防衛費財源で大炎上!増税反対3つの理由。防衛産業を育成するには。【前編】
https://youtu.be/kX3z41Okz-k
(12月16日収録)
幸福実現党党首 釈量子
◆防衛費財源に増税?
防衛費増額の財源を巡って、議論が紛糾しています。
日本の防衛費は年間5.5兆円程度ですが、これを段階的に増やして、27年には11兆円にしていきます。5年間の総額は43兆円。これで目安としていたNATOと同じGDP2%となります。
12月8日に岸田首相が、5年後の2027年度以降、不足する1兆円を増税でまかなうと発表してから、防衛費の財源をどこから捻出するのか、議論は今も続いています。
自民党内からは、岸田首相の突然の増税指示に対して、「増税ではなく、国債の発行で対応すべきだ」という指摘が出ています。
さらに財源確保として法人税増税を検討していることについて、経済同友会の桜田代表幹事は、「企業が一生懸命賃上げを含めた人への投資、将来への設備投資に備えようとしている中、水を差す結果になるのは間違いない」と述べています。
◆増税前に政府の減量を行うべし
この件について、幸福実現党は、他党が言えない、言わない見解を申しげたいと思います。
(1)自民党の参院選公約に増税議論は無かった
まず一点目は、自民党の参院選公約に増税議論は無かった、ということです。
岸田首相は、今年5月にバイデン大統領に防衛費の「相当な増額」を約束して以降、明確な金額を示しませんでした。
今年夏の参院選でも「NATO防衛予算のGDP2%も念頭に」という曖昧な表現を使用していました。
今頃になって増税の議論を持ちだすことは、筋論として、正直ではありません。民主主義の信頼を守るためにも、ごまかしの政治ではなく、もっと正直な政治を行うべきだと思います。
(2)増税前に政府の減量を行うべし
二点目は、増税前に政府の減量を行い、無駄な税金を削ぎ落すことです。
2020年の税収は60.8兆円、2021年は67兆円と、2年連続で過去最高の税収がありました。
注目したいのは、2021年当初の予算段階では税収57.4兆円を見込んでおり、実際の2021年の税収は67兆円なので、約10兆円上振れています。
もし、税収の上振れ分を翌年以降に使えるように貯めておけば、防衛費財源にも充当できるはずです。
しかし、政府はそうした増収分も含めて、すぐに補正予算を組んで、新型コロナ対策などに大盤振る舞いでタガが外れてしまいました。
2021年度は当初予算と補正予算を合わせて140兆円を超えています。当然国債を大量発行して、収入の倍以上の支出を賄っている状況です。
それも、災害対策のようなものではなく、旅行に補助金を出すような使い方をしています。
また、政府与党からは「増税ではなく建設国債の発行で賄うべき」という声が上がっていますが、1400兆円にのぼる政府債務がある日本において、将来世代への大きな負担になるのは間違いがありません。
現時点でも、国民所得に占める税金と社会保険料を合わせた負担の割合を示す「国民負担率」は、20年前は36.5%でしたが、2022年時点で46.5%に増えています。
これに、国民が将来負担する政府の借金を加えた国民負担率は56.9%です。
この数字は、福祉国家で有名なスェーデンを上回っています。米国は40.7%なので、日本の国民負担率の高さが伺えます。
収入の半分以上を、政府に税金として持っていかれているという状況は、江戸時代の「五公五民」と同じで、もはや「一揆」が起きてもおかしくない状況です。
ちなみに、10月28日に岸田政権が発表した補正予算29.1兆円の「総合経済対策」ですが、政府は当初約25兆円を見込んでいました。
しかし、自民党が要求していた補正予算規模30兆円に満たないので、自民党内部の大反発にあい、その結果、岸田首相は僅か一晩で4兆円増額を決めてしまったのです。
このお金の感覚が、浪費体質、借金体質の象徴ともいえるのではないかと思います。このように自民党は支持率が下がるたびにバラマキを続けています。
そんな政治に、安易に「増税」や「国債発行」と言われたくないものです。私たちの子孫の世代につけを回すことは慎重に検討すべきだと思います。バラマキ政策は必ず増税を招きます。
私たちは政府がやらなくていい仕事を「減量」し、「小さな政府」を志向し、自由意思による努力の継続を応援して「勤勉革命」を実現すべきだと考えています。
具体的には、無駄な省庁を畳む。厚労省があるなら子ども家庭庁などいりません。デジタル庁もいりません。
(後編につづく)