北朝鮮の極超音速ミサイルが日本に落ちたらどうなる?日本の国防は大丈夫?【後編】
幸福実現党党首 釈量子
◆極超音速ミサイルの実験に失敗した米国
一方これに対して米国は、極超音速ミサイルの実験に2021年段階で失敗し、大きく出遅れてしまいました。
極超音速ミサイルは、極超音速に加速すると、空気とミサイルが摩擦を起こし、1000度以上の高温に達することで、電子機器が壊れ、ミサイルのコントロールが効かなくなる点などが、開発を困難にしています。
しかし、中国がどうやって、それを克服したのかは謎となっています。
いずれにしても、日本のミサイル防衛を根本から揺るがす事態が起きていることだけは間違いありません。
◆「敵基地攻撃能力」は憲法違反ではない
こうした事態を受けて、国会でも既に議論が交わされているのが「敵基地攻撃能力」です。
考え方は非常にシンプルで、ミサイルを迎撃できないなら、発射前にミサイルを打てないように敵基地を攻撃するしかない、ということです。
ちなみに、敵基地攻撃能力を持ったとしても直ちに憲法違反にはならず、必要最小限度の範囲であれば自衛手段として認められております。
これは日本だけの考え方ではなく、例えば、米国の国家安全保障戦略には「ミサイル防衛には敵基地攻撃能力も含む」と明記されています。
◆中途半端な敵基地攻撃能力は最も危険!?
岸田首相は昨今の情勢を鑑みて、敵基地攻撃能力の必要性を訴え、国会において論戦が行われています。
ただ、「敵基地」といっても、北朝鮮が配備する弾道ミサイルは全て「車載移動式」であるため、攻撃したところで「もぬけの殻」という状況になってしまいます。
そのため防衛省では、ドローンの活用や、人工衛星によって電波を特定して攻撃することを考えていますが、叩く手段はなく、叩き漏らしたときの抑止力もありません。
最大の課題は、中途半端な敵基地攻撃能力を持つことで、かえって「核兵器」による反撃を招きかねないということです。
となると結局、核兵器に対しては、核で抑止力を持つことが不可欠であり、相手に攻撃を思いとどまらせるためには、本来は核保有について議論されなくてはならないはずです。
◆新たな抑止力と防衛体制のかたち
もっとも、地上に落とす広島・長崎型ではなく、電磁パルス(EMP)のように、パンと上空で爆発させることで電子機器を使えなくさせ、都市機能を麻痺させることを目的にするものでいいわけです。
日本を攻撃することによって、逆に「受け入れがたい被害」が敵国に生じるのであれば、これが十分に抑止力となります。
更に「ミサイルに対してミサイルで撃ち落とす」のではなく、日本独自の考え方として、電子戦と電磁波兵器による「電磁バリア」を築くべきだという指摘もあります。
例えば、言論チャンネルに多数ご出演頂いております用田和仁氏(元陸上自衛隊・西部方面総監)は、電磁波兵器がミサイルやドローンに内蔵されている電子機器を破壊すると提言しており、課題である電源の開発を急ぐために、早急に予算をつけるべきだと強く訴えていらっしゃいます。
◆小手先の改革では何も変わらない
以上の通り、北朝鮮のミサイルと核について考えてきましたが、政府はいまだに「遺憾です」としか言えておりません。
また、未だに「二枚舌」というか、防衛白書を一つとってみても、北朝鮮については明確に「脅威」と書きながら、中国については、あくまで「懸念」という表現にとどまっています。(令和3年版『防衛白書』)
しかし、北朝鮮よりも中国の方が明らかに軍事力は強大ですし、実際の自衛隊の配置も、中国を想定して、沖縄・南西諸島方面の防衛を強化しています。
コロナウィルスも「生物兵器」であると我々は考えており、「もう戦争は始まっている」という認識が必要だと考えます。
小手先の改革ではなく、国を護るということで、バシッと一本、精神棒を入れる必要があるのではないでしょうか。
◆「自由・民主・信仰」に基づいた国家戦略を!
世界の正義と平和を構築するために、国家の基本原則として「自由・民主・信仰」という価値観が政治の基盤に必要だと考えます。
バイデン大統領が「民主主義国家 対 専制国家」といってロシアを中国に接近させてしまっていますが、プーチン大統領は元来、敬虔なロシア正教会の信仰者として、強い信仰心をお持ちです。
「自由・民主・信仰」を原則とする国々が手を結ぶべきです。
なぜなら、神を信じない国は、中国と北朝鮮ぐらいで、大抵の国は「信教の自由」を認めており、信仰を持たない国の独裁者に「遺憾です」といっても通じませんが、「神仏への信仰心を持つ国家 対 無神論・唯物論国家」の対立軸を構築できれば、勝てる可能性が出てくるのです。
また、「人権」「法の支配」という言葉もありますが、政治の上位概念にある「神への信仰」を認めなければ、その根拠というものは極めて甘いものになります。
北京五輪への外交的ボイコットや、ウイグルジェノサイドへの非難決議もできず、国防体制の構築もなかなか進みませんが、これは日本に精神的な柱が立っていないために、善悪の判別ができないことと無関係ではありません。
こうした観点から、日本の外交戦略を根本的に組み直し、国防も強化していくべきであると考えます。
日本は「武士道の国」として甦る必要があるのではないでしょうか。