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中台戦争の発火点!中国の台湾侵略は東沙諸島から始まる。【前編】

https://youtu.be/F5fNmPxuGfc

幸福実現党党首 釈量子

◆バイデン政権に対する4つの要求

2月22日、中国の王毅外相は、中国外交部が毎年実施している「藍庁論壇(ランティンフォーラム)」の開幕式で講演を行いました。

今年のテーマは「対話協力、相違点の管理・コントロール 中米関係の正しい軌道への回帰を推進」でしたが、ここで王毅外相は、習近平政権による「バイデン政権に対する4つの要求」を発表しています。

(1)台湾、香港、ウイグル、チベットへの支援を止めること。
(2)米中対話を再開すること。
(3)中国製品への関税や中国企業への制裁を止めること。
(4)孔子学院のような中国の組織や報道機関への規制を解除すること。

これらは全てトランプ政権が行ってきたことで、中国にとって本当に嫌だったことがよく分かりますが、今はバイデン政権の対中姿勢を試している状況でしょう。

◆「台湾統一」は習近平の悲願

中でも、中国は4つの要求の筆頭に「台湾」を挙げています。

2022年10月に3選目を目指す習近平国家主席にとって、何としても手に入れたい政治的遺産が「台湾統一」だからです。

今年に入り、中国軍機が台湾の防空識別圏に入り、台湾も戦闘機を緊急発進(スクランブル)させるという事態が続いています。

1月23日、米空母「セオドア・ルーズベルト」がバシー海峡を通過しましたが、中国軍機は「セオドア・ルーズベルト」をターゲットにした軍事演習を行っていた模様で、台湾とバイデンへの試しが始まっています。

◆急速に高まる「中台戦争」の可能性

中国による侵略行為急増について、オーストラリア戦略問題研究所(ASPI)は「中台戦争の危険性が急速に高まっている」と分析、軍事衝突のシナリオを予測しています。

中国が台湾本土侵略を強行する際、「接近拒否・領域拒否戦略(A2/AD)」によって、「いち早く既成事実を作り、米国が台湾を助けるには代償が大き過ぎると思わせるだろう」と指摘しています。

また、より現実的な選択肢として、「台湾領有の沖合の島を占領する可能性」を指摘し、具体的に「東沙諸島」を挙げています。

ASPIは「バイデン政権は米中対立が高まっても、大きな軍事衝突を引き起こすようなリスクを取らない」と中国が見ており、「限定作戦の東沙諸島占領ならば、米軍は反応しない」と読んでいるからです。

◆中国の戦略的要衝にあたる東沙諸島

東沙諸島は台湾の高雄市から約460キロ、中国広東省から約260キロに位置し、中国大陸からの方が近くなっています。

そして、東沙諸島は南シナ海の入口で、中国海軍の基地がある海南島からバシー海峡を経て、太平洋へ向かうルート上にあるため、まさに中国軍が太平洋に進出する際の戦略的要衝にあたります。

海南島は、中国初の国産空母「山東」が配備され、また地下には中国海軍の潜水艦基地があり、原子力潜水艦が出入りする様子が衛星画像で確認されています。

中国が東沙諸島の上陸作戦を強行することは、台湾本土上陸作戦の予行演習という意味合いと共に、台湾統一への意思を見せつけることになります。

2020年5月、東沙諸島奪取を念頭においた上陸演習を8月に海南島で行う計画があると報道されましたが、9月10日、台湾国防部が大規模な空軍と海軍の訓練が東沙諸島と台湾の間で行われたことに抗議していることから、実際に行われたと見てよいでしょう。

また、台湾国防部は、2月19日・20日の2日間、中国軍機による東沙諸島周辺での演習実施を受け、緊急発進(スクランブル)したことを明らかにしています。

◆中国から狙われる台湾領有の島々

前述のASPIは「もし米国が中国の侵略的行為を抑え込むことに失敗したら、東沙諸島の次に、金門島や馬祖列島(ばそれっとう)を狙ってくるだろう」とも指摘しています。

金門島は中国大陸からわずか2キロに位置し、1958年からの「金門砲戦」では中国から47万発もの砲弾が撃ち込まれています。

2018年からは、中国本土から水の補給が始まっており、ライフラインを中国に依存している状況です。

2020年3月、金門島周辺で違法漁業の取り締まりをしていた台湾の巡視船に、中国漁船が体当たりし、破損させています。

馬祖列島は、台湾からは211キロ、中国本土から24キロと本土により近接し、2020年10月から12月にかけて、馬祖列島周辺で、中国の約200隻の大船団が出現し、海底から砂を採取する作業を行ったと言われています。

このように、尖閣諸島周辺や南シナ海でも民間船を送り込んでいるのと同じく、台湾領海でも圧力を強化しています。

(つづく)
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釈 量子

執筆者:釈 量子

幸福実現党党首

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