もう詰んだかと思った日露平和条約 逆転の芽【前編】
https://www.youtube.com/watch?v=rdLPWggTqME
幸福実現党党首 釈量子
※下記は要約したものです。詳しくは上記の映像をご覧下さい。
◆プーチン大統領が2036年までの続投になる可能性
今回のテーマは、ロシアの憲法改正についてです。
ロシアでは、憲法改正の国民投票がレーニン生誕150周年の記念日である4月22日に行われる予定です。
ロシアの憲法改正は、日本とは関係ないと思う人も多いかもしれませんが、実は今後日本の運命を左右するかもしれません。
その理由は、今回盛り込まれる憲法改正の中身にあります。
まず、今回の憲法改正案の大きな焦点は、「次のロシアのリーダーは誰になるのか」です。
ロシアでは「大統領に3回以上なることが禁止」されていましたが、3月11日、プーチン大統領が2024年の大統領選挙に出馬できることを盛り込んだ憲法改正案が可決され、2036年までの続投になる可能性が出てきました。
また、大統領になれなくても、大統領の諮問機関であった「国家評議会」は、国家としての方針や優先順位を決められるようになり、メディアでは、「プーチン大統領が、退任後に国家評議会の議長になって、陰の権力者になるのではないか」といった報道もされました。
◆北方領土が日本に戻る可能性
2月13日に、プーチン大統領と憲法改正準備作業グループの会合で、メンバーの有名な俳優から驚きの提案がされています。
それは、「領土割譲の禁止」、つまり、「ロシアは他国との交渉で『自国の領土をあげる、あげない』といった話は一切してはいけない」という条文を付け加えようじゃないか」というものです。
これに対しプーチン大統領も、「アイデアそのものは、私も気に入っている」とコメントしました。3月2日には、実際に「領土割譲禁止」を盛り込んだ改正案が下院に提出されました。
一方で、同改正案には、「国境線をどう決めるかという話は、領土割譲の話と一緒ではない」という内容も盛り込まれています。
これは北方領土返還を目指す日露平和条約交渉はまだ可能であることを意味しています。
むしろ、5月9日にモスクワで開かれる対独戦勝75周年式典に向けて「技をかけてこい」というプーチン大統領からのメッセージではないでしょうか。
◆難題な日露平和条約交渉
もちろん、日本側がロシアに「技をかける」と言っても、一筋縄ではいきません。
1956年の日ソ共同宣言では、北方領土の一部を平和条約の締結後に引き渡すことが合意されていますが、日ソ共同宣言から60年以上経った今でも、平和条約が締結されていないわけです。
ソ連解体のときなど、北方領土の返還が実現するターニングポイントはいくつかありましたが、日本側が、「北方領土の全ての返還を求める」主張をし、ロシアはそれには応じないというような構図を繰り返してきました。
もちろん、これは日本の「主権」を守るためには譲れない一線でもありました。
ロシア側は、日ソ共同宣言以来、返しても、色丹島、歯舞群島の二島だけだと主張してきました。
ロシア側が択捉島と国後島にこだわる大きな理由の1つは、両島の間に幅30キロメートルほどの「国後水道」があるからです。
国後水道は水深が約480メートルと深く、冬でも海の中が凍りません。そのため、1年中、潜水艦が潜って通過することができます。
もし、四島返還が実現したら、当然、国後水道は日本の領海になるので、国際法上、ロシアの潜水艦は、浮上して国旗を掲げて、通過しなくてはいけなくなります。
現代において、潜水艦は非常に重要だと言われています。それは、核ミサイルが搭載された原子力潜水艦は、本土を攻撃されても、自由にやり返せるため、相手に攻撃をさせない「抑止力」として期待されるからです。
ロシアにとって、そうした原子力潜水艦を自由に動かすために国後水道は外せない場所と言えます。
また、現在、色丹島には、国後水道を守るべく警備隊が配備されているため、色丹島すらも日本には返したくないのが、ロシアの本音なのかもしれません。
(つづく)