Home/ 畠山元太朗 畠山元太朗 執筆者:畠山元太朗 幸福実現党広報本部長補佐 世界の工場は中国からインドに。日本も台湾を参考に国内回帰を。 2020.05.29 https://www.youtube.com/watch?v=YFj84vVAbhI 幸福実現党広報本部長補佐 畠山元太朗 ◆世界の工場は中国からインドに 米中貿易戦争が始まって以来、中国に進出している企業はチャイナリスクを意識し、脱中国を進めてきました。 しかし、トランプ政権がコロナウイルス感染拡大に関する中国への責任追及を強め、米中対立が激化するなか、脱中国の動きが広がっています。 インドの「Economic Times」によると、アップルは今後5年間でインド国内のiPhone生産施設の大幅な拡大に動いています。 アップルの主力製品であるiPhoneの大半は台湾の「鴻海(ホンハイ)精密工業」が、中国本土にある工場で製造しています。 アップルのサプライチェーンは、本社は設計・マーケティングを担当し、ソニーなどの高品質の部品を各国から調達し、中国の工場で最終製品の組み立てを行っていました。 しかし、米中貿易戦争が激化する中、生産拠点を分散化するためにインドに工場を建設しました。 今回の生産設備拡大が行われると、今後5年間でiPhoneの5分の1はインド製になります。 インド政府高官によれば、今後5年間で400億ドル(約4兆3000億円)の収益を生み出すとコメントしています。 さらに、インド政府は中国からの生産拠点移転を検討する米国企業の誘致に本腰を入れています。 4月だけで、米製薬大手(アボット・ラボラトリーズ)を含む1,000社以上と協議しました。 インドではモディ首相のもとで「Make in India」を掲げ、インド製造業の振興を図っていますが、米中対立を契機に一気に進めたいという狙いがあります。 インドは中国に並ぶ「人口大国」ですが、年齢構成がはるかに若いという特徴があります。 国連統計によれば、2015年の年齢中央値は、中国36.7歳に対し、インド26.8歳です。 また、平均的な所得水準、賃金水準が低いので、「若くて、安くて、豊富な労働力」があります。 これが、インドが、中国に代わる「世界の工場」の地位を受け継ぐ可能性が高いと言われる大きな理由です。 ただ、インド経済の弱点もあります。国家財政が弱いので、「インフラが未整備」という点があります。製造業を振興するためには、「莫大なインフラ投資」が必要になります。 例えば、電力の安定供給は不可欠なので、電力インフラが重要です。停電がよく起こるようでは工場を安定して稼働できません。 物流インフラも大事です。雨季の洪水で物流が止まるようでは、製造大国にはなりません。 この点、日本は新幹線型の高速鉄道や地下鉄などの交通インフラで技術提供していますが、今後大きな需要が見込まれます。 金融機関が中長期債を発行するなどしてバックアップしながら、日本経済の成長戦略の一環として取り組みつつ、日印関係強化を図るべきかと思います。 ◆ベトナム、EUと自由貿易協定(FTA)を結ぶ また、アップルは「脱中国」の一環として、「ヘッドフォン」をベトナムで生産する予定です。 中国の代替国として、インドとベトナムが有力候補で挙げられますが、そのベトナムは5月中にEUとの自由貿易協定(FTA)を締結します。 今後10年かけて双方の輸出品の殆ど全ての(99%)関税を撤廃します。ベトナムは中国、バングラディッシュに次ぐ世界3位の衣料品輸出大国です。 今後、輸出の約2割を占める衣料品や履物の輸出拡大が期待できるとともに、今後ますます脱中国に動く企業の受け皿になっていくでしょう。 ◆日本も台湾を参考に国内回帰を さらに、台湾の製造業が中国から国内回帰する動きを強めています。 2019年1月からの投資額はハイテク分野を中心に7600億台湾ドル(約2兆7000億円)に達しました。単純計算で、対中投資の5倍強のペースです。 台湾の国内回帰の成功には、台湾政府の後押しが効いています。蔡英文政権は2019年1月、新たな優遇策を発表しました。 工場用地の紹介や外国人労働者の雇用規制の緩和、民間融資の金利一部肩代わりなどです。 中国で2年以上の投資実績があり、米中貿易摩擦の影響を受けるなどの条件を満たす企業が対象です。 2期目の就任式で、蔡英文総統は「世界に信頼されるサイバーセキュリティなどの産業供給網を築く」と話し、日米欧との連携を深めて中国依存を加速する姿勢を鮮明にしました。 以上、脱中国の動きとして、(1)インドや東南アジアへの分散化、(2)企業の国内回帰を見てきました。 トランプ政権はインド太平洋戦略を掲げ、中国を外した国際的なサプライチェーン構築を急いでいます。 日本は日本企業の国内回帰を推し進めつつ、自由や民主主義、信仰の価値観を共有するインドや東南アジアの国々との連携を強くし、アジアのリーダーとしての役割を果たさなくてはなりません。 新型コロナで、一帯一路崩壊へ。タンザニア大統領「中国の融資条件は、酔っ払いにしか受け入れられない」 2020.05.03 https://www.youtube.com/watch?v=vf7o9BZd8b0 幸福実現党広報本部長補佐 畠山元太朗 ◆タンザニア大統領が一帯一路離脱宣言 アフリカでは今、中国に対する反発が強まっています。 アフリカ東海岸にタンザニアという国があります。タンザニアは、ダイヤモンドや金、ウランやニッケルなどのレアメタル、レアアースを産出する資源国であり、中国の一帯一路構想にとって重要拠点と位置付けられてきました。 しかし、タンザニアのジョン・マグフリ大統領は「コロナ感染対策のために、バガモヨ市にある港湾建設に関わる中国への借金100億ドルを中止する」と発表しました。 昨年6月、前大統領が締結した港湾プロジェクトの内容に関して、中国側の要求に無理があることに怒りを露わにし、計画を停止していました。 しかし、今回はさらに一歩踏み込んで、新型コロナ感染拡大の責任がある中国への借金を、感染症対策予算に充当するというものです。 アフリカでは、他の国々の間でも中国への反発が強くなっています。一番大きな影響を与えたのは、中国広東省広州のナイジェリア人居住区でコロナのクラスターが発生し、黒人差別が行われたという出来事です。 例えば、大家から家を追い出されたり、ホテルから退去を命じられる。抵抗すれば、警察を呼ばれ、拘束され、屈辱的な尋問を受ける。黒人女性がデパートに入店することを拒否されるケースもあったようです。 ナイジェリア外相は「われわれは身の回りの物を持って、路上で寝起きしているナイジェリア人の映像を見た。もちろん、本国にいる私たちにとって痛ましくてならないものだ」と発言。同政府も「容認できない」と中国を非難しました。 また、アフリカの約20か国が共同書簡を作成し、草案段階では「明らかな人権侵害」と明記しています。 他にも、エジプトやナイジェリアの弁護士が、新型コロナの賠償金を求める訴訟を起こしています。アフリカで、ここまで中国に対する反発が強まったのは初めてです。 ◆米共和党上院議員が中国の一帯一路阻止に動く また、4月26日、アメリカの共和党上院議員16名が「一帯一路構想のもと、中国に多額の借金を抱える新興国を守れ」という趣旨の共同声明を発表しました。 声明では「我々は、国務省や財務省に対して、IMF(国際通貨基金)やWB(世界銀行)が新興国に追加支援を行うにあたり、中国の一帯一路構想の下で行われた融資内容を検討するよう求めた。中国の融資は、国際基準に合致していない」と書かれています。 4月13日、IMF国際通貨基金は、最貧国の内、25か国に対して債務返済猶予を発表しました。猶予措置には、自然災害やパンデミック(感染症の世界的流行)の際に対応する「大災害抑制・救済基金(CCRT)」を活用します。 アメリカは資金拠出の一部を担っていますが、アメリカ国民の税金が原資になっている以上、IMFの新興国援助の形で中国の一帯一路を助けるようなことがあってはいけないと、共和党上院議員は考えているわけです。 さらに、トランプ政権に対して、中国金融機関による融資内容の透明性を高めさせるとともに、国際基準に合わない契約条件を見直すよう圧力をかけることを求めています。 中国が火事場泥棒的に、借金を返せない新興国から港湾等の資産や鉱物資源の権益を収奪しないように強く牽制したものです。 今回、日本は新興国支援として1億ドル(約110億円)の資金をIMFに提供しています。 今後、日本は資金提供のみに甘んじず、米国との連携を強化しながら、アジア、アフリカへの中長期的な融資を通して積極的に関与し、自由や民主主義、信仰の価値観を共有する国々を増やしていく必要があります。 武漢ウイルス感染拡大。米国で高まる中国賠償責任論。 2020.05.02 https://www.youtube.com/watch?v=0sRCc6fdFLo&t=154s 幸福実現党広報本部長補佐 畠山元太朗 ◆米国ミズーリ州が中国を提訴 アメリカでは中国発新型コロナウイルス拡大による被害が大きく、中国に責任を問う世論が高まっています。4月3日~5日に行われた米国ハリス世論調査によると、「中国政府に責任がある77%」「中国が賠償金を支払うべき54%」となっています。 4月21日には、ミズーリ州のシュミット司法長官が連邦地裁に中国を提訴しました。 これまで、中国政府の初期対応に問題があったとして、フロリダ州、テキサス州、ネバダ州で個人や企業が中国を相手取った訴えを起こしましたが、公的機関である州当局が訴えたのは初めてです。 通常、主権免除の原則があり、外国政府を相手取った訴訟を行うことはできませんが、今回の訴訟を契機に、米国議会に法整備を促し、新型コロナ犠牲者にも、中国に対する損害賠償を請求する道を拓くことも狙いとしてあります。 実際に、2016年には「テロ支援者制裁法」が成立し、主権免除の例外が認められ、9.11犠牲者がサウジアラビアを相手取った訴訟を起こしています。 ◆共和党を中心に中国賠償責任論を推進 中国に責任を負わせる方法は他にもあります。 ニューメキシコ州の上院議員候補者であるGavin Clarkson氏は「トランプ大統領とムニューチン財務長官は、中国共産党が保有している1.1兆ドル(約120兆円)の米国債を賠償に充てるべきだ。財務省は今後、中国が米国債の購入・保有・売却を禁止し、適用範囲を政府高官にも広げるべきだ」と主張しています。 また、アメリカ合衆国弁護士のJohn Yoo氏は、2001年~2003年までブッシュ政権の法律顧問も務めた方ですが、国際機関の強制力の弱さを指摘した上で、関税などの経済制裁に加え、「トランプ政権は中国国有企業の資産を差し押さえるべきだ。」 「中国は一帯一路構想のもとで、アフリカや東欧、ラテンアメリカで数十億ドルの貸付を行い、払えない国の港湾や施設を収奪している。米国はこれらの資産を差し押さえ、コロナ賠償金として借金帳消しにすべきだ」と論じています。 議員の中にも、同様の考え方を持つ方々がいます。Marsha Blackburn氏(共和党・上院議員)は「米国は中国に債務免除を求めるべき」、Josh Hawley(共和党・上院議員)は「米国民が新型コロナで被った被害について、中国共産党に損害賠償請求できるようにしたい」と訴えています。 アメリカでは共和党が中心となり、中国賠償責任論を推し進めています。今後、日本は中国の顔色を伺う八方美人外交ではなく、正義に基づく、筋の通った外交を展開しなくてはなりません。 すべてを表示する