バイデン、台湾見殺しか?「日本版台湾関係法」で日米台の連携強化を!【前編】
https://youtu.be/CHtr9G7-J2o
(5月15日収録)
幸福実現党党首 釈量子
◆米国の台湾政策「戦略的曖昧さ」とは?
今日は「台湾防衛」をテーマにお話ししたいと思います。
5月初め、イギリスの雑誌「エコノミスト」では、中国が軍事的圧力を強化していることを受け、台湾のことを「地球上で最も危険な場所」と指摘しました。
蔡英文総統は不安を打ち消そうとすぐに反応し、「考えられるリスクを管理し、必ず台湾の安全を守れる」とコメントしました。
もし台湾が中国の侵略を受けた場合、米国は台湾を守るために本当に軍事行動に出るのでしょうか?
現在、米国ではこの問題に関する議論が増えています。キーワードは「戦略的曖昧さ」です。
「戦略的曖昧さ」とは何かというと、これまでの米国の台湾政策である、中国が台湾に侵攻した場合の米国の対応を明確にしないことを意味します。
1972年にニクソン大統領が中国を訪問し、冷戦時代のソ連に対抗するために中国と国交を結び、台湾との国交を断絶しました。
しかし、当時の親台湾派の議員が、「このままだと台湾が中国に飲み込まれてしまう」という危機感を感じて、1979年に「台湾関係法」という法律を作りました。
これによって、米国は台湾との正式な国交は無いものの、台湾を中国の侵略から防衛するための武器を輸出できるようになりました。
こうした状況の中、米国は「戦略的曖昧さ」によって、中国の台湾侵攻を抑止するとともに、台湾の独立宣言を阻止し、アジアの安定に寄与してきました。
例えば、1995年、中国がクリントン政権に対して「もし中国が台湾を侵攻したら、米国はどのように対処するか?」と聞いたら、「それはわからない。状況次第だ」と答えました。
これが、米国の台湾政策における「戦略的曖昧さ」です。米国は数十年間に渡り、ずっとこのスタンスを維持してきました。
◆米国で高まる台湾政策見直し論
しかし、中国はこの間、台湾奪取を狙って虎視眈々と軍事力を増強してきました。
これに対して、トランプ大統領は、ニクソン以降の対中政策を見直すことを表明し、台湾に対して最新鋭の武器輸出や政府高官を派遣するなど、米台関係の強化に貢献しました。
今年に入ってからはさらに進んで、米国の台湾政策「戦略的曖昧さ」を見直すべきではないかという意見が出てくるようになりました。
これまでの曖昧さこそが、中国の横暴を助長させているのだから、「中国が台湾を攻撃した場合、米国は台湾を必ず守ること」を明確にするものです。
今年1月、前インド太平洋長官のデービッドソン氏は上院軍事委員会で、「現在の中国の軍事展開を見れば6年以内に台湾侵攻の可能性がある」と警告を発して、日本でもかなり報道されました。
その際、「米国はこれまで『戦略的曖昧さ』の政策により恩恵を受けてきたが、中国との軍事バランスが変わった今、定期的に見直す必要がある」という意見も述べています。
デービッドソンの後任となった、現在のインド太平洋長官アキリーノ氏も、「『戦略的曖昧さ』の台湾政策を変更することで、どんなリスクや代償が生まれるのか、ぜひとも議論したい」と話しています。
インド太平洋軍のトップがここまで突っ込んだ話をしているのを見ると、軍人の間では、台湾が香港のようになってしまうという危機感を共有しているのではないかと思います。
こうした意見を持つ人は、共和党議員やシンクタンクに根強くいます。
例えば、トランプ政権で大統領補佐官を務めたボルトン氏は昨年7月、「選挙で選ばれた政府を有する台湾のような国を承認しようとしないのであれば、国家承認の意義とは一体何か」と述べ、台湾を国家として全面的に認めるよう訴えました。
また、米共和党のリック・スコット上院議員とガイ・レッシェンサラー下院議員は今年2月、中国の台湾侵攻を防ぐため、大統領に一定の武力を行使する権限を付与すべきとする「台湾侵略未然防止法案」(Taiwan Invasion Prevention Act)を上下両院に再提出しました。
法案の内容は、米台と理念の近いパートナーを交えた安全保障対話・合同軍事演習の枠組み構築、台湾との二国間貿易協定交渉の推進、大統領や国務長官の訪台、台湾総統の米議会での演説などです。
(後編につづく)
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