過去最大規模の補正予算36兆円――今、求められる政府の仕事とは?【前編】
https://youtu.be/bNSrKLa0m54
(12月9日収録)
幸福実現党党首 釈量子
◆「例外中の例外」が常態化する日本の財政状況
12月6日、岸田首相は、過去最大規模の補正予算の成立に向けて、臨時国会に臨みました。
所信表明演説の冒頭では「屋根を修理するなら、日が照っているうちに限る」というケネディ大統領の言葉を引いて、コロナ対策や経済回復に向け、一日でも早く手を打たないといけないということを、訴えておられました。
また「コロナ克服・新時代開拓のための経済対策」と銘打ち、総額55.7兆円の財政支出を計画しており、この額は、過去最大規模となります。
だいたい、日本政府の税収が60兆円くらいなので、今回の補正予算は、来年度の予算分を先食いするようなものです。
財務省が、財政の赤字拡大は止まらないことを「ワニの口」に例えて、入ってくるお金(歳入)よりも、はるかに多くのお金を使っていた(歳出)わけですが、コロナ禍で天井をぶち抜くような予算を組んでおりますので、もはやワニのあごが外れそうな状況です。
2021年度は、昨年のとびぬけた一般会計歳出147.9兆円から、一気に元に戻して、106.6兆円の予定でしたが、今回の補正予算によって、142.6兆円とほぼ横ばいとなりました。
また、国債発行額も、当初予定の43.6兆円が、65.7兆円に跳ね上がっています。
コロナ禍で「例外中の例外」のはずが、気が付いたら今年もで、これが常態化すると「気は確かか?」と財務次官が造反論文を書きたくなるのも、分からなくないような、極めて恐ろしい状態です。
◆債務拡大の先に待ち受ける増税の未来
一方、こうした過去最大規模の予算と聞いて、「頼もしい!」と思う日本人がいるのも事実ですが、既に日本の財政赤字は1200兆円もあります。
こういうと「いや大丈夫だ。日本政府は金融資産があるし、世界一の対外純資産もある。国債は円建てだし、家計の金融資産も1900兆円を超えているから平気だ」と言う方もいます。
しかし、債務がここまで天文学的な数字となり、これから高齢化が進行すれば、家計の資産も取り崩す一方となるわけです。
これでひとたび信用不安が起きたら、国債が暴落する可能性は十分あるわけですが、そうならないよう、政府は増税の準備に余念がありません。
例えば、預貯金口座とマイナンバーを紐づけて、給付金受け取り用で政府のオンラインシステムに登録すれば「7500円分のポイントが付きますよ」と言っています。
逆にマイナンバーは増税のインフラとなり、ザックリ持っていかれるのも時間の問題でしょう。
そこで「もう、いい加減にしてくれ!」と考える皆さま方と共に、今回の補正予算に関して「無駄づかい」を少し指摘させて頂こうと思います。
◆バラマキは「票の買収」
まず、筆頭に挙げられるのが「バラマキ」です。
公明党肝煎りの公約だった「18歳以下の子どもへの10万円給付」ですが、約2兆円、消費税1%分の税収が使われることになります。
当初は「10万円の給付のうち、半分の5万円をクーポンで」と言っていましたが、クーポンだと現金給付に比べて900億円を超える莫大な事務費がかかることが判明し、ここに批判が噴出、現在は「全額現金給付」の方向になっています。
これに関して、一般的には「なぜ18歳以下なのか。なぜ10万円なのか、大人も配れ」だとか、保守言論人の中には「ドケチだ」と批判する方もいましたが、私たちはそもそも、政治が恣意的に対象を選び、現金を懐に入れるのは、もはや「下の下」、政策ではなく、ズバリ「票の買収」だと考えます。
何より、働かないでお金が手に入るようになると、必ずまたもらえないかと思うもので、結果的に国民の働く意欲を奪ってしまいます。
「施しは愛ではない」ということを考えれば、バラマキは本当に最低なことかもしれません。
また、無駄遣いという意味では「時短要請に応じた飲食店等への協力金等」に約6.5兆円もムダです。
そもそも時短要請をしなければかからないお金ですし、世界的に見ても、ロックダウンの効果を疑問視する人はたくさんいるので、そろそろやめてはどうかと思います。
◆コロナ対策の中にある大きな無駄づかいとは?
コロナ対策費も、感染症拡大防止に18.6兆円の予算を組んでおり、うち2兆円以上が、新型コロナ用の病床確保などに使われます。
しかし、夏の流行では、補助金をもらいながら、コロナ患者を受け入れない、いわゆる「幽霊病床」が問題となりました。
菅政権では、病院がコロナ患者のためにベットを空ければ、ICUの場合、1床あたり1日最大43万円以上、普通の病床でも1日最大7万円以上がもらえる仕組みを作っていました。
「幽霊病床」対策として、岸田政権は病床使用率を調べ、一定基準よりコロナ向けにベットが使われていなければ、補助額を「3割減らす」と決めました。
では「なぜ3割減か?」といえば、これズバリ適当ということかと思います。
そもそも日本は病院のベット数は世界一であるにもかかわらず、莫大な税金をつぎ込まなくてはいけないというのは、本当にバカバカしい話です。
(後編につづく)