任するサム・カハンバ・クテサ氏(ウガンダ外相)が、朝日新聞のインタビューに応じて「国連は来年で70歳。常任理事国を増やすなどの改革が必要。」と発言しており、国連改革の機運も高まりつつあるといえます。 こうした国連安保理改革をも視野に入れた場合、安倍首相の「積極的平和主義」をさらに具体化し、憲法において「自国の防衛」と共に、「国際正義を守る」ための自衛隊、という定義を明確にしていくことが重要と考えられます。 そういった観点からも、自民党は集団的自衛権の解釈変更にとどまることなく、きちんと憲法9条改正をも訴えていくべきではないでしょうか。 ◆内閣支持率の引き下げに躍起となる大手報道機関 ところで、集団的自衛権の行使容認に関する閣議決定がなされた後も、容認反対派の攻勢が続いています。 特に7/14の東京新聞記事「滋賀知事選 自公敗れる 集団的自衛権・やじ影響」という記事では、「集団的自衛権の行使容認が内閣支持率の低下に繋がった」とする印象を植え付ける意図が感じられます。 しかし、議論の「幹」である国防強化のそもそもの必要性よりも、「議員の資質問題」や「開票不正操作問題」など、全く別の論点と引っ掛けて※内閣支持率を引きずり下ろそうと考える意図が見え見えです。 (※高松市の開票不正操作など、明確に違法性がある案件については当然、法に則って処罰されるべきです。) ◆あまりにも感情的な社民党のポスター そのような反対派の活動の中でも、ここ数日注目を集めるのが社民党のポスターです。「あの日から、パパは帰ってこなかった」というキャッチで、路頭に迷った戦災孤児を思わせる印象操作が行われています。 確かに現実に戦闘が始まれば、死傷者は必ず発生します。しかし、「全体主義国家による侵略を抑止する」という使命に従事する自衛官の皆様は、「一身の安全に換えてでも、一億数千万の国民の安寧を守る」という高次の精神に奉仕しているのであり、中国・北朝鮮に対して「侵略戦争は許さない」という国際正義の防波堤としての役目を担ってくださっているのです。 もし、そのような「武士道精神」を発揮する人たちがいなければ、社民党風に言って、「あの日から、国は戻ってこなかった」と書き換えられる事態を呼び込むことは間違いありません。 参考記事 7月2日 産経 「正論」岡崎久彦氏 7月5日 朝日 「集団的自衛権容認 『よくなかった』50%」 7月12日 朝日 「常任理事国増やす改革を」 次期国連総会議長クテサ氏 7月14日 東京 「滋賀知事選 自公敗れる 集団的自衛権・やじ影響」 7月14日 NHK 「世論調査 内閣支持は47% 不支持は38%」 7月17日 朝日 「社民ポスター「パパは帰ってこなかった」 集団的自衛権」 世論をミスリードする大手新聞社に「正義」はあるのか-集団的自衛権- 2014.06.19 文/HS経塾一期生 彦川太志 ◆集団的自衛権問題でネガティブキャンペーンを張る大手新聞社 19日付けの新聞各紙で、集団的自衛権の行使容認について7/4に閣議決定実施される方向で調整されていることが報道されました。日本とアジアの平和を守るため、大きな一歩を踏み出すことになりそうです。 ところが、閣議決定に向けて着々と準備が進められる一方、大手新聞社の記事で「『機雷除去』薄い現実味」(6/17朝日新聞)「『米艦で邦人救出』過去には拒否」(6/16朝日新聞)など、議論をミスリードしようとする試みが目に付きます。 ◆「ペルシャ湾の機雷封鎖はありえない」と断言できるのか 例えば6/17付けの朝日新聞では、「『機雷除去』薄い現実味」と題して、政府が集団的自衛権の行使対象とした「ペルシャ湾での戦時の機雷除去」は発生する可能性そのものが低いと論じています。 確かに、イランのロハニ政権は、今のところアフマディネジャド前政権のような強硬姿勢を表明しておりませんが、高濃縮ウランの開発も放棄しておりません。 そうであれば、欧米に対する“交渉カード”として「機雷によるペルシャ湾の封鎖」をいつイランが持ち出してきてもおかしくない、と考えるべきではないでしょうか。 つまり、政府が集団的自衛権の行使容認事例として、「ペルシャ湾での戦時の機雷除去」を掲げることは、イランが核開発の放棄を表明していない以上、シーレーン防衛のための「抑止」の観点から妥当だと言うことです。 さらに言えば、わが国にとって「機雷封鎖」の危機からシーレーンの安全を確保しなければならない地域は、ペルシャ湾以外にマラッカ海峡などが考えられるわけですから、海上自衛隊に十分な機雷除去能力を持たせることはきわめて重要です。 ◆「米軍は邦人を助けない」は本当か もう一つは、6/16付けで朝日新聞に掲載された「『米艦で邦人救出』過去には拒否」という記事です。記事では、朝鮮半島有事を想定した過去の日米交渉で、米軍による日本人保護が断られていた、という内容が掲載されています。 しかし、実際には日米ガイドラインでも避難民の救出について規定があるほか、日米合同の邦人避難訓練も実施されています。さらには、実際に米軍が紛争地や危険地帯から邦人を避難させているといった事例もあるのです。 (6/19産経新聞「『米艦で邦人救出、米拒む』朝日報道は事実無根」) 日本を代表する大手メディアが「事実を隠蔽し、うそをついてでも自分達の主張を通せればよい」と考えているのであれば、それはむしろ「言論の自由」を踏みにじる行為であり、民主主義の基盤を自ら破壊する行為だといえるのではないでしょうか。 ◆枝葉ではなく、幹の議論を 本日紹介した朝日新聞の記事は、終始「日本が米国の戦争に協力する」「米軍は日本を助けてくれない」といった日本が「受け身」になる世界観で議論が行われている点に特徴があります。 いま、日本に求められている立ち位置は、「米国に助けてもらうこと」でも「米国にただついていくこと」でもありません。それは、覇権主義の野心をもつ中国に対して、「アジアの平和と秩序を守る意思を明らかにすること」です。 マスメディアにおいては、集団的自衛権の問題がいまなぜ必要になっているのか、その本質を明らかにするべきです。そのためには、はっきりと「中国の脅威があるからだ」と主張するべきでしょう。 事実に基づいて、正々堂々の主張をする。そうであって始めて、「民主主義の基盤」だと言えるのではないでしょうか。 集団的自衛権とロシア外交で、「アジア安保」のイニシアチブ獲得を! 2014.05.22 文/HS経塾一期生 彦川太志 ◆集団的自衛権の行使容認が、「戦争の危機」を遠ざける 5月21日付けの産経新聞で、安倍政権の安保政策「安倍ドクトリン」の骨子が固まったことが報道されました。 その内容としては、ASEANの防衛体制を「日米共同で支援する」するものと報道されており、集団的自衛権の行使容認によって開かれる「アジア安保」安定化の第一歩といえます。 中国と緊張の続くベトナムやフィリピンなど、日本企業も数多く進出している東南アジア諸国を「戦火の危機」から守る努力は、わが国にとって決して無意味なものとはならないでしょう。 ◆中国が進める、独自の「アジア安保構想」に備えよ このように、安倍政権が日米同盟を機軸として新しい「アジア安保」を進める一方、中国も独自の「アジア安保」構想を進めています。 「安倍ドクトリン」発表とほぼ時を同じくして公表された、「アジア新安保観」です。これは21日まで開催されていた、「アジア信頼醸成措置会議(CICA)」で発表されました。 参照→HRPニュースファイル1007「中国のアジア新安全保障観」からアジアを救え http://hrp-newsfile.jp/2014/1460/ この「アジア新安保観」は1991年より約10年ごとの発展段階を経て、現在では第三段階にある※ようですが、本質的には「米国中心の軍事同盟の解体」を目的としており、米国を排除した中国中心の軍事的支配を確立する試みに他なりません。 ※(『解放軍報』2014年5月22日「亜州安全観助推命運共同体建設」) 習主席は、この「新安保観」を発表する中で、「中国は国家の領土主権と海洋権益の争いについて、平和的方式による処理を一貫している」と主張していますが、5月8日に世界的ニュースとなった「油田掘削作業に警告するベトナム船への体当たり」のように、「武器を使わない実力行使」がその実態です。 「力による現状変更を許さない」とする日米の立場をしっかりと堅持するためにも、国会にて集団的自衛権の行使容認を速やかに進めていくべきです。 ◆中ロ接近をどう観るか 中国の「新安保観」に加えてもう一つ、わが国の大きな懸念となっているのが、同じくCICAで見られた中ロ接近です。 巨額のガス供給契約や海軍の合同演習、さらには第二次世界大戦の「歴史認識」に対する共闘姿勢の表明など、プーチン大統領は習近平主席の要求に対して“満額回答”で応えていることが報道されています。 特に海軍の合同演習は、尖閣諸島に近い海域で行われることが報じられています。歴史認識を軸とした「中ロ共闘」は、果たして現実のものとなるのでしょうか。 ◆同床異夢の中ロ関係 しかし、中ロ両国のメディアを読み比べると、両国の報道に微妙なズレを感じる点があります。 中国側は今回の中ロ接近について、戦略的パートナーシップの進化について中心的に成果を報じる(※1)一方、ロシア国内の主要紙「プラウダ」(※2)では、今回のプーチン・習会談の「中心的テーマ」は、大型航空機の開発と、中国国内でのMi-26大型輸送ヘリの生産・改良といった航空分野の契約に関する点にあったと報じています。 ※1(新華社通信、2014年5月19日「中露関係再顕“頂層設計”作用」) ※2(『Pravda(英語版)』2014年5月19日「In China, Putin to sign a package of ‘fantastic agreements’」) そうしてみると、プーチン大統領は中国寄りの姿勢をみせることで米国に「牽制球」を投げ、中国に対しては「ロシアがサポートしなければ、国際社会で影響力を発揮できない」ことを露呈させ、存在感を示したと見ることもできそうです。わが国に対しては「反応を伺っている」とみるべきでしょう。 ◆防衛体制の確立と共に、ロシアとの関係強化を そのような見方に立てば、わが国の取るべき外交方針は明確となります。「中ロ関係を“経済”で切り放す」ことです。 報道によれば、今回中ロ間で最も大きな取引となる天然ガスの供給契約については、「30年間で4000億ドル(約40兆円)」と指摘されていますから、年間に直せば約1.3兆円です。この額は、本年2月に日本郵政グループが表明した、今後3年間の投資規模と合致します。 外交戦略を背景とした政府投資であるならば、1.3兆円の投資は決して「雲を掴む話」ではありません。極東ロシアの開発について中国の年間投資を上回る規模の投資プロジェクトを打診し、日露ウィン-ウィンの関係構築を目指していくべきでしょう。(ロイター2014年 02月 26日「訂正:日本郵政3年で1.3兆円投資」) 集団的自衛権の行使容認によって防衛体制を強化し、そのうえでコンテイニング・チャイナを考えていくべきです。 中国海洋調査船が沖縄県久米島沖で活動 2014.04.24 文/HS経塾一期生 彦川太志 ◆隅々まで調査される日本の経済水域 4月23日付けの産経新聞1面で、中国の海洋調査船が沖縄県久米島沖で「過去最長」の活動を実施していることが取り上げられました。調査は潜水艦隊の活動を前提とした軍事目的のものとみられており、日本政府は再三の中止要請を出しています。 ところが中国側は2001年から日中間で運用を開始された「相互事前通報制度」を根拠に、中止要請に応じない姿勢をとっています。 日中間の「相互事前通報制度」とは、国連海洋法条約に基づき、中国の海洋調査船が自国の排他的経済水域(EEZ)内で調査活動をする場合、「純粋に科学的な調査」であることを前提として、2ヶ月前までに事前通報があれば、日本政府が活動を許可する取り決めとなっています。 ◆海洋進出の軍事的意図を見抜けなかった日本政府 問題は、この中国海洋調査船の調査活動の「内容」について、「一般的な科学調査」であると中国側が説明すれば、どんな調査でも許可が出されてしまうという点にあります。中国側はまさにこの点を逆手にとって、日本側の中止要請を無視しているのです。 この点、「相互事前通報制度」創設を主導した外務省は、中国側の活動について、軍事的な意図に対して「見ないふり」をしていた可能性があります。 事実、中国による東シナ海での海洋調査がすでに問題となっていた1995年、当事の外務省アジア局長は中国の調査活動の意図について「一般的な科学調査」だと断定※しているのです。 2001年に運用が開始された「相互事前通報制度」も、このような解釈が前提にあるがために、中国の海洋調査活動を受け入れる制度となってしまっていることは明らかです。 (95年12月12日:参議院外務委員) しかし、幸福実現党の立党以来、全国で中国政府の覇権主義的意図と、わが国の国防強化の必要性を訴え続けてきた結果、中国の海洋進出に対する日本政府・日本国民の警戒感も高まっています。 中国海軍が西太平洋での軍事演習を活発化させ、米軍に伍する外洋型海軍としての規模と能力の拡大をめざしていることは、世界的な問題となっているのです。 ◆中国の海洋進出を助長させた村山・河野コンビ ところで、東シナ海における中国の「自由な行動」を許した判断が積み重ねられていった重要な時期に、内閣で「村山・河野談話」が発表されていたことは偶然ではありません。 先ほど、外務省は中国の軍事的な意図について「見てみぬふり」をしていたと書きましたが、「日本は侵略国家であった」とする中国共産党の歴史観に迎合する内閣であればこそ、このような国難を招く制度を実施してしまったのではないでしょうか。 ◆「相互事前通報」の枠組みを見直し、実効性のある領域警備を 去る4月22日、133,080筆を集めた「河野談話の白紙撤回を求める署名」の安倍首相への提出が幸福実現党によって行われましたが、河野洋平氏が外務大臣であった時期に実施された「相互事前通報制度」の見直しも、早急に行うべきであると考えます。 例えば、「相互事前通報」制度の前提として、「純粋に科学的な調査である」という条件がありますが、それ以外にも「事前に通報された区域で調査が実施されていること」等の条件があります。 中国側は過去すでに、これらの条件を破り、通告区域外での活動を実施するなどの違反行為を繰り返しています。今回の調査活動においても、海上保安庁が再三の中止要請を出していることをみると、「軍事目的ではないか」という疑いのほか、何らかの問題行為があることが想定されます。 こうした違反行為が現に行われ、軍事目的の調査が行われている可能性がある以上、日本政府は集団的自衛権の容認によって日米同盟を強化するとともに、南西諸島の防衛体制を固めた上で、「中国側に改善の意思が見られない限り、今後一切の中国側の調査要求に応じない」などの対抗手段をとるべきであると考えます。 「周辺外交工作座談会」が開催。中国外交の新展開に備えよ! 2013.10.31 ◆中国の「周辺外交工作座談会」 先般、中国共産党中央が「周辺外交工作座談会」を開催しました。同座談会の開催は日本国内のメディアでも報道され、注目が集まっています。 今回は、人民日報や解放軍報の報道などを元に、「周辺外交工作座談会」から読み取れる中国政府の狙いについて、切り込んでみたいと思います。 ◆「周辺外交工作座談会」の開催と目的 「周辺外交工作座談会」は、10月24日から25日まで北京で開催されました。 このような会議が開催されるということは、大国同士の関係に生じた変化に対応し、中国が周辺諸国に向けた外交方針を変更しようとしていることを意味します。 本座談会の内容を伝える記事によれば、座談会の主要任務は次の3点です。 ①「経験を総括し、形勢を検討判断し、思想を統一し、未来を開拓すること」 ②「今後5年から10年に至る周辺外交工作の戦略目標、基本方針、総体的な構造の確定」 ③「周辺外交が直面する重大な問題の工作の筋道と実施プランの明確な解決」 ◆国際環境に変化が生じた 同座談会において、習近平主席は毛沢東から胡錦濤に至る中国の指導者が「周辺外交を高度に重視し、一系列の重要戦略思想と方針政策を提出」してきたことを指摘しています。 習主席の発言は、冷戦中、中国の指導者が国際環境の変化に対応して「米国を敵とするか、ソ連を敵とするか」を常に変化させながら自国に有利な環境を作り出してきた事実を踏まえてのものと考えられます。 そしてここ1ヶ月ほどでも、中国の安全保障をめぐる大きな変化がありました。 ◆座談会開催のきっかけは、「陸の国境問題」の進展か その大きな変化とは、10月22日から実施された「ロシア、インド、モンゴル三カ国の中国同時訪問」にあり、中でもインドのシンハ首相との首脳会談にあると思われます。 すなわち、「中印両国政府は辺防合作協議に署名した」ことで「辺境地区の和平と穏定の推進に重要な意義があった」と報道されているため、両国間の国境問題について、踏み込んだ進展があったものと考えることができます。(10/24『解放軍報』「聚焦三国総理同日訪華」) ◆海洋進出がより加速する恐れが出てきた さらにインド・モンゴルは中国とロシアが主導する「上海協力機構」のオブザーバー参加国であり、これら3国が中国に接近していくことは、中国にとって「陸上の国境にかかわる安全保障がより確実となる」ことを意味します。 このような変化によって、「後背地である陸上の安全保障環境が強固となったので、海洋覇権の確立により拍車をかける」ことを中国政府が考えたとしてもおかしくはありません。 ◆「善隣外交」をPRしつつ、「日本の孤立化」を狙う意図がある 同座談会の中身について言えば、習主席の発言は「善隣外交のPR」に終始するものでした。 しかし、後日新華社に掲載された解説記事において下記の様に述べています。 「当然、釣魚島等の問題において、中国政府は対話での解決を堅持すると同時に、主権と領土を完整する決心と能力がある」(10/27『解放軍報』「中国推進周辺外交大戦略」※新華社記事の転載) と、釘を刺していることや、中国政府が一貫して日本政府を非難する外交声明を発表し続けていることを考えれば、座談会での発言にわざわざ盛り込まなくとも、中国政府が「中国善玉、日本悪玉」のイメージを作り上げようとする魂胆が見えてきます。 折りしも、史上初めて中国の三大艦隊が集結した「機動-5号」演習が西太平洋で進行中です。 かつて、1980年初頭に、旧ソ連軍の北海道侵攻を想定し、北海道を中心に配置された自衛隊を、南西諸島(九州・沖縄)にシフトするなど、中国の海洋進出を阻止する具体的な防衛政策を打ち立てる必要はあります。 また同時に、すべてを日本の責任に転嫁する中国の「言論による包囲網」を突破できるだけの、情報発信力も強化していく必要があります。(文責:HS政経塾1期生、幸福実現党 神奈川第4選挙区支部長 彦川太志) 中国人民解放軍の大規模な軍事演習「使命行動-2013A」を分析する 2013.09.26 2013年9月11日から、中国人民解放軍の「使命行動-2013A」という大規模な軍事演習が始まりました。 今回は、この演習について、中国軍の機関紙「解放軍報」から分析を試みます。 ◆演習の全体像と、中心となる軍区について 「使命行動-2013」演習は、A、B、Cの三段階に分けて実施される、大規模な演習です。 今回の「2013A」演習では、南京軍区の陸軍第31集団17,000名以上を中心として、海軍の東海艦隊と南海艦隊、そして南京軍区に属する空軍が主要な兵力として参加しています。 南京軍区は安徽省、江蘇省、上海直轄市、浙江省、江西省、福建省の6つの行政区を管轄する軍区です。 今回の演習の主役とされる陸軍第31集団は、南京軍区の中でも台湾の対岸にある福建省に司令部を置いており、その前身は金門島砲撃事件に参加した部隊としても有名な部隊です。 演習参加者は南京軍区、広州軍区の陸空軍を中心に、総計4万人以上となることが見込まれています。(9/10 解放軍報「我軍将挙行 使命行動-2013演習」、9/11 同「使命行動-2013跨区戦役演習拉開序幕」) ◆過去にも実施されている「跨区演習」 中国軍は現在、このような既存の軍区を超えた演習に力を注いでいます。 2009年には瀋陽軍区、蘭州軍区、済南軍区、広州軍区が参加する「跨越-2009」という「実兵系列演習」が実施され、2010年には北京軍区、蘭州軍区、成都軍区が参加する「使命行動-2010」という「集団軍跨区機動演習」が実施されています。 今年の「使命行動-2013」は「戦区戦役演習」とも呼ばれ、上陸演習の実施を含む、より実戦を意識した訓練が行われた可能性があります。 ◆演習の狙いと、その実態について この演習の狙いは、どこにあるのでしょうか? 演習が始まる前日の9/10付の解放軍報によれば、「多次元の立体輸送・情報火力運用・共同動作組織・軍と地方政府の連合保障など」を「重点的に研究する」と報道されています。これについて解説していきたいと思います。 (1)戦力投射能力の獲得 本演習の目的の一つには、陸路、海路、空路などのあらゆる輸送手段を動員し、内陸部の陸軍部隊を軍区を跨いで沿岸部に集中投入する体制を整えることがあったと考えられます。 戦地から遠い部隊を前線に投入する能力は、一般に「パワープロジェクション能力」と呼ばれ、中国軍は本格的構築に取り組んでいるものと考えられます。 ちなみに、9月16日付『解放軍報』の1面には、厦門航空の民間機に陸軍部隊が乗り込む写真が掲載されています。 戦時には民間航空会社も解放軍の指揮下に入り、後方支援に従事する事を端的に示していると言えます。 (2)陸海空軍の統合運用能力の獲得 さらに二点目の目的として、陸海空軍で共同作戦を行う能力の獲得が挙げられます。 戦闘において陸軍、海軍、空軍という全く性質の異なる組織を指揮し、運用できることは、現代の戦闘に欠かせない条件ですが、これを実現するには非常に高度な情報通信能力が必要となります。 この点について、『解放軍報』は「連合決策、連合作業、連合指揮を実施する、新しい連合作戦体系を構築した」と報じていることから、中国軍は三軍の統合運用能力を高めていると考えられます。 この「統合運用能力」の獲得については、我が国でも以前から議論が進められてはいるものの、議論が一向にまとまらない状態にあります。安倍首相のリーダーシップ発揮を望みます。(9/16 産経「自衛隊で内紛勃発 対中有事めぐり四分五裂」) (3)精密攻撃能力の獲得 最後に挙げられるのが、米軍のトマホークミサイルのような精密攻撃を可能とする攻撃兵器の獲得です。 中国軍がこうした兵器を獲得する事ができたのも、国を挙げて実施した宇宙開発の結果であるということを忘れてはなりません。 三軍の統合運用能力も、精密攻撃能力も、全て織り込み済みで、中国は宇宙開発を加速させているのです。(9/18 解放軍報「近千名指揮員接受大考」,9/19 同「立体突撃、多維力量握指成拳」) ◆政治家には「教養としての軍事知識」が必要 以上、3点に絞って「使命行動-2013A」演習の内容をお伝えいたしましたが、このような演習の目的を一言で言うとするならば、中国軍が「いつでも戦争ができる態勢を整える」ことにあります。 習近平主席が年初に「部隊は、招集されれば直ちに駆け付け、駆け付ければ戦争できる状態にし、戦えば必ず勝利するよう確保しろ」と発言した通り、中国は戦時体制にいつでも入れるよう、意図的に訓練を重ねているのです。 演習の成果を報告する記事が一段落すると、9/20の解放軍報一面で「領土と主権の維持に、中国は決心と自信がある」という記事が掲載されました。 記事の内容は尖閣諸島問題を中心に、近年の日中関係の悪化が日本の「右傾化」にあると非難するものでした。(9/20 解放軍報「維護領土主権、中国有決心有信心」) かつてクラウゼウィッツは「戦争は政治の延長である」と戦争の本質を喝破しました。 外交的発言の背景には軍事的な裏付けがあることが多く、この記事の発言も軍事演習の成果を背景としたものである可能性があります。 軍事力の強化と外交上の姿勢の相関関係について、今後の中国の動きを注視すべきです。(文責・HS政経塾第一期生 彦川太志) 中国の宇宙・サイバー戦略を分析する 2013.08.29 本日は、中国人民解放軍が発行する「解放軍報」という新聞から、中国の宇宙・サイバー戦略について分析を試みてみたいと思います。 この新聞には軍区における演習の状況や党・軍の重要人物の発言などが掲載されている他、「軍事論壇」という紙面が構成されることがあります。8月は6日、13日、20日、27日付で掲載されました。 一つの国家が将来の軍事力を整備する上では、将来どのような脅威に直面するかを予想しなければなりません。 「軍事論壇」では、中国が将来的に直面すると予想される戦争を「未来戦争」と定義し、そのあり方が議論されています。 解放軍が将来の戦争を想定するにあたって何を参考とし、どのような準備をしているかを知ることは、我が国の国防を考える上でも、大変重要だと考えます。 ◆サイバー空間での軍事的優位を確立するための宇宙進出 まず最初に、宇宙開発を取り上げます。 2013年6月、中国は有人宇宙船神舟10号を打ち上げ、宇宙ステーション「天宮1号」とのドッキングを成功させています。宇宙開発は、中国の軍事戦略において重要な位置を占めています。 8月20日付の「軍事論壇」の記事では、「空・宇宙の情報系統を確保する事が、局地戦争の勝利のカギ」であり、特に「サイバー空間での優位を確保する事は、現実での戦闘を有利に進め、戦場での主導権を握るために極めて重要」といった指摘が見られます。(8/20『解放軍報』「戦法創新的“空間”有多大」) この記事から、中国の宇宙開発が「サイバー空間における優位性の獲得」という軍事戦略と一体となっている事実が伺われます。 さらに同記事では、制海権、制空権という用語と並んで「制天権」という言葉が用いられ、「より上層の空間を制する力を獲得すること」の必要性が説かれています。 このことから、解放軍は「宇宙空間を軍事的に支配する能力」を獲得することをも視野に入れていると見るべきでしょう。 ◆サイバー空間も「辺疆」として定義された 次に、中国のサイバー戦略観です。 宇宙開発によってサイバー優位を実現しようとする解放軍ですが、驚くべきことに、彼らはサイバー空間を「無形の辺疆」として位置付けているのです。(8/6『解放軍報』「無形辺疆重在建」) 「ネットの安全は、既に『辺疆』を形成している」――これは8月6日に発行された「解放軍報」の「軍事論壇」に掲載された記事の冒頭部分です。 「辺疆」とは、国防上、他国からの侵略に対して「緩衝地帯」を形成する重要な地域を指す用語であり、陸地ではチベット、ウイグル、モンゴルが該当し、海洋においては第一列島線・第二列島線の内側が該当します。 中国はこれらの地域における軍事的・政治的な支配力を確保し、その伸長を目指しているのです。 ◆サイバー攻撃と物理的攻撃を同等とみなす解放軍 8/6付の記事では、「サイバー空間の主権意識を強烈に喚起しなければいけない」という記述がみられるほか、「主権国家に対するサイバー攻撃は、ミサイルなどの物理的な攻撃と同じである」との主張が見られ、サイバー攻撃に対しては自衛権を発動する可能性があることを示唆しています。 サイバー空間そのものを国家主権の及ぶ「辺疆」とみなしているという中国の実態について、私たち日本国民は十分な情報を与えられていないのではないでしょうか。 ◆国際政治を理解するためにも、軍事の知識は必要 その一方で、中国はサイバー空間において「公正、民主、透明な国際規制」による「安全、解放、協力の空間秩序」の樹立をも主張しています。 これは一見もっともらしい主張に聞こえますが、これを字義通りに受け取ってはいけません。 あくまで、中国の本心は「辺疆」としてのサイバー空間の支配拡大であり、サイバー空間で強い力を持つ米国に足枷をはめることにあります。 我が国の一部のメディアには、軍事を扱うこと自体を忌避する傾向がありますが、国際政治を理解するためにも、「教養の一部」として、軍事に関わる最低限の情報を知ることは必要であると考えます。(文責・HS政経塾第一期生 彦川太志) 高まる集団的自衛権「行使容認」への期待――「国防強化」待ったなし! 2013.08.09 ◆内閣法制局長官に、集団的自衛権の行使容認派を登用 今月8日、次期内閣法制局長官に、集団的自衛権の行使容認に積極的な姿勢を持つ小松一郎駐仏大使を登用する人事が閣議で了承されました。 内閣を補佐する「法の番人」に、集団的自衛権の行使容認派を登用することで、従来より幅の広い防衛協力を米国等と結ぶ可能性が開けてきたと言えます。 小松氏が内閣法制局長官に登用されることで、この国の国防はどのような方向に強化されようとしているのでしょうか? 首相官邸HPで公開されている政府の有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」の議事要旨(2/8付)を読むと、政府の目指す方向性が見えてきます。 ◆従来より幅広い防衛協力を提言する安保法制懇 (1)集団的自衛権の行使容認 安保法制懇の議事要旨によれば、「憲法の弾力的解釈を可能にすべき」として集団的自衛権の行使容認が提言されるだけでなく、さらに踏み込んで、自衛隊が自国民だけでなく、「他国民の生命・身体」をも守ることができるよう、政府答弁を変更すべきだという意見も飛び出ています。 さらに、米国のみならず、その他の国に対しても「集団的自衛権」を行使できるよう求める意見も出ています。 (2)対中防衛を睨んだ自衛権発動パターンの検討 また、自衛権を発動する要件として、従来の4類型(※)に加えて、(1)シーレーン防衛、(2)サイバー防衛、(3)宇宙分野といった新しい類型が提示されています。 これら3つの新類型は、そのまま中国が行っている「海洋、サイバー空間、宇宙」での軍事拡張に対応するものであることがわかります。 これらの事実から、固有名詞こそ登場しないものの、安保法制懇の提言は、中国の軍拡に対して「対中包囲網」を敷くための布石であると考えることができます。 事実、安保法制懇は提言で示す類型で自衛権を発動できるようにするためにも、集団的自衛権の行使容認を求めています。 ※従来の4類型:(1)公海上の米艦防護、(2)米国向けの可能性がある弾道ミサイルの迎撃、(3)PKOなどでの駆けつけ警護、(4)海外での後方支援活動の拡大 ◆頼みとなる米軍の台所事情は厳しい このように「行使容認」の機運が盛り上がる集団的自衛権ですが、その盛り上がりと裏腹に、相手となる米軍の台所事情は極めて厳しいと言わざるを得ません。 米軍は向こう10年間で約5000億ドルの国防予算の強制削減が予定されておりますが、ヘーゲル米国防長官は、この強制削減が続いた場合、将来的に11ある空母艦隊を8から9に削減しなければならず、それは「米国の国益に反する戦略上の大きな誤り」であると指摘しました。(8/1日経「米国防長官『空母3隻減も』」) ◆米軍は東南アジアでも「引っ張りだこ」 オバマ大統領は、西太平洋の戦力を削減し、アジアに艦隊の6割を配置する戦略を打ち出していますが、だからと言って安心することはできません。 米軍のプレゼンスと抑止力に規定しているのは、日本だけではないからです。例えば、フィリピンも中国の海洋進出の脅威を前にして、米軍の抑止力強化に向けた動きを進めています。(8/8 Defense News:「Philippines To Start Talks With US on Greater Military Presence」) ◆米軍の弱体化で動き出す、中ロ海軍 さらに懸念を呼んでいるのは、中国のみならず、ロシアの動向です。 米軍が国防予算の強制削減に直面しているのと対照的に、ロシア海軍は地中海への進出を強めています。 地中海への進出に関して、ロシア紙は往時のソ連海軍のような大海軍の再建を目指すのではないとしつつも「ロシアの観点からすれば不公平な制裁を受けている国々への貨物納入を確保すること」を目的とすると語っています。(4/8 ロシアNOW:ヴェドモスチ紙「ロシア海軍を世界に再展開する意義は」) シリア内戦において、ロシアが政府側に武器の供与を行っている事実を考慮すれば、軍事費の強制削減に伴う米海軍の弱体化によって、米国はさまざまな「挑戦」に直面することとなるはずです。 ◆もう米国頼みはできない。安倍首相は憲法九条改正に踏み込め! 以上の要素をみれば、集団的自衛権の行使容認は、それ自体重要ではあっても、日本を守る「伝家の宝刀」ではないことが明らかです。 むしろ、世界中で混乱に直面する米国から、地域の安定に関わるミッションに、自衛隊の積極的関与を求められる可能性が高いと言えます。 集団的自衛権は、国防強化への一里塚にすぎません。 安倍首相は、集団的自衛権問題を片づけるのみならず、早期に「憲法九条改正」に向けて「勇気ある一歩」を進めるべきです。 終戦記念日が近づく今、国防強化を実現しようとする安倍首相には、山のような非難が積まれる可能性がありますが、ぜひ、踏みとどまって、「アジアの柱」である日本の誇りを取り戻して頂きたいと思います。(文責・幸福実現党神奈川4区支部長 彦川太志) 「揚げ足取り」の報道は民主主義の危機を招く――「高市発言」について 2013.06.21 批判の発端となった高市氏の発言とは ある自民党議員が原子力発電所の再稼働問題について触れたところ、その発言を朝日新聞等のマスコミに批判的に取り上げられ、発言について「撤回」と「謝罪」を行うという展開となりました。 発言の主は、自民党政調会長の高市早苗衆議院議員です。 問題とされたのは6月17日に神戸市内で行われた講演で、その内容について、東京新聞は以下のように要旨を伝えています。 「日本に立地したい企業が増えているが、電力の安定供給が不安要因だ。原発は廃炉まで考えると莫大なお金がかかるが、稼働中のコストは比較的安い。 東日本大震災で悲惨な爆発事故を起こした福島原発も含めて死亡者が出ている状況にない。そうすると、最大限の安全性を確保しながら(原発を)活用するしかないのが現状だ。 火力発電も老朽化し、コストがかかる。安いエネルギーを安定的に供給できる絵を描けない限り、原発を利用しないというのは無責任な気がする。(神戸市での講演で)」(6/19東京新聞朝刊) 放射能によって亡くなった人はいない このような高市氏による発言の意図は「福島第一原子力発電所から漏れ出た“放射能”によって亡くなった方はいない」という事実に立脚し、「安定した電力供給の観点から、原子力エネルギーを簡単に捨てるべきではない」という主張を伝えるものでした。 これは、2011年以来、原子力発電所の必要性を訴え続けてきた幸福実現党の主張を後追いするものであり、「正論」です。 放射線に関する幸福実現党の主張は、世界保健機構(WHO)や国連科学委員会調査結果の科学的な調査結果によっても裏付けられています。 「日本内外の一般住民への予測されるリスクは低く、識別できる自然発症率以上の発がん率の増加は予想されない」(2/28 世界保健機関(WHO)“Global report on Fukushima nuclear accident details health risks“) 「福島第一原発事故の放射線被曝は、即座の健康被害を引き起こさなかった。そして将来にわたって一般市民、原発事故作業員の大半の健康に影響をおよぼす可能性はほとんどないだろう」(5/31 原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)“No Immediate Health Risks from Fukushima Nuclear Accident Says UN Expert Science Panel” 高市発言を意図的に捻じ曲げた報道 ところが、報道では「死者が出ていない」という言葉のみがクローズアップされると共に、それが「原子力発電所再稼働の理由」として捻じ曲げられて伝えられたため、与野党から高市氏に対する感情的な批判が巻き起こりました。 このため、高市氏は一転して自身の主張を「撤回し、お詫び申し上げる」と謝罪の姿勢を表明せざるを得なくなります。(6/20 東京「高市氏 撤回し謝罪『原発事故で死者なし』発言」) もちろん、大震災に伴う大津波にそのものによる死者や、長期の避難生活によって体調を崩され、お亡くなりになってしまった方々がいらっしゃることは事実あり、そのような方々に配慮を尽くさなければならないのは当然です。 しかし、「福島第一原子力発電所から漏れ出た放射性物質」による人体への影響はと言えば、国際機関の調査の通り、「将来にわたって一般市民、原発事故作業員の大半の健康に影響をおよぼす可能性はほとんどない」ことは事実です。 政治家は、感情論で“事実”を変えようとする左翼の論陣に迎合すべきではありません。 政府やマスコミの過剰な報道が「2次被害」を生んでいる むしろ、放射能による被害よりも、政府の方針による避難の長期化やマスコミの恐怖心を煽る報道による“ストレス”の方が健康被害を生む要因となっています。 だからこそ、幸福実現党は参院選に向けたマニフェストにおいて、「福島第一原発事故に伴う避難住民の早期帰還に向け、放射線量がすでに低く、居住可能な区域に対しては避難指示を解除する」ことを掲げています。 経済学者の池田信夫氏は「いま福島県で行われている『追加線量が1ミリシーベルト/年に下がるまで除染する』という方針には科学的根拠がなく、コストも何兆円かかるか分からない。それが終わるまで帰宅させないと、16万人の避難民のほとんどは家を失い、2次災害の被害はもっと増える。 すでに福島県の大部分の地域の実効線量は20ミリを下回っており、帰宅を阻止しているのは科学的根拠もなく恐怖をあおるマスコミである。」として、放射能よりも、政府の方針やマスコミの過剰な報道による『2次被害』こそが問題であることを指摘しています。(6/20 JBPRESS「高市発言で始まった原発再稼働をめぐる情報戦」) 「揚げ足取り」報道は、民主主義を破壊する 福島の放射線に関する科学的な事実を無視し、さらに前政権の復興政策のまずさを隠蔽した上で、「死者がいないから原発を動かすとは何事か」といった感情論に持ち込むマスコミの手法は、国民の良識によって支えられている「民主主義の基礎」を破壊する行為です。 ジャーナリズムの使命とは、国民に「正しさ」を選択する基準や、その判断材料を供給する事であるはずです。決して、恣意的な報道で国民の目を眩ますことではありません。 世論に大きな影響を与えることができる立場にいるからこそ、マスコミ各社には責任と良識ある報道を行って頂きたいと考えます。 そして、政治家は「正しい」と確信を持った政策については、世論に迎合することなく、逆風に向かってでも、断固、信念を貫き通すべきです。 幸福実現党は立党以来、一ミリたりともブレない「正論」を訴え続けて来た政党として、参院選において「先見力」ある政策を訴えてまいります。 (文責・幸福実現党神奈川4区支部長 彦川太志) 米中首脳会談の実態――日本復活の「一番ピン」とは? 2013.06.16 首脳会談の開催地は「西のキャンプ・デービッド」 7日から8日にかけて、習近平主席とオバマ大統領の会談が行われましたが、会談場所はホワイトハウスではなく、カリフォルニア州の砂漠地帯にあるアネンバーグ・エステートが選ばれました。 同地は元々、米メディア王の故ウォルター・アネンバーグ氏の邸宅として建設され、過去にはエリザベス二世などの賓客を迎える場所として用いられたことがあります。 ゆえに、同地は「西のキャンプ・デービッド※」とも呼ばれており、ただの保養地ではありません。(2012/1/23:NYTimes「A Retreat for the Rich and Powerful Is Opening Its Doors to the World」) ※米大統領の別荘地兼・重要なサミット等の開催地 中国にとっても意味のある会談場所 さらに6月7日付の「解放軍報」の報道を見ると、このアネンバーグ・エステートについて「国際的影響力を持つ人物がプライベートの会談を行う場所」と紹介されており、中国側にとっても意味のある会談場所と映っていることが分かります。(6/7解放軍報「安納伯格庄園」) それだけでなく、オバマ大統領は習近平氏と会談した際、アメリカスギで作られたベンチを習主席にプレゼントし、一緒に座って写真を撮るというパフォーマンスを行っています。 これは1972年にニクソン大統領が中国を電撃訪問した際、中国側にカリフォルニア産アメリカスギの苗木をプレゼントしたことに由来しています。(06/10 解放軍報「習近平同奥巴馬挙行中美元首第二場会談」) このような米大統領のパフォーマンスについて、韓国紙「中央日報」は「苗木が育って巨木になり、その巨木で作ったベンチに米中首脳が並んで座り、天下大勢を論じるほどになったということだ」と興奮気味に論じています。(6/11 中央日報「【コラム】米中新時代の開幕(1)」) 中国側は、習主席の唱える「新型の大国関係」をオバマ大統領に呑ませるにあたって、米中関係の出発点に関係の深い地で「友好ムード」を演出することを期待していたのでしょう。 中国側が劣勢だった?会談の「中身」とは しかし、開催場所やパフォーマンス的なものを抜きにした首脳会談の「中身」を見ると、必ずしも中国側に有利な展開では無かったことが想像できます。 例えば、中国側は会談の「成果」として「第五次中米戦略経済対話」の開催や「中国国防部長・外交部長の訪米」「リムパック2014への中国軍の参加」といった協力関係の進展を挙げています。 しかし、これらは直ちに「米中関係の急接近」を示すものではなく、むしろ米側からは「サイバー安全保障」や「人民元の対ドルレート」「知財権の保護」等、中国側にとって「触れられたくない」問題での協力を迫られています。(6/10 解放軍報「跨越太平洋的合作」) また、習主席は「新型の大国関係」として「不衝突・不対抗」「相互尊重」「合作共勝」の三原則を米国に対して掲げると共に、「対話のレベルと相互信頼の向上」や、高度技術の対中輸出解除を求める「実質的な協力の新局面の創造」、アフガンや朝鮮半島問題において中国の関与の拡大を目指す「新しい大国のモデルの建立」、そして「新しい軍事関係の確立」などの4つの提案しています。 しかし、オバマ大統領からは「積極的な反応があった」という記述にとどまっています。(同上) この会談で何らかの「成果」があったのであれば、オバマ大統領の言葉として、もっと具体的な言葉を引き出せていたはずです。 しかし、中国側の報道には、そのような具体的表現は一切なく、習主席の主張ばかりが踊っているのが実態です。 このことからも、首脳会談は終始、オバマ大統領のペースで進められた可能性が高いと言えます。(参照:6/11 Wedge Infinity 石平著「米大統領から大変な『宿題』を持ち帰った習近平の憂鬱」) 日本からの「情報発信」こそ最重要 この点に関して、いわゆる「慰安婦問題」を米国に拡散することを狙う在米韓国人団体に突撃取材を敢行すると共に、米国の共和党系上院議員に日本国としての正当な立場をPRするため渡米していた幸福実現党のオイカワ ユキヒサ外務局長(http://yuki-oikawa.com/)の分析をご紹介させて頂きます。 オイカワ局長は「中国は国内経済に大きな問題を抱えており、本当は米国の助けを必要としている。習主席がオバマ大統領に対して強気の立場を取ることなど、事実上不可能」という見解を示しています。 その上で、「今、国益にとって本当に大事なことは、真実に基づく日本の主張をハッキリと”米国で”発信すること。韓国政府は、在米韓国人団体を通じ、米国で河野談話等の既成事実化を進めようとしている。場当たり的な対応を繰り返してきた一部の自民党議員の責任は極めて重い」と指摘しています。 ※【youtubeチャンネル】オイカワ ユキヒサのアメリカン・レポート⇒http://www.youtube.com/channel/UCmYk5gAbD15zJVLkpUMznNw 米中関係の強化を狙う中国の動きは十分警戒する必要がありますが、私たち日本人は「自分たちにできる努力」として、国内では「自虐史観脱却」に向けた不動の世論を形成すると共に、日本の政治家が、オイカワ外務局長のように国際社会に対して主体的に情報発信、政治的PRを行うことが最重要です。 自虐史観の脱却――これこそが、日本の復活の「一番ピン」なのです。共に「自由の大国」日本の復活を堂々と進めて参りましょう! (文責・衆議院神奈川4区支部長 彦川太志) すべてを表示する « Previous 1 … 3 4 5 6 7 Next »