【米国中間選挙2022】共和党勝利ならウクライナ軍事支援縮小か?【前編】
幸福実現党党首 釈量子
◆共和党ケビン・マッカーシーの発言
米国の中間選挙が11月8日に行われます。
最新の世論調査を見ると、共和党が下院で勝利するのはほぼ確実で、上院では共和党と民主党が拮抗しています。
米国のインフレがなかなか収まらず、バイデン政権に対する批判が強まるなか、共和党の勢いが増しているという状況です。
そんななか、共和党が下院を奪還すれば、来年1月には民主党のナンシー・ペロシ氏に代わって下院議長になるとされるのが、ケビン・マッカーシー氏です。
現在、共和党の院内総務を勤めており、共和党下院のトップにあたります。そしてこの方の発言が、注目を集めています。
マッカーシー氏は保守系オンラインニュースPunchbowl Newsからの取材を受け、次のように答えました。
「人々は現在リセッション、景気後退に直面している。そんな中、人々はウクライナに白紙委任状(の小切手)を出すことはないだろう。」
これは、バイデン政権によるウクライナ支援を批判するもので、米国民の税金を使っている以上、無制限にウクライナに支援することはできないということです。
◆マッカーシーの発言を正当化する三つの理由
共和党の中にはマッカーシー氏と同じく「ウクライナ支援はもっと慎重であるべきだ」という考え方が根強くあります。
アメリカの世論調査によると、ウクライナを支援する義務が米国にはあると信じている共和党支持者はわずか 29%。
民主党員は 56%いますが 、無所属は 38% にとどまります。
こうした世論を受けて、マッカーシー氏は発言をしているわけですが、米国の保守系メディア「Washington Examiner」の社説を紹介したいと思います。
社説のタイトルは「ケビン・マッカーシーのウクライナ支援のスタンスを正当化する3つの理由」です。
マッカーシー氏はじめ共和党を後押しするアメリカ世論を理解することにもつながると思います。
(1)米国に比べてEUの負担が少ない
一点目の理由は、米国に比べてEUの負担が少ない、というものです。
10月3日時点で、武器や装備品の軍事援助、人道支援、食料や医薬品の支援、財政面の支援は、米国の支援額が圧倒的に大きく、523億ユーロ、日本円で7兆6千億円となっています。
二番目が、EU連合、三番目が英国、四番目がドイツ、五番目がカナダです。
社説では、「EU加盟国全体のGDPは米国の約9割あるはずなのに、負担割合が小さ過ぎるのではないか。EUは米国に頼り過ぎで、悪く言えば、EUのタダ乗りではないか」という問題提起をしています。
つまり、米国民の税金を使って、EUの防衛予算を穴埋めしているのはおかしいじゃないか、という意見です。
例えば、少なくともGDP比で、米国と同じくらいのウクライナ支援金を負担すべきではないのか、ということです。
これは、別の見方をすると、バイデン政権は必要以上にウクライナに肩入れしているのではないか、という意見にもつながっていきます。
国会議員の仕事として「国民の血税を無駄にしない」というのは大事な仕事なので、こういう議論が出てくるのは健全なことだと思います。
(後編につづく)