中国が発表した最新地図にアジア諸国が一斉に反発――中国の赤い舌がアジアを飲み込む
幸福実現党党首 釈量子
◆中国が公表した「2023年版 標準地図」
8月28日、中国が「2023年版標準地図」を公表しました。
これに対して、国境を接するアジア諸国が一斉に非難の声を上げました。領有権を争っている海域や領土を、勝手に中国が自国の権益が及ぶところだという主張しているためです。
【参考】
中国発表の最新「標準地図」南シナ海ほぼ全域の管轄権など主張
2023年9月5日 NHK
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230905/k10014184581000.html
◆十段線とは?
この新地図で注目されているのが、10本の線「十段線」です。
日本のニュースでは、「2023年版標準地図」から「九段線」に10本目の点線が台湾を中国が囲うように東側に追加されたという報道もあります。
しかし、すでに中国は2014年6月発行の認可した 「公式地図」から、台湾東岸に破線が1本加わっており10本になっています。
私が実際に2013年に中国に行った時に購入した地図で、「2014年6月河北第五次印刷」とあります。
中国は、これまで「自国の主権が及ぶ」と主張する範囲を、南シナ海に赤い線で描き、これまで「九段線」と呼んできました。
形が牛の舌に似ていることから、「(中国の)赤い舌」とも呼ばれます。南シナ海全域を舐めるような形になっているからです。
◆国境とは違う「辺疆(へんきょう)」の概念
何故このような勝手なことができるのかというと、中国は「国境」という線を引いて守るというような概念ではなく、「辺疆」といって、国力が強くなれば風船のように周辺の国を飲み込み拡大することを国家戦略して考えているからです。
例えばウイグル人の住む東トルキスタンを「新疆ウイグル自治区」としています。
戦後、海洋調査が盛んになって海底資源が次々に発見されるようになると、中国は南シナ海が自分の国の領海だと主張し、浅瀬を埋め立てて「人工島」を造り、軍事基地に変えてしまいました。
これに対して、フィリピンは「国連海洋法条約」に基づいて2016年オランダ・ハーグにある「常設仲裁裁判所」に申し立てを行いました。
裁判所も「中国の一方的な領海の設定は国際法上において根拠がない」と裁定したのですが、中国は無視を決め込んできました。
◆アジア諸国が一斉に反発
今回の中国の新地図に対してもフィリピンをはじめ、多くのアジア諸国が反発しています。
【フィリピン】フィリピン外務省は、「地図を拒否する」として、2016年の仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)の裁定の順守を求めました。
【ベトナム】ベトナム外務省は「我が国の領有権を侵害し、国連海洋法条約に違反するもので無効だ」と中国に対する反発は強まっています。
【マレーシア】ボルネオ島(カリマンタン島)沖の自国の排他的経済水域(EEZ)と重なる水域が、中国領にされ、マレーシア外務省は、「中国の一方的な主張で、南シナ海における中国の主張を認めない」と反発。
アンワル首相は、「対話と協議を通じた平和的かつ合理的方法で管理されなければならない」と述べています。
【台湾】台湾外交部報道官の劉永健氏は、次のように反発しています。
「(台湾は)絶対に中華人民共和国の一部ではない。」「中国政府がいかに台湾の主権をめぐる立場を捻じ曲げようと、我々の国が存在するという客観的事実を変えることはできない。」
さらに、「台湾、中華民国は主権を有する独立国家であり、中華人民共和国に従属していない。」
「中華人民共和国が台湾を支配したことはない。これは一般的に認知されている事実であり、国際社会における現状である。」
【インド】内陸のヒマラヤ山脈にあるインド北東部のアルナチャルプラデシュ州も今回の新地図で中国領として記載されました。
ダライ・ラマ14世がチベットから亡命した際、辿り着いた街もありますが、中国はここを「南チベット」として領有権を主張しています。
インド外務省報道官のアリンダム・バグチ(Arindam Bagchi)氏は、「こうした主張には根拠がないため拒否する。中国側のこうした行為は、国境問題の解決を複雑にするだけだ」と強く抗議しています。
【日本】尖閣諸島の表記
松野官房長官は、尖閣諸島が「中国側の独自の主張に基づく表記がされている」として中国に抗議し、即時撤回を求めたことを明らかにしました。
しかし、中国は話し合って分かるような国ではないことは明白です。それなら日本は尖閣諸島の実効支配を強化すべきでしょう。
◆2027台湾危機?
いま、目と鼻の先まで迫って来ているのが「台湾」の危機です。
台湾の国防部は8月31日、2023年版の年次報告書で「習近平主席の三期目の任期中に、台湾問題を解決する過程を進める可能性がある」としました。
2022年10月22日に異例の3期目突入しましたが、5年の任期を終えるのが2027年です。
今年3月の全人代で「祖国統一のプロセスを揺るぎなく推進する」と発言して、改めて台湾統一に強い意欲を示しています。
アメリカのシンクタンクCSIS戦略国際問題研究所が、中国が台湾に侵攻した時、詳細なシミュレーションを行い160ページものレポートを発表しました。
その結果、「日本が米軍に協力しなければ中国が勝利する」と発表しています。
台湾が中国に飲み込まれるようなことになれば当然、同じ海域にある沖縄はもちろんのこと海上交通路を絶たれた日本は間違いなく独立を保つことができません。
さらに、イスラム諸国が中国側に回れば中国の全体主義的な価値観が世界を支配してしまうことになるでしょう。
今後、アメリカ、日本、イギリスなどの自由・民主、そして信仰心を持っている国と、中国の全体主義的な価値観との大きなせめぎ合いが、これから来ると考えております。
独裁者となった習近平主席も、ゼロコロナ政策の失敗や、党内の権力闘争が激化や経済の低迷で、国内でも激しい反発が広がっています。
私たち幸福実現党は、必ずこの中国的な価値観はひっくり返るものだと確信しながら、中国に対して自由・民主・信仰という価値観を打ち込んでいこうと考えております。
大川隆法総裁は、今年1月8日の『地獄の法(※)』講義において、次のように述べています。
「自由・民主・信仰の価値観」が、中国のほうでも奔流のように出てきて、なかが割れてくると思います。南部と北部、それからウイグル自治区、チベット自治区、内モンゴル自治区等に割れてくると思います。しばらく混沌が来るかもしれません。国自体は滅びませんけれども、今の一枚岩みたいな感じの国ではなくなるのが、これから来るものだと考えています。」
『史記』に、中国を統一した始皇帝が各地を巡遊中、洞庭湖の付近で揚子江を渡ろうとした時、洞庭湖の女神が吹かせる大風にあって、渡河できなかったことが記されています。
始皇帝、毛沢東、習近平の中国の専制主義、粛清、洗脳、そして人間を奴隷化するような苛烈な政治を行う為政者の船は、必ずひっくり返されるものだと信じます。
これからも中国に対して、幸福実現党は、「自由・民主・信仰」の風を吹かせていきたいと考えております。
(※)地獄の法 あなたの死後を決める「心の善悪」大川隆法著/幸福の科学出版
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=2888