Home/ 江頭俊満 江頭俊満 執筆者:江頭俊満 静岡県本部副代表 日本はASEANと共同して、世界最強国となるべき 2015.12.04 文/幸福実現党・静岡県本部副代表 江頭 俊満 ◆ASEANの連携は、まだ明確な全容を示せないままである 東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟の10カ国首脳は 11月22日、ASEAN経済共同体(AEC)を12月31日に発足すると宣言しました。 域内の経済統合を目指すAECは2003年の構想表明以来、12年で創設を迎えることになります。 しかし、文化や政治体制の異なる加盟10カ国の連携の姿は、明確な全容が見えないままであり、経済分野においては具体的な動きが始まっているものの、政治、社会面の連帯については、まだかなり難しいものがあります。 ◆ASEAN域内の結束力が問われる 1997年加盟のミャンマーに対して、民主化や野党指導者アウン・サン・スー・チー氏の軟禁解除を粘り強く要求し、2011年の民政移管に寄与した成果はあるものの、南シナ海で権益拡大を進める中国に対しては、全会一致の原則が縛りとなり、その無力さを露呈しています。 南シナ海問題は、ASEANが結束して、問題解決能力が試される事案ですが、今後、中国の外交攻勢に対してASEAN諸国は各国の立場の違いを乗り越えて結束できるのか、それとも中国による「ASEAN分断」の動きに翻弄されるのか、ASEAN域内の結束力が問われることになります。 ◆日本はASEANとの共同行動を模索していくべき 安全保障に関しては、ASEAN諸国と日米中など計18カ国が参加するASEAN拡大国防相会議(ADDMプラス)が11月4日、マレーシアの首都クアラルンプール近郊で開かれました。 主要議題となった南シナ海問題では、造成した人工島周辺を「領海」と主張する中国と、「航行の自由」や「法の支配」を訴える日本や米国が対立し、共同宣言の採択が見送られる異例の結果となりました。 しかし、ASEANは域内諸国の利害調整に苦慮しながらも地域制度として発展し、東南アジアの平和と安全に寄与してきたのも事実です。 日本は、アジア地域の制度をめぐる競争が激化するなかで、国際関係で苦悩するASEANに対して、その役割と可能性と限界を見すえながら、ASEANとの共同行動を模索していくことを重要な課題として捉えなくてはなりません。 ◆「大東亜共栄圏」建設の夢をもう一度 かつて、日本は「大東亜戦争」において、「アングロ・サクソン的な世界秩序」に対する挑戦として、日本を中心とした東アジアの「新秩序」を構築して、アジア諸民族の独立解放実現のために、「大東亜共栄圏」建設を目指しました。 1943年11月に、「大東亜会議」が開かれ、「大東亜宣言」が採択され、そこでは、「大東亜戦争」で独立を果たした各国が集まっていました。 時は移り、平成の日本では、自衛隊の幹部養成機関である「防衛大学校」において、「タイ・シンガポール・マレーシア・フィリピン・インドネシア・モンゴル・ベトナム・韓国・ルーマニア・カンボジア・インド・東ティモール・ラオス」の13カ国の士官候補生等を留学生として受け入れ、日本の学生同様に教育訓練を行っています。 これらの留学生は、将来アジア・太平洋地域の安全保障分野での要人となることでしょう。近い将来、これらの珠玉の人材が、「日本・ASEAN連合軍」の指揮官として活躍する日が来ることを期待したいと思います。 ◆日本が世界最強国となり、円を「基軸通貨」にせよ 今こそ、日本は、世界のリーダー国家としての気概を持ち、いわれのない「侵略国家」の汚名をすすがなくてはなりません。 正しい歴史認識のもと、「日本の誇り」を取り戻し、自衛隊を「国防軍」として設立させることを目指すべきです。 日本は、世界の平和と安定のために、アジア・アフリカの国を豊かに変えていく支援を行い、産業を振興させる役目を担う必要があります。 そのためには、日本が世界最強国となり、円を「基軸通貨」にすることで、全世界をさらに発展させていくという自らの使命を自覚すべきです。 「新たな冷戦」に向けての国家戦略を考える 2015.05.14 文/静岡県本部副代表 江頭俊満 ◆自衛隊の活動を制限してきた日米協力が転機を迎える 日米防衛協力のための指針(ガイドライン)は、日米安全保障体制を効果的に運用するため、自衛隊とアメリカ軍の協力の基本的な枠組みや方向性を示すものです。 ガイドラインは、東西冷戦時代の1978年に、旧ソビエト連邦による侵略などの日本有事に備えて、初めて策定されました。 日米両政府は先月27日、このガイドラインを改定しました。 新ガイドラインは、「世界から警戒されている中国の動きによる」安全保障環境の変化を受け、日米がアジア太平洋を越えた地域で連携し、平時から有事まで切れ目なく対処するとしています。 また、海洋進出を活発化させている中国を念頭に島嶼(とうしょ)防衛での協力を明記したほか、安全保障法制の整備内容が反映され、集団的自衛権を行使する際に想定される協力項目が盛り込まれています。 今回の改定で自衛隊の活動を制限してきた日米協力は転機を迎えたと言えます。 ◆日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増している 日米同盟は1951年締結の安保条約で始まり、60年の改定でアメリカの日本防衛義務を明記しました。 そして、日米指針は冷戦下の旧ソ連への対処から、北朝鮮の脅威などに対応するものに変わってきました。 冷戦終結後の1990年代半ばになって、北朝鮮の核開発疑惑や台湾海峡危機など東アジアでの緊張が高まったことを背景に、1997年にガイドラインは見直されることになりました。 このときの見直しは、日本に対する武力攻撃に加え、朝鮮半島有事を想定し、周辺有事の際の日米協力が中心となるものでした。 そして、日米両政府は、中国による海洋進出の活発化や北朝鮮の核やミサイル開発など、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増しているとして、一昨年から、見直しに向けた作業を進めてきました。 ◆何が両国の安全保障上の最大の問題かという視点を常に失わない 先の大戦後、日本の潜在能力を弱体化しようとしていたアメリカが、一転して、日本を同盟国として育成する政策をとった理由は、ソ連の脅威が顕在化して、冷戦が始まったことにあります。 冷戦の終結、つまりソ連がアメリカに屈服した決め手となったのは、レーガンが軍拡を断行したからと言えます。 日本にとって幸いだったのは、冷戦の最後の時期において、日本の安全を守る国家利益と、世界戦略におけるアメリカの国益とが一致していたことです。 日本は、1980年代に防衛力増強を行ったことで、西側(自由主義陣営)の一員として大きな成果を挙げ、冷戦における勝利者側に立つことができました。 今後も、日米両国にとって最も重視すべきことは、何が両国の安全保障上の最大の問題かという視点を常に失わないということなのです。 ◆日米両国が真の運命共同体であるという実績を示す努力が必要 日米同盟を維持するには、共通の認識だけでなく、相互協力と責任負担が必要であり、日米間が共通の価値観で結ばれている事が必要です。 その価値観とは「自由民主主義を実践し、人権を尊重し、経済における自由解放体制を持つと同時に、世界における自由貿易を主導する」ことです。 日米の安全保障関係の協力強化と、TPP交渉の早期妥結を通じて、日米両国が真の運命共同体であるという実績を示すことが、今最も重要なことです。 アメリカは、今後とも東アジアの軍事安定のためにその責任を維持すべきであり、日米同盟と日本における米軍基地は、アジア全体の平和と安定のために必要不可欠なものと言えます。 つまるところ、日本はその国家戦略として、「沖縄の普天間基地を可及的すみやかに辺野古へ移設完了」させ、中国による「新たな冷戦」に備えなくてはなりません。 なぜ日本は情報機関が弱いのか 2015.01.09 文/静岡県本部副代表 江頭俊満 ◆日本の情報能力を概観してみる 「特定秘密保護法」が昨年12月10日に施行されました。これは、安全保障に関し、特に秘匿が必要な情報を「特定秘密」に指定し、漏えいした公務員らに最高で懲役10年を科すものです。 「特定秘密」は、安全に関する情報で(1)防衛(2)外交(3)スパイ行為など特定有害活動の防止(4)テロリズムの防止-に関わるもののうち、特段の秘匿の必要性があるものが該当します。 「特定秘密」を指定できるのは、防衛省や外務省など19の行政機関の長で、このうち警察庁と海上保安庁は、同26日、合わせて30件余りの情報を特定秘密に指定しました。 今回は、日本の情報能力を概観してみたいと思います。 ◆外交や軍事の戦略を策定するために必要なこと 日本が独自の外交と軍事の政策を策定し、この二つの分野で行動をするためには、その前提となる独自の情報が必要となります。 しかし、この外交と軍事の政策を米国依存で済ませるなら、日本独自の情報機関は不要となります。 外交や軍事の戦略を策定するにあたっては、「目標を明確にすること」、「目標実現の道筋を明らかにすること」、そして「相手の動きに応じて柔軟に対処できるようにいくつもの選択肢を用意すること」が求められます。 その際にまず必要とされるのが、「外部環境の把握」「自己の能力の把握」です。 この二点について、いかに客観的で正確な情報を手に入れるかがきわめて重要となります。これは「インテリジェンス」と言われる情報です。 ニュースで受動的に見聞きする情報「インフォメーション」ではなく、外交や軍事面での行動を前提として能動的に集められる情報「インテリジェンス」が求められます。 「インテリジェンス」は言い換えれば、「対外的に最善の行動をとるための情報」と言えます。 ◆日本の情報分野は世界から遅れたものとなっている 2005年10月、日米は「日米同盟:未来のための変革と再編」に合意し、日米が「共通の戦略」で行動することを決めています。 この中で、情報については「共通の情勢認識が鍵である」「部隊戦術レベルから国家戦略レベルまで情報の共有を向上させる」「秘密情報を保護する追加的措置をとる」とされています。 ここでは、米国が与えたものが共通の情報となり、「情報の保護」が強調されています。このことから、日米の情報が一本化される動きが進展していると見てよいでしょう。 しかし、米国は、「インフォメーション」の提供は約束しているが、「インテリジェンス」の提供は約束していないことを知らなくてはなりません。 「わが国独自の国益があるか」―この認識が、国家の情報部門を必要とするか否かの判断要件となります。情報機能を有効に働かせるためには、日本独自の外交を考え、その基となる「日本の国益とは何か」を認識しておく必要があります。 戦後、わが国は「他国に脅威を与えなければ、それでよい」といった考え方で、米国に国家の安全保障を依存してきました。こういう対外政策のままで、日本の情報分野は世界から遅れたものとなっているのが現状でしょう。 ◆安全保障において「日本は一本立ちできない」 敗戦後のGHQ占領下、米国が最も重視した政策は、「日本が二度と軍国化しないこと」でした。この影響により、現在でも日本の大学において、一般には軍事や安全保障に特化した講座はありません。 ここで、考えなくてはならないことは、「(自衛隊に対して、シビリアン・コントロールがなされていますが、)大学で系統立てて安全保障や軍事に関する教育を受けておらず、国際水準に達する安全保障の知識のないシビリアンがどうして国家戦略を立てることができるか」ということです。 このことは、「いかに自衛隊が、中国やその他の国の軍隊より優れていたとしても、米国から離れて日本だけで作戦を立てるには根本的な欠陥があり、実際の行動はできない」ということなのです。 幸い、現段階では、日米同盟が有効に機能しているので問題はありませんが、「日本は一本立ちできない」ようになっているのが現状です。 ◆日本の「情報機関」を強化すべき時期が来ている 1997年の「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)の見直し」では「自衛隊および米軍は、弾道ミサイル攻撃に対応するために緊密に協力し調整する」としています。 しかし、米国は、日本が独自のミサイル配備状況を知る必要性を認めておらず、米軍と自衛隊が一体となって動くことを望んでいます。 日本において、戦後解体されて復興しないものに「情報機関」があります。国際化が進む中で、明確な国家戦略を持つ国は、必ず「強固な情報機関」を保持しています。 国際社会での「米国の優位性の後退」は避けがたい潮流となっています。これに反して、中国の力は上昇しつつあります。 こうした状況においては、当然「日本独自の情報能力」が問われてきます。今、まさに日本の「情報機関」を強化すべき時期が来ていると言えましょう。 朝鮮半島における紛争で、日本は「国家主権」を守れるか 2014.11.01 文/静岡県本部副代表 江頭俊満 ◆集団的自衛権の行使は必要 日米両政府は10月8日、17年ぶりに見直す「日米防衛協力の指針(ガイドライン)」の中間報告をまとめましたが、日本の集団的自衛権をどう反映させるのか、有事には至っていないグレーゾーン事態に両国でどう対応するのかは、日本側が関連の法整備を遅らせたため、具体的な記述は最終報告まで見送られることになりました。 さて、朝鮮半島の紛争拡大は、避けなくてはならない事態ではありますが、現実的に考えなくてはならない事案であり、朝鮮半島で戦争状態、あるいはそれに近い緊張状態が起こるなら、日本は米軍の最前線基地と後方支援基地にならざるを得ません。 「米軍を支援すると日本が戦争に巻き込まれるから、集団的自衛権の行使を認めない」ということは、きわめて独善的であり、日本は世界から孤立し、国民の生命さえも危険にさらされる結果となるでしょう。 日本は、現在の「安全保障」体制のままでは「朝鮮半島有事」という激震に対して何も対応できず、国際的貢献はおろか、「国家主権」を守ることさえもできず、外的環境にただ右往左往するだけになります。 ◆「邦人救出」という大きな課題 必ず想定しておかなくてはならないことは、朝鮮半島から大量の難民が日本に押し寄せてくるということであり、その時に日本は、人道上の理由から全力を挙げて支援が求められることになりますが、それと同時に「邦人救出」という大きな課題もつきつけられるはずです。 ここで、考えておかなくてはならないことは、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)においては、米軍が「邦人救出」をすることは明文化しておらず、大量の難民が発生している状態で、米軍が日本人だけを区別して救出してくれるということは期待できないということです。 日本政府が、「周辺事態」が発生した際の「邦人救出」に関する対策を何も講じていないというのは、全くの責任放棄と言わざるを得ません。 現行法では、自衛隊の平和維持活動のための海外派遣はできても、「周辺事態」発生時の「邦人救出」のための自衛隊の海外派遣は想定されていません。 「周辺事態」発生時における「邦人救出」のための自衛隊の派遣に関する「自衛隊法の改正」と、具体的な自衛隊の「行動基準」を整備するとともに、「自衛隊と民間との協力」体制も策定しておかなくてはなりません。 ◆朝鮮半島有事に際して 1952年の朝鮮戦争下になされた「李承晩ライン」の設定は、公海上における違法な線引きであるとともに、韓国による竹島の占拠は、国際法上何ら根拠がないまま行われている不法占拠であることは、周知のことです。 しかし、1949年、韓国政府が「対馬」領有を宣言し、連合軍占領下で主権が制限されている日本から「対馬」編入を要求した歴史があることはあまり知られていません。 日本は、朝鮮半島における紛争の混乱の中で、領土の一部が他国に占拠される可能性も想定した「安全保障」体制を整えておくべきでしょう。 また、日本は、「朝鮮半島有事」の終息後を視野に入れた「安全保障」体制も考えておかなくてはなりません。 「朝鮮半島統一」が実現したあとで、民族としての結束を高めるため、外部に緊張を作り出すという政治的手段が選択される可能性があり、社会的に不安定な状態が続く場合、「統一朝鮮政府」が国外に緊張を生み出す相手として、日本を選ばないとは限りません。 ◆「朝鮮半島統一」後の安全保障体制 「朝鮮半島統一」が達成されたとしても、それは直ちに「日本周辺の安定」につながらないという現実を覚悟しておくことが必要です。 国際関係において、いかなる問題が起きる可能性があるかを研究し、それが「顕在化」しないように他国との外交問題にあらゆる手段を講じることが「安全保障の基本」となります。 アメリカのオバマ大統領と安倍首相が4月24日、東京・元赤坂の迎賓館で首脳会談を終えて共同記者会見を開いた際に、オバマ大統領は冒頭のあいさつで、「日本の施政下にある領土は、尖閣諸島も含めて日米安全保障条約の第5条の適用対象となる」と述べました。 しかし、知っておかなくてはならないことは、「領土問題」に起因する紛争では、「日米安全保障条約」は基本的には機能しないということです。 また、「統一朝鮮」においては、「核武装をした大規模な軍隊ができる」可能性があり、それを想定した「国土防衛体制」を構築しておくことも必要でありましょう。 朝鮮半島で戦争が起きた場合、その終結のあり方が、アジア・太平洋地域の安全保障環境に大きな影響を与えることは間違いありません。 今、アメリカが「世界の警察」としての役割から降りようとしているなかで、日本は大局的な観点をもって、世界のリーダー国家への道を大きく踏み出すべき時です。 「日本の安全保障を考える」――アジア・太平洋地域の安定のために 2014.09.26 文/静岡県本部副代表 江頭俊満 ◆常に最悪の状況を想定して備える 防衛白書は、日本の防衛の現状と課題およびその取組についての理解を得ることを目的として毎年刊行されており、平成26年版は刊行40回目になります。 防衛白書の刊行を積み重ねてきたことで、わが国の防衛政策の透明性は国際的にも高い評価を得ています。 その防衛白書を読むと、『平和、安全および独立は、願望するだけでは確保できない。』『防衛力は、侵略を排除する国家の意思と能力を表す安全保障の最終的担保であり、ほかのいかなる手段によっても代替できない。』(第Ⅱ部・第1章・第1節「わが国の安全保障を確保する方策」)という記述があります。 これは、まさしくそのとおりであり、評価すべき内容です。 今日の国際社会は、多様で複雑かつ重層的な安全保障上の課題や不安定要因に直面しており、「常に最悪の状況を想定して備える」という基本的考え方を持つことが必要です。 よく、「最悪の事態を想定する前に、そうならないようにするのが先決だ」という議論がありますが、「そうならないように」努力するだけで、最悪の事態に絶対にならないという考えは、楽観すぎるものです。 例えば、「火事」を出さないように努力していていても、火事は起こるものです。それゆえに、税金を使って「消防車」という「備え」が必要となります。 また、消防車さえあれば、火事を予防できるとは言えないので、「消火器」を設置し、「防火訓練」を実施することが必要となります。 外交においては、国際問題の解決のために、政治的交渉や話し合いをするという基本的な手段がありますが、外交的問題の顕在化を未然に抑制したり解決したりする外交の手段である「軍事力」や「武力の行使」を排除するのは、この「消防車」や「消火器」あるいは「防火訓練」を放棄することと同じはずです。 ◆国際的枠組みや関与のあり方を検討する また、防衛白書には『わが国を取り巻く安全保障環境を改善してわが国に対する脅威の発生を予防する観点から、アジア太平洋地域や国際社会の一員としての協力などの分野で防衛力が果たす役割の重要性は増している。』(第Ⅱ部・第1章・第1節「わが国の安全保障を確保する方策」)という記述もあります。 現在、ASEAN諸国においては、地域における安全保障協力枠組みであるASEAN地域フォーラムや、ASEAN域内における防衛当局間の閣僚会合であるASEAN国防相会議(ADMM)がそれぞれ開催されています。 これに加え、2010年5月の第4回ADMMにおいて、日本を含めたASEAN域外国8か国を加えた拡大ASEAN国防相会議(ADMMプラス)が創設されています。 地域の安全保障・防衛協力の発展・深化の促進という観点から、きわめて大きな意義があります。 しかしながら、近年、世界各地で発生している紛争は、民族、宗教、領土、資源などの様々な問題に起因し、国際社会にとっては、それぞれの性格に応じた国際的枠組みや関与のあり方を検討することが重要となっています。 ◆「憲法9条を堅持する平和国家」から脱皮する ここで、また防衛白書に目を戻すと、下記のような記述があります。 『中国は、東シナ海や南シナ海をはじめとする海空域などにおいて活動を急速に拡大・活発化させている。特に、海洋における利害が対立する問題をめぐっては、力を背景とした現状変更の試みなど、高圧的とも言える対応を示している。』(第Ⅰ部・概観・第2章「アジア太平洋地域の安全保障環境」) 東南アジア諸国が「中国の進出」に脅威を感じているのは事実であり、日本は、「アジア・太平洋地域の安定」のために、具体的かつ現実的な形で、主体的に責任を果たしていくべきであり、「日米安保」関係を強化したうえで、「憲法9条を堅持する平和国家」から速やかに脱皮しなくてはなりません。 ◆必要なら、武力の行使を実行する 日本は世界で有数の経済大国でありながら、ほとんど資源の供給ができず、地理的には島国であり、海上交通路(シーレーン)が生命線となっています。 日本の主要なシーレーンは、東シナ海から南シナ海を通り、マラッカ海峡を走っており、このシーレーンが走る海域には多くの紛争要因が潜んでいます。 さらに、日本の周辺には、核兵器や弾道ミサイルを保有する国が存在します。 このような状況から、「日本はその経済と国民の生命を維持するために、必要なら武力の行使を実行するだろう」と考えるのは、非常に合理的なことです。 日本には、強大な「軍事力」を持つ「必然性」、「可能性」、「能力」があると世界から見られていることを、日本人は自覚しなくてなりません。 日本は、外交姿勢、安全保障に関する態度に透明性を持つと同時に、「世界が理解できる言葉」で、日本が「国際関係においてどこまで責任を持つ」のかを明らかにすべきです。 加えて、「国連」が多くの面で限界に直面しているなかで、「国連憲章」も現状に合わせて変えていく必要があり、「国連至上主義」に固執していてはなりません。 すべてを表示する