Jアラート発令、北海道にミサイル着弾の恐れ?ウクライナ戦争の裏で進化する北朝鮮の核戦力【前編】
幸福実現党党首 釈量子
◆進歩を続けた北朝鮮の核戦力のいま
ウクライナの戦火が飛び火して、「世界大戦」に繋がりそうな危険地帯が浮き彫りになってきました。中東、台湾、そして朝鮮半島です。
北朝鮮がいつ韓国に雪崩れ込むか、また日本にミサイルが落ちるか分からない状況です。
特に4月13日に北朝鮮から発射された新型の固体燃料式ICBM「火星18号」は、「Jアラート」が発令され、北海道南西部への落下が予測されたことも分かりました。
陸地への落下が予想されたのは初めてのことで、函館や札幌の空が赤く染まっていた可能性もあります。
ただ、日本の政治家でも危機感はなく、ある野党幹部は「NHKの朝ドラが飛んでしまった」というような発言をなされていて、何が危険か分からないようです。
◆北朝鮮のミサイル発射の意図
北朝鮮の軍事的な動きを見ると、「何がしたいのか」がけっこう正直に見えてきます。今年に入ってから北朝鮮が発射したミサイルは以下です。
1月1日 超大型ロケット砲(短距離弾道ミサイル)1発を発射
2月18日 「火星15型」1発を発射
2月20日 超大型ロケット砲(SRBM)2発
2月23日 戦略巡航ミサイル「ファサル(矢)2型」4発を発射と主張(翌日発表)
3月9日 短距離弾道ミサイル6発(火力襲撃訓練)
3月12日 潜水艦から戦略巡航ミサイル2発を発射(翌日発表)
3月14日 短距離弾道弾2発を発射(地対地戦術ミサイル)
3月16日 「火星17型」1発を発射 北では最大。射程は1万5000キロ超。
3月19日 短距離弾道ミサイル1発を発射。変則的軌道の可能性
3月21日 中距離弾道ミサイル 射程800キロ
3月22日 戦略巡航ミサイル「ファサル(矢)2型」4発を日本海に向けて発射
3月21~23日 新型兵器「核無人水中攻撃艇ヘイル(津波)1」実験 日本海で実施
3月25~27日 〃再実施
3月27日 弾道ミサイル2発を発射
4月13日 「火星18型」1発を発射 初の固体燃料式の新型大陸間弾道ミサイル
今年は、正月から北朝鮮は勤勉なことにロケット砲の発射から始まり、「韓国全土」が射程に入っていることをアピールしています。
そして 3月16日の「火星17号」は、韓国の尹大統領が来日した当日に発射されました。射程は1万5000キロで、アメリカの心臓部である東海岸を狙えます。
「火星17号」の実戦配備には、大気圏への再突入技術を獲得する必要があるとされます。それができなくても、大気圏外で炸裂させるEMP(電磁パルス)攻撃で、電子機器がすべて使えなくなり社会機能は停止します。
アメリカが北朝鮮にEMP攻撃されたら、どうなるのでしょうか。
2021年6月に元CIAの核専門家ピーター・プライ博士が発表した報告書(※)がアメリカ議会の諮問機関でまとめられました。
(※)「北朝鮮: EMPの脅威 北朝鮮のEMP攻撃能力」North Korea: EMP Threat – North Korea’s Capabilities for Electromagnetic Pulse (EMP) Attack | EMP Shield)
「EMP攻撃でアメリカ国民3億2200万人が利用する通信インフラが破壊され、航空管制のシステムも被害を受け、航空機は次々に墜落、最大で50万人の乗客が死亡する可能性があるということです。
核爆発によって放射性物質が飛散し、農業、食糧供給が壊滅的な打撃を受け、国民の9割が1年以内に死亡する」と、警鐘が鳴らされました。
◆進歩する北朝鮮の核戦力
4月13日に発射した「火星18号」は液体燃料式ではなく固形燃料式で、「秘匿性」が高まっています。いつ、どこで発射されるのか分からなくなり、迎撃はさらに困難です。
ミサイルという運搬手段だけでなく、搭載する「核」の開発も着実に進めています。
金正恩委員長は3月27日に核施設を視察し、「威力ある核兵器の生産に拍車をかけよ」と檄を飛ばしました。この時の報道写真では、直径約50センチの小型核弾頭「火山31」が見られます。
北朝鮮は「戦術核」に力を入れており、日本など周辺国において実戦で使うことを念頭に小型核の開発が進んでいます。「Jアラートも鳴らない」うちに、日本に落とされる可能性が高くなります。
他にも放射能津波を起こす「核攻撃型水中ドローン」の実験に成功したと主張しています。
また、4月18日に、金正恩委員長が「国家宇宙開発局」を現地指導し、「軍事偵察衛星1号機の打ち上げを指示」したことも報じられ、ミサイルの精度は飛躍的に上がります。
もっとも、1月には、マッハ5以上の速度で飛行する「極超音速ミサイル」の実験もしています。こうなると迎撃は、無理です。
日本が手をこまねいている間に、北朝鮮の脅威は増大しました。
(後編につづく)