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GX(グリーン・トランスフォーメーション)で日本壊滅。中国だけが得する驚愕の中身とは?【前編】

https://youtu.be/usNSYF8TXcU

幸福実現党党首 釈量子

◆GXとは何か

今回は、現在、政府が進めるGX(グリーン・トランスフォーメーション)戦略について考えて参ります。

7月27日、政府は岸田総理を議長とする「GX実行会議」の初会合を開き、GX実行推進担当大臣として、萩生田光一経済産業相を担当大臣に任命する人事も発表されました。

「GX」とは、2020年10月の臨時国会で「脱炭素社会の実現を目指す」と宣言して以降、市場で注目を集めるようになった言葉です。

2050年までの脱炭素、カーボンニュートラルの実現に向けて、温室効果ガスの排出につながる化石燃料などの使用を、再生可能エネルギーなどに転換することで、社会の変革を目指すと理解されています。

世界が脱炭素に向かう流れは避けられないと考え、政府や経団連は、CO2を減らすことを成長の機会ととらえて、官民連携で成長戦略の柱にしようとしています。

このGXは、岸田政権が目指す「新しい資本主義」の目玉政策にもなっています。

しかし、脱炭素には莫大なコストがかかります。政府が言うように産業構造を根底から作り変えれば、自動車はじめ製造業の方々は失業するのではないかと戦々恐々としています。

基幹産業を潰し、新たな雇用を生み出すことができるのかは切実な問題です。

◆増税につながるGX

岸田政権は、GXの実現には、今後10年間で官民合わせて150兆円規模の投資が必要としています。これはGDPの3分の1弱くらいですので、かなり大規模になります。

政府は20兆円の資金を財源に、「GX経済移行債」、いわゆる「GX国債」を発行するとしています。

日本には既に1200兆円を超える政府の借金があるのに、さらに新しい国債を発行しようとしているわけです。

GX実行会議のメンバーの一人、経済学者・伊藤元重東大名誉教授は、民間企業の投資を引き出す「呼び水」として、「GX国債を発行した分は増税などで償還する仕組みをつくる」と述べています。

民間投資を引き出す「呼び水」というのは、官民連携の際に公的支出を正当化する、いわば政府の「決まり文句」です。

脱炭素が本当に経済成長につながるなら、公的支出などなくても、民間企業は勝手に投資してどんどん脱炭素が進むはずです。

しかし、おそらく脱炭素に130兆円もの民間投資を引き出すことは不可能で、「GX国債」を追加で発行して、政府債務がさらに膨らむことになりかねません。

当然、債務を返していくために、「GX実行会議」でも、いわゆる「大型炭素税」の導入も議論に上がっていました。

炭素税というのは、その名の通り、石炭・石油・天然ガス等の化石燃料にCO2の含有量に応じて払わされる税金です。

現在でも、「炭素税」に当たる税金は存在します。化石燃料に石油石炭税が課税されており、その中に炭素税に当たる「地球温暖化対策のための税」、いわゆる「温対税」が平成24年10月1日から導入されています。

1トンのCO2あたり289円、税収約2,600億円の規模です。このほかに、自動車の燃料には揮発油税が課税されています。課税規模は約2.1兆円です。

こうした「炭素税」に加え、化石燃料などに対する税金がさらに上積みになることになります。

このように課税が増えていけば、電気料金の高騰はもちろんのこと、鉄鋼、セメント、石油化学、自動車など、日本の製造業の全てにそのコストが重くのしかかり、日本の製造業を直撃します。

政府は「GX国債」を呼び水にして、経済成長を期待しているようですが、こんなに高コストでは日本の製造業は海外に移転してしまい雇用も失われ、日本経済は崩壊してしまいます。

インフレで生活必需品等、物価が高騰し、さらに生活がより厳しくなるのは避けられません。

(後編につづく)

釈 量子

執筆者:釈 量子

幸福実現党党首

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