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最終判断が迫る東京五輪、北京五輪で踏み絵を迫る覇権国家中国の思惑【後編】

https://youtu.be/RAT3hERDzoo

幸福実現党党首 釈量子

◆国際政治に翻弄された近代五輪の歴史

日本では、1964年東京五輪のイメージもあり、人類共通の祭典として、無条件で善なるもので、ボイコットは過激なことと思われがちです。

しかし、近代五輪の歴史を振り返ってみても、国際政治においては大きな問題になってきました。

特に、全体主義的な傾向を持つ国が、五輪を開催することによって、それを自国の国威発揚、およびイデオロギーの対外的発信の目的で使われるケースが散見されます。

象徴的な事例としては、1936年にナチス・ドイツ統治下で開催されたベルリン五輪において、アーリア民族の優越性とヒトラーの権力を世界中に見せつける機会として、最大限に利用されたことです。

また、1980年のモスクワ五輪は共産主義国で開催された初めての五輪となりましたが、1979年12月、ソ連がアフガニスタンへ侵攻すると、民主党カーター政権の米国がボイコットを表明し、日本や西ドイツもこれに続きました。

イデオロギーの大きな対立が起きている状況下での五輪大会は、各国にとって参加の可否は「その国の政治体制や行動を認めるかどうか」という「踏み絵」にもなるわけです。

◆習体制3期目の威信をかけた一大プロジェクト・北京五輪

2008年の北京五輪は、経済成長著しい中国が「世界の大国」として認められる大きな契機となりましたが、次の北京五輪は、中国にとって「国威発揚」のための絶好の機会です。

また、2022年10月から3期目が始まる習近平国家主席にとって、覇権国家の威信をかけた一大プロジェクトとなるのは間違いありません。

人々の健康などは考慮されず、権力者の「面子」がすべてに優先されるのが全体主義国家です。

公式に発表されている中国のコロナ感染者数は、明らかに虚偽であると各国の識者からも指摘されていますが、そうした虚偽情報を根拠にしつつ、感染症対策の徹底や、外国人へのワクチン接種やPCR検査を義務付けるなどして、完全な形で北京五輪を開催するつもりでしょう。

2021年2月、WHOが武漢で現地調査を行いましたが、残念なことに武漢ウィルス研究所からの流出説を否定し、輸入した冷凍食品を発生源とする説は引き続き調査するなど、中国に丸め込まれた「茶番劇」に世界中が失望させられました。

◆北京五輪から透けて見える中国の野望に対し、日本はどうすべきか?

習近平政権は「コロナとの戦いに勝利する」と宣言していますが、「人類がコロナに打ち克った証」として、北京での五輪開催が行われる可能性もあります。

コロナウィルスを完全に抑え込んだ中国の周到さ、完璧な大会準備等を世界中に示し、放映権を握る欧米メディアは予定通りの五輪開催に歓喜し、世界の国々が北京に集まる・・・というシナリオになりかねません。

ウイグルや香港へのおぞましい人権弾圧、台湾や日本の尖閣沖での領海侵犯も止まりません。

北京五輪終了後、米国の中間選挙、また次期米大統領選挙を見据え、五輪を成功させた三期目の習近平政権が軍事行動を拡大させていくことを念頭に置くべきです。

米バイデン政権が「北京五輪へのボイコット」を呼びかける可能性は極めて低いでしょうが、日本はアジアのリーダーとしての自覚が必要な時期になっています。

◆国際協力という大義名分によって、国益の最大化を図る中国の欺瞞

近代五輪は「スポーツを通じた平和な世界実現への寄与」を目的にしていますが、こうした「国際協力」の大義名分のもと、国際機関を取り込み、国際的な枠組みを活用しながら、国益を最大化していくのが中国のやり方です。

そして、左派リベラルのマスコミはこうした中国の掲げる大義名分を批判出来ず、見事に騙されて続けてきました。

もし、北京五輪が「人類がコロナに打ち克った証」として開催され、世界各国が喜んで参加するようなことがあれば、新型コロナウィルスの発生源は、中国武漢の生物兵器実験室であるという疑惑について「中国の責任を問わない」ということを国際社会が認めたことを意味します。

◆五輪の限界、求められる世界的正義の視点

五輪会場として、中国ほど「フェアプレーの精神」に反した会場はありません。

本来「平和の祭典」であるものが、全体主義国家の独裁者のプロパガンダと、権力強化のために利用されている。

これは、近代五輪精神の死滅であり、西洋型国際協調の理念が、中国の共産主義の下に屈してしまったことを意味します。

東京五輪も北京五輪も、「五輪自体の限界」を露呈している現状について、「世界的正義」の観点から、五輪開催について我々一人ひとりが考えるべき時が来ていると思います。
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釈 量子

執筆者:釈 量子

幸福実現党党首

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