太陽光パネルの乱開発で進む国土破壊と経済崩壊【後編】
幸福実現党党首 釈量子
◆メガソーラー乱開発の実態
皆様の地元でも、知らないうちに驚くような乱開発が進んでいる可能性もあります。
例えば、幸福実現党の高橋敬子・岩手県紫波町議は、7月3日の熱海市の土砂災害をきっかけに、町内5か所のメガソーラーに足を運び、防災マップと照らし合わせながら危険個所を確認し、9月議会で取り上げました。
高橋議員によると5か所のうち4つが、いずれも急峻な山肌に設置され、除草剤に撒かれているのか赤土の表土が露出、法面は何の処理も施されておらず、側溝もないので雨が降れば土砂を伴った水が流れ出たる状態でした。
特に一か所は「土砂災害特別警戒区域」の極めて近くに隣接し、非常に危険な状態で、行政に対応を求めました。なお、発電事業者には中国系企業もあったということです。
茨城県笠間市のように、東京ドーム4.7個分の土地の山林がダイナマイトで粉砕されて丸裸になり、住民が慌てて反対の声を上げたものの工事が強行された事例もあり、こちらも中国企業がらみでした。
長崎県佐世保市のように、地元議員と悪徳業者がグルになり、地元市議がメガソーラー建設の許認可権限を持つ市長に現金100万円を送ろうとして贈賄罪で逮捕されています。
◆日本企業を縛る「グレタ教」
今はFITにおける太陽光発電の調達価格は2017年度から入札で決められており、事業者が導入当初のように法外な利益を得ることは難しくなっています。
しかし、メガソーラーの開発が進むもう一つの大きな理由は、欧米の政府、NGO、グローバル金融機関などが日本に持ち込んだグリーンな価値基準によって、日本の企業が再エネを購入しないと事業活動ができなくなっていることにあります。
日本の法律で義務化されているわけではないのに、いわば「グレタ教」に従わないと事業活動ができなくなりつつあるという、非常に深刻な問題があるのです。
例えば、「RE100」という、イギリスのNPOが提唱する「全ての電気を再エネに変えよう」という活動があります。
これに加盟している日本企業は使用する電気を全て再エネにしなければならないため、火力・再エネ・原子力が混ざった通常の電気を買うことができません。
価格が高くても再エネだけを選んだメニューから購入します。
また、欧米のグローバル金融機関は、「グレタ教」に基づいて、石炭を使う事業からは投融資を引き揚げ、再エネには金利を優遇してお金を貸し付けたりしています。
最近では日本のメガバンクも欧米と同じ価値観で投融資を行っており、日本の企業はこれに従わないと資金調達ができません。このため、少し高くても再エネを調達することになります。
最近ではグローバルなアクティビスト投資家、つまり「ものを言う株主」が、日本の企業が気候変動対策に努力しているかどうかを監視し、努力が足りないと認めれば経営方針を変えるように議決権を行使しています。
企業は詳細な情報開示を求められ、再エネの購入にどれだけ努力をしたかといった、「気候変動対策への貢献度」を測られ、それによって格付けをされています。
このように、現在の日本の企業は欧米の企業と同様に、「気候変動対策」に否応なく巻き込まれ、監視され、その努力が足りなければ糾弾されるという、過去にはなかった重大な問題に直面しています。
このようにグローバリズムと「グレタ教」が席巻する中で企業が生き残るために、経営者は気候変動問題へのコミットを高らかに宣言し、そのためのコストを払わなければならないのです。
そのような中で、企業は再エネの購入や投資を増やさざるを得ないのですが、水力などは開発に長期間がかかるため、手っ取り早く導入できる太陽光発電に対するニーズがますます高まっているのです。
「グレタ教」に洗脳されたNGOやグローバル金融機関がルールを作り、それに則って日本企業は太陽光などの再エネを買わされる。そしてそのお金は生産地の中国に流れていく。
非常に巧妙な金儲けの仕組みがグローバルに出来上がりつつあるのです。
「グレタ教」をこのままにしておけば、日本の国富が中国に奪い取られ、高いエネルギーコストで日本の生産性はますます低下し、「失われた30年」どころか2050年までの「失われた60年」となってしまいます。
日本経済はナイアガラの滝の如く落ち込み、日本中が中国製の太陽光パネルで埋め尽くされ、全国で自然破壊が起こる。そんな未来は、断じて許してはなりません。