毛沢東「一つの中国」要求で裏切らなかった米国、見捨てた日本【後編】
幸福実現党外務局長 及川幸久
◆台湾を裏切った日中国交回復
前編では、米中国交正常化にあたり、7年間かけて「台湾関係法」として台湾との関係をつくったことを述べました。
では、日本はどうだったのでしょうか。アメリカと比較してみます。
日本では、田中角栄がニクソン訪中の7か月後の1972年9月に訪中しました。台湾との関係についても、毛沢東からアメリカと同じ要求をされます。
「中国と国交回復は結構です。そのためには条件がある。台湾と断交してください。一つの中国を受け入れてください」と。
アメリカは断固拒否しました。そして7年間かけて「台湾関係法」を考えたわけです。しかし、日本は台湾との国交断絶をあっさりと承知しました。
ですから日中国交回復は1972年です。アメリカはその7年後です。日中国交回復の本質は、日本の台湾に対する裏切りです。
日本は台湾に対する裏切りと同時に、アメリカより先に日本企業が巨大な中国市場への進出を勝ち取りました。
このようにアメリカと日本の対中国の姿勢は全然違っていたのです。
◆さらに台湾を守る法律をつくったアメリカ
それから約40年経って2018年、トランプ政権の時にアメリカはさらに重要な法律をつくりました。
それが「台湾旅行法」で、アメリカと台湾の政府高官が相互に自由に行き来して会談ができる法律です。
その後、実際に台湾とアメリカの政府高官の会談が始まりました。
2020年8月、トランプ政権の時のエイザー厚生長官が、ちょうどパンデミックに対し世界で最も成功した台湾に出向きました。
同年9月には、外交関係やっているのが国務省ですが、一番最高位のクラック米国務次官が台湾を訪問しました。
ここから議会の議員が台湾に行くようになっています。
昨年21年6月、アメリカ上院議員団の訪問を皮切りに3回ぐらい行われていますが、同年11月にはアメリカの下院議員団が台湾を訪れて蔡英文総統との会談をやっています。
そういう流れができると、今度はヨーロッパの国々が台湾に行くようになりました。21年8月には、チェコの議員団が台湾を訪問し、代表が台湾議会で演説をしました。
その後もバルト三国のリトアニアが台湾を応援し、それによって中国から圧力を受けています。
それがきっかけとなって、11月にリトアニアをはじめバルト三国の議員団が台湾に訪問しています。その後にはヨーロッパ議会の議員団が台湾に行っているのです。
このようにアメリカが「台湾旅行法」をつくったら、怒涛のごとくアメリカやヨーロッパの政府、議員が台湾に行っています。
そして、アメリカはもう一つ台湾関係で重要な法律である、「アジア再保証イニシアティブ法」をつくっています。2018年の末にトランプ大統領が署名してできた法律です。
その中身はインド太平洋地域における台湾の重要性を再確認し、台湾への防衛装備品の売却をさらに一層推進すべきだという内容です。
以上をまとめると1979年に「台湾関係法」、2018年には「台湾旅行法」、アジア再保証イニシアティブ法」と、3つの重要な法律をつくって、アメリカは台湾を守ろうとしているわけです。
そんな中で、日本が台湾のために何をしてきたでしょうか。
◆台湾に対して日本がなすべきこと
日本がやったのは50年前に、日中国交回復で大騒ぎしたわけですが、その一方で台湾を切り捨て何もしてきませんでした。
中国が世界中から批判されているときに、今年は日中国交回復50周年だと言って日本はお祝いをするのでしょうか。
そうではなくて今日本がやるべきことは、遅まきながら日本版「台湾関係法」を日本がつくるべきではないでしょうか。
もちろんこれをつくるとなったら中国は激怒するでしょう。中国大陸に進出している日本企業がボイコット運動を受けたりするかもしれません。
それを恐れて、中国の顔色を伺って台湾を無視し続けるのでしょうか。やっぱりアメリカの動きをあらためて日本が学ばなければならないものがあると思うのです。
幸福実現党としては、日本版「台湾関係法」をまずは国会の中で議論すべきであると提案いたします。
執筆者:及川幸久