大統領選を左右する大論争。バイデンvsトランプ。アメリカを再び祈りの国に。
幸福実現党党首 釈量子
◆バイデン陣営対トランプ陣営の大論争
先月末3月31日、キリスト教圏にとって最も大切な祝日の一つ、「イースター(復活祭)」が行われました。
イエス・キリストの復活を祝う宗教行事で、カトリックやプロテスタントなどの西方教会では毎年、「春分後の満月から数えて最初の日曜日」に行われることになっています。
イースター・サンデーと言われ、家族でごちそうを食べイースターエッグを部屋に飾ります。そしてアメリカ大統領も毎年スピーチを行います。
ところが、今年の「イースター・サンデー」をめぐり、バイデン陣営とトランプ陣営とで大きな論争が巻き起こりました。事の発端は、バイデン大統領が3月31日に向けて出した声明です。
「トランスジェンダーデイ・オブ・ビジビリティ宣言2024」という声明で、トランスジェンダーなどの性的少数者の平等や権利を守ろうと呼びかける内容です。
「ビジビリティ」というのは「可視化」「見える化」「認知度を上げる」くらいの意味です。2009年に活動家によってはじめられ、毎年3月31日と定められましたが、大統領として最初に認めたのがバイデン氏で、2021年から毎年、声明を出しています。
それが今年、3月31日がイースター・サンデーと被ってしまったので、物議を醸しました。
キリストの復活を祝う聖なる日に、大統領がトランスジェンダー可視化の日宣言を行ったということで、トランプ元大統領を、はじめ多くの共和党支持者は「キリスト教への冒涜である」と猛反発しました。
民主党側は大手メディアを含め、今年はたまたまイースター・サンデーと同じ日になっただけだ」と反論していますが、トランスジェンダーといった「性的マイノリティ」の権利に関する問題は、キリスト教の教義に大きくかかわります。
バイデン氏の軽率さに、トランプ氏は4月2日、ウィスコンシン州の集会でバイデン氏を痛烈に批判し、同時に対抗する “宣言”を行いました。
「トランスジェンダーデイ・オブ・ビジビリティ」に対して、「クリスチャン・ビジビリティ・デイ」をつくると言ったのです。
まさにバイデン大統領の向こうを張った内容です。聴衆の熱い反応からも、大統領選が、アメリカとはどういう国であるべきかをかけた「宗教的信条、価値観の戦い」であることが分かります。
また、もう一つ注目の出来事がありました。イースター・サンデーの直前の3月27日、トランプ氏がなんと聖書の発刊を発表しました。
その名も「God Bless The USA Bible」、日本語では “アメリカに神の祝福を”聖書です。これは従来の聖書に、アメリカの合衆国憲法や独立宣言などを付け加えたものです。
日本の報道ではアメリカ民主党系メディアの横流しで、「金儲けだ」といった否定的な内容が多いですが、トランプ氏の狙いはそういうレベルの話ではありません。
これも、今起きているアメリカの分断の根源的理由、つまり大統領選の本当の争点に迫るものです。
トランプ氏は聖書の発刊について次のように説明しています。
「宗教とキリスト教はこの国で失われている最大のものです。そして私はそれをいち早く取り戻す必要があると本当に信じています。それがこの国がおかしくなっている最大の原因の一つであると考えます。(中略)聖書はアメリカに取り戻すべきもの、この国を再び偉大にするのは宗教であることを思い出させてくれます。」
◆アメリカを神に祝福される国に
「祈り」とは心の針を天上界に向けて、清らかな心で、神につながろうとする行為です。そして祈りは、最大の力を持っています。『聖書』の「マルコによる福音書」(9:29)には、悪魔と戦う時、イエスが、「この類のものは、祈りによらなければ、どうしても追い出すことはできない」と述べています。
トランプ氏は、「聖書」に合衆国憲法や独立宣言を加えることで、アメリカを一つにしようとしています。「公的な祈り」の国にしよう、そして「神に祝福される国にするのだ」という信念が伝わってきます。
そもそもアメリカの建国の歴史は、イギリス国教会から弾圧され分離したピューリタンが、信仰の自由で、アメリカの新大陸に神の国を建設しようとしたことから始まっています。
1776年7月4日に採択された「独立宣言」の冒頭にも、すべての人間は「創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている」という有名な文があります。
アメリカ人は何世代も7月4日の独立記念日にこの言葉を朗読し、子供たちに読ませ、政党を問わず政治家が引用し、裁判所の判決にも書かれ、カントリーソングや、ロックでも歌われてきました。
また「権利章典」、合衆国憲法の修正第一条にもまず「信教の自由」を保護することがうたわれています。
トランプ氏が何度も「自由は政府からではなく、神から与えられた。その基盤の上にこの国はなりたっている」と述べていますが、トランプをはじめ多くの共和党の人々は、バイデン氏の行き過ぎたリベラルで分裂した国を一つにしようとしています。
◆自由・民主・信仰の世界
大川隆法総裁は、次のように述べておられます。
『自由・民主・信仰の世界』において、「神に対して祈ることを当たり前とする国が多数決を取ったら、神様の心に近づこうとするのは当然のことではありませんか。だからこそ、人間がつくった法律以上の、道徳律の高い政治が実現できるのです。したがって、この信仰の世界を自由と民主に取り込んでいくことは、非常に大事なことだと思っています。これが、日本の未来です。世界の未来です。こうあらねばなりません!」
大統領選はアメリカの道筋はもちろん、世界の方向性に大きく影響を与えます。引き続き大統領選挙の行方に注目していきたいと思います。
ひるがえって日本は、裏金問題などの政治家の腐敗がまたしてもクローズアップされ、低迷しきった支持率はもはや政治への絶望にかわりつつあります。
なぜ変わらないのか。それはバイデン政権と同じく、「神なき民主主義」で漂流しているからです。
神仏が人間をお創りになられた時に与えた「自由」が、人間の最大の幸福です。そして「人間が神の子として平等に造られた」という考えのもとに、民主主義が花開きます。これはプーチン氏もよく言っていることです。
歴史を振り返れば、日本も世界に誇る「祈りの国」でした。聖徳太子が「篤く三宝を敬え」といい、奈良時代に聖武天皇の発願で大仏が建立されました。疫病や天変地異に対する「鎮護国家」、仏の御加護を公的に祈る国だったのです。
しかも、奈良の大仏は、仏陀・釈尊の霊的本質である毘盧遮那仏、つまりキリスト教でいう造物主への信仰です。イスラム教のアッラーでもあるし、中国では天帝にあたる存在です。
幸福実現党は、「自由、民主」に加え、あらゆる宗教が共通して祈る地球神への信仰を持つ国で、唯物論国家の中国・北朝鮮を包囲し、弾圧される人々を解放し、地上の地獄を終わらせたいと考えています。
トランプ氏が「Make America Pray Again」アメリカを「祈り」によって復活させ、宗教(キリスト教)の力を取り戻すことで再び偉大になることを目指しているように、日本も神仏に愛される国になれるよう、信仰心を取り戻さなければなりません。
精神的な高みを目指す国であってこそ、本当の世界のリーダー国へと変わっていけるのではないでしょうか。