菅政権の時限爆弾「親中派」――日米豪印同盟で中国包囲網に舵を切れ
https://youtu.be/fhuI8Ep8C08
(9月18日収録)
幸福実現党党首 釈量子
◆菅新政権の外交手腕
年初から中国発の新型コロナウイルスのパンデミックもあり、米中対立が激しくなる中、菅新政権がスタートし、その外交手腕に注目が集まっています。
今回は菅新政権を取り巻く、アメリカ、中国の動きについて、日本はどうあるべきかについて考えてみたいと思います。
9月17日、「親中派」と言われている自民党の二階幹事長が、石破派の政治資金パーティで講演し、約1,500人の前で驚きの発言をしました。
「中国とは長い冬の時代があったが、今や誰がみても春を迎えている。私が(2015年に)3,000人の訪中団を率いたのがきっかけだ。」
そして、習近平国家主席の国賓待遇での来日については「穏やかな雰囲気の中で、実現できることを心から願っている」と発言しました。
二階幹事長は、アメリカの有力シンクタンクから名指しされていますが、「親中のスタンス」は全く変わっていません。
一方で総裁選挙の際に石破氏が「アジア版NATO(北大西洋条約機構)構想」と言及したのに対して、菅氏は「反中包囲網にならざるを得ないのではないか」とコメントしました。
これに対し、早速、中国が反応しています。
◆中国の反応
9月14日の「環球時報」は、社説で次のように言及しました。
総裁選での「菅氏の政策は最も安定的なものだった。(中略)日本政府は国益を最大限にするために、日米関係を大事にしながら、同時に、中国との関係を発展させていくだろう。」
「米国は日本の唯一の同盟国であるが、中国は最大の貿易相手国である。」
日中関係に「期待」を示しつつも、アメリカがサプライチェーンの脱中国を促進し、オーストラリア、インドとの結束を強くしようとしている点に「懸念」を滲ませています。
◆米国による中国包囲網構築が本格化
米国は、アジア太平洋戦略の一環として、オーストラリア、インド、日本を含め「4カ国安全保障対話QUAD(クアッド)」を進めています。
中国はこれを、相当嫌がっているわけです。
ポンペオ国務長官は、9月から10月にかけて、これら4カ国の外相らと立て続けに会談を行っています。
他にも、オブライエン国家安全保障担当大統領補佐官も、10月はハワイでこの4カ国、QUAD(クアッド)の安全保障担当の高官らと会う予定と報道されています。
年末には、インドが日本と米国と共に毎年行っている海上軍事演習「マラバール」に、オーストラリアを招待すると言われています。
国際共同演習「マラバール(Malabar)」は、2015年から日本を加えて、日米印3カ国による国際共同演習として毎年開催されてきました。
日米印3カ国が持ち回りで演習を主催し、2019年には日本が主催国として「マラバール2019」を日本の近海で行っています。
QUADが、NATOのような軍事的同盟関係強化だけでなく、経済にもその範囲を広げれば、中国の「一帯一路」も牽制できます。
◆アメリカの台湾支援強化
もう一つ、中国が菅政権の動きで反応したのが、「日台関係」です。組閣後の9月16日、「環球時報」は社説で「岸信夫新防衛大臣」に着目しています。
安倍前首相の弟であり、岸信介元首相の孫である岸防衛大臣は、台湾に何度か訪問しており、同社説で日本には「一つの中国原則を堅持することと、台湾との政府高官交流を控えることを望む」と報じました。
米国も5月に、アザー米厚生長官が台湾を訪問しましたが、さらに9月16日、李登輝元総統の告別式にクラック国務次官を派遣すると発表しています。(19日、李登輝元総統の告別式に参列)
また、トランプ政権は台湾海峡での「航行の自由作戦」を継続しつつ、台湾関係法に基づいて、F16戦闘機を66機の売却をはじめ、さらに大規模な兵器売却の準備を進めていることも報道されています。
蔡英文総統は、中国の国家安全維持法により、香港の自由が無くなった今、台湾が自由と民主主義のフロントラインにあるとの認識を持っています。
蔡総統は、米台関係の強化を第一優先に掲げながら、民主主義国との連携と、「脱中国のサプライチェーン構築」を呼びかけているのです。
◆日本は政治哲学を持ち、対中包囲網構築に舵を切れ
では、日本はどうすべきでしょうか。
中国は、日本が脱中国に舵を切り、台湾との政府高官交流を行ったりすることも警戒しています。
世界が中国包囲網を構築しようとしている中で、特に、日本にとってQUADは非常に価値あるものです。
日本は米豪印との関係と、加えて台湾との関係も強化し、「自由・民主・信仰」の価値を共有する国々との結束を強め、対中包囲網構築に舵を切るべきです。