迫りくる台湾の危機と日本が果たすべき役割【前編】
http://hrp-newsfile.jp/2019/3469/
幸福実現党 HS政経塾1期卒塾生 湊侑子
◆中国による台湾進攻は、現実的な問題
本年1月2日、習近平国家主席は北京の人民大会堂において、台湾の私有財産や信教の自由などは十分に保証されるとし、台湾同胞の利益と感情に十分に配慮する前提で、一つの国に異なる制度を認める「一国二制度」の具体化に向けた政治対話を台湾側に迫りました。
同日、この提案に対して、蔡英文氏は台湾の絶対多数の民意として、受け入れを拒絶すると会見で発表しました。
蔡英文は2月28日産経新聞の単独インタビューを受け、日本に安保対話を要請する趣旨の発言を行いました。
そしてその内容を、自身の公式ツイッターで日本語で発信しました。
蔡氏の発信を要約すれば、
(1) 他国(アメリカや日本)と協力して、台湾を中国からの攻撃(世論操作、偽情報、武力)から守りたい。
(2) 中国が言う『一国二制度』は断固拒否する。
(3) 国際社会にもっと台湾の存在を重視してもらいたい。
(4) 経済的に中国以外の国との繋がりを強くしたい(TPPに参加したい)。
(5) そのために、日本と話し合いがしたい。
という内容です。
普段、英語での発信を行う蔡氏にとって、日本語での発信は初めてではないですが、珍しいことです。
また基本的に一日に一投稿なのですが、これに関しては、日本語で四回・英語で五回、計九回連続で投稿を行っています。
中国による台湾進攻が現実性を持って迫っているのだと感じさせる内容です。
◆幸福実現党は台湾を見捨てない
蔡氏の要請に対して、幸福実現党はすべて答えを用意しています。
(1) 日台関係に関する基本法を制定し、台湾との関係を強化します。台湾への武器供与を行うなど、安全保障面での関係も強化します。
(2) 台湾を独立国家として承認・国交回復を目指します。
(3) 台湾の国連加盟を後押しします。
(4) 日台FTAを締結して経済関係を強化します。
これが、2019年の現時点で幸福実現党が掲げるマニフェストの台湾に関する部分です。
中国共産党設立100周年の2021年、中国は台湾への武力侵攻を本気で考えています。
幸福実現党は台湾防衛に向けて、アメリカと共同作戦が出来るよう、国際標準的な集団的自衛権の全面的な行使を想定しており、憲法9条の改正とともに法整備を考えていることも、明記しています。
一方、自民党HPに掲載されている公約(最新版 自民党政権公約2017)には、「台湾」という言葉や台湾防衛に関することは明記されていません。
中国に配慮してのことでしょうが、経済力においても国際信用力においてもアジアの雄である日本の政権与党の公約としては残念です。
◆台湾の未来、香港の今
台湾の未来は、香港の今を見れば想像できることです。
1997年にイギリスが中国に香港を返還した際、中国は本土と異なる政治・経済制度を今後50年間維持し、高度な自治を認めると約束しました。
しかし返還から20年も経たない2014年、普通選挙を求める香港市民による雨傘革命が香港・中国政府によって鎮静化させられ、その後は民主派市民の立候補妨害、当選後の議員資格はく奪・民主派政党の活動禁止と圧力が強まっています。
「1国2制度というより、1国1.5制度だ」
「その0.5もどんどん縮小し、完全に中国の支配下に置かれようとしている」
と雨傘革命リーダーの一人、黄之鋒は語っています。
香港中文大の香港アジア太平洋研究所は2019年1月7日、香港18~30歳の若者のうち51%が海外移住を考えているとの世論調査の結果を発表しました。
2017年の前回調査から5.5ポイント増加しています。
理由では「政治的な論争が多すぎ、社会の分裂が深刻」が25.7%で最多を占めています。これらの割合は今後ますます増えていくと予想されます。
次回、後編では、こうした香港の教訓を踏まえ、さらに台湾の現状と日本の役割について明らかにして参ります。
(つづく)