日米首脳会談の陰に隠れたウクライナ支援――世界から金づるにされる日本【前編】
幸福実現党党首 釈量子
◆あくまでウクライナを支援する日米
5月23日、東京で日米首脳会談が行われました。
その後の記者会見では、日本の国連安保理への常任理事国入りに対するアメリカの支持や、日本の国防費増強のアメリカの支持、台湾防衛へのアメリカの軍事的関与、インド太平洋経済枠組み(IPEF)の創設などが表明されました。
また、日米共同声明では「当面の最大の脅威は、ロシアによるウクライナに対する残虐でいわれのない不当な侵略であるとの見解で一致した」などと述べられ、ウクライナ戦争について日米が結束するという方針が示されました。(※1)
日本は5月19日に、岸田首相がウクライナに対する3億ドルの追加融資を発表し、日本の累計のウクライナの融資額が6億ドルになることが分かっていますが、今回の声明を見ればその支援は更に続くでしょう。
一方アメリカは、バイデン大統領のアジア訪問の裏で、ウクライナに対するおよそ400億ドルもの巨額な支援を行う法律を議会で可決しています。(※2)
アメリカもコロナパンデミックを契機に巨額な財政出動をした結果、財政赤字が積み上がっており、羽振りよくウクライナ支援はできないのが現実です。
◆「金づる日本」
ここで懸念されるのは、日本が世界で金づるになっているのではないかという状況です。
5月11日にフィンランドのサンナ・マリン氏が、岸田首相に支援を求めに来日しました。これは異常事態であり、世界から見た日本はまさに「花咲かジイサン」のようで、気前よく、カネをバラまいてくれるものだと認識し始めているのです。
現時点でのウクライナの支援金はまだまだ序の口で、どんどん日本から搾り取るべく、支援を迫ってくることでしょう。
20日付のブルームバーグの記事では「ドイツのエルマウで6月26-28日に開催されるG7首脳会議では、より規模が大きい支援パッケージが承認される可能性もある」と報じています。(※3)
ですから、6月末の本丸であるG7首脳会談に向けて、今回の首脳会談では、今後、特に話題になるであろうウクライナ復興支援について話し合われた可能性があります。
◆復興支援を世界に求めるゼレンスキー
日経の5月20日の記事では、復興プランは現代の「マーシャルプラン」だと指摘しています。マーシャルプランは第2次世界大戦後のアメリカによるヨーロッパ復興支援です。
イエレン米財務長官は会議前に開かれた講演で「1945年以降の欧州復興の作業に匹敵する多額の支援と民間投資がいずれ必要になる」と述べました。(※4)
5月3日付のウォール・ストリート・ジャーナルは「ウクライナの経済とインフラの再建には、およそ6000億ドルがかかる」とゼレンスキー大統領が述べたことを報道しています。(※5)
お金が無いウクライナはこの莫大な復興費用をG7に負担させるべく、500億ドルの財政支援を求めましたが、その根拠は今後6ヵ月で月80億ドルの赤字が生まれるからだと4月17日付のポリティコで報じられています。(※6)
さらに、G7の中で特に目をつけられるのは経済大国の日本やドイツである可能性は高いでしょう。
(後編につづく)
(※1)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/na/na1/us/shin4_000018.html
(※2)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220522/k10013637551000.html
(※3)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-05-20/RC6LVXT0G1KZ01
(※4)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB167190W2A510C2000000/
(※5)
https://www.wsj.com/livecoverage/russia-ukraine-latest-news-2022-05-03/card/zelensky-estimates-cost-of-rebuilding-ukraine-at-600-billion-oP04eAen6xsQHqiJK8rE
(※6)
https://www.politico.com/news/2022/04/18/ukraine-50-billion-aid-package-00026032