「反撃能力」では日本は守れない。自前の核保有こそ「最大の抑止力」【前編】
幸福実現党党首 釈量子
今回は、国際情勢が緊迫している中において、どのように日本を守っていけばよいのか考えてまいります。
◆時代遅れの「反撃能力」
ロシア・ウクライナ戦争を受けて、岸田政権が対露制裁に踏み切って以降、日本は、中国、ロシア、北朝鮮の「三正面の脅威」に備えなければいけなくなりました。
しかもこの3か国は核保有国です。
自民党の安全保障調査会は、4月下旬に、「敵基地攻撃能力」という名称を、「反撃能力」という呼び名に変えました。
この「敵基地攻撃能力」という概念は、1956年の鳩山一郎内閣が示したもので、幸福実現党も2009年の立党時に、北朝鮮のミサイルの脅威を念頭に「敵基地攻撃能力」を訴えました。
しかし、それは当時の北朝鮮のミサイルが液体燃料を使い、燃料注入で明らかに発射の兆候が分かるのに、これを放置するのはあり得ないという主張でした。
しかし今や北朝鮮のミサイルは固形燃料を使い、さらにトンネルからの発射や、潜水艦からの発射にも成功したと言われています。
非公表ではありますが、弾道ミサイル基地は20か所もあるとされます。つまり、発射の兆候が極めて読みにくくなり、さらに脅威も増しているのです。
こうした状況で「反撃能力」といっても、もはや時代遅れです。
中国については、米国科学者連盟の分析によれば、地下の弾道ミサイルサイロが300、移動式発射台が100以上あると推計されています。
こうしたミサイル基地を全て叩くことなど、ほぼ不可能です。逆に、中途半端な反撃をすれば、核の報復を受けることになりかねません。
「反撃能力」を持つこと自体に反対する野党は論外ですが、現在の「反撃能力」の議論には、どうも具体性が欠けています。
「憲法や法律の範囲内で何がやれるか」ではなく、「国を守るために本当に必要な防衛力とは何か」をタブーなく考える時が来ているのではないでしょうか。
◆日本を守るために必要な戦力とは
では、三か国の脅威から日本を守るためには何が必要になるでしょうか。まず重要なことは、通常兵器で敵基地を攻撃するのは限界があると知ることです。
具体的には、核兵器によるEMP攻撃(電磁パルス攻撃)ができる状況を整える必要があります。
電磁パルス攻撃とは、高層大気圏で核爆発を起こして強力な電磁波(ガンマ線など)を発生させ、電子機器に過負荷をかけて誤作動させたり破壊したりすることを目的とした攻撃のことです。
人体には直接的な影響はないものの、飛行機や電力網、通信網、衛星通信を麻痺させ、電気制御された水道やガスのインフラなどを止め、相手国のミサイル発射能力などの攻撃力を大方奪うことができます。
何百発とあるミサイルのサイトをすべて通常兵器で叩くことは不可能であり、もし通常兵器で叩けば、当然、全面的な反撃を受ける可能性があります。
ですから、一瞬で大半の攻撃力を奪う方法を備えておく必要があるわけです。
そのうえで、日本が海軍基地などをミサイルで叩き、アメリカが日本近海に来援できる状況をつくります。アメリカの打撃力で中国奥地にあるICBM基地などを破壊することで、中国の攻撃力を無力化するのです。
それでもどうしても叩き損ねる基地や兵器が出てくるので、万が一に備えて、電磁波バリアをはりめぐらせ、迎撃システムや避難シェルターも備えておく必要があります。
こうした戦力を備えるためには、当然のことながら、防衛予算が必要です。自民党は5年以内に倍増すると言っていますが、遅すぎます。
今すぐ倍増すべきですし、倍増した予算はアメリカの兵器購入に使うのではなく、今、述べたようなミサイルや電磁バリアなど、国産の兵器開発に投じるべきです。
幸福実現党は2009年から防衛産業の育成を訴えてきました。もちろん、13年前から防衛産業に力を入れていたらよかったのですが、今ならまだギリギリ間に合います。
さらに、相手国の指揮命令系統を混乱・麻痺させるためのサイバー攻撃ができるよう部隊の整備も必要ですので、こうした人材養成にも予算を付ける必要があります。
ですから、経済発展に資さないバラマキ予算に使っている場合ではないのです。このように他国の攻撃を想定した備えをしておくことは大事です。
(後編につづく)