自治体行政の将来の在り方について――自治体戦略2040構想
http://hrp-newsfile.jp/2018/3454/
幸福実現党公認 薩摩川内市議会議員 松澤 力
◆今後の人口構造の変化と自治体行政
総務省の資料では日本の人口は2008年の約1億2800万人をピークに、大都市や地方で高齢化が急激に進行し、2040年頃には日本の総人口が毎年100万人近く減少していくと予測されています。
この人口減少は自治体の税収や行政需要に非常に大きな影響を与えると懸念されています。
国立社会保障・人口問題研究所のデータから作成された人口変動の資料によると、私が住んでいる薩摩川内市も、2015年の人口約10万人から2040年には人口が約30%減少すると予測されています。
医療、福祉、インフラ、空間管理など、住民サービスの多くは地方自治体が支えています。
その地方自治体が持続可能な形で住民サービスを提供し続けられるようにすることは、「住民の暮らし」や「地域経済」を守るために非常に大切です。
◆自治体戦略2040構想
現在、検討が進められている自治体戦略2040構想では、高齢者人口がピークを迎える2040年頃にかけて迫り来る日本の内政上の危機を明らかにして、共通認識にした上で、その危機を乗り越えるために必要な新たな施策の開発と、その施策の機能を最大限発揮できるようにするための自治体行政の書き換えを構想するものです。
課題や施策のとりまとめが行われている自治体戦略2040構想研究会は、座長・座長代理・委員等の10名のメンバーによって構成され、既に第1回~第16回まで会議が開催され、第一次報告・第二次報告が総務大臣に提出されています。
◆2040年頃の内政上の危機と対応案
2040年頃にかけての危機の一例として、自治体戦略2040構想研究会の報告の中では、急激な高齢化によって東京圏では入院・介護ニーズの増加率が高くなり、医療介護人材が地方から東京圏へ流出すると懸念されています。
検討されている対応案としては、元気な高齢者が支援を必要とする高齢者の支え手にまわる仕組みづくり、圏域内の自治体が連携した医療・介護サービス供給体制の確立、AIによる診断など技術革新の成果を積極的に導入して支え手不足の緩和する、などが出されています。
また、中山間地域等では、集落機能の維持や耕地・山林の管理がより困難になることが懸念されています。
この課題に対して、中山間地域等においては集落移転を含め、地域に必要な生活サービス機能を維持する選択肢の提示と将来像の合意形成などの検討案が出されています。大変難しい課題のため、今後更に検討が必要となります。
◆人口縮減時代の自治体行政への転換の必要性
2040年頃は、高齢者人口がピークを迎えて、特に若年労働者を中心に労働力の絶対量が不足するが想定されています。その時に備え、自治体行政も人口縮減時代に対応する体制に転換していかなければなりません。
自治体行政の将来の在り方として、まず、スマート自治体への転換があります。
先ほど、自治体戦略2040構想研究会の中でも医療・介護サービスへのAIの活用案がありましたが、自治体行政においても今後の人材不足・税収減等の経営資源が大きく制約されることを前提に、従来の半分の職員でも自治体が本来担うべき機能を発揮できる仕組みが必要となります。
AI・ロボティックスが処理できる事務作業は全てAI・ロボティックスによって自動処理するスマート自治体への転換が急がれます。
次に、市町村の行政フルセット主義から脱却し、地方圏の圏域単位での行政を検討する必要があります。
従来の都道府県・市町村の二層制を柔軟化し、それぞれの地域に応じて都道府県と市町村の機能を結集した行政の共通基盤の構築の検討を進めなければならないと考えます。
地方自治体が持続可能な形で住民サービスを提供していくため、新しい時代に対応した自治体行政の構築のため、今後も精進して参ります。