デジタル教科書が子供の思考力を奪う?GIGAスクール構想で教育が危ない【前編】
https://youtu.be/FI22XvltFMM
(4月6日収録)
幸福実現党党首 釈量子
◆「教育のデジタル化」を推進する菅政権
コロナ禍のなか、菅政権は「デジタル化」を推進し、人間の活動は対面からオンラインへと移行する既定路線が進んでいます。
そのような中、予想以上の大きな変化が起きているのが「学校教育」です。
教育のデジタル化は、子供たち、ひいては日本の将来に深刻な影響を及ぼしかねません。
文科省の「GIGAスクール構想」に基づき、小中学生に「一人一台」タブレット端末を配布がほぼ終了し、4月までに通信環境も、全国の小中高の97.9%にあたる3万1538校で整うとのことです。
さらに、「デジタル教科書」導入の動きも進んでいます。
2020年3月の時点では、公立学校全体の7.9%(公立小学校の7.7%、公立中学校の9.2%、公立高校の5.2%)にとどまっています。
「デジタル教科書有識者会議」では、次の小学校用教科書の改訂時期となる2024年の本格導入を求める中間発表をしています。
しかし、こうした教育現場の動きは子供の「学力」を真に上げるのかどうか、警鐘を鳴らす動きも増えてきました。
◆「教育のデジタル化」で危惧される3つ視点
まず、教育のデジタル化で危惧されている点を3点お伝えします。
(1)脳への影響は?
代表的なものが「スマホ依存」でが、特に、医師や専門家からは、スマホは脳内の伝達物質で依存性と関係があるとされる「ドーパミン」が指摘されています。
たとえば、アルコールやギャンブル、タバコなどの刺激によって、ドーパミンが放出されストレスから逃避できます。
しかし、やがてドーパミンが薄れてくると、更なる刺激を求めてまた、アルコールやギャンブルなどに手を出してしまいます。
スマホやネットゲームもこれと同様のメカニズムから「スマホ依存は薬物依存と同じ」という認識が広がっています。
こうした危機感の中、昨年4月、日本で初めて香川県が「インターネット・ゲーム依存症対策条例」を施行しました。
子供のゲーム利用時間の制限を条例化し、18歳未満のゲーム使用は1日60分(休日は90分)まで。スマホ使用は、中学生以下は午後9時、それ以外は10時までを目安に、子供に守らせる努力義務を親に求めたわけです。
これには、憲法13条の「幸福追求権」を侵害しているとして高校生とその親が訴訟を起こすなど、賛否が分かれました。
施行から1年、香川県が調査結果を発表したところ、平日1時間以上ゲームを利用していると答えた小学生が全体の52%、中学生51%、高校生35%。「4時間以上」も小学生6%、中学生5%、高校生2%です。
また、平日午後9時以降の利用も、小学生は33%、中学生が78%。高校生の86%は同10時以降も利用していることがわかりました。
平日に3時間以上スマホなどを利用する「長時間利用」は17年の調査からそれぞれ2~11ポイント減少。県教委は「条例に一定の効果はあった」としているものの、「小中高生の4~6%に依存傾向がある」とも分析し対策を強化する方向です。
(2)スマホと学力低下
また、スマホが学力を低下させると警鐘を鳴らしている専門家もいます。
仙台市では「標準学力検査および仙台市生活・学習状況調査」を実施し、「学習意欲の科学的研究に関するプロジェクト」を立ち上げています。
中心の東北大学加齢医学研究所所長の川島隆太氏によると、1日一時間以上、スマホを使うと「平均国語2.3点、数学4.6点、理科3.8点、社会3.8点」下がり、特に数学は「1時間増えるごとに平均5点下がった」といいます。
また仙台市の5~18歳の224名を対象に3年間、脳発達をMRIで計測したところ、ネット習慣の多い子供は、前頭葉や頭頂葉、側頭葉、小脳などかなり広範な領域で大脳皮質の体積があまり増加せず、脳の奥に張り巡らされた神経線維も増加していなかったということで、「脳の発達にブレーキがかかってしまったことになる」と指摘しています。
(後編につづく)