倫理観に国家が介入「パワハラ防止法」ハラスメントで裁判沙汰も【後編】
幸福実現党党首 釈量子
◆政府の強権が若者のためになるのか
安倍政権以降、自民党は「パワハラ防止法」を初め、日本人の特に若者の雇用環境を改善するため、「働き方改革」を進め、その関連法も制定してきました。
その結果、確かに長時間労働が減り、離職率も数パーセント下がりました。
パワハラ防止の取り組みも着実に進んでいるようで、「リクルートワークス研究所」の調査によれば、4人に1人が新入社員期に職場の上司・先輩から叱責される機会が一度もありませんでした。
20年前は10人に1人だったということですので、ある意味で改革の効果が出ていると言えます。
◆「何が社会人として正しいことなのか」を学ぶことの大切さ
問題は、「それが本当に若者のためになっているのか」ということです。
同調査を見てみると、4人に3人以上の今の若者が「不安だ」とストレスを感じています。
これは2000年代と比べると増加しています。
「ゆるい職場」でそれなりに上手くやれているけれども、このままで本当に大丈夫だろうかという不安感からきているようです。
結局、「働き方改革」で経営者側も委縮してしまって、言うべきことが言えない状況が浮かび上がってくるわけです。
若いうちに「何が社会人として正しいことなのか」を指導されないことは、間違いなく若者のためにならないでしょう。
若い世代にとっては、会社が快適でも、それが本人のためかどうかと、経営者が「従業員の生活や未来に対する責任感を持っているかどうか」は別のものです。
◆仕事は命をかけてやるだけの値打ちがある
大川隆法党総裁は経営者向けの書籍『経営戦略の転換点』で、次のように指摘しています。
・ブラック企業として批判を受けたら、「これは『黒字企業』という意味だな」と思って、「ええ、そのとおりです。うちはブラックです。もう黒字がずっと続いております。『黒字企業』のことを『ブラック企業』というのでしょう?うちはレッド(赤字)企業ではありません。ブラックです。黒字です。」とい言うぐらい、開き直らなくては駄目です。
・長い目で見たら、自分を鍛え上げ、社会の公器、公の器に変えてくれる企業が、本当は、自分をつくってくれ、世の中の役に立つ人間に変えてくれるのだ」と期待しているところもあるのです。
(引用おわり)
ブラック企業と批判されるところに比べて、「自分の会社はすごいホワイトでいいなあ」と思っていても、不況の風で潰れてしまうこともあります。
「仕事をしたい」という気持ちは人間の天分であり、「神様が創造の喜びとして仕事というものを与えたのだ」と言えるし、仕事は命をかけてやるだけの値打ちがあるものです。
◆富を創るために必要な勤勉の精神
岸田総理が「新しい資本主義実現会議」を行っていますが、資本主義には「勤勉の精神」が密接に係わっています。
道徳を語れる企業人が困難に打ち克ち新しい産業群を次々と立ち上げてきました。
日本が誇る大企業の1つであるホンダの創業者、本田宗一郎氏も「1日は24時間ある。1日8時間と考えれば3日かかるが、24時間なら1日でできる」と言っていました。
また、トヨタや松下電器も、創業して一代で大きくなった会社で、今の定義でいう「ブラックな面」がなかったとはいえないと思います。
こうした、勤勉の精神で富を創っていく企業があったからこそ、日本の経済は焼け野原から立ち上がってきたところはあります。
◆減量すべき「パワハラ防止法」
では、企業は従業員に何をやっても許されるのかと言えばそんなことはありません。
人権侵害レベルの行為を止める防波堤になるのは、実は「信仰心」です。
経営者が、神様、仏様の目から見て間違いが無いかどうか、「脚下照顧」していれば、何が正しいかを判断できるし、そこから「徳」というものが生まれてきます。
制度をいじって、魂をなくしていくような国の制度が、資本主義の精神を傷つけ、日本の生き方や考え方を台無しにしていくなら、問題だと思います。
幸福実現党は、政府が企業の仕事を簡単に増やしたり、倫理観に口を挟むような「パワハラ防止法」などは「減量」していくべき法律だと考えます。